とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『幸せを科学する-心理学からわかったこと』大石繁宏

幸せを科学する―心理学からわかったこと幸せを科学する―心理学からわかったこと
(2009/06)
大石 繁宏

商品詳細を見る

この本のタイトルは、某宗教団体と類似していますが、関係ありません。アメリカのヴァージニア大学心理学部准教授を務める日本人学者が書いた学術書です。

日米の幸せに対する考え方の比較を中心に、科学的論拠が満載されている本で、非常に真面目な書です。世界基準の幸せを知ることができます。

この本を読み、幸せに対して、納得できた箇所が30ほどありました、「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・アメリカ人では、幸せと誇りの相関関係が高かったのに対し、日本人では幸せと親しみの相関関係が高かった

過去の自分を未熟視することで、現在の自分が良く見える。人生の満足度は、過去をどのように統合していくかが重要な影響を与える

・いったん食、住の基本的な欲求が満たされれば、それ以上の年収は幸せの向上に繋がらない。高収入のグループは、仕事などの必要事項に費やす時間が低収入のグループよりはるかに多く、ストレスが多い

人生の満足度調査では、上位は、アメリカの大富豪が5.8点、マサイ族が5.4点で、経済的な差と関係はあまりなかった、下位はカリフォルニアのホームレスが2.8点で、経済的にも、家族からも見放された人たちであった。幸福感は経済面より人間関係と関連する

・人生の節目に当たる出来事の幸福感への影響は、最初の3ヵ月に限られる。ダメージの大きそうな出来事でも、長期的な影響は限られている

・家族を交通事故や自殺で亡くすといった極端な悲劇に見舞われた人の幸福感は、長期間に渡って影響を受け続ける。4年から7年後でも、うつ病の傾向が高く、「時が癒す」とは言えない

・不幸な出来事が21歳から26歳までの間にたくさん起きた人のほうが、そうでない人より、うつ傾向が高い

・人生全般の満足度と結婚生活の満足度との相関は0.51、仕事の満足度との相関は0.44、健康の満足度との相関は0.35、年収の満足度との相関は0.20未満。結婚生活の人生全般における重要性を物語っている

・性格の類似性と結婚生活への満足度の関係が意外に低いのに対し、趣味の一致は、結婚生活への満足度との関係が高いという結果が一貫して発表されている

良好な夫婦関係のカップルでは、褒め言葉が批判的な言葉の5倍交わされている。15分間のインタビューで、肯定的:否定的のコミュニケーション比率から、将来の離婚率が90%以上の確率で判別する

・現代社会の一番の問題点は、本当の友人を見つけにくくなったこと。昔は、生死に関わる体験を共にして、深い友情関係が自然と生まれた。平和な現代では、そのような機会は少なく、友人関係を長期に渡って保つことが非常に難しくなっている

・今の職は、56%の人が知人を通して得たと答えたが、その知人とどれくらい頻繁に会うかと質問したら、55%が「たまに会う」27%が「めったに会わない」と回答した。知人は、本当に顔見知り程度の関係だった

・知人を通して仕事を見つけた人の方が、新聞広告などを通して仕事を見つけた人より、年収も高く、職の満足度も高い結果が出ている。現代社会を生き抜くためには「顔が広い」ことが得であり、「知り合い」と「友達」の区別が曖昧になってきている

・楽観主義と幸福感との相関関係は高い。自分を価値のある人間だと思っている人、そして自分の将来に明るい期待を持って生きている人たちは、自分の人生全般にも満足している

幸福感の低い人は、自分と他人を比較しながら自己評価を下す傾向が強い。特に、自分が劣っている領域で他人と常に比較をする

・感謝の気持ちが満足度を増したという因果関係が見てとれる。幸せになりたい人は、感謝することを、毎週5つ挙げると、対人関係の好転により、幸福感が上昇する

・感謝の気持ちと似た態度として、好ましい経験を満喫するという態度も、日常生活への満足度が高まる

・幸せな体験について15分間考えた群は、書いた群より、4週間後の人生への満足度が高かった。いいことが起こった時に、体系的に分析しないほうが、幸福感はより長く継続する

・幸せは怠慢を呼ぶとも言われるが、データを見ると、幸せな人のほうが、不幸せな人より働き者という結果が出ている

・アメリカの大学の新入生を対象に、19年にわたる追跡調査の結果、大学入学時に「性格が明るい」と自己報告した学生は、「性格が暗い」学生より、19年後、年収が87万円高かった

・修道女が22歳の自伝に、どれだけポジティブな言葉(幸せ、楽しい、嬉しい)を使っていたか調査した結果、80歳での死亡率は、ポジティブな言葉が多かったグループでは死亡率が24%、少なかったグループでは50%であった。言葉と寿命の関係は強い

・「人生の満足度」国別ランキングで、日本と韓国が、国の経済的豊かさにもかかわらず、国民の幸福度が他国に比べ低い。その理由は、首都圏への人口集中による通勤時間の長さ魅力ある仕事が住みたい街にないことが原因と考えられる

・日本人や韓国人は向上心が強い分、自分にも他人にも厳しい人が多い。幸福感には、やさしさ、甘さも必要

・「国の経済力」に加え、「人権保護」「年収格差」も「人生の満足度」との相関が高い

幸せランキングの高い国は、努力すれば成功が手に入る社会的システムが整っていると同時に、社会福祉を重視する、スイス、スウェーデン、デンマークのような国が目立つ

・住居の流動性が高い地区は住居の安定性が高い地域より犯罪率が高い。住人がころころと変わる地区は危険な地区

・大リーグのホームゲーム観客数と成績の相関を分析したところ、住居の流動性の高い都市では、観客数はチームの調子がいい時は増えるがチームが負け込むと減る。住居の安定性が高い都市では、逆にチームが負け込んでいる時に観客数が増えることがわかった

・個人の自己利益の追求とコミュニティの利益が相容れない関係を示していることは、個人と地域社会の幸福感を同時に高めることの難しさを示している


この本の中で、幸せと相関関係が高いと科学的に証明されたこととして、

「家族、知人との良好な関係」「楽観主義」「ポジティブな言葉」「過去肯定感」「感謝の気持ち」「自尊心」「仕事の満足度」「年収格差の少なさ」「ストレスの少なさ」「趣味の満喫」「安定した住まい」

などが挙がっています。

幸せになるには、これらを邪魔するものを、自分の生活から、できるだけ排除して生きていく意志が必要になるように思います。

今、幸せだと思えていない人は、読んでおいて損のない1冊ではないでしょうか。
[ 2010/06/18 08:28 ] 幸せの本 | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL