とは学

「・・・とは」の哲学

『デンマークの教育に学ぶ・生きていることが楽しい』江口千春

デンマークの教育に学ぶ生きていることが楽しい (子どもとともに生きる幸せ)デンマークの教育に学ぶ生きていることが楽しい (子どもとともに生きる幸せ)
(2010/11/01)
江口 千春

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著者は、「幸福度世界一の国」デンマークの鍵は教育にあると考え、デンマークの教育をさまざまな角度から検証されています。

本書には、幸福を実感できる人を社会が育てていくヒントが数多く記されています。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・スクールアドバイザーは1対1で、子供と話し、進路を決める手助けをする。6年生と7年生は「自分を知る」、8年生は「どんな進路があるかを知る」、9年生は「自分の進路を決める

・図書室は校舎の中央にあり、専任の先生が配置されている。教員が授業を準備するにあたって、資料を提供する役割も果たす

・デンマークの学校は、学童保育を校内か隣接地に持つ。3年生までのほとんどの子は、放課後、学童保育所で過ごす。朝は6時半から8時まで、下校は5時まで。動物の世話、スポーツ、編み物、おやつづくり、楽器の演奏、大工仕事、卓球、ゲームなどをする

・学童保育所には、エネルギーの余っている子の暴れる部屋もあり、一人になりたくなった子が過ごすコーナーもある。広い敷地で、子供を受け止める大勢のスタッフがいる(子供12人あたり指導員1人)

・デンマークの子に、デモクラシーの意味を聞くと、「みんなが意見を言えること」「誰かが命令して動くのではないこと」と答える

・デンマークには、さまざまな職業学校がある。農業から自動車修理までたくさんのコースを持つ高校、食肉コースが主な学校など、学校での学びと現場での実習を繰り返す。そして、現場実習すると給料がもらえる

・デンマークの会社は、雇用者と従業員がよく協議して、合意に基づいて運営される。会社(35人以上)の役員会には、従業員の代表が複数参加するという決まりがある

・デンマークでは、大声を出したり、ガミガミ怒ったり、一方的に指示したりすることが少ない。対話が成立し、発する言葉が内面に届き、新たな変化のステップが始まる。このような関係は親子、教師と生徒、大人同士の関係にも見られる

・デンマークでは、家庭であれ、学校であれ、街の環境であれ、税金の使い方であれ、自分の思いを表現し、決定に関わる。だから、意見を言うこと、人の意見を聞くこと、時間をかけて話し合うこと、合意を見出すことが重要になる

・デンマークでは、「連帯(ソリダリティ)」という言葉をよく聞く。ソリダリティとは、人同士は助け合わなければならないという精神であり、福祉社会を維持する理念

・「自己決定」は、デンマークらしさを示すキーワード。「自己決定の尊重」は、幼児期から始まり、一生を貫く。自分自身が、どう生きるかを決めることができてこそ「よい人生

・大学入学の前に、多くの若者はサバトー(次の進路へ進むまで、在学中できなかった、仕事をする・外国を旅するなどの体験)の期間をとる

・対話を重んじ、競争を好まず、試験による教育を控えるのが、デンマーク教育

・教員は、授業・保護者会・専門分野の仕事を含めて週37時間労働。週25時間以外は学校に拘束されず、家で授業準備をしてもよい。教員の夏休みは5週間(生徒は6週間)

・子供に「させる」「やらせる」ことが大半になると、交遊を広げ、創造性を発揮して、生を楽しむ機会が少なくなる

・創造性豊かな職業能力は、個々の土台となり、国の経済を支える基となる。意識的に育てるべきは、子供の生活力と職業能力

・北欧の青年の語学能力の高さは、彼らの世界での活躍の土台となっている。「雇用の機会」には、外国をよく理解し、外国語能力を持つ必要がある

・格差なき繁栄のカギは教育にある。デンマークは、高度な知識社会でなければならない。この過程で、誰もが取り残されることがないようにしなければならない

・賃金の安さで競争してはならない。そのやり方で前進はない。代わりに、知識を競うべきであって、新しいアイデアや新たな変化と発見の能力において競うべき



デンマークの教育と日本の教育の違いを一言で言うと、それは、「個人の成長」のためのものか、「国家の繁栄」のためのものかということです。

デンマークは、「個人の成長」によって、「国家の繁栄」があると考えているのに対し、日本は、最初に「国家」を優先し、「個人」をないがしろにしています。個人の成長をじっくり見守る姿勢が、そろそろ日本の教育界にも必要なのかもしれません。


[ 2013/11/07 07:00 ] 北欧の本 | TB(0) | CM(0)
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