とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『自由をつくる自在に生きる』森博嗣

自由をつくる自在に生きる (集英社新書 520C)自由をつくる自在に生きる (集英社新書 520C)
(2009/11/17)
森 博嗣

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森博嗣さんは人気作家です。元国立大学工学部教授という異色の経歴の持ち主です。本書は、著者が、組織に属していたときの不自由さとフリーになってからの自由さの両方を味わった経験から、自由とは何かを論じた書です。

結構奥の深い「自由論」が展開されています。その一部を紹介させていただきます。



・人生の目的とは、結局のところ、自由を獲得すること

・「自由というのは、自分の思ったとおりにできること」という言葉に反応する人は少数。少しでも自由の価値を知っている人、それを望んでいる人に、この言葉は通じる

・「誰からも文句を言われない状態」。つまり、支配されないことも自由の条件として重要

・罪を犯せば制裁を受け、それによって受ける不自由は大きい。「罰」とは、できないことの不自由と、してしまって受ける不自由との交換

・やりたいけれど、人目が気になってできない、そんな恥ずかしいことはできない、と自己規制する。その「支配」は、いわゆる「常識」と呼ばれるもの

・人間には支配を受け入れる本能がある。甘んじるというよりも、支配されている方が安心できる、というもの

・自由を手に入れるということは、「できる自分」を作り上げること

・支配の傘下に入ることは、余計な心配から逃れられる手っ取り早い方法。保険に入るように、安心という錯覚が得られる

・科学は、自然(あるいは神)の支配から人間を解放した。科学技術は、数々の自由を人間にもたらした。あらゆるテクノロジーは、人間をより自由にするためのもの

・「昔は良かった」「自然に還ろう」という短絡的発想は、「不自由」や「支配」への回帰

・「人の目を気にする」人間の大半は、自分の周囲の少数の人の目を気にしているだけ

・コンテストや競技には、「やった!」という達成感があるが、それは、不自由から解放されただけ。目指すものは、自分で決めなければ意味がない。本当の自由がそこから始まる

・「」は、やってもやらなくても、どちらでもよいもの。「」も、得られるものはないのに、参加を半ば強制される。メリットがあるなら無理に誘わなくても人は集まるはず

・美しい言葉に飾られ、密かに、そして緩やかに、支配は存在している。民衆から搾取して、富を集める力は相変わらず存在する。安心の皮を被った支配を見抜けない鈍感な人たちは、今でも騙され、そして奪われている

・常に自由に向かって進む、その姿勢こそが、自由の本質

・自由に行動することは、周囲と少々の摩擦を生じる。なにしろ、周囲にいるほとんどの人たちは「支配下」にあって、その支配が「当たり前」だと思い込んでいるから

・物事を抽象的に捉える目を持つ人は、他者の成功例、ノウハウから、本質を見出す

悩んでいる人は、解決方法を知らないのではなく、知っていてもやりたくないだけ

・自由を手に入れるための秘訣は、「みんなと同じことをしない方が得」ということ

・自分にとっての合理的な理由で判断すること。周囲の評価、定説、噂、世間体、そして常識といったもので選ばないこと

・蓄えたもの(経験、知識、常識、信念)が、実は自分を縛る結果になる

・成功した人の話を聞くと、ほとんどの場合、自分が築いたシールドから出ていき、未踏の地へ進んだことが転機となっている

・生きるとは、死への抵抗。自然に流されるままでは「生きている」とは言えない

・人間は、本来怠け者であり、持続することが苦手といった欠点を持つ。そんな人間が偉業を成し遂げるのは、すべて、小さな前進、小刻みな努力を積み上げた結果



世の息苦しさを、著者が代弁してくれているようで、読み終わった後、スカッとした気分になりました。

私たちは、自由を手に入れることが人生の目標であるはずなのに、その一番大事な自由を犠牲にしてしまっていることが多いのではないでしょうか。

もう一度自由のありがたさを認識し、自由になるための「できる自分」をつくる必要性を感じさせてくれる書でした。


[ 2012/07/05 07:01 ] 幸せの本 | TB(-) | CM(0)
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