とは学

「・・・とは」の哲学

『おいしい患者をやめる本』岡本裕

おいしい患者をやめる本 医療費いらずの健康法 (講談社プラスアルファ文庫)おいしい患者をやめる本 医療費いらずの健康法 (講談社プラスアルファ文庫)
(2011/09/21)
岡本 裕

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岡本裕医師の本を紹介するのは、「9割の病気は自分で治せる」「自己の免疫力で病気を治す本」に次ぎ3冊目です。

現代の日本の医療制度の矛盾や問題点を、本書においても提言しています。世界各国に比べてのおかしな点が素人にもわかりやすく書かれています。その一部をまとめてみました。



・日本の医療は疲弊している。忙しすぎて疲弊している。忙しいと思考が停止してしまう。今の医療現場はウソの病気が蔓延し過ぎて、作動不良に陥っている

・日本の医療技術は確かに高いが、医療全体の水準は決して高くないという評価は、中国の富裕層だけでなく、中国の医師からもよく耳にする話

・多くの医者が「ホントの病気」に携わることを望まないのは、あまりにも待遇が悪いから。めちゃくちゃ忙しすぎるから

・外来患者の10人に9人は、おしなべて来なくてもいい人たち。救急外来の現場も例外ではない。3次救急を専門にしている特殊な施設は除いて、やはり10人に7~9人は来なくてもいい(来ないほうが得をする)患者

・どうでもいい患者も診なくてはいけないこともあり、見かけ上、医者が不足しているように見えているだけ

・医者は「ウソの病気」をたくさん診なければ生活がままならないという、今の「診療報酬制度」の問題がある。つまり、一人の患者をゆっくり診ることが許されないシステムになっている

ありがたい病気とは、「高血圧」「2型糖尿病」「脂質異常症(高脂血症)」「メタボリックシンドローム」「不眠症」。そんなありがたい病気の患者は、今や40歳を過ぎれば、ごまんといる。彼らは元気で、当分の間、めったなことで死にそうにない

・なぜ内臓に脂肪がたまるのか?食べすぎて運動しないから。それ以外に原因はない

ホントの病気とは、「がん」「小児がん」「難病(難治性130疾患)」「アルツハイマー病」「救急疾患(脳出血、クモ膜下出血、脳梗塞、心筋梗塞、重症外傷)」

・おいしい患者は、医者や薬に頼る傾向がある。言い換えれば、医者や薬に依存する度合いが強いということ

・ホントの病気に抵抗する医者とは、ウソの病気をしこたま囲い込んで贅沢に暮らす医者、標準治療しかできない医者、金儲けのために医者になった医者、たまたま偏差値が高くて医者になってしまった医者、製薬会社から裏金をもらっている偉い医者

ホントの病気に抵抗する医療関係者とは、製薬会社、製薬会社にたかる政治家、製薬会社に天下る役人、製薬会社におもねるメディア、自助努力したくないウソの病気の患者

・不定愁訴(身体がだるい、重い、頭が重い、すっきりしない、寝覚めが悪い、食欲がない、眼がかすむ、肩が凝る、腰、膝が痛い、眠れない、便秘が続く、お腹が張る、冷える、顔色がすぐれない、意欲が出ない、気分がすぐれない)は、自己治癒力低下の警告

・健診はやらないよりやったほうがいいが、健診が病気の早期発見というのは誤解。なぜなら、すでに病気は進行しているから。症状が出たり、検査でひっかかったりするまで、手をこまねいているより、自己治癒力を高める努力をしたほうが得策

・厳密に言うと、すでにみんな、がん患者。誰もが、毎日およそ数千個のがん細胞が身体で生まれている。しかし、がん患者の自覚がないのは、自己治癒力のおかげで、日々生まれたがん細胞が、日々壊されているから

不定愁訴が現れることによって、「1日24時間のリズム」が不規則になるという「負のスパイラル」に陥る。40歳からは、1日のリズムを意識しなくてはいけない

浅い呼吸は「低酸素状態になる」「血行不良になる」「低体温になる」。背筋を伸ばして、ゆっくりと大きな深呼吸をする習慣を取り入れる

・現代人は食べすぎ。過食は自己治癒力を著しく低下させる。だから、1週間に1~2日は2食だけにする「プチ断食」がおすすめ

・惰性で薬を飲んではいけない。薬はすべて「毒」。自己治癒力を顕著に低下させる



著者は、医者でありながら、医者や医療業者に反旗を翻しています。しかし、それは反旗ではなく、患者にとって正当な旗のように思います。

患者が正しい知識を持つ以外に、日本の医療制度を適正に戻す方法はないのかもしれません。


[ 2014/05/30 07:00 ] 健康の本 | TB(0) | CM(0)

『メゲそうなこころを支える三十一文字』花車肇+DEN

メゲそうなこころを支える三十一文字―「世間」や「人生」がわかる庶民の処世の知恵『道歌』の事典メゲそうなこころを支える三十一文字―「世間」や「人生」がわかる庶民の処世の知恵『道歌』の事典
(1996/03)
花車 肇、DEN 他

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昔の庶民が、五七五七七の三十一(みそひと)文字に表した「道歌」は、世間や人生がわかる処世の宝庫です。

この道歌を600以上集めたのが本書です。思わずうなってしまう歌が多く、「昔の人は偉かった」と感じさせられます。その一部をまとめてみました。



・「塵を呑み 芥を入るる 大海の 広さが己が 心ともがな」
塵や芥のすべてを受け入れる、あの広い海のように、人の心もあればよいのに

・「おのが目の 力で見ると 思うなよ 月の光りで 月を見るなり」
月が見えるのは、自分の目がよいからではない。月が照っていてくれるからである

・「わがばかを ばかと心の つかざれば 人のばかおば そしる世の中」
自分の愚かさを知って、その愚かさに謙虚になれない人は、他人の愚かさを攻撃したがる

・「器用さと 稽古と好きの 三つのうち 好きこそものの 上手なれ」
上手になるための三つの条件「器用さ」「稽古」「好き」の中で、好きであることが一番

・「堪忍の 袋を常に 首にかけ 破れたら縫え 破れたら縫え」
堪忍袋をいつも首にかけていよう。堪忍袋は破れやすいので、破れたままにしないこと

・「可愛くば 二つ叱って 三つ褒めて 五つ教えて 善き人にせよ」
ただ叱って教えるだけでは効果がない。二つ叱ると三つ褒め、それから五つ教えること

・「我という 垢の衣を 脱ぎぬれば 天晴れ清き 神の御姿
過去を思い切って捨て去ってしまえば、誰だって、清らかな、神にも似た姿になる

・「十人は 十色なりける 世の人の 誠は心 一つなりけり」
十人十色という諺があるが、人の心の誠は、ただ一つのものしかない

・「長者山 上りて奢る 道へ出ば もはや下れぬ 坂と知るべし」
徳の高い金持ちでも、道を間違えて「おごりの道」に出てしまうと、再び元へは戻れない

・「貧しくて 心のままに ならぬのを 憂とせぬのが 智者の清貧
俗な世間にへつらわず、そのために貧乏をしても、節操を高く生き、少しの後悔もせず、悔しい思いもしないというのが、本当に知恵のある人の生き方

・「大石に つまづくことは なしとても 小石につまづく ことな忘れそ」
大きな石は用心して、つまづくことはないが、小さな石は見過ごし、つまづいてしまう

・「用心の 良いも悪いも その家の 主ひとりの 了見にあり」
一家の主が用心深いかどうかによって、その家の繁栄するかどうかが決まる

・「美しき 花に良き実は なきものぞ 花を思わず 実の人となれ
うわべや外観だけをきれいに飾る人でなく、人間として実のある人となるべき

・「我を捨てて 人に物問い 習うこそ 智慧をもとむる 秘法なりけり」
賢くなるための秘法は簡単。自負心や我欲を捨てて、知っている人に尋ね、習うだけ

・「算盤は 嘘をおかさず 無理させず かれにまかせば 家内安全」
そろばんで、日々の暮らしを立てておれば、もうそれだけで家内安全

・「身は軽く こころ素直に 持つ者は あぶなそうでも あぶなげはなし
行動が早くて、素朴で、穏やかであれば、一見危なそうでも、危なげない日々が送れる

・「学問は 人たる道を 知るためぞ 鼻にかくるな はなが折れるぞ」
学問するのは、人の道について知ること。道から外れた学問自慢をするな

・「手を打てば 下女は茶を汲む 鳥は立つ 魚寄り来る 猿沢の池」
猿沢の池の端で、人が手を打てば、茶店の女が客が来たと茶を汲み、鳥は驚き、魚はやってくる。同じ手を打つ行為なのに、三種の反応があるということ

・「掃けば散り 払えばまたも ちりつもる 人の心も 庭の落ち葉も」
人間の心の中には、掃いても、払っても、つまらない考えが、積もっていく



以前、「道歌教訓和歌辞典」「三十一文字に学ぶビジネスと人生の極意」という書を、本ブログでとり上げました。

これらも併せて読んでもらえたら、「道歌」という面白い世界が、より一層広がってくるのではないでしょうか。


[ 2014/05/28 07:00 ] 芸術の本 | TB(0) | CM(0)

『自分を超える法』ピーター・セージ

自分を超える法自分を超える法
(2011/07/23)
ピーター・セージ

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著者は、「資金なし、人脈なし、学歴なし」で17歳の時に起業したイギリス人です。20年経った今、22の会社を成功に導いていられます。

本書には、「成功の心理学」「お金のつくり方」「リーダーシップを高める」「世界観をつくる」などの章ごとに、格言が散りばめられています。その一部をまとめてみました。



・歴史は、常にリスク(=不安定感)を取る人の味方をする。成功への重要な資質は、「不安定感」に対処できる能力を持っていること

・恐怖を前にすると、「やらない言い訳」がどんどん出てくる。怖いのは、行動を開始する瞬間だけ。行動のさなかでは、恐怖は消える

・本物の「重要感」を持つ人は、自分勝手な欲を手放す。力(パワー)とは、世の中に貢献したいという思いの強さに正比例して与えられる

・全員が勝者となる方法を考えることが大切なポイント。提案を受けたほうが、断るよりも価値が高いと感じるような提案をすること

・起業を成功させる5つの秘訣は、「情熱」「ウォンツ」「付加価値」「しくみ」「モデリング」。ビジネスの選択は、「できること」ではなく、「情熱」で選ぶこと

・リーダーシップの大きさは「部下の人数」で決まるのではなく、「育てたリーダーの人数」で決まる

・リーダーシップに必要な3つのカギは、「基準を上げる」「信仰を持つ」「ビジョンを持つ」こと

・エゴにとらわれた自己中心的な人だとしたら、彼は、世に「貢献」するにはまだ早すぎる。「自分中心」から「他者中心」の意識が、感情面での成長となる

・「信念」は、必ず参考となる情報や体験に基づいている。「信仰」とは、参考情報や経験がない中で、何かを信頼すること

・本物のビジョンとは、「成長」へのニーズ、そして「貢献」へのニーズを満たすようなもの。この二つのニーズを無視すると、真の幸福感は味わえなくなる

・リーダーは、100人中99人に反対されても構わないと考える人たち。「役に立ちたい」という願いの大きさに応じて「力」は動員される

・力を弱める9つのパターンは、「1.ルールに縛られる」「2.重圧感や抑うつ」「3.コントロール、自信過剰、不安感」「4.退屈」「5.中毒」「6.喪失への恐れ」「7.男女関係における愛憎」「8.アイデンティティ」「9.死と病」

・多くの人々は、「前進して不安定感を享受して充実感を得ること」よりも、「安定感を得て不幸になること」のほうを優先させる

・人生の質は、「不安定感をどれくらい快適に受け入れたか」に比例する

・本当の失敗とは、うまくいかなかったときに、意気消沈してしまうこと

・よりよい戦略とは、よりよい質問をすること。ビジネスをスタートするのに「お金」は必要ない。「よりよい質問」を自分自身に投げかける必要がある

・「人の感情を動かし、行動を起こしてもらう能力」は、どんなビジネスにおいても、最も高い価値が支払われるスキル

・できごとが意味を決めるのではない。どんな状況においても、「力をつける意味づけを探すこと」があなたを幸福にする

・組織の責任者としてやるべきことは、「人々が持っている最良のものを出させること」で、それは「人々が持っている最良のものを発見させること」で、よりなされる

・指導者のゴールとは、「生徒が指導者を越えていくこと」。それ以外のすべてはエゴである

・「自分自身であれ。他の人はもうみんな埋まっているから」(オスカー・ワイルド)



本書は、「モチベーション」を高める内容ではなく、「インスパイア」を注入する内容のように思います。

成功の秘訣とは、「インスパイア」の持続です。「インスパイア」には、本書のような書を時々読むことが必要なのかもしれません。


[ 2014/05/26 07:00 ] 出世の本 | TB(0) | CM(0)

『日常の偶然の確率』ティム・グリン=ジョーンズ

「日常の偶然」の確率: あなたが本当の父親じゃない可能性から犯罪の遭遇率まで数字にしてみた「日常の偶然」の確率: あなたが本当の父親じゃない可能性から犯罪の遭遇率まで数字にしてみた
(2013/02/20)
ティム グリン=ジョーンズ

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本書には、人生で遭遇しそうな出来事の確率が記されています。「おやっ!」と思うものから、「なるほど!」と思うまで、豊富な事例が満載です。

その中から、自分の人生に起こりうるかもしれない確率の箇所をまとめてみました。



・オランダ男性の平均身長は183cmだが、100年前には、男性の4分の1が157cmより低かった。これほど急激に身長が伸びた背景には、食生活の大幅な改善がある

・世界の宗教は、「キリスト教3人に1人」「イスラム教4人に1人」「ヒンズー教8人に1人」「中国の民俗宗教17人に1人」「仏教17人に1人」「民俗宗教25人に1人」「新興宗教50人に1人」「シク教277人に1人」「ユダヤ教455人に1人」「精霊信仰524人に1人」

・毎年、地球上で175人に1人が高所から落下して治療を受け、そのうち1%以上が命を落としている

・アメリカの漁師の500人に1人が、毎年仕事中に亡くなっている

小型飛行機の操縦は、常に危険な職業の上位。毎年1750人に1人のパイロットが仕事中に死亡している

屋根の工事に従事する人は、年間で2900人に1人が仕事中に亡くなっている

・オリンピックに参加した選手は、世界の人口の60万分の1.オリンピックに参加して、金メダルをとる確率は2200万分の1の確率

危険なスポーツの死亡率。ハンググライダーは11.6万回飛んで1人。スキューバダイビングは20万回潜って1人。ロッククライミングは32万回登って1人。スキーは155.7万回行って1人

・世界に100万ドル以上の資産を持つ人が700人に1人

・IQ(知能指数)130以上の天才は50人に1人。IQ160(アインシュタインのレベル)を持つ人は3万人に1人。IQ172以上の人は世界で7000人、100万人に1人の確率

・オーストラリアで犯罪の被害者になるのは、1年に3人に1人。スコットランドで暴行を受けるのは、1年に60人に1人。南アフリカで殺されるのは、1年に3000人に1人

殺人事件の被害者になりやすい国。南アフリカ1500人に1人、エルサルバドル1600人に1人、コロンビア1900人に1人、コートジボアール2000人に1人、グアテマラ2400人に1人

・人口比で警察官の割合が高い国。イタリア180人に1人、ドイツ345人に1人、南アフリカ360人に1人、アメリカ455人に1人、オーストラリア500人に1人、イギリス500人に1人、日本555人に1人、カナダ560人に1人、インド1000人に1人

死刑の多い国。イラン21万人に1人、サウジアラビア27万人に1人、中国77万人に1人、パキスタン469万人に1人、アメリカ816万人に1人

肥満大国(BMI値30以上の割合)。サモア94%、キリバス82%、アメリカ67%、ドイツ67%、エジプト66%、ボスニア・ヘルツェゴビナ63%、ニュージーランド63%、イスラエル62%、クロアチア61%、イギリス61%

・アメリカ人の175人に1人が年に美容整形手術を受けている。420人に1人が豊胸手術を受けている

生物に襲われて命を落とす確率。蚊100分の1、ヘビ1500分の1、ハチ5万分の1、サソリ20万分の1、虎20万分の1、象30万分の1、ライオン30万分の1、カバ65万分の1、クラゲ100万分の1、牛100万分の1、ワニ116万分の1、犬500万分の1

・1人のアメリカ人が死ぬ確率。心臓病5分の1、交通事故100分の1、自殺121分の1、銃殺325分の1、溺死9000分の1、飛行機の墜落2万分の1、洪水3万分の1、地震13万分の1、隕石の衝突50万分の1、落ちたココナツに当たる65万分の1

宇宙人に誘拐された経験があると答えたアメリカ人は、何と500人に1人。エクソシストが300人前後いるイタリアで、悪魔祓いを求める人は1万人に1人以下



死ぬ確率など、あまり想像したくないものですが、注意喚起のため、安心のため、本書の確率を読んでおいても損はないように思います。

死ぬ確率の高いところには、できるだけ、「危うきに近寄らず」かもしれません。


[ 2014/05/23 07:00 ] 健康の本 | TB(0) | CM(0)

『ユダヤ人の成功哲学タルムード金言集』石角完爾

ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集
(2012/04/20)
石角 完爾

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本書は、ユダヤ人の生きる知恵を集めた書として、今も語り継がれている「タルムード」の中からためになる言葉を紹介した書です。

ユダヤ人として生きる道を選んだ著者ならではの一冊です。その一文をまとめてみました。



・「金がありすぎると、人間は獣のように警戒心が強くなるが、金が全くないと、なりふり構わない本当の獣になる」

・「金という石鹸で洗えば、何でも綺麗になる」

・「金を数えるには三つの方法がある。倹約、節約、勤勉だ」

・「大切なものを失わなければ何も得られない」は、ユダヤ人が肝に銘じる、金に関する大原則

・「小さな儲けにとどめよ。それを繰り返せ」

・「懸命で賢明な生き方こそ、お金を引き寄せる」

・「今日あなたは、自分の穀物倉庫を見て、穀物の量を数えようとした。その瞬間にあなたは神から見放される

・ユダヤ人は大量に言葉を使う「多言民族」。よく喋り、よく発言し、よく主張する。ユダヤには「舌の先に幸せがある」という格言がある

・交渉事の議論は、勝つか負けるかも大事だが、長く付き合える信頼のおける相手かどうかを見定める物差しでもある。「できる敵」は、味方になった時、頼もしい相棒になる

・「過剰な要人は良い結果を生まない。心配ではなく、適正判断をせよ」

・ヘブライ聖書によれば、ユダヤ人の始祖アブラハムは、ある時「レハレハ」(すべてを捨てて、新しい土地へ行け)と、神から告げられた。父の土地を捨て、親から引き継いだ豊かな生活を捨て、全く新しい土地に行き、もう一度ゼロから始めよ、と神は命令した

・「レハレハ」は、自分自身の内面に深く入って、全く知らなかった新しい自分を見つけよ、という示唆に富んだ言葉。つまり、ゼロに戻った時こそ、新たな自分に出会えるチャンスだということ

・「最も良い教師とは、最も多くの失敗談を語れる教師である」

・「From Dust to Dust (人は塵から生まれてきた。生まれてきてから得たものに執着するな。いずれ人は塵に戻っていくのだから)」

・「ノアの方舟には、すべてカップルでしか乗船できなかった。そこで善と悪が、苦と楽が、薬と毒が、福と禍が、富と貧が、カップルで乗ってきた。だからこの世界には常に二つが存在する

・「善と悪とは常に手を取り合って行動している。手を離したことは一度もない」

・「世の中には、度を越すと毒になるものが八つある。旅行、恋愛、富、仕事、酒、睡眠、薬、香料である」

・「人間には六つの役に立つものがある。そのうち三つは自分ではコントロールできないが、残りの三つは自分の力で制御できる。前者は、目、耳、鼻で、後者が、口、手、足である」

・「教育とは、教育することを教育することだ」

・ユダヤでは、5000年の歴史の中で、金銭的・物質的に満たされることと幸福とは関係ないと教えてきた。幸福とは幸福感のこと。要は心の問題なのだと教える。ユダヤの説話の数々は、不幸感を幸福感に変えるヒントを手を替え品を替えて、人々に諭したもの

・ユダヤでは、人に幸福感を与えることは自分に幸福感をもたらす一つの善行であると考える。「アレヌ レシャベア」といい、他人をほめることは一種の義務

・ユダヤ教では「人間に耳が二つあるのに、口が一つしかないのは、よく聞くことが幸せをもたらす」と言われている。人の話を聞かないのは、「1.その人の存在を無視すること」「2.その人に心を閉ざしていること」「3.その人を軽視している」ことになる



知識を全員に教えるのではなく、知恵を一人一人個別に教えるユダヤ人の教育姿勢が、本書に示されています。

知識も大事だけど、知恵のほうがもっと大事です。知恵を学ぶには、タルムードのような「先人の教え」が重要なのだと思います。


[ 2014/05/21 07:00 ] 石角完爾・本 | TB(0) | CM(0)

『修身教授録』森信三

修身教授録 (致知選書)修身教授録 (致知選書)
(1989/03/01)
森 信三

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森信三さんは、教育の王道を歩まれた方です。数々の本をこのブログでも、紹介してきました。

本書は、教師への講義録です。つまり、「教育者への教育」をしたものです。また違った深い味わいがありました。その一文をまとめてみました。



・口先ばかりで、心だの精神だのと言ってみても、その食物(読書)に思い至らぬようでは、単なる空語。「一日読まざれば一日衰える」「偉大な実践家は、大なる読書家」

・世間多くの人々は、欲を捨てることの背後に大欲の出現しつつあることに気づかない。人間が、自ら積極的に欲を捨てるということは、わが一身の欲を打ち越えて、天下を相手とする大欲に転ずること

・自分一人が山の頂上に腰を下し、あとから登ってくる者たちを眼下に見下ろして、「何を一体ぐずぐずしているのか」という態度に教師がなると、傲慢というものが生まれてくる

・「血・育ち・教え」、この三つは、一人の人間が出来上がる上で、最も重要な三大要素。よほど立派な「教え」を聞き、さらに自分としても相当努めたつもりでも、「血」と「育ち」に根差した人間の「あく」は、なかなか容易に抜けない

気品は、人間の修養上、最大の難物。それ以外の事柄は、生涯をかければ、必ずできるものだが、気品だけは、若いうちから深く考えて、本腰にならぬことには、とうていだめ

・宗教は理屈のない者ほど入りやすいし、また理屈のない宗教ほど拡がりやすい

・傲慢は、外見上いかにも偉そうなにもかかわらず、実は人間がお目出たい証拠。卑屈とは、外見のしおらしさにもかかわらず、実は人間のずるさの現れ。お目出たさずるさとは、それが真実でない点では一つ

・志とは、これまでぼんやりと眠っていた一人の人間が、急に眼を見開いて起ち上がり、自己の道を歩き出すということ。今日わが国の教育上最も大きな欠陥は、生徒たちに、このような「」が与えられていない点にある

・真に尽きせぬ努力は、私欲を越えて公に連なるところから生まれる。それは普通の井戸と掘り抜き井戸との違いのようなもの。普通の井戸は、幾ら水が出ても一定の限度がある。掘り抜き井戸は、岩盤が打ち抜かれているので、こんこんと水が湧き、限りがない

・批評眼は持つべし。されど批評的態度は慎むべし

・現世的欲望を遮断し、次代のために自己を捧げるところにこそ、教育者の教育者たる使命がある。すなわち、花実が見られなくて、努力できないようでは、教育者とは言い難い

・「生きているうちに神でない人が、死んだからといって、神に祀られる道理はない。それはちょうど、生きているうちに鰹でなかったものが、死んだからといって、急に鰹節にならぬのと同じ」(二宮尊徳)

・偉くなった人には小さいうちから、「意地」と「凝り性」という二つの素質が大きくある

・偉人は、偉大な生命力を持った人でなくてはならない。しかもそれが、真に偉人と呼ばれるためには、その偉大な生命力が、ことごとく純化せられねばならない

・人生を深く生きるということは、お目出たさから脱却する道と言っていい

下坐行とは、その人の真の値打ち以下のところで働きながら、しかもそれを不平としないばかりか、これを自己を識り自分を鍛える絶好の機会と考えるような生活態度を言う

苦労したために、表面的なお目出たさや甘さがなくなると共に、そこに柔らかな思いやりのある人柄になる人と、反対に苦労したことによって、人間がえぐくなって、他人に対する思いやりがなくなる人がいる。この相違は、その人が自己を反省するか否かによる

・坐禅を組んでいる間は、高僧も凡僧も格別の差はないが、ひとたび坐禅をやめたとき、凡僧は「アア」とあくびをして、坐禅はもう済んだものと思う。ところが、高僧は坐を解いても、一層心を引き締める。そこに人間の優劣の岐れ目がある

・「アアこれでもすむ」という程度の生温い生き方は、いわば努力の最低限の標準で、物事を処理していること。真面目とは、常に自己の力のありったけを出して、もうひと伸し、もうひと伸しと努力を積み上げていく「百二十点主義」に立つこと



「教師の教師」である森信三さんの話には、一本筋がピーンと通った緊張感のようなものがあります。

その緊張感こそ、教育者が持っていないといけないものかもしれません。それらが随所に感じられる書でした。


[ 2014/05/19 07:00 ] 森信三・本 | TB(0) | CM(0)