とは学

「・・・とは」の哲学

『10年後に食える仕事、食えない仕事』渡邉正裕

10年後に食える仕事、食えない仕事10年後に食える仕事、食えない仕事
(2012/02/03)
渡邉 正裕

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本書は、若者を不安に陥れるものでも、必要以上に鼓舞するものでもありません。ただ冷静に、食える仕事(安定的に給料をそこそこもらえる仕事)とは何かを探す内容の書です。

現実路線の生き方をする上で、非常に役に立つ書です。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・これからの経済はグローバル化だ、皆が英語を操って世界を相手に丁々発止のビジネスをしなければならない、といった言説がはびこり、そんな文句に脅されて、講演に出かけ、ビジネス書を読み漁り、学校に通い、資格取得マニアになって、疲弊している人が多い

・グローバル化がいくら進もうが、日本人の仕事として日本に残る仕事は、必ず残る。逆にグローバル化で、減る仕事、賃金相場が限界まで下がり続ける仕事、丸ごとなくなる仕事もたくさん出てくる。だから、どの領域で稼ぐのかを考え、仕事を選ばねばならない

・世界を相手に厳しい競争社会で勝ち続け、№1を目指したいという人には、より頑張ればいい。だが、日本人の皆が世界70億人を相手に激烈な競争を繰り広げる必要など全くないし、向いていない人が競争率70倍の激戦区に参戦するのは不幸でしかない

・実は、日本人として、この国で生まれ育ったこと自体がスキルであり、武器になる分野もたくさんある。それを自身の強みと理解し、強みを活かせる分野で、能力アップに励むことが最も賢い道。この認識で仕事選びを行っていれば、雇用のセーフティネットになる

・究極的に「一物一価」へと収斂していくグローバル化によって、ブラックホールのように「重力の世界」へと引き込まれる仕事は着々と増えており、その流れやメカニズムを理解した上で、自身の仕事を選んでほしい

・グローバル化時代の職業には、「1.重力の世界」(グローバルの最低給与水準に収斂)、「2.無国籍ジャングル」(70億人との戦い・超成果主義)、「3.ジャパンプレミアム」(日本人ならではの質の高いサービス)、「4.グローカル」(日本市場向け高度専門職)がある

・国境を越えたアウトソーシングは、米国で早くから行われ、英語が公用語のインドが受け手になっていた。中国の大連市は、日本のアウトソーシング受託の一大拠点に育ち、日本語を操る中国人が激増している

・グローバルの波にのまれて去っていく者もいれば、グローバル化と無縁の者もたくさんいる。公務員(教師、消防、警察、各役所の職員)や、民間でも鉄道系の正社員も「グローバル耐性」が強く、フラット化した世界でも食べていける仕事

日本人メリットを活かせる職に就くことで、ハングリー精神旺盛な新興国の人たちとの不毛な消耗戦、血みどろの戦いを避けられる

・日本人メリットを活かせる仕事とは、一言で言えば「外国人には容易に代替がきかないモノやサービスを提供する仕事」

・世界から並外れている日本人の特性は、「清潔さ」(exツバを吐かない)、「きめ細やかさ」(ex裏側までキッチリ施工)、「勤勉さ」「顧客へのサービス精神」「道徳心」(ex会社のものを盗まない)、「組織への高い忠誠心」(exすぐに会社を辞めない)など

・IT化で瞬時に海外移転する職業、海外移転しないが、国内で徐々に外国人に置き替わっていく職業は、日本人メリットがなく、特段の高いスキルも必要とされない。一刻も早く抜け出すことを考えたほうがいい

・「情報」や「金融」が、一瞬で国境を越えるのとは対照的に、「土地」「建物」は国境を越えにくい。建築や不動産業界の職種は、グローカル職の集合体

・商品単価が安く、失敗時のリスクが低く、単発で長期的関係が不要な商品を売る営業、マニュアル化ができて、足で稼ぎ、数を撃って当てるスタイルの営業も、誰が売っても品質に差が出ない営業なので、今後沈んでいく可能性が高い

・「人事」が行う採用、育成、昇給昇格管理、人事制度設計、労務対応といった業務は、国ごとに固有の制度がモノを言う土着の世界で、「グローカル」職業の典型。一方、「経理・財務」は一部が中国へ移され始め、遅れている会社でも、非正規社員化は進んでいる

・日本国内の雇用者数を分類すると、「重力の世界」(72%)、「無国籍ジャングル」(3%)、「ジャパンプレミアム」(16%)、「グローカル」(6%)、「分類不能の職業」(3%)になる。7割の人は危機感を持たないといけない



年輩の人たちは、若者に覇気がないと言います。しかし、そういう人たちは、真のグローバル競争を経験しなかった人たちです。時代と共に、考え方も変わっていかなければなりません。

今の日本は、成長の時代ではなく、成熟の時代です。それにふさわしい生き方や仕事を模索するうえで、本書は役に立つのではないでしょうか。


[ 2013/12/06 07:00 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)
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