とは学

「・・・とは」の哲学

『「人生二毛作」のすすめ-脳をいつまでも生き生きとさせる生活』外山滋比古

「人生二毛作」のすすめ―脳をいつまでも生き生きとさせる生活「人生二毛作」のすすめ―脳をいつまでも生き生きとさせる生活
(2010/03)
外山 滋比古

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外山滋比古さんの著書を紹介するのは「思考の整理学」に次ぎ、2冊目です。90歳になられた今も、執筆活動を続けられています。その元気の理由が記されているのが本書です。

人生二毛作を実践されてきただけに、老いて尚、意気軒昂でいらっしゃいます。その体験話が本書に満載です。それらの一部を、要約して紹介させていただきます。



・第一幕の人生と趣きを変えて、むしろ第一幕をしのぐほどの楽しさと充実感に満ちた第二幕を迎える。それが、人生の二毛作

・一毛作時代の「得意」には固執しない方がいい。サラリーマンの場合、自分の本来の価値観とピタリとはまったものを仕事にしているわけではない。それを、組織のエスカレーターに乗っているうちに、いつのまにか自分の「得意」と思い込んでしまっている

若いころの投資は、失敗も許される。年齢的に挽回できる。それゆえ、切羽詰まった強欲さを持たなくてもすむ

・投資の経験を重ねると、投資というものに謙虚になる。損をしたときは、それを取り戻そうとするより、まずあきらめて、欲をいったん断ち切ろうとする。そして、買って長く持つという長期投資のスタイルが自然と身についてくる

・預貯金はリスクがない。リスクがないから成功もない。成功がないからおもしろくない

・非合理きわまりない生命保険には入らない。退職金も年金もアテにしない。預貯金も眼中にない。老後の備えは、早くから自助努力ですべし

・サラリーマン社会になって、世代的にまだ三代目。歴史が浅いこともあって、まだ一人前扱いされない。たいていは、揶揄するニュアンスが込められる

・第二の人生の心得の一つは、生活のリズム。生活のリズムができあがると、就寝・起床時刻も安定する

・料理はなかなかいいスポーツ。われわれ人間の運動は、足を使う運動が中心。直立歩行する人間は、手の運動が疎かになり、手持ちぶさたになっている。その疎かになった手の運動として、料理は、毎日キッチンで繰り広げられる格好のエクササイズ

放談雑談のできる新たな輪をつくることで、人生をはるかに豊かにすることができる

若いときの友人関係は、もう賞味期限が切れている。賞味期限の切れたものは、捨てるか、買い換えるかのどちらか

・なるほどと思う話を聞けることも、雑談・放談会の楽しいところ。そして、大笑いもして、二時間たつとお開きになる。二次会はなし。基本は「淡交」。淡い交わりではあるが、得る喜びと収穫は大きい

・雑談・放談会に集うメンバーは皆、聞き上手、ほめ上手で、人の話を否定しないし、揚げ足をとらない。無責任な話にもうなずき、屁理屈にも耳を傾ける。難しい話にも分かったような顔をして聞き、大言壮語にも目を輝かせる。話が脱線しようが、咎めたりしない

・「転ぶな、風邪ひくな、義理を欠け」の「義理を欠け」は、浮世の人間関係を考える上で、傾聴に値する。人生二毛作の基本精神は、できるだけ浮世のしがらみに縛られないこと

70点学生は、足りない分、自分なりに自分の頭で考える。90点の学生は、自分の知識で勝負する。だから、独自の思考力が求められる論文では、書いたものが面白くない。今、教育で行われているのは、この「90点学生」の再生産

・知識習得が生きる上で血肉となるのは、せいぜい30代まで。40代、50代ともなれば、その知識を土台にして、独自の知性を発展させていかなくてはならない。それによって、二毛作人生を花開かせなくてはならない

・染みついた知識・情報の多くは、他人の思考の結果。それを、人前でさも独自の思考結果のように言うのは、正直さに欠ける

人を真似ず、常識に拠らず、自らの思考を持ち続ける。これが、いつまでも働いてくれる頭脳を持つ秘訣

・年をとれば、世の中酸いも甘いもある。森羅万象にも陰陽あり、人生あざなえる縄のごとしと、両面あることを知る。血気盛んな若者は、それを矛盾、世の不条理と考える。しかし、大人はそれが人生と考える。だから、自分に都合のいいほうだけを見ておけばよい



著者は、雑誌の編集長、大学教授、幼稚園園長など、次々と職を変わられています。その間に、評論やエッセイなど、次々と本も出されています。人生二毛作どころか、五毛作くらいの経験をされています。

本書は、老後の備え、老後への対処といったものではなく、楽しい老後を送るための心構えといった書なのかもしれません。


[ 2013/08/04 07:00 ] 人生の本 | TB(0) | CM(0)
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