とは学

「・・・とは」の哲学

『さよなら私』みうらじゅん

さよなら私 (角川文庫)さよなら私 (角川文庫)
(2012/09/25)
みうら じゅん

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みうらじゅんさんは、「ゆるキャラ」「マイブーム」などの産みの親です。時代感覚を持ち合わせているだけでなく、「見仏記」などの著書もあり、仏像にも詳しい方です。本ブログでも「運慶:リアルを超えた天才仏師」で、著者のコメントを掲載しました。

本書は、非常に、頭がよくて、照れ屋で面白い著者が書いた真面目な本です。仏教に造詣が深いことがよくわかります。その、ためになる数々をまとめてみました。



・選択肢とは、いくつもあるように見えて、実は二つしかない。いいか悪いか、好きか嫌いか、行くか行かないか。とくに人生において、行くか行かないかの選択は、今後に大きく影響する

・生き物の宿命は別離であり、死別であること。この最大の不安から逃れることができない限り、安定などあるはずがない

・時代というのは、目に見えるものではなく、新しい考え方が古い考え方を押しつぶしていく変遷のこと

・未来は誰にもわからない。わかったところでどうすることもできない。それでも知りたくなるのは、今ある不安から抜け出し、少しでも安心したいからに違いない

のんきは、真面目や不真面目という既成概念と違い、一種の才能。「なるようにしかならない」と人生をあきらめている。努力をしないわけではないと、あくまで自分のことも他人事と考えている

・「自分に自信が持てなくて」という人に限って、他人の話に耳を貸そうとはしない。それは、自信が持てないという自分を過信しているから。人はついつい自分を信じすぎる。他人を疑うという気持ちも、自分を信じている証拠

・他人がやたら楽しそうに見え、うらやましいと思うときは、淋しくならない努力を怠っていると反省すべき

・身の回りの誰かを主人公に抜擢し、自分を脇役と考える生活方式に切り替えてみること。また一味違ったストーリーが展開するはず。「損している」と感じるようでは、まだ脇役になりきれていない

・人生には、目標とか、目的とか、夢とかあるが、それはうまく暇をつぶすための方法

・やさしさは結局、甘さであって、そんな自分を肯定して生きること

・結局、人は誰かにホメられたくて生きているもの。ホメられないとき、人は淋しい

・人は、カッコいいことと、カッコ悪いことに左右される生き物。たかが数十年の人生。カッコ悪くてもいい。そんなこと気にせずに、好きに生きてみるべき

・自分など結局はどこにもいるはずがなく、脳が生み出した幻想にすぎない

・楽しく生きるためには、できる限り「他人と比較しないこと」と、「他人に期待しないこと」が重要

・「私は私の生き方しかできない」とわかるまでには時間がかかるもの。つい、他人の生き方を羨ましく思い、マネをしてみるが、うまくいくはずはない。それは、他人のいいところばかりマネしようとするから

・人間は、悩みを抱え、それを克服するためにがんばる、そういった生き物。克服すると、さらにその先には、悩みが待ち構えている。不安と安定を繰り返しながら、人間は飽きることなく暇つぶしして一生を終える

・好きな人とは結局、自分にとても都合のいい人のことで、相手もそう感じているときを、相思相愛の状態と呼ぶ

・人は人生という波に乗っているサーファー。せっかくいい波が来ても、うまく乗れないこともある。今度、その波が来たときに、どうやって乗ってやろうかが、経験であり、努力

・若いうちに成功したと思うと、歳を取ってからも、その成功にしがみつこうとする。若いうちは成功など考えないで、ただ、したいことをすればいい



「欲もなくし、自分という存在もなくしてしまえ」というのが本書のテーマです。まるで、高僧の教えのようなことが書かれています。みうらじゅんさん自身が、欲深い別人格を演じながら、欲をなくして生きているように感じました。

俗なる人が聖を演じることは多々ありますが、聖なる人が俗を演じることは少ないように思います。そういう人が書いた珍しい書なのかもしれません。


[ 2014/02/12 07:00 ] 幸せの本 | TB(0) | CM(0)
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