とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『クリエイティブ資本論』リチャード・フロリダ

クリエイティブ資本論―新たな経済階級の台頭クリエイティブ資本論―新たな経済階級の台頭
(2008/02/29)
リチャード・フロリダ

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ドラッカーの著書「新しい現実」(1989年発売)は、何回も読み、何回も線を引いた思い出深い本です。

その中には、知識労働者の台頭と彼らの価値観、そして社会への影響についてなど、未来を予見するような文章が多く載っていました。

あれから、20年、知識労働者は、どう進化しているのか?どう変化したのか?どう社会に影響を与えてきているのか?それらを知りたくて、この「クリエイティブ資本論」を手にしました。

この本は、アメリカにおける、最近の知識労働者の実態、知識労働者が経済に与えている影響などを解説しています。

日本においても、知識労働者がこれからも増え続け、社会を動かしていく存在にますますなっていくように思います。

したがって、知識労働者のことを知っておいて損はないはずです。分厚い本の「ほんの一部」ですが、参考になった箇所を紹介したいと思います。



・大学卒業生の調査によれば、住む場所を選択する際に、4分の3が仕事の有無よりも場所が重要であると回答

・将来の経済を先導する国は、インドや中国のような新しい大国とは限らない。警戒すべき競争相手は、クリエイティブな環境をダイナミックにつくり上げているフィンランド、スウェーデン、デンマーク、オランダ、アイルランド、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドといった小さな国々である

ビジネス・教育・医療・法律の専門家、科学者、技術者、建築家、デザイナー、作家、芸術家、音楽家などのクリエイティビティを発揮することを求められている社会階層は3800万人で、アメリカの労働人口の30%以上を占める

・クリエイティブ・クラスが好む地域は、活気に満ちた都市部、豊富で快適な自然環境、郊外の快適な「ハイテク王国」が存在している

・クリエイティブな人は、人生全体の時間の使い方においても、前倒しの傾向。体力がピークである若い時期に、最も骨の折れる生産的でクリエイティブな仕事を集中させている

・クリエイティブな人は、ゆるやかなつながりや、半ば匿名のまま暮らせるコミュニティ、交友関係を好んでいる

・今日の工場労働者は、品質や継続的改善に対するアイデアなどの能力が重視されるようになり、仕事は明らかにクリエイティブな要素を持つようになってきた

・クリエイティビティへの投資であるアメリカ全体の研究開発費は、過去50年間で、年率800%を上回る伸び

・職業的な芸術家、作家、表現者などの「ボヘミアン」人口は、1950年から5倍近くに

・クリエイティブ・クラスは個性や自己表現を強く好む。組織や制度の命令に従うことを好まず、因習的な志向の規範を受け入れない

・非常にクリエイティブな人は、同級生とどこか異なっていると疎外感を感じながら成長した人が多い。また、流動性が高く、多様性を受け入れる都市へ移動する傾向がある

・クリエイティブ・クラスは、勤務時間は柔軟だが、長時間働く

・クリエイティブ・クラスにサイクリングが人気なのは、まとまった距離を走れば、激しい運動、挑戦、解放、探検、自然との対話が一度に行え、ペダルを漕ぐことに集中すれば、一定のリズムと流れに身を委ね、頭の中を空っぽにでき、思考と身体に新たな活力を湧かせることができるから

・おもしろいことはすべて周縁で起きる。ビジネス同様、文化においても急進的で興味深いものは、ガレージや小さな小屋の中で生まれる

・クリエイティブ・クラスは、高度にパッケージ化された商業施設を「ジェネリカ」と呼び、そうした場所を避ける傾向がある。チェーン展開しているレストラン、ナイトクラブ、過剰演出のスタジアムなどがジェネリカの代表例

・「どこに住み、何をしているか」の組み合わせが、「どこに勤めているか」に代わり、アイデンティティの主要な要素になっている

・強い絆は、時間とエネルギーを非常に消費する。弱い絆は、時間とエネルギーの投資が少なく済み、より多くの関係を持てる。新しい人々を素早く受け入れ、新しいアイデアを素早く吸収するクリエイティブな環境にとって、弱い絆は重要である

一流の研究大学の存在は、クリエイティブ経済において大きな強み。過去の運河、鉄道、高速道路以上に重要なものとして、競争優位を生み出す巨大な源泉になる

・クリエイティブな時代において、若い労働者は、子供がいないため、長時間、より熱心に働くことができ、よりリスクを追求できるため重要である。また結婚年齢が高くなり、独身期間も長く、結婚しない人たちも増えているため、彼らのニーズに合った環境を都市はつくりだす必要がある



以上、知識労働者の実態や影響は、日本においても同じような傾向になってきているように思います。もう一度、自分のライフスタイルに照らし合わせ、生活を見直すのもいいのではないでしょうか。難しい本ですが、将来のあるべき姿が見えてくる本です。



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