とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『下りる。』ひろさちや

下りる。下りる。
(2012/08/29)
ひろ さちや

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著書の本は、このブログで10冊ほどとり上げてきました。最近の著書は、日本や日本社会に対する警笛を鳴らすものが多いように思います。

本書も、日本人が構成している社会への疑問と訴えが主な内容です。受け止めるべき提言が数々ありました。それらの一部を要約して紹介させていただきます。



・資本主義社会というのは、みんなが無駄に浪費してくれないことには維持できない。真夏に冷房かけて、しゃぶしゃぶを食べる。真冬に暖房して、冷たいビールを飲む。それでこそ、資本主義は安泰。「もったいない」「節約しよう」なんていう発想は、資本主義の敵

・「あくせく・いらいら・がつがつ」と生きてきたのに、幸せは得られなかった。これからは、「ゆったり・のんびり・ほどほど」に生きよう。でも、幸せは得られない。ゆったり・のんびり生きられることで幸せになる

・競争が不必要だとは言っていない。競争は悪だと言っている。「必要だから善、不必要だから悪」というわけではない。日本人は、「必要悪」の考え方をなかなか理解してくれない

・日本人は、物事に関して、善か悪かの判断をすることなく、必要か不必要かの判断だけをする。しかも、必要か不必要かの判断をするのは政治・経済・社会。そこで下された判断に従うほかない。その結果、必要なものはすべて善不必要なものは悪とされる

・誰が競争を必要としているのか?それは社会や会社。社会が経済発展するために、会社が利益を得るために、無理やり人を競争させている。競争させられる個人はいい迷惑

・競争原理が支配する社会では、他人はみんな敵・ライバルになってしまうから、他人を信頼できなくなる。「この社会では、気をつけないと誰かに利用されてしまう」のアンケート結果は、フィンランド25%に対して日本は80%。日本の対人信頼度は低い

・日本ではワークシェアリングが定着しない。二人に一人しか仕事がないとき、一人を残し、もう一人をリストラする。これは、「君は熊に食われろ、俺はその間に逃げる」という考え方。競争型の社会において、成功者になろうとすれば、そのようなエゴイストになる

・「人生の問題」とは、東に進むべきか、西に進むべきか、「方向性」の問題。「生活の問題」とは、その方向に、自動車で行くか、歩いて行くか、「手段」の問題。日本人は、方向性の問題を不問にしたまま、手段の問題ばかり考えてきた。そして、大きな壁にぶつかった

・いい加減に目を覚ますこと。大事なのは、生活ではなく人生。「人生」をどう生きるべきかを、今こそ、考えるべき

・古代のエジプトでは、官僚はすべて奴隷だった。貴族を官僚にすると、王を裏切る危険がある。しかし、奴隷を官僚にすれば、彼らは王に忠実に仕えるから、王は安心できる。その伝でいけば、日本の官僚も、政治家も、サラリーマンも奴隷

・われわれには「ゆったり権」(人生をゆったり・のんびり・ほどほどに暮らす権利)があることを自覚すべき。江戸に暮らす庶民は、1日に4時間くらいしか働かなかった

・国は納税者に、納税した分だけのメリットを還元する義務がある。国が納税者に相応の利益を還元しないのであれば、さっさと政治家を取り替えればいい。われわれは、国に要求だけをしていればいい。納税の義務以外に、国に尽す義務はない

・奴隷をやめて、精神的貴族になろう。その目標のために、あれこれと工夫をすること

・資本主義経済において、一番大事なものは、「欲望の生産」。いかにして、人々に欲望を持たせるか。もし、人々が欲望を持たなくなってしまったら、たちまち資本主義経済は崩壊する

・富裕層と貧困層との間に格差が生じると、低所得者層の欲望は減退する。欲しい物があっても買えなくなる。欲望を抑制するほかない。しかも、この低所得者層は、一般に年齢の低い若者。若い人たちが、欲があっても金がないなら、どんどん景気が悪くなる

・電力の浪費によって、経済がうまく循環していた。電力が高価になると、日本経済にとって致命傷。日本の経済の特色であった「無駄・贅沢・浪費」の六文字が消える

・競争は、敗者を不幸にして、勝者を傲慢にする。勝者が敗者を見下したとき、敗者をつくる社会のシステムの支持者になるということ。すなわち、競争原理の讃美者になる

・あらゆる欲望は、放っておけば、肥大化する。そして、どんどん欲が膨らむ。だから、少なくしないといけない。それが「少欲



欲望がすっかりなくなると、私たちの社会は成り立たなくなります。しかし、今のまま、欲望を肥大化させていくと、住みにくい世の中になっていきます。

それを解決するには、若い時は、欲望を持ち、歳をとっていくとともに、欲望を少しずつ減らしていくというのが、理想的な姿です。高齢者の欲望は、はしたないという共通認識が必要なのかもしれません。そういうことを考えさせてくれる書でした。


[ 2013/05/30 07:00 ] ひろさちや・本 | TB(0) | CM(0)
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