とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『道歌教訓和歌辞典』木村山治郎

道歌教訓和歌辞典道歌教訓和歌辞典
(1998/09)
木村 山治郎

商品詳細を見る

日本人は、古来より、57577の短歌、和歌、道歌などを詠んできました。百人一首に出てくるような歌だけでなく、ひとかどの人物なら誰でも、死ぬ前に、辞世の句くらいは詠んでいます。

歌を詠むことは、日本人のたしなみとして、また、その人物の力を推し量る目安として、利用されてきたわけです。

本書には、江戸時代以前の人物の道歌、教訓和歌が千首以上収められています。その中から、気に入ったものを紹介させていただきます。


・「くいのみが悪き友よぶ根となりて いろやばくちの花を咲かせる」(脇坂義堂・やしなひ草)

・「掃けば散り払えばまたも塵積る 人の心も庭の落葉も」(作者・出典未詳)

・「諂(へつら)いて富める人よりへつらわで 貧しき身こそ心安けれ」(虚白斎・売ト先生糠俵)

・「よい仲も近ごろ疎くなりにけり 隣に蔵をたてしよりのち」(鳩翁道話)

・「狐よりこわさは金と色と名と おおかたこれに化かさぬはなし」(手島堵庵・児女ねむりさまし)

・「酒くんで三味線ひいて気をうばい 人をとり喰う鬼の多さよ」(布施松翁・松翁道話)

・「身を立る人の心にわするなよ 守りつつしむもとは堪忍」(三井高房・始末相続講式目)

・「負けて退(の)く人を弱しと思うなよ 知恵の力の強い故なり」(松翁道話)

・「いにしえの賢き道を学べども こころをかうる人ぞ少なき」(足利尊氏)

・「あおぐべき道はさまざま見聞きても 学ぶ心の立たざるぞうき」(松平定信)

・「為になることをいう者忌み嫌い 毒をあてがう人が好きなり」(松翁道話)

・「禍(わざわい)は欲にちなみてくるとしれ みだれ心はいろにすむゆえ」(曽我休自・為愚痴物語)

・「世の中に人をおかしと思うなよ 人はこなたやおかしかるらん」(荒木田守武・世中百首)

・「きょうほめて明日わるくいう人の口 なくも笑うもうその世の中」(一休宗純)

・「世の中の人は何とも云えばいえ 我がなすことは我のみぞ知る」(坂本竜馬)

・「ちうちうと嘆き苦しむ声きけば 鼠の地獄猫の極楽」(二宮尊徳・二宮翁夜話)

・「いにしえはこころのままにしたがいぬ 今はこころよ我にしたがえ」(一遍上人語録)

・「なに事もめに見る事をほんとせよ ききぬることはかわるものなり」(長者教)

・「金銀は慈悲となさけと義理と恥 身の一代につかうためなり」(一休宗純)

・「こと足れば足るにも慣れてなにくれと 足るがなかにもなお嘆くかな」(松平定信)

・「楽しみをいかなるものと尋ぬれば 憂きを離るる心なりけり」(清水広景)

・「たのしみは物識人にまれにあいて 古(いにし)え今を語りあうとき」(橘曙覧・志濃夫廼舎歌集)

・「死に来て死ぬ時ならば死ぬがよし 死にそこなうて死なぬなおよし」(仙涯禅師)

・「行うも止むも思うも忘るるも たくみのなすは絶間(たえま)なりけり」(道元禅師)

・「この世にて慈悲も悪事もせぬ人は さぞや閻魔(えんま)も困り給わん」(一休宗純)

・「雑巾を当字で書けば あちら拭くふくこちら福ふく」(作者・出典未詳)

・「銭あればあるにまかせてほしくなる なければないで猶(なほ)ほしくなる」(山岡鉄舟)



人の欲望は、昔も今も変わっていません。したがって、昔の人の教訓は、今でも十分に通用します。昔の人は、自分の失敗を伝えたかったのかもしれません。

日本人の叡智が詰まった和歌・道歌は、日本人の知恵の貴重なデータベースではないでしょうか。


[ 2012/12/10 07:00 ] 偉人の本 | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL