とは学

「・・・とは」の哲学

『天皇家の財布』森暢平

天皇家の財布 (新潮新書)天皇家の財布 (新潮新書)
(2003/06)
森 暢平

商品詳細を見る

天皇家の家計簿、貯金、資産、収入など、どうなっているのか少し興味がありました。戦前に比べて、かなり予算が小さくなったみたいですが、それでも、お抱えの人件費等を考えれば、膨大な額になります。

本書は、それらを一つ一つ明かすことにより、天皇家の生活ぶりを知らせてくれます。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・天皇、皇族の活動のための「皇室費」は、オフィシャルマネーの「宮廷費」と、プライベトマネーの「内廷費」「皇族費」の三つに分類される

・皇室の公的な活動に使われる「宮廷費」は、一般の役所と同じで、毎年金額が変わる(2003年度は64億円)。宮中晩餐会、国体や全国植樹祭への地方訪問、宮殿の補修、皇居の庭園整備など土木・建設費も含まれる

・「内延費」は、天皇家へのサラリーで、国家公務員の給与と同じ。定額制で3億円程度。ピアノの修理代、登山用品代などが、「内延費」から支出される

・「皇族費」は、天皇家以外の宮家(秋篠宮、常陸宮などの七家)のサラリーと考えると捉えやすい。秋篠宮家は約5000万円で、総額は約3億円程度

・宮内庁が管理する予算には、他に宮内庁費がある。1000人を超える宮内庁の経費は、110億円を超える。そのうち、人件費と手当関係が約8割を占める。つまり、宮内庁は「皇室費」を合わせると、「4つの財布」を持っていることになる

・皇室費(宮廷費・内延費・皇族費)と宮内庁費に、皇室関連の国の付属機関である「皇宮警察本部予算」を加えた広義の皇室関連予算は約270億円。国民負担は1人210円ほど

・戦前の皇室は、全国に広大な山林を持ち、林業経営で収入を得ていたほか、教育機関である学習院まで持っていた。宮内庁職員は、1945年の敗戦時、約6200人もいた

・現在も、京都御所、桂離宮、修学院離宮、正倉院、千葉・埼玉の鴨場、長良川筋漁場、那須・須崎・葉山の御用邸を抱える

・現在も、雅楽や洋楽演奏の楽師24人、正史編纂や陵墓調査の研究職46人、天皇陵の陵墓守143人、正倉院や古文書の修繕師12人、調理人25人、配膳担当22人、運転手と車両整備40人、土木・水道・電気・機械などの専門技官78人、庭園管理者30人がいる

・皇居の1カ月の水道代は約930万円、電気代は約840万円、ガス代は約340万円。東宮御所は別払い。NHKのテレビ放送受信料は約180万円

・出席者132人の大統領晩餐会の食材仕入れ費は約97万円。一人当たり7300円ほど。御料牧場の生産物や大膳課職員の人件費を考慮すれば、一人の食事単価は1万円単位

御料牧場では、乳牛18頭が飼育され、牛乳瓶200ml換算で、1日約200本の生産。豚は78頭が飼育され、年間に豚肉約3000kgの生産。他にも羊が385頭、鶏が886羽、キジが35羽いる。御料牧場の年間生産額は約4200万円。支出は6億円強で、やはり赤字

・天皇家のお小遣いは不明だが、「その他雑費」の7割、2500万円と推定すると、天皇家の成人で、年間一人当たり500万円になる

・戦前、天皇家が持つ「御料林」は、北海道夕張、静岡大井川、岐阜木曽など全国に散らばり、「金のなる木」と呼ばれるほど、莫大な収益を上げた。この利益を元手に、皇室は株式、国債への投資にも乗り出した

・皇居や御用邸などの土地、宮殿や御所のような建物は、天皇家の私有ではなく、国有財産で、国が皇室に提供する「皇室用財産」という種類にあたる。現在の皇室用財産は、土地を合わせると、4000億円以上になる

・昭和天皇が亡くなった時の資産はおよそ20億円。これは、昭和天皇個人の遺産

・昭和天皇逝去で整理された所有の美術品は約4600件(国有財産3180件、御由緒物580件、天皇陛下と香淳皇后が相続800件)。国有財産になった品に、「蒙古襲来絵詞」「源氏物語屏風」、小野道風の直筆、横山大観などの近代絵画、幕末志士たちの書画などがあった

・天皇家と比べると、宮家の暮らしは、ぐっと一般人に近い。自分自身で買い物をすることも、銀座で飲むこともある。秋篠宮家の6人いる使用人の人件費を除いた年間生活費は約2500万円。皇族という身分を考えると、潤沢とは言えない



本書を読み、天皇家や宮家は、庶民が思っているより、そんなに贅沢な暮しをしていないように感じました。

プライベートな行動が制限され、ストレスのかかる公務に追われることを考えると、決して、豊かとは言えないように思います。「天皇家の財布」を知ることにより、天皇家を身近に感じられるようになるのではないでしょうか。


[ 2013/08/27 07:00 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL