とは学

「・・・とは」の哲学

『あっぱれ技術大国ドイツ』熊谷徹

あっぱれ技術大国ドイツ (新潮文庫)あっぱれ技術大国ドイツ (新潮文庫)
(2010/12/24)
熊谷 徹

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ドイツは、日本同様に技術大国です。輸出も絶好調のようです。ところが、自動車以外に思い浮かぶものがありません。

では、どういったものを輸出しているのか?どんな製品をつくるのが得意なのか?技術者教育をどのように行っているのか?そういったことを詳細に描いているのが本書です。その一部をまとめてみました。



・勤労者の71%が中規模企業に雇用されている。特に職業実習生の83%が中規模企業で働いている。中規模企業はドイツ最大の雇用主

・雇用者数が多い中規模企業は、政治家にとっても重要な票田。どの政党も選挙戦で「中規模企業はわが国の経済の大黒柱」と持ち上げる。そして、規模が小さな企業に対する優遇措置を、公約に盛り込む

・中規模企業は、株式会社ではなく、家族経営の企業が多い。ドイツの中規模企業で輸出企業として成功を収めたところは、ニッチ市場に特化しているのが特徴。製造・販売する製品は、直接消費者に売られる製品よりも、他の企業に販売する製品(BtoB取引)が多い

・ドイツの中規模企業の経営者は、名前を世間に広く知られることよりも、売上高と収益を着実に伸ばし、従業員の雇用を長期的に確保する「名より実をとる」哲学を実践している。マーケットシェアが公表されることを嫌って、マスコミの取材を断る会社も多い

・ドイツは人件費が高いので、外国企業を相手にした価格競争では勝ち目がない。そのため、付加価値が高く、顧客の要望に合わせた製品をつくり、新しい技術の開発、既存技術の改善を行い、価格競争に巻き込まれるリスクを少なくしている

・物づくりを重視するドイツ人の国民性を表す言葉が「テュフトラー」。この言葉は、「精密機械や部品、模型などについて、長時間かけて細かい手作業に凝ったり、工夫したり、試行錯誤したりするのが好きな人」を意味する

・ドイツ南西部のシュヴァーベン人たちは、相対性理論からクレーンに至るまで、革新的アイデアを次々に生んだ。特に19世紀後半から20世紀の初めにかけて、この地域では、自動車や飛行船など、その後の世界を大きく変える発明が行われた

・ドイツ人は「働き者で倹約家で、ムダや贅沢、虚飾を嫌う」のが特徴だが、そのドイツ人の間でも、「シュヴァーベン人は特に働き蜂で、倹約を好む」と見られている

・産業振興政策の先駆者シュタインバイスは、民衆に職業訓練を行い、技能を身につけさせることの重要性を見抜き、職業教育の普及に努めた。「誰もが仕事を持っている所では平和が支配し争い事が起きず、繁栄を享受する。失業は諸悪の根源」というのが彼の持論

・シュタインバイスは、「民衆は荒削りの素材のようなもの。これを教育によって貴金属に変えなければならない」と、職業教育と専門教育の必要性を説いた。また、「政府の最も重要な任務の一つが、民間企業を振興すること」と断言している

・ドイツ人が秩序と整理整頓を好むのは、時間を効率的に使うのを重視するから。ドイツ人は、目的を達成するためにかかる時間と労力が、得られる利益に比べて大きすぎることが最初からわかっている場合は、初めからその仕事に取り組もうとしない

・「技術とは、あくせく努力する行為をしないで済むように努力すること」。新しい技術は、しばしば労力の節約につながる

・ドイツ人は何につけ凝り性で、中途半端が嫌いな完全主義者が多い。また、グレーゾーンが大嫌いで、物事に白黒をつけることを好む

・ドイツ人は個人主義が強い反面、法律や規則を作るのが好き。また、他の民族に比べて、法律を守ろうとする傾向が強く、違反者は社会的な地位にかかわらず、厳しく罰する

・ドイツ人のきっちりした国民性は、宗教に関係がある。ドイツ人のキリスト教徒のうち、49%がプロテスタント(新教徒)

・米国の著名な投資家ウォーレン・バフェットは、高度な技術を持つドイツの家族企業の買収に強い関心を示し、ドイツを訪れ、実際に数社の家族企業の経営者とミーティングを持った



ドイツ人と日本人は、似ているところ(働き者、凝り性)が多いと言われています。本書には、その似ているところが発生した要因が記載されており、参考になりました。

日本人は、最近ドイツ人に関心がなくなってきています。サッカー以外にもドイツに学ぶべき点は、まだまだあるのではないでしょうか。


[ 2014/08/06 07:00 ] 海外の本 | TB(0) | CM(0)
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