とは学

「・・・とは」の哲学

『失敗の予防学』中尾政之

失敗の予防学―人は、なぜ“同じ間違い”を繰り返すのか失敗の予防学―人は、なぜ“同じ間違い”を繰り返すのか
(2007/10)
中尾 政之

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成功する生き方は、失敗しない生き方に通じます。

この「お金学」でも、「お金を稼ぐ方法」より、「お金を使わない方法」をマスターしたほうが、お金が貯まっていくという考え方です。

攻めか、守りか、どちらが大事かと問われたら、世の中は、7:3で守りなのかもしれません。

失敗の予防学」の著者は、東京大学大学院の中尾政之教授です。「失敗学」の第一人者で科学者です。しかし、この本は、失敗の予防策を一般読者向けに、わかりやすくまとめられており、読みやすく、ためになります。

この本の中で、ためになった!と感じた箇所を、紹介したいと思います。



・仕事のできる人は、自分の失敗だけでなく、他人の失敗も「他山の石」として知識化し、教訓化している。「人のふり見て我がふり直せ」が失敗学の真髄

・愚者は体験(自分の失敗)に学び、賢者は歴史(他人の失敗)に学ぶ

・重要なことは、失敗したことをただただ反省することではない。また失敗した人を責めることでもない。失敗を引き起こした仕組みやシステム、構造に着目して、改革することにある

・自分が悪いと考えれば、即座に対策を考えます。人のせい、環境のせいにしていたら、ワンテンポ、対処が遅れる

・失敗の3原因は、「1.無知」(安全義務の法律があることを知らない)「2.無視」(法律は知っているが、作業がやりにくいので使わない)「3.過信」(私に限って大丈夫だと考え、使わない)

・42人のエンジニアを集めて、自分の失敗を犯したときの心理を分析したら、無知35%、無視9%、過信17%で、計61%が失敗の3原因だった

・失敗は隠したい。隠したら損か得か。具体的に調べたところ、組織にとって、隠すのは、損。普通は隠すと10倍返しで損になる。これは、失敗学のキモである

・自分勝手な“カイゼン”は命取りになる(自己過信の法則)

全米レストラン協会によると、不満を持った客の4%しか、店に直接クレームを言うことはない。クレームの怖さは、クレームを言わない残り96%のうち、91%が二度と来店しなくなること。1件のクレームの裏には、これだけ多くの時限爆弾が内包されている

・重要なことは、一度起こした失敗を二度と繰り返さない方策を、できるだけ具体的に打ち立てること

・失敗学の観点からいえば、「とりあえずやってみよう」の出たとこ勝負というのは、早い話が思考停止、議論中断を意味する

・エンジニアが誤判断した理由を調べたら、「1.リーダーシップ能力不足(過信)」16.7%「2.危険予知能力不足(無知)」34.8%「3.部分的思考停止(思い込み)」24.0%「4.全面的思考停止(改善を無視)」9.0%「5.無思考状態(無意識)」15.4%であった

・マンネリは大敵。世阿弥も「花伝書」の中で、面白いことは新しいこと、花も散るから美しい、どんなに面白い芝居でも、何度も見ると飽きると言っている。マンネリを避けるには、組織の中に絶えず新しい人種を入れること。全滅を避けるための大事な知恵である

・企業にとって優先順位の筆頭はコストではなくブランド。いくら金がかかろうともブランド(のれん=信用)を守るという企業体質が顧客の信頼従業員の忠誠心を高く保っていることに気づかなければならない

・労働災害のデータによると、経営トップが安全管理に意識して取り組んでいるか否かで罹災率は3倍違ってくる

・三井家三代目の高房は、京都商人の没落事例(大名貸しや投機的商売、過度の遊芸や信仰)を整理して、「町人考見録」を書いた。三井家は呉服屋と両替屋として江戸時代を生き抜き、現在まで生き残った

三井高房が「町人考見録」でさんざん戒めたのに、四代目高美は宗教に傾倒し、寺院に莫大な寄進を行い義絶。七代目高就は美術品に散財しすぎて謹慎。しかし、三井家では1710年から大元方という統括機関が外部的に商売を行い、内部的に乱れてもビジネスは破滅しなかった

・事態が時々刻々と変化するスピード時代においては、ベストだけでなく、セカンドベストサードベストというように、優先順位のランキングを頭の中に想定しておくことが大切

・(決めたことだから)→(金をかけた以上何とかしたい)→(メンツが立たない)→(社長の命令だからやめられない)と時間の経過とともに、失敗による損失が膨らむ

・松下幸之助は、30年前、明らかな失敗であった、売れない電卓6億円の在庫に対して、「もう売れんのやろ?」「全部捨てい」「捨てられんかったら、わしが買うたるわ」と言った。そして「みんな、さっぱりしたやろ」とまた、ひとこと言って、会議は終わった

・失敗することがわかったとき、重要なことは、被害、損失、コストを最小限に抑えることに尽きる。どうすれば手仕舞いできるか考えておく

・失敗の危機管理のコツは、事前にシナリオを次の3種類用意しておくこと「1.あるべきシナリオ(希望的観測)」「2.こうなるシナリオ(現実的シナリオ)」「3.ありうるシナリオ(最悪の事態を想定)」

・常識の8割正しい。しかし、残りの2割は間違い。こう思うくらいでちょうどいい

・一極集中には、メリットも多くあるが、システム全体に重大な影響を及ぼすデメリットも内包する。一極集中は7割までに留めておき、残りの3割を保険にする

・「会社のため、よかろうと信じてやったが、たまたま失敗した。これを教訓に次は成功してほしい。恥じることはない」という「失敗を憎んで人を憎まず」の精神で従業員に対したい

二番煎じではどんなに頑張っても創業者利益はとれない。これを称して「成功の復讐」と呼ぶ

・たとえ失敗しても、いつかリベンジしてやろうという気持ちをどこかに持っていないと、成功をものにはできない

・松下幸之助は「失敗したら自分が悪い成功したら運が良かった」徹底してこう考える人だった

失敗の予防法則は大まかには次の8つ

1.他山の石の法則(人のふり見て我がふり直せの実践)
2.慢心の法則(反省に耳を貸し、失敗の予兆をとらえる)
3.隠蔽の法則(正直にデータを公開して原因調査)
4.大本気の法則(失敗後の行動方針を社是として設定)
5.希望的観測の法則(行動するときは事前に仮想演習
6.慣性の法則(企画変更すべきとき、不作為を決め込まない)
7.油断の法則(失敗後は対症療法ではなく、構造的な根本対策
8.失地挽回の法則(転んでもタダでは起きない

・失敗学の目的は「成功すること」。その目的の手段が失敗学。「失敗を生かして成功を勝ち取ろう」



最後に著者が、言われているように、成功するために失敗があるのだと思います。

他人の失敗をタダで学ぶ「人のふり見て我がふり直せ」の精神は、お金のかからない成功法です。

この本では、著者が他人の失敗を体系化されています。それは、他人の失敗をいっぱい集め、まとめているということです。そう考えたら、これはお得な本だと言えるのではないでしょうか。

[ 2009/10/30 07:49 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)
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