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『江戸のワイロ―もらい上手・渡し上手の知恵くらべ』童門冬二

江戸のワイロ―もらい上手・渡し上手の知恵くらべ江戸のワイロ―もらい上手・渡し上手の知恵くらべ
(1995/03)
童門 冬二

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歴史番組に度々登場する童門冬二さんの「お金」に関する本です。

その「お金」の中でも、特に賄賂はどのように使われていたのか、賄賂の背景と、賄賂を生む社会構造を解説した面白い書です。

江戸時代も、今も形は変われども、人間の欲は変わらないことがよくわかります。

なるほどと思えたところが数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・徳川家康は、幕府と大名の経営政策の根幹を「分断」においた。即ち、「花と実を同一人に与えない」「花(名誉)を与える者には実(給与)を少なくする。実を与える者には花を与えない」という方針をとった

幕府高官はすべて譜代大名(徳川家の忠臣)とし、外様大名は最後までポストにつけなかった。しかし、幕府の高いポストにつく大名の給与は、せいぜい五万石から二十万石。反対に役につけなかった外様大名は、加賀前田百万石、伊達六十余万石、島津七十余万石

・参勤交代は、人工的に考案された大名の財力消耗策。各宿場に多大な経費を落としていき、これによって、日本の街道筋は潤った。大名家はいつもピイピイしていた

・汚職の遠因もたどってみれば、幕府高官の給与が安すぎたということ。今の政府高官と「まったく今と同じだ」と言ってもらいたくない。構造が違う

・大名家の財政力を弱めるために行われたのが「お手伝い」。これは幕府首脳部である老中が集まって、「今年はどんな工事を行うか」「どこの大名に負担させるか」ということを協議する。各藩は財政が痛まないような工事を引き受けたいため、当然贈賄が行われた

・田沼意次は「金銀は人の命にも代え難い大事な宝。その宝を贈っても奉公したいと願う人なら、上に忠であることは明らか。志の厚い薄いは、金品の多いか少ないかに表われている」と言ったが、収賄を悪事だと思っていない

・田沼意次の発想の転換は、重農主義を重商主義に切り替えたところ。彼は商人に新しい税を課した。「運上」は、上から強制的に徴収するもの。「冥加金」は、商人が自発的に差し出す課徴金

・田沼意次は一部の商人と提携し、ともに利益を得て、その利益の一部を徳川幕府に収めさせるようにした。つまり、幕府直営の座を設けて専売し、許可制の問屋も設け、これらの座や問屋には、すべて特権営業を認め、利益の独占を保証し、運上と冥加金をとった

・江戸の経営学者の海保青陵は、「この世の中の存在は、すべて代物という経済的財貨である」と言い切る。そして、この財貨を売買して、新しい財貨を得ることは天の理と考え、「およそ政治の目的は、この経済社会の天理に即して上下を富ますこと」と言い切った

・海保青陵は、武士の「忠誠心」も、「武士の忠も代物。忠義といっても、主人は臣を買い、臣は主人に自分を売って代金を得ている」と言い切る。つまり、青陵の考えは、武士の忠といっても、たんなる労働契約にすぎないということ

・海保青陵は、「天子は天下という代物を持った豪家。諸大名は国という代物を持った豪家。この代物を民へ貸し付けて、その利息をとって生きている」と言い、知力と労働力を主人に売って賃金をもらう武士と、人を駕籠に乗せて賃金をもらう労働者は同じだと言った

・心学の祖、石田梅岩は「武士は臣として主人に仕え、その代価として俸録を得ている。商人や職人も同じで、客に仕えて代価を得る。代価とはすなわち利益のこと」と言った。さらに、社会的劣位にあった商人の存在を積極的に肯定し、励ました

・「大名からワイロをとるのは、その財政力を弱めるという徳川家康の方針に基づく」という論理は、江戸初期の大老酒井忠清や京都所司代板倉重矩らの実力者によって、忠実に守られた

・江戸の土木建設業者である河村瑞賢は「公共性の追求」「小さな企業者や、労務者すべてが潤う仕組み」を実現するために、平然と幕府要人に贈賄を行い、また同業者とも談合した。彼は、江戸の余剰人員を使い、開発と同時に失業者たちに生業の道を与えようとした



金持ちには、名誉を与えない。そして、お金を使わせなければならない。この考えが支配していたからこそ、江戸の泰平が250年以上続いたのかもしれません。

そして、お金持ちに、お金を使わせる仕組みとして、賄賂が有効に使われていたことが、この本で分かります。

江戸時代は、賄賂を贈る側も受け取る側も、卑しくなかったので、賄賂は経済の潤滑油くらいにしか考えていなかったのではないでしょうか。

賄賂をみんなが幸せになるために使い、贈る側も受け取る側も、そのお金を貯め込まずに、パッと使ってしまったら、賄賂は経済を循環させる「生き金」になります。

お金と名誉」「お金の稼ぎ方とお金の使い方」の整合性と社会性を考えさせてくれる書です。


[ 2011/11/30 08:00 ] 江戸の本 | TB(0) | CM(0)

『借金の底なし沼で知ったお金の味』金森重樹

借金の底なし沼で知ったお金の味 25歳フリーター、借金1億2千万円、利息24%からの生還記借金の底なし沼で知ったお金の味 25歳フリーター、借金1億2千万円、利息24%からの生還記
(2009/02/05)
金森 重樹

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著者は、東大出身ながら、借金を1億円以上つくり、その後、金儲けに目覚めた人です。

現在は、借金を完済し、行政書士事務所を経営されながら、3店舗のビジネスホテルのオーナーもされています。

この本には、著者のお金にまつわる波乱万丈が赤裸々に掲載されています。少し、偏った表現もありますが、ためになるポイントが数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・「貧困は恥ではない」というのは、すべての人間が口にしながら、誰一人、心では納得していない諺である (劇作家・コッツェブー

・親の保護は、社会に出ると、リスク回避に役立っても、リターンに対しては足かせとなる。金儲けに関する限り、親の助言がリスク回避の方向に働いていると感じたならば、聞き容れる必要はない(特に、親が貧乏な場合)

・東京は一方では、無知な人間を食い物にする人たちが棲む街でもあった。その時理解したことは、世の中には悪い人がいるということ。そして、悪い人は何らかの相手を説得する技術を身につけており、それは学校では教えてくれないということ

・お金を払い続ける側と、それを受け取り続ける側の間には非常に大きな隔たりがある。物事を反対側の立場に立って考えなければ、食われる側に回る。このことは、「ギャンブルのように中毒性の高い事業をすると成功する」と言える

他人に評価されること、他人にどう見られかに価値を置く人たちには近づかない。同級生に混じって、システムの上に載って競争している限り、億万長者への道はない

・東大生たちが持ち合せていなかったのは、自分で糧を得るという発想。彼らは、官僚になったり、大企業に入社して、お金を貰うことは考えていても、自らの手で顧客を創造して、お金を創り出すという発想はなかった

・お金を消費する活動は「自傷行為」。ストレスに曝された日常から逃避して心の空虚感を満たすために、コンプレックスの裏返しとして自尊心を満たすために、自制心が効かずにお金を使ってしまう

・「何でも買える財力を持った者は何も欲しくなくなる」。本当に何でも好きなだけ買える状態に到達した人間は、そこまでの過程で、お金の扱い方を身につけているから、消費活動が快楽でなくなっている

・経営が苦しくなった時の打開策は、売上を上げること。ところが、税理士は売上を上げる方法を知らないから、経費削減のほうばかりいじる。しかし、経営が苦しくなった経営者は、言われなくても、とっくの昔に無駄な経費は削減している

財閥系鉄道系を除くほとんどのマンションデベロッパーは、10年でランキングトップ10から消え去り、20年ですべて潰れる

・財閥系のデベロッパーは、グループ内の銀行などから融資のパイプを確保しているから、最終的に新興系のデベロッパーが潰れるまで危機が悪化した時に、思い切って叩いて不動産を総取りすることができる

・江戸時代の呉服屋は、店が火事になったら、大福帳(特殊なこんにゃくで作った紙を使用)を井戸に投げ込んで逃げる。反物が燃えても、大福帳だけは守る。呉服が燃えた損失は微々たるもの、それに比べてデータベース焼失の損失は計り知れないことを知っていた

・富山の薬売りは、薬を売った先の名簿(懸場帳)を持っている。この懸場帳は、薬売りが引退する時に売買された。その売買金額の計算法は、既に置いている薬代の集金可能額に2割~5割の暖簾代を計上した金額。商売を引退する時には、名簿が退職金になった



著者は、お金に関して、苦い経験を多くされてきただけに、お金の味をよく知っておられます。つまり、お金の本質をよく理解されています。

今、お金に苦労されている方が、この本を読まれると、心に響いてくるものがあるように思いました。


[ 2011/11/29 06:52 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)

『女子の論語』祐木亜子

女子の論語女子の論語
(2011/07/04)
祐木亜子

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上海に住み、翻訳業、通訳業を務める著者が訳した、女性のための論語です。

今の時代にも合わせている読みやすい訳で、論語を身近な書に、見事に変換されています。楽しく読めて、しかも気に入った箇所が数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・言いたいことは二割で我慢して、ゆったりとした気持ちで見守る。それが相手を生かし自分を生かす

「敬に居て簡を行い」(雍也篇)

・本当にいい人なら善人に好かれても、悪人からは憎まれるはず。みんなからいい人だと言われる人は、誰にでもいい顔をする偽善者とも言える

「郷人の善き者はこれを好し、其の善からざる者はこれを悪まん」(子路篇)

・その人の持つ人間性が、仕事に影響を与えてくる。人柄は目に見えないけれど、第一義

「君子道を学べば則ち人を愛し」(陽貨篇)

・常識やしっかりした考えを持つ人ほど、「この人は常識を知らない」「仕事の態度がなっていない」と他人を見る目が厳しい。でも、そういう人にはみんな嫌がって寄りつかない

「寛なれば則ち衆を得」(陽貨篇)

・思いやりは難しい。単純な同情心や優しさで他人を包み込むだけではない。ときには、その人のことを思って、厳しい助言や忠告をすることも思いやり

「仁を好みて学を好まざれば、其の蔽や愚」(陽貨篇)

・「申し訳ありません」「すみませんでした」。この一言で、不思議と空気が和らぐ。一つの過ちを、貴重な経験にするのも、あなた次第

「過てば則ち改むるに憚ること勿かれ」(学而篇)

・価値観が異なる人に、腹の底まで見せるのは危ない。要らない対立を招くか、変に邪推され、被害を受けるだけだから

「道同じからざれば、相い為めに謀らず」(衛霊公篇)

・何か新しい発見はないか、自分が知らないことはないか、そんな意識を持って、学ぶようになれば、その蓄積があなたを変えていく

「日々に其の亡き所を知り」(子張篇)

・人の先天的な差は、それほど大きくない。違いは、その人間がどういう習慣を身につけながら生きてきたかによる

「性、相い近し、習えば、相い遠し」(陽貨篇)

・正直一途も度が過ぎると、自分が一番正しいと思い込み、他人の意見に耳を貸さない頑固者になってしまう。本を読み、いい話を聞いて、日ごろから思考を柔軟にしておきたい

「直を好みて学を好まざれば、其の蔽や絞」(陽貨篇)

男の器量がわかるのは、一つは、人に対する態度。誰にでも公平に接しているかが重要。もう一つは、困難にぶつかったときの態度。どっしり構えているかが大事

「君子は坦かに蕩蕩たり」(述而篇)

男の価値は、人間的魅力と将来性にある。金持ちだとか、学歴が高いとか、今目に見えているものだけで、男を選ぶのは少し危険

「小利を見れば則ち大事成らず」(子路篇)

・他人の不幸には興味津々なのに、他人の幸せや成功はうれしくない。こんな器量の狭い女性になってはだめ

「人の悪を称する者を悪む」(陽貨篇)

・自分の生き方や夢、勉強や趣味のこと、いろんなことについて本音で語り合い、互いが成長していく。こんな関係を築ける友だちは最高

「友を以て仁を輔く」(顔淵篇)

・あなたが楽しそうにしていれば、まわりも自然と笑顔になる。これって、他愛ないけど大切なこと

「事を敬して信」(学而篇)

信念を貫くのは大変。同僚や友人を敵に回すこと、家族や恋人を傷つけることもある。それでも、これが自分の生き方と言い切って、本当にその通りに生きている人は格好いい

「匹夫も志しを奪うべからざるなり」(子罕篇)



論語は広義に解釈すれば、性別年代を問わず、あらゆる人へのテキストになります。

大事なのは、解釈されたものを、どう自分の中に取り込むかです。そのためには、自分に取り込めるように訳された書を活用したほうがいいのかもしれません。

自分に合って、しかも自分を成長させてくれる書、この本は、そういう一冊になるのではないでしょうか。


[ 2011/11/28 07:41 ] 人生の本 | TB(0) | CM(0)

『「問題」と「解決」の法則』ジェームズ・アレン

「問題」と「解決」の法則「問題」と「解決」の法則
(2005/01)
ジェームズ アレン

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ジェームズ・アレン氏の本を紹介するのは、「最高にすてきな人生」に次ぎ、2冊目です。

仏教の影響を受けたイギリス人のアレン氏の文章は、亡くなられて、すでに100年経っても、日本人の心を刺激します。

この本にも、心に響いた箇所が多数ありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・「渇望、憎悪、怒り、強欲、高慢、虚栄、執着」「報復、羨望、中傷、欺瞞」「盗み、策略、背信、虐待、疑心、嫉妬」。煩悩の一部であるこれらの暗い力はみな凶暴で、激しい感情の底に潜む分別のない衝動。これらの力にとりつかれると、自滅への道を辿る

・他人を制することに躍起になればなるほど、煩わしい感情に縛られ続ける。自分自身の利己心を忍耐強く治めていくことで、人は自由の高みへと向かうことができる

・愚かな者は、他人を非難し、自分を正当化する。しかし、より賢明な者は、他人の正当性を認め、自分の非を問う。平穏に至る道は、自分の外に求めて見つかるものではない。それは、内なる思考の世界に存在するものだから

・煩悩とは、生きている者が持つパワーのこと。そのパワーの向けどころが正しいか誤っているかで、幸せや苦痛が生み出される

・自分自身の愚かさが明確に認識できるようになると、この世の道理を追求しようとする思いが生じてくる。心の奥深くで目覚めるその願望は、悟りに近づく聖人と同じ喜びをもたらす

・人が願望を抱くということは、好ましくない現状に満足せず、よりよい現実を目指してそこに向かうこと。その熱い思いは、「生きる気高さ」と「充実した人生」を意識し始めた確かな証拠

・煩悩の世界に浸っている人たちは、すぐに消費して終わってしまうものや、その場限りで心に残らないものを手にするために奮闘する。大望を抱いている人たちは、美徳、知識、知恵を吸収することに奮闘する

・前進しようとする者を後退させようとするのが誘惑。誘惑の力は、邪な考えや自分を卑しめる欲望に潜んでいる。誘惑の拠点は、外ではなく、心の内にあることを自覚しない限り、誘惑にかられる期間が続く

・利己主義は利己主義と対立する。他人の悪意によって、かきたてられるのは、自分の我欲

・愚者は、激情には激情で交わり、憎悪には憎悪で応じ、悪には悪で応える。一方、賢人は、激情には穏健に交わり、憎悪には愛をもって接し、悪には善で応える

・不安も心配も消え、嘆きや悲しみが終わるとき。渇望や憎悪、怒りや羨望が生じなくなったとき。さらに、すべてのことが原因から生じる結果として望ましく映るようになれば、心を悩ます出来事がなくなる。その結果、「超越」に至る

・攻撃、嫌がらせ、迫害など、人を悩ませ、苦痛をもたらす出来事は、幸せを高める役目を果たす。苦しみを受けた人は、内なる善の深い泉を湧き立てることができるから

・高い徳を備えた人は、不幸になり得ない。不運を感じる原因を自分の中に知るから。我を捨てた心に、我が身を不幸に思う理由はない

人道的な徳は不完全。さもしさや身勝手さなど、まだ浄化できる要素が混在している。高潔な精神の美徳は、無垢で純粋。それ自体が、まったくもって完璧

・最高の徳、至福と、その喜びを具現化し、体現化する行いとは、「公平性」「惜しみない思いやり」「完璧な忍耐」「謙虚」「清廉潔白」「完全な平常心」

・善悪は行いにあるのではなく、その動機にある。動機を浄化して純粋にしていくことは、「善の精査」をすることになる



この本を読めば、問題を解決する策を自分の内に求めることが、すべてを解決する「万能の法則」であることがわかります。それは、難しく思えるが、易しいこと。易しく思えるが、難しいことなのかもしれません。

以前に紹介した「最高にすてきな人生」もそうでしたが、読むごとに引き込まれていく、不思議な力を持つ書です。

それはなぜかと考えたら、著者自身が、無垢で純粋であったからのように思います。


『過働社会ニッポン―長時間労働大国の実態に迫る』小倉一哉

過働社会ニッポン―長時間労働大国の実態に迫る (日経ビジネス人文庫)過働社会ニッポン―長時間労働大国の実態に迫る (日経ビジネス人文庫)
(2011/06/02)
小倉 一哉

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一般的に、先進国では、労働者の賃金が、増えにくくなります。その代わりに、労働時間が減って、時間的余裕を楽しむ(豊かさを味わう)ことができるようになります。

つまり、全体の賃金は増えないが、「時間当たり賃金」が増えるのが、先進国の労働者の特徴です。

ところが、今の日本は、全体的な賃金が減っているのに、労働時間が逆に増えているような状態になっています。

それは、労働者の「時間当たり賃金」が大幅に減っていることを意味します。つまり、先進国から転げ落ち始めているということです。

なぜ、そうなったのかを解き明かしてくれるのが、この書です。日本人の労働の実態を興味深く読めた箇所が数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・通勤時間が片道1時間だとしても、毎日家を午前8時に出て、帰宅は午後11時以降という人が、働き盛りの男性の2割強に及んでいる。これでは、「仕事と生活の調和」などのスローガンは耳に届かない。それどころか、「生命の危機」を感じる

・OECD加盟国(先進国)の中で、週50時間以上労働者の比率は、他国に比べて群を抜いた1位。先進国の中での日本の異常さが目につく

長時間営業のコンビニを、ドイツやフランスではほとんど見かけない。基本的に西欧諸国では法令等に違反する。日曜にも、デパートを開けない国が多い

・コンビニの80%以上が終日営業。利用する消費者からすればありがたいが、そこで働く人々や、お弁当やおにぎりを深夜・早朝に作ったり、商品の流通に携わる人々のことを想像していない。自己の便利さを追求することで、社会全体の長時間労働を促している

・1ヵ月の総労働時間の平均が200時間を超えるのは、「営業・販売」「研究開発・設計・SEなどの技術系専門職」「現場管理・監督」「輸送・運転」など

・100~300万円未満の人の総労働時間は短いが、300~500万円未満の人は、それより上の収入の人と総労働時間に大きな違いはない。「働けば働くほど儲かる」と言えない

・興味深いのは、フレックスタイム制では、サービス残業がまったくないことが多い。フレックスタイム制の人は、勤務時間管理がきちんとされている

・仕事に生きがいを感じる人は、サービス残業時間が長い。日本の正社員の中に、自らすすんでサービス残業をする人たちがいるが、サービス残業時間の長さに収入が伴っていない。一方、収入が多い人ほど、サービス残業時間は長くない

・単身無業者は就業者よりも性行動の頻度が少ない。また、既婚給与所得者でも、労働時間が長いほど、性行動の頻度が少なくなっている。性行動と出生率は相関しているので、二ート対策や長時間労働対策は、少子化対策(出生率上昇促進策)にとって無視できない

・ヨーロッパの残業割増率は、「残業をさせる経営者に対するペナルティ」。これは、残業をさせるよりも新しく人を雇った方が得するということ。日本の残業割増率は、新しく人を雇うよりも、残業させた方がお得なインセンティブと言える

過労死認定における労働時間の長さは、月当たり残業時間が45時間を超えると健康を害するリスクが高まり、発症前1ヶ月間に100時間を超える場合、業務と発症の関連性が強いとされている

・「うつ病」は女性に多い。しかし、「自殺」は男性に多い。働き盛りの人々が自殺する場合、多くは生前に病院に行っていない。病院に行っていないから、過労自殺の認定に手間がかかる

・成果主義的な賃金や評価制度には、それを補完する「能力開発の機会」が充実しなければならない。成果主義を短期的・人件費削減のためととらえるのではなく、長期的・能力開発向上という視点でとらえるべき

・日本のパートタイマーは、正社員に比べ、労働時間は短いが、ヨーロッパの基準では、限りなく「フルタイマー」に近い。日本の場合、正社員とパートタイマーは、「労働時間の長さ」ではなく、「身分」の違い。同一労働同一賃金の原則に反する身分格差が存在する国

・警察、消防、救急(病院)や、電気、ガス、水道などの分野以外は、深夜営業がなくても生きていける。深夜や終日の営業が、一部例外だったのが、「全部例外」に近づいている。自分にとっての利便性は、誰かの犠牲によって成り立っていることを意識する必要がある



みんなが豊かさを味わうためには、どうすればいいのかといった視点を欠いたまま、日本は、先進国から転げ落ちていこうとしています。

そうなったのも、産業界のエゴと消費者のエゴが原因ではないかと思います。この本は、そのエゴを浮き彫りにした書です。

このままの状態が続けば、金持ちになったのに、豊かにもなれず、また貧乏に逆戻りしてしまう「日没する国」になるのかもしれません。


[ 2011/11/24 06:26 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)

『日本列島改造論』田中角栄

日本列島改造論 (1972年)日本列島改造論 (1972年)
(1972)
田中 角栄

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十数年前に古本屋で手に入れた本です。出版されたのは、昭和47年(今から40年前)です。家の本棚の奥にしまってあったのを取り出して読んでみたら、なかなか面白いのです。

田中角栄という人物を批判的な目で見る人が多くいますが、この本を読んでの印象は、日本の高度成長時代末期に、出るべくして出た人物であると感じました。

その当時の田中角栄に罪はなく、田中角栄的なるものをずっと引きずってきた後輩の政治家や官僚たちに罪があるように思いました。

日本列島改造論には、田中角栄の理想と夢と予測が、数多く描かれています。40年経って、その理想と夢が実現されて、その予測が当たったのかどうか、「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・都市と農村の人たちがともに住みよく、生きがいのある生活環境の下で、豊かな暮しができる日本社会の建設こそ、一貫して追求してきたテーマ

・土地、人口、水などを総合的に組み合わせた地域別の発展目標を設ける

・明治から一貫してとり続けてきた財政中心主義(財政資金による資源配分で国を運営)は、明らかに改める時期にさしかかっている。これまでの制度は発展途上国の制度

・電力料金は、過密地域と過疎地域との間で料金差を設ける。工業用水道も同じような政策的配慮を加える。住民税も過疎地域のほうが相対的に安くなるような配慮をする

行政の広域化を促進すべく、市町村の第二次合併を積極的にすすめ、適正規模とすることによって、その行政力、財政力を強化する。周辺市との再編をすすめることによって、大都市行政の一元化と広域化をはかることが必要

・新しい広域地方団体を設置できれば、府県事務の3分の2を占めている国の機関委任事務や国の地方出先機関の大半は、この中に吸収、一元化され、激変している経済社会の体制に対応できる

・国際農業に対抗し、食糧の安定した自給度を確保するためには、高能率、高収益の日本農業をつくることが絶対に必要。そのためには、農業の大型機械化、装置化、組織化が大胆にはかられなければならない

・人間は自然と切離しては生きていけない。世界に例をみない超過密社会、巨大な管理社会の中で、心身をすり減らして働く国民のバイタリティーを取り戻すためには、きれいな水と空気、緑あふれる美しい自然にいつでもふれられるように配慮することが緊急に必要

・わが国が今後とるべき対外経済政策の重点は、「1.貿易取引のルール(国際分業)」「2.国際投資のルール(国際企業活動)」「3.援助と受け入れのルール(南北間)」「4.国際通貨体制のルール(国際収支の不均衡調整、通貨準備の量的不足、信用喪失)」

・これまでの生産第一主義、輸出一本ヤリの政策を改め、国民のための福祉を中心にすえて、社会資本ストックの建設、先進国並みの社会保障基水準の向上など、バランスのとれた国民経済の成長をはかること

・「人間の一日の行動半径の拡大に比例して、国民総生産と国民所得は増大する」原則からして、「地球上の人類の総生産の拡大や所得の拡大は、自らの一日の行動半径に比例する」という見方もできる

・今後の産業構造は、経済成長の視点に加えて、わが国を住みよく働きがいのある国にするという視点が必要。つまり、今後の日本経済をリードする産業は、従来の重化学工業ではなく、環境負荷基準労働環境基準という尺度から選び出すことが必要

・将来の産業構造の重心は、人間の知恵や知識をより使う産業=知識集約型産業に移動させなくてはならない。知恵や知識を多用する産業は、生産量に比べて、資源エネルギーの消費が低いので、環境を破壊することも少ないし、知的満足できる職場を提供できる

・知識集約型産業こそ、産業と環境の共存に役立ち、豊かな人間性を回復させるカギを持つ。「知識、技術、アイデアを多用する研究開発集約産業」「高度組立産業」「ファッション産業」「知識、情報を生産し提供する知識産業」などを発展させること

・「都合の悪いものは隣村へ持っていく」ことでは、問題の本質的解決にはならない。住民の生活環境や自然を守りながら開発をすすめることが必要

・これからの内陸型工業団地は、本格的インダストリアルパークにしたい。緑の並木道、噴水のある芝生の広場、整然とした工場の建物、色も明るく落ち着いて、工場団地全体が公園を思わせる外観にし、工業を地域社会に組み込んでいくことも可能

・明治以来、わが国の交通政策は鉄道中心におかれてきた。これは、点と線の交通政策であり、大都市拠点主義はここから出発した。これから必要なのは、点と面の交通政策であり、その新拠点は、道路と鉄道、海運、航空の結節点である

・高速道路ができればできるほど、市場が広がる反面、産地同士の競争も激しくなる。それは、貿易の自由化と同じことで、日本経済全体からみれば、適地適産がすすみ、価格が平準化し、生産は合理化する

・産業道路と切り離して、休日に都市を離れる人々が自然に溶け込むレクリエーション道路の建設を急がねばならない。サイクリング道路や森や神社、史跡を巡る緑の散歩道を大量につくることが必要

・道路政策について当面、重要なことは、通過道路と生活道路を切り離すこと。今は、通過道路をはみだした車が生活道路にまで入り込んで、わがもの顔に走っている。これでは、自分の家のまわりもおちおち歩いていられない

・隅田川、淀川の河口で魚釣りを楽しむところまで河川をきれいにしなければ、日本列島の改造が本当にできたとは言えない

・地方都市の多くは、工場や商店があっても、中枢管理機構や文化、学問の場が乏しい。いわば、胴体や手足は一応揃っているものの、神経中枢が十分でないようなもの。そうした状態では、経済活動の完結性が低くなるから、資金が大都市に吸い上げられてしまう

・行政上の許認可権限は、できるだけ地方自治体におろし、地方自治体が中央と同じ量の情報を駆使する企画を自由に行えるようにすべき、広域ブロック都市には、シンクタンク、コンサルタント、調査研究機関などの情報産業が必要

・当面、東京にある大学を地方に分散することが、都市への人口の過度集中を緩和する一方法である。それと同時に、地方にある大学を、特定の学問分野で世界をリードする特色のある大学に改めていきたい

・限られた土地条件を前提にして、農業で高い生産性と高い所得を確保するためには、少数精鋭による経営の大規模化、機械化が必要。その過程で、農業人口の大幅な減少は避けられない

・都市の立体化は建物の高層化それ自体が目的ではない。高層化によって生じる空間を公共の福祉のために活用するところに最大の目的がある。貴重な都市の空間は、空中も地下もフルに利用しなければならない

・汗と力と知恵と技術を結集すれば、大都市や産業が主人公の社会ではなく、人間が主人公となる時代を迎えることができる。自由で、社会的偏見がなく、創意と努力さえあれば、誰でもひとかどの人物になれる日本は、国際社会でも誠実で尊敬できる友人になれる



この「日本列島改造論」で、田中角栄が打ち出している政策や戦略(環境政策、格差是正対策、地方分権政策、農業成長戦略、大都市成長戦略、知識集約型産業移行政策、エネルギー政策など)は、今でも新鮮に感じられます。

とても、40年前に書かれたものとは思えません。ということは、田中角栄が進んでいたというより、この40年間、日本社会が、ほとんど進歩していないということではないでしょうか。

現実面だけに合わせ、お金に執着させる政策を行ってきたツケが今の日本のあわれな姿でないかと思います。

田中角栄のような、理想を語り、目標を掲げ、それを強引に推し進めるリーダーシップある人物の登場が、今の日本には必要なのかもしれません。


[ 2011/11/22 07:20 ] 田中角栄・本 | TB(0) | CM(0)

『日本人の叡智』磯田道史

日本人の叡智 (新潮新書)日本人の叡智 (新潮新書)
(2011/04)
磯田 道史

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磯田道史さんは、新進気鋭の歴史学者です。古文書を本当によく読まれています。最近では、テレビの歴史番組に出演されたり、新聞のコーナーなどにも執筆されています。

映画化された「武士の家計簿」の作者としても有名です。その磯田道史さんが読んだ歴史書、古文書から選んだ先達の言葉が、この本に書かれています。

この本に収録された中には、隠れた人物の隠れた言葉も多く、新鮮な気持ちで読むことができました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・「味方が多い所では強気になり、味方がいない所では弱気になることは恥」 (水野勝成)

・「出る月を待つべし。散る花を追うことなかれ(桜は散っても、月は必ず出てくる。待つ時間をどのように大切に生きるか)」 (中根東里)

・「買米を一度に買うは無分別、二度に買うべし、二度に売るべし」「万人が万人ながら強気なら、たわけになりて米を売るべし」 (牛田権三郎)

・「国家を治め身を治めるのも、みな金銀米銭の取り扱いようから万物が起きる。大名とて、これを家臣任せにするな」 (細川重賢)

・「十人に三人とも、不良の臣交りつかうまれば、七人の忠良は有てもなきが如し(10人中3人まで、よくない人がいると、残りの7人が、いくらまともでも無力されてしまう)」 (細井平洲)

・「人、一生涯、衣食住の為に求め得る処の諸器諸家具、己に得んとて利を争いて求め得る処の物は、皆塵なり(財産などは塵のようなもの)」 (司馬江漢)

・「まず朝は召使より早く起きよ」「十両の客より百文の客を大切にせよ」「買い手が返しにきたならば売るときより丁寧にせよ」「繁盛するに従い倹約せよ」「開店のときを忘れるな」「同商売が近所に出来たら懇意を厚くし互いに励めよ」 (渡辺崋山)

・「人材は一癖あるものの中に撰ぶべしとの論は、今の形成には至当なり(癖のある、扱いにくい男を選んでことをなす)」 (島津斉彬)

・「うらやましがられぬ様二いたす事、身を守るの一助とうけたまわる」 (黒沢庄右衛門)

・「事に臨んで賎丈夫となるなかれ(いざというとき、いやしい男になるな)」 (緒方洪庵)

・「うそいふな。ものほしがるな。からだだわるな(うそをつくな、ものをほしがるな、だらけるな)」 (橘曙覧)

・「人材などは騒がなくつても、眼玉一つでどこにでも居るヨ」 (勝海舟)

・「各人は現代に存すると共に、現代に尽力するの義務あり」 (早川千吉郎)

・「ローマの滅びたるは中堅なくして貧富の懸隔甚しかりしが故なり。露帝国も然り(中産階級なくては国は亡ぶこと、歴史の示す処。ローマもロシアもこれで亡んだ)」 (秋山好古)

・「生とは我が物のようで実は我が物でない。我が物でない生をいかに極愛しても、いつまでも永く愛せるものでもない。ただ生きる間を無駄遣いせず、最もよく正当に生きる」 (小川芋銭)

・「偉い人とは大臣とか大将とかの地位ではない。財産の有無ではない。世間的な立身出世ではない。一言につくせば、後ろから拝まれる人死後慕われる人」 (西郷隆盛)

・「知識は小鳥のようなもので、飛んできた時に捕えて籠に入れなければ自分のものにできない」 (本多静六)

・「賃銀は高く払ってよく働いてもらう。そしていい人を少数働かせる。これが根本的な原則」 (藤原銀次郎)

・「死んでから仏になるはいらぬこと。この世のうちによき人となれ」 (山本玄峰)

・「学問はむしろ忘れるためにする。はじめから知らないのと、知ったうえで忘れるのでは雲泥の差がある。学問がその人に効果を発揮するのは忘れたあと」 (内田百聞)

・「一人で喋るな」「黙り石となるな」「反り返るな」「馬鹿丁寧・お世辞屋・毒舌屋・(愚痴の)コボシ屋・自慢屋・ほら吹きになるな」「知ったかぶるな」「賛成居士反対居士・軽薄才子・朴念仁になるな」「敬語を忘れるな」 (徳川夢声)

・「相手を傷つけないで、自己の欲望だけを満たしていく手段、方法として、人間が最後に発見したものが芸術である」 (加藤唐九郎)

・「どうすれば作品が良くなるかの予言を具体的に言い当ててこそ尊い真の批評」 (松田権六)



江戸から昭和にかけて、有名無名を問わず、立派に生きて、この世を去った人物の一言を知るだけでも、励みになります。

ひとかどの人物の言葉は、素直に、心の中にスッと入ってくるものです。有名な人物だけでなく、有名でない人物の古の言葉に触れてみるのも、いいのではないでしょうか。


[ 2011/11/21 06:57 ] 偉人の本 | TB(0) | CM(0)

『完本・戒老録―自らの救いのために』曽野綾子

完本 戒老録―自らの救いのために (ノン・ポシェット)完本 戒老録―自らの救いのために (ノン・ポシェット)
(1999/09)
曽野 綾子

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この本の初版は、今から40年前の昭和47年です。それが4回の改訂を重ね、今も売れ続けているという化け物のような本です。

内容は、老いたる者の自戒、老いたる者の自覚を促すといった、つまり、老いたる者への警告書です。

老いたる者にとって、気になる本であるわけです。この「老いたる」は、年齢のみならず、目上に立つ者と解釈して、読むべきなのかもしれません。

その気になる内容を「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



くれることを期待する精神状態は、一人前の人間であることを放棄した証拠。放棄するのは自由だが、一人前でなくなった人間は、精神的に社会に参加する資格もない。ただ労わってもらうという、一人前の人間にとって耐えられぬ「屈辱」にさらされる

・老人になっても、あらゆることについて自分が前面に出たがる人がいる。それは前向きな生き方だが、大人気がない。老人が真っ先に失うのは「大人気」である

・怒り、ののしることは、自分を受け入れられなくなることに対する八つ当たり。どうしても関心や同感が持てなかったら遠ざかればいい

・固定観念はやめること。社会は変化のうちにある。悪役は常に舞台の下手から出てくる、などと思っていると、考えの老化に拍車をかける

・位階、勲章を欲しがったり、特殊な名誉を持つ団体の会員や役員になりたがったり、碑・銅像その他を建ててもらいたがらぬこと。これらの欲求がもし起きたら、老いのあらわれと自戒する

・芸術の分野において、けなされることのない老大家になったら、もうその時は、社会はその名を盲目的に崇めているか、さもなくば、識者たちから見限られていると思って、秘かに筆を折る(小説家の場合)ほうがいい

・ひたすら優しくされたら、かなり衰えがみえて、労わられていると思ったほうがいい。口答えされたら、一人前に扱われている証拠だから大いに喜んでいい

・世間や周囲に対して、見え透いた求愛をしないこと

・物を捨てると、新しい空気の量が家の中に多くなる。それが人間を若返らせる。品物は一つ買ったら一つ捨てるべき。一つとっておいたら、古いものを一つ捨てなければならない

・老人の間で、貯金をどのようなテンポで使っていったらいいか、常に問題になる。倹約して暮らし、ついに貯金の恩恵を全く被らずに死んでいくのも滑稽。九十まで生きるつもりで、それで使い切るように計算し、あとは、自分の知ったことではないと考えること

・何かになり損ねた過去があっても、残念だったなどと言わないほうがいい。なぜなら、周囲は「あの人は到底その器ではなかった」と思っているかもしれないから

・大いに旅に出たらいい。いつ旅先で死んでもいい、自由な年齢になったのだから、その特権を享受しなければならない

・冠婚葬祭、病気見舞いなどに行くことは、楽しみならいいが、そうでなければ、一定の時期から欠礼すること。大切なのは、死者、結婚する人、病人のために心から祈ること。心は愛する人とどこにいても一致できる

・頭を鍛える最上の方法は、たえず抵抗のある状況に身を置くこと。つまり、いやな思いをすること。家庭は、この面では防波堤の中にあるので、むしろ悪環境である

・幸福な一生も、不幸な一生も、一場の夢と思い、そのさめるとき(死ぬとき)について、思い悩まぬこと

・無神論者でも一向にかまわない。死ねば無に帰すという考え方も、一つの勇気である

・「神が存在しなくてもかまわない。神は人間に神性を与えるものだ」 (サン=テクジュペリ)

・徳は他人の評価を目標としない。しないというより、することが不可能。徳性を有する一つの目安は、自分を主張することのいかに小さいか。「秘すれば花なり。秘せずば花なるべからず」ということ

・自分の死によって、残された者に喜びを与えること。それは、金、地位、名など残してやれということではない。戦い尽くして死んだという実感を子供に与えてやることである



老いるにつれ、地位が上がるにつれ、忠告してくれる人が減ってきます。特に、儒教的風土の残る日本では、見かけ上、目上の人には優しくしてくれます。

それに慣れ切ってしまうか、絶えず自戒し続けるかで、老いの品格が問われるように思います。

老いの足音が聞こえてきた方には、是非読んでほしい書です。


[ 2011/11/18 07:46 ] 曽野綾子・本 | TB(0) | CM(0)

『アランの言葉―ビジネスマンのための成功哲学』加藤邦宏

アランの言葉―ビジネスマンのための成功哲学アランの言葉―ビジネスマンのための成功哲学
(1987/04/03)
加藤 邦宏

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今、NHK・Eテレの「100分de名著」で放映中なのは、アランの幸福論です。この番組を見て、すっかり忘れていたアランの本を書棚の奥から見つけ出し、25年振りに読みました。

この「アランの言葉」は、幸福論だけでなく、人間論、教育論から100の言葉を抜粋したものです。

この本を買った当時(若手社員だったころ)は、意味がわからなかったであろうことが、今では、少しはわかるようになったのではないかと思っています。

新たに感銘した箇所が数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・誰でも求めるものは得られる。そして、欲しいものはすべて山と同じようなもので、私たちを待っており、逃げていきはしない。だがそれゆえ、よじ登らなければならない

・しっかりとした足どりで出発した野心家は、みな目的地にたどりついている。しかも私が思ったよりもずっと早く着いている

・われわれは誰しも自分が発する叫びによって生きている

・いかに偉大な賢者でも、日に三度は食卓につく。そして、他から食物を持ってきてもらわなければ、彼とてすぐさまドブネズミのように、なにもかも忘れて食物を探しまわらねばなるまい。かかるがゆえに、賢者はたくわえあることを望み、欠乏を恐れる

・火薬もまた生易しいものではない。恐れるに足らぬような味方が何の役に立とうか

・人間に期待をかける人こそ、最もよく報いられるのである

・説得してかかろうとすれば、人は意地悪になり、頑固になり、さらに愚かにさえなり得ることは、あまりにも明らかである。どうしても信用してかかるのでなければならない

・喝采が買収や強制の結果だと考えるだけで、喝采は台無しになってしまった。人は自由な喝采を願うものである

・ミケランジェロはすべての人物を頭の中にいだいてから、描き始めたなどと、私は夢にも考えない。彼は描き始めただけだ。すると人物の姿が浮かんできたのである

・生徒の勉強は性格の訓練であって、知性の訓練ではないと。正書法であれ、翻訳であれ、計算であれ、問題は意欲する術を学ぶことである。気分を克服することである

・真の問題は初めは苦いものだ。だから、私は楽しみを約束などしない。むしろ克服されるべき困難を目標として与えよう。これが人間にふさわしい餌であり、それによって人間が味わう代わりに考えるようになる

・どんな職業も、自分が支配しているかぎりは愉快であり、自分が服従しているかぎりは不愉快である

・登山家は、自分自身の力を発揮して、それを自分に証明する。名高い山頂まで電車で運ばれた人は、この登山家と同じ太陽を見ることはできない

・愚かな人は、耳を動かすだけで行こうとしないロバに似ている

・寒さに抵抗する仕方は一つしかない。それは寒さに満足することだ

・すすんで笑うマネだけでもしてみたまえ

・何よりもまず意欲しなければならず、いわば無償で意欲しなければならない。そして、全霊込めて試みることをしない人には、試みが何の役にも立たないことが、すぐはっきりしてしまう

・仕事の幅を広げる冒険は、また心の幅をも広げ、自己認識に風景を添えるものだ

・見物の本当の豊かさは、細部にある。見るとは、細部を経めぐり、一つ一つ少しずつ立ち止まり、そして、再び全体を一目で把握することである

・笑えば人を笑わす、泣けば人を泣かす。恐れると人を恐れさす。かくも単純な、かくも力強いこれらの効果は、生理的な模倣機能にもとづく

・敵か、それとも味方か。私が攻撃すれば、敵になる。私が何の恐れもいだかず、微笑してみせれば味方になる。礼節という、この安全かつ力強い装いがここでは君臨する



アランは、行動することの大切さを説いた哲学者です。

微笑むこと、声を出すこと、挨拶すること、とにかく、身体を動かさないと、幸福になれないという考えでした。

この考えが、この本にも随所に出てきます。アランの言葉には難しい表現が多いですが、極めて、実践的なわかりやすい哲学なのかもしれません。


[ 2011/11/17 06:35 ] 偉人の本 | TB(0) | CM(0)

『剣道の法則』堀籠敬蔵

剣道の法則剣道の法則
(2011/09)
堀籠 敬蔵

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日本古来の武道(武術)に関する書の中でも、剣道(剣術)は一番多くの文献が残されています。宮本武蔵の「五輪書」もそのうちの一つです。

単に、技術的な側面だけでなく、精神的な側面に言及していることが多く、自己鍛練や悟りといった、禅に通じる部分も多く見受けられます。

この本には、剣道(剣術)で言い継がれてきた言葉が、数多く掲載されており、非常に勉強になります。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・教育とは、師を尊敬し、教えを受けるところにおいて初めて成り立つもの

・礼を重んずる剣道では、昔から道場における礼として、次の「三つの礼」を教えている。「1.神に対する礼」「2.師に対する礼」「3.朋輩の礼」

・稽古とは、古(いにしえ)を稽える(かんがえる)こと。先人のいろいろと残してくれた教えを工夫・研究することが稽古の本来の意味。ところが、現在は、ただ練習する、習うという意味のみにとられ、試合に勝つための練習という意味になってしまっている

・稽古には、基本的な稽古以外に、「1.一人稽古」(仮想の相手を想定し、鏡や立木の前で稽古する)、「2.見取り稽古」(他人の稽古を見る)、「3.聞き取り稽古」(先生、同僚に体験談を聞く)、「4.読み取り稽古」(種々の文献を読む)がある

剣禅一如とは、天地の大法、宇宙の万法、即ち剣もなく禅もない様相のこと。禅の究極は平常心にあり、剣の究極も平常心にある。心気の充実して無住の処に住すれば(小我を捨て大我に生きれば)、突く隙もなく、切り掛かるすべもない

正しい呼吸は、正しい姿勢を生み、正しい理性を生み、人間形成へと進むものであり、正しい呼吸・姿勢を離れての人間形成はあり得ない

・「一眼・二足・三胆・四力」の教えとは、「一眼」(相手を見極める心の働き)、「二足」(身体の働き)、「三胆」(度胸、胆力の坐り)、「四力」(技術の問題)のこと。これらの一致こそ、剣道活動で欠くべからざるもの

・真剣になっている時ほど気高いものはなく、三昧の境地、無念無想の境地に入り込んだ時ほど気品あるものはない。また、心が端正でなければ、気品は生まれない。形が端正でなければ気品は添わない

・発声は、内に充実した気合が自然に必要に応じて、外に発するもので、口先のみで必要以上に発するのはよくない。発声は「気勢を増す」「雑念をとる」「心気力の一致をはかる」「相手を威圧する」「打突を正確にする」

・剣道においては、「心の隙」(どこか抜けたところ)、「構えの隙」(形としての隙)、「動作の隙」(大きく遅い)があれば、相手を打ち込むことができるが、反対に己に隙があれば、たちまち打ち込まれ敗北を招くことになる

・剣道では、相手の「竹刀を殺す」(竹刀の自由を制す)、「技を殺す」(先を取って攻め、相手に技を使わせない)、「気を殺す」(相手の張る気分を流し、怯むところを攻める)ことを「三殺法」と言っている

打突の好機とは、「1.相手の実を避け、虚」「2.技の起こり頭」「3.居附いたところ」「4.尽きたところ」「5.引き端」

剣道の四戒とは、恐・懼・疑・惑のこと。この中の一つでも己の心の中に生じたならば、自分の心は乱れ、冷静に対処することができず、勝つことができない

・試合に臨む心構えとしては、「1.主導権を握ること」「2.波に乗ること」「3.相手を慌てさせて、平常心を失わせること」「大胆細心であること」



この本には、単に剣道における教訓だけでなく、広く、日常生活上の教訓、処世術の真髄が書かれているように感じました。

ということは、人生とは、試合であり、その試合に臨むための日々の稽古であるということに他ならないのかもしれません。


[ 2011/11/16 06:58 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『中国人の考え方が2時間でわかる本』島崎晋

中国人の考え方が2時間でわかる本中国人の考え方が2時間でわかる本
(2011/03/19)
島崎 晋

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この本には、中国人の「そうだったのか」ということが詰まっています。したがって、タイトルに偽りなく、中国人のことを、短時間で理解できた気分にさせてくれます。

かといって、内容的に劣るものではありません。コンパクトによくまとまっているという印象です。

短時間で、現代の中国人や中国のことをざっと知るのに、とても便利な本です。なるほどと思えた点が数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・直接自分たちに被害が及ばない限り、「他人の被害など知ったことでない」というのが中国人。逆に、「損を受ける」と知れば、驚くほど素早い反応を見せるのも中国人。つまり、世界で最も損得勘定意識が高い人たち

・中国の謝罪語「対不起」(すみません)が中国人の口から発せられることはまずない。これは、中国人の「謝る=負け」という考え方によるもの。日本の「すみません」には「ありがとう」の意味さえある。日本人は謝罪語を口にするのに慣れた民族

・中国人は、歴史的に、他人を信用せず、個を尊重するようになった結果、組織への忠誠心が皆無に近い。中国の会社は同族経営がほとんど。そこでは、一族以外の者が大きく出世は望めない。そのため、多くの者が、会社勤めをスキルアップの一手段と割り切る

・日本には禊や、死者には鞭打たないという概念がある。中国人にとっては、敵は霊になっても敵、それを拝む者もまた敵

・中国人には「上には上のやり方、下には下のやり方がある」といった考え方が強く、国の法律を遵守すべきという意識が薄い。政府も、政治教育や愛国教育には熱心だが、公衆道徳教育には、あまり力を入れてこなかった

・一番頼りになるのは親族、次に同郷の友人。一番頼りにならないのは政府。政府を信用していない

・中国人が信用するのは、血縁の身内と「自己人」。「自己人」とは、「血縁ではないけど身内同様」という意味の呼び名。こう呼ばれるようになったら、相手からかなり信用されている。「朋友」と呼ばれているうちは、「あかの他人」

物を買う時、欠陥品でないかどうか、店員の目の前で箱を開けてチェックして、大丈夫と納得してから金を払うもの。金を払って家に持って帰った以上、欠陥品だったとしても、責任は客にある

・中国人は「関系」を大切にする。海外旅行から帰ったら、親類はもちろん、「関系」のある友人知人へのお土産は必須。しかも、相手に合わせて土産の種類を変えたりしては、腹を探られて問題になりかねない。そこで、中国人は、同じ商品を大量に買って帰る

・中国では、マンションを購入するといっても、土地はあくまで国家の所有であり、人々は土地の使用権(多くは70年)を得ているにすぎない。これに比べて、日本の不動産は、ほとんどが土地込み。中国の富裕層が、日本の不動産購入に熱心なのは、そのため

・1980年代に入り、中国人の公共性、倫理観のなさがあまりにもひどいと、政府指導者も感じるようになった。そこで再び脚光を浴びたのが儒教。儒教の礼は大衆を善導するのに有益と考えられるようになり、孔子は、一夜にして、偉大な思想家になった

・どこに行っても関帝廟がある。三国志の英雄の一人「関羽」には、「常人離れした強さ」に加え、劉備に尽くす「忠義の心」があった。それが、熱狂的支持を受け、人々に崇拝されている。儒教の国、中国だが、実は忠義を貫いて死んだ人物が少ない

・宴会では「干杯」(一気に飲み干す)が礼儀。酒の弱い人は、最初からソフトドリンクを飲むか、「半杯」(半分だけ飲む)や「随意」(自分で決めて飲む)と答えること。中国では、酔っ払って、醜態をさらすことは非情な恥で、軽蔑されるのが落ち

・中国人が崇拝する対象、それは神と仏と祖先。祖先は死後、一族の守護神になると考えられている。だからこそ、祖先の祭祀は絶やしてはならず、男子の後継者が必要とされる

・儒教は万能薬ではない。富める者、上に立つ者の自制を働かす効果がない。富裕層や政治家が私腹を肥やし、権力をほしいままにするのを防ぐ監視者は、言論の自由がないマスコミではなく、海外の世論。政府の上の人々は、外の目を気にしている

・中国が死刑制度を存続させるのは、凶悪犯罪が後を絶たないため。中国では、富める者が相手であれば、罪の意識が薄い。貧しい者が、成りあがる一つの選択肢は、富める者から奪うこと。別の選択肢は、黒社会(マフィア)に身を投じること

・1910年代から20年代、日本が袁世凱政府に対して行った「対華二十一条要求」によって、仮想敵国が、アヘン戦争以来のイギリスから日本へ変わった。日清戦争敗北でも、対日感情は悪くなかったのに、「対華二十一条要求」を機に、反日の機運が高まった



日本人の知らない中国人の姿がよくわかる本です。

現代の中国人の性格をつくり出してきたのも、その国の歴史です。時代に翻弄されてきた庶民が、自然とそうなったとしても不思議ではありません。

海外の人を知るには、その歴史的背景、地理的背景、文化的背景を知らないと、真の友好は結べないのかもしれません。


[ 2011/11/15 06:06 ] 華僑の本 | TB(0) | CM(0)

『ニーチェ道をひらく言葉 (智恵の贈り物)』

ニーチェ道をひらく言葉 (智恵の贈り物)ニーチェ道をひらく言葉 (智恵の贈り物)
(2010/05/20)
ニーチェ

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NHK・Eテレの「100分で名著」でニーチェを見て、ニーチェに強い興味を持ちました。

その中でも、「ルサンチマン」(強者に対する嫉妬、反感などの奴隷根性)に憑かれた人間は、自己を正当化する結果、成長できなくなるという戒めには、深く納得した次第です。

さらに、知の巨人ニーチェに教えを乞うために、この本を読みました。感銘した数多くの言葉の中から、「本の一部」を紹介させていただきます。



・自分の中の悪を、自分の最善のものと言ってのける勇気を得たときこそ、人生の一大転機である

・公正さとは、お互いに同程度の力があるという前提で、貸し借り、交換を行うことである

公正な人間であろうとすれば、常に、力と権力の大きさに対して、鋭い感覚を持っていなくてはならない。だから、公正であることは難しい

・何かを経験しているときには、それに身を委ねて目を閉じるべきだ。その場で観察を始めてはいけない。消化の妨げになり、知恵を得るどころか、消化不良になる

・物事は長く続くとみな、後から理屈が付いてくる。そうなると、もともと理屈がなかったのが、嘘のようだ

・孤独の中を行くがいい。私が愛するのは、自分を超えるものを創造しようと望んで、滅びる者だ

賞賛を求めないことだ。人は自分の「得になること」か、「好きなこと」か、「しなければならないこと」をする

・自分について多くを語ることもまた、自分を隠す手段になり得る

・自分と同じ意見を賞賛するのは、結局、自分自身を賞賛しているだけのことで、よい趣味とは言えない

・人や本に対する最も鋭い批判とは、相手の理想を描き示してやることである

・敵を持つならば、誇りにできる敵を持つこと、そうすれば、敵の成功が自分の成功になる

生きることは、そもそも、傷つけたり、暴力をふるったり、搾取したり、壊したりすることによって機能する。これらを抜きにした生など考えられない

・欲望は欲するものを大きく見せる。手が届かないというだけでも大きく見える

・人は軽蔑する相手を憎まない。憎むのは、自分と同等か、自分より上と見なしている相手だけだ

・個人が狂うことは珍しい。だが、集団、党派、民族、時代は狂っているのが普通だ

・ある時代に悪とされるものは普通、かつては善だったものが、場違いに繰り返されたもの。つまり、かつての理想が隔世遺伝したものである

目の数だけ真実がある。だから、本当の真実はない

・禁欲的道徳を実践するとき、人間は必ず己の一部を神として崇める。そのためには、残りを悪魔としなければならない

道徳的な者は劣った人間である。一個の「人格」ではなく、いったん決められた型にはまり込み、それを自分の価値としているからだ

・「徳があれば幸せになれる」というのは間違いだ。力のある者が、まず自分が幸せである状態を徳と定めるのである

・結局のところ、人が愛するのは、自分の欲望であって、欲望の対象ではない

自由を獲得したしるしとは?もはや、自分に対して、何事も恥じないこと



ニーチェの言葉を辛辣と受け止めるのか、真実を表わしていると受け止めるのか、人によって、受け止め方は違うと思います。

ニーチェの言葉を真摯に受け止めることによって、世間的な成功が手に入るわけではありませんが、人間としての深みや魅力を増していくには、「ニーチェの言葉」なるものを避けられないのではないでしょうか。


[ 2011/11/14 07:15 ] ニーチェ・本 | TB(0) | CM(0)

『4時間半熟睡法』遠藤拓郎

4時間半熟睡法4時間半熟睡法
(2009/06/19)
遠藤 拓郎

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若いころは、休日に寝だめすれば、4時間半の睡眠で十分でしたが、最近は、6時間眠らないと、何だか身体がしっくりこないように感じます。

睡眠時間を毎日4時間半にしても、健康的な生活ができるならば、活動的な人生が送れるように思います。

この本には、4時間半睡眠の正しい方法が科学的に書かれています。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



睡眠の基本サイクルは90分。だから、90分の倍数で寝るとスッキリ目覚めることができるし、効率の良い睡眠をとることができる

・睡眠には、夢を見る「レム睡眠」(心のメンテナンスの役割。寝入りに短く、朝方に長くなる)と、夢をほとんど見ない「ノンレム睡眠」(体や脳の休憩、身体の成長などの役割。寝てから3時間の間に多く出る)の2種類がある

・フロリダ大学のウェッブ教授の実験によると、3時間以下の睡眠を続けていくと、視覚関連の仕事(運転、パソコン作業など)でミスがかなり増えることが明らかになった

・毎日6時間の睡眠を確保しさえすれば、眠気もなく、パフォーマンスが落ちない

・平日の5日間は、「4時間半の睡眠」で乗り切る。土曜、日曜のどちらかで「7時間半の睡眠」をとって体を回復させ、どちらかで「6時間の睡眠」をとるのが、「4時間半熟睡法

・体温が高いところから低いところに急に落ちると、人間は眠くなる。眠りに入る時、体温が1℃くらい急激に下がる

・人間は、手足がラジエーターの役割を果たすことで、体温を急激に下げ、眠りに入ることができる

・眠り始めの3時間でいかに快適な睡眠をとるかが成長ホルモン分泌の鍵になる。成長ホルモンは、「健康な体」や「美肌」を作る

・夜中の3時くらいから、コルチゾールが活躍する。蓄えられた脂肪やグリコーゲンをエネルギーに変えることによって、心臓や肝臓を動かし、生命を維持することができる。つまり、人間は寝ながらにしてダイエットをしている

・「寝る前に食べると太る」とよく言われるが、それは、食事をすることによって、コルチゾールが脂肪を分解してエネルギーに変える「寝ている間に行われる活動」がうまくいかなくなるから

・コルチゾールの分泌を考えると、起床時間も大切になる。午前5時半から午前8時半の3時間が、起床時間のゴールデンタイム

・「睡眠がいい人にとっては寝だめは無効」「睡眠が悪い人にとっては寝だめは有効」

眠くなるホルモン「メラトニン」と体温は、相互に影響を与えながら、人間を眠らせたり、起こしたりしている。メラトニンは、一般的に夜9時くらいから出始めて、夜11時くらいに眠気を感じるレベルになる

・人間は25時間の時計を持って、地球の24時間の生活に対応している。この1時間の差を埋めているのが「朝の太陽の光」。朝日を浴びた瞬間に、人間の体内時計は25時間から24時間に修正される

・睡眠には「コアタイム」がある。このコアタイムは午前0時から午前6時。この時間に寝ているのが効果的。ベストなのは、午前1時に寝て午前5時半に起きるなど、この時間にスッポリ当てはめてしまうこと

・湿気が多いと、皮膚の汗がいつまでたっても乾かないため、手足の温度が下がらず、効率的に体温を下げることができなくなる。夏場の眠りには、部屋をドライに保つことが不可欠

・寝る前に、人為的に体温を上げていれば、脳から「体温を下げなさい」という指令が出て、スムーズに眠りに入ることができる。「食事」「運動」「入浴」は体温を上げるために、とても有効。夕食には、鍋などの温かいものや唐辛子の入ったものを食べるとよい

寝るタイミングを逸してしまった時に有効なのが、シャワーを浴びることと、温かいものを飲むこと

効果的な仮眠は15分が目安。目をつぶっているよりも、15分間でも寝てしまった方が、疲労感が回復し、眠気が解消される

夜勤明けの睡眠は、午前9時までに床に入り、12時に起きるのが理想的。それでも眠い場合は15分の仮眠をとること



部分的には、今までよく聞いたことが多いと思います。それでも、体系的に、睡眠の科学を学ぶと、睡眠とは何かがよくわかり、効率的な睡眠法を理解することができます。

人生において、睡眠時間を少しでも有効に削ることができたなら、活動時間が大幅に増えます。

効率的に仕事をすることが苦手な人は、睡眠時間だけでも、効率的に減らすことを考えてはいかがでしょうか。とにもかくにも、時間が足りないと考えている人には、本当に役立つ書なのかもしれません。


[ 2011/11/11 08:03 ] 健康の本 | TB(0) | CM(0)

『単身急増社会の衝撃』藤森克彦

単身急増社会の衝撃単身急増社会の衝撃
(2010/05/26)
藤森 克彦

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結婚していない人、夫や妻が死別した後も一人で暮らしている人。つまり、「おひとりさま」が急増しています。

なぜ、おひとりさまが増えたのか?おひとりさまが増えることによって、社会にどのような影響が出てきているのか?また、どのようなことが今後起こってくるのか?世の中の関心と興味が増しているように思います。

この本には、その関心や興味に応えてくれる箇所が数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・男性の生涯未婚率は1920年~1985年まで、1~3%台で推移した後、90年に6%となり、05年に16%となった。2030年になると、男性の生涯未婚率は29%、女性は23%と予想される。90年代以降、想像以上に、結婚や世帯形成の面で大きな変化が進んでいる

・日本の社会保障制度は、家族による助け合いを前提にしてきたために、国際的に見て、安上がりの制度となっている。主要先進国間で社会保障費の対GDP比は、米国に次いで低い水準にある

・65歳以上単身世帯のうち、子供が片道1時間以内に住んでいるのは5割弱。高齢単身者の5割強は、近くに子供がいないか、そもそも子供がいない。家族に頼れない人は着実に増えている

・勤労者世帯の単身男性の外食費比率は、二人以上世帯の2倍以上の水準

・35~59歳の単身男性で「家賃・地代」に消費した割合は14.9%、単身女性では10.5%なのに対し、二人以上世帯では、わずか3.7%。「家賃・地代」は、単身世帯と二人以上世帯の間で大きな差がある。これは、単身世帯の持ち家率が低いため

・70歳以上の単身男性の平均金融資産は1752万円、単身女性は1287万円。これら金融資産によって、高齢単身世帯(無職)の家計月額14000円程度の赤字を賄っている

・厚生年金・共済年金を受給する単身女性の3割程度が収入150万円未満。これは、正規労働者であっても、女性は男性よりも平均就業年数が短いことや、男女の賃金格差が年金受給額に反映するため

・単身女性の中で年収120万円未満の低所得者層の割合が最も高いのは、離別した単身女性。離別した単身女性の33%が年収120万円未満。死別した単身女性の21%、未婚の単身女性の19%に比べて、低所得者層の比率が高い

・単身世帯の所得や金融資産の水準を二人以上世帯と比べると、現役世代であれば、単身世帯が上回るが、高齢期に入ると、二人以上世帯よりも低い水準になる

・55~74歳の単身世帯において、離別した単身女性と未婚の単身男性の低所得者層割合が高い。高齢者単身男性の1割強が無年金者となっている

・労働力人口が年平均で20万~45万人程度減少(2006~2030年)していく中で、介護職員数を年平均5.3万~7.7万人増加(2007~2025年)させていかなくてはいけない状況にある

・高齢単身男性が費やす時間で最も長いのは、「テレビ、ラジオ、新聞、雑誌」。1日当たり4時間、高齢単身女性も3時間17分を費やしている

生活時間調査では、高齢単身世帯の3割程度が、家族や、家族以外の人とも交流時間を共有していない。高齢単身世帯は社会的孤立に陥っている可能性が高い

・「社会的孤立」の要因や環境としては、「賃貸共同住宅に住む傾向がみられる」「都市部を中心に孤立しても生活できるインフラが整備されている」「現役時代から地域との人間関係を築いていない」ことがあげられる

単身世帯予備軍(親と同居する40歳以上の未婚者)は、全国で202万人存在し、40歳以上人口の2.9%を占める

・単身世帯予備軍数の男女比では、男性は女性の1.9倍となっている。これは、男性の未婚化が女性より進展しているため


高齢化の問題が叫ばれていますが、同時に孤立化も大きな問題になっています。単身者が、どんどん増え続けてくれば、社会はどう対応すべきなのか。お金と制度において、その答えは明確になっていないように思います。

確実なことは、高齢単身者同士で、お金、身体、精神面を、どうシェアして生きるかが重要になっているということです。

国や地域に頼れないのなら、自分たちで頼れるコミュニティーをつくっていかないといけないのかもしれません。


[ 2011/11/10 08:00 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『名将の陰に名僧あり―戦国時代を生き抜いた知恵と戦略』百瀬明治

名将の陰に名僧あり―戦国時代を生き抜いた知恵と戦略 (祥伝社黄金文庫)名将の陰に名僧あり―戦国時代を生き抜いた知恵と戦略 (祥伝社黄金文庫)
(2006/02)
百瀬 明治

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戦国時代の名僧には、武将の助言者、軍師、参謀役、占い師、外交交渉役、メンタルトレーナー、子弟の教育係、などの顔を持つ者がいます。

戦国武将と名僧の関係は、お互いを補完する絶妙のコンビでした。しかし、名僧の方は、歴史の闇に消えた形になっています。

この本は、各々の名僧と戦国武将がどういう関係にあったのか、またお互いにどう利用し合っていたのかを歴史的に検証する面白い書です。

ナンバー2には、何が求められていたのか?現代にも役に立つ内容の箇所が数多くあります。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・殺生を生業とする武士層の苦悩に、はじめて正面から応えようとしたのは、鎌倉新仏教の祖師である親鸞と日蓮。日蓮は「成仏できるもできないも、罪の軽重ではなく、在家のままでも、法華経を信じる心があれば十分」と説き、日蓮の教えは坂東武士層に広まった

・戦国武士の死生観は、信仰を仲立ちした精神修養によって培われたもの。精神修養を達成するため、彼らは高僧を心の師と仰いだ

・領主が家臣や領民を心服させるには、強権や威圧だけでは不十分。長期支配には、領主のカリスマ性が必要。そのために、信仰を深め、神仏と一体化したように振る舞った。高僧は、武将の信仰心を「聖人の再来」と誉め、家臣や領民の反攻の気力を骨抜きにした

・武断に比べ、徳治は、領民の人心掌握に著効を発揮し、持続性が高い。武将が徳治の姿勢を領内に示すには、信仰を正面に掲げるのが一番。そのため、武将たちは、多くの社寺に祈願文をささげたり、所領を寄進したりしている

・武将たち神仏を信仰したのは、多くの神仏を味方につけ、その加護によって、勝利を得たいという願いもあった

禅の教えは、あまり抹香臭くなく、現世における人間の限りない向上性を保証する。その上、修行の方法も、心を澄まして坐禅するだけでよい。禅のそうした特性が、現世の栄達に望みをかけ、戦陣に多忙な武将たちの心をとらえた

・足利尊氏は、南北朝の乱世を乗り切って幕府を開設したが、その間に二度の裏切り行為を行い、深い罪業意識にとらえられて悩んだ。そのとき、夢窓疎石にすがることによって魂の安らぎを得、活力を取り戻すことができた

南光坊天海は、子孫に長久の基盤を残したい徳川家康のよき相談相手となり、折々に法談や加持祈祷を行って、苛立つ家康の心を慰めた。そして、自ら関東天台宗を統率する地位に納まった。武将を補佐しながら、自身も宗教面での恩恵にあずかるという典型的図式

・ブレーンに徹しようとすれば、政略や軍事に関わらざるを得ない。その役割を自覚し、積極的に攻略や軍事の立案決定に参画していったのは、今川義元に師と仰がれた太原雪斎。雪斎は、戦場にも撃って出て、軍師兼指揮官として武士顔負けの大活躍をする

・武田信玄に尊信された快川紹喜は、織田信長大包囲網を結成する信玄の計画に、法縁を活用して助けた。武田の軍旗「孫子の旗(風林火山)」を書し、常日ごろ、軍事面でも寄与するところがあったと伝えられる

・戦国乱世の僧に期待された役割の一つに、「使僧」がある。僧侶は出家の身ということで、原則的に敵の領内もフリーパス。その立場を活かして使者をつとめたり、情報を収集したりするのが使僧。その役割を演じたのが、毛利氏の帰依を受けた安国寺恵瓊であった

・戦国武将は、いったん僧侶をブレーンとして信頼すると、あとは信頼しきって大切にしている。僧侶の意見はどんな場面でも尊重している。対する僧侶も、私欲を剥き出しにせず、武将のために尽くす。現代のトップとブレーンが範とするに足る相互関係

・織田信長はキリシタン宣教師を不思議なほど厚遇した。彼らと雑談を交わしているうちに、ヨーロッパの絶対主義体制のあり方を見抜き、天下平定の目標として、絶対主義を思わせる体制の構築に邁進した

・鎌倉幕府は、京都朝延の宗教的光背(天台宗や真言宗)に対抗すべく、宋朝風の純粋禅を持ち伝えた、蘭渓道隆無学祖元、一山一寧を外護者に任じた

・大樹寺の住職登誉は、「聖戦」の概念である「厭離穢土、欣求浄土」と大書した旗を、徳川家康に与えた。この八文字は、浄土信仰の核心をなす精神であり、スローガン。この旗とともに、家康は天下制覇の道を進むことになる

一向一揆の生みの親と言うべき本願寺蓮如は、護法のために戦うのであれば、戦場で討ち死にしようとも、死後は必ず極楽に生まれ変わるであろうと、門徒たちに保証した。それが、死を少しも恐れぬ一向一揆の精強さの原点。勇猛果敢な戦いぶりを発揮した

・徳川家康は、一向一揆勢に苦戦を強いられた体験を通し、信仰の秘める危険性も痛感した。江戸幕府開設後、「寺院法度」を制定し、政教分離をはかり、教権の自主性を奪った

・徳川家光の剣道指南役に登用された柳生宗矩は、沢庵に師事して修行に励み、高い禅境を得た。「剣禅一如」の精神から、勝つことのみを至上とした殺人剣の剣法剣術を、「道」の理念に基づいた剣道に変えた



この本を読むと、自分は「陽」なのか「陰」なのか、立場をわきまえて、行動することが、自分も活かし、相手も活かすことに繋がることが、よくわかります。

戦国武将が「陽」なら、僧侶が「陰」。つまり、「名将の陰に名僧あり」の関係性は、現代の組織や人間関係においても同様です。名社長の陰に名補佐役あり、ということではないでしょうか。


[ 2011/11/09 08:03 ] 偉人の本 | TB(0) | CM(0)

『アラブ人の不思議な習慣』マーガレット・K・ナイデル

アラブ人の不思議な習慣アラブ人の不思議な習慣
(2001/12)
マーガレット・K. (オマル)ナイデル

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我々日本人は、イスラム教徒やイスラム教国に対して、ほとんど何も知りません。しかも、理解していこうという気もあまりないように感じます。

この本は、アラブ人の習慣や制度だけでなく、アラブ人の性格、気質や家族に対する考え方など、具体的な日常生活にまで言及しています。

アラブ諸国の本は、数多く出版されていますが、アラブ人の日常が描かれている書は、少ないように思います。しかも、欧米人が書いたアラブ人の本は珍しいのではないでしょうか。

石油産出国が多く、豊かな国も多いアラブ諸国について、理解を深めたい人には最適の書です。役に立った箇所が25ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・外交政策以外の問題で、アラブ人がアメリカを非難するのを聞いたことがない。一般に中東の人々は、自分たちの生活が脅かされない限り、アメリカには興味がない

・イスラム教徒は他文化には干渉しない。西側諸国の豊かさと自由に敵意を抱いている者など稀であり、事実、何百万というアラブ人が西側の暮らしに憧れ、移住している

・アラブ諸国の政治的な多様性もまた、注目に値する。その政治体制は、王政、軍政、社会主義共和政とさまざまである

・アラブ的価値観で、人間にとって最も大切なものは、名誉と誇りと評判。中でも名誉は一番大切で、どんなことをしても守らなくてはならない。名誉(恥辱)は、一個人にとどまるものではなく、その集団や一族にまで及ぶ

・アラブ人は、たとえ自分を犠牲にしてでも家族を愛し、家族のために尽くさなくてはならない。人の貴賎は、身分と家柄によって決まる。本人の性格や能力は二の次である

・アラブ人は、寛大で、情が深くて、礼儀正しく、誠実である。しかし、ほとんどの欧米人は、アラブ人を誤解し、偏見を持っている。基本的に、アラブ人を嫌い、イスラム教徒を嫌っている

・アラブ人にとって、友達はいっしょにいて楽しい相手だけでなく、何か頼んだら引き受けてくれる人のことでもある。その結果、欧米人はアラブ人の友達に「利用された」と感じ、一方、アラブ人は欧米人の友達を「友達がいのない」奴と思う

・アラブ人は、人に何か頼まれて「やりましょう」と答えたとしても、本当にそれをやると思っていない。相手に礼を尽くすために色よい返事をしているだけ。結果はまた別。「やりましょう」という明るい返事は、善意の表明

・人を紹介されて、アラブ人がまず知りたいのは、その人の社会的地位と持っているコネ。それがわかると、今度は自分の話となり、親族や家族の自慢をして、どれだけコネを持っているか詳しく教えてくれる

・アラブ人にプライバシーはない。プライバシーという英語をアラビア語に訳すと、一番近い言葉は「独りぼっち

・アラブ人はすぐに商売相手と親しくなる。職場以外ではつきあわない同僚や、私生活に立ち入らない上司には、アラブ人はなじめない。アラブ人は知り合いはみな友達と思っている

・アラブビジネス界では、知り合いは多ければ多いほどよく、公私混同したほうが有能なビジネスマンになれる。道理や理屈よりも顔がものを言う世界

・アラブ人には事実をそのまま言ってはいけない。彼らの傷つきやすい自我を守るためには、事実はオブラートで包まなくてはならない

・一声かけるだけで、アラブ人の態度はがらりと変わる。列で割り込まれたら、「並んでください」と声をかければ、割り込んだ人はたいてい謝る

・アラブ人は人の気持ちを大切にする。そんなアラブ人からすれば、欧米人は物事を抽象的、論理的に捉えすぎ、人に対する繊細さに欠けているように見える

・アラブ社会は柔軟。個人的に特別な事情があれば、ただ規則を当てはめるのではなく、例外を作ってくれる。法は万人に当てはまると考える欧米社会では、まずこんなことはない。アラブ文化で大切なのは、規則ではなく人間

・大人なのに、結婚していないなんて、アラブ人には信じられない。アラブでは、人は結婚するもの。アラブ人は、子供は宝だと思っている。家名を高め、老後の面倒を見てくれる息子ならなおさら

・家庭では、女性が采配を振るう。家計、子供のしつけ、教育、縁談で主導権を握る。夫の役割は外で稼いでくることだが、妻はお金を家庭に入れる必要はない。女性は自分のお金や財産を持っており、結婚後もそれを守る権利が、イスラム法で定められている

・アラブ人は、時間に几帳面ではない。人を待たせても平気で、謝りもしないのが普通。「時間通り」にこだわると、忍耐力のない、うるさい人だと思われる

・アラブ人のほとんどはペットが嫌い(特に犬)。アラブ人の客が来るときは、ペットを見えないところに隠しておくこと

・アラブでは、身なりが資産と社会的地位を表すので、上流階級の人は、人前に出るときは、常に服装や外見に気を遣う。いい服を着ることは、アラブ人の自尊心の重要な部分

・アラブ人は、雇用主、同僚、友人に対しては、深い義務感を持たない。誰でも、頼りになるのは、親族だけだと思っている

・イラク国民の58%がいとこと結婚している。サウジアラビア、クウェート、ヨルダンも50%以上。結婚で大切なのは、相手の社会的地位と資産状況なので、家族、性格、経済状況がよくわかる相手と結婚すれば安心できるのがその理由

・イスラム教徒は、基本的な家計費を除いた手取りの年収の2.5%を「ザカート」(宗教税)として、支払う義務がある。このお金は、地域社会の福祉、特に貧しい人のために使われる

・アラブ人は、おしゃべりだから、同じことを繰り返すし、興奮すればわめき散らすし、大袈裟な身振りまで加える。彼らは言い分を強めるために、会話の中に、誓いの言葉(神にかけて誓う)を挟み込み、効果をあげるために誇張する



アラブ人以外の人にはなかなか理解できないことが、アラブには数多くあるように見受けられます。

しかし、郷にいれば郷に従えで、アラブ社会に入っていこうと努力する人には、アラブ人は、温かく歓迎してくれるように感じます。

世界の人口の相当数を占めるアラブ人と、仲良くしていくことが、これからの日本には必要です。アラブ人と理解を深める入門書として、この本は役に立つのではないでしょうか。
[ 2011/11/08 06:35 ] 海外の本 | TB(0) | CM(0)

『わしづかみにする交渉術―接待編』角川いつか

わしづかみにする交渉術―接待編わしづかみにする交渉術―接待編
(2008/04)
角川 いつか

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角川いつかさんの本を紹介するのは、「成功する男はみな非情である」「オレ様流男の成功術」に次ぎ三冊目です。

女性で、これだけ肝っ玉がすわり、スカッとする文章を書ける人はなかなかいません。男性でも、なかなかいないのかもしれません。

この本でも、リスクを背負って、社会で闘う人間ならではの心理が、見事に描写されています。共感できる箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・ほめることは、へりくだることでも、コビを売ることでもない。ほめるというのは、相手を認めるということ

・アメリカで教えられたのは、「サプライズ」&「スマイル」。笑顔は、自分自身もハッピーにする。周りをいつも楽しい雰囲気にできる人には、いい人脈、いい情報がどんどん入ってくる

・しつこく追いかければ、仕事も恋愛も逃げていく。ギリギリまで追いかけない。追いかけ過ぎたなと思ったら、サッと身を引く

ギブ・ギブ・ギブ・アンドテイクぐらいがちょうどいい。与えっぱなしでもなく、与えたらすぐ取り返すでもない。三回与えたら大きなテイクがやってくる。恋愛も仕事も、まず三回はギブする。そして、テイクは逃さない。それが結果的に大きな利益にもつながる

・出会い上手になりたければ、まず紹介上手になること。誠実に紹介されたことを、相手は決して忘れない。出会いは利用するものではなく、活用するもの。それが、新たな出会いを呼んでくれる

・「そうじゃないかもしれないけれど、そうかもね」くらいの曖昧さが、人間関係を円滑に進ませる。すべてに白黒つけない曖昧さは、余裕の表れであり、優しさと思いやりの表れ

自分を高めないものに多大な出費をするのを止めること。正しいお金の使い方とは、費用対効果の高い使い方。高価なモノを買ったとしても、それが、やる気と情熱を与え、成功へのモチベーションになるなら、その出費は高くない

・成金趣味のフルコースや観光地の大型大衆ホテルになくて、鄙びた温泉街にあるもの。それは文化。文化とは、時間と手間と心をかけて丁寧に生み出されたものの結晶。文化のあるものには品性がにじんでいる

馴染みの店は、あなたのお客様を、店の主人が大切なお客様として、接待してくれる。店と連携して接待できれば、そのもてなしは成功する

・お金持ちにお金で勝負しては駄目。バイオリンの天才にバイオリンを聴かせるようなもの。強いものに対して戦うときには、戦い方を変え、違う部分で勝負すべき

・トップの人間は、常に高級志向を求めているわけではない。ときには、下町に行きたがっている。彼らは、意外なところで面白がる

・相手が大物だと腰が引けてしまうという人もいるが、大物であればあるほど威張ったところがなく、人格者が多い。普通に接すれば、喜んでいろいろ話をしてくれる。だから、その大きな懐に思い切って飛び込んでみればいい

・頂点に上り詰めた人ほど孤独。若手は上の人に声を掛けにくい。だから、意外と「誘ってほしがっている」トップは多い。思っている以上に、トップと仲良くなれるチャンスはある

・自己演出の話をすると、「売り込みするなら、実力を付ける方が先だろ!」と、必ず売り込むことを批判する人がいる。だが、そういう人に、不思議と成功は手に入らない。プロモーションしないと、誰もあなたのよさに気付かない

・人は基本的に保守的。少しでも失敗しそうになれば、冷笑にさらされる。問題はそこでひるまないこと。失敗にもかかわらずやり続ける、つまり「失敗に強い」ことが、成功するための必須条件

・魅力的な店とは、肩の力を抜いて楽しめる店。最初からすごいサービスはしない。適当に放っておいて、適当に構ってくれる。そのさじ加減が絶妙。適当に放ってくれる中で、チラリと気の利いたサービスをする。何食わぬ顔をして、目は配らせている

・人を惹きつけるのは、「ギャップ」と「ミステリアス」。もっと、知りたいと思わせることができるか否か。チラリズムが心を刺激する。そのためには、自分を多く語りすぎないこと

・トップに立つ人間は、常に脇腹に真剣を差して戦っているようなもの。そういった人たちが集まり、風格と風格がぶつかり合い、ユーモアとユーモアがぶつかり合えば、一度の会食だけで信頼関係を築くことができる

・できる人は、成功するための正しい方法を選択し、実行する人。正しい選択を行うためには、何をやるかではなく、何をやらないかを決めておく。約束の時間は必ず守る、ではなく、時間の守れない約束はしないということ

・本当のトップの人間は、傲慢な態度はとらない。中堅どころだと、高圧的で傲慢な場合が多い。トップは誰に対しても対等であり、誠実である



この本は、トップに立つ人や一流の人との接し方、喜ばし方を知っている著者ならではの作品です。

この内容に対して、違和感をおぼえるようであれば、それは、一流の人やトップの人とあまりつき合ったことがない人だと思います。

今、トップの人や一流の人と近い距離にある人は、参考にするところが多い本ではないでしょうか。
[ 2011/11/07 06:13 ] 角川いつか・本 | TB(0) | CM(0)

『ラジオ深夜便珠玉のことば―深夜便からの100のメッセージ』

ラジオ深夜便珠玉のことば―深夜便からの100のメッセージ (ステラMOOK)ラジオ深夜便珠玉のことば―深夜便からの100のメッセージ (ステラMOOK)
(2010/12/18)
NHKサービスセンター

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最近、眠れないとき(深夜1時)、朝早く目が覚めたとき(朝4時)は、NHKのラジオ深夜便を聴くことにしています。

月に3~4日くらいしか聴いてはいませんが、この時間帯に、各界の専門家、名人たちの人生を聞くことができるので、楽しみにしておりまます。

そのラジオ深夜便に出演した専門家たちの声を拾ったのが、この本です。人生の晩年を迎えた先輩たちの貴重な言葉が収められています。

勉強になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・生きることに下り坂はないと思う。生きている限り、いつも上り坂。だから、あせらずに、のんびりと、生きていきたい (鳥海昭子・歌人)

・一流の人で、「仕事遊び学びは別」という人はいない。名人の域に達すると、すべて一体になる。もう一つ、一流の人に共通するのは、いくつになっても学び続ける姿勢。「これでいい」とは考えない (藤尾秀昭・出版社経営)

・若さを保つ秘訣は、どこに行ってもいつでも見られていると意識すること。意識していれば、腰も伸びる (森光子・俳優)

・年を取ってよかったことの一つは、欲望の整理がうまくなったこと。自分の持ち時間を考えたら、あれもこれもと欲張ってもしょうがない (吉沢久子・家事評論家)

・人生は三打数一安打でいい。三つ目標のうち、二つはうまくいかなくても、一つを成し遂げれば達成感を味わえる。そうやって充実した日々を過ごす実感を持つことが大事 (島健二・川島病院名誉院長)

・将棋は前に進むだけなら負ける。「引く」ことで、先手の有利性を生かせる不思議なゲーム。この「むだ」や「マイナス」が勝負には大切 (米長邦雄・日本将棋連盟会長)

感動したらすぐに書くことが大切。いい景色、いい本、いい人と出会った感動を、すぐに書いたほうがいい (野口白汀・書家)

・愛は苦しみが伴う。でも苦しみたくないからと、愛さないで生きて、一生誰も愛さずに死んで、何が幸せか。傷ついてもいい。愛した思い出を残すこと (瀬戸内寂聴・作家)

・俳句を始めると、魔法のメガネをかけたように、周囲がみな新しく見えて、見過ごしていたものが、形や色を変えて新鮮に迫ってくる (今井千鶴子・俳人)

・営業先で冷淡にあしらわれると、社員は心をすさませて帰ってくる。心を穏やかにするには、きれいにすること。それで、掃除をするようになった (鍵山秀三郎・自動車用品販売企業経営者)

・一日のいやなことは、その日が終わったらおしまい。明日はまた新しい自分と思っていけば、楽しい。泥水でも、そのうちに泥が沈殿して、きれいな水になる。そういうふうに、ゆっくり構えていればいい (酒井雄哉・比叡山飯室不動堂長寿院住職)

・随筆は、人生の蓄えを折にふれて、形式にこだわらずに綴る「知的散歩の文芸」 (芳賀綏・東京工業大学名誉教授)

・釈迦が言った「無財の七施」とは、「声をかける」「笑顔を見せて迎える」「荷物を持ってあげる」「席を譲ってあげる」「水をあげる」「食事をあげる」「泊めてあげる」ことを指す。もう一つ、「話を聞いてあげる」ことを加えて、八施にしたらいい (早坂暁・作家)

・「書こう」という姿勢で日常を観察していくと、今まで見えなかったことが見えてくる。書くことで、頭も心も整理され、素直に成長していく (高橋一清・松江観光協会観光プロデューサー)



各界の専門家たちが会得した「老いる楽しさ」が、この本には、要約されています。

「老いる苦しさ」から「老いる覚悟」へ、そして「老いる楽しさ」へと変換できたとき、良き晩年を迎えることができるように思います。

その良き晩年を迎えている先輩方の声に、耳を傾けてみるのもいいのではないでしょうか。


[ 2011/11/04 05:49 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『人生が変わる哲学の教室』小川仁志

人生が変わる哲学の教室人生が変わる哲学の教室
(2010/05/12)
小川 仁志

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この本は、著名な哲学者(ハイデガー、ヘーゲル、カント、プラトン、アラン、サルトル、ニーチェなど)が先生になり、生徒に講義する形式をとっています。

授業をわかりやすくするため、難解な言葉を、できるだけ簡潔にまとめています。全部で14講義ですが、14人の哲学者のそれぞれの哲学を、ここで学ぶことができます。

この本の中で、頭の刺激を受けた箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・「ハイデガー」は、人間には二種類の生き方があるとした。「1.非本来的な生き方」(世間に埋もれた、誰でもいいような生き方)、「2.本来的な生き方」(ほかでもない、自分による真剣な生き方)

・人生とは、自己実現の場。それは、生きているうちにしかできないこと。だから、死ぬとわかったとき、人は皆それをやる。人生の目的は、自己実現にほかならない

・希望が感じられることを最後までやり続ける。それが生きるということ。生きる意味には、人それぞれの答えがあるが、問題は、いかに希望を見つけるかにある

・理想とは、ここにはなく、求めるものであり、到達したい場所、憧れの対象だということ。逆に、現実とは、ここにあって、与えられるものであり、抜けたい場所、時には、嫌悪の対象だということ

・「ヘーゲル」の弁証法とは、あるものごと(テーゼ)に対して、それに矛盾する事柄(アンチテーゼ)を取り込み、矛盾を克服し、より発展した解決法(ジンテーゼ)を生み出す方法。「正→反→合」とも表現される

・「ベンサム」の功利主義は、「人間が、快楽苦痛の回避といった行動原理によって支配されている限り、善悪の基準もその部分に求める」というもの

・理性と欲望はお互いを補い合っている。欲望を敵に回すのではなく、飼い馴らして味方にしてしまうのが、うまい生き方

・整形もダイエットも化粧も、ある意味で変身願望の現れ。今の自分と外見が変わることで、つまり体が変わることで、心が変わると信じる。そして、実際に心が変わる

・他人とは、自分を規定するための客観的基準であり、人間は他人との異同によって、自らのアイデンティティを確立していく。だから、自分の存在のために、他人のことが気になる

・他人の目を気にしないということは、他人への配慮を欠くということ。それは、自分の欲望のままに行動することに他ならない。他人の目は気にしすぎる必要はないにしても、やはり、多少は気にしてもいい

労働主義は、仕事を崇高な義務に変えていく。本人は、どんなに苦しくて逃げ出したくても、口が裂けてもそんなことは言えない

・遊びと仕事という二つの領域を設けることで、人は行き詰まりや逃れる場をつくっている。一つの世界しかないとすると、もうそこから逃れることはできない

階級社会は、意見の対立が起き、それが民主主義へとつながる。大衆社会は、社会への無関心を招き、全体主義へとつながる

・幸福とは、心の落ち着いた状態。それは、心地よい状態。そんな心地よい状態は、普段は、快楽を求めることで得られる。しかし、欲望を克服することでも得られる

・「アラン」は幸福論で、「不幸になるのはやさしい。ただじっと座っていればいい。人が楽しませてくれるのを待っているように」と言った。つまり、幸福になろうとしなければ幸福になれない。幸福はつくり出すもの

・生きる欲望を突きつけるためには、勢力の結集が不可欠。個人の力で権力に立ち向かうのは不可能。しかし、勢力の結集ほど困難なこともない。多くの同志を募り、意見を集約し、行動を起こすには、相当な労力を要する

自由と平等は、人間の幸福を別の面から見たもの。つまり、自由というのは、幸福を個人から見た側面、平等というのは、社会から見た側面。だから、矛盾している

・共同体の中では、相手に配慮しないことには、自分の自由も保障されない。言い換えれば、他人への配慮がむしろ自由表現のための前提条件

・秩序の反対が自由。秩序とは、まとめようとする力の働き。自由は、本質的にまとまることを嫌う。だとすると、秩序として明確化されたこと以外は、自由であり、裁量に委ねられる。つまり、秩序の明確化は組織のモチベーションを高める


何事も、直感を頼りに判断できる人は、哲学など必要ありません。ところが、決められない人は、哲学を少し身につけることが大事です。

哲学が身につくと同時に、自分というものが確立されていきます。つまり、優柔不断でなくなります。次第に、生きる自信が深まっていきます。

そうなると、行動も変わっていきます。結果的に、「人生が変わる」ことも十分にあり得る話です。

人に相談ばかりしている人、決断力のない人、自信のない人にとっては、この本を読む価値があるのかもしれません。



[ 2011/11/02 07:13 ] 人生の本 | TB(0) | CM(1)

『夢をかなえる「お金」の言葉』宣田陽一郎

夢をかなえる「お金」の言葉 (成美文庫)夢をかなえる「お金」の言葉 (成美文庫)
(2009/08/20)
宣田 陽一郎

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この本は、お金の雑学といった内容の書ですが、お金の歴史的な記述が多く、結構、楽しめます。

古人のお金に関する考え方、お金への処し方など、参考になるところが数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・「あなたのポケットにあるお金を私に見せてくれれば、あなたの思想を当ててみましょう」(フランスの文豪・バルザック)

・「富貴は悪を隠し、貧は恥をあらはす」 (井原西鶴)
金があれば、悪事も隠せ、貧乏だと恥をかくことも多い

・「貨幣とは、鋳造された自由である」 (ロシアの文豪・ドストエフスキー)

・この世は、金という鎖で縛られている牢獄のようなものだが、刑務所では、金の鎖からは解放される。だが、金の鎖から解放される代償に、不自由という鎖で縛られてしまう

・「金に執着しない」「人を大切にしない」「失敗を知識化できない」。こういう人は失敗する

・「お金がたくさんあって、貧しい人のように暮らしたい」 (画家・ピカソ)

・「貧乏はハシカと同じだ。どうせかかるなら早いほうがいい。貧乏な家に生まれたことを喜べ」(林学者・本多静六)

・「落ちていく奈落の底を覗き見て、いかほど深き欲の穴とぞ」 (江戸時代の商人・紀伊国屋亦絵右衛門)
人が欲に目がくらんで落ちていく地獄の穴の底は何と深いことか

・「借金を返す者は、信用を倍にする」 (ユダヤの格言)
一度借金を返せば、信用されて、次はもっと多い借金ができる。未来の道が開ける

・一昔前の街金業者の事務所は、客を脅かす仕掛けになっていた。机の後ろには、咆哮する虎が描かれたデカイ金屏風があり、その前にドーンと日本刀が立て掛けてある。棚には短刀まで飾っている。ドスの利いた声で話されると、気の弱い客は震え上がってしまう

・「金がないから何もできないという人間は、金があっても何もできない人間である」 (阪急グループ創業者・小林一三)

・「顔を良くするより金を儲けよ。金儲かり家富まば、おのずと顔も良くなるものなり」 (諸戸家家訓)

・「世渡りの業は傘のごとくすべし。運よき時は開き、運よからぬ時はすぼめるがよし」 (江戸時代の町人学者・岩垣光定)

・「商売をしていれば、いろいろ難癖をつけたり、威張ったりする客もいる。しかし、カネが歩いてきたと思え、カネに頭を下げると思ってがまんしろ」 (大阪の人形問屋社員心構え)

・「損せざるをもって、大なる儲けと知るべし」 (茂木家家訓)
損をしないぐらいの商いを続け、小さな利益を大事にすることが、実は大きな利益になっていると思いなさい



お金に、あまり一喜一憂したくはありませんが、お金に困るのは、できるだけ避けたいものです。

この本は、お金について、古今東西の人が考えてきたことが網羅されています。お金の基礎知識とお金の教養を得られる便利な書です。

[ 2011/11/01 06:39 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)