とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『二宮尊徳の遺言』長澤源夫

二宮尊徳の遺言二宮尊徳の遺言
(2009/02)
長澤 源夫

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二宮尊徳の本は、過去にこのブログでも、「二宮尊徳90の名言」「二宮翁夜話」「二宮金次郎正伝」の3冊をとり上げてきました。

本書は、二宮尊徳の実像に迫り、二宮尊徳がどれだけの人に影響を与えてきたのかを検証するものです。いわば、「二宮尊徳の歴史」を読み解くものです。

二宮金次郎の人となりに関して、参考になった点が、数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・明治の宗教家である内村鑑三は、著書「代表的日本人」で、西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮の5人を取り上げた。なかでも、二宮尊徳を尊敬し、尊徳を古代ギリシャの哲学者ソクラテスに比肩しうる世界の偉人の一人であると述べている

・薪を背負った尊徳だけしか知らないのであれば、それは本当の尊徳の姿ではない。お金の使い方生活信条組織運営の方法、こういったものすべてを見事に実践した尊徳こそ、本来の姿。日本人一人一人には、必ず二宮尊徳のDNAが受け継がれている

・二宮尊徳は、「道徳を忘れた経済は罪悪であり、経済を忘れた道徳は寝言である」という道徳経済一元論を唱えた、まさに世界に通じる日本の誇れる思想哲学者であり、経済人

・二宮尊徳が思想哲学として唱える「報徳」の教えとは、「1.道徳経済一元論」「2.天道人道論」(自然に手を加え利益を生み出す)「3.勤労・分度・推譲」(利益維持・相応生活・安定幸福)

・二宮尊徳の遺言は、「我を葬るに分を越ゆるなかれ、墓石を建つることなかれ、碑を立つることなかれ、ただただ土を盛り上げて、その傍らに松か杉を植え置けば、それにて可なり」

・二宮尊徳の思想や生き方に共鳴した人物は、渋沢栄一、安田善次郎、鈴木藤三郎、御木本幸吉、豊田佐吉、後藤新平、本多静六、石橋湛山、松下幸之助、土光敏夫、ジョン・F・ケネディ、ライシャワー、サッチャーなど錚々たる顔ぶれが並ぶ

・尊徳の勉学の特色は次の三点。「1.外から押しつけたものではなく、自発的なもの」「2.目的が、貧苦しから抜け出し、生活を豊かにし、幸福になるための英知を開発すること」「3.時間が持てないので、働きながら勉学したこと」

・尊徳は、犠牲を美徳であると賞揚することはなかった。それは、自他両全でなかったから。この考え方は、極めて今日的発想であり、現実的な発想

・重商主義の時代にあって市場原理にまかせておくのがいいとしたアダム・スミス、米相場という市場原理に着目して蓄財した二宮尊徳、貯蓄を投資にまわした本多静六には、その時代の裏側を見抜いたものがあり、それは先見性となって開花していった

土光敏夫が臨時行政調査会長に就任した際、「1.補助金の廃止」「2.国鉄、公社への助成廃止と独立自助の経営」「3.政府は権限を発揮して答申を実行」「4.誠実と愛情に溢れた公正な政治」の四条件を提示。これは尊徳の「桜町復興の四条件」と全く同じ内容

・土光敏夫は「尊徳先生は、至誠を本とし、勤労を主とし、分度を体とし、推譲を用とする、報徳実践の道を唱えられ、実行に移された。今日、行財政改革の先駆者である尊徳先生の思想と実践方法を研究し、会得、応用していただきたい」の言葉を残した

・二宮尊徳の精神は、リンカーンのスピリットに通じる。二宮尊徳もリンカーンも同時代に生き、貧窮、逆境の中から歴史に遺る偉人となった

・二宮尊徳の教えは、「利己的な立身出世主義ではなく、社会人として踏み行うべき一つの大道。天と地と人のおかげに報いる手段として、人は生ある間、勤勉に努めねばならぬ」というもの。口先だけで説いたものではなく、思想はつねに実行の裏づけを持っていた

貧富の本は、利をはかることの遠近にある。遠い先の利益をはかる者は、木を植えてその生長を楽しむ。だから富裕がその身を離れない。ところが、手近の利益しか考えられない者は、木を植えるなどなおさらで、目前の利益を争う。だから貧困がその身を離れない

・昔の種は今の大木、今の種は後世の大木。大をうらやまず、小を恥じず、すみやかにしようと思わず、朝から晩までよく努めて、小を積む効果を成し遂げるべき



著者は、二宮尊徳勉強会「一円塾」を主宰されています。実際に、二宮尊徳を会社経営に活かし、成功された方です。二宮尊徳の効果を自身で実証されているので、自信を持って、皆にすすめておられます。

実際に、組織の活性化や団体を再建する際に、二宮尊徳の教えほど、役に立つものはないように思います。停滞気味の今の日本が注目しなければいけない人物ではないでしょうか。


[ 2012/05/07 07:09 ] 二宮尊徳・本 | TB(0) | CM(0)
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