とは学

「・・・とは」の哲学

『年収100万円の豊かな節約生活術』山崎寿人

年収100万円の豊かな節約生活術 (文春文庫)年収100万円の豊かな節約生活術 (文春文庫)
(2014/05/09)
山崎 寿人

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著者は、東大出身、大手企業を30歳で退職し、定職に就くことなく20年以上、わずかな収入で、愉快に暮らしている50代独身の方です。

この本は単なる節約の本ではありません。豊かな人生を問い続けた著者の思想実践書です。この楽しみを理解できる人は、人生を達観できた人かもしれません。参考になった点が多々ありました。それらの一部をまとめてみました。



・求めているのは、日々の生活を人生もろとも楽しむこと。あくまでも幸せが先、節約は二の次。だから、よくある節約術のように、「何円倹約できたか」に一喜一憂しない

・年収100万円や生活費月3万円(変動費部分)とは、生きることを楽しむために「これくらいあれば、大して支障はない」という金額。あるに越したことはないが、なければないで構わない。この予算内で、いかに豊かな生活が送れるかを楽しんでいる

・豊かな貧乏生活術の目標とする柱は二本。「いかに金をかけずに、生活の質を上げていくか」の追求。「いかに安い食材で、豊かな食生活を送るか」の追求。そのため、脳みそを使う

金のかからない楽しみを探すことが節約法の一つなら、これこそ最強の節約術。頭を使うことにお金はかからない

食費は月15000円(1日3食500円)が目安。もっと節約できるが、500円は、安い食材で、贅沢気分を味わえ、栄養バランスを考えた料理を作る額。朝食40円前後、昼食35円。夕食は主食40~45円、サラダ30円、小鉢30円~75円、おかず250円~300円

・月初めに、銀行から現金2万円を引き出し、財布に入れる。現金払いの生活費が1万5000円、予備費が5000円。これで、月の食費と日用品、雑貨、交際費、遊興費、医療費、衣料費、交通費をすべて賄うのが基本。光熱費とスクーターのガソリン代は銀行引き落とし

・日々のやりくりの主役は、食材の買い出し。徒歩10分圏(スーパー3店、ディスカウントショップ1店)スクーター10分圏(業務用スーパー3店、激安スーパー3店、輸入エスニック食材店4店、ショッピングモール5店、市場1か所)の巡り歩きと特売食材の物色

・割高の商品を買う人を見るたびに、「この人たちは、その割高の分だけ、タダ働きをしていると考えないのかな」と思う。無駄遣いは無駄働きと一緒

・世の節約術とは違う「貧乏生活術」の目指すところは、「1円でも安く」ではない。あくまで、自分の少ない収入の範囲で、豊かな気分になれるような生活を送ることが目的

・こういう生活を長く続けていくためには、健康に人一倍気をつけなくてはいけない。心と体の健康が生活を豊かに楽しむ基本。そして、医療費と歯科医療費のような不意の出費を避けるため

・『残すもの』「パソコン」(外界との接触が希薄になり、暮らしの孤立化を防げる)、「冷蔵庫」(料理が趣味)、「スクーター」(電車賃の節約、格安食材購入のため)

・『削るもの』「車」「電車」(スクーターで代用)、「携帯電話」(ほとんど家に居るため)、「コンビニ」(激安スーパーや深夜営業ディスカウント店で十分)、「タバコ」「酒・ドリンク」(健康と倹約を考えて)、「外食」「新聞」(節約のため)、「床屋」(電動ヘアカッターで代用)

お金なんて要らないと言えば、やせ我慢と取られ、成功に興味がないと言えば、負け犬の遠吠えと思われる世の中

・この生活を続けているのは、ここに自由な時間が無尽蔵にあるから。言い換えれば、何もしないでよいことを、何より大切に生きているということ

・世の中には、高揚感を幸福と錯覚している「興奮中毒患者」が多い。毎日のスケジュールが予定びっしりで、あくせく動き回っているのは、心の空洞をそのままにして、仕事や遊びで埋めようとしているようなもの。鎮痛剤で痛みを抑えているだけのこと

・何に贅沢を感じるかは、人によって違うのが当たり前。何に豊かさを感じるかもそう。何も自分の幸福や健康をないがしろにしてまで、社会の常識や価値観をそのまま受け入れる必要はない

社会の常識や価値観なんて利用するもので、縛られたり、踊らされるものではない。もちろん、社会の常識や価値観は尊重する。批判もしない。だが、自分がそれに従うかどうかは自分で決める。そして、そのリスクは甘んじて受け止めるということ



著者の生活こそが、未来志向の「贅沢な生活」なのかもしれません。世間の常識に惑わされず、企業の宣伝を無視し、すべて自分の頭で考えて、自分に合った生活を楽しむことができれば、こんなに幸せなことはありません。

世の中の全員が、こういう生活を求めれば、資本主義社会は崩壊します。とりあえず、みんなが資本主義社会に巻き込まれて、あくせく働くのを横目に、こういう生活を楽しむのが心地いいのではないでしょうか。

[ 2014/08/18 07:00 ] お金の本 | TB(0) | CM(1)
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[ 2017/03/17 11:19 ] [ 編集 ]
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