とは学

「・・・とは」の哲学

『みんなが知りたい・地下の秘密』地下空間普及研究会

みんなが知りたい地下の秘密 洪水時のあふれた水を取り込む地下トンネルとは?地下鉄の上り線と下り線を同時につくる技術とは? (サイエンス・アイ新書)みんなが知りたい地下の秘密 洪水時のあふれた水を取り込む地下トンネルとは?地下鉄の上り線と下り線を同時につくる技術とは? (サイエンス・アイ新書)
(2010/04/19)
地下空間普及研究会

商品詳細を見る

土地活用において、地上は、高層建築などで有効活用されてきました。ところが、地下は、止むを得ず活用されてきた感じがあります。しかし、地下には、温度や湿度が一定の空間が拡がっています。また、地下を掘る技術も向上してきています。

本書は、みんながまだまだ知らない地下空間について、その素晴らしさを語る内容です。新たに知ったことが多くありました。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・人が「地下空間」を生活に使い始めたのは、300万年前と言われている。われわれの祖先は、地下空間を、身を隠す場所にしたり、休憩する場所にしたりしていた

・火山灰や軽石が降り積もって固まった、柔らかくて掘りやすい地盤を、簡単な道具で手掘りすることで、1年を通して、気温や湿度の変化が少ない地下住居をつくりだした

・江戸時代、商売をしていた店には、「穴蔵」という、防火用の地下室があった。通常、穴蔵には蓋がしてあり、床として使うが、いざ火事が発生すると、蓋を開けて、商品や財産などを入れた。穴蔵は火災だけでなく、地震にも強かった

・日本の地下鉄は、11都市で752㎞の路線を営業しており、1日1300万人の乗客を運んでいる。地下鉄はエコな乗り物。1人の人間を1㎞運ぶのに必要なエネルギーは自動車の6分の1以下。1時間に運べる人数は、自動車の約100倍

道路の下約3mまでのところには、日常生活に密着する、ガス、水道、下水、電気、通信といった、ほとんどすべてのライフラインが埋まっている。道路工事がうるさく感じるのは、道路の下3mくらいまでは、道路の上から直接掘るのが一番合理的な方法だから

・下水管の本管は地下5m~10mくらいのところに配置される。この深さでは、浅い地下鉄のトンネルが走っている深さと重なる部分が多くなる。下水道のトンネルは、地下鉄のトンネルを避けながら、蜘蛛の巣のように張り巡らされている

・通常、河川下流域で発達した日本の都市部の地盤は、地表面から順に、沖積層、洪積層、岩盤となっている。つまり、深くなるほど硬い層でできている。都市部の多くは、地表面から30~40m以上深く掘らないと、建物を支えられる硬い層は出てこない

・都市の地下空間は、駅前地下広場などの交通対策から発展した。地下空間は、自動車を気にしないで歩ける歩行者用のネットワークであり、地下鉄ともつながっている

トンネルのつくり方には、「山岳トンネル工法」(岩盤の中につくられる)、「シールド工法」(シールドマシンが地中を掘り進む)、「開削工法」(地面を切り開く)、「沈埋工法」(陸上でつくったトンネルを埋めて沈める)の4つの方法がある

・シールド工法発想の原点は、フナクイムシが木造船に穴を開けて進むのを見たことから。それが、シールドマシン誕生のきっかけとなった

・日本で地下を深く掘ろうとすると、たいていの場合、水が出てくる。この水との戦いが、地下掘削の大きな課題。その対策として「ニューマチックケーソン工法」(コップを逆さまに水中に入れても、コップの中に空気があれば、水が入ってこない現象を応用)がある

・地盤の中に建設する地下構造物には、「土圧」「水圧」が作用する。土圧は、地下構造物が置かれた位置での土の重さによる圧力。水圧は、同様に、地下水の重さによる圧力

・水を浸透させにくい「粘性土」の地盤の中にある地下構造物には、土圧だけが作用する。しかし、水を浸透させる「砂質土」には、土圧だけでなく、水圧も作用する

・地下は工場にも使われる。地下工場は、高い空気清浄度(外部のほこりを含んだ空気の流入が防げる)と、省エネ(空調に頼らないで安定した室内環境が保たれる。電気使用量が90%減)を実現できる

・家の地下にパイプを設置して空気や水を循環させると、地中熱を使った冷暖房システム(夏は冷たい空気、冬は暖かい空気)ができる。この地中熱を利用したエアコンでは、室内の熱は地中に放出されるので、室外機からの排熱がなくなる

・スウェーデン・ストックホルムの地下鉄には、世界一長い地下美術館がある。約90の駅で、彫刻、彫像、モザイクタイル、ペインティング、レリーフなどの芸術作品が飾られており、地下鉄駅の陰気なイメージをなくし、魅力ある空間にしている

・ノルウェーには地下スポーツ施設(アイスホッケー場、プールなど)がある。その理由は、「郊外につくると町が分散してしまう」「土地代を節約できる」「地上だと温度変動幅が25℃になるが、地下は7~8℃に抑えられる」「非常時のシェルターとしても使える」から



高層ビルなどの地上の建築物は、見上げれば、その概要がわかります。それに対して、地下構造物は、ほとんどその内容を知ることができません。

ところが、人間の生活にとって大切なライフラインなどは、地下からわれわれの住宅に配給されてきます。縁の下の力持ちならぬ、地の下の力持ちに目を向けてあげるべきではないでしょうか。本書は、その一助になると思います。


[ 2013/10/03 07:00 ] 環境の本 | TB(0) | CM(2)
地下はわりと平気なのですが、上層階に行くとからだがむくんだりすることがあります。

重力の関係でしょうか?


ライフラインを整えるため、地下に穴を掘り、地上に高層ビルが建てられるようになると、なんだか息苦しく感じます。

[ 2013/10/03 07:05 ] [ 編集 ]
上に下に
私も、高いビルや深い地下には、行きたいと思いますが、
絶対に住みたくはないです。

しかし、大都市開発においては、
経済合理性に反するまで、
(それが売れない、採算に合わないまで)
どんどん上に、そして、どんどん下に
人間は可能な限り建設を進めていくのだと思います。

地下の利用法は、まだまだ、
これからの分野なのかもしれませんね。

[ 2013/10/03 23:08 ] [ 編集 ]
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL