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「・・・とは」の哲学

『東京は郊外から消えていく!首都圏高齢化・未婚化・空き家地図』三浦展

東京は郊外から消えていく!  首都圏高齢化・未婚化・空き家地図 (光文社新書)東京は郊外から消えていく! 首都圏高齢化・未婚化・空き家地図 (光文社新書)
(2012/08/17)
三浦 展

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東京だけでなく、全国の大都市でも、郊外の住宅地(特に、通勤に不便で、女性の働き場が少ないところ)の地価が下がり続けています。この状態が続くのか、非常に気になるところです。

本書は、人口減少の時代、しかも若者の大都市流入も減りつつある時代に、大都市の地価が今後どうなるのかを調査分析している書です。住んでいい地域、買っていい地域とは、どこなのかも記されています。その一部をまとめてみました。



郊外の地価は、1992年から2011年にかけて、5割から6割減。それに比べて、都心近くの住宅地は3割減くらい。郊外住宅地の地価下落率が高いのは明らか

・住宅の価格が下がるのは、日本全体の景気が悪いからだけではない。昔は、郊外の駅から遠い不便な物件でも売れたのは、男性だけが働き、長い通勤時間に耐え、通勤定期代が会社持ちだったから

・都心から遠く、駅からも遠くに立地している住宅は、男女役割分担時代の遺物。現代においては利用価値がない。だから、価格は下がるしかない

団塊ジュニアが住む地域は、「未婚で所得が低い者」は郊外の親元の家。「未婚で所得が高い者・既婚で子供がいない夫婦」は都心部のブランド地域。「既婚で子供のいる裕福な世帯」は都心部や郊外のブランド地域。「既婚で子供のいる一般世帯」は大衆的な郊外住宅地

・マーケティング系の人は、住んでみたら意外に楽しい、便利だ、生活しやすいと評価される街が今後発展すると考えている。コンサルタント系の人は、従来型の価値観(ファッショナブル、流行や時代の先端、ステイタスなど)の街が今後も発展すると考えている

若い女性の関心が、都心で高級品を買うことから離れていっている。ブランド志向、おしゃれ志向が弱まり、よりカジュアル志向、シンプル志向になっていることが、買い物をする街の選択にも現れている

・いつの時代も新しい流行をつくるのは若い女性。今、若い女性は脱ブランド志向になり、逆におじさん的な趣味に向かっている

・ずっと長期不況を経験してきた団塊ジュニアやそれ以降の若い世代にとっては、イメージはよいが値段が高いブランド地域は、そう簡単に手は出せないし、コストパフォーマンスが悪いと感じる

二世帯同居は、親にとっても、行政にとっても都合がよい。そして、特に子育て期の女性にとって、親が近くに住んでいると都合がよい

・女性が働ける郊外地域でなければ、女性は都心に出ていく。あるいは、働ける別の郊外地域に引っ越していく。若い世代がいなくなれば、高齢者だけの地域になり、税収が減り、福祉予算ばかり増える。これからの時代は、自治体が若い世代を奪い合う時代

・若い世代が、街にブランド性を求めなくなっている。それよりも、楽しさ、便利さ、刺激やクリエイティブな風土を求め始めている。若い世代が、下町に関心を向ける背景には、単なるレトロ志向ではなく、職住一致の地域への憧れがある

・第一の消費社会は大正から戦前。都心に百貨店ができ、鉄道沿線に住宅が開発された時代。第二の消費社会は、戦後から1974年まで、大量生産による画一的消費の時代。第三の消費社会は、個性志向が強まった時代。第四の消費社会は、モノが完全に飽和した時代

・第一の消費社会から第三の消費社会までは、地方から都市へ、都市から郊外へという動きが単線的直線的に起こった。大量の人々が同じ価値観を持ち、田舎より都会のほうがいい暮らしができると信じ、都会は狭苦しいから郊外に家を買うのがいいと考えた

・東京の都心がつまらなくなっているのは、一概に不況のせいばかりではない。それは、空間が均質になり、個性が失われているから

・新しいものでも、無駄なもの、意味のないものは、つくってほしくない人が増えている。そんな無駄をするなら、古いものをうまく利用したほうが面白いと考える人が増えている

・単純な近代化を終えた社会においては、人々は単純なモダニズムを信じない。まっすぐな道路を嫌い、曲がりくねった路地を好み、自動車を嫌い、歩くことを好み、ピカピカの巨大なビルを嫌い、古くて味のあるビルを好むようになった。これは退歩ではなく成熟

・放っておくと住宅地が劣化してしまうのは、「多様な世代が住める居住の場がない」「まちに必要な『働・学・憩・農』の機能をつくらなかった」から



業者が考える「住んでほしい街」よりも、消費者が考える「住んでよかった街」のほうに軍配が上がるのかもしれません。

人気の街は、女性の現実的な願いが70%、若者の未来嗅覚が30%くらいの割合によって決まっていくのではないでしょうか。


[ 2014/01/20 07:00 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)
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