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「・・・とは」「・・・人とは」を思索
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『ユダヤの商法』藤田田

ユダヤの商法 (ワニの本 197)ユダヤの商法 (ワニの本 197)
(1972/05)
藤田 田

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この本は、古い本です。日本マクドナルドの創業者であった故藤田田氏が、マクドナルドを創業した年に執筆した本です。

その当時、大ベストセラーになりました。実際に、大企業に育て上げた著者の経営手腕が、この当時からも垣間見られます。

そういう意味で、大成功した人の原点となる考えが、いっぱい詰まっていると思われます。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。


・カネには、氏素性も履歴書もついてはいない。つまり、カネには「汚いカネ」はない

・ユダヤ人にとって「減らない」ということは、「損をしない」ということの最も初歩的な基本である

・ユダヤ人は、暗算の天才である。暗算が早いというところに、彼らの判断が迅速であるという秘密がある

・口に入ったものは、必ず消化され、排出される。つまり、口へ入れた商品は、刻々と消費され、何時間後には、次の商品が必要になってくる。売られた商品が、その日のうちに消費され、廃棄されていく。こんな商品は他には存在しない

・ユダヤ人は雑学博士である。しかも、それが通り一遍の浅い知識ではなく、博学である。ユダヤ人と一緒に食事のテーブルを囲むと、彼らの話題が、政治、経済、歴史、スポーツ、レジャーと、あらゆる分野にわたって、豊富であることに驚かされる

・ユダヤ人の豊富な知識は、人生を豊かにしているだけではなく、商人としての的確な判断を下すために、どれほど役立っているかは、計り知れないものがある

・ユダヤ人は、好成績を上げる会社を作って楽しみ、その会社を売って金を儲けては楽しむ。そして、また儲かる会社を作って楽しむ

・ユダヤ商法では、会社や契約書すらも「商品」である。契約書を買い取って、契約を売り手に代わって遂行し、利益を稼ぐという商売をしている

・流行には、金持ちの間で流行り出すものと、大衆の中から起こってくる流行の二つがある。この二つの流行を較べてみると、金持ちの間から起こってくる流行のほうが、圧倒的に息が長い

・ジャーナリズムさえ黙らせてしまえば、国家の主権を侵すことを初め、何でも思いのままに振る舞える。ユダヤ人はそれを知っているし、すでに実行している

・ユダヤ人は、旅行をしても、名所旧蹟にさほど関心を示さないが、他人種や他民族の生活や心理、歴史に対しては、専門家以上の好奇心を示して、その民族の裏側まで、のぞき込もうとする

・他人の言うことをすべて疑ってかかることは、行動のエネルギーを阻害する以外の何物でもない。懐疑主義は結局、無気力に陥ってしまうだけ。それでは、金儲けなど、とてもできない

・日本人は、契約を交わした後も、相手を信じようとしないが、ユダヤ人は、契約を交わしたら、相手を全面的に信頼する。それだけに、契約が破られ、信頼が裏切られたときは、徹底的に損害賠償を請求してくる

・ユダヤ人はタルムードを毎日読む。マスターする速度が重要なのではなく、書かれている内容を自分の生き方に照らして、いかに理解するかが眼目。この習慣こそ、ユダヤ民族の統一と団結を保っている秘訣

・簡単でボロ儲けを狙うユダヤ商法で、とっておきの商品は「通貨」。カネを売買することは、額に汗する必要が全くない



藤田田氏は大成功者になりました。この本は、マクドナルドを創業した年に書かれたということに意味があるように思います。

この当時、藤田田氏の頭の中にあった、この本の内容が、成功を導き出したのかもしれません。成功を願う人にとって、何らかの参考になる書ではないでしょうか。


[ 2011/10/31 05:58 ] ユダヤ本 | TB(0) | CM(0)

『両手いっぱいの言葉―413のアフォリズム』寺山修司

両手いっぱいの言葉―413のアフォリズム (新潮文庫)両手いっぱいの言葉―413のアフォリズム (新潮文庫)
(1997/09)
寺山 修司

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寺山修司の名言集です。彼の413の箴言を選び、構成された書です。

寺山修司自身も、「名言集というのは、言葉の貯金通帳」と言っています。言葉の錬金術師であった所以がそこに表われているように思います。

少し毒を含んだ鬼才・寺山修司の凝縮された一言一文の中で、特に心の内に響いたところを紹介させていただきます。



・現代は「足的時代」にさしかかっている。それは、「手的時代」にとってかわるもの。「手は作るが、足は作らない」。別の言葉で言えば、手は生産的だが、足は消費的

・先生という職業は、情報社会における人間相互間のスパイである

・われわれは、イメージの中で、一度経験したことにしか現実に近づけない。したがって、事実とは、常に二度目の現実の別称である

母性愛は美しいという発想は非常に危険。自分の息子のために、命懸けでやる母親というのは、他人の息子のためには、命懸けでやらないということと裏腹

・鏡の引力に引きつけられると、人はたちまち、自らの二重性を暴露される。平素はぴったりと鏡の裏に張りついている自分の死顔が、鏡の磁力によって、透視されて外在化するから

・目玉なんて何もならない。革命を遠くから見ているだけ。大切なのは心臓だけ

卑怯者とは、何をしたかで決まるのではなくて、何を後悔しているかで決まる

・幸福は、「幸福の大小ではなくて、幸福について考える人間の大小」である。幸福とは、思想である

・人間の体というのは、「言葉の容れ物」にすぎないし、出し入れ自由である

・犬は、いつでも自然(野性)に帰りたがっている。そして、その気持ちを抑えながら、人間と暮らし、人間を助け、人間を喜ばしてくれている

・スターに憧れるのは中流家庭に多い。貧しさのどん底であえいでいる人たちは、パンを追うことでいっぱいだし、上流の、欲しいものが何でも手に入る人たちにとっては、スターの生活などは夢ではないからである

・私は化粧する女が好き。そこには、虚構によって現実を乗り切ろうとするエネルギーが感じられる。そして、また、化粧はゲームでもある

・一言で片づけるとすれば、ヒトラーは「偉大な小人物」。しかし、何もしない大部分の政治家が「卑小な大人物」であることを考え併せたとき、歴史を動かしてきたのは、実は多くの「偉大な小人物」たちであったと思わないわけにはいかない

・モラル(道徳)というのは、未開社会で、ある上層階級が経済上で優位に立ち、権力を持ち始めたときに、規律として「押しつけ」たのが始まり。私たちに必要なのは、規律ではなく、自律である

・批評家というのは、時代に少し遅れていくことで役目を果たす。あまり早足の批評家では、詩人か予言者になってしまう

・賭けない男たち、というのは魅力のない男たち。彼らは、常に「選ぶ」ことを恐れる。そして、賭けないことを美徳であると考え、他人並みに生きることを幸福であると考えている

にせ物の寿命は、本物の寿命の長さによって決まる

・あらゆる笑いは、差別と階級性を内包して生まれる

・友情というのは、いわば「魂のキャッチボール」。一人だけが長くボールをあたためておくことは許されない。受け取ったら投げ返す。そのボールの空に描く弧が大きければ大きいほど、受け取るときの手ごたえもずっしりと重い

・親しくなるのはまっぴら。親しくなると、必ずお互いに不自由になるから



寺山修司氏が亡くなってから、すでに30年近くになります。その30年という年月を感じさせない言葉の数々は、鬼才というよりも、天才であったと、今になって感じる次第です。

人間の本質、根源を知る上で、寺山修司の文章は、今でも輝きを失っていないのではないでしょうか。


[ 2011/10/28 06:53 ] 人生の本 | TB(0) | CM(0)

『「コドモみたいなオトナ」とのつき合い方』本間正人、高原恵子

「コドモみたいなオトナ」とのつき合い方「コドモみたいなオトナ」とのつき合い方
(2010/04/09)
本間 正人、高原 恵子 他

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ワガママな人ほど、パワフルなので、権力を手にします。そして、長生きします。しかも、ワガママでない人を翻弄します。ワガママな人は、一般的に「子供がそのまま大人になったような人」と呼ばれています。

それでは、この「子供がそのまま大人」(コドモみたいなオトナ)とは、どういう人なのか、どう付き合ったらいいのか、どうあしらったらいいのかを教えてくれるのが、この書です。

著者は、松下政経塾研究部門の元責任者で、教育学の専門家です。管理職研修を得意とされています。

ということは、日本のリーダーには、「コドモみたいなオトナ」が多いので、それを戒めていく人が必要であるということなのかもしれません。

役に立った箇所が数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・「コドモみたいなオトナ」とは、オトナの皮をかぶっているが、中身は「5歳の子ども」の人。困ったことに、そういう人に限って、なぜか「高い地位」を持っていることが多い。お子ちゃまなのに権力だけは持っている

・「大きな5歳児」の4つの行動パターンは、「1.甘える」「2.一人では行動、決断できない」「3.利己的である」「4.エネルギッシュである」

・5歳児が最も生まれやすいのは、社会的地位の高い人たちの中。企業の経営者、弁護士、医師、政治家、大金持ち、こういった人に限って、幼稚な行動に出ることが多い。言うならば、社会的地位が上がることによって、5歳児化する傾向に拍車がかかる

・企業のトップに立ってしまうと、面と向かって注意してくれる人はいなくなる。権力を手にし、お気に入りを重用し、気に入らない部下を遠ざけると、長らく心の底に沈んでいた5歳児が再び活動を始める

人の話を平気でさえぎる上司は、「1.怒りっぽい」「2.発言の間に脱線する」「3.結局は感情論でしか話さない」

・「没頭系の5歳児」には、「1.見て見て系(戦果を事あるごとに見せようとする)」「2.スノップ系(高尚なジャンルに造詣が深い)」「3.巻き込み系(周囲に同じことをすすめたがる)」の3タイプがいる

怒鳴り散らすクレーマーの行動パターンは「1.突然の怒声」「2.増殖する怒りと高揚感」「3.矛盾にはお構いなし」

・「自分を偉く見せよう」とする人は、アピールする。さらに厄介な「自分は偉い!」と心の底から確信している人は、アピールなんかしないが、コントロールしようとする(相手を支配し、思いどおりに動かそうとする)

・「自分は偉い!」と心の底から確信している人は、次の三つの行動を頻繁に行う。「待たせる」「呼び出す」「振り回す

・お姫様・悲劇のヒロインになりたい人は、すべてを心の傷のせいにする「トラウマちゃん」

・家庭内5歳児である「困ったお母さん」は、「エコロジー」「ロハス」「食の安全」「地産地消」などの言葉に心を動かされる傾向にある。「家族の健康のため」と言いながら、本当は、「新しいモノ好き」で、かつ「飽きやすいタイプ」

・ストレスを解消するのに、一番いい方法は、「子どものころにしていたことをする」こと。子どものころにしていたことは、本来の欲求や嗜好をストレートに反映したものが多い。それを再び行うことによって、自分らしくいられる時間を過ごすことができる

・幕末の志士、橋本左内は「稚心を去る」という言葉を残している。稚心とは、「子どもじみた心」のこと。立派な人間になるためには、子どもじみた甘えや自己中心性を捨てなければならない



日本人は、偉くなればなるほど、子ども還りする可能性が高いということです。

この人たちに、いちいち腹を立てていたら、世の中渡っていけません。そうならないための処世術を身につけることが大事です。

また、自分が偉くなったとき、「コドモみたいなオトナ」にならないように、自戒する術を身につける必要がありそうです。

とにもかくにも、「コドモみたいなオトナ」の生態がよくわかる書でした。


[ 2011/10/27 05:49 ] 営業の本 | TB(0) | CM(0)

『デフレと超円高』岩田規久男

デフレと超円高 (講談社現代新書)デフレと超円高 (講談社現代新書)
(2011/02/18)
岩田 規久男

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「地方に住む民間企業従事者」にとって、この20年以上、閉塞感の漂う、夢のない時代が続いています。

その理由は何なのかを考えたとき、この本のテーマである「デフレと超円高」が二大原因ではないかと疑っています。

さらに、この「デフレと超円高」を引き起こしている源は、「日本銀行」ではないかと考えています。

この本は、まさに「デフレと超円高」を引き起こした「日本銀行」の金融政策の責任を具体的に問う書です。

著者は、東大大学院を卒業後、上智大学、学習院大学経済学部教授を歴任した論客です。金融専門書の著書も多数あります。

共感できる箇所が数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・超円高は日本経済の強さの結果、生じたものではなく、単に、世界中で日本だけがデフレであるために生じているに過ぎない。超円高を歓迎する人は、日本だけがデフレであることを歓迎している

・デフレと超円高を止めることができる唯一の機関は、政府ではなく、日本銀行。それを逆に言えば、デフレと超円高をもたらしている真犯人は、日銀ということ

・1998年から施行された「新日銀法」は、日銀に政策目標の決定についても、政府からの独立を認めてしまった。そのため、それ以後、日銀はなんの責任もとることなく、「言いたい放題やりたい放題」の独善的機関になってしまった

・円高ドル安になるのは、日米金利差と日米予想インフレ率の幅が拡大する場合である

・米国債は、金利面では日本国債よりも2%有利だが、為替差益(為替差損)の面で3%の損。結果、米国債投資の収益率(2%)は、日本国債の収益率(3%)よりも1%低くなる。したがって、日本国債に投資するほうが、米国債に投資するより有利になる

・1997年半ばにデフレが始まって以降、日本の自殺者が急増し、その後も一向に減らない。日本の自殺者の多さは、重大な社会経済問題

・若年世代の雇用が不安定で、その労働生産性も低くては、社会保障制度を支えることができない。社会保障制度の維持のためにも、デフレを脱却しなければならない

・株価と地価は、それぞれ、将来の名目の企業収益土地賃貸料の予想を反映して形成される。日本の株価と地価が上がらない主たる原因はデフレ

デフレで得する人は、競争が制限されている一部の特権的な人(名目賃金がアップ、雇用が安定)。デフレと円高で多くの人の所得が減り、失業者が増えても、こういう特権的な人たちは、モノが安く買え、海外旅行も楽しめるため、デフレと円高を大歓迎している

・流通の合理化が、さまざまなモノの価格を下げる。つまり「中抜きがデフレの原因」という説があるが、中抜きは多くの国で起きている現象。その中で、デフレになっているのは日本だけ

・日本よりも生産性上昇率が高い国も、低い国も、日本よりインフレ率は高く、日本だけがデフレ。日本がデフレであることと、日本の生産性上昇率との間には何らの関係もない

・不良債権のためにデフレになったのではなく、デフレのために不良債権が増えたということ。したがって、不良債権を減らすためにまずしなければならないことは、デフレからの脱却

・生産年齢人口が減れば、労働市場は売り手市場になって、失業率が低下し、正社員が増え、正社員の賃金も非正社員の賃金も上がるはず。ところが、日本では、この本来起こるべきことと逆のことが起きている

・量的緩和は「民間におカネが出回り、それがモノの購入に使われる結果、物価を引き上げる」のではなく、「将来の貨幣の供給経路や物価に関する市場の予想を変える」ことによって、為替相場や株価に影響を与えることから、その効果を発揮し始める

・日銀は、世界同時不況が始まった08年9月に比べて、マネタリー・ベースを最大でも1.1倍しか増やさなかった。米国は2.3倍、イギリスは2.4倍、スイスは2.8倍、スウェーデンは4.5倍。これらの国は、デフレ阻止が経済安定と成長に不可欠と確信している

・円はドルに対してだけでなく、英国、ユーロ、中国などの国に対しても超円高。20%~60%に達する急速な超円高は、世界で唯一のデフレ国で生じている。インフレ率が主要先進国並みの2~3%であれば、こうした超円高は起きていない

・白川日銀は、「デフレスパイラルにならないように、デフレが安定化すればいい」とか、「デフレは生産性が低下したため起きている現象で、日銀が流動性を供給しても物価は上がらない」と言い出す始末。こうした発言は、物価安定という日銀の使命を放棄する発言

・円安は輸出産業と輸入競争産業の収益性を改善するとともに、輸出と輸入競争産業に対する需要を増加させる。すなわち、外需と内需の両方を増加させる

・日銀も「構造デフレ論説者」も、何かというと、「ハイパー・インフレだ」「円の暴落だ」「金利の暴騰だ」と騒ぐ。これは、「日本人は、適度のインフレも、適度の為替相場も、適度の金利も実現できない低能な人種だ」と言っているに等しい



日銀にしても、官僚にしても、選挙で選ばれていない人たちが権力を握っていることに多くの弊害があるように思います。

これは、後進国、独裁国家及び中国(有史以来、選挙経験なし)と同じ権力構造です。選挙で選ばれていない人が、命の次に大事なお金を握っているのは、非常に怖いことです。誰かが意図的に操作することができるからです。

この異常性に対して、著者が文句を言ってくれています。しかし、誰もが、この異常性に気づかない限り、廃れゆく日本の姿を変えることは難しいのではないでしょうか。
[ 2011/10/26 06:27 ] お金の本 | TB(0) | CM(2)

『「働きがい」なんて求めるな。』牧野正幸

「働きがい」なんて求めるな。「働きがい」なんて求めるな。
(2010/07/22)
牧野正幸

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著者は、創業5年で、会社を株式上場させた起業家です。この本には、辛辣な言葉も数多く出てきますが、世の中の厳しい現実を見据えた上での、励ましの言葉と受け止めれば、大いに得るものがあるはずです。

この本の中で、やる気を起こさせてくれる文章が数々ありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・ゆとり教育で、学力は落ちているかもしれないが、学力がそのまま仕事力になるというのは、高度成長期の考え方であって、バブル崩壊以降の日本では、既にそのモデルは崩れている

・ゆとり教育によって、落ちたのは「ロジカルシンキング」の力であり、もともと学校では教えていない「クリエイティブシンキング」は、何ら影響を受けていない

個性的な人間は、驚くほど人にストレスをかける。しかし、彼らから、すごくインスパイアされる。自分の成長の糧にすればいい。空気が読めない奴、大いに結構。空気を引っかき回す奴、攻撃的な奴、自分勝手な奴も大いに結構

・やりがいとは、「仕事はお金を稼ぐ手段に過ぎない」と考える人々の、労働の苦痛を和らげる鎮痛剤である

・経済が不安定な動きになる時代において重要なのは、何の資格を取るかではなく、変化の時代を泳ぎ切れる能力をいかにして身につけるかということ

・経済的に成功している人は、子供に二つのことをさせている。一つは「海外で勉強させる」。もう一つは、「自分の会社で働かせずに、あえて小さい会社に入れ、自分で会社を起こさせる」

・仕事で、コミットして、結果的に達成できなくても、謝れば済む。それで、職を失うこともない。若いうちは、積極的にコミットして、必死に努力すればいい。自分でコミットしたことに向かっている間は、確実にモチベーションは上がっている

・ポジティブシンキングというのは、問題解決能力の高い人の絶対的特性。すなわち、ポジティブシンカーは、必ず仕事ができると言っていい

・どこでも通用する能力を鍛えるには、10年かかる。そのためには、自分の成長にとって、「都合のいい」会社を選ぶことが大事

・選択は間違っていてもいい。とにかく、その時点で、どちらが正しいのかを熟慮の上で、決定するという姿勢が大事

・言うべきことをはっきり言わず、表面を取り繕っているだけでは、本当の意味での信頼関係は結べない。相手の気持ちを慮って怒れない人は、良好な関係を築こうとしても、むしろ関係を悪化させかねない

・時間もないし、依頼者からの条件も厳しいし、予算も制限されている。そうした時に、結果を出し続ける人こそがプロ

・流行を追いかけてしまうのは、自分が特別なひとりであることに、自信がないから

・日本人は、「与えられすぎ」「押しつけられすぎ」「管理されすぎ」「保護されすぎ」のお子様の国の住人

・革新や発明は、過去の矛盾や問題を解決しようとして生まれるもの。つまり、イノベーションを起こそうとする人にとっては、乱世こそがチャンス



ポジティブに生きる人が成長し、成功する。これは、古今東西に共通する一つの真理です。

著者は、それを実践してきたのだと思います。だから、自信を持って、強く言い切れるのではないでしょうか。

私の前の会社の上司であったF氏は、自身のブログ「文化と達成」で、経営の名著とは、「たいてい学者が書いている本ではない。体験に基づいた著作の場合が多い」と言っています。

体験者が書く本は、文章が必ずしも洗練されていませんが、その行間からにじみ出てくるものを読むことが大事です。それができれば、得るものが多いように思います。


[ 2011/10/25 07:43 ] 出世の本 | TB(0) | CM(0)

『坂井三郎空戦記録』

坂井三郎 空戦記録坂井三郎 空戦記録
(1992/12)
坂井 三郎

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坂井三郎氏の本は、「大空のサムライ・戦話篇」「続々大空のサムライ」に次いで、3冊目の紹介です。

坂井三郎氏は、太平洋戦争で、ガタルカナル、硫黄島決戦で戦った方です。撃墜王の異名をとる、海軍航空隊のエリートでした。

「大空のサムライ」は、論理的にまとめた戦話が多いですが、この本は臨場感あふれる手記、記録です。起こった事実をもとに、その時の心理描写が口語体で記述されています。

この本もまた、坂井三郎氏の人間の器の大きさを感じさせられます。すごいとしか言いようのない箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・何でも同じで、辛いと思った時、そこを踏み越えなければ勝てない。生理的にも精神的にもこうした訓練をやって、非常に辛い時にも、まだ余裕があるということを発見した

・もう駄目になったのかと、自信がなくなる時に出撃するとロクなことはない。こうなるのは、何か精神的に患いがあるとか、肉体的に何か故障がある時が多い

・乱戦になったら敵の動きを見て、先の先を読め。目先有利で敵を仕留めても、次に自分がやられては何にもならない

・射撃の瞬間は精神統一して可能な限り接近して撃て。この際、気がはやるが、早射ちは禁物。我慢して、発射時間は短く、敵機の尾部に食いついて撃て

・相手が何機であろうと、ある瞬間に自分を攻撃できるのは一機だけ。その瞬間さえかわしていけば何とかなる

・連続攻撃を受けて敵機の弾丸を一度かわし得たら、どんなに苦しくても方法は変えないこと。苦しくなると何か他の方法がよいのではないかと考え出す。他の方法に変えた時にやられる。それまで成功していることを繰り返せばいい

・格闘戦に入ったら、自分の得意の技に相手を引き込むごとく操縦する。今まで見えなかった相手の尾部が目に入ったら、われ勝てり。自分が苦しい時は、相手はもっと苦しんでいる。そこを乗り切った時に勝利がある

・勝利をつかむのは、自分の空戦技術と負けじ魂。経験を積んでくると、相手がビビっているのが見えてくる

・一か八かはヤクザ剣法、常に戦いは理にかなう。無謀は戦術以前の暴挙。命は一つしかない、死んだら次はないと心得よ

・戦争は死ぬことと考えるな。勝ちにきたことを忘れるな。たとえそこで敵機を撃墜できなくても、体験こそ真の学問。死を覚悟することと命を粗末にすることは全く違う

・相手が変な行動をとったら何かある。気を配れ

やられた時、しまったと何度唱えても駄目。最少の被害で食い止め、最良の処置をするように考えよ

・冷静さを取り戻すには、息を吸うより息を吐け。この時、下腹に力を入れ、尻の穴を締めよ。なで肩になれたら満点だ

・どういう働きをするか見て下さい。守ってくれなどと申しません。神というものがあれば、ご照覧あれ。最善を尽くして、自己の任務を果たします。決して勝たしてくれとか、敵の弾が当たらないようになどとは願いません

・空中戦闘中に怖いと思ったことは一度もなかった。ただ次の態勢を整える準備のために自分が敵を攻撃しない時、後ろから来る弾は正直怖かった。何回弾をくぐっても、あの怖さだけは乗り切れなかった

・敵機に対した時、その中に乗っている人の顔を見れば、敵という感じよりも、彼もまた同じ飛行機乗りだという親愛感が強く出てきて、その人間に対する憎しみの出てこないのも不思議な心理

・出血多量になったとき、自分では意識しなくても生命が惜しい。その潜在している生命を守る本能が必死になって最後の力を出して闘ってくれた

・攻撃の方法も研究に研究を重ねたが、逃げる方法にも研究を怠らなかった

・軍隊の組織が持つ不条理さは、同じ人間であるはずの人間が、指揮官という立場に立つと、まるで将棋の駒を動かすように、他の人間の生命を無造作に死に投げ込む

・お互い搭乗員になった瞬間から生命は棄てている。飛行機乗りはその点諦めがいい。諦め切ってしまうと朗らかになる。まるで子供のように無邪気にふざけ合う

・今の今までの硫黄島の激しい苦しい戦闘の中から、いきなり内地に放り出されて、その空気に馴染めなかった。同時に、命からがら戦場を脱出してきた我々に、人々は何らの興味も関心も持っていない。まことに不思議なギャップ。遠隔とはこういうものか



達観とはこういうものかと思われる記述が、この本に多く出てきます。度胸が据わっている人の言動は、常人では考えられない域に達するものです。

我々は、日常で生きるか死ぬかの現場を体験することは、なかなかありませんが、この本を読むと、仮想体験できます。本当の度胸とは何か?を知りたい方には、おすすめの書です。
[ 2011/10/24 07:03 ] 坂井三郎・本 | TB(0) | CM(0)

『ボケない100歳2309人がやっていること』白澤卓ニ

ボケない100歳 2309人がやっていること (アスコムBOOKS)ボケない100歳 2309人がやっていること (アスコムBOOKS)
(2011/06/27)
白澤卓ニ

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著者の白澤卓二教授は、東京都老人総合研究所で17年間、長寿を司る遺伝子やアルツハイマーの研究をされた方です。簡潔に言えば、「どうしたらボケないで元気に100歳まで生きられるか」を研究されています。

白澤教授は、100歳以上老人のさまざまなデータを持っておられます。そのデータから、100歳以上老人の性格、行動などを浮き彫りにされています。

この本を読めば、長寿を全うする人の特徴を知ることができ、自分の健康に役立てることができます。勉強になった箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・広島、長崎に原爆が投下されたとき、「味噌を毎日食べる人には、被曝による健康被害(だるくなる、目が見えない、体の節々が痛むなど)が出にくい」という症例が、数多く報告された。天然醸造味噌には天然酵母や乳酸菌が生き続けているので、栄養価も効力も高い

・1日スプーン1杯オリーブオイルをとり続けているクレタ島に住む人々は、皮膚も血管も若く、心臓疾患が少ないことで有名。ガン、脳卒中、脳梗塞、心臓病、アレルギー、アトピーが世界一少なく、島の人々の年間医療費はアメリカ人の10分の1

・フィンランドの1万人を対象にした25年調査では、「りんごをよく食べる人は肺がんリスクが58%も低下」。オランダの25年調査では、「りんごやナシを1日70g以上食べる人は、肺の慢性病にかかるリスクが4割近く少ない」ことが報告されている

・日本の100歳を超えて元気な人(認知症でない1907人)の好物は、「1位、果物19%」「2位、魚12%」「3位、甘いもの11%」「4位、刺身10%」「5位、寿司6%」。元気な百寿者は、約6割がほとんど毎日果物を食べている。ほとんど食べない人は3%

・果物や野菜ジュースを週3回以上飲む人は、1回も飲まない人より、アルツハイマー病の発症率が7割少ない

・テレビで行った元気な100歳100人調査での食の特徴では、「朝食」ごはん派71人パン派29人。三食必ず食べる94人。家族と食べている94人。お酒を飲む23人。

・秋田県の高齢者調査では、乳製品を習慣的にとる人は、とらない人に比べて、寝たきりなどの介護状態になりにくいという結果が出ている

カカオ70%以上ダークチョコレートを、1日の総摂取カロリーを増やさずに毎日100g15日間摂ると、体重やコレステロール値は変わらないのに、血圧、空腹時血糖値、血中インスリン濃度すべてが下がる。ダークチョコレートは高血圧、糖尿病を改善する

・レスベラトールは赤ブドウ、ラッカセイなどの「皮」に豊富に含まれているので、「ボケ封じ」には、薄皮ごと食べるのが正解

・イギリスの10年がかり調査によると、「1.喫煙しない」「2.酒の摂取は1週間14杯以下にする」「3.果物や野菜を毎日、こぶし大で5つ分食べる」「4.1日30分の軽い運動をする」習慣をすべて持つ人は、全く持っていない人に比べて14年長生きする

・血糖値の高い人の食べ方のコツは、糖分の低い順に食べること。まず野菜、次に肉や魚などのたんぱく質、最後にご飯やパン。この順番が正解

・ゴマには多彩なポリフェノールが含まれ、セサミンに強い抗酸化作用があり、肝機能の向上や脂肪酸の分解、老廃物の回収などに働く。豊富なビタミンEも、抗酸化作用をパワーアップする

・魚はみんな長寿食。イワシ、サバ、サンマは脳の守り神。人間の脳細胞にある不飽和脂肪酸、DHAが含まれる。サケは、老化予防パワーが大きい。サーモンピンクの色素アスタキサンチンには、ポリフェノールやリコピンを超える史上最強の抗酸化作用が認められる

・厚生労働省が行った男女約9万人の追跡調査の結果では、1日5杯以上のコーヒーを飲む人は、ほとんど飲まない人に比べ、肝臓がんの発症率が4分の1になる。コーヒーのクロロゲン酸の薬効が注目されている

元気な百寿者1907人調査では、男性は、平均身長155cm、体重は49kg。女性は、142cm、39kg。小柄で、やや痩せ型の人が多い。身長150cm体重56kg以上、160cm64kg以上、170cm72.5kg以上の人は、わずか5%程度

・百寿者調査を見ると、仕事を辞めた年齢は70代が最も多く、100歳になっても、できる範囲で仕事を続けている人が多い。昔から坊さんや芸術家が長生きなのは、定年がなく、高齢になっても仕事を続けられることが大きい

・人生後半の生きがいは、「お出かけ」できるものを見つけておくこと。外に出て、道を歩くだけでも、脳と五感への刺激が飛躍的に増え、骨粗しょう症からくる寝たきりも防げる

・スウェーデンの研究では、ひとり暮らしで、友人や家族の訪問が週に1回未満の人たちの痴呆の年間発症率は1000人中160人。家族と同居で、友人や子供が週に1回以上訪ねてくる人の痴呆発症率は1000人中、わずか20人だった

・生涯を通じて激しいスポーツを続けるスポーツマンは、一般の人に比べて寿命がかなり短い。大学卒業生で体育系学部の人は、他学部の人より、寿命が6年短かった

・足の筋肉は、身体全体の筋肉の7割を占めている。ふくらはぎは、下りてくる血液を押し上げるポンプとしても働くので、ここを鍛えると、筋肉の衰えと血流の両方を改善できる


百寿者は、健康の成功者です。その成功者がしていること、してきたことから素直に学ぶのが、健康で長生きする秘訣であることは間違いありません。

そういう意味で、百寿者調査を行っている著者の本から、得られるものは非常に多いのではないでしょうか。


[ 2011/10/21 07:12 ] 健康の本 | TB(0) | CM(0)

『あの偉人たちを育てた子供時代の習慣』木原武一

あの偉人たちを育てた子供時代の習慣あの偉人たちを育てた子供時代の習慣
(2003/04)
木原 武一

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この本は、歴史上の偉人たちが、実際に、家庭でどのような教育を受けたのかを調べたものです。教育の成功事例だけに、参考になります。

教育に悩まされてきた身として、共感を覚える箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・人間をつくりあげる上で、習慣が決定的な働きをしていること、また、できる限り早い時期から習慣を植え付けたほうがよいという点で、多くの識者の考えは一致している

・ベーコンの「教育とは若い頃の習慣にほかならない」という言葉は、「習い性となる」という言葉と共に、習慣の力を強調する言葉

・「創造的思考には、集中的思考の持続が不可欠」は、湯川秀樹の持論。集中的思考の持続とは、要するに、徹底的に考えるということ。学問の道を目指す者には、なくてはならない心の習慣

・教育熱心で、知識豊かな父親を持った子供は幸せ。また、素直で向学心豊かな子供を持った親も幸せ

・あらゆる勉強で、もっとも必要なものは、自発性。他人から強制されたものは、決して身につかない。「これを覚えなさい」と言われたものは頭から消え去るが、「これは面白い」と自分で覚えたものは消えない

・家族が集まる食卓は、親子のコミュニケーションの場であるだけでなく、子供の好奇心や向学心を刺激する絶好の場でもある。食卓でどのような会話が交わされるかは、子供の習慣づくりに大いに関係がある

・ケネディの母が子供たちに教えたのは、そして、肝に銘じてほしいと願ったのは、頭を使うことの快感。世の中にそれほど楽しいことはないということ

・アメリカの哲学者エマソンは「子供の孤独を侵害することなかれ」と言っている

・精神を集中させるもっとも手っ取り早い方法は、本を読むこと。読書は、精神集中のほかに、知識の獲得と思考力の訓練によって、われわれの脳細胞を刺激してくれる

・関心が強ければ強いほど、多量のエネルギーが動員される。同じ仕事をするにしても、関心の持ちようで、能率も疲労度も違ってくる

・子供の不思議がる顔を観て、すぐ、そのわけを説明するようなことはしてはならない。子供が不思議がり、そして、考えることが、何ものにも代えがたい貴重な経験になる。他人から教えられたことは忘れるが、自分で考えたことは生涯忘れることはない

・親が善意でしたことが、子に悪い結果を与えることがある。子供の生活に介入したがる母親、子供を溺愛する母親、子供に厳しすぎる父親、子供に無関心な父親。親の「悪い習慣」に育てられたがために、不幸な人生を歩むことになった人も少なくない

・「一言にして終身これを行うべきものありや」との弟子の質問に対し、孔子は「己の欲せざる所、人に施すこと勿かれ」(されたくないことをしてはいけない)と言った。これは、まさに何をしてはいけないのかの答え

・家訓は紙に書いて貼っておくもよし、心に留める不文律でもよい。大事なことは、いつもそれを意識していること



集中することは難しい。持続することも難しい。でも、ここで紹介された偉人たちは、集中と持続を一緒にできた人たちです。それを同時にできたのは、「習い性」であったからかもしれません。

この書を読めば、子供が関心を示すものに対して、それを執拗に追い続けることのできる環境を与えることが、「習い性」をつくるということがわかります。

このことは、子供だけに当てはまるのではなく、年齢を問わず、人間全体に当てはまるように思いました。


[ 2011/10/20 06:55 ] 育成の本 | TB(0) | CM(2)

『お金に頼らずかしこく生きる・買わない習慣』金子由紀子

お金に頼らずかしこく生きる 買わない習慣お金に頼らずかしこく生きる 買わない習慣
(2009/06/25)
金子 由紀子

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デフレが20年以上続いています。今後も、ずっと続きそうです。

こういう時代に生きている以上、モノはできるだけ買わないことが、社会に適応した賢い生き方になります。

この本のタイトルである「買わない習慣」を身につけることは、現代の日本社会を生き抜く最高の知恵ではないでしょうか。

この本を読み、ためになった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・お金があってもなくても、不安がなくならないのなら、お金に頼らずに生き抜く力と技術を身につけておくことが必要

・「節約」(手持ちのお金を減らさない)も「バリバリ稼ぐ」(手持ちのお金を増やす)も合わない人は、お金を使わなければいい。つまり、買わなければいい

なぜ買ってしまうのか?「1.ただ、何となく(習慣でつい)」「2.安いから(お得だから)」「3.面倒だから(時間がないから)」「4.ストレス解消のため(自分にご褒美)」「5.皆が持っているから」

暮らしの棚卸とは、「持っているモノの数を調べる」こと。棚卸するものは、具体的に、洋服、肌着、下着、食器、調理器具、食品(乾物、缶詰、レトルトなど)、消耗品(洗剤、紙製品、ラップ類)、文房具など。この一覧表を作り、数字を記入すると、驚かされる

・「何を買わないか」がはっきりしてくれば、次は「どこで買わないか」を考える。「100円ショップ」「コンビニ」「大型ホームセンター」「通販」「専門店」など

借りたほうがいいもの「1.使う機会が少なく、高価なもの(ブランドバッグ、冠婚葬祭用衣装)」「2.使う機会が少なく、管理が大変なもの(車、スポーツ用品)」「3.一定期間しか使わないもの(ベビー用品、ベビー服、介護用品)」

ルームシェアは、家賃だけでなく、家具・家電や光熱費、消耗品費など、多くの出費を折半することができる。また、セキュリティーや病気の時の助け合いといった側面も無視できない

・「もらう」ことも、買わないための大切な知恵。大物の家具・家電や、近い将来使う子供の制服、レジャー用品などは、常日頃、役所の広報、地域誌、掲示板などの「あげます」情報をチェックしておくこと

・「作る」ことこそ、究極の「買わない技術」。暮らしの質や満足度も向上する。作ることが楽しいと思えないなら、どうにかしてお金を稼ぐ努力をするべき

・「1円も使わずにできること」、つまり、ストック食品で料理する、服をリメイクする、掃除する、片づける、家を補修する、身体を手入れする、歩く、図書館を利用する、企画・設計・計画を立てることなどを楽しむこと

・「買わない暮らし」でも、買っていいものの一つは「美しいもの」。美しいものは、大切にしたいと思う。暮らしを豊かに、楽しくしてくれる

・「買わない暮らし」で、他に買っていいものは、「使い回せるもの」「人に譲れるもの」「売れるもの」

・一見ムダに思えても、「絶対に後で効いてくる」という買い物には、お金を惜しまないほうがいい

買い物が苦手な人は、店員との交渉ややりとりが苦手な人が多い。すすめられると断れない、説明を聞いているうち面倒くさくなり買ってしまう、丁寧な対応をされると申し訳なく思う。売り手と買い手は対等な立場。「買わない」セリフを覚えておくこと



モノが部屋にあふれかえっている人は、脂肪がカラダにたまっている人とよく似ています。

無意味なモノを、よく考えずに、また、自制できずに、買いすぎるのは、だらしない人と言えます。買わないことは、自己の精神力を高めることになります。

よく考えると、買わない人ほど立派な人なのかもしれません。買わない習慣とは、精神のダイエットではないでしょうか。


[ 2011/10/19 08:04 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)

『いのち楽しみ給え・吉川英治人生の言葉』吉川英明

いのち楽しみ給え―吉川英治人生の言葉いのち楽しみ給え―吉川英治人生の言葉
(2002/09)
吉川 英明

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「宮本武蔵」「新平家物語」などの著作で有名な吉川英治氏の長男が書かれた本です。

吉川英治氏の生き様、人生哲学を身近で知り得た人ならではの言葉の選択だと感じました。

この本の中で、特に印象に残った箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・人生とは、苦難苦闘の連続であり、人生の快味といえば、ただその一波一波に打ち剋ったわずかな間の休息のみにある

・登山の目標は、山頂と決まっている。しかし、人生のおもしろさ、生命の息吹の楽しさは、その山頂になく、却って、逆境の、山の中腹にある

・生きようとすれば、あがきの爪が、何かはつかむ

・今の足の向き方ひとつで生涯に大きな違いが生じる。必然、こうなるものだと決定された人生があろうとは考えられない。偶然にまかせて歩くよりほか仕方がない

衆には負ける。十人の相手を打ち負かせば、百人の敵が殖え、百人の敵を追ううちには、千人の敵がかかってくる。どうして、敵うものか

・小さい望みしかもたない人間に、大きな働きを求めても無理である。大きな精神を把持させなければ、大きな労力の効果と能率は上がるはずがない

・すえたる果物籠の中にあって、一箇の果物のみ、すえないでいるわけもない

・戒めなければならないのは、味方同士の猜疑である。味方の中に知らず知らず敵を作ってしまう心の業である

・実際にあたる場合は、いつも瞬間の断決を要するのであるから、それは理論立てて考えてすることではない

・「名分」とは、民の直情に合致するもの。「大義」とは、民の中に持っている鉄則の信条。この標的を外しては、戦も政治もうまく運ぶわけがない

敵の真相というものは、敵に迫れば迫るほど、分からなくなってくる

・あれになろう、これになろうと焦るより、富士のように、黙って、自分を動かないものに作り上げること。世間へ媚びずに、世間から仰がれるようになれば、自然と自分の値打ちは世の人が決めてくれる

・男性という者には、どんなに独裁の振舞える位置にいても、一面には、叱られたり、ただハイハイと甘えていられる者も欲しいといった相反した本能がある



勝とうとする男、出世しようとする男、究めようとする男のことを書かせたら、吉川英治氏の右に出る者はいないように思います。

男の本性は、今も昔も変わりません。その本性を刺激するためには、有意義な書ではないでしょうか。


[ 2011/10/18 07:31 ] 人生の本 | TB(0) | CM(0)

『「いい人」になるな、「できる人」になれ・頭がいい人の自己改革術』樋口裕一

「いい人」になるな、「できる人」になれ 頭がいい人の自己改革術「いい人」になるな、「できる人」になれ 頭がいい人の自己改革術
(2006/04/20)
樋口 裕一

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樋口裕一氏の本は、「バカを使いこなす聞き方話し方」「教える技術の鍛え方」に次ぎ、3冊目です。

元人気予備校教師であっただけに、人の伸びしろを見る眼には、鋭いものがあると思います。

この本の中で、共感できた箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・善良なだけでは、人生どれだけ損するか、わかっていない人がこの世にあふれている。このままでは、一所懸命にやることだけが美徳と信じている人たちに、世の中汚染されていく

・日本社会では、無意識に「いい人のフリ」をしてしまう。教育、社会理念まですべてが、そうなるように仕組まれている。そして、放っておくと、そのうち本当に「いい人」になってしまう

・行き当たりばったりで、ぶつかった先々で右往左往する人生が嫌なら、戦略を立てることが不可欠。「できる人」を目指すとは、意識的に生きることを始めること

・損させられた、騙された、いっぱい食わされたという状況は、ビジネスに限らず、人間関係においてもしばしば起こる。しかし、それは、その人にその価値しかないと判断されたということ

・感情的に相手に迫るだけでは、正しいギブ・アンド・テイクにならない。相手が自分に働きかけたマイナスやプラスの数値やレベルを正確に把握し、過剰なやり込め、見当違いの仕返しを避け、妥当な対価を見極めること

・「よかれと思って」「あなたのために」という独りよがりな善良さほど、はた迷惑なことはない。こうした行動は、他人への優位性を誇示しているにすぎない。そして、他人の価値を認めていないということに他ならない

・多様な価値観を認められない人とは、社会性の欠如した人のこと。「できない人」の烙印を押されたくなければ、まず相手のさまざまな印、兆候から、価値観を読み取ること

・田舎者ほど世界の最高峰の文化に憧れる。つまり、コンプレックスの裏返し

・怒りを単なるストレスととらえ、酒やカラオケで発散してしまうのか、自分のエネルギーに変えるかで、生き方は大きく変わる

・「嫌い」とは、強烈な関心。嫌いな人は、自分を映す鏡の役目をする。嫌いな理由によって、自分がどういう人間なのかが客観視できる

・自分の中の悪を封じようとする人ほど、すべてをきれいごとでまとめようとする。品行方正だけが取り柄では、人をまとめることも、人の上に立つこともできない

・「できる人」は、「見せたい自分」を演出する能力がある。その場その場に応じて、求められる人物像を自己演出でき、制服を着替えるように、自分を変えていける

・自己アピールとは、自分を高値で売ること。自分の評価はいくらでも自分で高めていける

・「これは誰にも負けない」という武器を決める。まず最初にすべきは、自分の売り物を定めて、自己アピールすること

ガツガツするのは、みっともないという気持ちは、「欲を持つことは悪いこと」という固定観念があるから。欲しいものがあるから、人はあれこれ知恵を絞り、行動を起こす。それは経済活動の基本であるし、健全な社会を築く上で必要なこと

・時間が経過することで、相手は、怒るのが面倒になったり、怒っていたことを忘れてしまう。だから、時間をかけて、失敗やトラブルをごまこすこともできる

修業とは盗むこととイコール。なぜ、この人は仕事が速いのか、なぜ、取引先からの信頼が厚いのか、そこには、何かしらの技とコツがあるはず



著者は、「いい人」「できる人」「できない人」の定義を、実に見事に表現されています。

「できる人」になるには、目標を持ち、それに向けての戦略を練り、積極的に行動していれば、誰でもなれそうな気がします。

できない人」は、その裏返しで、目標を持たず、だらだら過ごしているので、「できる人」に上手に駒として使われてしまう人です。

「いい人」で終わらず、「できる人」になろうとすることが、人間の健全な成長の証しと言えるのではないでしょうか。
[ 2011/10/17 07:18 ] 樋口裕一・本 | TB(0) | CM(0)

『スウェーデンの税金は本当に高いのか』竹崎孜

スウェーデンの税金は本当に高いのかスウェーデンの税金は本当に高いのか
(2005/09)
竹崎 孜

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竹崎孜氏の本を紹介するのは、「貧困にあえぐ国ニッポンと貧困をなくした国スウェーデン」に次ぎ、2冊目です。スウェーデン在住歴の長い竹崎氏が解説する「本当のスウェーデン」は、実態がよくわかります。

結論から先に言いますと、スウェーデンの税金は、本当は高くありません。日本には、表面的な事象だけが伝わって、日本人の誰もが、日本の税率が低いと勘違いしています。

スウェーデン人は公平さを潔癖なまでに求め、システム思考を上手にする賢い民族です。したがって、社会の悪とムダを追放します。(スウェーデンに実際に行って、会社や公共施設を視察して、現場の人たちからいろいろ話を聞いたので、そう感じています)

そのスウェーデンが考えた税金について、参考になった箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・福祉大国ならぬ生活大国へと発展したスウェーデンは、財政や経済が依然堅調。生産と労働の巧妙な組み合わせ、家計(私的な経済)と財政(公的な経済)のバランス、社会システムの効率性に支えられているからこそ、社会全体が回転し続けている

日本の年金は、各年金の役割と責任が単純明快なスウェーデンに比べると、各種制度の性格が不明確なうえ、財源も国家と社会保険方式の混同などが見受けられ、雑然とした制度の構造が、国民の理解を妨げている

・税金と社会保険の負担率の他に見落されがちな「学校や予備校・学習塾の費用」「多数ある民間保険の料金、貯蓄」など、月々の家計出費の中で、絶対に避けられない支出を「固定家計費」として見据えること

・年所得700万円の「日本とスウェーデンの家計」は、スウェーデンの場合、税金が30%(210万円)で可処分所得70%(490万円)。日本の場合、税金が20%(140万円)、社会保険料7.5%(53万円)、固定家計費15%(105万円)で可処分所得57.5%(403万円)

高齢者の自立を妨げる最大の要因は、良質の居住環境の不足。日本では、「住宅は個人資産」との固定観念が染みついており、公共的な視点から居住の在り方に触れるのに抵抗が強い。困窮化救済の一環だった公営住宅は、老朽化に伴い、消滅する傾向にある

・デンマークと並びスウェーデンの消費税は25%。国民の政治に対する信頼や税金の使途が明白となっているため、国民が消費税を不満に、政権を交代させたり、暴動を引き起こしたりせず、平然としている

・バイトやフリーターが増えるのは、正当な理由(休養、勉学、育児、介護、社会活動など)で休暇がとれないなど、個人のライフスタイルを容認しない社会のほうにこそ、改革すべき問題がある

・日本では、非効率な産業、非生産的な単純労働、生活費に不足する低賃金、隠れた未開発労働力など、不合理はいくつも顕在化しており、社会システムの再編や知的産業化を推進できる教育への投資が求められている

・北欧諸国は、幸福な生活を実現するために、「1.教育と科学の振興」「2.落ちこぼれを出さない徹底した弱者救済システム(年金、医療保険などの社会保障の充実)」「3.活気あふれる民間部門」の3つの原則を守っている

・日本の場合、国民へは費用分担を求めておきながら、支出されてきた社会保障費が適切な配分だったのか、長期的な計画の下に持続性ある政策が立てられたかといえば、甚だ疑わしい

・OECD加盟30カ国の中で、税の還元において、所得の再配分が、日本以上に公平でない国は、メキシコ、米国、トルコ、アイルランドだけ。日本での激しい所得格差が裏付けられ、税金の還元が効果をあげていない

・スウェーデンでは、学習塾や予備校は、どこにも見かけない。スウェーデンの保護者たちは、放課後にまで、子供に勉強させるとは、昼間、学校は何をさせているのかと首をかしげる

・スウェーデンでは、高等学校も準義務教育とみなされ、給食も公費で続けられる。小学校から12年間、昼食費がほぼ毎日浮く

スウェーデンの医療費は、病院からの初診料の請求はあるが、差額ベッド代や特別医療費などの追徴金はない

・スウェーデンでは、公的制度が用意されているから、民間保険(がん保険、入院保険、生命保険)にわざわざ加入する理由がない。また、生命に保険をかけるのも、スウェーデン人には理解できないこと

・差別問題対策には、平等オムブツマン(オンブズマン)が政府によって任命される。最近は、差別を受ける相談は、女性ではなく、男性からが多い

・スウェーデンにおける社会経済は、「生産」は民間部門(企業)、「消費」は民間部門と公共部門だが、際立つのは、消費部門に属する公共部門の大きさ。スウェーデンでは、35%が公共部門で働いている

・スウェーデンでは、公務員が人気の仕事でない。第一に安定した職場でない、第二に民間の職場でつぶしがきかない、第三に給与水準が低いから

・スウェーデンでは、依然として労働組合の組織率が高い。ブルーカラーの約85%、ホワイトカラーの約75%が労働組合に加入。しかも、この10年に加入数は増加している

・日本の社会進路を、アメリカ型にするかスウェーデン型にするかが課題。それは、社会コストである税金をどのように払い、いかに使うかに通じる。スウェーデンの首相であった故オーロフ・パルメの言葉を借りれば、「政治は国民の意欲のあらわれ」である



この本が問いかけている大事な点は、税率と社会保険料率だけで、国民の税負担率を見てはいけないということです。

スウェーデンでは、出産費用がほぼ無料、医療費が安い、教育費も高校までほぼ無料、大学の奨学金制度の充実、公営住宅の充実、自宅介護制度の充実など、生活にお金がかかりません。

さらに、それだけでなく、日本では、不安なために使ってしまう費用(子供の塾代、各種保険の支払い、住宅ローンの支払い、老人ホーム入居費、葬儀代など)も、使わなくてすみます。

いくら、消費税が25%で、税率が高いといっても、贅沢をしない限り、お金を使う必要がないので、安心して暮らせます。

アメリカ型の競争社会がほころび始めてきた今、北欧型の社会に学ぶべきかもしれません。その中でも、税金について、一番学ぶべき必要があるように思います。


[ 2011/10/14 06:39 ] 北欧の本 | TB(0) | CM(0)

『歴史の使い方』堺屋太一

歴史の使い方 (日経ビジネス人文庫 グリーン さ 3-6)歴史の使い方 (日経ビジネス人文庫 グリーン さ 3-6)
(2010/01/06)
堺屋 太一

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堺屋太一氏の本を紹介するのは、「堺屋太一の見方」「凄い時代」に次ぎ、これで3冊目です。

堺屋太一氏は元通産官僚で、歴史小説を数多く書かれてきました。歴史を通しての経済や人間を見る眼は天下一品です。

その堺屋太一氏の歴史を見る鉄則がこの本には満載です。人間が生きる原則としての「歴史」を面白く解説されている箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・歴史を観察するとき、「その時代の技術条件を正確に考えること」「勝者を美化せず敗者に同情せず」が必要である

・歴史を見ると、「総論の大事さ」が浮かび上がってくる。「総論賛成各論反対だからうまくいかない」のではなく、実は、「総論に賛成していないから、各論に反対している」

・世界の歴史には、集団指導体制は何度も現れる。古代ローマの民主制末期の三頭政治からスターリン死後のソ連におけるトロイカ方式まで、その例は多い。しかし、それが長く続いたことはない

・世界の政治は、「独裁制」か「官僚制」か「諸勢力割拠の慢性的抗争状態」かのいずれかになる。民主主義とは、「諸勢力割拠の慢性的抗争」を非暴力に行うもの

・人は大義では動かない。人を動かすのは、利害恐怖。それなのに、人は「大義のある方に加担する者が多い」と考え、大義を過大評価する。だから、非力な者が大敵を倒すには、まずは「大義」を掲げる必要がある

・プロジェクトの手順は、まずコンセプトを決める。次に大義名分を掲げる。そして、スポンサーを探し、最後には、世間が成功を信じるような人物を総大将に担ぎ上げること

・一つの成功体験を持った者は、次にもそれを繰り返そうとする。これは歴史の中でも何度となく現れる失敗の原因

・本当のアイデアとは、仕組みや仕掛けから技術と資金の裏付けまで含む体系的な発想でなければならない。改革が容易に成功しないのは、体系的な発想が欠けているから

・競争社会の成長企業は、大抵、過剰雇用先行投資の実行者。戦国時代の大名も、多めの家来を抱えて、次の合戦で勝って領地を増やして、家来を養っていた

・成長社会から安定社会への転換時点では、成長意欲を取り去らねばならない。成長意欲自体が危険な悪事と信じさせる必要がある

・江戸時代、各藩に武装縮小を命令したので、非武装国家になった。一揆はあっても、武士が軍事的行動で弾圧した例はほとんどない。問題を起こした奉行と一揆の首謀者の双方を、喧嘩両成敗という形で処刑することで納得させるのが常

・経済が成長し、文化が華やかになると、武士は貧困化する。だから、不況と弾圧で、世の中が暗くなるのを喜んだ。時代は変わっても、人間性は同じ

・いつの時代、どこの組織でも、業績が悪化し、運営が行き詰ると、まず人を代える。しかし、時代(経営環境)が抜本的に変わっている時には、人事だけでは対処できない

・日本は、首都機能の移転がなければ、本質的な改革のできない国。幕末の改革も黒船が登場したことで進んだのではない。将軍が京都に移駐した時から、猛烈に改革が進み出した

・「改革のためには、若くて優秀な人材を」と誰もが考える。だが、それを従来型を守る優秀さに求めたとすれば、古い体制を超えることができない

・伝統と規模と組織の確立した体制が崩壊するのは、治安が維持できなくなる場合と体制の支配階層の文化が信用と尊敬を失った場合である

物財の多いことが人間の幸せであり、人間は物財の多いことを限りなく追求する「経済人」であることを前提にしなければ、社会主義の理論も体制も成立しない。したがって、社会主義は、人間の欲望や理想を物財以外に拡げる宗教や国家主義を嫌い憎んだ

・社会主義には、私利私欲で努力する資本家に対する激しい憎悪が存在する。金儲けは醜く、権限は美しい

・13世紀に世界を支配したモンゴルも国際収支は大赤字。これを補うために、商業を勧め、金融を勧め、紙幣を発行した。いわば、国際収支と財政の赤字を、不換紙幣の発行で賄っていた。この経済の仕掛けは、今のアメリカと同じ



歴史が繰り返すのは、人間の行動原則は古今東西、全く違わないからですが、全く同じように繰り返さないのは、時代とともに、技術も進歩しているからです。

このような原理原則を見て、歴史をもう一度読み直すと、眼が開かれます。そして、未来の予測能力が高まります。

この予測能力こそが、人間の魅力を高め、事業の利益を高める根本のような気がします。予測能力を磨くために、是非、この本を役立ててみては、いかがでしょうか。


[ 2011/10/13 07:36 ] 堺屋太一・本 | TB(0) | CM(0)

『年収200万円のハッピー生活術』松原惇子

年収200万円のハッピー生活術 (河出文庫)年収200万円のハッピー生活術 (河出文庫)
(2011/02/04)
松原 惇子

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数年前に、年収300万円云々の本がベストセラーになりましたが、この本は、それよりさらに下がって、200万円でどう楽しく暮らしていくかがテーマになっています。

200万円で生活するというのは、正社員の給料が減り、非正社員が増えているデフレ下の状況において、現実的なテーマであるように思います。

今の日本経済なら、給料が200万円の事態にいつなるかわかりません。今、そうなっていない人でも、心の準備をしておくべきだと思います。

この本を読み、耳を傾けるべき箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・年収200万円が貧乏なのではなく、年収200万円を貧乏と思う心が貧乏である

・女性は、人生が停滞しだしたり、先の見通しが暗くなったりしたとき、解決策として、結婚を考える傾向がある。バリバリのキャリアウーマンでも、心はたえず、結婚と仕事の間を揺れ動いている

・給料ダウン、ボーナスカット、時給ダウン、転職先なし。これが今の日本の現状であり、普通の生活。年収200万円を自分のこととして考えるようになってはじめて、地に足をつけて生きていると言える

・世間では、リストラは中高年サラリーマンの問題とされているが、リストラの宣告を受けているのは、実は中年独身女性。中年独身女性は、家庭を持つ男性のように騒いだり、声をあげたりしない。ひとり静かに会社を去る

・高額の給料は、生半可なことではもらえない。給料は労働に対する屈辱費。高額の給料をもらうということは、それだけ屈辱の量も多いということになる

お金がピンチは神様がくれた人生を考える時期。その時こそ、本当の自分に向き合うチャンス

・貧乏には、眠っている創造力をゆりおこす力がある。本格的な年収200万円時代になれば、ハングリー精神が少ないと言われる若者も、本人もまわりも驚くような発想が出てくるに違いない

・シングルの女性は、「買い物好きの浪費型」か「節約型」の2タイプ。節約型の人は、ランチ代やコーヒー代まで浮かして、こつこつ貯金に励み、人付き合いもほとんどしない

・女性は、いざ自分の家を買うとなると、慎重になりがちだが、重要なのは、素敵な家を買うことではなく、自分の家を買うことにある。人生にはいいことばかりではない。予想もしないアクシデントが待ち受けていても、住むところがあれば何とかなる

・月謝を払う側にいるより、もらう側にいるほうが楽しい。先生になるのは、お金の問題だけではない。最悪の時は、自分でお金を生み出すことができる。わずかなお金でも、自分で稼げる人は、何があっても動じない

・パラサイトの人が、そんなに収入がなくても優雅に暮らせるのは、家賃がかからないから。家賃がゼロなら、そんなにあくせく働かなくても、心配なく暮らせる

・シングルの女性は、住むところと現金2000万円くらいあれば、老後に備えられると思っている。最後のお世話をする専門家の話によれば、ひとり暮らしの女性は、死後に2000万円残す人が多いとのこと。ほとんどの人が安心代に手をつけずに旅立つ

・お金のないよさ、それは、人から狙われないこと。美人にも言えることだが、目立つ人は狙われる。お金持ちはよく目立つので、お金持ちになっても、質素にしておいたほうがいい

・孤独こそが自分の敵。孤独と仲良しになれば、ほとんどの問題は解決される。お金ではない。孤独とどう向き合うかが、豊かな人生の鍵を握っている

・お金のことや将来の不安に悩まされずに生きるコツは、ひとりを意識し、ひとりの覚悟を持つこと

・死亡診断書1万円前後。お清め代5万円。病院に運ばれて亡くなった場合、処置費数万円、遺体を預かってもらう場合は保管料がいる。火葬費用数万から数十万円。骨壷代。葬儀をしない場合でも、最低50万円くらい必要。人間社会に生きている以上、仕方がない



結婚していない人は、シングルで死んでいきます。結婚していても、伴侶が亡くなれば、どちらかはシングルになります。

シングルになる確率が、意外に高いのが現実です。「おひとり」を前提として、どう暮らしていくかが、今の社会に求められているように思います。

「おひとり」を200万円以内で快適に暮らす術を身につけることが必要なのではないでしょうか。


[ 2011/10/12 05:56 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)

『覚悟の技術-プロマネが教える成功する人の考え方』弓場秀樹

覚悟の技術―プロマネが教える成功する人の考え方覚悟の技術―プロマネが教える成功する人の考え方
(2004/11)
弓場 秀樹

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著者は、システム設計会社を経営されており、現場で、データベースを通じて、システム構築やコンサルティング業務に従事しています。

この本は著者の経験をもとにしており、共感できる部分が多くありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・数字は一から始まるのではなく、ゼロから始まる。原点に立ち戻るとは、ゼロからスタートすること

・ルールを守る人とルールを変える人。時代遅れのルールの道連れにならないように

目的先行手段追従。目的あっての健康。健康は目的の手段

・同次元で考える人と高次元で考える人。一つ次元を上げると、理屈抜きで答えが見える。次元を上げると、本音が見える

・努力とは、本来、自分自身のためにすることであって、他人に見せびらかすものではない。むしろ、努力を見せびらかすと評判は落ちるもの

・感性は、慣性(惰性)の外でないと芽生えない。蚊帳の中では蚊帳の必要性が分からない

・周りを気にする人と周りを気にさせる人。注目されない人に誰が近づくか。注目されない会社にどうして注文が来るか。周りから注目されることが第一歩

・みんなで一つの仕事をする人と一人で多くの仕事をする人。自分でやった分だけ、自分が強くなる。分担とは、自分でできるチャンスをなくすこと

・作業が仕事の人と事業が仕事の人。作業とは、お金を消費する活動。つまり、作業はコストセンター。事業とは、仕事を生業とすること。つまり、事業はプロフィットセンター

・できないと言う人とできると言う人。できると背伸びした時点で、工夫が始まる。できないと思った時点で、思考が止まる

・速く走れるランナーは、ゆっくり走れる。ゆっくりしか走れないランナーは、速く走れない

・できない人を入れると、できる人が世話するはめになり、かえってマイナスになってしまう

・会議は、人と時間と場所を同時に拘束する非常に効率の悪いイベント。実行すべきことを決定することが会議の目的。その他は集まる必要がない。「集して議せず議して決せず決して為せず」ではいけない

・他人に決断を求める人と自分で決断する人。判断は機械的にできるが、決断には「覚悟」が必要。決断とは、瞬間的にする選択のこと

・喜んでもらった分が返ってくる。喜んでもらう相手を見極めることが大切

・会社の中で生きる道を求める人と市場の中で生きる道を求める人。市場の中で、自分の事業が伸びていく道を追求すべき

・他人の成功を妬む人と他人の成功を喜ぶ人。何かを成し遂げたことに対して、共感するものがあるはず。感動は素直な気持ちの表れ。比較から感動は生まれない

・自己防衛する人と目的防衛する人。目的達成のために必要であれば、恥や個人的な非難など気にしてはいけない。そして、現状を見て良し悪しを判断してはいけない。目的に向かって良し悪しを判断すること



サラリーマン気質とプロフェッショナル気質。その違いとは何かを、それぞれの場面の例を出し、解説してくれる、非常にわかりやすい書です。

起業したい、独立したいと考えている方は、自分がどういう気質なのかチェックしておく覚悟が必要なのではないでしょうか。
[ 2011/10/11 05:39 ] 出世の本 | TB(0) | CM(0)

『白隠禅師の読み方-今に甦る「心と体の調和・内観法」の極意』栗田勇

白隠禅師の読み方―今に甦る「心と体の調和 内観法」の極意 (祥伝社黄金文庫)白隠禅師の読み方―今に甦る「心と体の調和 内観法」の極意 (祥伝社黄金文庫)
(2001/11)
栗田 勇

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今年の2月、NHKのBSで、白隠禅師の特集(白隠・気迫みなぎる禅画)をやっていました。白隠は、日本ではそれほど有名ではないですが、欧米では人気です。ジョン・レノンにも多大なる影響を与えています。

白隠の禅画は、日本では重要文化財に一つも指定されていませんが、欧米ではオークションにかけられ、高値で取引されています。日本でも、細川元首相の細川家永青文庫で、多くのコレクションがされています。

白隠は、江戸中期、駿河に生まれ、全国で修行した後、30代半ばで故郷に戻り、晩年、三島に龍澤寺を開創しました。

大衆と共に歩むことを是とし、大衆に向かっての健康法を説き、講演に行脚し、メッセージとしての禅画を大量に残しました。(参照:禅画は語る・白隠禅師のメッセージ

この本を読めば、大衆に愛された白隠禅師とは、一体何者であったのかが少しだけわかります。

白隠禅師の思想を知る上で、参考になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・白隠は、形式化して本物でなくなった仏教を根本から考え直し、庶民の間に生きた禅を広めるために、わかりやすい話し言葉や節をつけた歌まで作って、実践的な教えを説いた。苦を逃れ、幸福への救いを求める民衆の心をまともに受け止めたのが白隠だった

・白隠が描いた自画像は、ユーモラスだが底知れぬ深さを感じさせる。達磨像、観音像もまた、もの優しく、力強く、繊細な雰囲気を漂わせている。この剛気、不屈さと繊細な創造力や慈悲に充ちた優しさとの矛盾した二面性こそが、実は白隠禅師の特色

・師を殺し、仏を殺し、並みいる通俗的な禅者を否定するばかりか、自分自身をさらに徹底的に否定する。そこに、白隠の地獄に生きている人間を見つめる眼、自他共に地獄にも飛び込むぞという気迫が伝わってくる

・白隠は、地獄にあって、悟りの境地を命がけで求めながらも、その地獄に止まり、人を救うことによって、自らの仏としての意味があることを強く意識した

・白隠は、ただ自分一人が修行して、悟りに到達すればそれでよしとしなかった。高みに到達した自分が、地獄に生きる弱い人たちの中で、どのように生きていくか、そのような人たちをどうしたらいいか、いつも立ち戻って考えた

・白隠は、幕府の統制に甘んじて、官僚化した教団組織の中にいることを潔しとせず、それを打ち破って、大衆の中に身を投げ込むことをあえて実践しようとした

・字を書き、曼荼羅のごとき画像を描くことは、救済のための単なる手がかりではない。そこに、言葉に尽くせない真実を人々に分かち与えようとした。また、分かち与える中で、自分も成道する(悟りを開く)気持ちがあった

・白隠は「夜船閑話」序文で、内観の法(手足を伸ばし、そして緩め、私は誰だ、そして本来の私はどこにあるのか問いかけながら、緩やかに呼吸する)を勧めている。息を集中して、観念し想像することを繰り返せと言っている

・妄想の功が積もれば、一身の元気はいつしか腰脚足心の間に充実して、お腹が瓢箪のように膨らむ。そして、鞠のように弾力性を持つ。体から悟りへ、すなわち体から人間の幸福へという道筋が開かれる

・「神凝る則は気聚る(しんこるときは気あつまる)」。無意識の意識、一種の自己暗示が凝るときは気が集まる。何らかの生命力の発動がその場に集中してくる

・心の底からわいてくる喜び、楽しさ、底抜けの喜びこそ、白隠の考えた禅の悟りであり、しかめっ面の取り澄ましたものではなかった

・白隠の説いた「軟酥の法」とは、「卵より大きめの軟酥(ヨーグルト)を頭の上に載せたようにイメージし、その軟酥が浸みて全身に伝わり、両足を温め潤し、足の裏の土踏まずの中心にいたる」のを想像、観想すること

・軟酥の法は、禅の悟りに等しい。白隠が言いたかったのは、「禅は目的でない。禅は幸福に生きるための手段であり、禅という生き方によって、日常の現実生活を生きる」ということ

・白隠という人は、みんなを幸せにするのが仏教だということを実践したことに尽きる。そのため、時にあまりにも卑俗、通俗である

・白隠は、書や絵を求められればどんどん書く。その中にうまい下手を超えた、一筋縄ではいかない何かどろどろした人間の情念をぶちまける。そのぶちまけ切ったところに、こだわりから解き放たれた自由で活き活きとした境地があることを示した



白隠の凄さを説明するには、彼が遺した文章だけでは、難しいかもしれません。白隠の禅画も併せて見れば、白隠の思想、哲学を読み解くことができるのではないでしょうか。

何か抽象的な表現になってしまいましたが、それだけ人間の奥底には、得体のしれない魑魅魍魎とした心の闇が存在するのだと思います。

白隠を少しでも知れば、人間の心の闇の理解に一歩でも近づくことができるのではないでしょうか。
[ 2011/10/07 07:20 ] 神仏の本 | TB(0) | CM(1)

『人生後半に読むべき本』谷沢永一、渡部昇一

人生後半に読むべき本人生後半に読むべき本
(2006/08/26)
谷沢 永一、渡部 昇一 他

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故谷沢永一氏と渡部昇一氏の本を、このブログでも何度か紹介してきました。

この本は、仲の良い本好きの二人が、対談して、「人生後半に読むべき本」という題材で、その博学多識を競い合う内容になっています。

勉強になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・昔、読んだ本がつまらないのは、「自分の感動する心が薄れたせい」と思う人がいるが、「若いころは、こんなものに感激したのか、若かったな幼かったな、自分はこんなに成長したんだ」と肯定的に捉えたほうがいい

・人間の世の中は、この世のしがらみで、妻子を養うために、家業を守るために、自分の人生を捧げなければならないことが大部分。第二の人生とは、そこから解放されること

職場の同僚というものは、本当のところ、友情もへったくれもない。大抵の人は、職場の同僚と一緒に飲みに行くとか、親密なつきあいをしているのが人間同士の精神的な交流と錯覚している。しかし、これは、機能上での接着あるいは密着でしかない

・本多静六が参考になるのは、人知を越えたものが働いて、駄目になったら、それは諦めるという覚悟を持って、敢然として切り替えていくところ

・歳を取ってくると、「そうか」「そうだったなあ」と思える体験が、読書の味わいとしていい。だから、教訓集は年寄りにもいい。やはり、歳を重ねてこそ、そういう本を読んで、若い人に、折に触れて、教訓を垂れることが大切

・哲学というものは、物書きを目指す人以外には、一般教養として、全部要らない。哲学は、要するに、人に固定観念を植え付けるものであり、人を楽しませ、喜ばせるためのものではない

・幸田露伴は、運とは「こうすれば必ずいいことがある」という因果律ではなく、「運は運なり、巡るなり」と、東洋思想の最高のことを言っている

・努力して書いたものが読まれず、軽く書いている感じのものが読まれる。意識しないで軽く書いたときは、意外に内なる充実がある。逆に、力を入れて書くのは、力がなくなってきたので力を入れるからか、実は自己満足が大きいから

・菊池寛が偉いのは、純文学を三十何歳でスパッと辞めてからは、日本一の原稿料を取る作家になったこと。大衆の気持ちをつかまえるほうに成長した菊池寛と成長しそこねた芥川龍之介の末路は、文芸春秋を創った社長と自殺した青年作家の差になってしまった

・「我を通す」ことが後半生におけるプリンシプルになる。とにかく、自分の内なる心の声に正直でなければならない

・鎌倉幕府が亡びた原因は、元寇の役の論功行賞ができなかったこと。これは、日本人が知らなければならないこと。日露戦争にしても、論功行賞が滅茶苦茶だったことが、後の日本に悪い影響を及ぼした

・日本は、スパイ天国になって、やられっぱなし。日本人に、スパイというのは、一種の汚い感覚があるのは、徳川幕府はスパイ政治だったから。それに対する猛烈な嫌悪感、反発が明治以後に生まれた日本人にある

・日本人は、内政と外交が相反するものであることがわからない。つまり、政府が国民に嘘をつくのはよくないが、外国に向かっては、どんな嘘をついても、どんなに威張っても、とことん自己宣伝しても、有効な手段になる

・日本が世界に誇れるものは、金持ちの商人文化。ところが、小説などでは、商人が必ず悪者になる。徳川幕府が、力を失った理由は、武士と商人の接触が薄れたこと。家康の頃は、商人と茶室でお茶を飲んでいたから、大商人の知恵がストレートにトップに伝わった

・松下幸之助を日本人は誰も哲学者とは思っていないけれども、「タイム」誌は、「フィロソファー」と表現した。松下幸之助は、釈迦と同じように、ピース・アンド・ハピネスを説いている

・松下幸之助は「ますます繁栄して、豊かになれよかし」と提唱した。世界のあらゆる思想は、「我慢しろ。いずれよくなる先は明るい」という、将来へ責任を押しつける論理であると同時に、貧困の哲学でもある。大思想家は、貧しさに耐えるという発想になりがち

・豊臣秀吉は、水飲み百姓の子と言われているが、実際、ガキ大将になるぐらいの家に生まれている。子供のときに、威張ったことがない人間が、大人になって威張れるわけはない。どんなに小さなサークルでもいいから、威張った経験がないと、上には立てない



欲望に根ざした行動をとり続ける人間を観察することと、その行動の軌跡である歴史を検証することは、人間にとっての普遍的命題です。

しかし、この命題の理解は、歳を取らないと、なかなかできないものです。お二人の対談は、人間の心理と歴史を十分に考えさせてくれる内容です。ある程度、歳を取った方には、是非目を通してほしい書です。
[ 2011/10/06 06:39 ] 渡部昇一・本 | TB(0) | CM(0)

『他人に流されない人ほど上手くいく』石原加受子

他人に流されない人ほど上手くいく (ソフトバンク新書)他人に流されない人ほど上手くいく (ソフトバンク新書)
(2010/07/20)
石原 加受子

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ワガママな人の方が、気配り、気遣いに長けた人より、大物になっていきます。

人の性格、性質はそれぞれ違うので、一概にどちらがいいとは言えませんが、少なくとも、前者の方が、健康的にいいことだけは確かです。そして、幸福に浸る回数も多くなります。

この本は、「自分中心的な人」と「他者中心的な人」の生き方を比較して、その是非を検証する内容です。

参考になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・自分より相手を基準にする、相手の顔色を窺う、相手の言動ばかり気にする、そういう生き方は、「他者中心」

・自分中心というのは、自分の「気持ち、感情、意志、五感、肉体」といった自分に備わるあらゆるものを大事にするということ

・自分の感情を抑えて、無視することは、多くの無駄なエネルギーを費やすことになる

・自分の感情を無視したり、抑えていたりすると、思考と感情とのギャップは大きくなるばかり。しかも、思考と感情の差が広がるのに比例して、悩みや苦しみは大きくなっていく

肉体の有り様は、その人の意識をそのまま物語る「内なる自分」からのメッセージ。顔の造作、表情、風貌、姿勢、歩き方、体型の細部に至るすべてが、顕在意識、無意識を含めて、その人の意識を丸ごと表す

・身体のあらゆる箇所に鬱積した怒りがスタンバイしていると、その箇所をちょっと触発されると、すぐ感情的になる

・「頼りがいのある人」を強く望む女性がいるとしたら、その裏にあるのは、「甘えたい」という強い欲求。そんな彼女が魅かれるのは、たいてい「身勝手で本人自身が甘えている」男性

・「同情の支配」とは、相手の感情に働きかけて、相手の心に罪悪感を起こさせ、良心の痛みを利用して、相手の心を我が物にしようとコントロールすること。同情の支配は、魂まで捧げるように相手に要求する

・物事を選択するとき、「自分中心」の人は感情で「したいかどうか」を基準にする。ところが、「他者中心」の人は、「したほうがいいのではないだろうか」を基準にする

・日本人の我慢強さの裏には、「主張したり、頼んだりするのが怖い」「主張して否定されたり、頼んで断られたりするのが怖い」「否定されたり、断られたりして、傷つくのが怖い」「それよりも独りで頑張ってやったほうがましだ」という思いが隠れている

・「他者中心」の子供は、母親の顔色を窺い、人と優劣を争い、絶えず自分と他者を比較しながら生きることで、出来上がる

・自分の感情を抑えていると、継続する力も情熱も萎む。感情が動かないと、どうでもいい気分になって、優柔不断な態度にとって代わる

・男は一つのことに夢中になっているとき、それを中断することはできない。もし、それを途中で止めると、途端にやる気をなくしてしまう

・自分を大事にできる「自分中心」の人は、「これをしたい」「だから、これをする」と決断する。行動するために「思考する」。そして、実際に「行動する」。自分の感情や欲求を邪魔する迷いの思考が入らないために、気持ちもさっぱりとして、爽やか

・「好き、嫌い」「したい、したくない」という欲求が自覚できて初めて、そこから「私は~する」という明確な意志が生まれる



やる気は他人に強制されても生まれません。やる気は自分の意志によって生まれるものです。その意志は、感情から生まれます。

ということは、やる気は、感情を大切にしないと生まれてこないということです。感情を大切にしようとするには、自分の気持ちに素直になる、つまりワガママになるということです。

考えてみたら、この当たり前の現実を無視して、やる気を起こさせるのは、ムリです。

この本には、正しいワガママとは何かについて、詳しく書かれているように思います。自分の感情に素直に生きたい人には、参考になる書ではないでしょうか。


[ 2011/10/05 06:57 ] 人生の本 | TB(0) | CM(0)

『香港に住む大富豪41の教え』大塚純

香港に住む大富豪41の教え香港に住む大富豪41の教え
(2010/02/17)
大塚純

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著者は、香港でベンチャーキャピタルの会社経営に携わっています。証券会社時代に、中華圏株式ファンドを設立されていた関係で、香港、台湾、中国本土の実業家や大富豪に幅広い人脈を有されています。

実際に、中華圏の経営者とビジネスをしている方が書かれた本なので、ためになり、役に立ちます。

この本の中で、勉強になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・ビジネスで必要な情報は、モノを買いたいという人間の思考回路を解明すること

先進国の若い世代は、地元に密着したサービス業に従事するか、高齢者向けのビジネスに従事するしかない。元気のある若者は、発展途上国へ行って、自分で起業して、製造業に従事すること

・「旧的不去新的不来」(古い考え方を捨てていかないと新しい世界が開けない)

・「七情」(喜ぶこと、怒ること、憂うこと、思うこと、悲しむこと、恐れること、驚くこと)が激しくなると、「五臓」(肝臓、心臓、膵臓、肺、腎臓)がやられる。病気というのは、情緒活動の乱れが原因

・「順其自然」(自然にまかせる)、「時間不等人」(時間は人を待たない)。つまり、チャンスがあると思えば、迷わずそのチャンスをつかみ、あとは自然にまかせること。躊躇して心配ばかりしていても、時間は待ってくれない

・福建人には、客家人、潮州人なども含まれ、3500万人にのぼる。信仰の対象は、儒教でも道教でもなく、航海の神様「ま祖」。現在、海外に住んでいた華僑が福建省に戻ってきて、起業ブームに湧き、中国平均より高い15%の経済成長率を実現している

・福建人は、お金持ちが、どうお金を使うのかに関心はない。そのお金をどうやって儲けたかに関心がある。だから、福建人は、服装や贅沢品にはお金をかけない

・潮州人の李嘉誠は、天安門事件で外国企業が中国から撤退する中、「混乱の中に商機あり」という独自の投資哲学で、混迷する中国大陸の土地を買い漁り、資産を築いた。「バイ・ロー、セル・ハイ」(安く買って高く売る)、「人が集まるところにお金あり」も彼の投資哲学

・起業家が成功する要素は、一つ目がコミュニケーション能力、二つ目が問題解決能力。どの事業でも、社長のコミュニケーション力が大切

・人間が成功するための条件は、「1.命、2.運、3.風水、4.積陰徳、5.唸書(てんしょ)」。つまり、先天性の要因と後天性の運、風水、慈善、知識である。そして、人間が生きている間は、自分の家系をよくするために努力を怠ってはいけない

・事業には、次の三つの社会との掟がある。「1.事業を黒字にして、税金を国に納めること」「2.人を雇用して、その家族の生活を守ること」「3.社会に恩返しすること」。社会にプラスにならない事業は、いずれ潰される

・頭の中で、シミュレーションをして、最良のケースと最悪のケースを予想し、その平均を求めて、そこからさらに7掛けする。投資家は、保守的なキャッシュフロー(平均して7掛け)を計算すること

・リスクをとる方法を熟知していれば、投資など怖くない。若いうちにリスクをとる努力をしておけば、どの程度の損失でやめたらいいか、感覚でわかるようになる

大きな潮流に乗り遅れないこと、投資サイクルを間違えないこと、そして一喜一憂しないこと

・中国はいまや物申す買い手になった。ビジネスでは、買い手は売り手より強い。したがって、買い手である中国のお客が理不尽なことを言っても、それに従わないと、モノは売れなくなる



中国人の投資に関する考え方は、欧米人によく似ています。日本人から見れば、中国人と欧米人は違うように見えますが、実は同類です。

むしろ、日本人だけが、世界の中で異質の存在なのではないでしょうか。アメリカに次ぎ、経済力を身につけてきた中国に合わせていかないと、ビジネスで儲けることが難しくなります。

これからは、グローバルスタンダードとは、アメリカンスタンダードだけでなく、チャイナスタンダードということを意識していかないといけないのかもしれません。
[ 2011/10/04 06:16 ] 華僑の本 | TB(0) | CM(0)

『ラテンに学ぶ幸せな生き方』八木啓代

ラテンに学ぶ幸せな生き方 (講談社プラスアルファ新書)ラテンに学ぶ幸せな生き方 (講談社プラスアルファ新書)
(2010/07/21)
八木 啓代

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著者は、ソロ歌手として、中南米で活躍されている方です。現地でCDもリリースされて、日本とラテン諸国を往き来されています。

ラテン人に接している著者が、ラテン人気質と日本人気質を比較し、考察しているのが、この本です。

目からウロコのことも数多く記載されており、あっと言う間に読みました。楽しく、しかも、ためになった箇所が25ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



世界価値観調査による「現在の生活満足度」で、上位3カ国をラテンアメリカの国々が占めた。1位はコロンビア(麻薬戦争などで悪名高い)、2位メキシコ、3位グアテマラ

・ロンドンに本部を置く新経済財団が行った「地球幸福度指数」でも、1位がコスタリカ、2位ドミニカ共和国、3位ジャマイカ、4位グアテマラと中米諸国が続く。一方、調査国であるイギリスは74位、日本75位、アメリカ114位.G20中の最上位はブラジル

・日本の自殺者は年間33000人弱。引き取り手のない死者(無縁死)の数も年間32000人。一方、激化する一方と日本のメディアに取り上げられるメキシコの麻薬戦争の死者数は1年で7600人。その死傷者はマフィアの構成員で、一般庶民の死者数は稀少

・WHOの出している自殺率の国際比較では、自殺率の低い国として、ラテンアメリカ諸国がずらりと並んでいる。当地の人々は、「無縁死」など考えられないと言う

・ラテンと言えば、「いい加減」「女たらし」「享楽的」というイメージがある。しかし、その一方で、「人生を楽しむ」「食べることや芸術を愛する」というイメージもまた強くある

・ラテン系の人たちは、お金がないならないで、生活を楽しむ余裕を持っている。内戦中で、肝心の家が壊れてなくなっているのに、焚火をして、一族郎党持ち寄ったありあわせの食料で、楽しく串焼き宴会をやっている

・見ず知らずの女性に向けて投げかける甘い言葉をスペイン語で「ピローポ」と言う。けれど、日本人が誤解しているのは、ピローポは、あくまで「挨拶の一環としての褒め言葉」であって、「特別な好意を持っている相手に対しての口説き文句」ではない

・「相手を褒める」という前向きな姿勢や褒め言葉は、多少そらぞらしくても、人間関係の潤滑油になる。基本的に、ラテンの国々には、できるだけ相手の良い点を見つけるという、褒める文化がある

・褒めるには「観察力」がものを言う。ラテンの人たちは、姿形だけでなく、その人の内面もきちんと褒める。探すのはよいところだけ。これで、ラテンの人間関係はスムーズに運ぶ

・日本の男性陣が、銀座のクラブ、キャバクラ、流行りのメイド喫茶、執事喫茶に行くのは、嘘でもいいから、誰かに褒めてもらいたいから。人間は、無意識に言葉の力により、活力を得て、ストレスを解消している

・ラテンの世界では、夫婦お互いの呼び方として、「ミ・ビダ」が一般的。その意味は、「わが命」

・ひたすら相手を褒めるラテン人のスタイルは、身近な異性に対してだけでない。当然ながら子供にも発揮される。小さな時から、「愛している」「あなたが宝物」と言い聞かされ、ほおずりされ、ほっぺたにキスされ、抱きしめられて、子供たちは育つ

・褒めることと甘やかすことは全く別。甘やかすことは、子供を見ていなくてもできるが、褒めるためには、子供を見ていなくてはならない。相手に無関心だと褒めることはできない

・ラテンの国々では、15歳を過ぎると、もう子供として扱われることはない。女の子は、レディーとしての振る舞いを要求されるし、男の子は、女性を立派にエスコートできなくてはならない

・ラテン男は、15歳を越えれば、普段から毎日のように、女性に手を差し伸べる。だから、若くてかわいい女性だけではなく、年配のご婦人にも、体の不自由な人にも、高齢者にも、ためらいなく手を差し伸べることができる

・「お母さんと奥さん、どっちが大事?」の質問に、大抵のラテン男は「お母さん」と答える。お母さんは、僕を産んでくれた人。お母さんがいなければ、妻と出会うことも結婚することもなかったと考えている

・ラテンの女性が、日本に来て一番驚くのは、男の子の部屋が汚いこと。日本の公共の場所は清潔なのに、部屋がひどく散らかっているのはラテンアメリカではあり得ないこと

・ラテン世界では、子供部屋といっても、あくまで親の所有物であり、主権が親にあるのが当然。「引きこもるって、どういうこと?」という人が大半

・ラテン世界ではホームパーティーが盛ん。家がいつ人に見られても恥ずかしくない程度に整理整頓されていれば、すぐに人を家に集めることが簡単。また、家に客を招き、パーティーを開くからといって、特別なものを用意しないのが、ラテンの常識

・「お金がないから結婚できない」のは日本の常識だが、ラテンアメリカでは、「お金がないからこそ、就労状況が不安だからこそ、結婚して2人分の収入で、生活費をシェアする」

・ラテン人は、豊かな日本で、ホームレスがいることが理解できない。日本人は「失業→住所不定→ホームレス」という図式になるが、ラテン人なら、まず間違いなく、友達の家に転がり込む

・ラテン人は「共感力」が高い。悩んでいる人、悲しんでいる人がいれば、とにかく理解しようとする。そして、そばにいてあげる。彼らは、「おせっかい」と思われることをまったく恐れない

・ラテン人が音楽を大事にするのも、踊りを愛するのも、ひとりだけで楽しむためではなく、他者との関係をつなぐための潤滑油として使うため

・ラテンアメリカの人々は「しょうがない」という言葉をよく口にする。やれるだけやった、でも、上手くいかないこともある。時代が悪い、運が悪い。この価値観を持っていれば、自殺にまで追い詰められることはない

・「火事場の馬鹿力」という言葉ほど、ラテン人に似合う言葉はない。直前まで物事が決まらず、これは絶対無理だと思わせられることなど毎度と言っていいくらい。しかし、最後に必ず何とかしてしまうのがラテン人


今の日本人は、ラテン人の爪の垢でも煎じて飲まないといけないのかもしれません。でも、日本人も、江戸時代は、ラテン人に近かったのではないでしょうか。

経済成長をしている時代のモードは捨てて、経済停滞時のデフレ対応的生き方、つまりラテン的生き方をして、幸せに暮らす術を身につけることが急務かもしれません。
[ 2011/10/03 06:31 ] 海外の本 | TB(0) | CM(0)