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「・・・とは」の哲学
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『あなたにYell』玄秀盛

あなたにYellあなたにYell
(2008/11/01)
玄 秀盛

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玄秀盛さんの本を紹介するのは、「生きろ」に次ぎ、2冊目です。新宿歌舞伎町で1万人を超える人たちの人生相談に乗って来られただけあって、人に元気を与えるツボを心得られています。

この本は、悩み多き人に、勇気と元気を与える書です。目線が相談者の側にあり、実践的な内容です。

この本を読み、ためになった箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・最後の最後で、夢がある人間は強い。人生には運不運がある。でも、その時に夢があるかどうか。夢があれば、いつどんな時でも前向きに生きていくことができる。自分の夢のために、強い判断ができる

・人の気持ちを受け入れたり、人の考えを聞くということは、自分の心という花瓶に新しい花を生けるということ。過去の枯れた枝、しおれた花をいつまでも心に残したままにしないこと

・反発するのは、自分に余裕がないということ。だから、とにかく相手を否定して負かそうとしている。それは、弱い自分のエゴでしかない

・自分の弱さが欲から始まっていることを知って、受け入れたらいい。そこが出発点。何かを欲しがる気持ちがなくなれば、すぐに心が軽くなる

・優しさはもらうものではなくて、一方的に与えるものと、そのまま覚えてしまえばいい

・最近、自分との約束をしたか?それを守れたか?結果はどうだったか?それを日々繰り返しチェックすること。自分との約束をごまかすようになったら、何も進まない

・自分からどんどん恥をかくこと。叱られることもどんどんすべき。恥をかくことは進歩に変わる。恥もかききれば度胸に見える。先輩や実力者にかわいがられるし、さらなる力につながる

・どこまでも、その人の領域に入っていくこと。こっちの領域で話そうとしたら、その時点で終了

・相手の魅力にひかれて、その魅力を吸収して、自分の身につける。そうやって、身についた力が、その人の新しい魅力になる

・人間は一生のうち、逢うべき人に必ず逢える。しかも一瞬早過ぎず、一瞬遅過ぎることもないときに

・人間の直感に間違いはない。ただし、それには、自分の中に不純なものがないのが前提

・目標があるのなら、必ず期限を持つこと。そして、その数字にこだわりぬく。自分で決めた自分の数字にこだわれなくなったら、どこにもたどりつけない

情熱と欲望の違いは、たどり着こうとしているゴールがきちんとあるかどうか。欲望そのものがゴールになってしまっては、どこにも行き着きはしない

・何度も同じミスはしない。結局はそこ。してしまったミスにしっかりと始末をつけることが大事

・自分のパワーをためこんで、土台を高くしようとがんばれば、運なんか、頼みもしないうちに向こうから、ニッコリ笑顔で近づいてくる。運は人を見る

・一番効果の上がりそうな一点をよく見極めること。そして、攻めどころを決めたら、そこだけを攻め抜く。派手な大振りよりも、一寸法師の一撃

・もし間違った電車に乗ったら、誰でもその電車を降りて乗り換えるもの。そのまま乗り続けていても正しい目的地に着かないってわかったら、一回降りて、ひとまず終わりにする。そして、改札の外でもう一度切符を買えばいい

・まずは、相手の息を吐かせること。すべて吐かせて、それを受けたら向こうは息を吸いたくなる。そのときに、ちょこっとこっちの息を吐けばいい



この本の中には、いい例え話が数多くあります。みんなにわかってもらおうとすれば、例え話が有効です。

それに、著者の過去の挫折体験や辛く苦しい体験が加わっているので、共感できるのだと思います。

また、著者の文章は、一見、浅く感じてしまうのですが、じっくり読むと、深く心に響いてきます。

このような文章とよく似た文を書く人は、名僧か名経営者の晩年に多いように思います。

つまり、不特定の人と多く接してきて、人の悩みを多く聞き、その改善策を一緒に悩んできた人たちです。

そういう意味で、著者は、現代の駆け込み寺の名僧にすでになっているのかもしれません。
[ 2011/04/28 07:35 ] 玄秀盛・本 | TB(0) | CM(0)

『競争と公平感-市場経済の本当のメリット』大竹文雄

競争と公平感―市場経済の本当のメリット (中公新書)競争と公平感―市場経済の本当のメリット (中公新書)
(2010/03)
大竹 文雄

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競争を悪としてとらえるか、競争を公平な社会をつくるための善としてとらえるか。これで、競争に対する考え方が変わってきます。

平等主義の根源にある「ねたみ、ひがみ、うらみ」は、豊かな社会の弊害にもなります。

この本は、より豊かな社会へのステップとして。競争を前向きにとらえています。この本の中で、参考になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・2000年代になってから、日本人の価値観が「勤勉」から、「運やコネ」を重視するように変化している。高校や大学を卒業して、不況を経験するかどうかが、その世代の価値観に大きな影響を与えているのもその理由

・成功する確率さえわからないプロジェクトに挑戦するには、自信過剰でないと無理。「無根拠な自信」が科学研究には重要

・成功している証券トレーダーは、薬指と人差し指の長さの比が大きい。薬指と人差し指の比は、男性ホルモンのテストステロンの量と相関がある。大相撲の力士でも、横綱や大関といった上位に昇進した力士は、薬指が人差し指より相対的に長い

・日本の子供の出生時の体重は、低下傾向が続いている。1980年には3200gだったが、3030gに低下している。出生時の体重とその後の教育水準には相関があり、大人になってからの経済状態にも影響を与える

・家庭環境に恵まれなかった子供たちに、学校教育以降でのみ援助しても効果がなく、就学前の段階での援助と組み合わせることが重要

・学歴が高いほど、所得が高いほど、将来のことを重視する。親の貯蓄行動が子供の教育や貯蓄に影響を与えている

平等主義的価値観は、学校での教育の結果であり、人間が生まれながらに持っている価値観ではない

・「わかっちゃいるけど、やめられない」財のことを経済学では中毒財と呼ぶ。中毒財を消費することからの満足度は、過去に中毒財をより多く消費していればいるほど大きくなる

・天国や地獄といった死後の世界を信じる人の比率が高い国ほど経済成長率が高い。一方、教会に熱心に行く人の比率が高い国ほど経済成長率が低い

・カトリックの国々では、プロテスタントの国々比べて、貸し手の権利が弱い

・アメリカでは、学歴や才能で所得が決まるべきと考えている人の比率が50%を超えるのに対し、日本では10~15%に過ぎない。日本人は「選択と努力」以外の要因で所得が決まることに否定的

・満足度を高める公共投資や公的サービスを増やすことで失業率を減らすのが一番の不況対策。失業者が増えている分野ではなく、環境投資、介護サービス、育児サービス、教育、芸術などの生活を豊かにする分野で失業率を減らしていくのが有効

・人口高齢化によって、投票数増加という政治力をもった高齢者は、年金や医療といった高齢者向け政府支出を充実させようとする。子供の教育負担はなくなっているので、公的な教育費を低下させようとする

・週休二日制の導入によって、平日10時間以上働く労働者の比率は、1976年には17%だったのに、43%まで上昇している。これからの労働時間管理の課題は、平日の労働時間をいかに短縮していくことにある

・ワーカーホリックになりやすい高所得者層には、累進所得税をかけることが、ワーカーホリック対策に有効

夏休みの宿題を最後のほうにしていた人ほど、週60時間以上の長時間労働をしていることが明らかになっている



人間の考え方、動き方が、経済に影響を与えることの検証事例が、この本には数多く紹介されています。

経済も、心理学の範疇にあることがよくわかります。市場経済が、「競争と公平感」といった行動や心理によって左右されることを知っていないと、現代の経済を語れないのかもしれません。
[ 2011/04/26 08:04 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)

『好かれる自分をやめる!「オレ様流」男の成功術』角川いつか

好かれる自分をやめる!「オレ様流」男の成功術好かれる自分をやめる!「オレ様流」男の成功術
(2010/03/20)
角川 いつか

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著者の本を紹介するのは「成功する男はみな非情である」に次ぎ、2冊目です。今回も、女性が書いた本と思えないほどに、ワイルドさが文章に滲み出ています。

仕事のできる男を語らしたら、著者の右に出る女性はいないように思います。女の嗅覚で男性をよく観察されています。

この本を読み、共感できた箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。


・嫌われ力を持っている人が目指している先は、「成果」「結果」「未来」。ここに執着を持っているため、人から好かれるかどうかなど二の次

・自分にとっても、相手にとっても、マイナスにしかならない関係や時間を切り捨てる。つまり、こういう考え方が、嫌われ力を持つということ。大望の前では些事など関係ない

・人生はつまるところ、その人の思考をどう現実化するか。思考を何に定め、どれだけ重きを置くか。成果(成功)か?それとも平穏(人に好かれること)か?

・着実に出世の階段を上がるというなら、穏やかな人でも、ある程度の地位にまではつける。けれどそこまで。そういう人は、ステップアップはできてもジャンプアップできない。落ちたらどうしようと、先に不安が立ちはだかり、行く手を阻む

・自分にとって、本当に意味のある人間とつき合うために、嫌われ力が必要。つまり、人間関係をふるいにかけるということ

・嫌われ力は、あくまで返す刀。自分から喧嘩を売ってはいけない。売ってくる相手にどう対処するかがポイント

・今の世の中「実」のある人は2割もいない。残りの8割強が「虚」である。ほとんどの人間は、自分が「虚」であることに気づかない。「虚」であることに気づき、「実」に変換する過程において、嫌われ力が効果を発揮する

調子が良すぎる人間はブレる。ブレる人間は信用されず、力も貸してもらえない

・有言不実者との、いらない縁を切っておけば、時間と感情の無駄が省け、すべきことの優先順位がつけられるようになる。障害物競争から障害がなくなれば、すんなりゴールが見通せるようになる

・「すみません、悪気はなかったんです!」と悪気がないことを免罪符のように言って謝る人がいるが、悪気がない人は悪気があるもの

・自分と向き合う旅をして、人恋しさの果てにある「強さ」と「不動の孤独」を早く勝ち得よ!

・順風満帆に世の中を渡ってきたエリートほど、少しの挫折でポキッと根元から折れてしまう。「ひきこもり」の75%以上が優等生

・あなたに必要な人材とは?「結果を出す人」「一つのことを長年続けている人」「一芸に秀でている人」「尊敬できる人」「強運の持ち主」「地味派手タイプ」(外見は地味だが、考え方がポジティブで派手な人)「大望を追い求め続けている人」

・世の中の7割以上の問題は、お金で解決できる。「金が金を呼ぶ」「金に照れるな」



最近は、いい人になることに重きが置かれ、人を押しのけて成功することには重きが置かれていません。

こういう時代は、長く続かず、いずれ、反動が起きるように思います。次の時代に、目指すべきは、心優しい肉食系の人間ではないでしょうか。こういう肉食系が登場しないことには、デフレを脱出することも難しいように思います。

この本には、本当の強い男の姿が描かれています。次の時代の参考になるのではないでしょうか。
[ 2011/04/25 08:04 ] 角川いつか・本 | TB(0) | CM(0)

『「やさしい」って、どういうこと?』アルボムッレ・スマナサーラ

「やさしい」って、どういうこと?「やさしい」って、どういうこと?
(2007/09)
アルボムッレ スマナサーラ

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著者のアルボムッレ・スマナサーラ氏の本を紹介するのは、「ブッダの幸福論」など、これで5冊目になります。

いつも、わかりやすくて、心温まる仏教の講義に魅了されています。釈迦の教えを忠実に守る原始仏教は、仏教の原点なので、共感できるところが多々あります。

この本でも、ハッとさせられた箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・「こんな世界は嫌だ」と引きこもるのは、自分のエゴの型が世間と合わないことに我慢できないから。引きこもりは他人事ではない。私たちが何かのグループに所属しているのも引きこもり。「他人と違うんだ」とバリアを張って、似た者同士の群れに引きこもっている

群れることは引きこもること。同時に、群れ以外のすべての人間を排除すること

・人間は「やさしくしてほしい」だけ。自分の希望をかなえてくれるのが一番。他人のために骨を折るのは避けたい。できれば、そういうものは無視したい

・ボランティアをすることで、「人を助けてあげた」「有意義なことをしている」という精神的な見返りを得ている。それは大変な心の栄養。ボランティアで働く人がいきいきしているのはこのため

・世間のやさしさはエゴ。自分に都合がよければやさしくて、都合が悪ければやさしくないということ。それだけのことなのに、「やさしいから良い」「やさしくないから悪い」と信じて疑わない

・人間には、いろんな「刺激」が必要。眼から耳から鼻から舌から身体から入ってくる刺激が必要。その刺激は、他の生命からもらわないとうまくいかない

・自分に心地よい刺激を与えてくれる人はとてもやさしい。自分が生きていくのに欠かせない、とてもありがたい人。やさしさという刺激は、私たちの命。だから誰かと仲良くして、しゃべったりする関係ができあがる

・他人にやさしさを求めることは、自分の要求を満たしてくれと、他人に頼むこと。つまり、やさしさは、他人を自分のために使用すること

・エゴが強い凶暴な人は、自分のために他人をとことん支配する。支配者側は搾取し、支配される側は搾取される。少数が満足してやさしさを味わうのと引き換えに、大勢の人々が苦しむ。やさしさを求めるあまり、弱肉強食の世界になってしまっている

・自分は、独立して存在しているのではない。生命のネットワークの中の一項目、一つの中継点。生命のネットワークの一員である一個の生命は、他の生命と正しい関係を維持しなければならない

・「やさしくいる」ことは、そんなに難しいことではない。自我を張らず、余計なことを考えないで、自然の流れで生きていれば、その人はやさしい。誰にも迷惑をかけない。誰も損をしない。弱肉強食ではなく共存主義。これが「あるべきやさしさ」

・ネットワークが自然で、無理がないと、社会はうまく成り立つ。それぞれが自分の仕事をすればいい、それだけの話。そこに「欲しい」という欲が割り込むと、ネットワークがダメージを受ける

・現代人は誰も「必要」と「欲しい」をきちんと区別していない。必要のレベルを軽々と超えて、「もっと欲しい」というところまでいってしまう。むしろ「欲しい」だけで生きている。「欲しい」という欲の感情に振り回されている

・生命のネットワークの中で、「もっと、もっと」ということは成り立たない。初めからそんな自由はない。自分がいるネットワークのパーツとして振る舞わないと、ネットワークには迷惑な存在になる

・「これはこの人がすべき仕事だ」ということはない。どうやって能率、効率よくするのかを考えて、そのときに上手くできる人がさっさと動くだけでいい

本当のやさしさは、自然のネットワークの中で、空気のごとく、水のごとく、「私がない」状態でいること

・生命のネットワークでは、生命を殺してはいけない。いじめてはいけない。侮辱してはいけない。自分を含めたあらゆる生命がネットワークの部品だから、当然のこと

エゴがない人は、「私がやってやるぞ」の「私」というエゴがない。だから、常に客観的な立場で、「この仕事は誰がやると一番いいか」ということを知っている

・まわりの生命も、「幸福になりたい」「悩み苦しみは嫌だ」「努力は実ってほしい」と願っている

・自分が競争で負けた相手にも別に何の引っかかりもない人は人間を超越している。釈迦は「その人はとっくに神になっている」と言う。西洋では神に願ったり、恐れたりするが、仏教では、いとも簡単に「神になっている」と言う

・成功する人は、自分のことを我がことのように喜んでくれる人を、とても大事にする。彼らは社会で成功していて、人に恵みを与える能力があるので、真っ先に、他人の成功を我がことのように喜べる人に、恵みを与える



この本は、本当の意味のやさしさを知る上で、欠かせない書だと思いました。

著者が言うように、自分も生命のネットワークのパーツに過ぎないと考える癖がついてきたら、謙虚になれます。

つまり、やさしさとは、生かされているという気持ちの表れなのかもしれません。
[ 2011/04/22 08:05 ] スマナサーラ・本 | TB(0) | CM(2)

『消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし』ケンジ・ステファン・スズキ

消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし  角川SSC新書 (角川SSC新書)消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし 角川SSC新書 (角川SSC新書)
(2010/11/10)
ケンジ・ステファン・スズキ

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著者のケンジ・ステファン・スズキ氏の本を紹介するのは、「なぜデンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか」に次ぎ2冊目です。この本はデンマーク国民として、実際に住んでいる視点で書かれたものです。

日本とデンマークの違いが、日常生活レベルでよくわかります。北欧諸国の人々は、真の民主主義国家を自分たちの力で作り上げてきた賢い国民です。

北欧には、学ぶべき点が非常に多いですし、日本の今後のモデルになるべきだと思っています。何冊も北欧に関する本を、このブログで採り上げているのも、この気持ちの表れです。

今回もためになった箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。


・世界100カ国35万人に「今、幸せですか?」「現在の暮らしに満足していますか?」と尋ねたときの回答から判断した「幸福度調査」で、幸福度第1位はデンマークだった

・デンマークの税制の基本は国民総背番号制。高度に管理された「脱税できないシステム

・デンマークには「家庭医」と呼ばれる主治医を国民一人一人に割り当てる制度がある。家庭医の存在がなければ、体のちょっとした異変で、大病院に駆け込む人が多くなる。本当の意味で病院を必要とする患者が治療を受けにくくなるのを防ぐ

・デンマークでは、国民が本当に困っているものには、福祉制度として全力でバックアップしてくれる。しかし、命に別条はないものには、財布のひもは固く結ばれている

・デンマークでは医師が必要と思わない治療は、いくら患者が望んでも与えられることはない。風邪をひいて家庭医に行っても「3日も寝ていれば治る」と言って、薬もくれない

出産にかかる費用はすべて国庫負担。妊婦となってからの検診もすべて無料。検診は出産までに計8回行われ、胎児のスキャナー検査も含まれている。働く女性が出産した場合、出産直後に29週~34週間の有給休暇が与えられる

保育ママとは、その保育ママの自宅で子供たちを預かる制度。週48時間1人の子供を預ければ約8万7000円。料金の75%が助成されるため、保育園よりは保育ママのほうが使い勝手がよい

・デンマークの義務教育は10年。6歳になると幼稚園クラスに1年間入り、その後1年生から9年生まで学校に通う。日本に比べて、幼稚園の1年分が長くなる

・デンマークには高校も大学もランクがない。有名校とか、進学校とか、大学でも優秀とか、就職に有利とかがない。日常生活においても、卒業した大学名を聞かれることもよほどのことがない限りない

・すべての職業に資格があり、就きたい職業の資格を取らなければ就職できない。資格を取るには、学校で仕事の内容を習い、試験に合格する必要がある。仕事というのは、学校で覚えるというのがデンマークの基本的な考え方

・デンマークには「会社員」という職業概念がないので、一般企業に勤めている人は、自分の仕事を「営業職」や「経理職」、あるいは「事務職」などの職種で表現する。「事務補佐員」というのは、総務部や人事部などの仕事をする人

・デンマークでは18歳から成人になる。選挙権も被選挙権も18歳から。保護者の子供に対する扶養義務は17歳まで。18歳からは親に代わって、国が保護者の役割を担うのがこの国の考え方

・デンマークの人たちは頻繁に職場を変える。仕事へのモチベーションを高め、自己の可能性を追求し、所得増を見込むために転職を繰り返す。同じ職場での勤続年数は男女とも8年程度

・国民年金の支給が65歳から始まるため、だいたい62歳ぐらいを目安にリタイアする人がほとんど

・国民年金は、高齢者が生活する上で最低限必要とするお金を国民全体が納めた税金でカバーしようとする制度なので、生活費を十分に持っている高額所得者には払う必要がないというのがデンマーク社会の一致した認識

・介護サービスは市のサービス。高齢者向けの代表的な介護サービスは、在宅介護。裕福な高齢者向けの高級住宅であるとか、介護施設付きの豪華な集合住宅はない。高齢者同士の間にも格差を出さないようにしている

・デンマークは憲法で「国教はルーテル教会」であると規定。全国の教会運営を維持するために、教会税をとる。そのため、教会は公共の施設であり、牧師は公務員、そして教会での葬儀は無料。墓場の借料、墓石の購入代は自己負担だが、棺の代金は支給される

・デンマークでは満15歳になると、所得の課税対象者となり、アルバイトについても所得申告の義務が生じる

・デンマークは総所得から約7割(日本は約4割)の税を徴収する(高負担)ので、国民の懐には約3割しか残らない。その分、支払った約7割の中から国が福祉サービスとして再分配(高福祉)していくモデル

・日本では150万円程度で買える乗用車が、デンマークでは自動車登録税と消費税で400~450万円になる。そのため、乗用車の平均使用年数は14年

・デンマークは食肉&酪農王国。食料自給率は100%を超える食料輸出国。豚肉は100gで60円程度。豚や牛のひき肉なら100g85円程度。ともに消費税込みの価格

・デンマークでは小学校1年生で「職業及び労働市場の知識」が必須科目。小学校4年生で「就職の可能性や起業」、中学校2年生で「外国での就学と就業の可能性」の授業がある



北欧に10年前に旅した時、スウェーデンの人は、

「デンマーク人は、結構いい加減な人が多い。スウェーデン人のように生真面目ではなく、自由気ままに生きている。服装も格好をつけず、ある意味で、田舎者」

「節制など、あまりしないので、肥えた人が多い。酒もよく飲むので、スウェーデンに比べて、平均寿命も短い」

と言っていました。

この本を読めば、デンマーク人は、不安と心配をなくし、人生を謳歌できる体制をつくった賢い民族だということがわかります。

スウェーデン人は、「ヨーロッパの日本人」と呼ばれているだけあって、デンマーク人に対して、少々の偏見を持っていたのかもしれません。

しかしながら、今の日本人は、デンマーク人を見習っていくべきではないでしょうか。日本の今後のあるべき姿を「デンマーク」にするのも、悪くはないように思います。
[ 2011/04/21 06:54 ] 北欧の本 | TB(0) | CM(4)

『超マクロ展望・世界経済の真実』水野和夫、萱野稔人

超マクロ展望 世界経済の真実 (集英社新書)超マクロ展望 世界経済の真実 (集英社新書)
(2010/11/17)
水野 和夫、萱野 稔人 他

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水野和夫氏は元三菱UFJ証券のエコノミストです。少し難解でしたが、氏の経済解説をネットでよく拝見していました。現在は大学教授をされています。

萱野稔人氏は哲学者です。以前、このブログでも「カネと暴力の系譜学」という本を紹介しました。独自の視点を持たれています。

この気鋭の経済学者と哲学者の両氏が、世界経済のこれからを熱く語り合うというのが、本書の内容です。

国家の関与と世界経済の現状について、お互いに言及されているところが数多くあり、勉強になりました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・資本主義経済の中には、すでに国家が組み込まれている。資本主義経済の分析には、国家を初めとする政治的なものについての考察が不可欠

・先進国は資源を安く買い叩くことができなくなって、モノを輸出しても儲けがどんどん減ってきてしまった。そのことが、交易条件(=輸出物価/輸入物価)の推移で如実にあらわれている

・先進国は交易条件が悪化したことで、実物経済では稼げなくなり、金融に儲け口を見出していくようになった

・16世紀から1973年のオイルショック前後までは、交易条件を有利にして市場を拡大していけば、名目GDPを増加できるといった資本主義経済の構造があった。ところが、70年代半ば以降、こうした構造は維持されなくなった

・1995年以降、国際資本の完全移動性が実現してから、アメリカは、日本やアジアの新興国で余っているお金を自由に使えるようになった。つまり、すべてのマネーがウォール街に通じるようになった

・1995年にルービン財務長官が「強いドル」政策への転換を表明した。アメリカに世界から投資マネーが入り、そのマネーを運用することで、経常収支赤字が膨らんでも、最終的に利益を出せるしくみができた。これによって、アメリカ金融帝国が成立した

・アメリカは植民地支配せずに経済的なへゲモニー(指導的立場)を確立してきた国

金融化に向かうということは、その時点で、その国のヘゲモニーの下で、生産の拡大ができなくなってしまったことを意味する

・今回のリーマン・ショックに象徴される金融危機はこれで最後とは言えず、今後、新興国で起きるであろうバブルのほうが大規模になる可能性が高い。中世から近代へと世界システムが変わった時に匹敵するような大きな構造転換があるかもしれない

・世界資本主義のヘゲモニーは、新しい空間に、誰がどのようなルールを設定するかという問題。イギリスの海洋支配が、海という空間を略奪の空間として確立して成立したように、新秩序の確立を巡る戦いである

・先進国の有利な交易条件が消滅していく中で、何とか利潤率を維持しようと思えば、自国民から略取するしかない

・先進国の資本が新興国の生産現場と結びつくようになると、先進国の国民に仕事とお金がまわってこなくなる。つまり、先進国の資本は先進国の国民を見捨てることになり、先進国の労働者は、新興国の労働者との国際競争に敗れて没落してしまう

・1870年から130年間、地球の全人口の約15%だけが豊かな生活を営むことができた。15%が資本主義のメリットを受ける定員の可能性が高い。先進国の15%の人々は、残りの85%から資源を安く輸入し、その利益を享受してきたということ

・先進国の10億人がさらに成長を目指し、後ろから追いかける40億人の人も成長を目指すことになると、資源価格は天井知らずに跳ね上がる

・2008年の金融危機で、アメリカの金融機関に莫大な公的資金が注入された。あれほど、国家による市場介入を批判してきた金融機関でも、いざとなれば国家に頼らざるを得ない

・利潤率の低下は利子率の低下としてあらわれる。イタリアのジェノヴァで金利が1619年に1.125%になったということは、労働分配率が上がりすぎて、領主が利潤を得ることができなくなったことを意味する

・近代の資本制は、封建制が機能不全になったことで生れてきた。所有権を特定の社会関係から切り離し、その下で労働を組織化する新原理を編み出したのが資本主義。国家は所有の主体であることをやめ、私的所有の空間を法的行政的に管理していく主体になった

・レーガン時代は債券でお金を集めたのに対し、1995年の「強いドル」政策のルービンは、債券以上に、株式でお金を集めた。株式の場合だと、利払いが発生しないからいい

・日本は、利潤率の低下、少子高齢化という点で、今後世界が直面すべき課題を早く背負い込んでいる。バブルが10年以上早く起こっただけではなく、バブル崩壊後に、デフレ利子率革命が続いている点でも、先進国の中で先行している

・まず財政赤字という過去の不始末にけじめをつけなければならない。経済・社会システムが大きく変わる時、過去の清算をしないと、次のシステムに移行できない。これができなければ、日本経済の復活なんてありえない

・近い将来、人民元が自由化されることになれば、今度は、日本から資本流出が起こる。これまで、資本流出が起きなかったから、日本の銀行は日本の国債を買うことができた

・中国人民元が自由化された時、財政赤字が相変わらず巨額であれば、キャピタルフライトが起きて、金利が上がり、円安になる

・これまでは、人々の欲望を刺激して需要を拡大していくのが市場のあり方だった。これに対して、現在は環境規制が市場をつくりだしている。経済活動を阻害すると考えられてきた規制が、技術の市場価値を高め、新産業を育成し、ビジネスチャンスに変わってきた

国家による規制と市場での競争との関係を問い直すことが、低成長時代の経済戦略を考える時の一つの切り口になる

・G20で世界のGDPの8割を占める。G20の新興国がGDP2万ドルまで成長すると、日本やアメリカとの内外格差が1対2になる。1対2になったところで、新しい国際的な協調体制が生れてくる

・中国の一人当たりGDPが2万ドルに達したら、共産党の独裁体制は崩壊する。GDPの民主化ライン(3000ドル)があって、そのラインを超えると民主化運動が起こる



世界経済の今後、日本経済の今後を俯瞰できる書です。おおまかなところをつかんでおくと、今後、いざという時に行動がしやすくなります。

国家と経済の関係、日本とアメリカの関係、日本と中国及び新興国の関係を注視しておくことが、ますます重要になってくることを示唆してくれる書でした。
[ 2011/04/19 08:07 ] 水野和夫・本 | TB(0) | CM(0)

『ネット帝国主義と日本の敗北-搾取されるカネと文化』岸博幸

ネット帝国主義と日本の敗北―搾取されるカネと文化 (幻冬舎新書)ネット帝国主義と日本の敗北―搾取されるカネと文化 (幻冬舎新書)
(2010/01)
岸 博幸

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この本の副題は、「搾取されるカネと文化」です。日本は、農産物輸入や企業買収においては、海外の動向に敏感に反応します。そして、規制を設けて、海外勢を排除させようとします。

ところが、ネットやデジタルの世界では、知らず知らずのうちに、グーグル、ヤフー、アップル、アマゾンなど、主要なところを独占されてしまっています。

今さら、それらを覆すのは容易ではありません。そのことを正確に指摘する書物は少なかったように思います。

今現在どうなっているのか、これから先どうなっていくのかを知る上で、この本は勉強になることが数多くあります。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・ネットが引き起こしている深刻な社会問題は二つ。一つは、民主主義を支えるインフラであるジャーナリズムと社会の価値観を形成する文化の衰退。もう一つは、ネット上での米国による世界制覇

・新聞社や雑誌社は、ネットから大した広告収入を得ることができなかった。米国でも、ネットの広告収入は紙の広告収入に比べて、10分の1

・ネット上のサービスには、インフラレイヤー(通信会社)、プラットフォームレイヤー、(グーグル、ヤフー、アマゾンなど)、コンテンツレイヤー(テレビ局、新聞社、出版社など)の3つの層がある。もっとも儲かっているのは、プラットフォームレイヤー

・米国ウェブサイトでビジター数上位10位までのサイトのうち9つがプラットフォームレイヤーのサイト

・インフラレイヤーの企業と同様に、コンテンツレイヤーの企業もネットではあまり儲からないのが実情

・支配的な力を持つ米国のネット企業は、コンテンツレイヤーを搾取し、世界市場の制覇に向けて帝国主義的な展開を強化して、広告収入の最大化を図っている

・新聞ビジネスがネットの普及とともに衰退しつつある原因は、大きな収益をもたらしてきた新聞の垂直統合(記事の作成、紙への印刷、配送・配達のすべてを自社で担う)のビジネスモデルがネットによって崩壊してしまったから

・ネット上のディスプレイ広告市場の広告単価は、ウェブサイトの数が凄い勢いで増加しているため、上昇するどころかどんどん下落している

・日英独仏4カ国の検索サービスに占める米国企業のシェアは軒並みほぼ90%のシェア。日本では、ヤフー51%、グーグル38%、他4%で93%が米国企業

・プラットフォームレイヤーのサービスが米国企業に独占されたら、「米国の情報支配」「米国のソフトパワー強化」「米国のネット広告市場の制覇」といった問題が生じる

・プラットフォームレイヤーを米国企業に独占されている国では、これまでコンテンツ部門に還元されてジャーナリズムや文化の維持に使われていた資金の多くが、米国企業に流出することに他ならない

・今後最大の成長が期待されている携帯ネットのプラットフォームサービスを牽引しているのは、DeNAやミクシィ、グリーといった日本企業

アマゾンの戦略は、グーグルやSNSなどのプラットフォームレイヤーと競争しても勝ち目がないので、プラットフォームに端末を融合させることで、新たなプラットフォームを構築しようとしている

・アップルのiPhoneや任天堂のWiiなどのゲーム機も、キンドルと同じように、プラットフォームと端末を融合させている

・ユーザーがキンドルに払う新聞の定期購読料の70%がアマゾンに入る。ネット上でも流通を押さえるのがもっとも儲かる。定期購読料の30%で新聞社がジャーナリズムを維持するのは至難の業

ローカルメディアの方が全国メディアよりも再生しやすい。地方には環境や食も含めれば、素晴らしい文化がたくさん存在する。そこでのキーワードは文化とジャーナリズム



この本を読むと、中国の百度、韓国のNAVERなど、自国で圧倒的なシェアを持つ検索エンジンを、日本が国策として持たなければ、いずれ日本文化が衰退していくように感じられました。

排他的と言われても、自国のプラットフォームを育てていく産業政策は、今からでも遅くないように感じます。

何とか、コンテンツ産業にお金が回っていくようにしてほしいものです。霞を食って生きる人たちが、ある一定数いないと、世の中、つまらなくなってしまうのではないでしょうか。
[ 2011/04/18 08:01 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)

『まず「書いてみる」生活-「読書」だけではもったいない』鷲田小彌太

まず「書いてみる」生活―「読書」だけではもったいない (祥伝社新書)まず「書いてみる」生活―「読書」だけではもったいない (祥伝社新書)
(2006/10)
鷲田 小彌太

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この本の中で、文章を書くのは「子育て」に似ているという表現があります。金と時間と情熱をかけて、文章を書いても、物質的なものはあまり残りません。

しかし、生きた証や精神的満足は残ります。言ってみれば、文章を書くというのは、最高の道楽なのかもしれません。

著者も、この本の中で、文章を書く素晴らしさを力説されています。同感です。面白く読めた箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・400~1200字の短文(エッセイやコラム)を書けるようになること。短文さえ書ければ、どんな長文でも書くことができる

・晩年に授かった子供や孫は可愛い。自分の分身である著書は、それに劣らず愛おしい。著書に言い残したいことを存分に書き連ねてみるべき

・一見して、誰でも書けるスタイルで、創造的で、感動を与える作品を書くこと。誰でも作れるが、私だけが作ることのできる作品が、文章の理想に違いない

・言葉の機能の第一期が「話す」、第二期が「読む」、第三期が「書く」。書いて、書けて、初めて人は有終の美を飾る人生最終コースをたどることができる

・あなた自身の人生を書く必要はない。全く無関係の人や物、国や文化を書いても構わない。書かれたものの中に「あなた」が現れる

・書くとは、過去の発見、記憶の喚起であり、未来の発見、想像の喚起でもある。つまり、自分の過去を書けば、未来の人生が見えてくるということ

・現役の時、書くことのエネルギーを注がなかった人は、退職後、書けない。書くには、相応以上のエネルギーが必要。肉体的にも、精神的にも、激務に等しいような労働

・書いて、本を出し、売れて、儲けるなどというのは、至難の業。わずかでも、印税をもらえるだけで、幸運だと思わなくてはならない

・パソコンこそ、自在に書ける思考機械。「軽快に書ける」「目次をつくりやすい」「枚数制限の文章を書きやすい」「校正、編集が簡単」「文章の保存と再利用が簡単」「文章の送受信が簡単」「ネットで情報収集が簡単」など、パソコンを使わないと損する

・短文を構成的に書くトレーニングを積むことが必要。重要なのは、三分割すること。「正→反→合」で書くと、書きやすく、読むと、わかりやすい

・書きたいテーマが最初にあるのは稀。書いていくと、書くべき重大な課題に突きあたる。書かないのに、重大なテーマがある人は、書けない

・書くとは、子を産んで育てることに似ている。子育てには金と暇がかかる。そんな面倒なことで、自分のやりたいことを潰してしまうなんて、真っ平御免だという人にはおそらくわからないと思う

・定年になって、書くという好きなことをして、わずかでも原稿料や印税が入る。これは、ことのほかうれしいもの

・ものを書いている人は、同じ年齢の人より、最低5歳は若く感じられる。なんといっても、言動が年齢より若々しい

・この世に自分が存在した証に、自著を残すのは、自尊心ある人生に違いない



みんなに、文章を書くことを強要する気はありませんが、文章を書く生活は、何にも替え難い充実感があることだけは確かです。

特に、老後に、文章を書くことは、素晴らしいことではないかと思っています。そのきっかけとして、この本を読んでみるのも悪くはないように思います。
[ 2011/04/15 07:01 ] 人生の本 | TB(0) | CM(0)

『正社員は危ない!』尾方僚、奥山周

正社員は危ない! 正社員は危ない! 
(2010/10/07)
尾方 僚、奥山 周 他

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「正社員は危ない」という言葉に、「とうとう来たか」という思いが重なりました。

今の世の中は、「正社員」と「非正社員」という「身分」の対立構造にあるのではなく、「知識労働者」と「単純労働者」という「能力」の対立構造になってきています。少なくとも、世界的視野で見れば、そうなっています。

日本だけが、「正社員」と「非正社員」という身分の対立構造に焦点が向いていましたが、
今後、日本も能力の対立構造に晒されていきます。

その時、どうすべきかが、この本に書かれています。参考になった箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・転職マーケットでは、管理職といえども実務経験が重視される。実務が全くできない新しいマネージャーに、部下たちは黙ってついていかない

・「上から目線」と「ずる賢さ」のせいで、大企業の管理職は、転職する新しい職場に融合できない。「官僚」と皮肉られるだけ

・システムエンジニアは多くの場合、10年ほど現場の技術者として働くと、その後は、マネージャーに出世し、管理業務が主な仕事になる。実は、この出世が転職にマイナスとなる

・転職マーケットが回復しても、そのパイは確実に小さくなる。外資系企業の拠点は、香港、上海、シンガポール、インドのムンバイに移って、東京ではなくなってきている

・ホワイトカラー正社員の「クビ切り」が身近なものになっている。企業がコスト削減のために、正社員を減らして、非正社員の採用を増やすトレンドは、いっこうにおさまる気配がない

・2010年の決算発表で、減収増益企業が4割を超えていた。経済の回復と単純に評価してはいけない。減収増益に大きく貢献したのは、コスト削減。つまり、人員と設備投資の大幅な削減

・解雇に対する裁判は、当然ながら「雇用の確保」を焦点とする争いになる。つまり、労働者の訴えは、「職場への復帰」が大前提。裁判中は他社に就職できず、結審するまで収入が途絶える。企業側の本音は「裁判できるものなら、やってみろ」

・人事担当者は、リストラするに当たり、まず全員のプロファイルに目を通す。どういう家族構成で、どこに住んでいるか。いつ家を買ったかなど家計の状況を把握しておく。そして、誰と仲がよいかも裏取りして、攻め手を考える

・会社と家族はまったく別の性質をもっている。社会学的に言えば、会社は「ゲセルシャフト」(近代国家、会社、大都市のように利害関係をもとに人為的につくられた社会)。家族は「ゲマインシャフト」(地縁、血縁、友情で深く結びついた伝統的社会)

・正社員はすごく守られていて辞めさせるのが大変だから、正社員を採らなくなっただけのこと。「同一労働・同一賃金」という国際基準の実現を阻んでいるのは、ホワイトカラーの終身雇用制という正社員限定「ファミリー」の企業カルチャー

セカンドキャリア研修に呼ばれない数名の社員は役員候補。99%の社員は、45歳で区切りをつけられ、このセカンドキャリア研修にのぞむ

・女性のサラリーパーソンは、「ファミリー」や「ゼネラリスト」といった旧来の枠組みに入っていないため、転職先を選り好みする虚勢はなく、現場のプロフェッショナルとして働き続けているケースが多い

・海外で働くこと、とりわけ高い経済成長を誇る中国やインドを視野に入れるだけで、雇用の可能性はずいぶん広がる

・無気力な若者が「草食系」と揶揄されるが、会社にしがみつくことに必死なサラリーパーソンの姿は、若者にとっては「草食系」よりも無気力な存在に見えている

・転職マーケットが人材を判断する基準は、実に単純明快。それは「稼げるサラリーパーソン」かどうかということ。「私を雇ったら、確実にあなたの会社はこれだけ儲かる」ということを証明できる人が強い

・就職氷河期と言われた期間に大学を卒業した、20代後半から30代前半のサラリーパーソンは、どの企業でも不足している。つまり、この年齢層は、冷え込んだ転職マーケットの中にあって、唯一、採用側が積極的に採りたがる

・コストの高い東京、そして日本にオフィスを構える意味は、ビジネスのグローバル化に伴い、確実に失われつつある。転職に成功するには、そうした日本限定のイメージを捨てること。「アジアキャリア」が売りになる

・中国でキャリアチェンジに必要な新しいビジネススキルを積み、キャリアを広げるチャンスもあるが、日本語を話せる中国人のサラリーパーソンが確実に増えており、早い段階で、現状のような売り手市場ではなくなることが予想される



正社員には厳しいことばかり書かれている本です。しかし、これらは正論です。「正社員という身分はこれからなくなっていく。早いうちに対処しておいた方がいい」と助言してくれていると考えるべきです。

独立自営の精神を持ち、経営者になるか、知識労働者になるかして、食べていく能力を磨くこと。

それが苦手な場合は、無駄遣いせず、節約しながら、単純労働者として、仕事を選ばず、家族協力して、生きていくこと。

どちらに進むべきかを問われているようにも思います。何もなく、これから十年続いていくと思うのは、危険な考え方なのかもしれません。
[ 2011/04/14 06:56 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)

『賭けた儲けた生きた-紅花大尽からアラビア太郎まで』鍋島高明

賭けた儲けた生きた―紅花大尽からアラビア太郎まで賭けた儲けた生きた―紅花大尽からアラビア太郎まで
(2005/04)
鍋島 高明

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日本の閉塞感と縮み志向がずっと続いています。みんな、生真面目になっているのが原因ではないでしょうか。

新たな市場をつくるのは、不真面目な人たちです。世の中は、不真面目な人たちの強い欲望のおかげで、生真面目な人たちが食っていける構造になっています。

生真面目なアリより、不真面目なキリギリスが数多く登場しないことには、この閉塞感と縮み志向が続きます。

不真面目な人たちは、この本のタイトルのように「賭けた儲けた」が大好きです。この精神こそが、フロンティアスピリットと言われるものです。

この本は、そういう不真面目な人たちの活躍の歴史を著したものです。面白く読めた箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・昔より、賢き人の富めるは稀なり(徒然草・吉田兼好)

・世間は材料を過大視して、市場はしばしば過剰反応する。相場は上にも、下にも過剰反応して思わぬ高値、安値が出るので、早く売買を実行しろ(イギリス古典派経済学者で巨万の富を築いたデイヴィッド・リカード)

・甲州財閥の開祖、若尾逸平は、「金銭を貴ぶこと生命の如く、時を重んじること黄金の如く」と評され、「金と時」をことのほか大事にした

・富を得ることのみに価値はない。得てこれを有意義に散ずる時、その価値を生ずる(鉄鋼王・アンドリュー・カーネギー)

・借金を残しておくことは、子や孫をして奮発心を起こさせる。借金は奮発の薬。古来より一代の富豪と言われる人は皆貧家に生まれた子弟である(大倉喜八郎)

・問屋は手持ちをしている以上、それが皆、思惑品となる。先物も期限までにはどんな変動が生じるか分からない。商売は思惑に始まって思惑に終わる(岩田惣三郎)

・成功の秘訣は、堅忍、熱心、勉強の三者にして、貧と無学は憂うるに足らざるなり(石炭王・貝島太助)

・自分にチョウチンを付けてくる付和雷同族がわんさかいることを計算ずくで手の内を明かし、相場が大きく動いた後で反対売買をやって澄ました顔の老獪ぶり(山林王・諸戸清六)

・諸戸家の家憲は初代清六が従者をつれて全国屈指の富豪を歴訪して、その家憲を収集し、精を摘み華を採って凝縮したもの。全文は五十余箇条に及ぶ。各種家憲本の中でも異彩を放つ

・諸戸家家訓
「顔をよくするより金を儲けよ。金儲かり家富まば自然に顔もよくなる」
「銭ある顔をせば贅費多し。銭なき顔をして人に笑われることあるも、後日誉められる」
「できるだけ人の下風に立ちて、頭を下げる者は必ず勝ちを占む」
「人と商売上の話をなすも、己の見込みとするキキメは決して人に漏らすべからず」
二年先の見留めを付くべし、マグレ当たりで儲けた金は、他人の金を預かったと同じ」
「小さい事に目を付けぬ者は身代を大きくはできぬ」

・相場は自分の力以上はやらないこと。つまり余裕をもってやること。金儲けの楽しみは、その道行きにある。株屋の言うことを聞いて、売ったり買ったりして、何が面白いのか(国鉄総裁・石田禮助)

・石田禮助の遺言
「祭壇は最高も最低もいやだ。下から二番目くらいにせよ」
「戒名はなくていい。天国で戒名がないからといって差別されることもないだろう」
「何回忌だからといって親族を呼ぶな。通知をもらえば、先方は無理をする」

・相場に最も大切なことは先行き見通し。それをいつ手仕舞うか、つまり売ったものは買いに、買ったものは売りに、いつ転じるかという、その転機が成功、不成功の分かれ道になる(伊藤忠商事社長・越後正一)



鍋島高明氏の本は、「金と相場」に次ぎ2冊目です。元日経新聞の編集委員だけあって、取材が綿密です。相場、商売の歴史を掘り返してくれるので、非常にありがたく思っています。

閉塞感を打破するには、「一発儲けてやろう」という精神が必要です。それを卑しく感じる人が圧倒的多数の世界では、永遠に閉塞が続いていくように思います。

この本に掲載されている人たちの破天荒かつしたたかな性格に学ぶべきことが多いのかもしれません。
[ 2011/04/12 07:42 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『他人に軽く扱われない技法』内藤誼人

他人に軽く扱われない技法他人に軽く扱われない技法
(2009/04/21)
内藤 誼人

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著者の本を紹介するのは、「ビジネス説得学辞典」に次ぎ、2冊目です。著者は心理学の知識を駆使して、次々と著作を発表されています。

この本には、謙虚になることとプライドを持つこと、これをどう両立させて生きていくかが書かれています。

なかなか難しい問題なので、興味深く読ませていただきました。今回、この本で役に立ったと思えた箇所が15ほどあります。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・どうすれば他人にバカにされたり、ナメられたり、イジメられたりしないのかを考えず、ただ成り行きまかせに生きている人が多い

・俗っぽい話ばかりしていたら、あなた自身が俗物だと思われてしまう。本当に会話のうまい人というのは、下世話な話題をネタにしていても、気がつくと、芸術論やら美人論などが展開できる人

・本当に知識がある人は、謙虚である。自分の知識が限定的であることを知っているので、謙虚になれる

・弱気な発言をしていると、周囲の人たちもネガティブな気分になってしまう。精神的にクヨクヨしたり、弱気になったときには、信頼できる人にだけ弱いところを見せたらいい

・急ぎの仕事は引き受けないし、不用意に頭を下げないようにすると、意外にうまくいくことがある。謙虚な姿勢でいることは「軽く見られる」という危険と隣り合わせ

怖い存在に対しては、人はおとなしく従う。優しい顔をするより、怖い顔をしているほうが、相手を動かすのにてっとり早い方法である

・人間関係での主導権をとる簡単なコツは、他人から話しかけられるのを待つのではなく、自分から話しかけること。相手の話を「受け」るのではなく、自分から「攻め」ること

・自分に利用できる力は、何でも利用するのが、競争社会で勝ち抜くセオリー

・どんなに小さなコンテストでもかまわないから、そこでとにかく受賞する(マイナーなほうが、受賞する確率がアップするので狙い目)。賞さえとってしまえば、堂々と「賞の受賞者」と自分を売り出すことができる

・自分を安売りせず、自分にプライドを持っている人ほど、自分が望んでいる職業に就ける。安売りしない方が職探しも上手くいく

・人として重みを感じさせたいなら、「古風なもの」「古めかしもの」を必ず一つは持っておく。年代を感じさせるものを持っていると、自分という存在に箔がつく

・人の信頼を勝ち取る勝負というのは、トーナメント方式で行われている試合のようなもの。1回でも負けたら、その時点でおしまい。敗者復活戦など都合のいいものはない

・抑うつ的で、クヨクヨした性格が改められないなら、肉体改造するといい。筋肉がつくと、精神的に強くなれる

・「精一杯やったんだから」という言葉には、甘えがぷんぷんと匂う。勝負をするからには、どんなことがあっても、たとえ汚い手を使っても勝ってやるという強い意志こそが勝利を呼び込む

・ビジネスで勝てる人は、えてしてスマートな人ではなく、泥水をすすってでも生き延びてやる、という強い意志を持った人間

・ある特定分野のスペシャリストになってしまえば、その他のことが全然できなくても、誰も笑わない



世間が認め、ひれ伏す「後光」が見え隠れすると、他人に軽く扱われることがありません。

それが、肩書なのか、特技なのか、美しさなのか、会話のセンスなのか、交友関係なのか、人それぞれですが、その後光を軽く見せながら、謙虚に生きていくのが、一番いい生き方のように思います。

後光は、心の拠り所としても、精神安定剤としても、効き目は抜群です。後光探しのきっかけとして、この本は参考になるのではないでしょうか。
[ 2011/04/11 07:29 ] 人生の本 | TB(0) | CM(0)

『ユダヤ人のことわざ-ユダヤ3千年の知恵』A・ランツベルガー

ユダヤ人のことわざ―ユダヤ3千年の知恵ユダヤ人のことわざ―ユダヤ3千年の知恵
(1987/03)
A. ランツベルガー

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元は非常に古い本です。言わば、ユダヤ人本の古典です。最初にドイツで出版されたのが1912年です。

ベルリンに生れた著者は、ヒトラーが政権を獲得した年(1933年)に自殺をはかって、この世を去られています。

この本には、ユダヤ人の知恵とお金に関することわざが数多く収められています。有用な箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・金のために結婚する者には不良の子が育つ

・不幸を悲しむのは、不幸が起こってからでも遅くはない

・真に貧しい者としてとどまっているのは、知性のない者だけ

・敵には助言を求め、その助言の反対のことを行え

・貧乏人と病人の忠告にはいつも真意がある

無知が支配するところでは、自分に英知があっても何の役にも立たない

・金持ちとは、自分の富から収益をあげ、その富を楽しむ者である

・知者が間違うときは、恐ろしいほど根本的に間違う

・すべて金で買うことができるが、知性だけは買うことができない

・善と悪を区別できるだけでは、まだ賢者とは言えない。二つの悪の中から小さい方の悪を選ぶことができる者が賢者である

・すべての人に対して一様に親切な者は、たいていはまた、すべての人に対して一様に不親切である

・年をとっての破壊は建設であり、若いときの建設は破壊である

・一文もとらずに治療する医者は、一文の値打ちもない医者

・人は仕事がないと政治に関わり始める

利害関係ができたときにはじめて、友人かどうかが分かる

・医者に尋ねるより病人に尋ねよ

・貧乏と自尊心は折り合わない



ここには、ユダヤ人三千年の知恵が、400以上集められています。どれもが短く、シンプルに本質を突いた言葉ばかりです。

知識は更新しないと古びてきますが、知恵は何年経っても、その輝きを失いません。そのことを証明している書に他ならないと思います。
[ 2011/04/08 07:45 ] ユダヤ本 | TB(0) | CM(0)

『頭のでき-決めるのは遺伝か、環境か』リチャード・E・ニスベット

頭のでき―決めるのは遺伝か、環境か頭のでき―決めるのは遺伝か、環境か
(2010/03/12)
リチャード E ニスベット

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頭の良さを決めるのは、遺伝要因か?環境要因か?とずっと論議されてきました。著者は、環境要因が圧倒的に高いという意見です。

では、どんな環境で、頭が良くなっていくのか?これについても、さまざまなデータから検証されています。

非常に興味深い研究結果が数多く記載されています。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・幼いころ、欲しいものを手にするまで、長く待っていられた子供は、集中力があり、計画をよく立てられ、挫折に強く、ストレスにうまく対応できる。幼児期の満足遅延能力が高いほど、高校でのSAT(アメリカ大学入学試験)スコアが高かった

・IQが人生の成果を大きく左右する。出身家族の社会的経済的地位による影響を排除した、同じ家族の兄弟同士で比較しても結果は同じ

・養子を対象とした研究において、育てられた環境が、上層中流階級か下流階級かでIQが12から18ポイント違ってくる。環境が知能に影響を及ぼす程度は高い

・親が上層中流階級に属する子供は、IQの遺伝性が0.7であるのに対し、下流階級に属する子供では0.1。これらが意味するのは、下流階級の親から生まれた子供は、環境が知的に十分豊かであれば、IQが高くなる可能性がかなりあるということ

・学校は明らかに人を賢くする。学校で知識や問題解決のスキルを学べば、IQのスコアが上がる。学校での一年間は、年齢の二年分に相当する

・人数の少ないクラスに入るだけで、学力が上がる。この影響は、少なくとも7年生まで有意な大きさで続く

母乳で育てることにより、IQが約6ポイント上がる

・専門職の親は子供に対して、1時間当たり約2000語を話すが、労働者階級の親は約1300語。また、専門職の親は、世の中について、自分の経験や感情をその都度説明し、子供の興味や希望を尋ねる

・日本人は技術者としては優れているが、科学では立ち遅れている。日本では、年長者を立てることに大きな価値が置かれるため、年老いた科学者に多くの研究資金が流れる。西洋のように、一人一人の成果に報いて、個人の野心を尊重することが、科学では望ましい

・日本や韓国を含め、儒教の伝統がある国では、知識そのものに価値があるという考え方が薄い。討論のための知的道具である論理を実世界へ当てはめるのは、西洋人のほうが得意

・アジア系アメリカ人において、社会経済的に進んだ前世代のIQが、一世代でさらに引き上げられるのは、ユダヤ人の知的成果と同様に、文化がどんどん高い足場を積み重ねていることで説明できる

・運動している母親から生まれた赤ん坊の方が、頭が大きい。脳が大きい方が平均的に知能が高い

・賢いことを褒められた子供の66%が、自分の賢さを示せる簡単な問題を選ぶ。一方、懸命に取り組んだことを褒められた子供の90%以上が、自分の限界を試し、さらに上達する方法を教えてくれる問題を選ぶ

・子供の知能を高めるには、学校の一年生で、できる限りよい教師のクラスに入れさせること。新人の教師は避けること

IQを伸ばすには、アジア人やユダヤ人のように、自分の知能は自分でコントロールできると信じること。そして、親がその成果を求めること。そうすれば、驚くような効果がもたらされる



頭の良さは、遺伝より環境というのが、この本の結論です。ということは、遺伝のせいにしなければ、今からでも、頭を良くしていくことは可能なように思います。

遺伝という言葉は、自分を努力から逃げさせる言葉なのかもしれません。そして、頭を良くする環境は、成人後においては、自分でつくっていくしかないように思います。
[ 2011/04/06 08:02 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)

『35歳からのお金のリアル』人生戦略会議

35歳からのお金のリアル35歳からのお金のリアル
(2010/11/22)
人生戦略会議

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35歳というのは、人間が変わるラストチャンスの年齢なのかもしれません。35歳で、どう目標を決め、決断するかで、その後の人生が変わっていきます。

この本は、数値で、その目標と決断を示唆してくれる、有意義な書です。ためになった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・「買い時」は「売り時」の裏返し。超低金利政策、住宅ローン減税、住宅エコポイント、国が後押しして、不動産会社が煽り立てる策に踊らされてはいけない。「トク」イコール「住みやすい」ではない

・可処分所得に占める住宅ローン返済額の割合は、年々増加している。1991年に13.5%だったのが、2009年には、20.5%。それだけ、家計が苦しくなっている

・全国平均で、「新築土地付注文住宅」3560万円、「新築マンション」3389万円、「新築建売住宅」3357万円、「中古マンション」2278万円、「中古戸建て住宅」2178万円。中古は新築より1000万円以上安い。1000万円安ければ、20年返済で利息を1000万円減らせる

・「好立地の高額物件をラクラク購入できる層」「新築マンションや建売戸建て住宅を35年ローンで無理して買う層」「中古住宅のリノベーションなどの独自の道を選ぶ層」「賃貸のままでいく層」。四極化が進む中で、正しい選択をしなければならない

・30代が10人集まれば、そのうち1人が貯蓄ゼロ、2人が貯蓄100万円未満、4人が500万円未満、2人が500万円以上、1人が1000万円以上。社会に出て10年ちょっとの間に、資産という点での明暗がはっきりついている

・貯蓄が少ない原因は「夫婦でお金の話をしていない」こと。人前ではお金のことを口にしなくても、家庭では別。ケチくさろうが、下品であろうが、お金がなければ、家計は回らない

・勤労者世帯の1カ月消費支出額は約27万円。年収別では、「352万円以下」で約16万円、「~492万円」で約23万円、「~645万円」で約27万円、「~864万円」で約33万円、「864万円以上」で約43万円。貯金が少ないのは、生活レベル年収レベルが合っていないから

・子供が中学生となり、韓流ドラマを見て、怠けている主婦はほとんどいない。子有り女性の有業率は、5~8歳で62%、9~11歳で72%。手が空いたら、仕事に復帰して、家にお金を持ってきている

・未婚女性の「結婚、出産後専業主婦になりたいという人」は54%。専業主婦願望は強いが、誰にもなれそうで意外となれない身分であることを知らない

高齢者無職夫婦世帯(夫65歳、妻60歳以上の二人世帯)の消費支出(税金除く)は24万円弱。可処分所得が19万円なので、毎月4万円以上の赤字。不足分をどのように補っていくかを考えることが必要

・モデル世帯の受け取れる年金額は、夫の老齢基礎年金(6.6万円/月)老齢厚生年金(10.1万円/月)妻の老齢基礎年金(6.6万円/月)、合計で(23.3万円/月)。サラリーマンの夫に、「給料が安い」「家事を手伝わない」と文句を言ってはいけない

・肥満児が育ちやすい家庭は、家族と食事をする回数が少なく、子供が夜更かしをしがちで、テレビを見る時間が長くなる家庭。つまり、共稼ぎの家庭

・「早死には損、長生きは得」。健康な人は、不健康な人より、「医療費がかからない」「老後、働いて収入を得られる」「長生きできて、年金を多くもらえる」



この本を読む限り、住宅購入、夫婦関係、健康状態によって、その後の「お金」の増減が決まってくるように思います。

住宅選び、結婚相手選びを慎重に行い、体の手入れを怠らないことが、大きな意味での節約になるのではないでしょうか。
[ 2011/04/05 07:32 ] お金の本 | TB(1) | CM(0)

『新衰退国・ニッポンを生き抜く・マネーの鉄則』岡崎良介

新衰退国・ニッポンを生き抜く マネーの鉄則新衰退国・ニッポンを生き抜く マネーの鉄則
(2010/11/23)
岡崎 良介

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著者の本を紹介するのは、「相場ローテーションを読んでお金を増やそう」に次ぎ2冊目です。著者は、ローテーションで経済を長期予測する手法に長けています。

最近の景気について、著者はどう見ているのか知りたくて、この本を読みました。

この本のサブタイトルは~新衰退国・ニッポンを生き抜く~です。まさに、微かな希望しか見えない日本においても、なんとか生きていかなければいけません。

その中で、どう資産を運用していくのか、この本の中には、ヒントがいっぱい詰まっています。役に立った箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・相場の今後の展開と、次の転換点を予測すると、「米国の景気回復のピークは2014年4月」「米国株のピークは2014年1~3月」「米国株に前後して日本株もピーク(日経平均17400~19600円)」「米国の本格的利上げとドルの大底確認は2012年以降」

・米国ではGDPの20%を就業者数6%弱の金融不動産業が稼ぎ、金融不動産業の稼ぎが他業種の4倍になった。金持ちになりたければ、高学歴を身に付け、この業界に入るより他に方法がなくなった。その構造の象徴的存在がリーマン・ブラザースだった

・年金が破綻するくらいなら、景気対策など打たない方がいい。これ以上、赤字が増えない方がいい。年金を守るためなら、子供手当も高速道路無料も諦めて構わないと、日本国民は黙って行動していくことが十分に予想される

・2001年末240兆円をピークに、家計における生命保険残高は毎年平均4%のスピードで減少。人々が高齢化し、所得が減少するにつれ、死んだ時の備えなど二の次になり、生きていくための糧と変わり、生命保険という金融資産は生活のために削られた

・財政再建は無理。回復可能な時点を過ぎた。大多数の国民は、せめて自分の年金がきちんと支払われることに集まっている。財政破綻のリスクを冒してまで景気回復を期待する人たちが、選挙に向かう人の多数を占めるには至らない

・国民一人ひとりにとって大事なことは、生活を守り、家族を養い、より良い未来を築き、それぞれの所得や資産を増やすこと。財政赤字を気にしているのは、首相、与党、閣僚、官僚、税務署、公務員といった、国民からの税金で生業を立てている人だけ

・日本の失業率は1992年あたりから上昇傾向、同時に設備稼働率が低下基調。失業者と休業状態の工場が溢れかえると、賃金も物の値段も上がらない。儲かる話がない状態ではお金を借りる気にもならず、長期金利も低下。日本経済の内需はずっと弱いまま

・新興国が新しいメンバーとして貿易・資本の自由な取引を行うためには、まずは決済通貨として常にドルを持たなければならない。言い換えれば、ドルが足りなくなれば、資本主義社会から退場しなければならない

・経済発展を遂げるために、米国にお世話になった国々が、その恩を返すために、自国通貨を切り上げ、米国の輸出競争力を復活させるためにドル安を誘導していく。実はこのプロセスこそが、今まさに目の前で起きている為替市場の運動原理

・借金取りであったはずの金融機関が、いつのまにか自分が借金取りに追われている、これが金融危機発生のメカニズム。金融危機とは、通常の不況時に起こる借り手の倒産リスクではなく、貸し手の倒産リスクが高まった時に起こる現象

・FRBバーナンキ議長の採用した「信用緩和政策」(新しい金融政策)は、近い将来、経済学の教科書に、金融政策、財政政策に続く第3の経済政策として掲載されることになる。FRB破産、米国破綻、ドル本位制崩壊と批判した知識人の逆の結果をもたらした

・米国FRBは資金を2.5倍にも膨らました。日本銀行は金融危機に何も手を打たなかった。恐れおののき、指をくわえて見ていただけ

・買いシグナルは米国株式市場内のダウ輸送株の動きに隠されている。世界中の株式市場が米国株に連動し、もちろん日本の株式市場全体の動きも、そのほとんどが米国株の上下動に連動する時代において、これは極めて重要なこと

・融資という公共的な仕事を行う免許を与えられ、流動性の供給に努力しなければならない金融機関が、その業務を放棄した姿が金融恐慌。公共的な仕事を放棄した以上、国家介入しか解決方法がない。金融業は国家の管理下、庇護下になければ存続し得ない脆い業態

・米国が一から出直すには、現在の新興国と同じように、基軸通貨の看板をかなぐり捨て、通貨を切り下げ、輸出競争力を取り戻し、海外から利益を獲得していくしかない

・米国は自国通貨の切り下げ、新興国通貨の切り上げを狙っている。これは米国にとって、一石二鳥の作戦。単に輸出が伸びるだけでなく、株式や債券による投資、現地への直接投資など、すべての資金投下が相手国通貨の上昇によって、プラスの方向に動き出す

・「貿易収支が安定的に黒字」なのは、韓国、中国、マレーシア、タイ、ブラジル。すでに「為替相場が変動相場制」なのは、韓国、ブラジルの二国だけ。この二国が、米国に通貨の切り上げを要求されても文句が言えない。「第二の日本」となる有力候補

・お隣の中国元が、今後とも切り上げ圧力を世界中から受ける中、それを無視して、日本だけが通貨安を進めることは、中国だけでなく、アジア各国に対する敵対行為。政策による通貨の切り下げは、日本の場合、不可能と言える

・株や景気は、2014年あたりにピークを迎え、下降トレンド、後退期に向かえば、2014年~2015年は暗い時代になる。先進国の財政赤字が手の施しようがないレベルに逼迫している中、2015年は、絶体絶命のピンチに追い込まれるリスクがある



著者は、長期スパンで経済を見ています。大きく見れば、著者が考える「買い時」は一昨年から今年前半、「売り時」は2014年あたりということになります。

浮かれずに、冷静に売り時を間違えない人が、資産を増やしていくことになります。安く買って高く売る以外に方法はありません。

資産を長期的視野で増やしたいと思っている方の指針に、著者の意見は参考になると思います。
[ 2011/04/04 06:51 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『すらすら読める養生訓』立川昭二

すらすら読める養生訓すらすら読める養生訓
(2005/01/13)
立川 昭二

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養生訓は江戸時代中期に、貝原益軒によって書かれました。元祖「健康本」のような存在です。

貝原益軒の数ある著書の中で、養生訓は、八十歳を超えた最晩年に書かれたものです。本人も健康に気をつけ、健康法を実践していたことが、その長寿からうかがい知れます。

養生訓は、心とからだの名言が多く、今読んでも、決して古く感じられません。勉強になる箇所が数多くあります。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・からだを保ち、養生するのに、極めて大切な一字は「畏」。畏れることは、身を守る心構え。細心の注意を払い、気ままにせず、過ちのないように努め、いつも天道を敬い、慎しんでしたがうこと。畏れるところから慎しみの心が生まれる

・長生きすれば、楽しみ多く、有益なことも多い。知らなかったことを知り、できなかったことができるようになる。学問が進み、知識に明るくなるには、長生きしないとできない

・貝原益軒と同じ元禄文化人の井原西鶴は、「日本永代蔵」で、「若き時、心を砕き身を働き、老いの楽しみ早く知るべし」と言っている。現代人とは正反対の人生観である

・人間には、三つの楽しみがある。一つ目は「道を行い心得違いがなく善を楽しむ」、二つ目は「病気がなく気持ちよく楽しむ」、三つ目は「長生きして久しく楽しむ」。いくら富貴であっても、この三つの楽しみがなければ、真の楽しみは得られない

・健康で長命でありたいのは、ただ長生きするだけではなく、老年において、人生の真の楽しみを楽しむためである

・貝原益軒は、若いとき失職し、前半生は貧賤の境遇だった。その境遇ゆえに、学問に志すことができ、おのずと読書に楽しむという内なる楽しみを楽しむことができた

元気を害するものは、食欲、色欲などの内欲と、風・寒・暑・湿などの外邪

・飲食、色欲、労働が過度になれば、元気は負けて減る。飲食、安逸、睡眠を過ごすと、元気は滞って塞がる。消耗と停滞は元気を損なう

・貝原益軒にとって、心身の健康のための第一箇条は、身を動かし、気をめぐらし、気を滞らせてはならないということ

心はからだの主人。静かに安らかにさせておかなければならない。からだは心の家来。動かして働かさせなければならない

・心は楽しむべし、苦しむべからず。身は労すべし、やすめ過ごすべからず

・老境に入ったら、楽しむにも、愛するにも、自分なりのオリジナルなやり方でやればいい

・「老いに至りて楽しみを増す」。貝原益軒が「養生訓」で説いてきたことは、この一句を実現するため



「養生訓」には、具体的な健康法の記述もありますが、参考にしたいのは、「楽しく生きるための健康」についての記述です。

貝原益軒は、心とからだの関係を特に重視しています。健康を維持していれば、楽しい老後が待っていることの重要性を、強調したかったのではないでしょうか。
[ 2011/04/01 08:50 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)