とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『行為の意味―青春前期のきみたちに』宮澤章二

行為の意味―青春前期のきみたちに行為の意味―青春前期のきみたちに
(2010/07/06)
宮澤 章二

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本のタイトルは、心理学書や哲学書といった感じですが、意外にも、本書は詩集です。著書は、「ジングルベル、ジングルベル、すずがなる」の作詞者として知られる詩人です。5年ほど前に、亡くなられました。

その著者が、30年に渡り、中学生向け教育冊子に連載した詩を収めたのが本書です。世代を超えて、伝わってくるものがあります。その一部を要約して、紹介させていただきます。



・「原点について」 鳥が鳥である原点、それは翼を持ったこと。魚が魚である原点、それは水中に生まれたこと。ぼくらは人間の原点について考えたことがあるか・・・

・「若葉の道」 どんなに古い木でも、若葉だけは新しい緑。新しい緑に包まれた木は、新樹。この道を忘れていなかったろうか。あくせくしすぎていなかったろうか。夢が縮んでいなかったろうか。あなたの命が伸びる若葉になる。私の命も歌う若葉になる

・「自分で見つけながら」 やりたいことがないよ、なんて言うな。やっても仕方がないよ、なんて言うな。どうしてもやらなければならないことが、人間のつくる社会には無限にある。それは何か、それはどこにあるか。みんなが自分で見つけながら生きている

・「見えないものを」 枯れたように見えて、本当は枯れない枯れ野いっぱいの草たち。どこかに種子もこぼれている、数えきれないほどこぼれている。見えるものばかりに目を注ぐとき、残るのは虚しさだけではないか。見えないものたちを信じよう

・「だれに見られなくても」 花はだれかのために咲くのではない。だれに見られなくてもいいではないか。花たちは、みな自分のためにひらく

・「ぞうきんのうた」 水洗いされたぞうきんは、あちらこちらの汚れをふき取り、自分はいつも真っ黒になる。相手の汚れを自分の汚れにすることで清め、冷たい水で洗われ続け、自分はぼろぼろになってゆく

・「母と子の季節」 母は春の大地。子どもらは、そこから立ち上がる。子どもらは、そこから一歩を踏み出す。母は夏の青空。そこへ向かって、子どもらは手を振る。そこへ向かって、子どもらは飛ぶ

・「あなたに語りたい」 お父さんもお母さんも何かを求め続けてきた。それをあなたに語りたい。お父さんもお母さんも何かを知ろうと努めてきた。それをあなたに語りたい。お父さんもお母さんも一生懸命に生きようとしてきた。子供らよ、それをあなたに語りたい

・「耐える」 風や雨に耐える。長い時間に耐える。すべて耐えることの意味の深さ。急ぐことなく耐えて、耐えながらおのれを鍛えて、そこに初めて開ける真新しい風景よ。私たち一人一人に成長の重さを語れ

・「身構えているもの」 自分の力は自分で溜めなければならない。それこそ自らが生きている証拠。聞こうと身構えている者たちの、泳ぎ出そうと身構えている者たちの、伸びようと身構えている者たちの、熱い気迫がむんむんとあふれる早春の大地に私も立っている

・「別れの季節」 「成長したね」という言葉にうそはない。「これからだね」というのも正直な言葉。「がんばれよ」と励ましてくれる言葉を素直に信じて、前進を心に誓う季節。人の好意を、その時疑ってはいけない

・「マラソンの季節」 マラソンランナーは走る。スタートから自分の足を信頼して。自分のからだの調子も、自分のペースの配分も、一番よくわかっているのは自分だ。この世に生きる誰もがマラソンランナーになる時を待つ。孤独感と疲労感を自分で克服しながら

・「試されている」 走り抜く、やり抜く生き抜く。ありふれた言葉のように見えるけれど、本当はこれらの言葉によって、僕らの日常も、生涯も、人知れず試されているのだ

・「行為の意味」 <心>は誰にも見えない。けれど、<心づかい>は見えるのだ。胸の中の<思い>は見えない。けれど<思いやり>は誰にでも見える。温かい心が温かい行為になり、優しい思いが優しい行為になるとき、<心>も<思い>も、初めて美しく生きる

・「一心不乱に」 道に迷うことがあっても、独りぼっちになる時があっても、アリは絶対に絶望なんかしない。絶望なんかしているひまがないくらい、僕らは一心不乱に歩きたい

・「出発の意味」 「進もう」と決意するからこそ道がある。自分の道は自らの努力でしか歩けない。それを身をもって確かめるための出発

・「ことばの風景」 家という場所は、「おかえり」のひと言で明るくなる。「ただいま」のひと言で暖かくなる



若者にいちゃもんをつける年寄りが多くいます。老人の若者への嫉妬ほど醜いものはありません。本書は、若者への温かい眼差しに満ち溢れた詩集です。

本書には、若者を育てていこうとする美しい心があります。この心こそ、人間社会にとって、一番大切なものではないでしょうか。


[ 2012/12/24 07:03 ] 育成の本 | TB(0) | CM(3)
宮澤章二『光と風の会』
宮澤章二の詩集を取り上げていただきありがとうございます。本日(1月23日)羽生市立三田ケ谷小学校の空き教室を利用し、宮澤章二記念館がオープンします。是非一度おいでください。
[ 2013/01/23 07:48 ] [ 編集 ]
祝!宮澤章二記念館オープン
宮澤鏡一さまへ


はじめまして
宮澤章二さんの御子息?でいらっしゃいますよね。

宮澤章二記念館
http://acore-omiya.net/?eid=648
オープンおめでとうございます。

お父上?の素敵な詩集を
稚拙なまとめ方しかできず、
申し訳なく感じております。

宮澤章二さんの素晴らしい功績が
これを機に、世間により広まることを
願っております。
[ 2013/01/23 12:10 ] [ 編集 ]
お礼
金蔵様

宮澤鏡一です。

ご返事いただきありがとうございました。

2019年が、宮澤章二生誕100年になりますので、目下、
『光と風の会』という組織を立ち上げ、三田ケ谷小学校
の一室ではなく、1戸建ての記念館と全集を出したいと
願っております。

もしよろしければ、何らかのご協力をいただければ幸い
です。
[ 2013/02/12 09:19 ] [ 編集 ]
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