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「・・・とは」の哲学

『しばられてみる生き方―軍隊式・超ストレスコントロール術』下園壮太

しばられてみる生き方――軍隊式・超ストレスコントロール術 (講談社プラスアルファ新書)しばられてみる生き方――軍隊式・超ストレスコントロール術 (講談社プラスアルファ新書)
(2009/10/21)
下園 壮太

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著者は、陸上自衛隊メンタルヘルス教官です。自衛隊員のカウンセリングにもあたっている方です。主な研究テーマは「軍隊組織が兵士に及ぼすストレスの関係」です。

本書には、兵士がストレスに屈せず、力を発揮するために必要なことが記されています。日本の企業組織における社員とストレスの関係も軍隊に似たようなものを感じます。参考にすべきことが非常に多いと感じました。その一部を要約して、紹介させていただきます。



・ストレスとは、「不快感情の苦」と「エネルギー苦」の総合体。「不快感情の苦」とは、痛さ、不安、恐怖、焦りなどの苦しみであり、自分を襲う対象から距離をとるための感情。「エネルギー苦」とは、飢え、渇き、疲労、睡眠不足などの苦しみ

・不安は常にシミュレーションを要求する。情報を求め、相手などの動きを絡めながら、最悪のケースをシミュレーションする。いくつかのシミュレーションを比較し、十分な対策を立てなければ、不安は治まらない。これにはかなりのエネルギーを使ってしまう

・「もっと自由を!」と、ないものねだりして、不快感情を発動させ、エネルギーを消耗するか、「これくらいのプチ束縛感が、健康に良い」と受け入れ、エネルギーを節約するか。自由が足りないと思ったら、今は「自由太りをダイエットしている」と思い直すこと

・軍隊では、反復演練で、規律を体に覚え込ませる。回数をこなし、習うより慣れる。「40回400回の原則」とは、深刻な体験なら40回、そうでない体験でも400回も経験すれば、体が覚えて、自然に行動できるようになるという原則

・旺盛な責任感には欠点もある。責任感がある人とは、通常「結果」を気にする人。結果に関わると思うからこそ、仕事を一生懸命やり、分析や決断について、自分が正しいと思うことを強く主張する。このことが、軍隊という組織にとってマイナスに働くことがある

・軍隊は敵と戦っていおり、時間との勝負。もし軍隊が強い責任感を持つ人ばかりで構成されているなら、組織の決断に、かなりの時間が必要で、決まったことに従わない人も出る。そのような軍隊では、一枚岩になれないし、必要なタイミングにも間に合わない

・重要な決定では、誰が決める、どうやって決める、誰がやる、誰が従う、などの「決定の手続き」に大きなエネルギーを使う。お互いの命がかかっているため、腹を探り合い、人間関係も壊れ、疲労困憊する。これでは、戦う前に味方同士の人間関係で潰れてしまう

・自分が正しいと思う意見を、議論の結果、納めなければならないとき、自尊心が邪魔をする。そんなとき、階級があれば、あきらめもつきやすい。自分の意見が劣っていたからではなく、階級の高い人の案を採用するという「決まり」に従ったまでだ、と思えばいい

・組織はリーダーシップだけではうまくいかない。従うことが上手にできないと、組織力は低下する。組織が大きくなればなるほど、この傾向は強くなる。軍隊組織の生活の中で身に着くのはフォロアーシップ。理不尽さに対するある種の鈍感さを学べる

・戦争を初めとした悲惨な出来事は、人類の歴史以前から存在した。その苦しみに、人は宗教の力を借りて対処してきた。宗教は、自責を扱ったものが多い。例えば、キリスト教では、過剰な責任の苦しみを、神と折半する道を提示してくれる

・結果が悪かったときに、それを神に肩代わりしてもらう習慣もなく、すべて自分が悪いと考えると、自分を責め、自信を失い、社会から距離をとるようになる。過剰に太りやすい責任感(自責の念)をいかにコントロールするかは、現代人にとって大きなテーマ

・儀式によって、ストレスコントロールできる。カウンセリングでも、儀式的要素(忘れられない嫌な思い出を紙に書き、灰皿の上で燃やす「思い出のお葬式」)を使うこともある

・目標に必要な要件は、「1.意味があること」「2.具体的であること」「3.達成可能であること」。国防という任務を与えられた自衛隊員が、訓練を通じて自分の技量を伸ばすことは意味のあること。だから、隊員は訓練することが好き。訓練は隊員を元気にする

・自衛隊では、各訓練の到達基準以外にも、免許検定、検閲、各種試験競技会など隊員の目標となるものを設けている。それでよい成績を上げたものは、表彰される

・堅実な自信を作り上げるには、「1.体力を鍛える」「2.生活の基本的スキルを身につける」「3.人のためになることをする(その結果、お金が稼げればもっといい)」こと。人のためになったとき、本当の自信が持てる。そして、人生のストレスが大きく低下する

・ついたくさんのことを教えたくなる。それは一番ダメな教育。「教えたいことは、一つに絞れ」で、何度も強調しながら訓練すると、どんな隊員でも次第にそれができるようになる。つまり、自分に自信がついてくる



日本人の自信のなさを蘇らせ、ストレスを緩和する方法が、本書に記されていました。

自由行動ばかりでは疲れるし、しばられてばかりだと息苦しいものです。その中間の「少々しばられるくらい」が生きていくにはちょうどいいくらいです。本書には、「上手なしばられ方」によって、ストレスを緩和する道が示されているのではないでしょうか。


[ 2013/09/24 07:00 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)
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