とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『人生後半戦のポートフォリオ「時間貧乏」からの脱出』水木楊

人生後半戦のポートフォリオ「時間貧乏」からの脱出 (文春新書)人生後半戦のポートフォリオ「時間貧乏」からの脱出 (文春新書)
(2004/01/21)
水木 楊

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以前、労働時間削減手法3の記事の中で、
主婦の1日の平均的家事時間は、5.5時間であると書きました。

内訳は、
「食」時間(食事用意、食事片付け)が2.5時間
「衣」時間(洗濯、衣類修繕、整理)が1時間
「住」時間(掃除、ゴミ出し、庭手入)が1時間
「他」時間(買物、役所・銀行、雑用)が1時間
「生理的」時間(睡眠、食事、風呂、休憩)が平均10.5時間
「残り」の時間が8時間。

この「残り8時間」の使い方で、人生が大きく変わる。家事時間を1時間短縮する工夫より、「残り8時間」対策を、真剣に考えた方が効果的という意見も述べました。

これは、主婦の時間の使い方でしたが、この本には、サラリーマンの時間の使い方が書かれています。著者も基本的に同じ考えをしているように感じました。

時間の使い方をどう考えるかで、人の一生は大きく変わることを、事例を出して、詳しく説明されています。

この本の中から、共感できた箇所が15ほどありました。これらを「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



無償労働の貨幣評価調査によれば、家事の労働評価額は、主婦1人当たり平均額で161万円、時給は805円

・24時間は次の3つに分かれる
1.肉体必要時間(睡眠、食事、トイレ、風呂など)
2.他人時間(勤務時間+通勤時間、主婦は家事育児時間)
3.自分時間(1と2を差し引いた、自由な時間)

モノ、カネ、時間が同じ価値を持つ前提に立つなら、時給1000円の人が20歳から60歳まで働き、80歳まで生きた場合、2億円以上の自分時間を持っていることになる

・モノ、カネ、時間は三角形の関係で描くことができる。「時間にウエートをかけて生活している人」「モノにウエートをかけて生活している人」「カネを貯めることに熱心な人」はそれぞれトレードオフの関係

・綱渡りの10年(キャッシュフローが厳しくなる、子供が中学から大学を卒業する期間)が過ぎ、黄金の5年(50代半ばから60歳まで。子供が1本立ちして、自分が定年退職するまで)で老後資金(2000万~3000万円)を蓄えないと困る

・定年後の夫婦間の悶着は、80~90%が自分時間の不平等を巡るもの。幸せな夫婦関係を築くには、時間不平等の是正が必要。その方策のひとつが夫の家事手伝い

・時間戦略A=モノはできるだけ持たない(狭くなるが会社から近い住宅、死んでいる空間の排除、遺族の生活保障額に見合った生保加入)

・日本列島には2種類の人種がいる。第1種は、借金を抱えた日本人。第2種は、借金はせずに、自分時間に軸足を置いた日本人。物価やサービス価格の下落で後者の実質所得が増えている。天国と地獄の分かれ道は、借金のあるなしにある

・時間戦略B=「ながら」の勧め(通勤時間の読書や勉強)

・時間戦略C=自分時間のコストを減らす(公的施設イベントの利用、コストが安い趣味)

・時間戦略D=他人時間を減らす(在宅勤務や裁量労働制。地方に住む。時間泥棒と付き合わない)

・時間戦略E=他人時間の中に自分時間を作る(勤務時間の中に自分がやりがいのある時間を作る)

・つまらない勤務時間を面白くするには、「現在の仕事が将来の自分への投資になると考える」ことである。どんなつまらないことでも、将来への投資という視点を入れると、なんらかのプラスは発見できるもの

・「人間は時間の主人公である」と言ったのは、アリストテレス。あなたは自分の人生という劇に出演している。自分のための劇なのに、ほんのつまらない脇役だとしたら、これほど馬鹿馬鹿しいことはない


この本で、著者が言いたかったことは、「時間貧乏から脱出せよ」ということだと思います。お金もダイエットも、「入」と「出」を計算しないと、制御不能になり、貧乏、肥満になってしまいます。

これと同様に、時間も「入」と「出」を工夫して、コントロールしていかないと「時間貧乏」になってしまいます。

この時間貧乏にならないためのノウハウがここでは示されています。とくに、サラリーマンの方は、知らず知らずのうちに、他人時間に支配されてしまうので、注意が必要です。

時間を有効に使いたいと願っている方は、この本を手に取り、参考にした方がいいかもしれません。
[ 2010/01/17 10:10 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)
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