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「・・・とは」の哲学

『稼ぐ経済学「黄金の波」に乗る知の技法』竹中正治

稼ぐ経済学 「黄金の波」に乗る知の技法稼ぐ経済学 「黄金の波」に乗る知の技法
(2013/05/18)
竹中 正治

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著者は、日経新聞にも時々寄稿される国際金融論が専門の大学教授ですが、外貨投資や不動産投資にも詳しく、投資の本を多数執筆されています。

本書には、「外貨投資」「不動産投資」「債券投資」の長期運用の方法が記されており、投資中級者以上の方に、有益なことが多いように思います。その一部を要約して、紹介させていただきます。



・短期(数カ月)や中期(数年)の時間軸では、市場価格はファンダメンタルな価値からの乖離が起こる。だが長期の時間軸(数年以上)では市場価格はファンダメンタルな価値への回帰、収束を見せる。ここに希望とチャンスがある

・現実に可能であり大切なのは、「予測」ではなくリスクに対する「準備」である

・賃料の変化以上に資産価格が大きく変動(高騰や暴落)してしまう背景には、市場参加者の心理が悲観に振れている時には、資産価値の過小評価が起こり、楽観に振れている時には、資産価値の過大が起こるということがある

・株式と長期債券の双方を保有すると、運用資産全体(ポートフォリオ)の投資リターンを安定化する効果があるという、基礎的かつ極めて実用的な知恵を実践している個人投資家は極めて稀

・好況で債券利回りが高くなっている時こそ、長期固定金利の債券を買う時

好況の時には、運用資産(ポートフォリオ)の中で、株式保有の比率を下げ、債券保有の比率を上げる。反対に、不況の時は、株式の比率を上げ、債券の比率を下げる。これができれば、毎年のリターンの変動を平準化できると同時に、投資リターンも向上できる

・「ハイリターン」は、長期の時間を前提にして成り立つ原理であり、バクチのように時間の概念と関係のない「当たり外れ」とは関係ない

デフレ圧力が半ば恒常化した低成長の経済では、長期分散の株式投資を愚直に持続しても、リスクに見合ったリターンは得られない

・市場の躁状態も鬱状態も無限に持続しない。必ず転換し、長期で普通の状態に回帰する。市場の合理的対処法は、予測という不確実な判断に頼らず、絶好調の躁状態にいる時に売り、絶不調の鬱状態にいる時に買い、短期的な変動は無視すること

・「金利平価原理」と呼ぶ2国間の為替相場と金利格差に関する原理が、日米の国債と為替相場に現実的に働いている。すなわち、金利の高い米国債に投資しても、円ベースの米国債のリターンは、長期では為替相場変動で、日本国債の低リターンと同じ水準に収斂する

・現実の為替相場は、購買力平価からの乖離と回帰を繰り返す。この事実は、短期トレーディングで儲ける役には立たないが、長期で資産形成を考える投資家には重要で、購買力平価は、為替相場の割高・割安を見抜く指標となる

・円高・円安は一般化できるような規則性はないので、それぞれの状況で判断するしかない。したがって、円高で外貨投資をする場合、一発決め打ちはせずに、投資のタイミングを数回に分けて対応すべき

・個人投資家が住宅・マンション投資で成功する鉄則は、「買う時は不況時、売るのは好況時」「中古マンションを物色して安く買う。価格は収益還元法で点検」「空室リスクの低い物件を選ぶ」「2~3割は自己資金を用意」「ワンルームよりファミリータイプを優先」

・アジアでの新興のREIT投資家層が登場しているのは、注目すべきこと。中国を含むアジアの新興投資家のマネーが、日本のREITの新たな買い手に加われば、日本のREIT市場にミニバブル的な高騰を起こす可能性がある

・投資スタイルを大別すれば、「トレンド追随型」と「逆張り型」がある。投資家として成功したいなら、どちらのタイプを選ぶか、どちらに適しているか、よく考えるべき。どっちつかずは最悪。首尾一貫しない投資スタイルで成功することはあり得ない

・人間の性格は「1.ハンター(狩猟民)型」(動くものに強いトレンド追随型)、「2.ブリーダー(牧畜民)型」(長期的な作業が得意で、逆張り・長期投資型)、「3.ファーマー(農耕民)型」(安全な倉庫に貯蔵したがる、投資不適型)の3つに分けられる

・ファーマー(農耕民)型とブリーダー(牧畜民)型が多い日本社会では、表面的な利息配当の高さに誘惑されて、意図せざる高リスク投資をして、失敗する傾向が強いので、要注意


本書には、長期型投資・逆張り型投資を行う上で、参考になる点が数多くあるように感じました。

日本人の性格に合った地道な投資法と呼ぶべきものです。大欲・中欲・少欲と考えれば、中欲の人の投資法かもしれません。


[ 2013/11/12 07:00 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)
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