とは学

「・・・とは」の哲学

『和顔・仏様のような顔で生きよう―山田無文老師説話集』

和顔 仏様のような顔で生きよう―山田無文老師説話集和顔 仏様のような顔で生きよう―山田無文老師説話集
(2005/10)
山田 無文

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著者は、25年前に亡くなられた昭和期の代表的な禅僧です。著書を数多く遺されています。私の父が、著者のいた禅寺に通っていた関係で、その著書が家にたくさんあります。

本書は、著者の「仏様のような顔(和顔)で生きよう」「和顔を人生の目標にしよう」といった訓えを、簡潔に表わしたものです。ためになることがたくさん載っています。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・人生とは、ただ生活を享楽するような甘いものではない。また、より多く幸福を求めるなどという、意味のないものでもあってはならない。自分がこの世の中に出てきた真実の意味を自覚し、何らかの足跡を残していかなければ、せっかく人間に生まれた甲斐がない

・臨済禅師は「随処に主と作れ」と言った。これは、威張れということでも、自由勝手にせよということでもない。どこへ行っても、その場所を愛せよ、愛情を持てということ

・臨機応変のはたらきは、何も思わぬところから自然に出てくる。その、何も思わぬ純粋な気持ちをいつも失わないことが、一番大事なことであり、それが「信心」

・古い記憶がいつまでも心の中に残っているというのは「穢れ」。すんだことをいつまでも覚えているのは「心の塵

・すべてのものに敬語をつけて、尊敬して呼ぶことが仏法の教えであり、日本民族の長いならわし。しかし、それは、どんなものにも魂があるから尊敬するというのではない。こちらの感謝の心が、そうせずにはおられぬからそうする

・霊があれば祀る、ないから祀らないという理屈ではなくて、霊があってもなくても、祀らずにおられないからそうする

・自性がわかることを見性と言う。真実の自分もわからずに、世の中へ飛び出して、損だ得だ、嬉しいの哀しいの苦しいの楽しいの、憎いの可愛いの、進歩だ闘争だと騒いでみてもしょうがない

好き嫌いにとらわれたら、これほど嫌なものはない。良し悪しにこだわったら、これほど厄介なものはない。好き嫌いを捨てずに、好き嫌いに落ちず、良し悪しにこだわらずして、良し悪しのけじめを正していく、そこに至道の妙味がある

・頭をゴツンと打って、「痛い!」のは親から教わったものではない。何もないこころから「痛い」と出たもの。この何もないこころから分別せずに出てくる智慧、かかる純粋な意識そのものがわかることを悟りと言う

・花には蜜があるが、それは世の中に奉仕しようとする心、何かを捧げる心。花さえ咲かせれば、実はひとりでに結ぶ。幸福というものは、こちらから求めるものではなく、向こうから与えられるもの

・草木がこの世に生じたのは、美しい花を咲かせるため。人間がこの世に生まれてきた目的は、仏のような立派な人相をつくるため。死ぬまでに、よい人相になりたいもの

・何もない透明な、写真機のレンズのような心が、ものに触れ、ことに触れて感動し、その端的に句が生まれる。そこに俳句の世界があり、それは、禅に近いもの

・人間の内側に動揺しないものがあるから、動揺する心がわかる

・現実の世界の真っただ中にあって、苦楽の中にいて苦楽を離れ、生き死にの中にいて、生き死にを忘れている、そういう心境が彼岸と名付けられるもの

・「求むる有るは皆苦なり」、つまり、心の中に欲しい物があるのは皆苦の種だと臨済禅師ははっきりと言っている

・純粋とは、計らいのないこと、権謀のない心、それを内面的に把握すること、これが「直心」で、「直心は是れ菩薩の浄土なり」とは、その心自体が浄土であるということ

・人柄や相といった、人間から出てくる匂いがないといけない。美男や美女でなくてもいい。顔に何とも言えない味わいが出てくるのが「妙相」。惚れ惚れとする顔ではないが、何かしらいいところ、明るいところ、温かみがある「妙相」になっていかなければならない

・親が生みつけてくれた顔を、輝かしい、喜ばしい、微笑みのある、温かい、人に喜ばれる、いい顔にして死ななくてはいけない。大概、親の生んでくれた無邪気な顔を、できそこないの顔にして、死んでいく



人相は、年齢とともに、顔に刻まれていきます。写真家が撮ってみたいと思うような顔になるには、真剣に、誠実に、生きていないと、そうなりません。

お金や名誉に恵まれていない市井の人の中に、この「和顔」の人が大勢います。人は見た目ではわからないといいますが、本書を読むと、「人は見た目でわかる」ように思えてきます。


[ 2013/08/30 07:00 ] 神仏の本 | TB(0) | CM(0)
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