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「・・・とは」の哲学
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『年収200万円時代賢い女の「満足生活」』松原惇子

年収200万円時代 賢い女の「満足生活」年収200万円時代 賢い女の「満足生活」
(2005/08)
松原 惇子

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松原惇子さんの本を紹介するのは、「年収200万円のハッピー生活術」に次いで、2冊目です。本書は、そのもとになった、2005年出版の書です。

年収200万円で、女性がひとりで楽しく暮らしていくには、どうすればいいのかが、豊富な取材をもとに、さまざまな参考事例が記載されています。

興味深く読めた箇所が、いっぱいありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・これまでに、貧しい女性の主人公が、貧乏のままで幸せになった事例はほとんどない。私たちは、子供のころから、「貧乏な女性は不幸だ」とすりこまれてきた

・独身のときは、悪いのは全部、会社。結婚すると、今度は悪いのは全部、夫。自分で仕事をとってこない限り、お金を得ることができない人たちに比べて、女性は自分中心に物事を考えがち

・年収が200万円台以下になっても、給料をもらえるだけでもありがたいと思えるようになりたいもの。わずかな額でも、お金をいただけることに感謝できる心が、自分を豊かにする

・会社とは、あなたの素晴らしいスポンサー。だからといって、安心してはいけない。会社が一生保障してくれるわけではない

収入と夫婦円満は密接な関係がある。なぜなら、女性は「結婚すれば安定生活が望める」と思って結婚しているから

・たいした仕事をしていないのに、名前の知れた会社に勤めているだけで、年収何百万円も、もらっていることのほうがおかしい。私たちは、年収200万円を自分のこととして考えるようになって初めて、地に足をつけて生きていると言える

お金のないときこそ、自分は何になりたいか、真剣に考えるチャンスである

・お金とは不思議なもので、あるのが当たり前になってくると、いくらあっても少ないように感じる

・30歳前後で留学する人は、留学することで、自分探しをしている場合が多い。自立と仕事を第一に考える人は、留学なんかしない

・お金も欲しいけど、夢は、好きな仕事で食べていけること

・アイデアが浮かばないのは、守られているから。収入が少なくなると、クリエイティブになれる

・女性は男性と違い、ジプシーにはなれない。女性というのは、安心して住める家が必要な性である。シングルの男女を比べると、圧倒的に女性の住宅購入率が高いことが、それを証明している

・お金がすべてではないが、お金をいただけるのはありがたいこと

・これから就職を考えている女性は、その会社に50歳過ぎの女性が何人働いているかも調べてみること

・女性はどんなに待遇のいい会社に勤めていたとしても、50歳でリストラされることを考えておくべき。もし、定年までいられたら儲けものぐらいの気持ちでいるべき

・結婚していても、自分で食べていけるようにしておけば、さわやかな自分でいられる。ひとりで自活できることは、人としての最低条件

・会社員のうちに、次の人生の下準備を始めておくと、つまらない仕事も苦にならなくなる

・お金があってもなくても、今日という日は平等にある。楽しまなくては損。年収200万円時代を生き抜くには、ラテン魂が必要

・自分の心の奥にある「人を当てにする」という考え方をやめ、ひとりを意識して暮らすと、自然と不安はなくなるもの。人に幸せを期待しているから不安になる



本書を読むと、女性が会社を辞めて、また、離婚して、ひとりで生きていくことの大変さがよくわかります。

その生活に慣れるためには、ハードルを低くしておくこと、つまり、年収200万円以下でも楽しく暮らしていく術を身につけておくことなのかもしれません。

つまり、年収200万円以下で生活できれば、人生の可能性が広がっていくということではないでしょうか。


[ 2012/07/31 07:03 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)

『カーネギー名言集・新装版』デール・カーネギー、ドロシー・カーネギー

カーネギー名言集 新装版カーネギー名言集 新装版
(2000/10)
デール カーネギー、ドロシー カーネギー 他

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「人を動かす」「道は開ける」などで有名なデール・カーネギー氏の言葉と世界の偉人の名言を取り交ぜて、カーネギー亡き後に、その妻が編集した書です。

デール・カーネギー氏がスクラップブックに収めていた偉人の言葉も同時に知ることができ、面白く読めました。カーネギー氏と世界の偉人の名言の中から、特に気に入ったものを紹介させていただきます。



・危険が身に迫った時、逃げ出すようでは駄目だ。かえって危険が二倍になる。決然と立ち向かえば、危険は半分に減る。決して逃げだすな(ウィンストン・チャーチル)

・恐怖と悩みを克服するには、わき目もふらずに働くこと(デール・カーネギー)

・信念は人を強くする。疑いは活力を麻痺させる。信念は力である(フレデリック・ロバートソン)

・あらゆる犠牲を払って勝利を得るのだ。どんな恐ろしい目に遭おうと勝利を得るのだ。あらゆる困難を克服して勝利を得るのだ。勝利なくして、われわれの生存はあり得ないからだ(ウィンストン・チャーチル)

・知能も技能も体力もすべて等しい二人の人間が、同時にスタートを切ったとすれば、没頭できる人間の方に先に決勝点が入る。たとえ実力は二流であっても、没頭できるタイプならば、没頭できない一流に勝つことがしばしばある(フレデリック・ウィリアムソン)

・臨終に際して、子孫に熱狂的精神を伝えることができれば、無限の価値ある財産を残したことになる(トーマス・エディソン)

・自分が恐怖を抱いている事柄を一覧表にして、無意味なものはないか調べてみれば、その大部分が取るに足らぬ恐怖であることがわかる(デール・カーネギー)

・物事に熱中できる人間は、自分と接触する人間を引きつけてやまない。まるで磁石のようだ(H・アディングトン・ブルース)

・恐怖心を克服したければ、自分のことばかり考えていては駄目だ。他人を助けるように心掛ければ、恐怖は消え去る(デール・カーネギー)

・どんな不幸な人生からでも、利口者は何らかの利益を得る。一方、どんな幸福な人生からでも、愚か者は心を傷つけられる(ラ・ロシュフコー)

今日だけは、その場の状況に順応しよう。今日だけは、精神的な無精者になるまい。今日だけは、誰かに親切を施そう。今日だけは、愛想よくしよう。今日だけは一日の計画を立てよう。今日だけは、恐れないようにしよう(シビル・F・パートリッジ)

・幸福になるのは、自分の好きなものを持っているからであり、他人がよいと思うものを持っているからではない(ラ・ロシュフコー)

・サイが投げられた自分の運命に自分自身を適応させよ。運命の女神が、ともに生きるように定めた仲間を愛せよ(マルクス・アウレリウス)

・実は、奴隷が自由人であるかもしれないし、王侯が奴隷であるかもしれない(フレデリック・ロバートソン)

礼儀正しさの習慣(相手の話には熱心に耳を傾ける。相手の話に口をはさまない。初対面の人の名前はすぐ覚える。自分の方が偉いといった態度を見せない。自分の考えが間違っていれば、素直にあやまる)を身につけること(デール・カーネギー)

・できれば、人より賢くなりなさい。しかし、それを、人に知らせてはいけない(チェスタフィールド)

・大いなる安らぎの心は、賞賛も中傷も気にしない人間のもの(トマス・ア・ケンピス)

・危機を目の前にすると、気骨ある人間は、自分を拠点に戦う。彼は作戦命令を自分で発し、自ら指揮をとる(ド・ゴール)

・自分の意見を決して引っ込めない者は、真理よりも自分自身を愛している(ジョーゼフ・ジュバート)

・変化を歓迎しよう。もてなそう。自分の意見や考えを何度も検討し直して、初めて人間は成長できる(デール・カーネギー)



「勤労の尊さと楽しさ」「勇気と頑張りで恐怖や敗北を克服すること」「人間同士の愛情と親切と礼儀」「神への信仰」。この四つが、カーネギー氏の人生の信条だったそうです。

カーネギー氏の血と肉となった偉人の言葉の数々と、それらが昇華してカーネギー氏の魂(信条)となった言葉の数々は、人々の心に今でも響くのではないでしょうか。


[ 2012/07/30 07:01 ] 出世の本 | TB(0) | CM(0)

『かなしみはちからに・心にしみる宮沢賢治のことば』

かなしみはちからに 心にしみる宮沢賢治のことばかなしみはちからに 心にしみる宮沢賢治のことば
(2011/06/17)
不明

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20代前半まで、宮沢賢治をよく読みました。そして、彼の足跡を知ろうと、岩手県花巻市に行き、宮沢賢治記念館も訪ねたこともあります。

宮沢賢治ほど純粋で、清い心の文筆家はいないように感じています。宮沢賢治を読むと、自分の中にある純な心を呼び戻してくれるような気がします。

本書には、宮沢賢治の純な心に触れることができる言葉がたくさん載っています。それらの一部を紹介させていただきます。



・僕はもうあのさそりのやうに、ほんたうにみんなの幸のためならば、僕のからだなんか、百ぺん灼いてもかまはない(銀河鉄道の夜)

・本当に男らしいものは、自分の仕事を立派に仕上げることをよろこぶ。決して自分が出来ないからって人をねたんだり、出来たからって出来ない人を見くびったりさない(風野又三郎)

・正しく清くはたらくひとは、ひとつの大きな芸術を時間のうしろにつくるのです(マリヴロンと少女)

・僕は自分のことは一向考へもしないで、人のことばかりうらやんだり馬鹿にしてゐるやつらを、一番いやなんだぜ。僕たちの方ではね、自分を外のものとくらべることが、一番はずかしいことになってゐるんだ。僕たちはみんな一人一人なんだよ(風野又三郎)

・かなしみはちからに、欲りはいつくしみに、いかりは智慧にみちびかるべし(書簡・大正9年)

あゝいゝな、せいせいするな。風が吹くし、農具はぴかぴか光ってゐるし、山はぼんやり、岩頸だって岩鐘だって、みんな時間のないころのゆめをみてゐるのだ(春と修羅)

・暫らく人をはなれませう。静に自らの心をみつめませう(書簡・大正7年)

・魚鳥が心尽しの犠牲のお膳の前に不平に、これを命とも思はず、まずいのどうのと云ふ人たちを、食われるものが見てゐたら何と云ふでせうか(書簡・大正7年)

・いったいどんなものがきたなくて、どんなものがわるいのでせうか(イーハトーボ農学校の春)

・あゝ、かぶとむしや、たくさんの羽虫が、毎晩僕に殺される。そしてそのたゞ一つの僕がこんどは鷹に殺される。それがこんなにつらいのだ。あゝ、つらい、つらい。僕はもう虫をたべないで餓ゑて死なう(よだかの星)

・そしてわたくしはまもなく死ぬのだろう。わたくしといふのはいったい何だ。何べん考へなほし読みあさり、さうともきゝかうも教へられても、結局まだはっきりしてゐない、わたくしといふのは(疾中)

・なれども他人は恨むものではないぞよ。みな自らがもとなのぢゃ。恨みの心は修羅となる。かけても他人は恨むでない(二十六夜)

・一の悪業によって一の悪果を見る。その悪果故に、又新なる悪業を作る。斯の如く展転して、遂にやむときないぢゃ。車輪のめぐれどもめぐれども終らざるが如くぢゃ。これを輪廻といひ、流転といふ(二十六夜)

・私は一人一人について、特別な愛といふやうなものは持ちませんし、持ちたくもありません。さういふ愛を持つものは、結局じぶんの子どもだけが大切といふ、あたり前のことになりますから(書簡下書・昭和4年)

・人はまことを求める。真理を求める。ほんたうの道を求めるのだ。人が道を求めないでゐられないことは、ちゃうど鳥の飛ばないでゐられないとおんなじだ(学者アラムハラドの見た着物)

・すべてのといふものは、ひとにとゞまるものでない。ひとさへひとにとゞまらぬ(春と修羅)

・病んでゐても、あるいは死んでしまっても、残りのみんなに対しては、やっぱり川はつづけて流れるし、なんといふいゝことだろう(春と修羅)



宮沢賢治は農学者であり、植物、地質、宇宙、宝石などの自然科学を愛していました。

生物を詳細に見る(生物学、細胞学、遺伝子学)のと、生物が暮らしている環境を広く見る(生態学、環境学)のと、つまり、生物をマクロとミクロで見る眼を養うと、道理が何でも見えてくるのかもしれません。

何でも見えてくると、芸術的になり、宗教的になり、哲学的になっていくように思います。そうなった宮沢賢治の心から発せられたのが、本書にあるような言葉ではないでしょうか。だから、心にしみるのだと思います。


[ 2012/07/28 07:02 ] 芸術の本 | TB(0) | CM(0)

『仏音・最後の名僧10人が語る「生きる喜び」』高瀬広居

仏音  最後の名僧10人が語る「生きる喜び」 (朝日文庫)仏音 最後の名僧10人が語る「生きる喜び」 (朝日文庫)
(2004/09/17)
高瀬 広居

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昭和・平成を代表する名僧である、宇治能化院の内山興正さん、比叡山延暦寺の葉上照澄さん、三島竜沢寺の中川宗淵さん、奈良薬師寺の橋本凝胤さん、神戸祥福寺の山田無文さんら10人にインタビューした書です。

著者も僧侶なので、求道者たちの真の言葉が、十分に記されているように感じました。高僧から、現代のわれわれへの重要なメッセージの数々を「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・人は謙遜したつもりでも、「贅沢するつもりはないが、人並みに生活したい」と思っていて、「世の中で自分が一番不幸であるように」などと望んでいない。とにかく、「自分だけ」を区切りとって、その自分を、人並み以上のところへ置こうとする(内山興正)

・不幸な人を見たとき、「代わってあげたい」と望まず、「自分でなくてよかった」と思う。誓願を持つ(仏さまへの誓いをたてる)と、この情けない根性がなくなる(内山興正)

・最低生活は風流である。人は貧乏を恥とし、隠したがるが、私は貧乏が誇り(内山興正)

・「私の考え」とは、実は、遺伝的性格、生まれた環境、境遇、時代、教育、風習、習慣、経験、一切の衣食住を織り込んだ偶発的な「よりあつまり加減」。それを自分だとレッテルを貼り、自分だと深く思い固めている。これが仏教の「無明の自己」(内山興正)

・車がほしい、買いたいという欲望は、「一人前の欲望」に見えるが、実は「流行」が、その欲望を起こさせている。言ってみれば、「現代流行分の一」の人間でしかない(内山興正)

・頭の通じ合いの中の遺産、それが科学技術、文明、思想。こういうものは、積み重ねができる。ところが、生命の世界は積み重ねができない。沢木老師は、「屁一つだって、人と貸し借りできない。人はみな自己に生きなければいけない」とよく言っていた(内山興正)

・道元禅師の「典座教訓」には、喜心老心大心の三心が書かれてある。喜びの心、母が子を見る慈愛、無心の心・思い選ばぬ心、この三心は一つ。自己が自己として大人になるには、この心を欠いて、どんな対策をたててもだめ(内山興正)

・宗教とは、人間を救い教育するもの。今の日本は指導者不在。大衆教化もよいが、私は指導者を教育したい。浅草の観音さんや四天王寺は金づくりと社会的事業。本願寺さんは大衆タッチ。叡山は指導者づくり。私はそう割り切っている(葉上照澄)

・大いに自分を疑え。疑えば疑うほど深くなる。身を苦しめ、心を苦しめ、頭脳をふり絞って行う血を吐くような接心。そこに強靭な人間が生まれる(中川宗淵)

人間の悪業は、「汚染」であって、本体そのものが穢れたものではない(中川宗淵)

・山岡鉄舟は「坐禅は石鹸みたいなもの。心の垢もからだの垢も同じ」と言った。生まれてきてから目先のことばかり思ってきた宿因、宿業を洗い落すのが臨済禅(中川宗淵)

・多数派は死者。生者は死者の中に包み込まれた少数者。死の継ぎ目が生(中川宗淵)

・念仏したら往生する、禅をくんだら仏性が見えるなどの寝言はやめて、どうしたら最高価値の生活に生きていけるか。その方向を知り、自己を知ること(橋本凝胤)

・修行とは精神生活の充実、またはピュアリイ(純化浄化)。自分で自分を開拓し、自覚して、一心不乱に努力したときに到達するのが最高価値の世界(橋本凝胤)

・人間は天運に支配されているのではない。過去の自分の業によって、現在が支配されている。だから、自分の未来は、自分の業によってつくられる(橋本凝胤)

・物をつくり出すのが人間。そのつくり出したものに支配され、苦しむのも人間。この不自然さを超える力を持たねば、人間の苦はいつまでも続く(山田無文)

・西洋は「自我を自己とせよ」。東洋は「自我を捨てたところに自由がある」(山田無文)

・庭をみれば完全に自分を忘れて庭と一つになる。花をみれば花と一つになる。それが、三昧の習慣、忘我の習慣。自分を忘れるくせを身につけること(山田無文)

・カナダの首相に、「無とは何か、どうすれば無になれるか」と聞かれ、「森羅万象と自分の距離がなくなること。カナダ人の苦しみが自分の苦しみとなり、人民の幸福が自分の幸福と受けとめられたとき、無になり、禅を極めたことになる」と申し上げた(山田無文)



本書において、生きる喜びの本質、真髄が、これらの名僧たちのメッセージによくあらわれているように感じました。

宗派や考え方は違えども、その頂点にあるものは、みな同じということではないでしょうか。


[ 2012/07/27 07:03 ] 神仏の本 | TB(0) | CM(0)

『頭のそうじ心のそうじ―人生をキレイにする』鍵山秀三郎

頭のそうじ 心のそうじ―人生をキレイにする頭のそうじ 心のそうじ―人生をキレイにする
(2007/11)
鍵山 秀三郎

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著者の本を紹介するのは「凡事徹底」に次ぎ、2冊目です。著者は、カー用品チェーン店「イエローハット」を経営する傍ら、「日本を美しくする会」の活動をされています。

本書には、著者の「掃除哲学」が綴られています。場所の掃除、物の掃除に止まらず、本のタイトルのように、頭や心の掃除にまで、その「掃除哲学」を拡げられています。

著者の掃除哲学に学ぶべき点が多いように感じました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・掃除をして環境がきれいになると、職場の雰囲気が穏やかになる。穏やかな雰囲気は、その場にいる人の心の荒みをなくしてくれる。怒りも抑えてくれる

・掃除というのは、モノを大切にすること。そして、モノを大切にするということは、結局、人を大切にすることにつながる

・自分が掃除をすると、誰かが気持ちよくなる、誰かが喜んでくれる、誰かの心が穏やかになる。そして、そのことで自分もうれしくなる

・今やっていることから学ぶこと。今自分がやっていることがちょっとおかしいと思ったら、それを即座に変えること

・効率というのは、どうやったら能率的にできるかというのが本来の意味だが、それがいつの間にか、手抜きすることが効率になってしまった

・生活拠点の家庭が、和やかで、明るく、楽しく営まれていて、その中で、親も子供も生活感覚を育み、磨いていれば、社会や国家も安泰

・経営者があまりにも成果主義を推進した結果、本来は、社員がみんなで外に向かって出すべきエネルギーが、内に向かって悪循環する。つまり、社員同士が無用に争いあう

人間性を無視した大企業のやり方が、日本の家庭を崩壊させ、その結果として、子供たちが悪い方向へ向かう。「成果主義」というのは考えもの

・環境がきれいになれば、能率が上がるだけでなく、よからぬものを寄せつけない

・悪い意味での余裕がありすぎるときに湧いてくる雑念を「妄念」と言う。つまり、頭の中のゴミ。本当に切羽詰まっていれば、妄念など湧いてこない

・人間は、見ているものに自分の気持ちも似てくる。雑然としたものに囲まれていては、頭も心も整理できない

・人間には、「上品な人」と「下品な人」がいる。でも「中品な人」はいない。上品でなければ、すなわち、下品である

・お金でも、モノでも、時間でも、少ないと価値が高くなる。お金も、モノも、時間も、たくさんあると価値が下がり、ついつい粗末にするようになる。そして、お金や、モノや、時間を粗末にする人は、人まで粗末にして、人の骨折りや労働を正当に評価しなくなる

・世の中は、大変なことをやった人のみが成長するようにできている

・職業に貴賎はないというが、大企業の社員ほど、人の話を謙虚に聞かなくなり、卑しくなっている。あたかも上流の人間のように錯覚している。社会もそれをなんとなく許してしまっている

・虚栄心の強い、見栄っ張りな人ほど、中身は何もない。ない中身を、より大きく、より豪華に見せようとする。女性にも男性にも、虚栄心のかたまりのような人がいる

・仕事やお金がなくても、将来に希望が見えるような社会にすることが、そのまま社会の安全につながっていく

・人に親切にすること、経験をたくさん積むこと、これが不安を減らす方法

・最悪の状況を先に覚悟しておけば、パニックになることを抑えられる。逆に、なんとかなるのではないかと中途半端な期待を抱くと、状況が悪くなる度に、不安が増大し、パニックに陥ってしまう

・「動中の工夫は、静中に勝ること百千億倍」(白隠禅師)。いいアイデアは、動きの中から生まれてくる。じっとしていて、いいことはないかと考えても何も出てこない



整理整頓・清掃清潔」の気持ち、つまり、きれいにする気持ちがすべての基本であることを教えてくれる書です。

この「きれいにする気持ち」は、頭で覚えるものではなく、身体で覚え、半ば習慣化することで得られるものです。この大事なことを、もう一度理解するのに、とても大事な書ではないでしょうか。


[ 2012/07/26 07:01 ] 鍵山秀三郎・本 | TB(0) | CM(0)

『良心をもたない人たち―25人に1人という恐怖』マーサ・スタウト

良心をもたない人たち―25人に1人という恐怖良心をもたない人たち―25人に1人という恐怖
(2006/01)
マーサ スタウト

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良心をもたない人を信じて、付いていくと、うまく操られ手駒にされて利用され、利用価値がなくなると捨てられます。つまり、大損します。

リーダーシップを発揮する人、押しの強い人に、そういった人が多い傾向があります。そういう人は魅力的でもあるだけに厄介です。

本書には、良心をもたない人に引っかからないためのアドバイスが数多く記されています。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・良心がない人(反社会性人格障害者)の特徴は、「社会的規範に順応できない」「人を騙す、操作する」「衝動的、計画性がない」「カッとしやすい、攻撃的」「自分や他人の安全を全く考えない」「無責任さ」「良心の呵責を感じない」の三つ以上を満たすことが条件

・およそ25人に1人の割合で、サイコパス(精神病質者)、つまり良心をもたない人たちがいる

・良心をもたない人たちの願望は、ほかの人々を支配したい勝ちたいあっと言わせたいというもの。自分の行為から生まれる結果については、まったく無頓着

・私たちは、自分の良心に逆らってまで、権威に従うようにプログラミングされている

・平気で悪事をする人々の間で最も普遍的な行動は、私たちの恐怖心に訴えるものではない。私たちの同情心に訴えるもの。最高の目安になるのは、「泣き落とし

・不適切な行動をする相手が、繰り返し、あなたの同情を買おうとしたら、警戒を要する

・良心をもたない人たちは、ほんの束の間、趣味、計画、人との関係などに熱中する。だが、のめりこんだりしない。そうした熱中は、わけもなく突然始まって、同じように突然終わりを告げる

・良心をもたない人たちは、良心が欠如しているだけでない。彼らは、愛や優しさといった感情的体験を受けとめることができない

愛着障害は、幼児期の愛着が阻害されたために生じる。原因は親の感情障害や、幼児が長い間放置された場合である。最初の七カ月の間に愛着を体験できず、深刻な愛着障害をもつ人は、他の人々に感情的な絆を結べず、悲惨な運命をたどる

・アメリカの社会は、力を求める者たちの「自分本位」の態度を容認し、奨励してきた。衝動的な行動、無責任さ、良心の呵責のなさといった特徴をあおり、容認し、ときには高く評価する傾向がある

・良心なき人々は、感情をもたない優秀な戦士(悩むことなく相手を殺すことができる)になれる

・自分の直感と、相手の肩書が伝えるものとの間で、判断が分かれたら、自分の直感に従うこと

・あなたのお金や仕事や秘密や愛情を「三回裏切った相手」に委ねてはならない

人の心を煽るのは、良心をもたない人たちの手口。彼らの挑発に乗って、力比べをしないこと

・良心をもたない人たちから身を守る最良の方法は、彼らを避けること。いかなる種類の連絡も断つこと

・相手を助けたいのなら、自ら助かりたいと望んでいる人だけを助けること。そういう人の中に、良心の欠如した人間はいない

・破壊的で邪悪なタイプの人間が、人類の歴史の中で、繰り返し生まれてきた。彼らは、戦争、侵略、大量虐殺を行ってきた

・良心をもたない人たちは常に刺激を求める。スリル中毒とか危険中毒などの中毒が起きるのは、感情的な生活が必要なため

・良心を持たない人たちは、努力を続けることや、組織的に計画された仕事は嫌がる。現実世界で、手っ取り早い成功を好む。毎朝早くから職場に通って、長時間働くことなど眼中にない



25人に1人が、良心をもたない人たちであるという事実は、ある意味、恐怖です。

本書を読み、そういう人たちを発見し、彼らから距離を置き、かかわらないようにすることが、不幸を避ける最適の方法かもしれません。


[ 2012/07/25 07:01 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)

『あえて小さく生きる』鈴木達雄

あえて小さく生きるあえて小さく生きる
(2012/03/09)
鈴木 達雄

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著者は、東京でメッキ塗装加工業を営む中小企業の社長です。経営破綻も経験し、それでも真面目に現場と格闘されてきた歴史が、本書の端々に感じられます。

高所から論じる経営評論家の本よりも、現場の生の声が凝縮されている本のほうが、真実が数多く秘められており、非常に勉強になります。私は、このような本が大好きです。勉強になったポイントを紹介させていただきます。



・経営者としての出発点は、「腹をくくる」(覚悟する)ということ

・独立した当初は高い志を胸に抱いていても、経営していく過程で、多くの誘惑しがらみに捉われ、だんだん信念が変わってしまう人がいる。浮ついた気持ちや慢心が経営破綻に陥る落とし穴となる

・「余計なものは要らない、無駄をしない欲張らない飾らない」。これが、日常生活で実践しているモットー。こんなシンプルな精神を事業の理念として、ローコスト経営を徹底してきた

意味のないクレーム無理な注文に応じる必要はない。中小企業は大企業ではないのだから、自社が生き残るために、今大事だと思うお客のみを大切にしたらよい

・金融機関とのコミュニケーション(金融機関の人の話は参考になる。独善的になるのを防ぐため)が濃密になっても、彼らが勧める利殖提案に安易に乗ってはいけない。金融機関はどう転んでも損をしないもの

・苦労すればいいというものではない。苦労が過ぎると、人の裏側がくっきり見えてくる。ただ見えるのではなく、見えなくてもいい余計な部分まで見え過ぎてしまう

裏切られたりののしられたりすると、人を心から信じられなくなり、物事を常に斜めからしか見られなくなり、その体質が直らなくなる。そうなると、素直になれず、ひがみっぽくなり、幸せがますます逃げていく

・「生きないお金」とは、役員賞与、公平性を欠いた配当、同業接待費、投資の類。これらは、実業に直接関係のないもの。つまり、社員や社業の役に立たないもの

・運用で生み出したお金は、また運用の失敗によって泡のように消えていくもの。お金がお金を生むというのは幻想や罠、本業をおろそかにする魔の手

・「啐啄の機(そったくのき)」(ヒナが今まさに孵ろうと、内側から殻をつつく。母鳥は子を出してやろうと殻を外からつつく。内からも外からも同時にアクションを起こすチャンス)は、機運が整ったという意味。実業をがんばっていれば、必ず「啐啄の機」は訪れる

・設備投資をいつ行うか(いつ完成するか)、どの規模で行うかは大きな経営判断。また、借金で賄うのか、自己資本で乗り切るのかも大きな違い。ブームに乗って安易に設備投資すると、その投資分を回収できないまま、借金だけが残ってしまうことになりかねない

・人材を育てていく上で大事なことは、社員が、任されて、成功体験を得て、感動を味わい、自信を持つというサイクルを何度か繰り返す機会を与えること

・無駄なコストで、疑うべきものは減価償却費。最新鋭の設備を導入しても、それに見合う仕事の受注は難しい。併せて、リース機器にも注意が必要。景気が悪化し、収入が減ると、リース代がボディブローのようにじわじわ効いてくる

・「聞いて箱」(ちょっと聞いてよと、思ったことを書いて箱の中に入れるもの)などの制度があれば、社員は自分なりに改善提案してみようかという気になるし、提案が受け入れられたときに、とても喜ぶ

・マニュアルをつくって明文化し、誰でもわかるようにして、いくつもの能力を持った社員、必要なときには適宜、別の業務に携われる社員、つまり「多能工」こそが、中小企業にとって、最も必要な人材

・社員教育で大切なのは、伴走すること。併走型の教育スタイル(そばで指導し、見守る)で、共に走るから共にがんばろうというやり方

・当社の断捨離の「断」は、新規購入意欲を制限すること。「捨」は、必要のないものをどんどん捨てること。「離」は、重要なものに、順位をつけること

・当社の社員には「あ行美人」(明るく、生き生き、うれしそうに、笑顔で、思い合う)になるように指導してきた



著者の会社は、健全な経営を行っている中小企業の典型のように感じました。大企業よりも、このような中小企業に勤めることができたら、幸せになれるのではないでしょうか。

車も軽自動車が売れています。働く面でも、見栄を張らずに、大きな会社から健全な中小の会社を、自分の判断で見つけ出せるようになることが大事なのではないでしょうか。


[ 2012/07/24 07:02 ] 育成の本 | TB(0) | CM(0)

『たのしみを財産に変える生活』本多静六

たのしみを財産に変える生活たのしみを財産に変える生活
(2012/03/20)
本多 静六

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本多静六氏の本は、「人生を豊かにする言葉」「自分を生かす人生」に次ぎ、3冊目です。

本多静六氏が素晴らしいのは、東大農学部の教授を務め、公園設計に東奔西走しながらも、倹約に勤め、多額の財産を築いたこと。しかも、手がけた公園が、日比谷公園、大濠公園、明治神宮など、高く評価されていることと、晩年、築いた財産を寄付したことです。

今でも、埼玉県に「本多静六博士奨学金」があり、奨学生が累計で2000人近くに及んでいます。このような、知的業績財産形成を同時に達成した人は、日本では、ほとんど例がありません。

本書は、本多静六氏自身の手で、86歳のときに書かれた随筆です。いろいろな面で、その人生観が伝わってきます。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・学者や宗教家には、金銭や物質の欲を軽視して、精神生活のみに憧れ、清貧を楽しむ者がいる。欲望は、物質的と精神的に便宜上区別されるが、物質がなければ精神の宿るところもなく、精神的修養のできた人でも、食わずにはいられない

・幸福は、自己の欲望の満たされた状態だが、偶然満たされた場合は、こぼれさいわいといって、永続した実例がないばかりか、かえって、いろいろな誘惑に襲われ、その幸福は破壊され、自分もいつか怠惰放逸となって、以前よりも悲惨な境遇となる

・人は平和安楽に安んずるよりも、むしろ、その理想に向かって精進努力することが、かえって幸福となる

・健康と教育と金の他に、努力の習慣(努力を通しての幸福)を与え、勤労の快味を体験させないことには、かえって子孫を不幸にする。必要以上に与えられた生活の余裕は、子供たちを怠惰、放縦、淫蕩に導く最大の要因

・子孫が独立後、事業に失敗することがあっても、親は決して物質的に救済しないこと。失敗は成功の母であり、新たにやり直すべきことを暗示する大切な教訓であるから、その教訓を空しくさせてはならない

・人の成功も幸福も家庭の平和繁昌も、社会の進歩発達も、食欲・性欲・自由欲の三欲の善用から起こる

・「真」(必要なるもの)「善」(便利なるもの)「美」(美しきもの)を統一純化し、この三原則に反するものと訣別して、生活を単純化簡易化すること

・君子は清貧を楽しむ。最高の美は単純にあり、素朴にある。純粋こそ美の棲家である

・無きは有るにまさる、感謝はものの乏しきにあり

・精神さえ毅然としていれば、極度の物質の不足もむしろ喜びとすることができる。われわれは貯蓄目標に精進して、できるだけ簡素生活をしなければならない

慢心、贅沢、怠惰、名利の四つを慎みさえすれば、長生きし、天地に恥じない幸福生活に入ることができる

・人生の最大幸福は、職業の道楽化にあり、富も名誉も美衣美食も、職業道楽の愉快さには遠く及ばない

・名利は元来与えられるべきもので、求むべきものではない。求めて得た名利は、やがて苦痛のタネになる

・誰もやり手がない困難な仕事をわざと選んで、努力すれば、人の嫌がることも楽しくなる

・夫婦の間、家族の内に、意見の一致しないことが起きても、互いに二度までは意見を主張することができるが、三度目はジャンケンポンで決める。そうすれば、利害得失の議論が起こる余地がない

・夫婦愛は、自我を捨て、新たな人格をつくり、これを完成しようとする努力の情緒。強情な性格、ヒステリー的性格者は、夫婦の資格を欠く



簡素、素朴、質素、努力、精進、純粋、単純などの言葉が、本多静六氏の口から頻繁に出てきます。

これらの言葉は、楽しみとほど遠いように思われますが、これらを楽しみと思える気持ちが、財産に変わるのではないでしょうか。

お金や財産といったものに、一番近いのが、実は、これらの言葉のような生活を営むことなのかもしれません。
[ 2012/07/23 07:01 ] 本多静六・本 | TB(0) | CM(0)

『昆虫食入門』内山昭一

昆虫食入門 (平凡社新書)昆虫食入門 (平凡社新書)
(2012/04/15)
内山 昭一

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何年か前に、ブラックバスのフライを食べたことがありますが、美味でした。嫌われている魚でも、調理法を考えれば、人類の貴重なタンパク源になります。大人たちも、好き嫌いをなくしていかないといけません。

ところで、食わず嫌いの最たるものが、昆虫です。人類が猿の時代、昆虫と果物が重要な食糧源でした。だから、食べられないわけがないと思います。最近では、モドキ食品が多く開発されてきているので、見た目を改善することが可能です。

この本は、人類の食糧難を解決する切り札である「昆虫食」が、詳しく語られています。参考になった箇所が数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・長野県は昆虫食王国。大正期の調査では、17種類の昆虫が食べられていた。今でも、店頭には、イナゴ、ハチの子、カイコ、ザザムシ(トビゲラの幼虫)などが、普通の食品のような顔をして並んでいる

・昆虫は4億年前に誕生した。それは、2億年前に恐竜に追われて、夜行性を余儀なくされた原始哺乳類にとって、かけがえのない食料であった

・「虫食」こそが人類の最も昔からの食性であり、「魚食」が始まったのはごく最近の500万年前のこと

・大正時代の「食用及び薬用昆虫に関する調査」によると、ハチ14種、ガ11種、バッタ10種、甲虫8種など、55種類の昆虫が食用とされていた。地域別では、長野県、山口県、山梨県、山形県、愛媛県の順で、41道府県で食べられていた。薬用昆虫は123種に及ぶ

・カミキリムシは昆虫食の王座に君臨する希少な高級食材。幼虫のとろける脂身の甘味は、マグロのトロに形容される。なかでも大型のシロスジカミキリの幼虫は昆虫食界の王者

・世界で食べられてきた食用昆虫は、バッタ、コオロギ、ハチ、アリ、ガ、甲虫、セミ、カメムシ、シロアリ、水生昆虫など。その蛹、幼虫、成虫、巣を食べ、調理法は、生食、飲む、漬ける、干す、味つけ、煎る、蒸す、煮る、焼く、炒める、揚げるなどざまざま

・昆虫の大半の種は、繁殖力が旺盛で、捕りすぎても心配がない。また、身近な市街地など多様な環境に生息しているので、誰でも簡単に「狩猟」に挑戦できる

・「マイナー・サブシステンス」とは、動植物の採集がもたらす喜びや生きがいといった個人の精神的側面を評価しようとするもの。従来の経済的、栄養的価値ではなく、自然との関わりを通じた人間の精神的価値を積極的に捉え直す考え

・食べ物の味には、甘い、塩辛い、酸っぱい、苦い、うまいの五つの基本味の他に辛味と渋味が加わる。さらに、香り、硬さ、粘り、温度、色、形といった情報も、食べ物のおいしさを決める重要な要素

・虫の味品評会で、おいしかった虫は、カミキリムシ、オオスズメバチ(前蛹)。まずかった虫は、カイコ、アカスジキンカメムシ、アトラスオオカブト、ゲンゴロウ、コガネムシ、トビズムカデなど

・おいしい虫の共通点は「甘味、うま味、コクがあって、クリーミー」、まずい虫の共通点は「臭くて硬い」。まずい虫には、調理法の研究(殻を取り除き、醤やニンニクを使って調理するなど)が必要

・イナゴ、セミの幼虫は高タンパク・低脂肪食品。シロアリの幼虫は脂肪が多く含まれる。コオロギ、マダガスカルゴキブリはタンパク質と脂肪のバランスがいい

・1㎡当たり何kgの肉を生産できるかを比較すると、カイコ幼虫が221kgであり、ブロイラーが105kg。カイコ幼虫はブロイラーよりも省スペース大量生産が可能

・ブロイラーには、骨や羽など人が食べられない部位を含んでいる。一般的な可食部分の肉は43%。これに対し、カイコ幼虫の可食部率は100%。昆虫一般の可食部率は成虫で80~90%、幼虫で100%

・恒温動物は変温動物より15倍たくさん食べる。恒温動物は停まっていてもエンジンをかけっぱなしにしている発車に備える自動車に似ている。サイズも小さい方が成長が早いので効率的。恒温動物よりも変温動物、大きい動物よりも小さい動物を食べた方が効率的

・優秀な食材とは、1.「種類が多く、量も豊富」2.「繁殖力が旺盛」3.「餌が人の食料と競合しない」4.「変温動物でエネルギー効率がいい」もの。昆虫食は、まさに「食料危機の救世主



人間は、小さい頃から食べ慣れたものをおいしく思う習性があります。そのためには、昆虫食などを「モドキ食品」に加工して、給食などで子供たちに食べさせていくことも大事です。

地球に豊富にある恵まれた食材を、好き嫌いせず、有効に利用すれば、人類はまだまだ、地球上に暮らしていくことができるのではないでしょうか。人類の未来のためにも、昆虫食を推進していくべきではないでしょうか。
[ 2012/07/21 07:02 ] 環境の本 | TB(0) | CM(0)

『一遍上人ものがたり』金井清光

一遍上人ものがたり (東京美術選書)一遍上人ものがたり (東京美術選書)
(1988/06)
金井 清光

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一遍上人は、法然、親鸞、栄西、道元、親鸞、日蓮らと並ぶ鎌倉仏教の開祖です。しかし、この中では、一風変わった存在です。そのユニークな「踊り念仏」という布教方法は、歌舞伎や盆踊りのもとになったと言われています。

庶民の側に立って、布教しようとした一遍上人とは、どういう人物であったのか。本書は、詳しく解説してくれています。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・一遍上人は、念仏者の心得を尋ねられて、「地獄を恐れる心を捨て、極楽を願う心も捨て、諸宗の悟りをも捨て、一切の事を捨てて、ただバカになって念仏しなさい」と答えている。つまり、誰でも、バカになって念仏すれば、直ちに往生して仏になれるということ

・一遍上人は、息が途絶えるまでナムアミダブツと唱えなさいと教えている。念仏を唱えて、唱えて、唱え続けて、息苦しくなった瞬間に無意識になる。無意識になれば、一切の欲がなくなり、赤ん坊と同じ無我無心になる。そのような空念仏こそが往生

・法然や親鸞は、阿弥陀仏の本願を信じ、ナムアミダブツと唱えれば極楽往生できると説き、「信心」を重んじた。誰でも、宗教は信仰と思っているが、一遍上人は信仰を否定した

・一遍上人の教えは、信心などいらない。阿弥陀仏の救いは、人間の信仰と無関係で、口から出まかせのナムアミダブツでも往生するというもの

・普通の人は、信心もないのに、念仏など唱えない。そこで、一遍上人は、念仏の札(南無阿弥陀仏決定往生と印刷した札)を無条件で人々に与えた

・一遍上人の教えによれば、口のきけない人は、南無阿弥陀仏と書いてある文字をボンヤリ眺めるだけで往生する。目の不自由な人は、南無阿弥陀仏と書いてある紙片に手を触れるだけでよい。何らかの形で、南無阿弥陀仏に縁を結べば、信仰とは無関係に救われる

・念仏は往生への第一歩。信じてもいいし、信じなくてもいい。とにかく念仏を唱えることが大切。往生は信心と無関係のナムアミダブツ自体の不思議な働きによるもの

・「人間の迷いを捨てれば、いま生きているこの世がそのまま浄土になる」(一遍上人語録)

・「極楽とは我が空無になった状態の浄土」(一遍上人語録)。自分が救われたいと望んでいれば、自分の力でよいことをおこなっても極楽に行くことはできない。そういう欲を捨てれば、直ちに極楽往生する

・一遍上人の教えは、「人間だれでも生まれながら仏であり、阿弥陀仏。それは、ズバリ言えば『空』。だから生死もなければ、信心もない」ということ

・一遍上人は、「自分の死後、弔いの仏事作法をきちんとしてはいけない。死体は野原に捨てて獣に食べさせなさい。しかし、在俗の人たちが法縁を結びたいと願うのを、自分の遺言にこだわって拒否してはいけない」と遺言している

・一遍上人は、浄土教の学問の師匠になっても、大きなお寺に住むこともせず、時の権力者に近づいて贅沢な暮しをするようなことも一切せず、ただひたすら名もなく貧しい人々を救うため、田舎の石ころ道を歩き続ける遊行の聖となった

・一遍上人は、奈良のすぐそばを通りながら、東大寺の大仏に行かなかった。国家権力が民衆から税金を搾り取って造った大仏などに振り向きもしないところに、社会の底辺にあえいでいる民衆を救う尊い姿がよくあらわれている

・一遍上人は、一生の間、権力者に近づくことはまったくなく、わが身を投げ捨て、名もなく貧しい民衆に救いの手をさしのべ、何の報酬も期待せず、自分の住む家も寺もなく、妻子もなく、一宗一派も形成せず、身にただ破れ衣一つをまとって大往生した

・一遍上人は、全国各地を遊行して、信者や不信者の区別なく、行きあう人ごとに札を配った。人が集まる市場や神社や寺の前でも、踊り念仏を行い、黒山の人だかりになったところで札を配った

・「一遍聖絵には、遠く山々が霞み、雁の群れが夕暮れの空に飛ぶ砂浜に、老い松の近くを二三の弟子と打ちつれて、とぼとぼ歩み続ける上人の姿が描かれている。遍歴の道を倦まず歩み続ける寂寞たるこの光景こそ、東洋の哲理を描き出して余すところない」(柳宗悦)

・一遍聖絵(国宝)の絵巻には、名もなく貧しい人々や社会の最底辺にうごめく虐げられた人々を、手にとるように生き生きと描いている。これは一遍上人の宗教が、権力者や上層階級よりも、中下層階級や底辺階級に救いの手をさしのべたことを何よりも語るもの



一遍上人の弟子たちが興した「時宗」は、その後、隆盛を極めたとは決して言えません。でも、そういうところが、一遍上人らしいところです。

一遍上人の教えは、念仏を唱えるという意味で、浄土宗や浄土真宗、日蓮宗のようではありますが、無の境地に至るという意味で、臨済宗や曹洞宗のようでもあります。

一遍上人とは、念仏と禅の融合した教えを、庶民に、手軽に、手短かに伝え、庶民に安心を与えた、時代が生んだ人物だったのではないでしょうか。
[ 2012/07/20 07:01 ] 神仏の本 | TB(0) | CM(0)

『人生をいじくり回してはいけない』水木しげる

水木しげる 人生をいじくり回してはいけない (人生のエッセイ)水木しげる 人生をいじくり回してはいけない (人生のエッセイ)
(2010/04/25)
水木 しげる

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ゲゲゲの鬼太郎は、小さい頃よく見ていました。ゲゲゲの女房も毎日見ていました。鳥取県境港市の水木しげるロードにも行きました。さらに、美術館での水木しげる展にも足を運びました。考えてみれば、水木しげるさんのファンです。

水木しげるさんには、妖怪を語った本や、その一生を語った本は多いのですが、人生哲学や思想を語った書は少なかったように思います。本書はその貴重な本です。教養の深さや人生観もよく現れています。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・世間は広いし、読者は変わる。しかし、変わらないものがある。それは人間性というやつ。人間というものは、語りつくされ書きつくされているが、終わることのないドラマ

・いま町を歩いていて、真剣な空気が流れているのは、パチンコ屋くらい。パチンコは金がかかっているから目つきが違う。あとは、つまらなそうな顔をして歩いている人ばかり

・幸せというのは厄介なもので、カシコイ人、エライ人の決めた単純な方法を守っていても、うまくいかない。一つの道に固執するのは、かえって幸せの可能性を狭める

・ブームも良いが、つまらない仕事も多くなるから考えもの。ブームってものは、ないよりあったほうが良い。だから、いかに楽にブームの良いところだけを頂戴するかだ

・南方の原住民は好きなことをする。食糧を得るために、畑で2、3時間働くだけで、あとは、踊りをおどったり、ぶらぶらしたりしている。要するに、生きるためにちょっと働いている。われわれ日本人は、ややもすると、仕事のために生きている

・戦争というのは、始まる前から、いろいろと楽しいことが奪われる。刻苦勉励とか節約とか言って、全国民にそれをやれというわけ。戦争が始まるともっとひどいもので、物を欲しがると「国賊」だとののしられる

・妖怪は人間の脳みその鏡のようなもの。貧乏や飢えに対する恐怖、闇に対する恐怖、権力への恐怖といった情念が形になったものが妖怪

・南方は、働かないのが幸せという風土。魚もいれば豚もいる。椰子の木もあれば、パパイヤもある。だから、飢え死にすることがない。どんな貧乏人でも、自然が生活を保証してくれて、ノンキな暮らしができる

・南方では、かりに成功して大金持ちになっても、何も所有しない。何もない家に暮らすのが特徴。物があるとかえって暑い。だから、金持ちも貧乏人もあまり差がない

・人は生まれてから、「アレマ、コレマ」と驚き、慌て、「アレマ、コレマ」と年をとり、「アレマ、コレマ」と死んでいく。安らぎの場所は、死後の世界にしかない

・「あっオレいつ死んだんだ」という感じで、ごく自然に死ぬのが良い。すなわち、ぼんやりして何が何だか分からないうちに死ぬというのが良い。死というのは、向こうに招かれるわけだから、素直に行ったらいい

お金を少し儲けて、楽して生きることが本当の幸せという考えは、今も変わらない

・好きなことが見つからなくて困っているというのは、無能ということ。でも、無能は悪いことではない。なにも無理に成功を目指さなくてもいい

・成功を欲しがるのは、無能な人。優秀な人なら、放っておいても成功する

・人口の密集しているところでは、やっぱり金がなければ、どうしようもない。日本では、カネが「打ち出の小槌」になる。南方の原住民なんか、金がなくても平気。金の使い道なんかない。アクセクしなくて生活できるのだから、どう考えたって、あっちが楽園

・土人というのは、土に生きる人という意味。土人は、自分のことを格別に偉いとは思っていない。ところが、土のない所に住んでいると、こうしなければならないと真面目の鬼に憑かれて、自分だけが幸せになりたいと、懸命になる

・幸福というのは、線の引き方。下の方へ線を引いておけば、満たされる。しかし、必ずしも一定しない。幸福の線は、上げる下げるを自分勝手にやるわけだから、幸福を叫ぶ人は、幸福でない人がほとんど

・人生にはいろんなことが起こって当たり前。それに一喜一憂しないで、放っておくこと。人生を下手にいじくり回したところで、何の解決にもならない。ラバウルの人たちは、神様に与えられた人生をいじくり回したりしない。だからこそ、幸せの空気に包まれている



水木しげるさんの人生観は、「好きで得意なことをして生きてきた」こと、「南方の楽園の暮らしを知った」こと、「戦争で死にかけて片腕を失った」ことが熟成されて生まれてきたものだと思います。

その言葉の数々を聞いていると、誰でも、生きるのが楽に思えてくるのではないでしょうか。
[ 2012/07/19 07:02 ] 幸せの本 | TB(0) | CM(0)

『100年予測』ジョージ・フリードマン

100年予測―世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図100年予測―世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図
(2009/10/09)
ジョージ フリードマン、George Friedman 他

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本書は、アメリカ人による100年後の世界を予測するものです。著者は、主に、国家と技術がどうなっていくかに言及されています。

当たるか当たらないかは別にして、本書の予測にあるようなことが少なからず起こってくるのではないでしょうか。興味深く思えた箇所を、「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・アメリカは経済規模が巨大なのに、人口密度が低い。アメリカは1平方キロメートル当たり31人。日本は同338人、ドイツは同230人。耕作可能地に対する人口割合もアジアの5倍、ヨーロッパの2倍。経済の三要素(土地、労働力、資本)で拡大余地を残している

・アメリカの経済が強力なのは、軍事力のおかげ。他国は戦争からの復興に時間を取られたが、アメリカは戦争のおかげで成長してきた

・アメリカが海洋を支配したことは、貿易ルールを定めることを通して、いかなる国のルールであれ、阻止することができた

・現在のアメリカの勢力は、最も初期の段階にある。アメリカはまだ完全に文明化されていない。16世紀のヨーロッパのように、まだ粗野である。文化はまだ形をなしていないが、意志力は強い

・人口動態と並んで、アメリカ文化を作り替え、アメリカの文化的覇権の基盤をなしているのは、コンピュータ。このことが、今後100年の間にとてつもなく重要な意味を持つ

・コンピュータ・プログラムを設計するには、英語ができなくてはならない。アメリカの生活、思考様式を採り入れなければ、現代経済の恩恵に与かることはできない

・中国は、四方を海に囲まれてはいないが「島国」である。北は荒涼としたシベリアとモンゴルの大草原地帯、南西には通行不能なヒマラヤ山脈、南部国境は山あり密林あり、東には大洋が広がる。人口の大半は国土の東3分の1に集中している

・欧米では高い金利が経済に規律を課し、脆弱な企業を淘汰した。これに対し、日本の銀行は、低金利で友好企業に融資を行った。日本には本当の意味での市場が存在しなかった。日本の資本収益率は工業国の中でも最低水準

・中国を一つに結びつけているものは、イデオロギーではなく金。景気が悪化して資金の流入が止まれば、中国社会の骨組み全体が揺らぐ。中国では、忠誠は金で買うか、強制するもの

・中国政府は外国嫌悪を煽ることで、分裂を食い止める。対立の相手国としてうってつけなのは、日本とアメリカ

・2040年頃のアメリカは、ロボット工学のもたらす生産性向上や、遺伝子工学による医療機会の拡大が、成長に拍車をかける

・高齢化と人口減少が進むにつれ、大規模な軍隊を維持することは困難になっていく。21世紀の戦争のカギは精度。兵器の精度(無人極超音速爆撃機など)が高まれば兵士の数が減る

・宇宙戦は16世紀の海上戦と同じく、外へ外へ広がる。地球静止軌道が戦略上重要となれば、それをめぐって争いが起きる。低軌道宇宙、静止軌道宇宙、ラグランジュ点(地球と月の間の重力の安定場)、そして月面をめぐって争いが繰り広げられる

・ロボットシステムの糧は、データと電力。どちらも遮断されても無力化される。システムは情報と指示、そして電流が流れていなければ稼働できない

・新型兵器への電力供給は重大問題。軍は軍事上の必要から、宇宙発電を支援しなければならない

・膨大な数の光電池が静止軌道や月面上に設置され、太陽エネルギーを電力に変換する。電力はマイクロ波に変換され、地球に送電され、再び電力に変換される

・ロボットは、自動車以上に普及する「エネルギー食い虫」になり、アメリカはエネルギーを宇宙に求めるようになる。宇宙発電システムの開発は、2080年より前に始まっている

・民間産業が宇宙での巨額の公共投資に便乗し始める21世紀末には、エネルギーコストは大幅に低下している



SFのような書でしたが、新型無人兵器ロボット工学宇宙発電を制するものが、軍事上有利に立ち、コンピュータ遺伝子工学を制するものが、経済上有利に立つという予測は、概ね間違っていないように思えました。

100年後、日本がそれ相応の地位を維持するには、高度な技術力が不可欠であることを示唆する書ではないでしょうか。
[ 2012/07/18 07:03 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則』福永雅文

<ビジネス下克上時代に勝つ!>ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則<ビジネス下克上時代に勝つ!>ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則
(2005/05/19)
福永 雅文

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ランチェスター戦略は、マーケティングに応用できる部分が多く、かつて、必死に勉強したことがあります。

本書は、弱者が強者に勝つ方法にテーマを絞っており、興味深く、読み進んでいくことができました。ランチェスター戦略をビジネスで応用した事例も多く、実践的な内容になっています。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・「わが全力を挙げて敵の分力を撃つ」(村上水軍の一派・能嶋流海賊古法)の意味は、「十をもって一を攻めよ」ということ。この古法にヒントを得て、日露戦争の海軍参謀を務めた秋山真之が、小が大に勝つ「丁字戦法」を立案し、バルチック艦隊を打ち破った

・「戦士は戦うことだけが本分ではない。戦いに勝つことが本分である」(江戸時代の兵法家・山鹿素行)

・1対1の戦い、局地戦、接近戦では、「戦闘力=武器効率×兵力数」。つまり、勝ちたければ、武器を磨くか、兵力数を増やせばよい

・集団対集団の戦い、広域戦、遠隔戦では、「戦闘力=武器効率×兵力数の2乗」。つまり、ちょっとやそっと武器を磨いても、兵力数が多い方が圧倒的に有利ということ

・「兵力の逐次投入」は最も忌むべき戦法。第二次大戦のガダルカナルの戦いでは、日本軍は、敵の兵力数を把握せず(情報軽視)、わが軍は強いと思い込み(精神主義、根性論)、4回の攻撃で、計28,900人の兵員を逐次投入し、ほぼ全滅させた

・敵の3倍の資源を投入すれば勝てる。これは「3:1の法則」(さんいちの法則)と呼ばれ、個々の戦闘だけでなく、大がかりな軍事行動でも通用する普遍性のある原理

・企業間競争において、一騎打ち型の戦いの場合、3倍のシェア差をつければ、「安全圏」、逆転は極めて困難になる。その他の戦いの場合、√3のシェア差をつければ、「安全圏」

・戦略とは、選択と集中。弱者が逆転し、№1になりたかったら、「一点集中主義」で臨むこと。弱者でも、何か一つくらい強みがあるはず。「勝ち易きに勝つ精神」で選べばいい

・「○○と言えば□□」、その分野の第一人者と呼ばれるまでは、浮気せず、やり抜くこと

・集中する何かを決めたら、集中しない何かを切り捨てること

・「足下の敵」攻撃の法則とは、自社のシェアのワンランク下の企業を攻撃目標にすること

・逆転したいなら「小判ザメ商法」では無理。弱者が強者のマネをして勝ったためしがない。強者は弱者の模倣、マネをすればいい。違いがわからなければ、客は一番手を選ぶ

・弱者は安易に価格競争を仕掛けてはいけない。強者に合わされたら一巻の終わり。弱者は付加価値をつけて、一円でも高く売る工夫をすべき

・市場が成長しているときは、早いもの勝ちだから、間接流通(卸・代理店販売)を重視し、一気に販路を拡大すべき。市場が成熟したときは、客を囲い込むべく直接流通(直販)を重視するのが原則。弱者が重視すべき「直販」は、「自ら売り切る力」を持つもの

・「地域の差別化」(弱者の№1づくりの原点)には、死角・盲点(境目・へり・先っぽ・遠い・路地裏)をつくことも有効。このやり方を「裏道作戦」と呼ぶ

・価格など、簡単に真似される差別化は差別化ではない。差別化とは、「非常識」、常識的な差別化などない。でも、信念の裏づけのない小手先テクニックの差別化は通用しない

弱者の五大戦法とは、「局地戦」(狭い市場で大きなシェア)、「一騎打ち戦」、「接近戦」(顧客・エンドユーザーに接近)、「一点集中主義」、「陽動戦」(動きを悟らせずにかく乱)

・ライフサイクル曲線の「導入期」は、狭く、鋭く、深く、一点突破主義で戦う。「成長期」は、一気に広げ、押さえてしまう速効拡大主義で戦う。「成熟期」以降は、勝てる土俵に絞り込み、生産性を高め、利益確保を重視する生産性主義で戦う

・勝てる土俵で勝たせ、「勝ち味」を味わわせる。そして続けて勝てば、「勝ちぐせ」がつき、体質が変わっていく。戦略は勝ったものしかわからない。まずは、勝たせてやること

・人生の勝者になるには、「敵と味方の力関係を知れ」「弱者は万人受けを狙うな」「自分の勝ちパターンを知れ」「オンリーワンになれ」ということ。ダメな部分をなんとかする「テコイレ発想」ではなく、強いところをより強くする「ダントツ発想」でいくこと



ランチェスター戦略は、人生戦略おいても有効です。自分が弱者(給料が安い、権限がない、モテない、頭が良くないなど)と思ったならば、弱者は弱者なりの戦略を立て直して、人生に立ち向かっていくべきだと考えています。

そうしないと、強者の論理に巻き込まれてしまいます。そうならないための一助として、本書は役に立つのではないでしょうか。


[ 2012/07/17 07:01 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『節電の達人』村井哲之

節電の達人 (朝日新書)節電の達人 (朝日新書)
(2011/07/13)
村井哲之

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「コスト削減」の専門家である著者の本を紹介するのは、「コピー用紙の裏は使うな」に次ぎ、2冊目です。

家庭の「コスト削減」の第一は、電気代です。しかも、今夏も節電を要請されています。電力会社の圧力に抗するのは、われわれにとって、節電するしか道はありません。

著者は厳しい企業経営の観点から、家庭の節電をアドバイスされています。主婦の目線とは少し違った節電方法・節電意識が満載です。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・節電意識を通して、現場にモノを大切に使うことの重要性を浸透させ、全体的なコスト削減の意識を植えつけることができる。節電は、千載一遇のチャンス

・都内のオフィスの3割を超える現場が1000ルクス以上。日本中のすべてのオフィスを、米国・カナダの上限であり、ドイツの基準と同じ500ルクスにしたら、150万kwの新たな消費電力が生み出される。これは、原発1.5基分

・最大で60A(アンペア)の電力を使う家庭なら、60Aの契約容量にしなくても、50Aのブレーカーで落ちることはない。10Aの契約容量を落とせる分、年間3000円以上の基本料金の節約ができる(関西、中国、四国電力では適用されない)

・必要アンペアは、テレビ1.2A、冷蔵庫1.4A、照明器具1A、エアコン冷房7.7A暖10.4A、掃除機2~10A、洗濯機4A、電子レンジ12A、炊飯器(炊飯時)13A。これらを同時に使わなければ(炊飯中はレンジを使わないなど)30A以下でも十分

・いまや世界の中で、日本の停電の少なさは、年間停電時間14分で、ドイツ17分、アメリカのニューヨーク州19分で、大きく変わらない。それなのに、電気代の高さは、OECD諸国中、上から8番目

・太陽光発電の販売会社の持ってくる、初期投資に対する回収プランには、ローン金利やメンテナンス費用が入っていないことがある。これらを勘案すると、初期投資の回収期間は、提案書に書かれたものより、2年数カ月長くなる

・太陽光パネルで発電した電気は直流。家庭で使うには、交流に変換しなくてはならない。このために必要な装置が「パワーコンディショナー」。製品寿命が10~15年と言われている

・太陽光発電は、北向きと南向きの家で、3~4割も発電効率が違ってくる。この違いだけで、初期投資の回収期間が最大5~6年の差が出てくる

・現段階での買い取り金額は、1kw当たり42円。一昨年まで48円だった。こうしたことを勘案すれば、4kwの出力で200万円で太陽光発電を導入した場合、回収に約11年(売電収入106万円、補助金35万円、電気代の10年間節約額40万円)を要する

・GDPの1952年比2009年は「13.9倍」、一方、東京電力管内の電力販売量は、同年比「35.2倍」。経済成長の2.5倍の量の電気の無駄遣いで、豊かさを手に入れてきたことになる。省エネ国家世界一と言いながら、世界に誇れる「節電国家」ではなかった

・電力会社にとって、一番儲かる客は、24時間休むことなく、また使う量に変化がないかたちで、一定量の電気を使い続ける需要家

・家庭向け選択プラン(夜間格安料金など)を選ぶことで、一人暮らしや共働き世帯などで、平日日中にほとんど人がいない家庭なら、大きな節約効果が得られる。午後11時から午前8時までの8時間は通常の半額以下

・日本の家庭の消費電力量の内訳は、エアコン25%、照明器具16%、冷蔵庫16%、テレビ10%、電気カーペット4%、温水洗浄便座4%など。エアコン、照明、冷蔵庫のトップ3を抑えることで、効率的に消費電力を抑えることができる

・節電ノウハウ「エアコン」編(28度設定、日射しのカット、扇風機併用、室外機周辺物撤去、長期間留守はプラグを抜く、こまめに清掃、4~6月・10~11月停止、外気侵入注意など)

・節電ノウハウ「照明」編(日中使用禁止、定期的に清掃、床との距離を縮める、同じ部屋で家族が生活する)

・節電ノウハウ「冷蔵庫」編(温度見直し、常温保存のものを入れない、熱いものを入れない、本体を壁から少し離す、出し入れ回数と出し入れ時間減)



このデフレ(低金利)の世の中では、投資の勉強をするよりも、節電・節約の研究をしたほうが、よっぽど大きな効果を生みます。低い金利は節電・節約でカバーするのが一番です。

すでに、このような節電を実施されている方も多いと思いますが、再度、節電の点検をされてみてはいかがでしょうか。


[ 2012/07/16 07:01 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)

『世界平和はナマコとともに』本川達雄

世界平和はナマコとともに世界平和はナマコとともに
(2009/01/22)
本川達雄

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著者は、20年ほど前に「ゾウの時間ネズミの時間」がベストセラーになった生物学者です。
現在は、東工大の教授をされていますが、以前は、琉球大でナマコの研究をされていました。

ナマコの研究を通して、生物とはどういうものか、生物の社会はどうなっているのか、などの視点で、人間および人間社会と比較し、言及されています。本書には、面白くて、ためになる箇所がたくさんあります。その一部を紹介させていただきます。



・生命は伊勢神宮方式。定期的に自分とそっくりの子を作り、土に還っていく。作り直すには、エネルギーがいる。新品になるには、ゼロからのスタート。つまり、生物は、エネルギーを注ぎ込んで、時間をゼロにリセットしながら、くるくる回って続いていくもの

・時間を一回転させるのに一定量のエネルギーが必要。速く何度も回れば、回転数に比例して多くのエネルギーを使う。だからこそ、エネルギー消費量と時間の速度は比例する

・今の日本人は、一人当たりの体が必要とする分(食物として摂取するエネルギー)の約40倍ものエネルギーを使っている。身体同様に、エネルギーに比例して、時間の速度が速くなるとすると、現代の時間は、縄文時代の40倍の速さ

・時間とは、われわれがその中で生きているもの、つまり、時間も環境の一種。現代は、どんどん環境が加速している。これは、時間環境の破壊と呼べる事態

・六十を越す人は、縄文時代で1%、室町でも10%。今の長寿とは、医療や工業技術なしではありえないもの。これは技術によって作り出された「人工生命体

・少子化(子供を産まない個体の増加)と高齢化(子供を産めない個体の増加)の進んでいる現状とは、生物学的には大いに問題のある社会

永遠という視点を失うと、品位も失われる。私たちは、先のことを考えずエネルギーを消費し、子供に廃棄物や赤字国債のつけをまわして「良い暮らし」を続けている。精神の永遠はおろか、生物としての永遠すら失ってしまったら、生物以下

・人間らしい時間速度に戻れるのは定年後。この特典を利用しない手はない

・うまい物を食い精力をつけ、良い格好をして良い子を産みそうな相手を惚れさせ、良い家に住み、安全に子を育て、良い学校に行かせ、子孫の繁栄を図るのは、利己的遺伝子の欲求。これを満たすには大いに金がいる。だから、万事お金の世の中になってしまった

・身体の半分は筋肉でできている。機械に頼っていれば、筋肉は働けずに欲求不満になる。身体の半分が不満なら、幸せに生きていけない

・利己的遺伝子から解放されたのが老いの時間なのだから、自身の損得など度外視して、次世代のために働くことが、老いにはふさわしい

・一生懸命働くとは、エネルギーを注ぎ込むこと。そうすると、時間が速くなり、たくさんのものを作ったりできて、金が儲かる。「エネルギー→時間→金」という変換を行うのがビジネス

・島においては、大きいものが小さくなり、小さいものが大きくなる。これは「島の原則」と呼ばれる。島に捕食者がいないと、捕食者を圧倒するために、ゾウのように体を大きくしたり、捕食者の目を免れるために、ネズミのように体を小さくしたりしなくていい

・哺乳類では、密度は体重に反比例する。大きいものほどまばらに住み、小さいものほど人口密度が高い。人間は、都会という特殊な空間内では、人間らしさを一切示さない行動も必要。名前のない人たちと付き合うルールを、作るべき時に来ている

・それを選んだら、「自分にとって、どんないいことがあるのか」と考えるだけでなく、「世の中に、どんないいことができるのか」と考えて、働いていれば、人生は充実するし、野垂れ死にもしない

・東洋の社会では、地位の高い人は、和を保つために、その地位を隠す必要がある。無名性がこの社会の美学である。西洋では、野心のある人は、抜け出ようと努力し、英雄になろうとする

・大きくて複雑なシステムの様相は、計ることが難しい。豊かな様相を捉えるためには、芸術家の方法によって、より多くの意味を見出すことが可能になる。生物学や工学の分野では、芸術からインスピレーションを得るようになってきている



本書の前半部分は、「ナマコ学」というべきもので、この書評では、あえてとり上げませんでした。しかし、この「ナマコ学」からも、人生や社会のヒントを得ることができます。

また、本書は、歌あり、東西の宗教・科学比較論ありで、著者の頭の中は、とらえどころのない、得体のしれない「ナマコ」のように感じます。でも、知的興奮が得られることだけは確かです。


[ 2012/07/14 07:02 ] 環境の本 | TB(0) | CM(0)

『吉田茂人間秘話』細川隆一郎、依岡顯知


(1983/01)
細川 隆一郎、依岡 顕知 他

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小学校二年生のとき、吉田茂が亡くなり、国葬で学校が休みになったのを覚えています。吉田茂の凄さを示す業績やエピソードは、多くの書物を通して知っていましたが、本人の口から直接発せられた言葉を読んだことはありませんでした。

本書は、吉田茂の側近の人たちを取材して、吉田茂が語った言葉が綴られています。それらの言葉を通じて、激動の歴史を感じることができました。面白かった話を一部ですが、紹介させていただきます。



・(大臣を要請した相手に)「自信のある男など一人もいない。私なんか、夜目が覚めた時、私に総理大臣が務まるかといつも思うんだ」

・(豪邸に住み、イギリス仕立ての洋服を着て、ロールスロイスで通勤していたことへの質問に)「世間の反響を十分知っていた。しかし、虚脱と劣等感でシュンとなっている国民に気概を持たせ、再建の意欲を奮い立たせるには、私が図々しく見せる以外なかった」

・「一番迷ったのは、国民に今しばらく戦時中に近い耐乏生活をしてもらって、将来への力を貯えさせるか、それとも、統制的なものは一つでも多く外して、国民に明るい希望を持たせるかであった。悩み抜いた末、私は後の道を選んだ」

・(投票を頼む立場にあるのに、オーバーのままで演壇に立ち、有権者に失礼と思わないのかとの質問に対して)「選挙の実態から本来の姿に戻さないと、議会政治は退歩するばかり。その点、明治の政治家は有権者にこびへつらうこともなかったし、選挙民の意識も高かった」

・「私に投票したのは高知県民だが、当選の瞬間から国会議員だ。県内の問題は、知事や県会議員の仕事」と、地元の陳情に耳を貸さなかった

・(総理大臣秘書官をやらないかと言われて)「私は総理大臣なら勤まると思いますが、片々たる雑事を扱う秘書官には不向きです」

・(総理時代、79人の新大臣をつくり、粗製濫造と非難されて)「目的は、良き後継者づくり。一年も使ってみれば、本物とニセ者が判る。財を残すは下、仕事を残すは中、人を残すは上

・「今必要なことは、昔はどうであった、あの時はこうしたではなく、現実を見て、この深刻な時代に何をなすべきかが必要。そのためには、身軽で、先見性があって、実行する勇気のある人間が必要。だから、これは良さそうだと思う人間はどんどん抜擢して使うんだ」

・「国際信義にそむいて栄えた国はない」と「外交感覚のない国民は凋落する」が口ぐせ

・「外交で一番大事なことは、相手の立場に立って考えることができるということと、直感。犬と一緒で、鼻のきかない奴はダメだ」

・「吉田一個人が、どんなにボロクソに言われてもいい。相手方と秘密にすると約束した以上、それを破るわけにはいかない。国と国の信義を裏切ることはできないよ」

・「歴史を知らない国民は滅びる」が口ぐせ

・(吉田茂のスパイをしていた書生が訪ね、平伏して)「上官の命令に従うのは当然で、何も謝ることはない」と許し、就職の世話を引き受け、その紹介状に「勤務ぶり極めて良好なり」と太鼓判を押した

・「戦争に負けて、外交で勝った歴史はある」

・(マッカーサー元帥に、「君は僕にウソをついた。日本の統計はデタラメだ」と言われ)「当たり前だ。統計が正確なら、あんなバカげた戦争はしないし、統計どおりにいけば、こっちの勝ちいくさだった」と切り返したら、元帥は大声で笑い出し、それ以来仲よくなった

・(奉天総領事のころ、有力政治家の口添えの訪客があり、出迎えなかったことを問われ)「総領事はいま外出中だ。本人がいないと言っているんだ。こんな確かなことがあるか」と言い捨てた

・(汚職事件が起こり、自民党から、二、三人投獄されることを質問されて)「人間牢屋に入って来ないと、真人間にはならない」「でも、あんなの何回入ってもダメだ。私益でなく、国益のため法を犯すのでなきゃ」

・養父の墓に詣り、「相続した財産(現在の価値で約50億円)は、全部使い果たしましたが、大勲位をいただいたので、これで勘弁してください」と報告した



吉田茂のスケールの大きさを物語る言葉が、数多く出てくる書でした。

戦後間もない混乱のときに、吉田茂という人物がいたということは、日本に、まだ運が残っていたと言えるのではないでしょうか。

今の日本人は、吉田茂にもっと感謝しないといけないのかもしれません。



[ 2012/07/13 07:01 ] 偉人の本 | TB(0) | CM(0)

『反逆のススメ』ホウ・ウェンヨン

反逆のススメ反逆のススメ
(2012/01/18)
ホウ・ウェンヨン

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著者の侯文詠さんは、台湾で有名な小説家であり、医学博士でもあり、台湾社会に影響力を持つ方です。現代の台湾の人たちと台湾社会の現状を知るために、この本を読みました。

経済的に豊かになった台湾人に、今、起きていることが、よくわかりました。気になった部分も多々ありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・「いい子」は、探検と試行錯誤のチャンスを奪われている。失敗を経験する機会がなければ、子供はいつまでたっても精神的に成熟できない

・努力は報酬を求めるが、情熱は報酬を求めない

・失敗のデメリットは成功できないこと。成功のデメリットは、失ったものが何なのかわからないこと

・私たちは「成功」を追い求めるが、本当にやる気を刺激し、成長させてくれるのは「失敗」

・すべての過去は序章にすぎない。過去に何があろうと、人生は始まったばかり

・私たちは、自分の口で、筋の通った意見を語っているように錯覚しているが、実際には、頭の中の大部分は、他人によってつくられた意見で占められている。「私たちは往々にして、他人の頭で考えているもの」

・「すぐれた疑問」は「模範解答」より、ずっと重要な意味を持つ

・計画を立てることの最大のメリットは、計画そのものではなく、計画を通して、物事の全体的な状況を把握できる点にある

・想定した状況に変化が起きても、事前に構想と計画があれば、何もない場合に比べ、より的確に対処できる。構想と計画は、自分と交わす契約書のようなもの

・行動する者はみな、何かの役柄を演じている。その役割が必ずしも自分の個性と一致するとは限らない。しかし、行動する前に必ず、脚本上の役柄と自分との間に、リアルな感情のつながりを見つけなくてはならない

・初心とは、旅の羅針盤のようなものである。初心に帰ることは、自分の行動を確認するための最も信頼に値する基準となる

・まず自分が楽しむことは、決して身勝手なことではない。最初に灯した小さな火から、より大きな炎が生まれ、明るい光と多くの火花がもたらされる。その炎で、他人を明るくし、自分も暖めることができる

・「視野=見聞(目)+経歴・キャリア(手足)+想像力(心)」。視野とは見聞よりずっと複雑で幅広い概念。見聞を広めることは、広い視野を持つための入口にすぎない

・無知や無邪気さがもたらす行動力が、将来の円熟と知恵の基盤となる

・点と点がどうつながるかは予測できない。今、経験している数々のことが、いつかどこかにつながると信じること

・固定観念から抜け出すには、「他人の視点を借りる」「自分とは異なる文化の力を借りる」「歴史と時間の力を借りる」こと

芸術に夢中になることで、人が自分と似た感情や考えに触れて感動したとき、二人は互いに同じような信念でつながる。そうして生まれたつながりは、不思議な力を発揮し、世界や歴史を変え、大きな影響を与えていく

・自分のことは、普段は自分でもあまり意識していない部分が多い。にもかかわらず、その自分が行動を支配している。芸術に触れる重要な目的は、自分自身とのつながりを深め、自分でも知らなかった自分を認識し、理解することである

・真の旅路は、見知らぬ異境を訪ねることではなく、他人の目で世界を見ることである。百対の目を持てば、百の天地を見ることができる

芸術に触れることは、人類共通の記憶や経験とのつながりを求めること。このつながりは、成熟した知恵を授けてくれる



この本を読んで、台湾でも、日本と同じような「豊かな病」が広がっているように思いました。

著者は、覇気、情熱、経験、行動、構想、哲学の重要性を説いています。豊かに育った世代が、これらの言葉をどう受け止めるかを心配もされています。

日本も、台湾も同じ島国で、経済発展を遂げた国です。危惧するところが、よく似ているように感じました。


[ 2012/07/12 07:01 ] 華僑の本 | TB(0) | CM(0)

『逆境を生き抜く「打たれ強さ」の秘密』岡本正善

逆境を生き抜く「打たれ強さ」の秘密―タフな心をつくるメンタル・トレーニング (プレイブックス)逆境を生き抜く「打たれ強さ」の秘密―タフな心をつくるメンタル・トレーニング (プレイブックス)
(2000/04)
岡本 正善

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本書は、2000年に発売されてから、ずっと版を重ねているロングセラーです。著者は、プロスポーツ選手などのメンタルトレーナーをされています。

本の内容は、一般の人々も、仕事、人間関係などで、メンタルトレーニングを応用すれば、人生の諸問題が解決できることを示すものです。

参考になることが数多く書かれていました。「本の一部」ですが、ご紹介させていただきます。



・自分のリズムで物事を進めているときは、人は流れに乗って力を発揮できるが、他人のノリに合わせているときは、本来の能力を発揮できなくなる。いわゆる土壇場に強い人は、あくまでマイペースの緊張をする

・確固たるものがあるかないかは、潜在能力が「自分のリズム」で動いているかいないかということ。他人の目標でなく、自分の目標を達成するために、力をどう発揮していくかということ。大切なのは「人からどう思われるか」ではなく「自分がどうしたいのか

・もともと「不安の回路」は、ここ一番の力を発揮するためにあるもの。現代社会では多くの人がこの「不安の回路」をうまく使いこなせていない。「自分はこうしたいんだ」と思っていないのなら、「そうならなかった」場合を恐れても、何の意味もない

・自分は「こうしたい」「こうなりたい」とイメージするのは意識のレベル。意識だけなら、目標もただの欲と同じこと。しかし、意識と潜在意識が統合されると、「いついつまでにこうなりたい」と、目標達成するためにどう動いていくかになる

・「失敗を繰り返す」のは、それは「他人の目から見た失敗」にとらわれているから。「失敗したらどうしよう」という思いが、潜在意識に深く刻まれて「すぐに失敗する自分」がつくられてしまう

・大失敗にくじけない人、打たれてもハネ返すパワーを持った人は、過去を認めていない。それは、他人のリズムにはまらず、自分のリズムでいること。だから、スポーツの世界では、「強い人」はわがままだったり、図々しかったりする

・他人を受け入れない人は、「自分の中身は貧弱なのではないか」「本当の自分を見られてはマズイのでは」という恐れがある。他人というプレッシャーから自分を守ろうとしている

・考えすぎて動けなくなったとき、一つのことしか見えなくなって余裕を失ったときなど、自分を笑ってみるのも手。笑うのも空しい場合は、自分の心境をアナウンサーになって実況中継するのも手。不思議と気持ちの切り替えができ、自分のリズムを取り戻せる

・「自分のことを嫌っているのでは」と感じる人に、自分を好きになってもらおうと努力するのは、その人のリズムに自分を無理やり合わせること。そうなると、あなた自身の力が出せなくなる。あなたが損してまで、相手の気分をよくしてあげる義理はない

・「目標のために、今何をするか」といつも自分に聞いてみることで、プレッシャーを目標達成のエネルギーに変えることができる

・予感とは、潜在意識が、「今のリズムのままで行くと、まずいことになるぞ」と過去の情報をもとに知らせてくれること。だから、悪い予感に襲われたら、それを否定しないこと。「教えてくれてありがとう」と心でつぶやき、目標のためにどうするかを再度考える

・本当に強い人間は、自分の弱さを知っている。そして、弱さを認めている。それがまさに「自信」というもの

・低調なときに言ってはいけないこと。それは「絶対」「必ず」という言葉。心の負担を増やすだけで、ミスは許されないという過酷な宣言をしていることになるから

・生きることを楽しむには、「こうなりたいんだ」という自分の目標に向かっていることが一番。「こうしなくちゃ、こうならなくちゃ」と努力を重ねているのとは違う。あくまで「こうなりたい」が重要なカギ

・いつも相手の要求に振り回されてしまう人は、相手の要求に添うための選択肢を列挙すること。自分の都合から入るのではなく、相手のニーズを考えているのだ、と示すことで、こちらに話の主導権を持ってくることができる

・目標というのは、言ってみればエネルギーにすぎない。目標が予定通り実現できなくても、「人生に失敗した」ことにはならない。次のチャンスを待ったり、次の目標にチャレンジすればよいだけ



著者は、自分のリズムに乗ることの大切さ、目標に向けての計画を立てることの大切さを力説しています。

打たれ強さというのは、自分らしさの発揮と、前向きさの発揮ということに他ならないのかもしれません。


[ 2012/07/11 07:01 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『「言志四録」を読む』井原隆一

「言志四録」を読む「言志四録」を読む
(1997/08)
井原 隆一

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言志四録を紹介するのは、「言志四録心の名言集」「言志四録(二)言志後録」に次ぎ、三冊目です。江戸末期の儒学者・佐藤一斎が著わした4巻1133条からなる語録です。

本書は、4巻の中から、著者が選別した357の語録が掲載されています。前に紹介した語録をできるだけ除き、新たに感銘した箇所を、ここに紹介させていただきます。



・「最上の師」 最高級の人は、天地自然の真理を師とし、第二級の人は優れた人物を師とし、第三級の人は書物を師とする

・「自ら是非を知る」 秤(はかり)は物の重さをはかることはできるが、自分の目方を計ることはできない。物指は物の長さをはかることはできるが、自分の長さを計ることはできない

・「立志の士利刃の如し」 志を持つ者は鋭い刃のようなもので、多くの魔物も尻ごみしてしまう。志のない者は鈍刃のようなもので、子供もばかにする

・「過去は現在の悔い」 過去の失敗を後悔する人はあるが、現在やっている過ちを改める者は少ない

・「利は公共物」 利益というものは、すべて天下の公共物で、利を得ること自体は決して悪いことではない。ただ、利を独り占めすることは、人から怨まれるので、善いことではない

・「古を鏡とすれば」 すでに死んでしまっている者が、生きている者の役に立ち、過去にあったことが、将来の役に立つ

・「全体を見て」 一つの良いか悪いかを見て、全体の善し悪しを考えず、一時の利害にとらわれて、永遠の利益を考えない。もし、為政者がこうであったならば、国は危機である

・「人を教える法」 人を教える者にとって肝心なことは、志が固いかどうかを問題にすべきで、その他のことをつべこべいっても無益である

・「公務員心得」 公職にある人にとって望ましい文字が四つある。公(公平無私)、正(正しい)、清(清廉潔白)、敬(己を慎み人を敬う)。これを守れば過ることはない。

・「公務員心得」 公職にある人にとって望ましくない文字もまた四つある。私(私事を以て公事を害すること)、邪(不正なこと)、濁(不品行)、傲(傲慢なこと)。これを犯すと、すべて禍いを招く

・「インフレ国を亡ぼす」 紙幣が出始めて、明は衰えるようになり、多く発行するようになり、明は亡びた

・「事を成す者」 静かにしているのを好み、動くことが嫌いなのを、ものぐさ者といい、動くことが好きで、静かにしているのを嫌う者は、あわて者である。軽はずみな人は事を鎮めることはできず、臆病な者は事を成すことができない

・「人の長所を見れば」 短所を見ると、自分がその人に勝っているので、自分に何の役にも立たない。長所を見るようにすれば、相手が自分よりも秀れているので、自分にとって得ることがある

・「学を志す心得」 学問を始めるには、必ず偉大な人物になろうとする志を立て、それから書物を読むべきである。ただ知識を求めての学問は、傲慢な人間になったり、よからぬことをごまかす心配が出てくる

・「学を志す心得」 学問を志し、さらに立派な人間になろうとする者は、頼みとする者は自分一人であることを知らねばならない。他人の熱で暖めてもらおうなどと考えるべきでない

・「禍福」 過ちを免れる道は、謙虚と譲歩にある。福を求める道は、恵むことと施しをすることである

・「禍福」 禍がなければ、それが幸福である。恥じさえかかなければ、それが栄誉である。若くして死ななければ、それが長生きである。飢えさえしなければ、それがである

・「名利は避けず」 自分で要求しないで得られる名誉は、実績があったから与えられるものである。がめつく要求しないで得られる利益は、正しく行った結果である。このような名利は遠慮すべきものではない

・「人君」 君主たる者は、優れた臣がいないのを心配しないで、自分が名君でないことを心配すべきで、これが人君の徳である



佐藤一斎の門下生には、佐久間象山、横井小楠などがいます。弟子の象山の教えは、勝海舟、坂本龍馬、吉田松陰らが受け継ぎました。松陰の思想は、松下村塾の塾生に受け継がれ、明治維新となって花開きました。

また、西郷隆盛は、言志四録をこよなく愛し、座右の書にしていました。

強く、前向きに、しかも、謙虚に生きるための語録が多いのが特徴です。気持ちを奮い立たせてくれる書だと思います。


[ 2012/07/10 07:18 ] 佐藤一斎・本 | TB(0) | CM(0)

『億万長者の秘密をきみに教えよう!』ロジャー・ハミルトン

億万長者の秘密をきみに教えよう!億万長者の秘密をきみに教えよう!
(2010/10/20)
ロジャー・ハミルトン

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著者は、ロジャー・ハミルトンという方です。世界各地で起業家セミナーをされています。

金儲けの手法、考え方など、誰にもわかるように、イラストを交え、簡単にまとめられています。納得いく点が幾つかありました。それらを「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・お金も富の一部だけれど、専門の知識や経験、ノウハウ、信用、仲間も富。実は、こっちのほうがずっと大事。お金は使えばなくなるけれど、富は一生失わない財産だから

・ビジョンが見つかると、メガネをかけたときのように、焦点が合って、はっきり見えるようになる。そして、見えることは必ず実現できるようになる

・会社が倒産しても、ビジネスのノウハウや取引先の信用という富が残っていたら、もう一度、会社をやり直せる

・自分の力だけで富を得た人なんてこの世にいない。富は、他人の時間、能力、熱意などを活用してつくることができる。そのためには、力を貸してくれる人目標にできる人とどう付き合うのかが重要

・コミュニケーションには、「1.表面的(おしゃべり友達)」「2.本音(親友)」「3.高め合える」「4.社会的影響を与えられる」レベルがある

・第3のレベル、「高め合える」人は、先見の明があり、行動力もあるので、まわりから注目されて、尊敬されている。みんなをやる気にさせる「リーダー」

・第4のレベル、「社会的影響を与えられる」人は、第3のレベルのリーダーをリードできる人。ビジョンを持っていないと務まらない

・努力したくない、気楽に暮らしたいというなら、第1のレベルの人とだけ付き合っていればいいが、このレベルにいて、成功した人はいない

・お金があなたの代わりに働いてくれる。それを投資という。働くことでつくるお金の「蛇口」だけでなく、お金のしずくを出す「二つ目の蛇口」をつくること

・お金の蛇口だけでなく、時間の蛇口もある。この時間の蛇口から出るしずくを一粒でも無駄なことに使ったら、排水溝に流れて二度と戻ってこない。家でだらだらする時間があったら、自分のためになることに使うこと

・自分の貴重な時間とお金を交換することが、「雇われる」こと。時間という価値とお金という価値が交換される

・時間を自分に投資するというのは、体にいいことをしたり、勉強したり、仲間づくりに時間を使うこと。旅行や新しい体験も時間の投資

・富を得たからといって、それで満足してはいけない。富を得ることが最終目標ではなく、富を得た後で何をするかが大事。富を得たときが、本当の始まり

・情熱をコンパス(磁石)にして進むこと

・必死になって捕まえようとしなくても、魚の目線で考えて、魚のほうから寄ってくるしくみをつくるのが、一流の釣り人

・店に価値があれば、お客という流れができる。その流れを止めてはいけない。流れていることが肝心。そこに富が流れているから

・春になれば種を蒔き、夏に成長し、秋に収穫し、冬に熟成する。自然に逆らってはいけない。自然と調和することを忘れてはいけない。行動するときも、このサイクルに合わせること。何をするかだけではなく、いつするかが重要

・時と自分が調和できると、富が湧きだす

・自分のまわりに、素晴らしいものが集まってくるようになったら、正しい道を歩んでいる証拠。逆に、そうでなかったら、軌道修正が必要ということ

・自分の選択が自分の人生をつくる。自分が今いる環境は、自分が選んだもの。だから、環境の基準を低くしてはいけない



眼医者、水道屋、ガーデナー、釣り人、船頭、音楽家、支配人という職業の人たちが登場して、億万長者になる方法を伝授するという話の構成になっています。

具体的な事例に置き換えて説明しているので、誰でも頭の中で想像できるのではないでしょうか。コンパクトにまとめられた良書です。


[ 2012/07/09 07:02 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)

『閑居の庭から-続・不東庵日常』細川護熙

閑居の庭から-続・不東庵日常閑居の庭から-続・不東庵日常
(2009/11/30)
細川 護煕

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旅とは、数日間の「出家」、庭とは、数時間の「出家」だと思っています。日本人は、庭に精神性と芸術性を融合させて、世界に類のない文化を創出しました。庭は世界に誇れる日本の文化です。

本書は、文化に造詣の深い細川護熙元首相が庭を巡る書です。氏の書を紹介するのは、「ことばを旅する」に次ぎ、2冊目です。

幼少の頃から、ホンモノを間近に見て育ってこられたので、傑出した鑑識眼を持っておられます。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・日本における隠遁生活の憧れは、万葉の昔からあったもの。人々の権力やカネなど浮世的なものへの嫌悪感と花鳥風月への自然愛とが、仏教的あるいは老荘思想と結びついて、今日まで根強く生き続けてきた

・景観の論は夢窓国師の「山水には得失なし。得失は人の心にあり」の言葉に尽きる

・修学院離宮は、その眺望できる四囲の山々よりも心が惹かれるのは、日本人の心の原風景である田圃までが、見事に借景として取り込まれていること。自然の雄大な景観もさることながら、生活の形がそのまま目の前にあることほど、心を和ませてくれるものはない

・縮景の最たるものが盆石。尺寸の中に砂を敷き、石を立て、そこに一つの世界を表現しようとする。それは、自らが住む宇宙を理想化して、手許に手繰り寄せようとする営み

・「人の居所の四方に木をうゑて四神具足の地となすべき事」。現存する日本最古の庭作りの書とされる「作庭記」の「樹事」の初めの文。四神具足とは、地勢として、東に流水、西に大道、南(前面)に池、北に丘があること

・日本の庭園が流行したのは、中国にならって方形碁盤目状の都市がつくられ、高い築地をめぐらした区画に日本人が住むようになってから。一つの代償景観である

・風水に適う土地というのは、生活の快適、都市の快適に適した土地。人の美感が快感体験の集積あるいは公約数という一面を持つならば、風水思想に即した庭は、人の美感に沿う理にかなったもの

・「作庭記」の最初の「石をたてん事」の「その石のこはんにしたがひ立てる」に興味を引かれる。「こはん」は「乞」で、現代風に言えば「要請」。石がこうしてほしい、というところを見出して、それにしたがいなさいと教えている

・「竹に限らないが、およそ植物は休みたいとき伸びたいときを察してあげなければならない」(桂離宮の庭の管理者・川瀬昇作さん)。子育て、人間教育と基本は同じこと

・幸田露伴は「へたが箒を使つて、でこぼこにした庭は見るに堪へない」「箒は筆と心得て、穂先が利くやうに」と庭掃除を教えた。桂離宮では、七十歳を過ぎた熟練の方々が今も掃除のお手伝いをされている。掃除はおろそかにできないもの

・自らの墓碑銘として考えたのが「長居無用」。それは、やることはやったし、この世に長居は無用の意味。墓は簡素なものがいい。世俗の栄辱は来世にもっていくものではない

・縁側の板を踏みしめて、配された石を眺めつつ巡る回遊式庭園(大徳寺大仙院)の簡潔で深い味わいは、大庭園に勝ること万々

・与謝蕪村は、画業も俳諧も生計の道ではあったが、「離俗」「去俗」こそが生命であった。それは池大雅の巧まざる「脱俗」とは少し違うが、蕪村の生き方を律するもの

・利休が考えた露地という庭は、書院の庭のように戸を開けば美しい庭園が見渡せるというものではなく、見ることを目的としないもの。茶室において精神集中するための一身清浄、無一物の世界でなくてはならなかった

熊谷守一の絵は、余計なものが一切削ぎ落とされて、簡潔な線と色で対象を捉える。一見簡単なようでいて、誰も真似のできない独特の境地。それは、世間との没交渉の長い時間の果てにできてくるもの

小泉八雲は、日本の庭を「絵よりも、詩のほうにいっそう近い」と言った

・建築では、直線と直線から生じる釣合が自然であり、すぐれた様式。庭園では、これこそ最も不自然な形。庭園自体の構成は、その生命の表現形式を自然のうちに見出す。日本の庭園では、眼は疲れることを知らない



本書には、天龍寺、西芳寺、修学院離宮、龍安寺、桂離宮、大徳寺、智積院、毛越寺などの美しい庭の写真も添えられており、読み応えと見応えを同時に与えてくれます。

また、著者の庭への想いに触れると、庭とは何か、日本人は庭に何を求めてきたのか、日本人にとっての庭の必要性などが、明らかになるのではないでしょうか。


[ 2012/07/07 07:35 ] 細川護熙・本 | TB(0) | CM(0)

『損得でくらべる宗教入門』中村圭志

損得でくらべる宗教入門 (ベスト新書)損得でくらべる宗教入門 (ベスト新書)
(2011/11/09)
中村 圭志

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自分にとって得になるかならないか。それは、すべての基準になります。宗教も、自分にとって得になるならば、信じたらいいし、得にならないならば、信じなければいいという考えも正しいと思います。

本書は、宗教を損得のものさしで、合理的に示した痛快な書です。共感できたポイントが数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・キリスト教の原理は「肩代わり」。人間は、間違いだらけの生き物。その間違いを反省する必要もない、悩む必要もない。キリストが肩代わりしてくれる。教会は、苦しい心情を抱えた人間の「魂のガス抜き」の場所

・あなたがキリストを信じていなくても、あなたの相談に乗ってくれる神父や信徒はキリストを信じている。あなたは教会のアシストを受ければいい。教会に甘えればいい

・イエスはユダヤの習慣を守る説法家。その説法活動がオリジナリティに富んでいたものだから、特権階級からは社会秩序を乱す者として恐れられ、貧乏人・被差別民からは慕われた。出始めのキリスト教会はユダヤ教の新興一派で、かなりカルトっぽい派閥であった

・ニーチェは「キリストが死んだのは早すぎた」と言った。一般に、年の若い人間は正論を語って世をすねる癖がある。ニーチェは、若くして死んだキリストの青臭さが気に食わなかった

・「敵を愛せ」(愛せないものと愛との強引な結合)、「キリストの死と復活」(死と生との強引な結合)。どちらも反対物が結びついている。絶望が希望に転じている。かくして、キリストは、絶望した者たちの兄貴となった

・「日本人=集団主義、西洋人=個人主義」は、ある意味間違った図式。日本人は、人に相談せず、一人で何でも背負いこみ、自殺するほどに個人主義的。その点、西洋人は無責任。責任や鬱屈や罪の意識の「丸投げ」をする

・キリストの教えは「前向きな気持ち、希望を失うな」というもの。釈迦の教えは「恐れや不安は無にできる」というもの

・キリスト教、イスラム教、ユダヤ教は「一神教三兄弟」。「多神教」は、神々が複数いても、一向に構わないとする宗教。ヒンドゥー教、仏教、儒教、道教、神道など

・東アジアの宗教は「ちゃんぽん」。儒教は、祖先崇拝と公の道徳。道教は、神秘の道と現世利益。仏教は、個人的な心の修行

戒律のような制限を設けると、むしろ生活が活性化する。イスラム教は、日に五回、体を折り曲げてアッラーに祈る。ユダヤ教は「安息日」に家でじっとしている

・人は人間的に成長しようとするとき、しばらく他人(指導者)の言うことを素直に聞く「我慢」の段階を経る必要がある。ところが、他人の言うことを聞くほど嫌なことはない。こんなとき、指導する方もされる方も、同じ一つの伝統の権威に服すると話が楽になる

・人間はいつだって物事の根拠を疑うことができる。しかし、疑ってばかりもいられない。とにかく、「これはこうだ」という結論を出さなければ、社会が立ち行かない。伝統的な社会では、根拠づけとして、神仏の権威を持ち出してくるのが通例だった

・神は、自然の神、共同体の神としてばかりでなく、コミュニケーションの神、希望の神根拠の神としても現れる

・「積極思考」は、人間にとって大事なもの。神仏を念じれば、病気が治る、商売が繁盛する、人間関係が改善するといった思考は、程度さえわきまえていれば、決して悪い作用は起こさない。それは、人間が本質的に前向きの希望に生きる動物だから

日本教という宗教があるとすれば、その重要な教義は「和」になる。キリスト教は「愛」、仏教は「慈悲」、イスラム教は「平和」がセールスポイントとなる

・宗教なんか信じる必要はない。宗教は「信じる」ことより「知る」ことが先決。「信じる」のは、なじんでしまって、習慣として身についたとき初めて可能。知ることがアタマ、習慣がメインボディ、信仰はシッポ

・初級レベルの宗教のご利益は「パワー」と「癒し」。中級レベルの宗教のご利益は「覚醒」と「教養」。上級レベルのご利益は「霊感」と「共感


本書は、正しい宗教の使い方、宗教の効能一覧、宗教ガイドブックといったような本です。

特定宗教を信じる前に、まずは、宗教を信じる価値があるのか、自分にとって得するのかを問うてみるべきです。

そのためには、このような書が必要になります。宗教に関心のある方なら、ためになるように思います。


[ 2012/07/06 07:02 ] 人生の本 | TB(-) | CM(0)

『自由をつくる自在に生きる』森博嗣

自由をつくる自在に生きる (集英社新書 520C)自由をつくる自在に生きる (集英社新書 520C)
(2009/11/17)
森 博嗣

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森博嗣さんは人気作家です。元国立大学工学部教授という異色の経歴の持ち主です。本書は、著者が、組織に属していたときの不自由さとフリーになってからの自由さの両方を味わった経験から、自由とは何かを論じた書です。

結構奥の深い「自由論」が展開されています。その一部を紹介させていただきます。



・人生の目的とは、結局のところ、自由を獲得すること

・「自由というのは、自分の思ったとおりにできること」という言葉に反応する人は少数。少しでも自由の価値を知っている人、それを望んでいる人に、この言葉は通じる

・「誰からも文句を言われない状態」。つまり、支配されないことも自由の条件として重要

・罪を犯せば制裁を受け、それによって受ける不自由は大きい。「罰」とは、できないことの不自由と、してしまって受ける不自由との交換

・やりたいけれど、人目が気になってできない、そんな恥ずかしいことはできない、と自己規制する。その「支配」は、いわゆる「常識」と呼ばれるもの

・人間には支配を受け入れる本能がある。甘んじるというよりも、支配されている方が安心できる、というもの

・自由を手に入れるということは、「できる自分」を作り上げること

・支配の傘下に入ることは、余計な心配から逃れられる手っ取り早い方法。保険に入るように、安心という錯覚が得られる

・科学は、自然(あるいは神)の支配から人間を解放した。科学技術は、数々の自由を人間にもたらした。あらゆるテクノロジーは、人間をより自由にするためのもの

・「昔は良かった」「自然に還ろう」という短絡的発想は、「不自由」や「支配」への回帰

・「人の目を気にする」人間の大半は、自分の周囲の少数の人の目を気にしているだけ

・コンテストや競技には、「やった!」という達成感があるが、それは、不自由から解放されただけ。目指すものは、自分で決めなければ意味がない。本当の自由がそこから始まる

・「」は、やってもやらなくても、どちらでもよいもの。「」も、得られるものはないのに、参加を半ば強制される。メリットがあるなら無理に誘わなくても人は集まるはず

・美しい言葉に飾られ、密かに、そして緩やかに、支配は存在している。民衆から搾取して、富を集める力は相変わらず存在する。安心の皮を被った支配を見抜けない鈍感な人たちは、今でも騙され、そして奪われている

・常に自由に向かって進む、その姿勢こそが、自由の本質

・自由に行動することは、周囲と少々の摩擦を生じる。なにしろ、周囲にいるほとんどの人たちは「支配下」にあって、その支配が「当たり前」だと思い込んでいるから

・物事を抽象的に捉える目を持つ人は、他者の成功例、ノウハウから、本質を見出す

悩んでいる人は、解決方法を知らないのではなく、知っていてもやりたくないだけ

・自由を手に入れるための秘訣は、「みんなと同じことをしない方が得」ということ

・自分にとっての合理的な理由で判断すること。周囲の評価、定説、噂、世間体、そして常識といったもので選ばないこと

・蓄えたもの(経験、知識、常識、信念)が、実は自分を縛る結果になる

・成功した人の話を聞くと、ほとんどの場合、自分が築いたシールドから出ていき、未踏の地へ進んだことが転機となっている

・生きるとは、死への抵抗。自然に流されるままでは「生きている」とは言えない

・人間は、本来怠け者であり、持続することが苦手といった欠点を持つ。そんな人間が偉業を成し遂げるのは、すべて、小さな前進、小刻みな努力を積み上げた結果



世の息苦しさを、著者が代弁してくれているようで、読み終わった後、スカッとした気分になりました。

私たちは、自由を手に入れることが人生の目標であるはずなのに、その一番大事な自由を犠牲にしてしまっていることが多いのではないでしょうか。

もう一度自由のありがたさを認識し、自由になるための「できる自分」をつくる必要性を感じさせてくれる書でした。


[ 2012/07/05 07:01 ] 幸せの本 | TB(-) | CM(0)

『本当に強い人、強そうで弱い人』川村則行

本当に強い人、強そうで弱い人 (ゴマ文庫)本当に強い人、強そうで弱い人 (ゴマ文庫)
(2008/12/01)
川村 則行

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今まで、強そうで弱い人を数多く見てきました。若い頃は、人を外見で判断し、見誤りがちでした。

今になって、ようやく「弱い犬ほどよく吠える」「負け犬の遠吠え」ということがわかってきたように思います。

状況判断、人物認識を間違わないように、強い人と弱い人を見分け、上手に交渉、折衝していくことは大切です。本書には、より詳細に見分ける方法が書かれています。

著者は精神・神経・心身症の専門医です。勉強になった箇所が数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・自分の弱さを直視せず、それに蓋をしたまま強い自分を演じ続け、あるとき疲れ果てて、ポッキリ折れてしまう人がいる。ただ強くなればいいというものではない。強さの中身が重要

・強さというものは、後天的に身につく部分がとても大きい。それは言い換えると、環境や教育、経験、あるいは夢や理想を持つことで、身につけていくことができるということ

・自分は弱い人間であるということを素直に認めること。弱さを受け入れる強さを持つこと。この第一公式抜きにして、人は絶対に強くなれない

・高すぎるプライドは心の柔軟性を奪う。自分の真の姿を見えなくしてしまう。そういった意味で、プライド自体が弱さであると言っていい

・四十から六十歳の立派な大人(夫であり、父親であり、祖父であり、それなりの立場を持つ男)が、十五歳までに、親にどう育てられたかということに、いまだ影響を受け続けている。親の養育態度の影響は、心の健康に根深く残る

・うつになりにくい人は、子供時代、親によく守られ、よく任せられて育った人が多い

・「やりたいことがある」「自分を守ることができる」「我慢できる」「耐えられる」「ちゃんと理性が働く」という五つの力は、自我の強さに欠かせないファクター。これらが全部強くなれば、それだけ強い人

・あのときは、あんなにつらかったけど、何とか切り抜けられた。大変だったけど、結局うまくいった。そういう経験を何度もしていると、自分自身への信頼感が自然と培われる

・「自分への信頼感」「人生の有意味感」「楽観性」「世界は処理可能であるという感覚」。これらの感覚を持っている人は文句なしに自我が強い

巨木タイプの強さより、柳タイプの強さのほうが、現実的には役に立つ

・妙な価値観に縛られているから、人の考えを真っすぐに聞くことができない。おかしな偏見狭い先入観があるから、相手をあるがままに受け入れることができない。だから、相手に素直に感動したり、喜んだりすることができず、人間関係がうまくいかなくなる

・「みんな、しょせんアホや」の考えを「性アホ説」と名付けている。肩の力を抜いて、見栄やプライドを捨て、素直な自分になる。そのコツが「性アホ説」の中にある

・最初の一回や二回の不幸には負けてもいい。弱い自分でもかまわない。しかし、三回目の不幸には、負けてほしくない。強く立ち向かってほしい。そのためには、最初の一回目、二回目の不幸を通して、どれだけ自分というものを知ることができたかが、とても重要

信じること、決意すること、コミットすること。これができるようになったとき、子供から大人に成長したと言える

完璧主義は、自我の弱さや幼児性と大いに関係している。また、悲観主義やマイナス思考とも深く関係している

・助けが必要なときに、誰かに助けを求められるのは、その人が弱いからではなく、強いからこそ、できること。自分を守る強さを持っているということ。積極的に逃げることも、強さのうち

・絶望の淵に立たされたときは、希望がなくては生きていけない。希望の力を借りなくては、前に進んでいけない。だから、無理にでも希望を持ったほうがいい。根拠のない希望を持てる人は、それだけ強い



自分の弱さを認めること、経験を積むこと、自分を信じること、決心すること、希望を持つこと。強さは、後から身につくということがわかりました。

本書を読めば、それらは、難しくはないように感じます。ということは、この本は、人を強くさせてくれるのに、とても有効な本と言えるのではないでしょうか。


[ 2012/07/04 07:00 ] 出世の本 | TB(-) | CM(0)