とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『大胆推理ヒトの進化から探る知性の本質』井上豊

大胆推理ヒトの進化から探る知性の本質―こどもに伝えたい本当の頭の良さ大胆推理ヒトの進化から探る知性の本質―こどもに伝えたい本当の頭の良さ
(2012/02/03)
井上 豊

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著者は、県立高校の教頭を経て、医療福祉大学の准教授になられた方です。この本では、「本当の頭の良さ」をテーマに執筆されています。

教師時代の経験をもとに、頭の良さとは何かを大脳生理学的に、明らかにされています。学校での実例も多く、面白く読むことができました。その要約を、紹介させていただきます。



・困難こそ、学習により獲得した知識の、実践の場であると同時に、進歩の原動力

・高齢になるにしたがって、大脳前頭葉だけが急速に委縮するとと、理性と感情のバランスが崩れ、怒りを爆発させて、癇癪を起こして、感情を抑えられなくなる

・沸き上がる「怒りの感情」をコントロールできなくなってキレる若者は、癇癪を起こす認知症患者に似ている。原因は、大脳前頭葉の成長の遅れ、すなわち「発育不全」にある

・脳は小学校入学までに、基本的なところは完成するが、大脳前頭葉だけは、20歳くらいにならないと完成しない。そのうえ、成長のスピードにも個人差がかなりある。若者の中に大脳前頭葉の成長が遅れている者がいても、少しもおかしくない

・大脳前頭葉は、感情をコントロールするだけでなく、目的意識向上心創造性などに関係する重要な器官だが、その成長は遅く、そのうえ老化の影響を受けやすいなど、極めてデリケートで故障しやすい側面を持っている

・体温維持・食欲・性欲などに係わる「古い脳」は、下等動物から使い続けられ、進化を通じて、完成度を増してきたので、滅多に不具合は起こらない

・酒乱の人たちは、アルコールの影響を受けやすく、大脳前頭葉が働かなくなる。気に食わないことに怒り、暴言・暴力で人を傷つける。「キレる」「癇癪」の状況と全く同じ

・昔の子供は、早くも赤ちゃんのときにキレていた。このキレることを「かんの虫が起こった」と言った。泣いて、ときにキレて、泣き疲れて寝る。不快・怒りの感情をうまく手なずける方法を身につけて、何事にも耐え、ガマンして毎日の生活を送っていた

・学級崩壊もADHD(注意欠陥/多動性障害)の子供たちが深く係っている。このADHDの直接の原因は、大脳前頭葉がうまく働いていないため

・ADHDの子供たちは、ふざけてやっているわけではなく、意地悪でも、面白がっているわけでもない。本人自身が、自分をコントロールできない。つまり、ガマンを強いられず、快適な環境でずっと育った結果、大脳前頭葉の成長が遅れたため

孫を溺愛する祖父母が、いつでも孫の味方につくほど、子供はキレやすくなる

大脳前頭葉の発達を促すには、1.「なすべき目標・目的を持つ」2.「イヤなことから逃げない」3.「自分を甘やかさない」4.「やるべきことはきちんとやる」5.「感情をストレートに出さない」6.「面倒なことから逃げない」7.「どんなことでも最善を尽くす」

・動物の頑張りは、「生きるため」「子孫をのこすため」という強烈な動機が引き金になる。要は、動機こそが頑張りの源。ダラけた生活の原因は、強烈な動機がないことにつきる

・人間は、自分の目標をどのくらいはっきり自覚するかどうかで、頑張れる度合いが決まる。そして、目標を持った人ほど、強く、たくましく、充実した人生を送ることができる

・感受性は、心ときめく「プラスの感動」と、不安を生み出す「マイナスの感動」の振幅差。振幅差の大きい人は、受ける感動も大きい割に、落ち込むと、とことん落ちてしまう

・扁桃体のおかげで、恐れや恐怖心が生まれ、危険な状態から回避できる。実は、怒りの感情も、扁桃体が生み出している。怖くて、怖くて、体がすくんでしまったとき、最後の反撃に「怒り」が必要になる

・不安を解消するには、やるべきことをきちんとやり、それでも不安が消えないのなら、もっとやればいいだけ

・「頭の良さ」とは、少しずつ確定していく「努力の跡

・目標・目的がしっかり認識できるようになれば、大脳前頭葉が不安・恐怖などの情動を抑え込み、目的に向かって努力するパワーを生みだしてくれる

・「頭の良さ」に差があるにしても、いくらでも「目標・目的を持って努力すること」で、差を縮めることはできる



大脳前頭葉を発達させること、つまり「頭を良くする」には、「目標・目的を持つ」「我慢する」「やるべきとをやる」「努力する」といった、当たり前のことをきちんとやるかどうかのようです。

飛び道具などありません。地道に、計画したことをやり抜けば、自然と頭が良くなっていくということなのかもしれません。


[ 2012/08/10 07:01 ] 育成の本 | TB(0) | CM(0)
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