とは学

「・・・とは」の哲学

『デンマーク流「幸せの国」のつくりかた』銭本隆行

デンマーク流「幸せの国」のつくりかたデンマーク流「幸せの国」のつくりかた
(2012/09/26)
銭本 隆行

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著者は、大学生のときデンマークを訪れ、日本で新聞記者として11年働いた後、2006年に再びデンマークへ渡り、現在、デンマークの「日欧交流学院」院長を務められています。

本書は、デンマークのことがコンパクトに記されている本です。これ1冊で、デンマークがほぼわかる内容です。デンマークの意外な面も満載です。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・1864年、ビスマルク率いるプロシアに戦争で敗れ、国土が3分の2に縮小されて、小国に転落した。そこで、「外で失ったものを内で取り戻そう」と、国の再興のため、荒涼とした原野の開拓に乗り出した。これが、デンマークが世界に誇る農業の出発点になった

・デンマークの輸出品目の割合は、食料品が18%、医薬品が9%と高い。重工業は持たないが、世界に通用する専門的技術を持ち、ピンポイントで世界を圧倒し、外貨を稼いでいる

・北海油田の開発にも1980年代から本格的に力を入れ、1997年にはエネルギー自給率が100%に達した。デンマークは隠れた産油国

・税負担と社会保障負担をあわせた「国民負担率」で、デンマークは70%と、世界で最も高い水準。スウェーデンは59%、ノルウェーは55%、フィンランドは59%と北欧諸国は軒並み高い。一方、日本は41%と低い。日本は公的負担は少ないが、私的負担が大きい国

・デンマークの就業人口に占める公務員数の割合は31%。高校、大学、医療機関もほとんどが公立、介護職員もほとんどが公務員。税金は、公務員の給料として大部分が使われる

・デンマークでは、公務員=安定ではなく、羨望の対象にもならない。公務員でも人員削減の対象となれば解雇される。また、退職金という制度もデンマークにはない

・デンマークでは、まず残業はしない。残業の最初の3時間は時間給で50%増、さらに、それから先の残業は100%増。雇用主は、高額の残業代を払うより、残業させないほうが得

・デンマーク人がストレスを感じるのは「仕事ではない」。むしろ、「仕事を終わった後の余暇時間の使い方」で悩む

家庭医は医療の「門番」。病気になれば、まず家庭医に連絡し、診察・治療・薬の処方を受ける。この時点で85%以上の医療行為が終了する。家庭医は、医療費抑制に大きく貢献

・保育のあり方として、「子供は退屈しなければならない」と、よく言われる。子供が退屈すれば、何かをしようと自分で遊びを考える。そこからクリエイティブかつ積極的になる

・国民学校での教育の目標は二つ。一つは「知識を得ること」。もう一つは「社会的に生きていけるスキルを身につけること」。これが同時に動かなければ、人間は前に進めない

・デンマークでは職人の地位が高く、収入も高い。例えば、自動車整備工の時間給は最低でも4500円。そのため、男子は、高校よりも職業学校へ進む割合が非常に高い

・大学に進む際に受験はない。高校での学生試験をもとに志願する。しかも、試験の成績だけが入学条件ではない。高校を出た後の経験もポイントになるから、若者が「13年間教育を受けてきたから、次を受けるまで、しばらく休まなきゃ」という言葉に納得できる

・デンマークには徴兵制度があり、18歳から60歳までの成人男子には、祖国を守る兵役の義務が憲法で定められている。だが、全員が兵役に服するわけではない

職種別初任給は、販売員30万円、農家34万円、銀行員39万円、看護師39万円、塗装工41万円、美容師42万円、鍛冶工43万円、教師47万円、新聞記者52万円、家庭医54万円、弁護士60万円など。毎年昇給せず、ある一定レベルで止まる。ボーナスはなし

・デンマーク人は、生涯に平均6回転職する。課長や部長のポストが空けば公募が普通

・デンマークでは、離婚しても、父親が慰謝料や子供の養育費を支払うことはまずない

・のどかな印象を受けるデンマークだが、犯罪率は意外に高い。刑法犯の認知件数は、日本の4倍以上。検挙率は約3分の1。9割までが、スリ、置き引き、空き巣などの窃盗犯。そのため、多くの国民は損害保険にしっかり入っている

・日本の社会を不健全にしているのは、「相手を慮る」という大義名分による「他己決定」の慣習。他者が敷いたレールに乗って生きていくことはたやすい。他者が決めることに慣れてしまえば、人間は考えることをやめてしまう



デンマーク人が深く信仰している宗教は「民主主義教」だそうです。国民全体が民主主義を深く信じることができれば、北欧諸国のような高負担高満足の国が生まれるのかもしれません。

日本が北欧諸国のような世界に進むとすれば、民主主義を徹底的に、小学校から教え込む必要があるのではないでしょうか。そこからスタートのような気がします。


[ 2013/07/04 07:00 ] 北欧の本 | TB(0) | CM(0)
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