とは学

「・・・とは」の哲学

『賢者の処世術』バルタサール・グラシアン

賢者の処世術賢者の処世術
(2013/03/21)
バルタサール・グラシアン

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16世紀スペインの修道士であった著者の本を紹介するのは、「賢人の知恵」を4年以上前に紹介して以来、久しぶりです。

著者は、ニーチェやショーペンハウアーなどにも影響を与えました。人間の本質を見る眼は高く評価されています。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・劣等感を抱いてでも、賢い人たちとつき合ったほうが身のため。優越感を抱いても、愚かな人たちとはつき合わないほうが身のため

・嘘をついてはいけない。同様に、事実を言い漏らさないようにすることも大切である。事実は、発言後に嘘を装って隠れてしまうこともあるから

・対立、言い争い、けんかの原因で、一番多いのは誤解。澄んだ目と純粋な心で、事実をきちんと見れば、争いの多くは避けられる

・逃げるのは恥ではないし、打ち負かすことが名誉でもない。勝敗を決めるのは、最終結果のみ

・賢い人は、雨が降る前に屋根を修理しておく。愚かな人は、雨漏りで水浸しになってから修理する。これが人の本質であり、屋根の穴ひとつからでも、人の賢愚がわかる

・見習うに値する人か、そうでない人かを見分けられるようになることで、大人になっていく

ゾウハエを叩き潰そうとして追いかけるなど聞いたことがない

・賢者の分別とは、分別があることを隠し、呪いや妬みから身を守る術を身につけていること

・いいものをいたるところで見つけ出す才覚、干し草の山から穀粒を見つけられる才能は、人生を大切に生きることをわきまえている人の能力

・人生で活躍するときも制御したほうがいい。闇あるところで光となり、こちらの光が見えないところで、ほのかに光ったりしないこと

・若いうちは、狼に挑むより、ライオンの陰にいたほうが身のため

・道行くときは、到着地まであとどのくらいあるかではなく、すでにどれだけ歩いてきたかを確かめること

・日の当たる道もあれば、日陰道もある。信念の道もそれと同じ

・若い人は、自分の弱みについてよく考え、ほかの人の弱みを云々するのは夢の中だけにしておいたほうがいい

・最良の友は自分自身であることに満足できるような人生を送ろう

不安の種は、希望の種よりもずっと心の奥深くに植え付けられている

来てくれたらうれしい人を友人に選び、帰ってくれたらほっとするような人とは距離を置け

・いつも笑顔でほめてくれる友人がいる。しかし真の友人は、自分がいないところでほめてくれる人

・分別ある助言を求めるなら、言葉控え目な人を選ぶこと。余計な言葉はスープに水を足すようなもの

・堂々と先頭を行く人のあとには、自信に満ちた人々が続く。躊躇しながら先頭を行く人のあとには、躊躇する人々が続く

・秘密は、守っていれば門外不出の宝、漏らしてしまえば牢獄の格子

・的に命中した矢はいずれも、的を外れた数多の矢に対する敬意である

・憎むのは人の性、許すのは神の性

・木のてっぺんを目指して高く上るほど、落ちたらその分、激しく地面に叩きつけられる



著者の語りかけるような文章が、本書の特徴です。本書は、説教集から主に道徳的態度についての説教を選んで編纂したものです。

とても16世紀の本とは思えないほど、わかりやすく読みやすい内容です。年齢に関係なく読んでほしい書です。


[ 2013/10/29 07:00 ] 出世の本 | TB(0) | CM(0)
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