とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『ヘタな経済学より名作に学べ・古今東西52編が語る金と相場』鍋島高明

ヘタな経済学より名作に学べ 古今東西52編が語る金と相場ヘタな経済学より名作に学べ 古今東西52編が語る金と相場
(2004/06/11)
鍋島 高明

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サブタイトルに、「ヘタな経済書より名作に学べ」とあります。この本は、「お金と相場」に関する古今東西の名作を50以上集め、その中の、金と相場に関する知恵の記述について、著者が言及されています。

古今東西の作家たちが、金儲けの口車に乗ってしまったり、高利貸に手を出したり、給料に文句を言ったり、相場に手を出して大損したりと、お金に執着する姿が描かれています。

お金を通して、その作家の考え方を知ることができ、人間臭い部分を感じることができます。

この本を読み、面白かった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。


・「朝起五両、家職二十両、夜詰八両、始末十両、達者七両、この五十両を細かにして、朝夕呑み込むからは、長者にならざるといふ事なし」(井原西鶴日本永代蔵

・西鶴は長者を妨げるものとして、次のものを挙げる
「美食、淫乱、絹物」「乗物」「琴、歌、かるた」「打楽器」「けまり、弓」「数寄屋建築」「花見、舟遊び、日風呂」「夜歩き、バクチ、碁、双六」「後生心」「請判」「食酒、タバコ、京上り」「金山の仲間入り」「家業の外の小細工」「八より高い借銀」

・「世に金銀のよけい有るほどめでたき事外になけれども、それは二十五の若盛りより油断なく、三十五の男盛りにかせぎ、五十の分別盛りに家を納め、惣領に万事をわたし、六十の前年より楽隠居」(井原西鶴・世間胸算用

・「節制」「沈黙」「規制」「決断」「節倹」「勤勉」「誠実」「正義」「中庸」「不潔」「平静」「純潔」「謙譲」の十三の徳目を掲げて日々実行(フランクリン自伝

・「台所が肥えれば遺言書はやせる」「美食家の末は乞食」「借金の馬に嘘が乗る」(フランクリン・富に至る道

・アメリカンドリームの先駆者であるフランクリンは今日では、アメリカ紙幣では最高額の100ドル紙幣の肖像におさまり、お金をめぐる現代人の悲喜劇を見詰めている

・「手をもって儲け得るものを、たちまち口腹の欲に費やすものを、下流卑品の人となす。かくの如き人は、貧苦に迫り、みずから給養することあたわずして、公衆の救助を仰ぐに至るなり」(スマイルズ西国立志編

・幕末の歌人、橘曙覧の「独楽吟」の中にも、お金の歌が登場する
「楽しみは 物を書かせて善き値 惜しみげもなく人にくれし時」
「楽しみは 銭なくなりてわびおるに 人の来たりて銭くれし時」
「楽しみは 欲しかりし物銭ぶくろ うちかたぶけて買い得たる時」

・早大教授の傍ら、生涯に詠んだ歌14,447首の窪田空穂にもお金の歌が多い
「わが友の逢へる喜びする話 おのづからにも金にうつり行く」
「おもちゃ買ふ銭のありやと問ひし子の問はずなりかけ無しと思ふらし」
「思はざる金を得たりと分たむと 裕かならざる友の差し出す」

・「人間の生き方は一つしかないんだ。貸方になるか、それとも借方に廻るか、大事なのは金ではなく、金のどちら側に立つかなんだ」(山本周五郎泣き言はいわない

・「人間には意地というものがある。貧乏人ほどそいつが強いものだ、なぜかといえば、この世間で貧乏人を支えてくれるものは、そいつだけなんだから」(山本周五郎)

・「金には二つの用途がある。事業に投資して収益を期待することと、使って楽しむことである。金の正しくない用途で、最も心配するのは、人に好印象を与えようとして、使うことである」(キングスレイ・ウォード/ビジネスマンの父より息子への30通の手紙

・「多少金のある家に生まれてきた君は、虚ろな言葉の偽りの贈物を携えた他人や友人に気をつけて欲しい。人は人情として金持ちに惹かれ、その友達になりたいと思う。なぜか、それだけで心丈夫に感じるらしい」(キングスレイ・ウォード)

・「金持ちのほうが(貧乏より)いい。しかし、財産があると孤独を感じることが多く、真の友情を保つこと、あるいは正直で忠実な新しい友人を得ることは難しくなる」(キングスレイ・ウォード)

・「金は危ないところにある」「金がいわせる旦那さま」「金は湧きもの」「金は三欠くにたまる(義理、人情、交際を欠く)」(笹沢左保江戸の人生論

・「金の力で生きておきながら、金をそしるのは、生んでもらった親に悪態をつくのと同じことでる」(夏目漱石)

・「経済のことは経済学者にはわからない。それは理屈一方から見るゆえだ。世の中はそう理屈どおりにいくものではない。人気というものがあって、何事も勢いだからね」(勝海舟氷川清話



この他にも、正岡子規、石川啄木、菊池寛、三島由紀夫、谷崎潤一郎、池波正太郎などの著名な作家たちが、お金についてどう考えたかが記載されています。

文学とお金は相反するように思いますが、どの作家たちも、お金について悩んだり、金銭欲について考えたり、お金と真剣に向き合っていたことがわかります。

古今東西のお金に対する考え方を知る上で、役に立つ1冊です。
[ 2010/06/04 06:43 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)
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