とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『幸せはいつもちょっと先にある・期待と妄想の心理学』ダニエル・ギルバート

幸せはいつもちょっと先にある―期待と妄想の心理学幸せはいつもちょっと先にある―期待と妄想の心理学
(2007/02)
ダニエル ギルバート

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著者のダニエル・ギルバート氏は、ハーバード大学社会心理学部の教授です。未来の感情を予測する心理について研究されています。

未来を悲観する人間もいれば、楽観する人間もいます。悲観も楽観もせず、正しい予想をする方法がないのかが、本書の主旨です。参考になった箇所が幾つかありました。それらの一部を紹介させていただきます。



未来について考えるのが、あまりに心地よいため、われわれは現実にそこへ行き着くより、それについて、ただ考えるほうを好む

・わざわざ好ましくない出来事を想定する理由は、「受ける衝撃を最小限に抑えられるから」と「恐れ、心配、不安が、慎重で予防的な行動をとらせるのに効果的だから」

・目の錯覚、記憶の錯覚、未来の錯覚の三種類の錯覚は、すべて同じ人間心理の基本原理

・徳のある人生を送ることが幸せをもたらすとしても、それは原因であって、幸せそのものではない

・幸せは主観的な経験であり、自分自身にも他人にも説明するのが難しいため、他人の主張する幸せを評価するのはおそろしく困難な仕事

・脳が過去を思い出したり、未来を想像したりするとき、たっぷりの「穴埋め」のトリックを利用する。記憶行為には、保存されなかった細部の「穴埋め」が必要

・過去を思い出そうとするとき、頻繁に「今日」を使い、今の考えや行動や発言を、かつての考えや行動や発言として思い返している

・現実の今をつらいと感じることで精一杯のときに、想像の未来を楽しいと感じることはできない

・すばらしい出来事は、最初に起こったときが特別すばらしく、繰り返し起こるにつれ、すばらしさが薄れてしまう。この「慣れ」を打破するのは、変化と時間。そのためには、「経験の数を増やす」ことと「次に経験するまでの時間間隔を増やす」こと

・われわれは、未来の感情を予測するとき、自然と現在の感情を出発点にするため、未来の感情が、実際以上に今の感情に似ていると思い込む

・現在主義が起こるのは、未来の自分が世界を見る見方が、今の自分の見方とは違うことに気づかないから

・人は、何かいったん自分のものになると、それを肯定的に見る方法を見つける

・自分より成績が悪い人の情報ばかりを求める傾向は、賭けたものが高価な場合、特に顕著になる。さらに、自分より成績の悪い人を見つけられないと、成績の悪い人を作り出すようになる

・説明できない出来事は、第一に「まれで珍しい出来事に感じる」。第二に「その出来事について考え続ける」

・われわれは、経験の「快楽」を、その終わり方で判断することが多い。経験の「喜びの総量」を明らかに考慮していない

・われわれが何かを思い出そうとすると、記憶は何でも好きな情報を使って、新たにイメージを組み立て直し、それを心のイメージとする

・富が人間の幸せを強めるのは、赤貧から抜け出して、中産階級になる場合だけで、それ以上は、ほとんど幸せを強めない

・富と名声の喜びは、壮大で美しく高貴なものと想像される。富を得るためなら、どんな勤労や心労も喜んで引き受ける価値があるという欺瞞こそ、産業を刺激して絶え間なく動かし続けるもの

・富の生産は必ずしも個人を幸せにするとは限らないが、経済の必要を満たしていて、その経済は安定した社会の必要を満たし、その安定した社会は幸せと富についての欺瞞的な思想を広めるネットワークとして働く



人間の一生は、錯覚の一生かもしれません。不安、心配、恐れを緩和するために、錯覚するのはいいことですが、将来予測を錯覚によって、見誤るのは、よくないことです。

しかし、この錯覚がないことには、何事も、前には進みません。未来に必要以上の期待を抱くからこそ、前向きに生きられるのだと思います。

著者が言いたかったのは、「希望と期待はよいことだが、それらを持ちすぎるのは、よくない」ということなのかもしれません。


[ 2013/02/21 07:01 ] 幸せの本 | TB(0) | CM(0)
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