とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『思考の整理学』外山滋比古

思考の整理学 (ちくま文庫)思考の整理学 (ちくま文庫)
(1986/04/24)
外山 滋比古

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今年で90歳になる外山滋比古さんは、現役の言語学者・エッセイストです。生涯に出版した本の数が150冊にものぼり、今でも毎年新しい本を書き続けられています。

この本は、1986年に出版されましたが、今でも版を重ね続けているロングセラーの書です。知的活動を続けていく上での多くのヒントが、本書にはいっぱい詰まっています。これらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・なぜ教えてくれないのか、当然、不満をいだく。これが実は学習意欲を高める役をすることをかつての教育者は心得ていた。あえて「教え惜しみ」をする。じらせておいて、やっと教える。といって、すぐにすべてを教え込まない。本当のところはなかなか教えない

秘術は秘す。いくら愛弟子にでも隠そうとする。弟子の方では、教えてもらうことをあきらめて、何とか師匠の持てるものを盗みとろうと考える。ここが昔の教育の狙い

・今の学校は、教える側が積極的でありすぎる。親切でありすぎる。何でも教えてしまおうとする。それが見えているだけに、学習者は、ただじっとして口さえ開けていれば、欲しいものを口に運んでもらえるといった依存心が育つ

・今ここで議論するより、一晩寝て、目を覚ましてみれば、自然に落ち着くところへ落ち着いている。英語には「一晩寝て考える」という成句もある。朝になって浮かぶ考えがすぐれていることを多くの人が知っていた。朝の頭を信頼し、朝の思想に期待すること

・詩とは、最も良き語を最も良き順序に置いたもの。詩も言葉のエディターシップによってできるようになる

・すぐれた句が生まれるのは、俳人の主観が受動的に働き、あらわれる素材が自然に結び合うとき。一見して、没個性に見えるであろう作品こそ、大きな個性が生かされる

寝させておく、忘れる時間をつくる、というのも、主観や個性を抑えて、頭の中で自由な化合が起こる状態を準備することにほかならない

・抽象のハシゴを登っていくのが哲学化。日本人は古くから多くの歴史的記録を残している。ところが、これを歴史論、歴史学に統合する史観がはっきりしていなかった。第一次歴史情報に恵まれていても、これをメタ化して、二次、三次の理論にする試みはなかった

・書き留めてあると思うと、それだけで安心し、一時頭から外せる。しかし、記録を見れば、いつでも思い出すことができる。考えたことを寝かせるのは、頭の中だけではない

・頭をよく働かせるには、「忘れる」ことが、極めて大切。頭を高能率の工場にするためにも、どうしても絶えず忘れていく必要がある

・自分の過去を振り返って、ここまでやってこられたのは、誰のおかげかと考えてみると、たいていは、ほめてくれた人が頭に浮かぶ

・友には、ほめてくれる人を選ばなくてはいけないが、これがなかなか難しい。人間は、ほめるよりもけなす方にできている。いわゆる頭のいい人ほど、欠点を見つけるのが上手く、長所を発見するのが下手

・書き上げた原稿を読み直して、手を入れる。原稿は黙って書くが、読み返しは、音読する。少なくとも、声を出すつもりで読む。これをしている人が意外に多い。もし、読みつかえるところがあれば、必ず問題が潜んでいる。再考しなくてはならない

・俗世を離れた知的会話とは、まず身近な人の名を引っ張り出さないこと。共通の友人の名前が出ると、どうしても会話がゴシップに終わる。ゴシップは害あって益なし

・調子に乗ってしゃべっていると、自分でもびっくりするようなことが口をついて出てくる。声は考える力を持っている。われわれは頭だけで考えるのではなく、しゃべって、声にも考えさせること

・似た者は似た者に影響を及ぼすことができない。同族で固まっていると、活力を失い、やがて没落する。新しい思考を生み出すにも、インブリーディング(同系繁殖)は好ましくない。それなのに、近代の専門分化、知的分業は、似たもの同士を同じところに集めた

・少し考えて、うまくいかないと、あきらめてしまう。これでは、いい考えは浮かんでこない。もうだめだ、と半ばあきらめたところで、なお投げないで考え続けていると、すばらしい着想が得られる。せいてはいけない。根気が必要

・「無我夢中」「散歩中」「入浴中」の三中の「最中」が、いい考えの浮かぶ状態



企画やアイデアなど知的作業を仕事にする人にとって、いい考えが思いつくかどうかは死活問題です。本書には、いい考えが思いつくためのヒントがまとめられています。

その中で、自分にも合うものが、きっと見つかるはずです。一度、思考を整理してみてはいかがでしょうか。


[ 2013/02/13 07:03 ] 仕事の本 | TB(1) | CM(0)
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