この本は、
勝負のあや、
勝負師の条件などが深く解説されている良書です。25年以上前の出版ですが、全く古く感じません。
ビジネスや人生の局面など、ここ一番に強くなりたいと考えている方には、最適の本かもしれません。
勝負強さの秘密を知る上で、役に立った箇所が25ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。
・
勝負強い人の共通項とは、「1.実力者である」「2.精神力が強い」「3.努力家である」「4.守備に強い」「5.待つ、休むを知る」「6.勝利への執念」「7.不評さえ買う」「8.派手より地味」「9.自在の自然体」「10.運の強さ」
・「人は生きねばならぬ。生きるために戦わねばならぬ。名は揚げねばならぬ。金はもうけねばならぬ。
命がけの勝負はしなければならぬ」 (徳富蘆花)
・「われに勝ち、敵に勝ち、味方に勝つ。これを
武将の三勝という」 (楠木正成)
・ワルたちの
たくましい魂は鬼神をもひしぐ。強い精神は強い運を呼び、罰が当たるどころか、「人盛んなるときは天に勝つ」を地でいく。そして、時という妙薬があらゆる毒を消し、いつかワルは正義に、悪運は好運へと変わる
・正邪を問わず、神様は
気魄と情熱を持つ人間が好きである
・「賭博に熱中した厭世主義者はいない」 (芥川龍之介)
・
勝負強さとは、「1.勝機をつくる力がある」「2.確実にモノにする」「3.逆境にしぶとい」「4.接戦、乱戦に強い」「5.終盤に本領を発揮」「6.ここ一番に強い」「7.プラスアルファの力を発揮する」こと
・勝負師にとって、喜怒哀楽の情は敵。興奮、動揺、アガルといったことのない
タフな神経が、ここ一番で実力を出し切れるための条件
・勝負強さのベースは自信につきる。
いざという時に実力を発揮するには、いざという場面に馴れておくのが一番
・名将は、刀を交える前に、敵を徹底的に計算し、勝てるとみれば、初めて戦う。しかも、勝つための
準備を尽くしてから開戦するから、自然と勝つ。遮二無二体当たりしても効果はない。計画、根回し、段取りといった事前段階が大切
・勝負師は「読み」でリードを奪う。前夜からの実績、得意技、性格などによって、相手の出方を読み、効果的な対抗策を練る。試合前には、体調、表情から調子を探る。あらゆる可能性を考えて
何通りもの展開を読む
・自分の得意を生かして成功する人。ゴールを老年期において大輪の花を咲かせる人。人生いろいろだが、真の王者は、コンスタントに好調を持続できる
アベレージマン・奥の手を秘めておく。
勝負師の真価は土壇場でどう燃えるかにある。負けは自分であきらめた瞬間に決まる。最後まであきらめてはいけない
・ベテランの力士が
負けがこむのは体力の衰えではない。若い力士と対戦するとき、知らないうちにカッコをつけて、受けて立つようになる。これなら負けても体裁が悪くないし、自分に対する言いわけにもなる。力一杯やるのがテレ臭い。体力の衰えはその後からくる
・年がいもなくと自分の年齢を意識することが闘志に水を差す。他人の目や評判から自由に振る舞う。プライドや虚栄心ばかり人並み以上強い男に、
しぶとさ、
したたかさは望めない。カッコいい勝ち方、勝ちっぷりなど無意味
・勝負事というのは、本質的に孤独な戦い。「黙って見ている強い奴」は、決して、余計な口を出さない
・勝負師は80点主義。現実を直視して対応する融通性があるからしぶとい。カリカリして最善手を目指すより、常に安定して
次善手を選ぶゆとりを持つ。だから、多少のミスや汚点は拭って立ち直れる
・敵のリズムを知り、それと「逆の拍子」「対立する拍子」「外す拍子」で立ち向かう。この「
背く拍子」の考え方は、相手に得意の場を取らせないことに通じる
・暴れたければ暴れさせ、攻撃してくれば面倒を見てやる。相次ぐ敵の仕掛けを丹念に応接してやって、やがて相手が力尽きて自滅するのを待つ。これを「
受けつぶし」と言う
・ベテラン登山家は、天候がくずれるとわかれば、途中まで登っていても、降りて
引き返す勇気を持っている。先行き悪材料、見通し不透明のまま勝負をかける勝負師はいない。待つ、降りる、休むは高等戦術と心得ること
・「
勝ち誇る兵は、自己の力の幾十倍もの力を発揮する。敗軍の兵は自信を失い、実力の幾十分の一も発揮できない」 (クラウゼウィッツ)
・「敵の待ち構えているところに出ていって何で勝てようか。武士は
思いもよらぬことをやり、他の者から見透かされないのが本当の大将である」 (織田信長)
・人の一生には、「炎の時」と「灰の時」がある。「
炎の時」は、多少のムリをしてもうまくいくし、ヘマをやっても軽い事態で収拾できる。「
灰の時」は、やることなすこと裏目に出るから、じっと控えて時を待つ。人間が失敗するのは、この時期の過ごし方が原因
・将棋の
盤外戦で使われる心理戦法は、「1.ハッタリをきかせる」「2.油断を誘う」「3.怒らせる」「4.イライラさせる」「5.クサらせる」。これは相手の実力が上の場合には、効果が薄い
・ナポレオンは新戦術と大砲を駆使して、戦争のプロである古い将軍を一掃してしまった。定石は破られて変わっていく。
新戦法を創造する者は勝つ。ここ一番という一発勝負となれば、
新兵器の威力は格別である
勝負強いことは、戦争、スポーツ、ギャンブルだけに限らず、人生のさまざまな部分において、必要になります。
人生とは、さまざまな局面で、勝ったか負けたかの積み重ねで決まるように思います。
年齢に関係なく、
通算勝ち星を増やしていくことが、その後の人生を豊かにするのではないでしょうか。