とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『シェアハウス・わたしたちが他人と住む理由』阿部珠恵・茂原奈央美

シェアハウス わたしたちが他人と住む理由シェアハウス わたしたちが他人と住む理由
(2012/11/16)
阿部 珠恵、茂原 奈央美 他

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結婚して、二人で生活し始めるのも、考えてみたら「シェアハウス」です。愛のある二人が暮らすのでも、いろいろと気苦労が多いのに、赤の他人が大勢で暮らすとなると、しなければいけないこと、やってはいけないことの連続ではないでしょうか。

「シェアハウス」では、それらの問題を、どう克服して、暮らしているのかが気になって、本書を読みました。その疑問を解く鍵が、数多く散見されました。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・全員が納得できるルールを作れるか否かこそが、シェアハウスがうまくいくかの根幹を占める重要なポイント

・各自が不満を持たない共益費ルール(例えば、シャンプーを人と共用できるか、個人で選びたいか、共用する場合の共同購入費をどうするか)を作り上げることが、シェアハウスで楽しく暮らすための第一歩

・掃除は、「週当番制」が主流。でも、掃除が嫌いな人が、ささっと適当にやったものを見て、キレイ好きな人がイラッとすることもあり、徐々に「気づいた人がやる」に変わっていったという場合もある

・洗濯は、「全員分をまとめてやる」ことに、生理的に受け入れられない人が、一人でもいる場合は、自然と「自分で自分のものを洗濯する」方式になる。水まわりのタオルなどは、気づいた人が一緒に洗う場合か、当番制で別に洗うかなどのルールでやっている

・食事は、各自で管理するのが一般的。たまに、全員で食べようとなったときは、「かかった食費」を割り勘にする。その他、誰もが使う調味料や米などについては、共用費でまかなう場合が多い

・冷蔵庫は共用だが、その中身の管理は、厳格管理派と適当派に大きく分かれる。厳格管理派では、「自分のものは名前を書く」「卵など使った場合は一個20円」など、キッチリしている

・価値観や生活習慣の違いは、シェアハウスにおいて、必ずぶち当たる壁。この壁に直面した時に、衝突しあうのではなく、建設的に話し合い、落としどころを見つける努力が、シェアハウスを続ける上で必須になる

・ケンカは「ない」という一方で、トラブルは「ある」と回答している人で、特に多いのが「騒音」。広いリビングという居住者の友人が集まりやすい空間では、騒音のトラブルが発生しやすい

・「シェアハウスに向いている人」は、気になることを言って、ストレスを溜めこまない人。また、生活の価値観がみんな同じわけがないことを飲み込み、それをすり合わせる姿勢を持てる人

・シェアハウスのメリットは、「経済的」(生活費が下がる、広い家に住める)と「楽しさ」(話し相手がいる、安心感がある、同居人や家に遊びにくる人を通して、いろいろな情報や価値観が入る)

・シェアハウスには、よく人が来る。定期的にパーティーをすることも多いが、ふらっと人が遊びに来ることも多い

・決まったルールだけでなく、現状の不便や不満に合わせて、ルールを調整したり、新設したりと「生きたルール作り」をすることが大事

・いつそこを出てもかまわない、また戻ってきてもかまわない、それこそ、シェアハウスの「外の人が集まってくる」ことのメリット。ソトやウチ関係なく、いろいろな人が行き交うオープンさを併せ持つユルさが、シェアハウスの在り方

・最近の若者は、質素になっているとか、貧乏くさいとか、いろいろ言われているが、必ずしも、そういう質素な生活を若者が求めているわけではない。そこには、きちんとした合理的な判断が働いている。無理な背伸びはしないが、ロジカルな計算は巧くなっている

江戸時代の長屋は、パブリックとプライベートが交わる場だった。路地に面して長屋があり、昼間は路地が開け放たれ、夜は路地の入口の木戸が閉じられ、安全性が保たれた。つまり、路地が、パブリックとプライベートの間のワンクッションとして機能していた

・かつての農村や企業、学校のような閉鎖的な同調圧力を生み出さないためには、パブリックとプラベートをうまく接続し、交わわせるコミュニティ機能が、シェアハウスに必要になる



人と人とが長く深く交わり、良好な関係を築くということは、お互いにルールを根気よく作っていくということです。これこそ、まさに民主主義の原則です。

この民主主義の原点が、このシェアハウスにあるように感じました。公私の折り合いをつけながら、お互いに得する生き方の一つが、シェアハウスではないでしょうか。人間社会の関係性を学ぶいい機会でもあるように思いました。


[ 2013/02/05 07:01 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)
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