とは学

「・・・とは」の哲学

『会社の老化は止められない』細谷功

会社の老化は止められない――未来を開くための組織不可逆論会社の老化は止められない――未来を開くための組織不可逆論
(2013/04/05)
細谷 功

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著者は、「地頭力を鍛える」の書で、世の中に「地頭」の概念を提唱した工学部系のビジネスコンサルタントです。

その著者が、会社について論じたのが本書です。組織老化の判断方法に関する切り口は非常に参考になります。その一部をまとめてみました。



・会社も人間と同様、生まれた瞬間から老化の一途をたどる。具体的には、「ルールや規則の増加」「部門と階層の増殖」「外注化による空洞化」「過剰品質化」「手段の目的化」「顧客意識の希薄化と社内志向化」「社内政治家の増殖」「人材の均質化・凡庸化」・・・

・老化という不可逆プロセスを不可避の運命として受け入れ、そのメカニズムを理解して「必要な抵抗」はしても「無駄な抵抗」はしないこと

・不可逆プロセスの現象例は、「規則少→規則多」「単純→複雑」「尖った人材→角の丸い人材」「プロジェクト型→ルーチン型」「加点主義→減点主義」「外向き志向→内向き志向」「内製→外注」「中身重視→形式重視」

・人間の老人には、不老不死を信じて永久に生きながらえようとしている人はいないのに、会社に関しては不老不死をほとんどの人が暗黙のうちに信じている

・人間の心理の非対称性「変化に抵抗し、それまでの習慣に固執する」「一度得たものは手放さない」「合理的損得ではなく、リスクの大きさに反応する」「低きに流れる」「手段が目的化する」「縄張り意識を持つ」「近視眼的になる」「自分中心に考える」は老化に貢献する

・官僚的仕事のやり方は、よく言えば「組織立って仕事をしている」となるが、悪く言えば、「縄張り主義(横方向)と権威主義(縦方向)」ということ

既得権は、もともと持っていなければ何とかなるのに、「一度持ったものを手放すのは非常に難しい」という人間の心理の普遍的不可逆性に基づいている

・「ほうれんそう」はあくまで手段。本来「そう(相談)」において創造的な活動がなされるべきだが、多くは「ほう」と「れん」で終わってしまう

・会社は徐々に「性善説」から「性悪説」へと変わっていく。つまり「従業員を信用します」というスタンスから「信用しません」というスタンスへと変わっていくということ

・会社が大きくなって従業員が増えれば増えるほど、その質的分布が「少数の優秀な尖った社員」から、「大多数の普通の社員と少数の優秀でない社員」という「標準的分布」へと近づいていく

・言いだしっぺが失敗し、「それみたことか」と言われ、言いだしっぺがますますいなくなるという負のサイクルへと入っていく。万が一成功しても、「結果の平等」を旨とする老化した組織では、妬みを買いやすく、足を引っ張られるのがオチ

・ブランド力を高めれば、社員の依存心は増し、集まってくるのは「ブランド力に惹かれた人材

・「大学生の人気就職先ランキングの上位になったら、その会社は落ち目」と言われるが、その原因の一つが、ブランドのジレンマ

・「凡庸な人間は自分の水準以上のものには理解をもたないが、才能ある人物はひと目で天才を見抜く」(コナン・ドイル)

・「イノベーション型人材VSオペレーション型人材」は、「事例は真似しないVS事例を真似する」「利益は再投資VS利益は分配」「確率論的VS決定論的」「リスクはあって当然VSリスクは最小化すべし」「未来志向VS過去志向」「機会の平等VS結果の平等」など

サービスビジネス指標は、1.「純粋な製品」→2.「製品優先(サービスはコストセンター)」→3.「製品優先(サービスはプロフィットセンターだが赤字)」→4.「サービス優先(サービスだけで黒字)」→5.「純粋なサービス」

会社の子離れ、子会社の親離れが世代交代を実現する

・子供が独り立ちできるまでは、経済的にも教育的でも親が面倒を見るが、目標は「一人で生きていけるようにする」こと。これが、会社では「いつまでも親が抱え込んで子供の分まで吸い上げる」という構図になっていることがほとんど



会社の老化は止めようがないのかもしれません。しかし、予防と管理で、長生きさせることは可能なように思います。

その処方箋が本書に記されています。著者は、会社の「名医」のような方ではないでしょうか。


[ 2014/04/02 07:00 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)
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