とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『厚黒学・腹黒くずぶとく生き抜く』黄文雄

厚黒学―腹黒くずぶとく生き抜く (Shinkosha Selection)厚黒学―腹黒くずぶとく生き抜く (Shinkosha Selection)
(2009/09/14)
黄 文雄

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最近の中国の政治姿勢に怒りを感じている方が多いと思います。常識人には、理解できない中国人の態度は、どうして生まれたのか?

この本は、台湾人の著者が、中国人の腹黒さの謎を、歴史的な事実や思想より、解き明かしてくれるものです。

中国人とは、どういう民族かを理解できたら、冷静に対処し、賢く交渉できるのですが、中国人と中国政府を理解できないと、感情的になりがちです。

中国人の精神、根性を知る上で、貴重な本です。役に立った箇所が15ありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



儒家思想も間違いだらけ。有徳者が天命を受けて、万民を統率、君臨するのが天子だと唱えても、現実はその逆。有徳者ではなく、有力者、つまり簒奪者が天下を取るのが中国の歴史

・中国社会を律するものは、「」。優先順位からは、まず私情、個人的な思惑、人的なコネであり、その次が道理を講じ、最後には法によって裁き、処する

悪を制するには悪しかないから、極悪に勝つにはそれを上回る極悪非道の手しかない。それが「厚黒学」の生まれた風土

・中国人にとっては、人権よりも「生存権」と「発展権」が最も大事で、西洋人が言う「人権」云々では中国では生きていかれない。中国にとって最も大事なことは「社会の安定」

・一人のリーダーが政治軍隊を牛耳らなければ、国家社会が不安定になる社会。だから、絶対に三権分立や多党制をしないと公言している

・中国の官僚は中国全土の金銭と権力を独占している。この構造が存在する限り、民衆は権力にすり寄らなければならない。その結果、黒社会と自由経済の担い手たちは、官僚と結託して略奪行為に及ぶ

・父母の子供教育は、外に出たら「人に騙されるな」と繰り返し言う。学校教師も「天下烏鴉一般黒」(世の中カラスのように真っ黒)と教える。中国社会は、古来から騙し騙されする社会だから、日常的に「厚黒の学」を学んでおかないと自存自衛できない

儒教教育は「仁たれ、義たれ」などの徳目の押し付け。人間生活規範からの強制だから、外から押し付ければ押し付けるほど逆効果となり、「偽善者」か「独善者」しか人間づくりできない。人間本来ある良心まで奪ってしまう

・中国人のすべてが「詐」の人種。中国社会で「詐道」ができなければ、生きていかれない。孫子兵法は冒頭から「兵は詭道なり」と語っているが、「詭道」とは人を騙す手立てのこと

・中国社会では「報喜不報憂」、つまり、よいことだけを取り上げ、好ましくないことは隠すのが常套のやり方

・精神的に頼るものがない中国人は、現実的、実利的な民族にならざるを得なかった。中国人が自他ともに認める「欲望最高、道徳最低」は、宗教心の薄い世俗化した民族性からくるもの

・政治的価値の「権力」、経済的価値の「銭力」が社会価値の主流。中国では「権」が「銭」を生むので、数千年来、政治汚職が伝統文化になっている。今でも政治汚職収入はGDPの5分の1。党高級幹部官僚20万人の財富が国富の70%を占めるとされる

・中国人は、自分が悪事を働いても、自分が悪いというよりも政府や社会が悪いと言い張り、どうにもならない場合は、風水のせいにする。自己責任という考えは中国人にはほとんど存在しない

・道理の通じない世界では、力のみが唯一の原理であり、有効な手段。中国人が、自分に非があっても絶対に「対不起」という謝罪の言葉を口にしないのは、単に厚顔無恥ということではない。反省、謝罪したら、それで終わり。敗北、ひいては死を意味するから

・「不倒翁」(おきあがりこぼし)と呼ばれる周恩来が生涯を通じて実践し実証してきた不敗の哲学は、「闘争の第一線に立たない」「派閥をつくらない」「自己主張を覆い隠す」「野望を持つ人に譲る」「耐えがたきを耐える」「虚を避け実を務む」「退却も前進とする」こと



この本を読めば、中国人に対する怒りも少しは鎮まります。腹黒くないと、生きてこれなかった民族なんだから、それに対応して、交渉し、付き合っていけばいいことです。

日本人の尺度で考えると腹立たしいことばかりですが、中国人の尺度も理解しておくことが、交渉には必要なのではないでしょうか。
[ 2010/12/14 07:19 ] 華僑の本 | TB(0) | CM(0)
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