とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『日本はスウェーデンになるべきか』高岡望

日本はスウェーデンになるべきか (PHP新書)日本はスウェーデンになるべきか (PHP新書)
(2010/12)
高岡 望

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このブログで、「北欧の本」を過去に10冊採り上げてきました。本書は、スウェーデン公使(大使に次ぐ長)の著者が、スウェーデンと日本を対比(気候、人口、性格、法律、医療、福祉、年金、企業、労働組合、外交など)させた書です。

スウェーデンの素晴らしい政策が、この本には多く載っています。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。


・スウェーデンは、一年の半分が冬で、農作物に恵まれない。19世紀後半までヨーロッパの貧しい国の一つ。当時、豊かさを求めて、北米大陸に人口の3分の1近くが移住した

・スウェーデンが今日の地位を獲得した第一の要因は、19世紀初頭以降2世紀にわたる中立政策。第二の要因は、豊富な天然資源(木材、鉄鉱石、水力発電)。第三の要因は、優れた科学技術(国を挙げての教育、科学技術の育成)

・移住者の多い中南米を除けば、日本人が1000人以上住んでいる国で、永住者割合が最も高い国がスウェーデン。その背景には、両国民の気質の共通点(内気な性格)がある

・スウェーデン人と日本人はよく似ているが、「自立した強い個人」「規則に基づく組織力」「透明性」「連帯」といった本質的に異なる点もある

・寒い国では勤勉でないと生きていけない。毎晩凍え死なないためには、寝ずの番で火を絶やさないようにしなければならない。厳しい環境では、真面目で勤勉で決まりを守ることが、美徳どころか生存の条件になる

・ヨーロッパにおけるカトリックが優勢な地域とプロテスタントのそれを分ける境界は、ワインの生産の北限とほぼ一致する

国民総所得当たりODA(政府開発援助)は、スウェーデンが1.12%で世界1位。日本は0.18%、アメリカは0.2%。日本の5倍以上の比率で対外援助をするのは、自国の社会福祉に満足し、その豊かさを分かちたいという善意のあらわれ

・スウェーデンは、人口当たりの国際養子縁組数が世界一高い。50人のうち1人が養子。毎年、約1000人が養子縁組により入国する

・スウェーデンの難民第三国定住(一時的に逃れた国から難民の受け入れ定住を認める)受け入れ数は、米国、カナダ、オーストラリアに次ぐ世界4位で1800人

・47%の高い女性国会議員比率は、ある日突然実現したわけではない。女性の参政権が実現したのが1920年代、20%を超えたのが1970年代、30%を超えたのが1980年代

・スウェーデン企業の取締役の女性比率22%は、ノルウェーに次いで世界2位。日本は1.4%で世界最下位

・スウェーデンの20歳から64歳の女性のうち、病気療養中、学生、年金生活者を除くと、「家事」人口は、たったの2%。全女性人口に占める専業主婦の率は2%未満

・スウェーデンでは、子供手当が1984年に導入された。現在は、子供が16歳になるまで、1人約13000円。累進的に1人当たり給付が増えるので、子供が6人なら約12万円になる

・スウェーデンの合計特殊出生率は、2010年に1.97に達する。1990年代に1.5近くまで低下した後、継続して上昇。90年代末以降の景気回復と移民の高い出生率がプラスに働いている

・スウェーデンの65歳以上高齢者で、特別住宅入居者は10万人(6%)。高齢者の94%は自宅に住んでいる。特別住宅入居者はここ数年減少。在宅介護サービスを受ける人が15万人(10%)と増えている

・人口1000人当たり医師数はスウェーデンが3.6人、日本が2.1人と倍近い差。保健医療支出がGDPに占める割合は、スウェーデンが9.1%、日本は8.1%とさほど変わらない

・スウェーデンの労働者の7割が以下の労働組合に加入。LO(産業別組合、ブルーカラー)170万人、TCO(ホワイトカラー)120万人、SACO(高学歴専門職組合、教師、医師、弁護士等)60万人。同一労働同一賃金を実現する連帯賃金政策が特徴

・同一労働同一賃金が実現すると、生産効率が同一賃金より低い企業は、その企業にとっては高すぎる賃金で従業員を雇用する必要がある。その結果、生産効率の悪い企業、産業セクターから、効率のよいところに賃金と労働力が移転していく

・2003年にユーロ導入の是非を問う国民投票が実施されたが、政府は前向きだったが、反対56%で、導入が見送られた。一般国民は、スウェーデン独自の社会保障制度が悪影響を受けることを危惧した


これらのデータを見ると、スウェーデンと日本の差が一目瞭然となります。バブル崩壊後の20年にわたる日本政府の無策と怠慢と世界知らずが、もたらした災いかもしれません。

世界は、日々発展しているという事実を、もっとみんなが知らないといけないように思います。この本は、スウェーデンと日本という明暗が分かれる国を対比しているので、現実がよくわかるのではないでしょうか。
[ 2012/01/26 07:06 ] 北欧の本 | TB(0) | CM(2)
知的好奇心を刺激されます。
私は 日本国内で難民です。
外国へ行きたいのですが、身体に障碍があります。
スウェーデンは行ってみたい国のNO,1です。

団塊世代と団塊ジュニアは信じられないという固定観念があったのですが、福家さんのブログを拝見して考えが変わりました。
[ 2013/01/09 17:13 ] [ 編集 ]
maronさんへ
はじめまして

知的好奇心が刺激された本だけを紹介しています。
これからも、知的好奇心が途絶えない限り、
このブログを続けていきたいと考えています。

これからもよろしくお願いします。
[ 2013/01/09 20:49 ] [ 編集 ]
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