とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『あの人の声はなぜ魅力的なのか~惹かれる声と声紋の科学~』鈴木松美

あの人の声はなぜ魅力的なのか ~惹かれる声と声紋の科学~ (知りたい!サイエンス)あの人の声はなぜ魅力的なのか ~惹かれる声と声紋の科学~ (知りたい!サイエンス)
(2011/10/21)
鈴木 松美

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著者は、音の研究、開発を行う日本音響研究所の所長です。声紋鑑定に関わる事件があったときには、テレビでお顔を拝見することもあります。また、イヌ語翻訳機・バウリンガルの開発に携わった方でもあります。

このような音と声の第一人者である著者が、声の魅力について書いたのが、この本です。驚かされることが数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。


・大人の耳が聞き取りやすいのは、2500~5000Hz帯域の高い周波数(高い声)が強く出ていることと、1分間に100~120拍(0.5秒間隔のテンポ)のテンポの生き生きとした声

・聞き取りやすい話速(話すスピード)は、1分間に350字程度(NHKのアナウンサーがニュースを読む速度)。1分間に600字を聞かされたら、一般的なお年寄りは言っている意味が理解できなくなる

・振り込め詐欺は、全体的には早口でしゃべるが、「痴漢」「逮捕」「200万」「銀行」「急がないと」「お金の用意」などのところは、話速300字くらいに落とし、強く印象づける

・演説上手だった首相の田中角栄や小泉純一郎は、腹式発声ができていた。そのため、言葉に力があり、声がよく通った。さらに、しゃべりがリズミカルだった。音で表現すれば、「トントントントン、トントントントン、トントントントン」といった感じ

・「リズム」と「間」には、言葉を聞いているというより、むしろ音楽を聴いているようにさせる効果がある。上手なお坊さんのお経も、リズムと間があり、内容を理解していなくても、聞いてて、うっとりし、心地よくなってくる

・カラオケで歌う準備で大切なことは、声帯を十分に湿らせておくこと。そのためには、歌う前にコップ一杯の水を飲むようにすれば、これで息の通りが、だいぶよくなる

・心地よくさせるナレーターの魅力的な声の条件は、声に「1/fゆらぎ」があることと「腹式発声」ができること。ちなみに人気のナレーターは、声道(共鳴体)の空間が広い、つまり少しエラの張った顔が特徴。それが、声に響きを与えて、いい声にしている

・音楽の三要素は、メロディ・リズム・ハーモニー。音の三要素は、高低・強弱(大小)・音色

老人性難聴は、同じ感覚器である目の老化(老眼)よりも、年齢的な自覚は遅く、だいたい60歳後半を過ぎてからが多いが、実は、人間の聴力は20歳代から次第に衰えている

・ふだん聞いている自分の声は、本当の声ではない。骨伝導で聞いている声は、周囲の人が聞いているよりも、少し低音が強調された、こもった声になっている

・「背の高さと声の高さ(声帯振動数)は反比例する」(ファントの法則)。近ごろ、日本の女性の声が低音化しているのは、背の高い女性が増えたのと言葉遣いが男性的になった(声のトーンが低い)ことがある

高齢の女性の声が中性化して、男性の声との判別がつきにくくなるのは、閉経後、筋肉の衰えに、ホルモンバランスの変化も加わって、声が低くなり、女性らしい高音部の声が失われていくから

・声の老化防止に有効な方法は、毎日の発声練習以上におすすめなのが、カラオケで歌うこと。カラオケに行く機会のない人は、自宅のバスルームでお気に入りの曲を歌えばいい

・緊張している場合や嘘をついている場合、また何かと言い逃れしようとしている場合には、声帯振動による基本周波数が乱高下する。興奮してくると、さらに変化が大きくなり、基本周波数が普段の2倍くらいに上下する

・日本人が「いい声」と感じるのは「低くて響きのある声」。非常に低い周波数帯(約60~80Hz)が出ていること。欧米人が「いい声」と感じるのは、非常に周波数が高い「透き通るような声」

・声をおしゃれにする5つのポイントは、音圧(強調する言葉は声のトーンを上げて話す)、話速(重要なポイントではゆっくり)、腹式発声(喉ではなくお腹から声を出す)、イントネーション(語尾の協調など)、高周波成分(子音のカ行、サ行をはっきり発音)

・効果音のテンポをどんどん上げていくことで、気持ちをかき立てる。そして、最後は悲鳴に近い高周波数の音で締めくくれば、恐怖感を煽ることができる

・ストレス解消には、好きなジャンルの音楽で、なるべくテンポの遅い曲(70拍以下)を選ぶのがベスト。15分くらい聴いていると、ある時点で気持ちがスーッと楽になってくる


印象的な声の人は得をしているように思います。声は、顔や表情、スタイル以上に、人間の魅力を引き出しているのではないでしょうか。声優やナレーターの方たちが、長い期間に渡って、活躍されているのも、その表れかもしれません。

声や音を科学的に分析した本はなかなかないので、本書は貴重ではないでしょうか。
[ 2012/02/22 07:03 ] 営業の本 | TB(0) | CM(0)
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