デンマークに関する本は「
なぜデンマーク人が幸福な国をつくることに成功したのか」に次いで2冊目です。9年前にスウェーデンとデンマークを訪れてから、北欧のことが気になり、北欧の本やテレビ番組などを見て、北欧にハマっています。
北欧は、政治、社会制度、国民の考え方など、いろいろな面で、先端を走っており、参考になります。
今回、現地に住む、
澤渡夏代ブラントさんの著書を読み、さらに勉強になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。
・デンマークが「
幸福度世界一」と言われる背景には、女性たち、若者たち、労働者たちが「自分が住みたい社会」づくりに声をあげ、貢献してきた積み重ねがあった
・デンマークが住みやすいのは、「
私らしく生活できる」から。「自分勝手」や「自己中心的」ということではなく、すべての社会政策が「人」を中心にして生まれ、実施されているから
・「65歳を待たずに早めに退職し、第三の人生をエンジョイしよう」という制度は、5年も早く退職でき、生活が保障されるという願ってもない制度で、国民に大歓迎されている
・デンマーク人にとって、仕事は「
生きる糧」であり、家族は「
生きる源」。雇用者も被雇用者が幸せな家庭を営めば、結果的にいい仕事に反映できるというコンセンサスがある
・デンマークの若者は自立できる条件が整備されている。18歳以上で教育を受ける者には、
返済義務のない学生援助金という生活費が(学生寮費、食費、交通費、通信費など)される。もちろん、小学校から大学までの教育費は公費で賄われる
・現在のデンマークの生活文化では、「家督を継ぐ」という意識も「家系の相続」もなくなり、親子であっても、親が他界した後に、その家を引き継いで住むケースは稀
・デンマークでは、最近の高齢者福祉のスローガンとして、「できるだけ長く自分の家で」から「適時に適所な住宅へ」に政策転換してきている
・60歳以上の7割の人が、60歳以上になってから住居を替えている
・市会議員の手当ては月に約22万円。そのうち半分は納税し、さらに党費も払う。議員の手当だけでは生活できない。議員は基本的にボランティア。
議会は夜に開かれる ・年金(国民年金基本額と年金付加金の合計)の月額は、独身の場合、約24万円。既婚者の場合、約17万円。これは、他からの収入がない人が受給できる満額。他に収入があれば減額される
・デンマークの福祉スタッフの役目は「
自助を援助」すること。すぐには、手を貸さずに「見守る」。「ちょっと助けて」と頼まれれば、すぐにアクションを起こすのが
デンマーク流 ・デンマークは「幸福度世界一」(2005オランダ調査)「
世界一幸せな国」(2006英国大学調査)「
世界一格差のない国」(2008OECD)「高齢になるほど幸福度が増す国」(2008オックスフォード大学調査)と立て続けに世界一になっている
・この世界一は、「
自分らしく生きることができる国」で、同時に「安心できる社会」が要因と思われる
・日本は「経済がよくなれば人々の生活が豊かになる」と言うが、デンマークでは「生活が豊かならば、いい仕事につながり、経済がよくなる」という考えで社会が改善されてきた
・デンマークが成し得た社会づくりが日本で実現するには、「ある人がない人に分配する」ことができるかが鍵。デンマークは「あり過ぎる人も少ないが、少なすぎる人も少ない」社会
この本にあるような北欧の生活を、日本の友人などに話すのですが、なかなかピンと来てくれず、歯がゆい思いをしています。
日本は島国のせいか、モノには関心を示しますが、海外のしくみ、制度、システムなど目に見えないものには、全く関心を示しません。
日本の幸福度レベルがアップするには、時間がかかりそうです。仕方のないことですが、少し悲しくもなります。