とは学

「・・・とは」の哲学

『世界が土曜の夜の夢なら・ヤンキーと精神分析』斎藤環

世界が土曜の夜の夢なら  ヤンキーと精神分析世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析
(2012/06/30)
斎藤 環

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斎藤環さんの本を紹介するのは、「子育てが終わらない・30歳成人時代の家族論」以来です。ひきこもりの精神分析に関する本ですが、今回紹介する書は、真逆とも言える「ヤンキー」の本です。

ヤンキーはオタクに比べて、分析した書物は少ないのですが、ヤンキー人口は非常に多いことで知られています。そのヤンキーを徹底解剖しています。その一部をまとめてみました。



・「個人の美意識にひそむヤンキー性」は、「不良文化」という言葉を使ってしまったが最後、雲散霧消してしまう

・男は会話に「情報」と「結論」を求めすぎる。家庭円満の最大の秘訣は、「毛づくろい的会話」を日常的に交わすこと。夫婦間であれ、親子間であれ、「無駄話」や「お喋り」を交わし合える関係こそが、最も深く安定する

・ヤンキー系の音楽活動において「音楽性の追求」は最重要課題ではない。優先されるべきは、商業性であり、あるいは彼ら自身のスタイル(=生き様)の主張と確立

・「現実志向」が、ヤンキー系アーティストに共通する「生活苦」に根差している。これは貧乏だったり虐待を受けたりということばかりではない。族に入って喧嘩三昧の日々を送ったり、長い下積み生活でリアルに苦労したといった経験も含めてのこと

・欲望の形式は、「私はそうでもないけれど、みんな欲しがるから、私もそれに合わせて仕方なく、“欲しがっているふり”をしているだけ」。ヤンキーファッションに、その傾向が強い。だぼだぼのジャージ、金髪、ぶっとい金ネックレス、彼らがすすんで選択した結果

・日本のお笑いの特殊性は、そのかなりの部分がキャラに依存して成立している点。ギャグとしての面白さ以上に、まず「笑えるキャラ」を成立させることがはるかに重要となる。いったんキャラが立ってしまえば、ゆるいネタでも十分に笑いが取れる

・徹底して「ベタ」であること、徹底して「現状肯定的」であること。彼らは個人が社会を変えられるとは夢想だにしていない。わずかでも変えられるのは、自分だけ

・ヤンキー文化の特徴は、地元志向つながり志向、内面志向、実話志向、これらは広義の保守的感性。ヤンキー文化は「反社会的」ではない

・ヤンキー的感性は、フィクションをあまり好まず、本当にあった話を好む

・日本人のキャラ性を極めていくと、必然的にヤンキー化する。最もキャラが立っている日本人は、言うまでもなく「坂本龍馬」

・複雑な物語は必要ないが、ほどほどの不幸や、やんちゃだった過去は、キャラ性を際立たせる

・ヤンキーは仲間とのつながりを大切にする。また家族を大切にする。彼らは、両親を尊敬し、パートナーとの絆を大切にしつつ、わが子をこのうえなく愛おしむ。ヤンキーは「女性的」な存在

・ヤンキー的成功者の多くは、その過剰なまでの情熱と行動力をもって、業績を上げている。しかし、その分野は必ずしも革新的なものとは限らない。新たな価値観を創造するのではなく、従来からある価値観を新たなる手法で強化するのが、ヤンキー成功者の秘訣

・ヤンキー主義に欠けている要素は、「個人主義」の欠如と「宗教的使命感」の欠如。ヤンキー主義は、集団主義(家族主義)

・ヤンキー主義は、地元志向や伝統指向が強い。地方における「祭り」の主要な担い手は彼ら。地元志向は政治的に保守の立場につながり、さらに徹底されれば右翼的な活動につながる

母親の存在は、すべてのヤンキーにとって「重い」。彼らの自伝を読めば、そうした感覚が如実に伝わってくる。奇妙なことに、総じて「父」の影が薄い。圧倒的な存在感と影響力を発揮するのは、決まって「母」のほう

・ヤンキーの人々は、「発光体」をたいへん好む。車に装着するライトやネオン。家の外壁のイルミネーション。彼らにとって、「光」は理屈抜きで、ありがたいもの



日本には、ずっと昔から、貴族文化とヤンキー文化があり、歴史的に残っているのは、貴族文化ですが、われわれの心に継承されているのは、ヤンキー文化です。

日本人の大半は、「ヤンキー」か「オタク」です。ヤンキーの研究は、重要なテーマなのかもしれません。


[ 2014/03/05 07:00 ] 育成の本 | TB(0) | CM(0)
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