とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『外でも粗食・「外食」を「害食」にしないための方法』幕内秀夫

外でも粗食外でも粗食
(2011/07/26)
幕内 秀夫

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幕内秀夫さんの著書を紹介するのは、「1食100円「病気にならない」食事」に次ぎ、2冊目です。健康のため、食事に気をつけようとしても、外食の回数が多いと、やる気を失せてしまうものです。

本書には、外食でも、健康的な食事を維持する方法が書かれています。外食の多い方には朗報です。その具体的方法について、まとめてみました。



自然界のものならば、食べる量にも限界があるが、こと精製食品でおいしく味付けされたものにいたっては、お腹が空いていなくても食べられてしまう。こうして、歯止めが利かなくなり、生活習慣病やメタボ、婦人科系疾患の増加につながっていく

・歯止めが利かなくなるという点で、精製食品はアルコールと同じ

・人間と動物との最大の違いは、「母乳」が甘いということ。これは、母乳に含まれる「乳糖」が甘いから。乳糖は炭水化物の一種。つまり、人間は、生まれながらにして、炭水化物を欲し、主成分にして生きる動物

・「明日も行きたい」と思う店は、体にもいい店

・早食いになると、濃厚な味の食べ物をどんどん欲するようになる。あわただしい店を選んではいけない

・換気扇が汚いということは、フライパン料理が多いということ。つまり、揚げ物や炒め物など、油だらけの店。換気扇の汚れた店には入ってはいけない

・外食メニューを選ぶときは、精製食品、中でもマヨケソ(マヨネーズ、ケチャップ、ソース)をいかにして避けるかが重要

・野菜の「煮物」、「和え物」、「お浸し」の多い店を選ぶこと。これらの料理が多い店は、間違いなくおいしい。店の質を見極めるリトマス試験紙になる

・「何を食べるか」より「何を食べないか」から考える。メニューの選び方としては、「砂糖、油、うま味調味料、マヨケソをいかに避けるか」が重要になる

・健康志向の人は、寿司屋では、アジやサンマ、サバ、イワシ、コハダなど青身の魚を食べたらいい。避けたいのは、ハマチやヒラメ、タイなど、養殖が多い白身魚

・そば・うどん屋は、総合的に見ても、良い外食。ところが、悲しいことに、女性は「野菜が少ない」という理由で避ける。たしかに、野菜は少ないが、それ以上に、体に摂り入れたくないものが少ないから、健康によい

・工場製品は、長期輸送、長期保存を可能にするため、防腐剤などの添加物を使用する場合が多い

・コーヒーは神経系に効く薬物の一種。強力な興奮剤であり、軽度の常習性がある。その作用は、タバコやアルコールと同じ。また、チョコレート(ココア)も、神経系に効く薬物

・アルコールをそれほど飲まず、タバコを吸わない人は、甘いお菓子を好む人が多い。スイーツもアルコールやタバコと同様、とても依存性が高いもの

・ファーストフードは「外食」が「害食」になった典型。「精製穀物」「油」「砂糖」「うま味調味料」と、4種類の精製食品が含まれる。さらに悪いことに、ジュースや清涼飲料水など、砂糖をたっぷり含んだ飲料がセットでついてくる

・健康になるための「外食術」とは、「定食屋は家庭料理に近いメニューを選ぶ」「寿司屋は女性こそ利用すべき」「ファミレスは和食メニューに絞る」「居酒屋はひとりで行くべき」「弁当屋は油攻めに注意すべき」「コンビニではおにぎり、スーパーでは惣菜を選ぶべき」

・乳酸菌や食物繊維をたっぷり摂り入れたからといって、基本食である米を食べなければ、意味はない。野菜などで食物繊維を摂る人よりも、ごはんをしっかり食べる人のほうが便秘は少ない

・飲食店が、どんどん日常食から離れ、快楽を提供する場になりつつある。注意しないと、毎日が正月やクリスマス、忘年会のようになってしまう



外食は、月に1~2回なら、いいですが、外食が日常茶飯事なら、摂るメニューに注意しないと、健康な体を蝕んでいく恐れがあります。

そうならないためにも、本書に目を通しておく必要があるのではないでしょうか。


[ 2014/02/28 07:52 ] 健康の本 | TB(0) | CM(0)

『なぜ「あれ」は流行るのか?-強力に「伝染」するクチコミはこう作る!』ジョーナ・バーガー

なぜ「あれ」は流行るのか?―強力に「伝染」するクチコミはこう作る!なぜ「あれ」は流行るのか?―強力に「伝染」するクチコミはこう作る!
(2013/09/26)
ジョーナ・バーガー

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本書は、クチコミについて研究した本です。マスコミよりも効果の大きいクチコミについて、どのような方法で伝えたらいいかが記されています。

一般的に見落とされがちなことが、クチコミには意外にも有効ということがあるようです。それらの一部をまとめてみました。



クチコミを生み出す6原則。「1.それを語るのがカッコイイ」「2.あるきっかけで思い出せる」「3.良くも悪くも気になる」「4.目に見える」「5.役に立ちそう」「6.語りたくなるストーリーがある」

・クチコミは、あらゆる購買判断の20~50%に影響を及ぼす主要因

・従来型の広告よりもクチコミのほうが効果的な理由は二つ。一つは、クチコミにより説得力がある点。もう一つの理由は、クチコミのほうが、ターゲットがより絞られている点

・クチコミは、そもそもが関心のある相手に向けて発信される。その情報を知らせるためにふさわしい相手だけを選んで話すのが普通

・サルまねという言葉は、ただ単に人間の模倣癖を指摘しているのではない。目に見えなければ、何かを模倣することは難しい、ということを意味している

・人は他人の役に立つのが好き。したがって、その商品やアイデアがいかに時間の節約や、健康、倹約に役立つかを示せば、話を広めてもらえる

・人々はただ情報を共有するのではなく、物語を伝える。物語は、道徳や教訓といったものを運ぶ容れ物。情報はどうでもよさそうな話の裏側で伝達される。だから、商品やアイデアを、人々が話したくなる物語の中に組み込むことが必要

秘密にすべきことほど、人は話してしまう傾向が強い

奇抜さは話が大きくなっていく過程で重要。人から人へと話が伝わるうちに、ある部分は消えていき、別の部分は誇張されていく。そして、話がだんだん大きくなって、広がっていくにつれて、奇抜さはどんどん増していく

希少価値と限定価値は、人々をインサイダー気分にさせることで、クチコミを促す

・人は金銭の見返りがなくても意欲的になる。さらには、人に何かをしてもらうためにカネを払ったとたん、払われた側の内発的動機づけはかき消されてしまう

・人は面白いから、役に立つからという二つの理由で、情報を共有する。面白い情報は、それ自体が楽しめるうえ、それを伝えた人の印象を良くする。同様に、役に立つ情報を伝えれば、相手の手助けもできるし、伝えた側の印象も良くなる

・健康や教育に関する記事は、よく共有される

怒りやユーモアのレベルが高いほうが、共有される確率が高い。感情をかき立てることが伝染のカギとなる。生理的覚醒によって、人は会話し、共有するから、人を興奮させたり、笑わせたりする必要がある

・他人が実際にやっていることを目にする機会がなければ、その行動をまねるのは難しい。だが、より観察可能な状態にすれば、まねもしやすくなる。人の目に触れるように作られたものは、人気を呼ぶために作られたも同然

・商品やアイデア、行動は、使われたり、実行されたりするときに自らを宣伝する

・ほかの人に伝えるだけの値打ちがあるのは実用的な価値。その代表が、カネの節約。値下げ幅の大きいものの情報を共有したがる

・セール品の表示は需要増加につながる。「セール品」と表示した商品の売上は、表示していない同じ商品の売上を50%以上も上回る

・クチコミを生み出そうとする際に、話題にしてもらうことにこだわるあまり、人々が何について話しているかという一番大切な部分を見失う。だから、売り込みたいだけの商品やアイデアと無関係なコンテンツを作ってしまう

・社会的伝染は一握りの特別な影響力の強い人々によって引き起こされるというよりも、商品やアイデアそのものの力によって勢いづく



宣伝広告費がなければ、クチコミを上手く利用するしかありません。そのためには、クチコミされるような商品を持つことです。それを考えるのに役に立つ書です。

クチコミは、組織の中やチームの中で、自分の地位を高めていくのにも役立ちます。自己PRを上手くするいうのは、人生のさまざまな局面に応用できるのではないでしょうか。


[ 2014/02/26 07:00 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)

『科学者の卵たちに贈る言葉・江上不二夫が伝えたかったこと』笠井献一

科学者の卵たちに贈る言葉――江上不二夫が伝えたかったこと (岩波科学ライブラリー)科学者の卵たちに贈る言葉――江上不二夫が伝えたかったこと (岩波科学ライブラリー)
(2013/07/06)
笠井 献一

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本書は、著者が科学者として生きる上で指導を受けた江上不二夫教授(1982年没)の言葉をまとめたものです。

この「江上語録」は、科学者すべてに通じる生き方の知恵のようなものです。これらの言葉の中から、一部をまとめてみました。



・研究はスポーツ競技ではない。目的は他人に勝つことではない。闘争心を研究の原動力にしたのでは、勝った、負けた、だけにこだわってしまう。他の人と争うような研究テーマに群がるのはやめて、なるべく違う課題をいろいろな角度から攻めるのがいい

・今流行している研究分野に、あわてて参入しなくていい。流行している研究をやっていることで、自分は重要な仕事をしていると安心してしまいかねない

・日本の科学者が世界の第一流になるためには、たくましい科学者でなければならない

・独創的な研究をしなければならないとみんなが言うが、そんなことに囚われないほうがいい。独創的であるべきだと叫んでも、独創的な研究ができるわけではない

・独創的でないと、他の人から批判されても気にかけず、自分の仕事を大事にして、自分のペースで仕事を続けるほうがいい。そうやっているうちに予想もしないすごい発見ができたならば、結果として独創的な仕事をやったことになる

・重要な研究、最先端の研究をしなければ、とあせって、キョロキョロしたところで、成功する可能性なんて少ない。新しいことに飛びつかずに、日本の伝統、研究室の伝統恩師の伝統を尊重して、地味であってもこつこつと研究を続けるのがよい

・研究室の伝統に乗って研究すると、他の研究室にないがっちりとした土台や役に立つノウハウがあるから、同じことを始める人に比べて、他の人よりも有利にスタートを切れるし、その後もいろんな点で助けてもらえる

・つまらなそうに見えることでも、やっているうちに、どこかで本質とつながっていることがわかってくる。今は重要でないと思っていても、いつか重要なこととの接点がきっと見つかる

・流行っている研究は君がやらなくても、必ず誰か他の人がやるに決まっている。そんなテーマをやってもつまらない。自分のやっている研究が面白くないなら、君の手で面白いものにしてやりなさい

・誰もまだ気がついていないことから重要な研究課題を見つけだしなさい。他人に大事だと言ってもらえないから大事だと思えないような自信のなさではいけない。自分の選択に自信をもって、それを育てなさい

・研究を始めてから三ヵ月たったら、自分の研究について世界で一番よく知っている人間になってなければならない

・指導者がやらせたいことをやらせたり、チームでやるような大きな仕事の一部を分担させたりするのは、科学者を育てるには有害極まりない。だから君たちには大きな選択肢を与える。その代わり、自分が選んだ以上、そのテーマに関して、全責任をもちなさい

・自分の考えに固執する人、自信を持ちすぎる人は、指導者になったとき、部下が自分の期待と違う実験結果を出すと、こんなはずはない、君が悪いのだといって責めてしまう

・自分の予想したとおりの結果を出すように部下に圧力をかけると、部下も指導者の気に入るデータを報告するようになり、間違った結果が公表されることになる

・自然は人間の頭で考えられるよりもはるかに偉大で複雑。これまで数えきれないほどの実験がやられて、たくさんの優秀な頭脳が考え続けてきたけれども、まだわかっていないことのほうがずっと多い。自然から教えてもらう。これが実験科学者の取るべき姿勢

・生命は人智をはるかに超えているから、人間の浅はかな頭で考え出したことなど、その偉大さ、神秘さに適うはずがない。自然に対する謙虚な姿勢が、結局は真理の発見につながる

・みんながこうすればいいと言っているのではない。私はこうすると言っているのであって、ほかの人が同じことをする必要はない



この科学者として生きるための言葉は、科学者のみならず、人としての生き方に通じるものがあります。

付和雷同にならない、流行を追わない、といったことは、独創性と創造性を求められる分野では、必須の心構え、姿勢ではないでしょうか。


[ 2014/02/24 07:00 ] 出世の本 | TB(0) | CM(0)

『ハイエクの大予言』渡部昇一

ハイエクの大予言ハイエクの大予言
(2012/05/11)
渡部昇一

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ハイエクは、自由主義の象徴となる存在なので、リーマンショック以降、あまりいい印象を持たれていません。しかし、誤解を払拭しないといけないように思います。

ハイエクは、現代に忠告を与えるところが多い経済学者です。共感できる点が数多くありました。そのハイエクの言葉をまとめてみました。



・ドイツで、危険な傾向を強めた(自由を破壊した)のは、ほとんどが善意に動いた人々であり、手本とされた人々であった

・経済的自由を放棄すれば、隷属体制になる

・ナチスやファシストの指導者たちは、みな最初は社会主義者として出発した

・「これこれすべからず」の法律で否定されること以外はやっていいのが自由主義

・複雑な社会になると、いかなる優秀な官僚を集めても、命令で需要と供給のバランスをとることはできない。この不可能と思われる調整を果たすのが、競争体制の「価格機構

・社会を計画化することに熱心な人は、計画が採用される段になったら、他の計画を一切認めない教条的な人間、危険な人物となりうる

・自由主義経済は「道路交通法を制定」しても、「どこへ行け」と命令はしない。しかし、統制経済は「この道を使って、どこへ行け」と命令する。ルールは抽象的なほうがいい

・お金は最も広い選択の幅を与えてくれるものであり、自由の道具であり、自由のもと

・競争社会は、ほとんどのものが価格を払えば手に入るが、そうでないところは服従を強要され、権力者の好意にすがるしか手に入れられない

・巨大な機械のような組織の歯車であることは堪えがたいが、そこから離脱することが許されないことのほうが、もっとはるかに堪えがたい

・どんな職業でも、最も成功した人と全く成功しなかった人の所得格差は、資本階級と無産者階級の所得格差と同じくらい大きい

・保障が特権になればなるほど、そのグループからの排除は致命的となる。ついには所得や地位は自主独立によるものではなく、国家や産業が与える保障によるものになっていく

・教育や知性の水準が高くなるほど、考え方や趣味嗜好は多様になる(全体主義に合わない人間になる)。したがって、同じ見解を持つ大人数の強力な集団は、理想を数の力でごり押しする人々(独創的、独立的でない人々)から形成されるようになる

・全体主義勢力のメンバー獲得原理は、従順で騙されやすい人を支持者に抱え込むこと

・中世のころからカトリック教会は金貸しを禁じたので、ユダヤ人は独占的に活躍し、金が増えたが、金融職に従事していることで、ますます嫌われた。これが繰り返されてきた

・全体主義の宣伝技術は、特定かつ単一の目標を達成するためのもの

自由の崩壊は「新しい自由」の名のもとに起こった。この事実は「古い自由を実現するための新しい自由を」という誘惑の言葉を警戒するために忘れてはならない

・ナチズム(国家社会主義)は人類思想の長期に渡る発展が最高潮に達して、出てきた

・国家社会主義の敵は商業であり、商業が意味するものは自由主義、個人主義である

・全体主義へ向けての運動を推進した本当の刺激は、組織された資本家と組織された労働者という二つの巨大な特殊利益団体から、主として発生してきた

・人間社会に起こることをコントロールすることは、全体主義に行くより仕方がない

・完全雇用が目的になれば、社会全体が完全雇用に従属させられ、個人の自由はなくなる

・経済成長ではなく、所得の再分配という方法で、貧困の解決をしてはいけない

・我々は自分の懐を痛めることなしに、博愛的であろうとすることなど許されていない

・計画して進歩させるのではなく、進歩の邪魔になるものを除いていくことが重要



ハイエクの提言は、真摯に受け入れたいと思いました。我々は豊かになればなるほど、現実から遊離して、いい格好をしようとするが、そこに盲点があると、ハイオクは指摘します。

甘い言葉、優しい言葉についつい流されそうになるが、そこは人間の性質や心理をよく見極めながら、「現実に処して生きるべき」と教えられる書でした。


[ 2014/02/21 07:00 ] 渡部昇一・本 | TB(0) | CM(0)

『業界のセオリー・ビジネス界に脈々と伝わる先人の知恵』鹿島宏

ビジネス界に脈々と伝わる先人の知恵 業界のセオリービジネス界に脈々と伝わる先人の知恵 業界のセオリー
(2010/07/21)
鹿島 宏

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さまざまな業界で言い伝えられてきた言葉をコンパクトに載せている書です。

業界外でも、それらのノウハウを知れば、納得できることが多く、参考になります。その一部をまとめてみました。



・「ヒット商品は多数決から生まれない」(飲料業界)。多数決でクセのないものを選ぶよりは、「ものすごく好き」と熱狂的な支持者がいるものを採用すべき

・「人生の3Dがビジネスチャンス」(画商)。オークションの世界では、絵が売りに出されるチャンスは、3つのD「DEATH(死)」「DEBT(借金)」「DIVORCE(離婚)」

・「不況になると鉄道本が売れる」(出版業界)。不況のときはマニアを攻めろ。これは出版以外の業界にも当てはまるセオリー

・「ランドセルは夏から売れ」(ランドセルメーカー)。お盆の帰省で、祖父母が孫に会う機会を狙う。子供には「シックス・ポケット」(両親、祖父母4人の合計6人)の財布がある

・「棚には赤と緑の商品を交互に置け」(スーパーマーケット)。マグロの刺身が緑の大葉を添えるのは、赤と緑がお互いを引き立てる効果のある「反対色」だから

・「金持ちは貧乏人から物を買わない」(宝石商)。富裕層は、流行に流されない。不特定多数の人と群れることなく、少数の富裕層仲間の間で交わされる口コミ情報を信用する

・「商品の色は3色に絞れ」(商業デザイナー)。採用する色が3色を超えると、色と色がぶつかり合い、途端にイメージがはっきりしなくなる

・「急な仕事ほど忙しい人に頼め」(出版業界)。忙しい人ほど、時間の使い方がうまく、すきま時間を上手に利用して、期限通りに上げてくれる

・「女性誌がマネー特集を組むと相場が下がる」(証券業界)。過熱した相場は下がり始めるから、この時期に高値づかみをして大損することを投資家たちは熟知している

・「アイデアは馬上、枕上、厠上でやってくる」(商品企画)。中国北宋、欧陽脩の言葉に「三上」がある。名案は「馬上(移動中)枕上(就寝中)厠上(排泄中)」に浮かぶという意味

・「発想はポジティブに、詰めはネガティブに」(広告業界)

・「セレブの名前は自然に伝わる」(サービス業界)。セレブな人から贔屓にされている話は、さりげなく伝えるだけで、評判は勝手に伝わっていく

・「大安はホテルにハンドルを切れ」(タクシー業界)。優秀なドライバーは、毎朝、天気だけでなく、暦もチェックする

・「お客は、靴と時計で見抜け」(ソムリエ)。ソムリエは、高級な靴を履いている客には、少し高めのワインを、繊細で個性的な時計をしている客には、複雑なワインを出す

・「会釈、敬礼、最敬礼」(キャビンアテンダント)。15度頭を下げるのが会釈、30度が敬礼、キャビンアテンダントは最敬礼の45度でお客を迎える。お辞儀の速度「1、2、3、止め、5、6、7、8」は、3秒間で頭を下げ、1秒間止め、4秒間で頭を戻すという意味

・「ユーザーの悩みは、ヒット企画を生む」(出版業界)。悩み相談に投稿された悩みから、多かった悩みを割り出し、それを解消するノウハウを特集すると、その号は必ず売れる

・「沈黙は、住んでいる土地の話で破れ」(美容業界)。始めてのお客に、何を話したらいいか悩んだら、「どちらにお住まいですか?」と質問すれば、会話がスムーズに運ぶ

・「連絡はメールで、頼みごとは電話が早い」(ウエブ業界)

・「安易な謝罪は訴訟に通ず」(証券業界)。証券マンが顧客にすすめた株が暴落するなんて日常茶飯事。謝っていては身が持たない。銀行でも、責任の言質をとられる軽率な言動を慎むよう教育される

・「転職は在職中にせよ」(人材業界)。在職中なら余裕があるため、不利な条件を出した企業に対して強気で交渉できる。失業中だと、気持ちがあせり、面接もうまくいかない

・「市場価値を上げたいなら、異業界に転職せよ」(人材業界)。同じ職種、同じ業界のほうが、市場価値が上がると考えがちだが、異業種だからこそ、オンリーワン人材になれる



ビジネスの世界は、損得に密着しているだけに、思わず耳を傾けてしまいました。

業界の如何を問わず、「ビジネスの知恵」になります。まさに「業界の格言集」のような本でした。


[ 2014/02/19 07:00 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)

『天才投資家「お金と人生」の名語録』桑原晃弥

天才投資家「お金と人生」の名語録 ウォーレン・バフェットから、ジョージ・ソロスまで (PHP文庫)天才投資家「お金と人生」の名語録 ウォーレン・バフェットから、ジョージ・ソロスまで (PHP文庫)
(2013/06/05)
桑原 晃弥

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バフェットやソロス、是川銀蔵など、古今東西の天才投資家13人にスポットを当て、彼らの名言を拾い集めた書です。

成功だけでなく失敗も、よく描かれているように思います。この貴重な名言の数々をまとめてみました。



・「相場に勝つ必要はない。勝たなければならない相手は私自身。自分の中の感情の起伏」(ジェシー・リバモア)

・「片手間に相場を張る人間は山ほどいるが、相場を張る技を磨くことにフルタイムで取り組む者は数えるほどしかいない」(ジェシー・リバモア)

・「情報はすべて危険である。情報はあらゆる形態を装い、採用をもちかける」(ジェシー・リバモア)

・「大衆と同じバスに乗っていても、時期が来たらいつでも、そこから飛び降りようと身構えている。そして、逆方向に進む結果となることも恐れはしない」(ジェシー・リバモア)

・「考えを巡らすことで、金が儲かるわけではない。ひたすら待つことで金が手に入る」(ジェシー・リバモア)

・「経済の実態は学問で説かれるような決まりきった変動はない。一つとして同じ形の経済変動はない、というのが経済の実態」(是川銀蔵)

・「自分で一度確信したことを、他人の横やりで曲げてしまうことは結局、研究、分析、判断がまだ、そこまで行きついていないということ」(是川銀蔵)

・「人の何倍も大儲けしようと思ったら、やはり、金儲けには思想が必要」(是川銀蔵)

・「テンバガー(10倍上がる株)を見つけるには、まず自分の家の近くから始めること」(ピーター・リンチ)

・「大切なのは、数字を手に入れるかどうかではなく、手に入れた数字が、十分に信頼できるものかどうか」(フィリップ・フィッシャー)

・「分散投資にこだわるあまり、よく知りもしない会社に投資するほうが、はるかに危険」(フィリップ・フィッシャー)

・「どんな場合にも使える物差しはない。最終的には、自分の生き残り本能に頼るしかない」(ジョージ・ソロス)

・「重要なことは、正しいか、間違っているかではない。正しい時にいくら稼ぎ、間違っている時にいくら損をするか」(ジョージ・ソロス)

・「不安が大きければ大きいほど、より多くの人々が市場のトレンドに影響される。そして、トレンドを追う投機が大きければ大きいほど、状況はより不安定となる」(ジョージ・ソロス)

・「社会通念や常識と呼ばれるものが間違っていることなんかしょっちゅう」(ジム・ロジャーズ)

・「大勢に従って成功した者は、今まで誰一人としていなかった」(ジム・ロジャーズ)

・「まずまずの企業を素晴らしい価格で買うよりも、素晴らしい企業をまずまずの価格で買うほうが、はるかに良い」(ウォーレン・バフェット)

・「リスクは、自分が何をやっているか、よくわからない時に起こるもの」(ウォーレン・バフェット)

・「最も重要なのは、自分の能力の輪をどれだけ大きくするかではなく、その輪の境界をどこまで厳密に決められるか。自分の輪をカバーする範囲を正確に把握していれば、投資は成功する」(ウォーレン・バフェット)

・「優秀なトレーダーは、成功例よりも失敗のほうをよく覚えている」(マイケル・スタンハイト)

・「欲しいものを手に入れる一番確かな方法は、欲しいものに相応しい人間になろうと努力すること」(チャーリー・マンガー)



すべての成功の要因は外部にあるのではなく、自分自身という内部にある、ということを感じる本でした。

あまり夢のない話ですが、自分自身という内部の力を蓄えていかない限り、外部のものを獲得しようとするのは難しいのかもしれません。


[ 2014/02/17 07:00 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『群れない生き方・「常識人間」を捨てる44の法則』絹谷幸二

群れない生き方群れない生き方
(2011/11/24)
絹谷 幸二

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著者は、数々の芸術賞を受賞している洋画家です。東京芸大の教授も務められていました。

「孤独に生きる」のは、社会と隔絶しないといけませんが、「群れないで生きる」のなら、社会と共存できそうに思います。群れないノウハウが満載の本書を、以下のようにまとめてみました。



・「群れる」という行為は、とてもラクだし、その誘惑も常にある。だが、一度その波にのまれてしまうと、自分を取り巻く環境に甘えて、自分をごまかす生き方をすることになる

・日本の近ごろの沈滞は、「学校や会社に尽くす」という美名のもとに、それぞれの仕事の中でサボタージュを決め込み、それに気づいていながら、お互いにかばい合って、真実に迫ろうとしない勇気のなさにある

・流行を追いかけ、個性的になろうとした結果、個性を失ってしまっている

・社会は、「中位の数字のとれそうなところ」で大きなスモッグが発生している。そして、その先に出るに出られない閉塞感が、すべてを同様の顔にしている

・異端や下手くそを認めず、かといって高級品と下級品の違いがわかるわけではない。口あたりのよい甘さにべっとりとからまれて、中級品が社会を動かしていく先は、推して知るべきジリ貧の結果となって現れる

・努力せずともよかったころの居心地のよさに浸り切っていると、予期しないものが現れ、足をすくわれる

・コンプレックスはあるうちが花。コンプレックスは使いようで、毒にも薬にもなる代物

・甘すぎる誘いも、渋い話も、まずは舌で転がして、鵜呑みにはせず口に含む。これでよしとなれば、まず咀嚼する。そして、もしその中の劇薬や痺れ、小石や骨などが入っていれば、腹には入れず、そっと吐き出せばよい

・絵を描いている人にとっては、日々が「孤独と個性捻出の戦い」である

・「死んだらおしまい」。人は「潔く生きることを心がけ、あの世は死んでからはない」と知るべき

・人間は個体ごとに生き死にはするが、その心というか細胞は幾重にも重なり、古代から連綿と続いている

・バランスが偏っていると、時代が変わったり、相手が異なったり、場所を移動したり、人員が変化したときに通用しなくなる

・絵描きは「積み上げと描き込み」の対極に、常に「破壊と削りとり」の用意をあらかじめ秘めておかなければならない

・口あたりのよい、中途半端な人が社会や会社を牛耳っていては、その人物の狭い器量の幅でしか世界が見えない

・片方の手に夢と平和を、もう一方の手には現実と戦いを。双眼で同時に見る目を養っておかなければならない

・絵かきというものは、名刺などをやたら振りかざしてはならず、売るのは顔

・あらゆる楽しげなモノやカネ、または名誉などという落とし穴を自ら避けて通る勇気が必要

・子供に尊敬される「遊び人」とは、知恵があり、生きるためのエサを日々の不安なく運んでくれる運動能力採集能力のある大人

・死んでしまえば、仏の言う極楽浄土、キリストの天国は、信じない人にはない。今日広大な宇宙の中で水があり、花が咲くのはこの地球だけ。この地球こそが極楽浄土であり、そこに生を受けたことこそが億万分の一の幸せということ



安全な道を選んだつもりが、苦難の道になるということもしばしばです。

著者は、苦難に立ち向かう気力と根性があれば、道は何であれ、成功への道となるということを述べられています。立ち向かう生き方こそ「群れない生き方」なのかもしれません。


[ 2014/02/14 07:00 ] 芸術の本 | TB(0) | CM(2)

『さよなら私』みうらじゅん

さよなら私 (角川文庫)さよなら私 (角川文庫)
(2012/09/25)
みうら じゅん

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みうらじゅんさんは、「ゆるキャラ」「マイブーム」などの産みの親です。時代感覚を持ち合わせているだけでなく、「見仏記」などの著書もあり、仏像にも詳しい方です。本ブログでも「運慶:リアルを超えた天才仏師」で、著者のコメントを掲載しました。

本書は、非常に、頭がよくて、照れ屋で面白い著者が書いた真面目な本です。仏教に造詣が深いことがよくわかります。その、ためになる数々をまとめてみました。



・選択肢とは、いくつもあるように見えて、実は二つしかない。いいか悪いか、好きか嫌いか、行くか行かないか。とくに人生において、行くか行かないかの選択は、今後に大きく影響する

・生き物の宿命は別離であり、死別であること。この最大の不安から逃れることができない限り、安定などあるはずがない

・時代というのは、目に見えるものではなく、新しい考え方が古い考え方を押しつぶしていく変遷のこと

・未来は誰にもわからない。わかったところでどうすることもできない。それでも知りたくなるのは、今ある不安から抜け出し、少しでも安心したいからに違いない

のんきは、真面目や不真面目という既成概念と違い、一種の才能。「なるようにしかならない」と人生をあきらめている。努力をしないわけではないと、あくまで自分のことも他人事と考えている

・「自分に自信が持てなくて」という人に限って、他人の話に耳を貸そうとはしない。それは、自信が持てないという自分を過信しているから。人はついつい自分を信じすぎる。他人を疑うという気持ちも、自分を信じている証拠

・他人がやたら楽しそうに見え、うらやましいと思うときは、淋しくならない努力を怠っていると反省すべき

・身の回りの誰かを主人公に抜擢し、自分を脇役と考える生活方式に切り替えてみること。また一味違ったストーリーが展開するはず。「損している」と感じるようでは、まだ脇役になりきれていない

・人生には、目標とか、目的とか、夢とかあるが、それはうまく暇をつぶすための方法

・やさしさは結局、甘さであって、そんな自分を肯定して生きること

・結局、人は誰かにホメられたくて生きているもの。ホメられないとき、人は淋しい

・人は、カッコいいことと、カッコ悪いことに左右される生き物。たかが数十年の人生。カッコ悪くてもいい。そんなこと気にせずに、好きに生きてみるべき

・自分など結局はどこにもいるはずがなく、脳が生み出した幻想にすぎない

・楽しく生きるためには、できる限り「他人と比較しないこと」と、「他人に期待しないこと」が重要

・「私は私の生き方しかできない」とわかるまでには時間がかかるもの。つい、他人の生き方を羨ましく思い、マネをしてみるが、うまくいくはずはない。それは、他人のいいところばかりマネしようとするから

・人間は、悩みを抱え、それを克服するためにがんばる、そういった生き物。克服すると、さらにその先には、悩みが待ち構えている。不安と安定を繰り返しながら、人間は飽きることなく暇つぶしして一生を終える

・好きな人とは結局、自分にとても都合のいい人のことで、相手もそう感じているときを、相思相愛の状態と呼ぶ

・人は人生という波に乗っているサーファー。せっかくいい波が来ても、うまく乗れないこともある。今度、その波が来たときに、どうやって乗ってやろうかが、経験であり、努力

・若いうちに成功したと思うと、歳を取ってからも、その成功にしがみつこうとする。若いうちは成功など考えないで、ただ、したいことをすればいい



「欲もなくし、自分という存在もなくしてしまえ」というのが本書のテーマです。まるで、高僧の教えのようなことが書かれています。みうらじゅんさん自身が、欲深い別人格を演じながら、欲をなくして生きているように感じました。

俗なる人が聖を演じることは多々ありますが、聖なる人が俗を演じることは少ないように思います。そういう人が書いた珍しい書なのかもしれません。


[ 2014/02/12 07:00 ] 幸せの本 | TB(0) | CM(0)

『男性不況・男の職場崩壊が日本を変える』永濱利廣

男性不況――「男の職場崩壊」が日本を変える男性不況――「男の職場崩壊」が日本を変える
(2012/10/26)
永濱 利廣

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日本は、女性の社会進出が遅れていると言われているが、実は、ジワリジワリ進行し、男の職場を侵食している、ということが記されている書です。

10年前のデータと比較すれば、その傾向は一目瞭然で、今後も、男性が苦境に陥りそうに思います。

どういう対策をとれば、この苦境から逃れることができるのか?男の立場としては関心のあるところです。その一部をまとめてみました。



・男性不況とは、「男性向きの仕事が減り、女性向きの仕事が増えた結果、男性の価値が低下した」状況

・製造業や建設業などの男性向きの雇用が減り、医療・福祉などの女性向きの雇用が増える。それと並行して、かつては男性向きと考えられていたホワイトカラーの門戸が女性にも開かれる。その結果、「女性高・男性安」になった状況を男性側から見たのが「男性不況」

・2002年当時の男性就業者の4割近くが、製造業と建設業に集中していたので、製造業(205万人減)と建設業(145万人減)の就業者減が、男性の就業者が減った最大要因

・生産年齢人口比率は建設投資と相関するので、日本の建設投資も1990年を境に減り続けている

病院や介護施設で働く人の数が大幅に増えている。その数は、2002年から2011年の9年間で178万人増と、他業種とはケタが違う

・男性はピーク時の577万円から直近の500万円へ(13%減)、金額にして77万円も給与が減ってしまったのに対し、女性は280万円から263万円へ(5%減)と、わずか17万円の減少で済んでいる

・男性の給与が下がった理由は、非正規雇用の増加だけではなく、正規雇用者の賃金の低下にある。そして、もう一つ、女性の正規雇用者の給与が上がったこと

・2020年までに、女性の雇用が134万人増加するのに対し、男性の雇用は55万人減少すると予想されている

・男女間給与格差の縮小にこそ、家計の所得格差拡大の原因がある。女性の賃金が男性の賃金に近づけば近づくほど、お金持ちの家庭とそうでない家庭の所得格差が大きくなっている

・自然に任せていては、男女が収入階層の壁を超えて、相手を選ぶのは期待薄で、高所得者同士、低所得者同士のカップルができやすい。家計所得の格差は今後さらに広がっていく

・男性が主なユーザーである嗜好品は、ここ数年一様に売上を減らしている。たばこの販売数量(ここ15年で40%以上減)、お酒の消費量(ここ15年で15%減)。家電の不況も、メカ好き男性の財布の紐が極端にきつくなったことも無縁ではない

・男性向けから女性向けへのシフトの例で、最も顕著なのが飲食店で盛んに見られる「女子会」

・男性が一家の大黒柱として家族を養う家庭のあり方が限界に来ている。将来予測を見ても、男性不況が解消される見込みはまったくない

・「管理的職業従事者」は、1997年に221万人いたものが、2010年には159万人と60万人も少なくなっている。この間の減少率は、「製造・制作・機械運転及び建設労働者」の22%を凌ぐスピードでその数を減らしている

・アメリカは自国通貨を安く誘導した結果、2000年代に入って、ずっと減り続けていた製造業の雇用者数が、2011年から増加に転じた

・自国通貨が安いほうが、国の成長率は高くなる。自国通貨と成長率の関係は、各国の当局は周知の事実なので、自国通貨を安くしようと働きかけるのが一般的

・男性不況に個人としてとるべき戦略は4つある。「1.付加価値の高い成長分野の職に就く」「2.海外で日本人であることがプラスにはたらく職に就く」「3.女性がメインだった職場に職を求める」「4.専業主夫を目指す」。男性は防衛策を講じるべき



男女平等が着実に進んでいることを明らかに示す書でした。この「男性不況」を回避していくには、男性が女性にすり寄っていくのが最適の戦略かもしれません。

稼ぎが少なければ、腰を低くしないと生きていけません。若い男性が「草食系」と揶揄されていますが、実は、それが、現代にふさわしい賢い生き方なのではないでしょうか。


[ 2014/02/10 07:00 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)

『あなたのがんリスクを確実に減らす本』寺本研一

あなたの“がんリスク”を確実に減らす本 (らくらく本)あなたの“がんリスク”を確実に減らす本 (らくらく本)
(2013/08/22)
寺本 研一

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著者は、臨床医として、がんに関するさまざまな局面に立ち会ってきた方です。本書には、部位別の「がんにかかる可能性」「がん予防」「がんリスク減少法」が載っています。

がんにかからない体をつくるために、参考になります。その一部をまとめてみました。



膵がんは罹患率が低い「かかりにくいがん」だが、いざかかってしまうと、死亡率が高い「死にやすいがん」。つまり非常に怖いがん

・がんにかかる理由は大きく分けて4つある。「1.生活習慣(食事、肥満、煙草、飲酒、運動不足など)」「2.感染症」「3.環境因子(職業など)」「4.遺伝的要因(体質)」

・全部位のがんに対する男性の罹患率は、75歳までで28%、生涯で見ると54%に倍増する。女性は75歳までが20%、生涯になると41%。がんと言えば、働き盛りの40代、50代のイメージがあるが、実際には75歳以上の高齢者がたくさんかかっている

5年後死亡率が50%以上のがんは、「膵がん」「胆道がん」「肝臓がん」「肺がん」「食道がん」の順。がん患者割合10%以上のがんは、「乳がん」「胃がん」「大腸がん」「肺がん」「前立腺がん」の順。「死亡率の高いがん」と「かかりやすいがん」には特に注意が必要

胃がんにかかりやすい人「中高年の男性」「煙草は20歳のころから1日1箱」「塩分の高い肴で日本酒」「医者から胃粘膜が委縮していると言われた」「胃カメラの検査で、胃にピロリ菌がいると言われた」。だが、ピロリ菌に感染していなければ、とりあえず安心

大腸がんにかかりやすい人「腹回りが大きい」「酒好き」「肉、ハムが好き」「野菜嫌い」「運動不足」「定期健診で、メタボリック症候群または予備群と言われた」「大腸カメラ検査でポリープが見つかった」。だが、ポリープがなければ、とりあえず安心

肺がんにかかりやすい人「30年以上毎日の喫煙」「1日30本以上の喫煙量」「建設業や運業の仕事の関係で過去にアスベストを吸った」「咳が出るので医者に行ったら、肺気腫の傾向があると言われた」。だが、早期発見できれば、とりあえず安心

食道がんにかかりやすい人「中高年の男性」「フラッシャー(酒を飲むと顔が赤くなる)」大酒飲みで濃い酒が好き」「喫煙家」「熱い飲み物が好き」。だが、フラッシャー・飲酒・喫煙の3つがなければ、とりあえず安心

肝臓がんにかかりやすい人「太っていて高血圧」「ALT(GPT)の数値が高め」「酒は飲まないのにエコー検査で脂肪肝と言われた」「B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルスに感染」。だが、B型・C型肝炎ウイルス感染がなく、ALTが30以下なら、とりあえず安心

膵がんにかかりやすい人「酒好き」「検診でメタボリック症候群と言われた」「軽い糖尿病で薬を飲んでいて、最近ヘモグロビンA1cの値が上がった」「親兄弟が膵がんで亡くなった」

乳がんにかかりやすい人「中高年女性」「初潮が早かった」「出産経験なし」「閉経が遅かった」「閉経後に太った」「母親が乳がんにかかった」

子宮頸がんにかかりやすい人「既婚中年女性」「早い年齢の性交渉」「18歳くらいで第一子出産後、続けて2人以上の子を出産」「結婚前のクラミジア感染」「最近、性交渉時にわずかな出血」。だが、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染がなければ、とりあえず安心

前立腺がんにかかりやすい人「高齢の男性」「家族や親戚に前立腺がんにかかった人がいる」

胆道がんにかかりやすい人「中年以後の女性」「太り気味」「以前から胆石があり、症状が出ないので放置していたが、最近痛みを感じる」

・がんリスクを確実に減らす方法は、「血液検査で、胃にピロリ菌がいたら除去する」「血液検査で、B型・C型肝炎ウイルス感染のチェック」

がんリスクを減らす食習慣は、「果物と野菜を毎日400g以上摂取、アリウム野菜と大豆製品の摂取」「緑茶を1日5杯以上(女性)」「赤身肉や加工肉を週500g以下に」「塩分は1日に男性9g、女性7.5g未満」「カビの生えた食品を摂らない」「高カロリー食品を控える」

がんリスクを減らす生活習慣は、「1日にビールはグラス2杯、女性は1杯まで」「禁煙」「やや早歩きの散歩を毎日30分以上」「BMI値を男性21~27、女性は19~25に」「糖尿病にならない」「充分な睡眠」



がんを一括りにせず、部位別の対策と対処法が書かれているので、注意もできますし、安心もできます。

高年齢になると、確実に何らかのがんと付き合っていかなければなりません。高年齢の健康な人におすすめの本でないでしょうか。


[ 2014/02/07 07:00 ] 健康の本 | TB(0) | CM(0)

『和解する脳』池谷裕二・鈴木仁志

和解する脳和解する脳
(2010/11/17)
池谷 裕二、鈴木 仁志 他

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脳科学者と法律家の対談共著です。人はなぜ争うのか、どう和解していくのか、これを脳科学によって、検証しています。

人と人との軋轢、互恵、不和、利己、利他、愛情など、興味深い人の言動の数々を知ることができます。それらをまとめてみました。



・科学は基本的に帰納を排除するが、司法の現場では、帰納をすごく重要視する。人間は、ほとんど癖と言っていいくらい、帰納が大好き。でも、科学は帰納をやるとミスる。演繹のほうが100%正しい(池谷)

・多くの人は、科学者は仮説を証明するために実験していると勘違いしている。本当は、仮説を否定するために実験をしている。「反証可能性」こそが科学の大前提(池谷)

・刑事裁判は「実体的真実」を追求する。本当に何が起こったのかを調べる。けれども、民事裁判は「形式的事実」でいい。実は違うかもしれないが、両当事者がそうだと認めた場合、それが真実ということで進む(鈴木)

・記憶は後からも作られるという意味で、「理屈」は、人を説得したり、自分を納得させたりする点で、嘘や作話に近い面があり、本能をねじ曲げる側面がある(鈴木)

・言っていることが真実かどうか見極めるには、証言に立ってもらって、反対尋問を受けてもらう必要がある。その記憶が実際にその人自身の体験から出たものかを質問して、その反応、言葉のスムーズさ、表情などを直接確かめないと、なかなかわからない(鈴木)

・和解を進めるには最初、共感と受容が有効。とにかく喋るだけ喋ってもらい、こちらはとことん聞くことに徹する。医者が患者に汗をかかせて熱を下げるようなイメージ(鈴木)

・受容がある程度進んだところで、理性や思考といった「理」の部分を使う段階に入る。弁護士の仕事を、共感や癒しの部分だけで解決するのは難しい。「理」は、弁護士の切り札。これをいつ、どのタイミングで、どんな表現で切るかが重要(鈴木)

・心が落ち着いてから、客観的な情報を教えられると、素直に受け入れられる。例えば、煙草を吸っている人に「煙草を吸うな」と言えば、相手はムッとするが、「ここでは法律上煙草を吸えないはず」と言えばいい(池谷) 紛争解決規範としての法は有用(鈴木)

・人間は妙なところに快感がある。食欲を満たすのも、寝るのも快感だが、それ以外に特有の快感がある。達成感も快感だし、お金を使うのも快感。お金をもらうだけでなく、使うのも快感。そういう点を考えずに、人間の営みは理解できない(池谷)

・「経済合理性」は一見すると、「理」(理性)の問題のように感じるが、本質的に「情」(感情)の問題。なぜなら、経済合理性というときのその合理性の基準が、人や社会によって全然違うことがよくあるから(鈴木)

・金銭の話は、経済合理性の問題のように考えられがちだが、結局、快不快、好き嫌いの問題に行き着く。お金は「約束」でしかない。それだけでは、単なる期待。最終的に「快」に変換されないと意味がない(鈴木)

・「金をくれてやる」「恵んでやる」といった優越感の表現では、相手の感情を逆撫でし、大金でも受け取られない。反対に、愛情や謝罪の意味を感じれば、お金を受け取る。つまり、お金の裏にある「情」の部分の意味合いが、行動決定に大きな影響を与える(鈴木)

・関係が濃ければ濃いほど、その中で積もり積もった不快感が爆発するということはよくある。親子なんだから、兄弟なんだから、友達なんだから仲良くしなさいといっても、紛争解決にはつながらない。近い関係であればこその葛藤がある(鈴木)

・決断するとき、決断したあとにも、うまい言い訳を探すこと。「こういう理由だからしかたがない」「この理由なら文句はつけられない」と納得できる論理に乗ること(鈴木)

・マネーは、いろんな「快」と交換できるので、無限の欲望が生まれてくる。ここが他の欲求と「金銭欲」の違うところ(鈴木)

・通貨の発行量・流通量は慎重にコントロールされているから、実は有限に近い。その有限のお金をみんなで奪い合う。捕った人がいれば、奪われている人もいる(鈴木)

・規制って、簡単に言えば、福祉ということ。規制には、社会の害悪を防ぐための自由の制限と弱者救済のための強者の経済的自由の制限の二つがある。自由には内在的な制限や社会的責任が伴う。規制を緩和すれば、世の中がよくなるというものではない(鈴木)



社会における人々の紛争を解決する手段が法律です。その法律の有用性を高めるには、脳を知る必要性があります。

法律だけでなく、個人的な揉め事、言い争いなどの解決ルールにも、本書は役に立つのではないでしょうか。


[ 2014/02/05 07:00 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)

『40歳からのリアル』人生戦略会議

40歳からのリアル40歳からのリアル
(2013/05/24)
人生戦略会議

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以前、「35歳からのお金のリアル」という本を紹介しました。本書は、その続編となる書です。お金だけでなく、仕事、住まい、健康、家庭、老後のリアルが載っています。

時すでに遅しなのですが、私の40歳を反省して、なるほどと思った点がいっぱいありました。それらをまとめてみました。



・人生の目的は「年収1000万円の男」という自己満足ではなく、楽しく、不安なく、笑って過ごせる人生。金額を追うことと満足できる人生を手に入れることは別次元

・支出に関して40歳が特徴的なのは、人生の「3大支出」と言われる「住居費」「教育資金」「老後の生活資金」が重なり、家計の負担が大きくなること。収入が増えない状況で、これらの3つが重なってしまうと、一気に支出が増えて、家計が危機的状況になる

・「あれもしたい、これもやりたい」という願望を持つのは20代まで。「こういう方法はどうだろう」「あんな方法もあるらしい」と模索するのは30代。40歳からは、「ウチはこう暮らす」「そのためにこれを買い、これは買わない」と決断する基準を持たなければならない

・情報に「夢を与えてもらう」のは20代まで。情報に「踊らされる」のは30代。40歳からは、情報を「へえ」の一言で聞き流す勇気を持たなければならない

・医療保険には「万一に備えて入るもの」という常識があるが、現金があれば医療費は払える。しかも、アメリカのように公的な保険制度がない国と違い、日本には国民皆保険という制度がある。つまり、民間の医療保険は、けがや病気のリスクに二重に備えるもの

・アメリカで破産した人の約半数は、高い医療費が支払えなかったため。日本で10万円ですむ盲腸の入院が、アメリカでは200万円ほどかかる。アメリカで暮らすなら医療保険に入ったほうがいいが、日本で暮らすなら、その必要性は大きく下がる

・都市部で車なしの生活と、郊外で車を持つのとでは、かかるコストはほぼ同じ。どちらが満足度が高いかを夫婦で話し合えばよい

・「お金の話なんて・・・」と言ってかっこいいのは、お金持ちだけ。貧乏な人が、「お金より大事なものがある」と強がっても、負け惜しみにしか聞こえない

・土地は地価によって価値が変わる。そのため、ローンを組んで家を買うということは、借りたお金の一部で不動産投資をすることと同じ

賃貸の場合は、今のところ、家賃、管理費、敷金、礼金などには消費税はかからない。一方の持ち家は、建物の建築代金、不動産業者、登記のために司法書士に支払う手数料などに消費税がかかる

・日本は「新築信仰」が強い。日本の住宅は90%が新築、アメリカでは逆に80%が中古。イギリスやフランスでも中古が新築を上回る。世界的に見れば、日本の住宅市場は異質

・新築物件は、買った瞬間に2割ほど価格が下がる。つまり、この2割が新築の価値(「気分」と「性能」の値段)。「気分」とは、買ったという満足感と新鮮だったという思い出。「性能」とは、10年経てば「ひと昔前の設備」、30年経てば「買い替えなければならない設備」

・片道2時間の通勤がもったいないと感じるのは、時間の使い方に問題があるから。仕事をすることもできるし、勉強もできる。もったいないのは、通勤時間ではなく、通勤時間を活用できていないこと

・子供と一緒に住む期間は、その家に住む期間の半分にも満たない。ローンの返済期間よりも短くなる。最終的には要らなくなる子供部屋は、最初からなくてもよいと考えられる

・会社やスポーツチームのように規律、価値観、指揮系統を明確にすることが、いい家庭を築く上でのポイント

・愛やお金や健康など不安定に変化するものに頼らずとも、先行き不透明な世の中を生き抜ける家庭をつくること。未来を生き抜けるかどうかは、家庭という最小単位の組織を強固で成長性のある集団に構築できるかどうかにかかっている

・組織では「やさしい社長」がいい社長ではない。「利益を出して、社員を幸せにする社長」がいい社長。家庭も、そのような視点で考えれば、正しい独裁によって家庭が強くなる

・夫婦間で、「価値観」と「戦略」をあらかじめ共有しておくこと。価値観とは、何に価値を見出すかであり、決断の生命線となる基準。戦略とは、何歳まで働き、老後はどこに住み、そのためにお金を準備しておくかという「進んでいく方向



本書を簡潔にまとめれば、「世間の目を気にせず、自分の(夫婦の)思い描く人生を歩んでいくことができれば、幸せな人生が送れる」ということです。

家庭を上手に経営するという視点が必要です。その家族経営を始める(創業する)のは、40歳までが望ましいのかもしれません。


[ 2014/02/03 07:00 ] お金の本 | TB(0) | CM(2)