とは学

「・・・とは」の哲学

『いま知っておきたい霊魂のこと』正木晃

いま知っておきたい霊魂のこといま知っておきたい霊魂のこと
(2013/03/14)
正木 晃

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本書は、世界の人たちが、死、霊魂、輪廻転生、天国と地獄、幽霊、鎮魂、葬式、お墓についてどう思っているのか、どう考えているのかをまとめたものです。世界の霊魂観がよく分かる文化人類学のような書です。

日本人だけのもの、世界共通のものを知ることによって、霊魂という不思議な存在が見えてきます。この興味深い内容の一部を、要約して紹介させていただきます。



・今を去ること何万年前、人類は霊魂の存在を意識し始めたことで、新たな発展段階に入った。家長が死んでも、霊魂が見守ってくれていると、苦悩の末に思いたどりついた。死後の世界死者の霊魂が確かにあるという貴重な智恵が、宗教の起源だった

・幽霊が真夜中に出やすい理由は、光を非常に嫌うからだと言われる。洋の東西を問わず、聖なるものは光と強く結びつき、反対に聖ならざるものは、闇と強く結びつく

・古代エジプトでは、死者は審判を受けなければならなかった。生前の行いと心臓の重さが、「真理の秤」にのせられ、照らし合わされた。その結果がよければ、死者は至福の生活を保証され、結果が悪ければ、天秤の傍らの怪物に食われ、一巻の終わりとなった

・メキシコの山岳民族のウィチョル族は、霊魂を、色の白いてるてる坊主のような姿をしていると考えた。てるてる坊主には下半身がない。その理由は、不死の世界に行くためには、性の執着を捨てる必要があると考えられたから

・霊魂は肉体というくびきを離れて、どこへでも行けることから、鳥の姿形に見立てる事例が、世界のいたるところで見られる。鳥は霊魂だけでなく、死後の世界の案内役と見なされることもよくある

・東京大学の「死生学研究」における「お迎え時に見えた、聞こえた、感じたらしいもの」の内訳は、「すでに亡くなった家族や知り合い」53%、「その他の人物」34%、「お花畑」8%、「仏」5%、「川」4%、「神」1%、「トンネル」1%、「その他」31%

・幽体離脱の体験に共通することは、過酷なストレスにさらされているときに、別の自分を見たという点。かなり高い確率で、自分自身を上から見るという体験をしている

・怨霊が猛威を振るったのは、平安時代から南北朝時代まで。室町時代の中頃になると、怨霊は一段落するが、特定人物に対する霊魂の復讐という構図は、その後も消えなかった

・私たちのご先祖は、最初は恐怖の対象だった霊的な存在を、浄霊という乱暴な方法ではなく、うまく手なずけて、味方として「祀り上げた

・仏教が不振を極めている現時点でも、信者や檀家が増えているお寺に共通するのは、住職に特別な力があると見なされているところ

・死者儀礼の第一歩は、その人に、あなたは死んでいると、ちゃんと教えてあげるというのが、古今東西、宗教界の金科玉条

・だいたい20~30人に一人の割合で、金縛りの体験者がいる。そして、金縛りにあいやすい人ほど「変なもの」を見る確率が高い

・仏教の基本的な教えでは、人は死ねば、最長で49日間に、何かに生まれ変わっているはず。したがって、お墓や仏壇に霊魂はいないことになる。しかし、日本人の多くは、お墓や仏壇に霊魂はいると信じてきた

・輪廻転生の理論では、幽霊は存在しないはずだが、チベットでも、輪廻転生できず幽霊になってしまう者がいて、回忌法要が営まれている

・真言宗や日蓮宗では、おおむね霊魂はあるという立場。曹洞宗は、約半分のお坊さんが、霊魂はあると見なしている。それに比べ、浄土真宗は霊魂の存在について否定的

・天国の説明に関する限り、イスラム教は具体的。コーランには、「清らかなこんこんと湧き出る泉のほとりの緑したたる木陰で、みめ麗しい少女や少年にかしずかれつつ、この上なく美味な食物や飲料や酒を心ゆくまで堪能できる」」と説かれている

再生を期待する心と、祟りを恐れる心。縄文時代の人々は、死者の霊魂に対して、互いに矛盾する二つの思いを抱いていた。この思いは、その後も日本人の心にあり続けてきた

・仏教が日本に広まったのは、悟りが開きたいとか、ブッダの教えに従って人生を全うしたいといった立派なものではない。怨霊を鎮め、成仏させる力が期待されたからこそ、広まった



霊魂の存在をどう考えるかで、それが宗教になり、民族になり、文化になっていきました。

霊魂について、再度どう考えるかで、人の一生も変わってくるのではないでしょうか。難しいことを考えたくなければ、地域や民族の伝統的な型式に従うのがベターなのかもしれません。


[ 2013/08/09 07:00 ] 神仏の本 | TB(0) | CM(0)
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