とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『現代語抄訳・二宮翁夜話』二宮尊徳・福住正兄

現代語抄訳 二宮翁夜話―人生を豊かにする智恵の言葉現代語抄訳 二宮翁夜話―人生を豊かにする智恵の言葉
(2005/01)
二宮 尊徳福住 正兄

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二宮尊徳(金次郎)を紹介するのは、「日本の道徳力~二宮尊徳90の名言~」に次いで2冊目です。

二宮尊徳は、今で言えば、農業経営コンサルタントのような存在です。その書物には、実践で生まれた、生きる知恵やノウハウがいっぱいです。

お金の儲け方、お金の増やし方、お金の使い方についても数多く言及されています。

明治以後、さまざまな立志伝中の人物たちの愛読書にもなってきました。現在でも、十分に役立つ内容です。

「夜話」には、農民たちに説いて、実践し、指導し、成功させるに至った、道義が多く書かれています。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・金次郎は、復興事業に取り掛かる際に、農民たちの怠惰や狡猾さ、藩士たちの反感や軽侮、責任回避と優柔不断という官僚主義に直面し、戦わねばならなかった

・金次郎は、心の田を開発した善人を褒め、徐々に抵抗する者を感化していく方法をとった。一日も欠かさず夜明けから村を巡回し、教えを聞かなくても怒ったり見捨てたりせず、がんばって働いた者を投票推薦させ表彰し、村人たちの心を奮い立たせた

・人の道は中庸を尊ぶ。天理に従い種を蒔き、天理に逆らい草を取り、欲に従い家業を励み、欲を制御して義務を考える

・己の中には私欲がある。私欲は田畑にたとえれば雑草。「克つ」とは、この田畑に生える雑草を取り除くこと。「己に克つ」とは、自分の心の田畑に生える草を取り除いて、自分の心の米や麦を繁茂させることに励むこと

・失敗する人の常として、大事をなそうとして小事を怠り、難しいことを心配して、やりやすいことを勤めないから、結局大事をなすことができない。「大は小を積んで大となる」ことを知らない

・禍と福は同体で、一つの円をなしている。吉と凶も兄弟で、一つの円をなしている。禍福吉凶、損益、得失、生死みな同じである

・村を復興しようと思えば、必ず抵抗する者がいる。これに対処するのもまた、道理。これに囚われて気にしてはいけない。放っておいて、自分の勤めに励むべき

・どんな良法、仁術といえども、村中で一戸も貧者を出さないというのは難しい。人には勤惰、強弱、智愚があり、家には善行を積み重ねている家も、そうでない家もある。貧者には、その時々の不足を援助してやって、どん底に落ちないようにしてやること

・お金や穀物だけでなく、道も畔も言葉も譲らなければならない。そして、功績も人に譲らなければならない。この譲りの道を勤める者には、やがて富貴栄誉がやってくる

・家船を維持するには、「舵の取り方」と「船に穴が開かないようにすること」の二つが大事な勤め

・収入を計算して、天禄の分限を定め、音信、贈答、義理、礼儀も、みなその範囲内であするべき。できなければ、みなやめるがよい。これをケチだという者がいても、気にすることはない

・鳥が田を荒すのは、鳥の罪ではない。田を守る者が、鳥を追わないのが過ちである

・果物の木が今年たくさん実れば、翌年は必ず実らないもの。これを「年切り」という。「年切り」にならないためには、枝を刈って、蕾をつみとって花を減らし、数回肥料を使う。人の財産に盛衰・貧富があるのは、この「年切り」と同じ現象である

・「交際の道」は将棋の作法を手本にするのがいい。将棋の作法では、実力のある者は、対戦相手の力に応じて持ち駒を減らし、相手の力と釣り合う条件にしてから将棋を指す。「豊かな財産」「恵まれた才芸」「学問」のある人はそれらを外して交際すること

・奢侈は、欲望によって利を貪る気持ちを増長させ、慈善の心も失わせてしまう。そして自然に欲深くなり、ケチくさくなって、仕事の上でも不正を働くようになり、その結果、災いも生じてくる

悪賢い人間は雑草のようなもの。生い茂ると田園を荒廃させる。悪賢い者を退けなければ、善良な人はやっていけない。善良な人々をいたわること



この文章を読むと、二宮金次郎がいかに苦労して、現場と格闘してきたかがわかります。

企業、学校、各種組織で、教育係をしている方なら、二宮金次郎の言葉が身に染みてよくわかると思います。

知行合一、言行一致の思想家は少ないものです。校庭で、二宮金次郎の銅像を見ることもなくなってきましたが、もう一度、脚光を浴びることがあってもいいのではないでしょうか。
[ 2010/10/01 07:23 ] 二宮尊徳・本 | TB(0) | CM(0)
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