とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『カリスマ教師の心づくり塾』原田隆史

カリスマ教師の心づくり塾 (日経プレミアシリーズ 9)カリスマ教師の心づくり塾 (日経プレミアシリーズ 9)
(2008/07/09)
原田 隆史

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著者は、大阪市内の公立中学に20年間勤務し、その間、荒廃した学校の立て直しに力を注がれました。

また、陸上競技部を独自の育成手法で、13回の日本一に導きました。現在は、大阪、京都、東京に教師塾を開き、8年で1600人の教師が受講されるほどになっています。

元体育教師の実績に裏付けられた、一本筋が通った自信に満ちあふれた理論に心酔される方が、教育界以外にも多いようです。最近は、企業研修にも引っ張りだこのご様子です。

今回、この本を読み、感心した箇所が30ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・しんどい状況の中で、背筋を伸ばし、基軸を立て、両足で地面に根を張って教育していくには、理念がないとできない。難しい状況に出合った時、理念思いがない者は乗り切れない

・「ロジックツリー」の手法で、各々が理念を作り上げる。ツリーのトップには「指導理念」、その下には「指導理念」を実現させるための「指導方針」が三つ。三つの「指導方針」に、三つの「行動方針」。「行動方針」には五項目の具体的指導内容。計45個の指導内容が並ぶ

・意志の力は、客観的な数字として結果を出す力のこと。成果を上げられる教師は、「意志の力」が強い。しかし、成果を追い求めて厳しくするだけでは、子供は教育できない。そこに必要なのが「愛の力」。簡単に言えば、「みんな仲良くする」こと

・教師塾の方針は、目の前の行動、態度をちょっとだけ変えるというもの。しかし、そのことによって、心が変わる。教師の心が変われば、生徒の心も変わる。主体変容とはこのこと

・実践している三種の神器は、長期目標設定用紙ルーティンチェック表日誌の三つ

・大切なのは、自分で目標を立てること。そして、達成目標を、最高の目標、中間の目標、絶対できる目標と三段階に分けて記すこと。さらに「経過目標」や「目標達成時にどんな人間になっているか」「目標達成によって得られる利益は何か」も書き入れる

・具体的行動として、毎日継続して繰り返し行う「ルーティン目標」と、いつまでにやると決めて行う「期日目標」がある。最低ルーティン目標が10個、期日目標を10個決める

・世の中の成功者の一つの共通点は「日誌」を書いていること。提唱している日誌は、前日に「翌日の行動予定」「その日に必ずやること」を書き込む。当日は一日の自分の行動を評価する。8項目で40点満点とし、その日の行動を評価

・「今日立てた目標の中で、やり直しができたらどれをやる?」という問いかけは、反省をさせるのに威力抜群。「ダメだったところは?」と問いかけてもソッポを向かれるだけ

・弱者は、まず差別化の一点突破で勝たなければならない

・スキル練習は、格好いいし楽しい。でも、上を目指せば目指すほど、泥臭い練習が大切。それをよく分からせないといけない。企業研修で大人たちを教えていても同じことを感じる

・人は自分のためだけに頑張ろうとしても、力は出ない。人のため、仲間のため、誰かのため、そういうものを背負った時に、爆発的な力が生まれ、奇跡を成し得る

・教育指導には、4つの原則がある。「1.教育理念をしっかり持つ」「2.態度教育を徹底する」「3.行動の意味づけを教育して価値観を高める」「4.知識、技術、ノウハウの専門教育を行い、成果を上げる」

・生徒には、まず、「挨拶」「時間厳守」「すさみ除去」の3つのことを徹底してやらせる。掃除をすることで身の回りからすさみを取り除き、それによって心のすさみも取り除く

・清掃活動では、まず生徒に「一人一役」を割り振る。3、4人でやらせ、誰がどの役割かをはっきりさせる。掃除の手順も決める。終わった時には担当者がチェックする。役割が決まれば責任感が芽生える。目標時間を設定すればチームワークがよくなる

・人にやる気や元気を与えるものはストローク(人と人との肯定的な関わり)。笑顔で20秒間に3つのストロークを打てるようになったら、教師としてのコミュニケーション能力は上出来

・「褒めたら子供は育つ」と言われるが、心のこもっていない浅い褒め方で、人が育つわけがない。自分の理念、基準を持って、ズバッと切り込んでいかないと、相手の心に届かない

・カウンセラーは相手の心を聞き癒す。それは優しい支援。生徒指導主事は、ルール、マナー、校則、規範を守らせる厳しい指導を受け持つ。厳しさと優しさの両方が必要

・今の若者は「生き方モデル」に飢えている。本来は教師が生徒の「生き方モデル」にならないといけない。主体変容(自ら変わることで相手を変えろ)は、生きた価値観教育

・「有能感を高める」(人前で褒める)「統制感を高める」(できそうだと思わせる)「受容感を高める」(居場所を与える)の3つの刺激で、やる気を高める

・人間は、肉体的ブレーキがかかる前に、必ず心理的ブレーキがかかる。逆だったら、気づく前に死んでしまう。心が「もうダメ」と言っても、実は頑張れる

・いい教師は生徒の基本情報をよく覚えている。いい教師は、相手のことを考えている。生徒が言ったことを考えて、その上で質問する。そうすると返事も増えてくる

理想の集団であれば、悩みを茶化したり、足の引っ張りをしないから、大いに悩みを語ろうという人がすぐ出てくる

・どんな集団にもA型人間(関わらないのに成果を出せる人)B型人間(関わってやれば伸びる人)C型人間(関わってもなかなか結果が出ない人)の3種類の人間が存在する。生徒で見ると、A型10%、B型60%、C型30%くらいの割合

・集団を改革するキーポイントはB型にある。この60%の大グループがA型に向かうか、C型に向かうかで集団の良し悪しが決まる

・A型をリーダーにB型を組織すれば、B型グループがA型に向かっていく。集団の70~80%が生き生きと動ける形になると、残りのC型も生き生きとしてくる。足の引っ張り合いをするのではなく、お互いに高め合っていける集団になる

・A型の生徒には「自立的指導」(育成不要、権限移譲)、B型の生徒には、「対話的指導」(ティーチングとコーチング併用)、C型の指導には「独裁的指導」(マンツーマン指導)で良くなってくれば「父性的指導」(ティーチング)。タイプ別に適した指導方法がある

馴れ合いの集団にいる生徒ほど携帯電話の料金は高くなる。理想の集団にいる生徒の携帯電話の料金は安い

・ユニフォーム、ロゴマーク、理念の唱和、これらはすべて帰属意識を高める道具。洗脳のようなもの。帰属意識が高まらないと集団は次の段階に進めない。さらに、帰属意識を高める手法に「栄光浴」がある。集団の誰かが輝いて、その栄光に浴させる



「関わらないのに成果を出せる人(10%)」には自立的指導、「関わってやれば伸びる人(60%)」には対話的指導、「関わってもなかなか結果が出ない人(30%)」には独裁的指導後に父性的指導というタイプ別指導法にはもの凄く共感しました。

実践を積んだ著者の記述により、以前から、そうではないかと思っていたことが正しかったとわかり、自信になりました。

問題児の多い中学校を立て直し、修羅場を経てきた教育のプロの言葉には重みがあります。企業向けの教育研修者とは段違いのレベルです。

義務教育の生徒は、入れ替えることも、辞めさせることもできません。もちろん、報酬でやる気を高めることもできません。

そういう逃げ場のない悪条件の中で、教育の成果を上げる教師は本当の聖職者だと思いました。

この本は、教育に携わっている職種の方にとって、絶好の参考書になるのではないでしょうか。
[ 2010/06/29 08:25 ] 育成の本 | TB(0) | CM(0)
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