とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『本当は恐ろしいアメリカの真実・反面教師アメリカから何を学ぶか』エリコ・ロウ

本当は恐ろしいアメリカの真実 反面教師・アメリカから何を学ぶか本当は恐ろしいアメリカの真実 反面教師・アメリカから何を学ぶか
(2009/08/01)
エリコ・ロウ

商品詳細を見る

アメリカには、3回行ったことがありますが、最近は10年以上御無沙汰です。

日本人のアメリカに対する憧憬の念は、最近かなり薄れてきたように思います。しかし、アメリカは大国です。世界一の経済大国であり、ドルと軍事力で世界を牛耳る国家です。

つき合いたいかどうかより、つき合わざるを得ないアメリカについて、マスコミで報道されない現実を知りたくて、この本を手に取りました。

知っているつもりのアメリカでも、まだまだ知らないところだらけです。参考になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・アメリカにとっての日本は、ライバルにすれば手強いが、手なずけやすい友人で気の良いお得意様。長所は取り入れ、失敗を反面教師にしている。一方、日本にとってのアメリカは、最初に目にした生き物を親として付き従う刷り込み現象の親のような存在

・アメリカは信者人口で見ても、世界一のキリスト教国。アメリカは合理主義国のように思うが、アメリカを大きく振れさせる諸問題の多くの基盤にあるのは宗教

・教会の人気牧師はテレビやラジオ、インターネット、書籍を通じて全米に布教するセレブ宣教師となり、世論や政治を大きく動かす力になっている

・家や仕事場で、BGM代わりにラジオをつけっぱなしにしている人や、車社会だけに、車内でラジオを聴くのが習慣になっている人が多い。アメリカでは、ラジオは今でも世論を動かす重要なメディアである

・資産家や経営者が支持基盤の共和党は選挙の関心が貧富格差の問題にならないように、ライフスタイル、知性、教育レベルの違いで「エリート対庶民」という人工的対立を作る。共和党は庶民の党、労働者の支持が多い民主党はエリートの党と宣伝する

・アメリカの庶民が潜在的に持つ教育レベルや知性に対する劣等感を利用し、エリート政治家には、庶民の気持ちも苦労も分からないと洗脳するのが、最近の保守派の選挙戦略

・高血圧薬より抗うつ剤のほうが多く処方されている背景には、精神科医によるうつ病治療が過去15年で大きく変わり、以前は盛んだったカウンセリングによる心理療法が廃れ、薬の処方に依存するようになった事情がある

・18歳以上のアメリカ人の4分の1、約5800万人が精神疾患を患っている。なかでも多いのがうつ病で、約1500万人が大うつ病性障害(重いうつ病)、約330万人が慢性の軽いうつ病患者、約570万人が躁うつ病で治療を受けている

・日本はアメリカより自殺率が2倍と高い一方、精神疾患がタブー視され、治療を受けにくい文化だからこそ、いったんタブーが破られれば市場は大きく開ける。向精神薬の有望市場として欧米の製薬会社から期待されている

・ウォルマートを安売りと馬鹿にする中流以上の消費者も、労働者、女性、マイノリティ、環境の敵と毛嫌いする知識層も、ショッピングはやめない。多くの老舗や大手百貨店が売上減に喘ぐ中、ウォルマートだけが売上を増加させている

・報道機関として独立していたテレビ・ネットワークは揃って大企業による買収で経済的自立を失った。そのため、報道機関は、政治家や政府との関係を良好に保とうとする親会社の意向に逆らえないから、鉄則だった政治的中立を守れなくなった

・メディアは訴訟恐怖症にかかり、社会性や意義より先に、訴訟の恐れの有無が報道すべきニュースの第一フィルターになった。入念な取材に時間や経費をかけた末にお蔵入りしかねないスクープよりは、取材は容易で大衆受けする娯楽よりの取材に走りがち

・一般の人がアメリカで有名になって儲けたければ、最も手っ取り早いのは、人目につくスキャンダルを起こすこと。犯罪を罪悪、恥ずべき行為と見る他国では当たり前の価値観も希薄になっている



この本を読めば、アメリカの政治、宗教、医療、メディアなどが、最近どう変化しているかがよくわかります。

アメリカ在住の著者ならではの視点が多くあり、アメリカの実態だけでなく、今後日本に起こってきそうなことも書かれています。

そういう意味で、ヒントになることが多く、参考になる書だと思います。
[ 2011/01/31 07:56 ] 海外の本 | TB(0) | CM(1)

『スローライフの素602』アーニー・J.ゼリンスキー

スローライフの素602(ロクマルニ)スローライフの素602(ロクマルニ)
(2003/01/01)
アーニー・J. ゼリンスキー

商品詳細を見る

著者の本を紹介するのは、「働かないって、ワクワクしない?」に次いで2冊目です。著者は、人生を楽しむことに主眼を置き、本を書かれています。

この本は、著者の人生の楽しみ方のメモです。あくまで、著者自身の考え方ですが、その中で、これはいいと思えた箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・人生で「これがほしい」と決めることと同じくらい重要なのは、「これはいらない」と決めること。ほしくないものリストをつくり、それから遠ざかるようにがんばる。自分にとって、愉快でないものを一切合財捨てる

・尽くしているわりに、見返りが期待できない相手とは、この際、友情を見直す。不当にストレスや不快を味わわされているなら、さっさと手を切る。自分のためにならない人たちからは、さり気なく立ち去る

惨めな人というのは、誰かにくっつきたいというより、くっつかざるを得ない人。一緒にいると、いつもエネルギーを吸い取られる相手とは、関係を温存しないこと

・よその人が何をやっているか、気にしないこと。大多数の人がやっていることが賢明という保証はない。実際、ほとんどの人は、幸福や満足の間違った追求の仕方を教えられている

・これを買えば生活が向上するという広告には疑いの目を向ける。すでに手元にあるものを楽しむ時間も足りないのに、これ以上買ってどうするのか。外部からの影響ではなく、内部からの欲求を大切にしたほうがいい

・何かを買おうと思ったら、それを買うのに、何時間働かなければならないのかを考える。さて、その価値があるかどうか

・人生における最上のものは、タダか、ものすごく安いものが多い。お金のかからないレジャーこそ、楽しくて満足のいくもの

・ある程度のお金があれば、それを遺すのではなく、自分で楽しむようにする。金持ちとして生きる方が、金持ちとして死ぬよりマシ

カッコよく見せるためにお金を使わないこと。カッコいいということと知的ということはイコールではない。カッコよさを求めて、多くの人が破産の憂き目に遭った

・1日に8時間以上働くのは自然なことではない。週40時間以上働くようになったのは、産業革命以降のこと。原始社会では、1日3~4時間しか働いていない

・完璧を目指さず、上出来を目指す。割り当てられた時間内で最善を尽くす。あとはさっさと引き上げる

・「この仕事にどんな価値があるのか」「もしそれをやらなかったらどうなるのか」自問自答すること

・政治、新しい事件、哲学について定期的にディスカッションするグループがいる場所をあなたの近くに見つけること

・何かを達成することを義務にしないこと。人生の流れにまかせ、あらゆる局面を楽しむようにする。楽しんでいればいるほど、最小の努力で多くのことが達成できる

・子供が気の向かない習い事に行かせようとして、あれこれ時間をかけないこと。子供の時間も、あなたの時間もムダになる

・電話はあなた以外の万人にあるのではなく、あなたのためにある。留守電を使うか、着信番号を表示させて、自分の話したい相手とだけ話すようにする

・心配事の40%は、「決して起きない」こと。30%は、「すでに起きてしまった」こと。22%は「取るに足らない」こと。4%は「変えられない」こと。残りの4%だけが、「働きかけられる」こと。心配事の96%は「コントロールできない」こと

・仕事中以上に、ガツガツと他人と競争し、勝ち負けのあるような余暇活動は避ける

・人をあれこれ批判することに時間を費やさない。人生には、もっと貴重なすべきことがある。人を裁くのは神様の仕事



スローライフとは、人生におけるムダを省いて、生きていくことです。

あくせくせずに、ゆっくり時を過ごし、楽しみたい方には、著者の本は参考になります。ちなみに、私自身も著者に共感するタイプの人間です。
[ 2011/01/28 08:02 ] ゼリンスキー・本 | TB(0) | CM(0)

『貧困にあえぐ国ニッポンと貧困をなくした国スウェーデン』竹崎孜

貧困にあえぐ国ニッポンと貧困をなくした国スウェーデン貧困にあえぐ国ニッポンと貧困をなくした国スウェーデン
(2008/11)
竹崎 孜

商品詳細を見る

世界で一番幸せな国はどこか?それは、北欧諸国であるとずっと思っています。スウェーデンとデンマークに10年前に行って、国の運営に感動を受けてから、北欧諸国の政治や制度、国民の考え方を勉強するのが、自分のライフワークのようになっています。

この本も、スウェーデンを知るのに大変役に立ちました。著者の竹崎孜氏は、元ストックホルム大学の客員教授で、スウェーデン日本大使館の専門調査員です。

非常に詳しく、スウェーデンのことを調べられています。今回、この本を読み、勉強になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・公的部門で働いている公務員数は、国民人口に占める割合で、スウェーデンがトップ。それに続くのが、フランス、イギリス、アメリカ、ドイツ。先進国中で最少なのが日本

・日本では、若者と女性が実質的に失業同然。潜在する労働力の大きさに比例して、職場を用意できない、ひ弱な経済と労働力市場が目立つ

・イギリスの調査では、日本人の働きぶりは、通勤に時間と体力を費やし、職場での拘束時間が長く、おまけに賃金が安いうえ、生産性が低いとされている

・スウェーデン政府が日本の大学教育を調査したところ、教育内容があまりにも低水準で、参考にならないとの結論が、報告書に書かれた

・近年、低所得層を引き上げ、貧富の格差を減らした国の筆頭はデンマーク。続いてスウェーデン、フィンランドと北欧勢が上位を占める。驚くほどの金満家は少ないが、貧困にあえぐ家庭も皆無に近い。貧富差の激しい、貧困の目立つ低位国は日本とアメリカ

・スウェーデン国民は所持金を2個の財布に分けているようなもの。1個は手元にとどめ、税金の入ったもう1個を国に預けている。財布の管理と中身の運用を任せた国や政治を見張るために選挙への積極的参加を怠らない。投票率はいつも80%以上

・スウェーデンは世界最高の消費税25%を課しているが、生活が苦しいとの非難は出てこない

・スウェーデンの事実婚は、法律婚に代わり、個人が望むかたちでの結婚や家族を前提にしている。法律による規制と干渉をほとんど取り払った。男女は経済的に自立した一個人とみなされ、新しい精神婚となった

・日本は消費税5%だけで生活に困る国民がいるのに、どうして経済大国なのか、ストックホルムの大学生たちは不可解に思っている

・2008年に発表されたスウェーデンの新予算では、減税案が含まれていたが、むしろ世論では反対意見が強く、思いがけない抵抗にあった

・スウェーデンでは、還元される税金が向かう先になるのは、家計へ40%、地方自治体へ15%、国際協力へ7%であり、企業に対しては4%とわずかでしかない

・国へ集められる税金は国民への再分配によって還元されるが、スウェーデンの場合、その財源のかなりの部分は中間所得層が支払う税金に依存している

・スウェーデンの中間所得層が厚くなった背景には、高齢者のための国民年金制度を拡充したのと、全体の労働賃金水準を引き上げた結果である。賃金が職能賃金であるのと、労働組合が企業単位よりは産業ごとに横の連携を保っているのもその理由である

・スウェーデンでは、社会コストが重すぎて、耐えられないと弱音を吐くようであれば、企業の資格なしと、社会は厳しく、企業に甘えを許さない

・「消えた専業主婦」「見当たらない寝たきり老人」「解体された老人ホーム」は、諸外国から、スウェーデンの三不思議と言われている



北欧諸国の政治、教育、制度などを紹介するたびに、日本との差が歴然として、落ちこんでしまいます。

もっと、国民が賢くなって、不公平を許さず、税金の使い道を国民に有利になるようにチェックする必要がありますが、今の日本の政権に期待しても仕方ありません。

気長に待つしかありませんが、私の目が黒いうちにそれを望むのは、あきらめました。しかし、子供たちのためにも、今後も北欧諸国について、学んでいきたいと考えています。
[ 2011/01/26 08:30 ] 北欧の本 | TB(0) | CM(1)

『ユダヤ人が教える正しい頭脳の鍛え方』エラン・カッツ

ユダヤ人が教える正しい頭脳の鍛え方ユダヤ人が教える正しい頭脳の鍛え方
(2005/03)
エラン カッツ

商品詳細を見る

ユダヤ人に関する本は、いろいろ出版されていますが、この本は、ユダヤ人の勉強法に関するものです。

世界一賢い民族と言われるユダヤ人には、記憶法が伝統的に存在し、これも賢い要因の一つと考えられます。この記憶法を中心に、ユダヤ人の勉強に対する考え方が掲載されている書です。

今回、この本を読み、勉強になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・ユダヤ人に許された職業は、金貸し、不動産業、商業、医師、弁護士、相談役といったサービス業。ユダヤの知性と業績は、19世紀の終わりから20世紀の初めにかけて、ユダヤ民族が都市的商業的背景を有していたことと関係する

金銭よりも大切と規定されるユダヤ人の性格は、「先入観や固定観念に囚われることのない自由さ」と「流行に原則的に逆らう精神」の二つ

・自分の土地にいると感覚が鈍磨する。新しい事柄が見えない。新しい現象を、違った目で創造的に考えることができない。ある一定の場所に長くいると、人間には思考の限界が生じる

・ユダヤ教の根本には、自明なことは何一つないという考えがある。ユダヤ教が忠実に守ろうとしている基本的かつ非情な法や戒律だって自明ではない

・タルムードには初めも終わりもない。そして、大半は完璧な答えもない。ユダヤ人なら、その時代のラビが下した法解釈の受け入れを拒否しても構わない。それが、タルムードの素晴らしいところ

・発明しなくていい、目の前にあるものを自分に使いやすく改良して利用することが望ましい。ユダヤ人は、柔軟にことにあたり、しなやかに発想してきた

・自信は、すでにことを成し遂げた人物、インスピレーションとやる気の源である人物から以心伝心で伝わってくるもの。ひらめきを与えてくれる人物から学んだ方が効率がいい

・タルムードには「相対して学ぶべき」とある。ハブルータという学習法は、二人組で対面学習をする。それぞれに決まった学習相手がいて、一緒に学ぶ

教育者の立場で相手を教えるときは、相手を訓練する責任が生じる。そこからモチベーションが湧いてくる。それもハブルータの利点

・テレビを音声なしで見るか、音声ありで見るか。声に出して勉強すると、聴覚も使うことになるから、記憶に厚みが加わる。心に記憶され、記憶として刻まれる

・ユダヤ教では、タルムードの勉強は、重要で興味が持てそうな巻から学び始めるようにすすめている。興味を持ち、楽しんでなければ、覚えることはできない

・少し勉強して、それがしみ込むまで待って、それからまた勉強する。それを繰り返していく。多すぎたら、つまり何時間も勉強しても、内容が頭からこぼれてしまったら効果がない

・どれだけ感動したか、楽しんだかによって記憶の度合いが決まる。楽しみや悲しみの大きさ、すなわち印象の大きさが心に残るかどうかを決定する

人の名前を憶えるには、「名前と容姿、性格の間の関連を見つける」「あだ名をつける」「名前を特徴づける略語に変換する」「一人ひとりと独自な別れ方をする」こと

・「相方と声に出して勉強する」「身体を動かして楽しく学ぶ」「簡単で面白そうなところからとりかかる」「印象的なキーワードを見つけてまとめる」「論理的にテーマを整理する」ことが記憶を高める



この本には、心で記憶五感で記憶することの大切さが説かれています。全くの同感です。

体験したことは、忘れません。擬似体験することも、忘れにくくさせます。この疑似体験の方法が、この本の後半に詳細に書かれていました。

記憶するのが苦手な人に、参考になる書ではないでしょうか。
[ 2011/01/25 07:13 ] ユダヤ本 | TB(0) | CM(0)

『バカを使いこなす聞き方・話し方』樋口裕一

バカを使いこなす聞き方・話し方バカを使いこなす聞き方・話し方
(2006/06)
樋口 裕一

商品詳細を見る

この本は、バカを体系化した貴重な本です。バカとは何か、バカとはどういう人を指すのかを示したものです。

バカが30以上に分類されていますので、誰でも、どこかのバカに属すると思います。私も、その幾つかに属していました。

この世の中において、バカ及びバカな部分と上手に付き合わずに、生きていくことは難しいように思います。このヒントが、この本の中に満載です。

この本を読み、役に立った箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・リーダーとは、一言で言えば、バカを使いこなすことのできる存在である

・リーダーになるべき人が、人望を得て、人々から信頼されるのに、何よりも大事なのは、論理力

・言葉で伝えていることと行動が異なると、部下たちは不信感を抱く。言葉で伝えるのと同じくらい、行動によって伝えなければならない

・バカな人間にもプライドがある。いや、意味のないプライドを強く持っているからバカになっている

・バカであればあるほど、言葉を信じない。言葉に対して、不信感を持っている。自分が言葉を使いこなせずにいるために、言葉に除外されているという意識を持っている。それゆえ。言葉の達者な人間を信じない。理屈を言う人を目の敵にする

バカの話し方には、「ワンセンテンスが長い」「何を言いたいのかわからない」「途中でどんどん話がずれる」「感情的になる」「少ない知識で判断するので、暴論になる」「根拠を言わない」という特徴がある

・「世間の狭いバカ」が世にはびこっている。自分の周囲が自分の世界のすべてなので、外の世界を知らない。そのため、狭い世間ですべて判断する。言ってみれば、田舎者

・「体育会系のバカ」は、元気のよさだけが自分の取り柄だと思って、大声で挨拶したり、先輩に異常に低姿勢だったり、後輩に先輩風を吹かせる

・「すべてにルーズなバカ」は、時間を守らない。約束したことを実行しない。お金のやり取りもいい加減。お金を借りても返さない。物を使うと放りっぱなし。書類はすぐになくし、大事なことはすぐ忘れる。人はいいのだが、自分からは何もしようとはしない

・「大物ぶりたがるバカ」は、まるで自分が大物であるかのように吹聴し、子分を作りたがる。実力がないので、派閥の長にもなれずに、飲み屋に後輩を連れていき、上司の悪口を言い、大きなことばかり言う。態度だけでかくて。仕事はさっぱりできない

・「ワンパターンで考えるバカ」は、応用が利かず、これまでしたことをそのまま繰り返す。また、何かをしなければならない状況になったら、先輩がどうしたのか知ろうとして、それをそのまま真似しようとする。人の影響を受けやすいタイプ

・「情にもろいバカ」は、何が正しいか、どうすれば得かで動かない。相手が人間として、情に厚いか、どれくらい心を込めて対応してくれたかによって動く

・「冗談の通じないバカ」は、悪い人ではない。しかし、融通が利かず、物事をすべて真面目に取り、面白いことは少しも言わず、お笑い番組を見ても面白いと思わない。ちょっと批判めいたことを言うだけで、睨みつけられる

・「自分に自信がないバカ」は、誰かが批判めいたことを言うと、すぐに自分の意見を撤回する。周囲の人が感心して聞いてくれないと、自分の意見を翻す。上司だけでなく、部下に対しても気をつかう

・「無教養バカ」は、視野が狭い。世の中に深い考えがあることを知らず、精神的な価値をすべて金に換算してしまう。単に物を知らないだけでなく、人間として幅が狭い

・「一攫千金を夢見る怠け者バカ」は、今の自分が冴えないのは、運が悪いからだと考えている。この種の人は、巨万の富を手に入れること、大物になることを簡単なことだと思っている。思っているだけならまだしも、口を開いて、それを言う

・「カッコつけバカ」は、容姿がいいわけではなく、カッコをつけても滑稽なのに、おしゃれをし、ハイセンスの店に行こうとする。そして、仕事の上でもカッコをつけようとする。がむしゃらに仕事をやり遂げようとせず、スマートに物事を運ぼうとする

バカと付き合うためには、「わかりやすい言葉を用いる」「あえて反対意見を出させる」「一分以内で話す」「話を一貫させる」「具体的な話をする」「高度なたとえや皮肉は使わない」「メールやメモでの指示は、箇条書きにする」こと



「○○のバカ」の例を10ほど取り上げましたが、この本には30以上記載されています。自分自身が、その例に当てはまることもあると思います。

でも、自分の中にあるバカな部分と、どうつき合うかを認識している人は、バカではありません。本物のバカは、自分がバカであると認識していない人です。

この本は、バカな人が、バカにならないための書ではないでしょうか。
[ 2011/01/24 07:11 ] 樋口裕一・本 | TB(0) | CM(0)

『一隅を照らす「人を育てる」心の説法』山田恵諦

一隅を照らす―「人を育てる」心の説法・9章一隅を照らす―「人を育てる」心の説法・9章
(1995/11)
山田 恵諦

商品詳細を見る

ここ一年ほどの間、京都滋賀のお寺によく行きました。その中で、なぜか、天台宗のお寺を数多く訪れています。

大原「三千院」、洛北の「曼殊院」「赤山禅院」、比叡山「延暦寺」、大津「三井寺」、湖東三山の「金剛輪寺」「百済寺」「西明寺」などです。

これらの寺は、俗っぽいところが少なく、閑散としていて、落ち着きます。天台宗は歴史的に、天皇家との関係が深いせいか、商売下手なところが多いように思います。

この本は、天台宗のトップである、天台座主(第253代)を20年に渡って務められた、故山田恵諦座主が書かれたものです。

一隅を照らす運動を推進された有名な座主だけあって、本質的なことを平易に書かれており、非常に読みやすい本です。

この本の中で、勉強になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・この世は無常であり、苦悩に満ちたもの。本当の人生は、ものごとを正しく見ることから始まる。限りある人生を有意義に過ごすためには、正しく見たことについて、正しく考え、そして正しく対処していくこと

・存在価値がないものは、存在し続けることができなく、消えていくのが自然の大原則。したがって、それが存在する限りにおいて価値あるものと認め、その価値を発見しなくてはいけない

・この世に存在するすべてのものを価値あらしめるように助けていく。これが本当の政治というもの

・あらゆる生きものは、自己完成を目指して進化している。もちろん自分一代ではできない。自分一代の進歩や完成度なんて小さいもの。進歩の成果は確実に子や孫に、さらに何代も何代も引き継がれて完成を目指している。それが進化というもの

・少しずつ悪いものは消え、善い種が残っていく。それが大自然の道理。だから、少しでも自分が進歩して善いものを子孫に伝える努力をする。そうでなければ、この世に存在した甲斐がない

・自分という種、あるいは自分が蒔いた種がしかるべき場所を得て、芽を吹くように、善き因縁を結ばしてもらうためにどうすればいいか。このことを日常の基本にすえていけば、必ず宗教的な生活ができるようになる

・社会的地位や名声のある人よりもずっと偉いのは、己の道を究めようとする人たち。自己の利益よりも他の利益を重んずる人たち。自らの光でもって周囲を明るく照らす人々

・釈迦は、三つの力が一つに合わさった時に、善い結果が得られると説いた。第一は「自分の努力」。第二は「周囲からの援助」。それでもうまくいかず、善き因縁がないとき、第三は「神仏に手を合わせ、天に向かって加護を願う」こと

・この世の姿とは、一つは「世は無常である」こと。すべてのものは常に変化し、生まれたものは死んでいく。もう一つは「すべてのものが相対的に存在している」こと。天があれば地がある。善があれば悪がある。この世の姿に逆らったところで、どうにもならない

・世の中の真理と現実をいかに調和させ、上手に扱うかによって、すべては生かすことにも、殺すことにもなる。真理と現実とを調和させ、うまく活用することは善である

・出家して坊主になるばかりが仏道ではない。問題は心。心を込めて仕事をすることで、それぞれの天分に合った個性を発揮していけばいい

・目の前の欲望を満たすことばかり考えていると、結局は欲に溺れる。いつの間にやら、欲を満たす仕事に縛られ、自由を奪われ、仕事に支配される。理想とするものがないから、自己を発揮し、自己を示すことができずに、むなしい思いをする

・一隅は、片隅ではなく「居るところ」という意味。一隅を照らすことの本当の意味は、その場、その状況において、役立つ人間、欠くことのできない人間であれということ

すべての道は一つに通ずるということは、どのような場所でも、一カ所を深く掘り下げていけば、やがてはその底から清い泉が湧き出してくる。あるいは、山の頂上を目指して登るにしても、どの道を通ろうと行き着く先は一緒になるということ

・最澄は、自分だけが人間として完成し、悟りの境地に達し、心の安楽を得ることを望んではいない。善人も悪人もすべてをひっくるめた全世界の人々が、高い人格を備えた人間として完成し、仲よく生活する真実の安楽の世界を作り上げたいと願った

・人間の性格を変えるには四代かかる。子供に善い性格を伝えようと努力し、同じ努力を子や孫が引き継いで、ひ孫になった時にはじめて、理想として代々努力してきた性格が、ある程度実を結ぶ

・次の三つの言葉に、伝教大師の精神と教えが集約されている。第一は「道心の中に衣食あり、衣食の中に道心なし」という言葉。第二は「一隅を照らす」人になれということ。第三が「忘己利他」の精神



山田恵諦座主は、政府が景気対策で「内需拡大」を訴えたところ、「内需拡大とは贅沢をしろということ。人間はいちど贅沢の癖がつくと直らない。とんでもないことだ」と反対したそうです。

こういう人が、世の中にいると、道を間違えずに、正しい方向に進んでいくことができるように思います。

この本を読めば、最澄の理想、天台宗の精神、山田恵諦座主の考え方一隅を照らす意味がよくわかるようになるのではないでしょうか。
[ 2011/01/21 08:32 ] 神仏の本 | TB(0) | CM(0)

『小さな偶然が幸運に変わるハッピーシグナル』望月俊孝

小さな偶然が幸運に変わるハッヒ゜ーシク゛ナル小さな偶然が幸運に変わるハッヒ゜ーシク゛ナル
(2008/06/20)
望月 俊孝

商品詳細を見る

幸せになるには、気持ち次第。そのことを、著者は、極めて平易な言葉で語ってくれます。

この本には、成功した人たちのほとんどがやっていることが、記されているように思います。これらを参考にすると、幸せになれる確率が高まるのではないでしょうか。

今回、この本の中で、共感できた箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・人生にはハッピーとアンハッピーなことがあるのではない。ハッピーとハッピーシグナルがあるだけ

・日経新聞の「私の履歴書」を読んでいくと、「たまたま」という言葉がよく目につく。「たまたま」という言葉を使っていない場合でも、幸運な偶然を活かして、現在の地位を築いた方が多い

・意識は拡大レンズ。どこに意識を置くかがとても重要。人生は、意識を置いたところが拡大して見えてくるようになる

・宿命は変えられないが、宿命に対する見方なら変えることができる

・完璧主義で、一時的な失敗、小さな失敗もしたくない人は、実はマイナス思考。最悪の失敗より悪いことは、挑戦を忘れて、まったく失敗しないこと

・今の自分よりも10%でも、5%でも記録を伸ばすことができないか、そこに焦点を当てて考えてみる。「目標達成率」よりも「自己成長率」を伸ばすこと

・目的や意図を持つと、やっていることは同じように見えても、必ず目的地や意図に合った方向に近づいていく

・自分にとっていい時期を、幸せの基準にしないこと。幸せのハードルが高すぎて、かえって日常的に不幸を感じるようになってしまう。また、他人の人生と比べてしまうのも、不幸のもと

・中央に自分がニッコリしている写真を貼って、あとは見ているだけで心が暖かくなる写真やイラストを貼り付けていく。これを見るだけで幸せになれる

・幸せな人は、自分を幸せにするものを近づける工夫をしている。そして、同時に、不幸になるものを遠ざけることもしている

・長い間人気を保つ人は、まわりの人と喜びや幸せを分かち合っている。本人は楽しんでいるつもりでも、どんどん運がまわってくる。まさに、「人の気」。応援が集まってくる

・人の成功や喜びを「我がことのように喜ぶ」ことができれば、多くの協力を得ることができ、どんどんチャンスが広がっていく



この本を読むと、単純に、心の中が晴れてきて、いい気分にさせてくれます。

自分を前向きに持っていきたいとき、この本がそばにあれば、役に立つのではないでしょうか。
[ 2011/01/20 07:56 ] 幸せの本 | TB(0) | CM(0)

『体温を上げると健康になる』斎藤真嗣

体温を上げると健康になる体温を上げると健康になる
(2009/03/16)
齋藤 真嗣

商品詳細を見る

著者はニューヨークで医師をされています。アンチエイジングが専門です。

この本には難しいことは書かれていません。「体温を上げると健康になる」と言い続け、その具体的手法について述べられているだけです。しかし、核心をついているように思えます。

この本を読み、ためになった箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・健康な人の平熱は36.8℃±0.34℃。つまり、36.5℃~37.1℃が健康体の体温。37℃は微熱ではなく、健康な体温

・平熱が36℃以下という「低体温」の人がとても増えている。低体温は、体にとって、とても危険な状態。低体温のそもそもの原因は「ストレス」

・「免疫系」と「ホルモン系」、二つの機能が働くことで、体はストレスから身を守る。体温は、これらの機能が正常に働いているかどうか知る、もっともよい指標

体温が1℃下がると、免疫力は30%低くなる。免疫力が低下すると、バイ菌やウイルスから体を守れなかったり、免疫の誤作動によって、自分の体組織を破壊して病気を引き起こす。ガン細胞は、35℃台の低体温のとき、もっとも活発に増殖する

体温が1℃上がるだけで、免疫力は5倍から6倍も高くなる。体温を上げ、いつも血流をよくしておくことが、免疫力の向上につながる

・筋肉は最大の熱産生器官。体温を恒常的に上げるには、「筋肉を鍛える」こと

風邪をひいたとき、お風呂にゆっくり浸かり、顔が少しほてるくらいに温まり、温かい格好で充分な睡眠をとると、免疫システムがウイルスと戦いやすくなる

・アメリカでは、初期の風邪で薬を処方することはほとんどない。風邪のとき飲むのは、ビタミンCとマグネシウムくらい

・ガン細胞が低体温のときに増殖しやすくなるのは、ガン細胞が嫌気性のエネルギーによって増殖する細胞だから。正常な細胞がガン化するということは、ミトコンドリア生命体から受け継いだ好気性代謝の経路が破壊されることを意味する

・体温が上がると、ただ寝ているだけでも多くのエネルギーを消費する体になる。内臓脂肪の解消にも絶大な効果をもたらす

・同じ低体温でも、20代では深刻な病気になる人は多くはないが、50代になると病気を発症してしまう人が急増する。50代を過ぎると、加齢による動脈硬化が起こってくる

・動脈硬化によって硬く狭くなった血管の中を、低体温によってドロドロになった血液が流れる。しかもその低体温が過緊張によるものであれば、血管が収縮するので、さらに細くなり、深刻な病気を招くことになる

食べても太らない人は、もともと食べても太らない体質なのではなく、「基礎代謝が大きい」という体質を後天的に獲得してきた人。筋肉を増やせば基礎代謝は自然と上がり、基礎代謝が上がれば体温も自然と上がる

・20代の中肉中背の男子で、体の中に占める筋肉量の割合は40%、女性では35%。それが70代になると、ピーク時の3分の2程度、つまり26~23%にまで減少する

・人間の筋肉の7割は、おへそから下にあるので、「歩く」ということは、思っている以上に、効率よく筋肉を鍛えることにつながっている

足の筋肉を鍛える基本は、歩くことだが、ふくらはぎに太もも、そして腰の筋肉を一度に鍛えることができるスクワットもおすすめの運動

・理想的な筋肉トレーニングは、3日に1日程度。これだと、傷ついた筋肉細胞が、休みの2日間に修復されるので、筋肉細胞にかかるストレスが最小限度で済む

・運動をすると血行がよくなるとともに体温が上がる。すると骨をつくる細胞の働きがよくなるので、さらに骨密度が高い丈夫な骨がつくられやすくなる

・睡眠には、脳を休ませるということのほかに、「体を重力から解放する」という重要な目的がある。骨髄に問題が発生する病気の多くは、慢性的な睡眠不足が原因

・体を内側から温めることは、生命の本来の活力を与える。できるだけ冷たいものは飲まず、温かいものを飲むように心がけること。温かい飲み物で特におすすめなのが白湯



体を温めることが大事だとわかっただけでも、この本を読んだ価値があったように思います。

健康本が数ある中で、シンプルな良書です。実践できることが多く、参考になります。
[ 2011/01/19 08:27 ] 健康の本 | TB(0) | CM(2)

『あるニセ占い師の告白』石井裕之

あるニセ占い師の告白 ~偉い奴ほど使っている!人を動かす究極の話術&心理術「ブラック・コールドリーディング」 (FOREST MINI BOOK)あるニセ占い師の告白 ~偉い奴ほど使っている!人を動かす究極の話術&心理術「ブラック・コールドリーディング」 (FOREST MINI BOOK)
(2009/05/20)
ジョン・W・カルヴァー、石井裕之 他

商品詳細を見る

この本は、ニセ占い師が過去の成功要因を綴った形式で書かれています。騙しのテクニックを駆使した著者のフィクションですが、巧妙な記述によって、本当に外人の作者がいるような錯覚に陥ります。

しかし、フィクションとは言え、書かれていることは、非常に参考になります。騙されないためのテクニックが、この本には盛られています。

参考になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・占いや霊能力が優れていたから成功できたのではない。見えていたのは、客たちの過去や未来でもなければ、オーラや霊でもない。彼らのズルさを見透かし、ズルい心を利用することに長けていただけ。詐欺師たちが「ズルさのない人間は騙せない」と言うのは真理

・強欲な人間は、その強欲さゆえに。臆病な人間は、その臆病さゆえに。そして、自分は頭がよくて、占い師の話術などには騙されないと思い上がっている人間は、その傲慢さゆえに。どんな人間も騙され得る

・使い込んでぼろぼろになっているカードには説得力がある。信頼性というものは、アピールすればするほど逆効果になる。印象づけたいことは、カモのほうで勝手に解釈させる。こちらからは口にしない

・セレブほど簡単に騙せるちょろい人種はいない。彼らは、自分が特別な人間だと思いたい心と、そうではないかもしれないという不安や恐怖に翻弄され、まともな判断ができる頭を持っていない

占い師に相談に来るカモたちは、自分で決断することから逃げ、自己責任を回避しようとする無意識のズルさを兼ね備えている

・カモは、占い師の豊富な知識に感銘を受けるために金を払って占いを受けにきたわけではない。連中が聞きたいのは、自分自身についての話

・カモは自分の話しか関心がない。占い師が、テーブルのカードを見つめているとき、「カードではなく、私を見ろ!」と不満を膨らます。タロットカードよりも、手相占いのほうが歓迎されるのは、手のひらのしわは「私の」しわだから

・カモは、自分は特別に選ばれた人間で、隣人たちよりも意味のある人生を送るに値するのだという思い上がりを持っている。だから、占いを受けにくる

手相を観ることで、クライアントの手に触れることができると、フィジカルなコンタクトが生まれ、親密さはより深まる。占い師に助けを求めに来るカモたちは、温かみのある接触に飢えている

・周囲から軽んじられている自分を、重要なもののように取り上げてもらえることで、エゴが満たされ、非日常的で刺激的な時間を過ごすことができれば、高額の見料も決して高くない

・占い師や霊能者に相談にくるカモは、無意識の深いところで本当に求めているのは、自分のズルさを正当化してくれる言い訳。そのためなら、カモたちは「いくらでも」金をつぎ込んでくる

・ズルさを正当化してくれるもっとも理想的な言い訳こそが「前世」。自分のズルさの言い訳を、家庭環境や人間関係になすりつけたら否定される可能性がある。前世のせいにできれば、まったく安全。前世の話だから、裏の取りようがない

・自分を向上させようと努力を諦めない人は、健全で力強い人生を歩む。別の何かに責任をなすりつけて、自分は汗もかかず、傷つきもせず、楽をしたいという人は、その代価として、財産を騙し取られる。どちらを選ぶかは本人次第

・ズルさ、卑怯さの代償として支払う対価は決して安くない。たしかな豊かさは、自分の悪しき欠点と誠実に向き合おうとする人にしか与えられない



この本の中で、架空の作者は、「卑怯な人」「努力しない人」「自己中心の人」「自信のない人」「傲慢な人」「欲深い人」は、騙されやすい人であると述べています。

誰もが、人間だから、この中の一つは、有しているのかもしれません。ある意味、人生は、騙されない人になるための修行を積むことではないでしょうか。
[ 2011/01/18 07:05 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)

『「謝る力」が器を決める』高橋龍太郎

「謝る力」が器を決める「謝る力」が器を決める
(2010/05/15)
高橋龍太郎

商品詳細を見る

人間、頭を下げることは、なかなかできないものです。お金のやりとりで頭を下げることはできても、謝罪で頭を下げるには、精神的に大人になっていないとできないものです。

そうなるためには、どうしたらいいのかが、この本に書かれています。参考になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・プライドだけはあっても、自信がない人。そんな困った人々が増えている

・仲間同士で揉めたり嫌われたりすることを極端に恐れているくせに、仲間以外の人には、どう思われても構わないと開き直る。だから、よく知らない人に対して、謝ることもせず、ヘタに謝ると損すると思い込んでいる

・男性は、理想とする自己像と現実の自分に大きなギャップが生じないように、こまめに調節することに慣らされている。ところが、女性の場合、自分に対するある種の思い込みを肥大化させ、ファンタジーのようなものに支えられて生きているところがある

・謝るというのは、「自分がダメでした」と認めること。自分の非を認めるのは勇気のいること。それができるというのは、自分をしっかり持っていて、心が強いということ。ダメな人は謝ることができない

・謝ることは、心の解放につながる。心の重圧や肩の荷が取れて、すっと楽になる。自分を解放していけば、誰もあなたを縛ったり傷つけたりできない

・匿名という行為は、普段押さえつけている「邪悪なもの」を解き放ってしまうところがある。邪悪なものを表面化させては、互いにぶつかり合い、エネルギーをロスするだけで、不毛な競い合いになってしまう。匿名の発言は品位を落としやすい

・自分に非がなくても謝罪しなくてはいけないなんて、誰だって嫌に決まっている。そんなときだからこそ、人間性を試されている

・謝るべきときには、きちんと謝ることができる人間でありたいと自分を高めていくことが大切

・嘘をつくのは悪いことだとわかっていても、人間というのは、嘘をつかずにいられない生き物。せめて、罪のない嘘、小さな嘘で済ませようと心がけ、きちんと守っているなら、それでもう十分に人格者だと言える

・謝罪という苦い場合でも、自分を笑いのめすことで、自分を救うことができるし、「苦い笑い」は、その人物の人間性を豊かにしてくれる

・誰かが誰かに謝って、どっちが勝ったとか負けたとかということではなく、その謝る行為が、お天道様や八百万の神に向けてなされたものなら、尊重して扱わなければならない

・人の心に訴えかけ、誠意を受け取ってもらえる謝罪をするには、ただ人に頭を下げるだけでは足りない。人間の行いをすべてお見通しであるはずの大きな存在に向けて謝罪がなされてこそ、人は人を信じる気持ちになれるもの

・自分が失敗して、人に迷惑をかけてしまったら、まずお詫びに行き、後始末に心を砕かなければならない。失敗しただけでもつらいのに、謝罪、その後のフォローと、つらい作業が続く。そんなときは、「寝て忘れる」。眠りは人間にとって、最大の疲労回復装置



「I’M SORRY」(すみません)は、「HELLO」(こんにちは)、「THANK YOU」(ありがとう)と同じくらい大事な言葉です。

しかし、年をとって、この「すみません」が素直に言える人は少ないように思います。「すみません」が、謙虚さのバロメーターになるのかもしれません。

この本を読めば、素直に謝ることができる人は、まだまだ伸び代があるということがわかります。

謝ることが少なくなっていると感じた人には、おすすめの書ではないでしょうか。
[ 2011/01/17 08:01 ] 人生の本 | TB(0) | CM(0)

『売れっ娘ホステスの会話術』難波義行

売れっ娘ホステスの会話術《笑わせ上手編》―こうすれば、もっと可愛がられる、好意を持たれる売れっ娘ホステスの会話術《笑わせ上手編》―こうすれば、もっと可愛がられる、好意を持たれる
(2009/09/03)
難波義行

商品詳細を見る

著者の本を紹介するのは、「売れっ娘ホステスの育て方」「売れっ娘ホステスが一流ママになる方法」に次いで3冊目です。

この本は、特に会話術、その中でも「客を笑わせる方法」について、詳細に書かれたものです。

お笑い芸人の笑わせ方を分析し、これを接客商売に応用しようという内容の本です。著者のお笑い芸人を見る眼は秀逸です。

今回、面白く、ためになった箇所が25ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



会話が盛り上がるかどうか。それを決めるのは、「1.話の中身」「2.気持ちを伝える表現力」「3.楽しい時間を過ごしてもらおうという気持ち」の3つの要素

・歳をとった、酔った状態のおじさんは、スピーディーな会話のやりとりができない。軽快だけど、中身のないやりとりをするよりも、ひとつの話をしっかり聞くというような、正式な会話形式を好む

・スピーカー(客)が「楽しく話せた」「相手がこの娘だと、うまく話せるな」「またこの娘と話したい」と思ってくれるように「聞く」ことが大事。同調や驚きは、そのための手段

・客がキーワードになりそうなことを言うと、前かがみになって興味を示す。その後、驚いたところで、いったん距離をとり直し、話が進むにつれ、また顔や体を近づける。そして、オチにきたら、拍手し、お腹を抱えて大笑いし、横に倒れる(久本雅美パターン)

・「話のオチに向かって少しずつ盛り上げ、直前に間をとって落とす」つまり、「緊張と緩和」が「おもしろい話」のポイント(島田紳助パターン)

・漫才におけるツッコミには、「1.話を進行させる」「2.視聴者の気持ちを代弁する」「3.フリ・オチ・フォローという漫才の基本形を完成させる」役割がある。「フリ」とは盛り上げの部分、「オチ」はボケ、「フォロー」は客の笑いと同時に突っ込むという意味

・話の中で重要ではない課題を探してボケの方向を決め、突っ込まれながら、どんどん遠い方向に向かっていく。自分で道化を演じ、それを相手にいじってもらうことで話を面白くする(爆笑問題パターン)

・大笑いというリアクションを中心にして、「おもしろい話だった」という印象を強く残しつつ、話を終わらせると、客の顔が立つ(明石家さんまパターン)

・会話のつぎ穂(会話が途切れそうになり、次の話題を考えるとき)には、「木戸にタチカケシ衣食住」。「キ」季節気候「ド」道楽「ニ」ニュース「タ」旅「チ」知人「カ」家族「ケ」健康「シ」仕事「衣」衣装「食」食事「住」住居

場持ちのいいホステスは、1つのキーワードからたくさん、速く連想することができる。言葉の連想ゲームができるようになると、客が話したい話題で、客にたくさん話してもらえるようになる

質問の役割には「次の話題にいくために、探りを入れて方向を決める」と「話を深く掘り下げる」がある。つまり、話題を振って、方向を決めるための質問と、話の背景や場面をわかりやすくして盛り上げ、話したいことを出しきってもらうために使う質問がある

・接客が楽しくない間は三流ホステス。楽しんで働けて二流。客が喜ぶのをうれしいと感じられて一流のホステス。売れっ娘になるには、ホスピタリティな気持ちが絶対に必要

・ホステスにはスピーカーが得意な娘とリスナーが得意な娘がいる。スピーカータイプの娘は、売上が不安定になりやすい。新しい話がつくれずにスランプになる時期ができる。こういう娘もリスナーの技術を高めれば、コンスタントに数字が出せるようになる

・長く流行っている店はどこも、ホステスの層が厚い。売れている娘の指名が重なったとき、空いている席を楽しませる二番手、三番手がしっかりしている。最強の二番手が残っていれば、ずっと店は流行る

・人が話を聞いて笑うときは、1.「いるいる!」「わかる!」(日常のあるある話)2.「ウソー」「マジで」(少し変わった話)3.「そんなわけないでしょ」(違和感のある状態)の3つある。どのパターンでいくか、笑いの方向性を決めること

・大人は話すとき、暗黙の了解のうちに、伝えるための脚色を施す。その脚色が、虚構すぎず、無意味に真実すぎず、伝えたいオチやメッセージが届きやすくできているほど、相手の印象に残る

・主人公が調子にのっていく様子を描くことで、その後ピンチになって困る姿をより際立たせる。調子のいい人がピンチになって困るというパターンは、オチが引き立ち、多くの人に支持される(島田紳助パターン)

・人を引きつける表現技術6つのポイント
「1.話すテンポを変える」「2.声に強弱をつける」「3.上手に間をとる」「4.ジェスチャーを多彩に入れ込む」「5.スペースをフルに使う」「6.表情や視線に変化をつける」

・話しながら、同時に、頭の中では、少し先を読むようにする。「話す内容を考えている自分」と「声を出す自分」と「相手の反応を観察する自分」など、会話上手になるには、分身を操ることが必要

・会話上手で「あの人は頭の回転が速い」と言われる人は、「話すネタや使えるフレーズを貯めている」「発想や話し方の練習をしている」「脳の分業化が進んでいる」

・面白い人は、面白いことを見つけに外に出て探しているから面白いことが言えるのであって、身の回りで面白いことが起こっているのではない

仕切り役の仕事とは、「全体を進行させること」(自分から話題を振る、次に話す人を考えて振る、話をまとめる、次の話題に移る)と「全員を楽しませること」(飽きさせない、笑いをとる、みんな会話に参加させる)

・客の基本的なタイプを見抜くには客を観察すること。初めての客についたとき、似ている客のタイプを連想し、同じような会話をしながら、違いを探し、微調整する



このように、接客のプロになるには、頭の良さと訓練が必要になります。接客で金を稼ぐには、ここまでやらなければいけないのかということがわかります。

売れっ娘ホステスから見れば、世の中の対外折衝や営業などの仕事は、遅れていると感じているのかもしれません。接客のプロを目指す方には、必見の書ではないでしょうか。
[ 2011/01/14 08:04 ] 営業の本 | TB(0) | CM(3)

『しまった!「失敗の心理」を科学する』ジョセフ・T・ハリナン

しまった! 「失敗の心理」を科学するしまった! 「失敗の心理」を科学する
(2010/01/26)
ジョゼフ・T・ハリナン

商品詳細を見る

失敗の心理を科学するがこの本のサブタイトルです。内容は、人間が、いかに愚かな決断を下し、その下した決断に言い訳をしているかを科学的に証明するものです。

「ある、ある」ということが数多く掲載されています。今回、この本を読み、参考になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・たった1週間で30%の人間がパスワードを忘れてしまう。3ヵ月たてば、65%もの人が忘れてしまう

・四人に一人が自宅の電話番号を、三人に二人が、三人以上の友人または家族の誕生日を思い出せなかった

・人の顔を覚えていたければ、初めて会ったときに「この人は善良そうだ」とか「くせ者らしい」などと人格判断を下したほうがいい

・黒いユニフォームのチームは、ペナルティーをとられる可能性が高くなる。「黒は攻撃的」という、ネガティブな連想が働く

・テストの種類が、選択式でも、○×式でも関係ない。「解答変更」はたいてい誤答から正答へのもの。答えを変えた人は総じて点数を上げていることが証明されている

・人は何らかの形で、自分が不正をしていないことが証明されると、その後の作業で、もっと不正を働くようになる

・運転中に2秒間の脇見をするだけで、事故の危険性は2倍になる

・学生は全談話の61%に情報の追加、省略、誇張などを行う。人間は、印象の操作など、特定の目的のためには、平気で話を作り変える

・株式投資の年平均リターンが17.9%であった時代に、多くの取引をしていた投資家層のリターンは11.4%であった

・スポーツジムの会員は、自分が期待していた回数の半分程度しか通っていない。大半の人は、回数券のほうが得にもかかわらず、会員権を買っている

・超一流の専門家は、頭の中に専門知識の図書館を持っている。巨大な図書館を持っていれば、他者にはわからないパターンを即座に見分けられる。この図書館をつくりあげるには、10年、1万時間もの努力や練習が必要

・社会的地位、学歴、収入、結婚、宗教心は、全体の幸福度における、わずか3%しか占めていない

・自分の考えに敢えて異を唱えるよう、反証を求めるようにすれば、自信過剰は大方排除される。ミスを減らすためには、「自分の方法に固執しない」ことが有益

・人は意思決定するとき、生々しい情報を、その価値以上に信用しがち。その結果、間違った決定を下してしまう。体験談が人を惑わす力はとても強い。情報を求めるなら、体験談ではなく、平均値にすべし

・睡眠不足が身体能力や知能に障るだけでなく、気分にも影響を及ぼす。眠い人は失敗をしでかす

・人を単純作業に従事させるためには、お金の力がものを言う。だが、たいていの行動では、人間は総じて金銭的動機には影響されない

人生の資産はお金でなく時間である。人生の転機に、「時間の過ごし方を変えない」ことで、大きな間違いをする



この本の中に、映画を「あとで見る」人は、高尚な作品を選び、「いま見たい」人は大衆的な作品を選ぶということが書かれていますが、全くその通りだと思いました。

自分自身、本を読むのに、「いま読みたい」新刊を手にすると、使ったお金の割に、後で満足感が得られないことが多く、しばらく経って「あとで読む」本のほうが、コストパフォーマンスが高いと感じていました。

このように、「やっぱりそうだったか」ということが、数多く掲載されています。意思決定する際の、参考資料に、この本を役立てるのもいいのではないでしょうか。
[ 2011/01/12 09:59 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(2)

『売れた!売れた!「お客様の声」で売れました!』秋武政道

売れた!売れた!「お客様の声」で売れました!―極貧会社を激変させた「魔法のシート」活用法売れた!売れた!「お客様の声」で売れました!―極貧会社を激変させた「魔法のシート」活用法
(2007/10)
秋武 政道

商品詳細を見る

以前、「アンケートの作り方活かし方」という良書を紹介しました。客の声を経営に活かす内容でした。

今回紹介する本も、客の声を経営に活かすという点では、同じですが、客の生々しい声を集めることに重きを置くという面で、少し違います。

この本を読み、実践的に役立つと思えた箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・売る力をつけるには、広告物に「お客様の声」を載せること。売上アップさせたいなら、まずは、お客様の声を集めること

・店頭のPOPに「お客様の声」を書くだけでも、客の注目度が驚くほど変わってくる

・「お客様の声」を収集し始めてから、紹介客が増えてきた。つまり口コミが増えてきた

・「お客様の声」があると、マスコミが報道する上での「安心感」につながる。マスコミに続々と紹介される

・「お客様の声」で、社員たちに「誇り」が生まれてきた。すなわち、社員たちの姿勢や気持ち、モチベーションが断然上がってきた

・商売の秘訣は、「求めている人に、わかりやすく伝える」こと。「お客様の声」で客が買う理由がわかり、独自のウリがわかってきた

・他の「お客様の声」を見せることや書きやすくなる仕組みを整えれば、客はいくらでも書いてくれる

・「お客様の声」は、クレームではなく、「お褒めの言葉」「喜びの声」を集めること。「お客様の声」の形式は、アンケートではなく、感想文であること。客観的データではなく、一人一人の「物語=感情」を知りたいと思って集めること

・クレームを積極的に集めるのは、しっかりと客とのコミュニケーションがとれるようになってからでないとダメ

・「何かお気づきの点」と尋ねると、本当はあまり気づいていなくても、「悪い点」を探し出して、書くもの。そうすると、社員は、このクレームのような言葉を隠すようになる

・「お客様の声」が集まる基本フォーマットに入れる要素は、「タイトル(お聞かせ下さいと願う)」「依頼文(応援したくなる)」「お客様の声を書くスペース(枠を太く)」「掲載の許可依頼」「客の個人情報(実名)」「送り先と方法」「個人情報の取り扱い」

・「お客様の声」用紙の裏面に、「お客様の声」サンプルを入れると、客はグンと書きやすくなる

商品のライフサイクルの「導入期」は「初めて使ってみました」。「成長期前半」は「たくさん売れているだけあって」。「成長期後半」は「他の○○と違って」。「成熟期」は「やっと見つけました」。これらの「お客様の声」を広告に上手に活用するといい

・クレームに前向きに取り組む姿勢ができていれば、クレームを載せて、客からの信頼を得るようにする

・「お客様の声」の実践で一番重要なメリットは、「お客様に応援されている楽しい会社になれる」こと



客のために尽くすと必ず見返りとしての利益がもらえます。「お客様の声」は、それを円滑にすすめる上での最強の道具だと思います。

この本は、「実践」と「成功事例」が書かれているので、大変読みやすく、活用できる書です。

今、伸び悩んでいる方や困っている方は、「お客様の声」に活路を見出すと、いいことが必ず起こるように思います。
[ 2011/01/11 07:05 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(3)

『ユダヤ人国際弁護士が教える天才頭脳のつくり方』石角完爾

ユダヤ人国際弁護士が教える天才頭脳のつくり方ユダヤ人国際弁護士が教える天才頭脳のつくり方
(2009/01/20)
石角 完爾

商品詳細を見る

著者は、京都大学法学部を首席で卒業後、経済産業省を経て、ハーバード大学で学び、その後、ユダヤ教に改宗し、正式にユダヤ人となった、元日本人の弁護士です。今は、イギリスに在住し、国際弁護士だけでなく、教育コンサルタントとしても活躍されています。

日本人で、ユダヤ人になった人は滅多にいません。ユダヤ人のことを、日本語でわかりやすく説明してくれるので、有難い書です。

特に、ユダヤ人の頭の良さについて、よくわかりました。実践できることも数多くあり、役に立った箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・ユダヤ社会に根付く優秀な頭脳を育てるポイントは、「1.問いかけを重視する習慣」「2.大量の読書量」「3.褒めることで自尊心を育む」「4.国際性を身につける言語教育」の4つ

・ユダヤ人は、質問を繰り返す。質問の狙いは、思考力を育むことにある。ユダヤ人は、「問いの民」「議論の民」「学びの民」「思考の民」と言われている

・ユダヤ人は、5歳で聖書の勉強を始め、10歳で「ミシュナー」と呼ばれる律法の勉強に入り、15歳でタルムードを学ぶ。タルムードには、過去の賢者の説が、複数示され、どれが正しいという結論は書かれていない。このタルムードを読むことが授業の出発点

・ユダヤ人の家は、たいてい本でいっぱい。父、母、子供たちの部屋にも、大きな本棚にさまざまな本が詰まっている。本の選び方は、まず「知りたい」欲求からスタートする。疑問について、調べるのが本の読み方

・普遍的なものに思いを馳せ、じっくりと人類の知的遺産と格闘する経験は、成功をつかむために不可欠。なぜなら、経済であれ、投資であれ、大きな歴史の流れの中の一現象、その大きな方の流れを知らなければ失敗するから

・褒めることはユダヤ社会に深く根付いた習慣。「もっとできる」(YOU CAN DO IT)と言って、子供たちを励ます

・アメリカにいるユダヤ人は、誰でも自己評価が高い。自分の能力に大変な「自信」を持っている。日本人から見れば、「過信」に見えるが、この過信こそが、歴史上の天才を生んできたのも事実

・欧米圏には、英語で「植民地」を広げていくという発想がある。英語によって、産業を支配しているとも言える。昔のような植民地支配ではないが、新しい形での他国支配のやり方。英語を使いこなせなければ、大きなマイナスになることは明らか

アメリカのユダヤ人は56%が大学を卒業(全米平均29%)、25%が大学院を卒業(全米平均6%)。アメリカの高等教育は、学費がかなり高いのに、中流層の家庭でも、教育熱心で、大学院に入れようとする

・身の丈を知り、大勝負に出ないのは、ユダヤ人のビジネス感覚。ユダヤ人は「面子のために損を覚悟」という気持ちはまず持たない

・「日本の物づくりの技術はたいしたもの」と多くの日本人は思っているが、歴史を学べば、「世界の工場」であり続けた国などない。工場だけでは国は生き残れない。ビジネスは、みんなが入ってくる土俵で競争を続けても、どうにもならない

・ユダヤ人は、競争とは別の道を選ぼうとしている。「プラットホーム」(乗降場所、拠り所)という形をつくり、誰もが使う「仕組み」をつくり、誰も真似できない独自性を持つ存在になろうとする

・アメリカの「一芸に秀でる」とは、他の追随を許さないほど、ある分野で秀でた人物は、それだけ情熱家だから、他の分野でも秀でた業績を残す可能性があると考える

・ユダヤ人は、「私はこう考えるが、あなたはどうか」という論法で、話す人が多い。そして、はっきりと自己主張する

・笑いは奥深い営み。他人を貶める質の低いものもあるが、一方で、権力や権威を笑いとばして、それに対抗する手段となる場合もある。何を笑うかで、その人の教養や人格がわかる

・教育コンサルタントは、子供の学習指導をするわけではなく、あらゆる学校に関する情報を持ち、その家の教育の目的、学費、資金などを前提に、どの学校が子供にふさわしいかを提案することを仕事にしている人

・子供の教育設計でも「人と違うこと」を追求するべき。満足できる仕事を行って、社会的な評価を受けるには、人とは違う価値を生み出す必要がある



この本を読み、疑問と議論と読書を重ねたら、人は賢くなるということがよくわかりました。

それらを生み出す元は、好奇心なのかもしれません。その好奇心は、目上のものに褒めてもらい、「図に乗る」ことで培われていくのかもしれません。

ユダヤ人は、褒める民族のようです。豚もおだてて、木に登らせることが「天才頭脳のつくり方」ではないかと感じた次第です。
[ 2011/01/07 08:11 ] 石角完爾・本 | TB(0) | CM(0)

『欲しがらない若者たち』山岡拓

欲しがらない若者たち(日経プレミアシリーズ)欲しがらない若者たち(日経プレミアシリーズ)
(2009/12/09)
山岡 拓

商品詳細を見る

この本は、日経新聞の産業地域研究所に勤める著者が、真面目に書いています。売らんがためのセンセーショナルな記述ではなく、信頼できるデータをもとに、きちんと事実を確認して、調べ上げた書です。

この本を読むと、若者についての驚くべき事実が数多く記されています。参考になった箇所が30ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・20代男女の若者は、車やブランド品を含め、「見せる」「差をつける」「ライフスタイルを体現する」商品への関心の低下が顕著

・日々を淡々と過ごしたい若者にしてみれば、「飲んで日頃の憂さを晴らす」類の非日常はもはや必要なく、面倒なだけである

・今の若年層は、たとえ待つ人がいなくても、とにかく家に帰って、まったりしたい

・20代に限ると、男性の甘党比率は40%と目立って高くなった。20代女性は42%で、男女の比率の差はわずか。若者の場合、かつて見られた「酒か、甘いものか」という嗜好の男女差はほぼ消失している

・21世紀に入り、旅行商品や交通、宿泊などに金を使い、日常の生活圏の外に出かけるタイプの「ハレの消費」は、若者に好まれなくなった

・20代の過ごし方で、2000年調査時より、最も大きく伸びたのは「家で勉強や読書をする」という回答。次いで伸びが大きかったのが「掃除や洗濯など家事をする」という回答

・若年層が身体性の喜びから離れつつある。時間とお金をかけて、遠くまで出かけて、時に用具を使って体を動かすのは面倒

・何より今の若者は、差異を見せつけるための「威張り」や「モテ」のために、お金を使わず、労力もかけようとしていない

・貯蓄の現在高で、300万円以上ある人が20代回答者のほぼ4分の1に達した。500万円以上ある人も1割を超えた。20代男性たちは、口を揃えて、「日々の生活を切り詰めたり、買いたいものを我慢しているわけではなく、自然に貯まっていく」と言う

・「今を楽しむより、将来に備える」という堅実志向のアリ派の20代は、2000年調査時に比べて、年収400万円未満の層では、22%から36%に。400万円以上850万円未満の層でも24%から40%に増えている。堅実志向は所得階層にかかわらず高まっている

・デート関連の出費を嫌い、恋人と過ごすクリスマスのようなイベントに消極的な若者が増加している。特に若い男性は、恋愛に手間暇やお金をかける意欲自体が低く、交際に付随する労力を面倒に感じている

・今の20代は、「異性との交際は面倒、わずらわしい」の回答が、上の年代の3倍近くに達している

・クリスマス時期の都市ホテル利用は長期にわたり減少傾向にある。自宅で家族とクリスマスを過ごす人が増えている

・20代後半の男性から女性へのプレゼントでは、宝飾品、花、バッグの凋落ぶりが鮮明になっている

・異性と仲良くするために多額のお金を使うことをばからしいと考えている人は、20代独身者で3割強、18~19歳では4割近い

・多くの若い男性は、経済的負担や労力を含め、旧来の男性が背負ってきた役割を背負いたいと思っていない。静かで小さな世界で暮らしたいと思っている

・19歳の3分の2は、休日は外出するより自宅で過ごしたいと答えている。同じように考えている29歳は半数弱。仕事疲れはなく、時間の余裕があるはずの19歳は、今の20代以上に「巣ごもり派

・幼少期からネットに慣れた世代にとっては、マスに向けて流される番組の受信者となるよりも、膨大な情報の中から好みのコンテンツを選択し、他の閲覧者とのつながりも感じられるメディアの参加者となる方が、喜びが大きい

・平成生まれの若者は、安くて流行をちゃんと取り入れた店舗や服を選ぶ。服を選ぶ審美眼があるから、あまり整理されていないごちゃごちゃした陳列の店で選ぶ方が好き。幅広い選択肢から財布と好みで選べるしっかり者

・仕事を選ぶ基準は、どの世代もトップが「収入が安定している」こと。19歳では20代よりもその比率が高い。そして、19歳で特に目立つのが、「失業する心配がない」こと。彼らは安定を求めながら、実は安定をあまり信じていない

・19歳がしてみたい仕事の首位は公務員。全体の3割以上が挙げる。2004年の調査で人気上位職種のテレビ番組制作者、編集者、コピーライターはすべてベスト10圏外に消えた。弁護士、公認会計士なども人気が落ちた。職業選びから差異表示は消えつつある

・20歳を迎える平成成人にお気に入りのものの画像を送信してもらう調査で目についたのが、毛玉とり機(男子)、座椅子(女子)、こたつ布団(女子)、湯沸かし器・ポット(男女)、鍋(男子)など。自室で安らぐ時間そのものが主役になっている

・20代の若者は、茶華道や盆栽、神社仏閣、平安の美意識などへの関心を高め、精神文化に深く分け入ろうとする傾向が強い。彼らにとって、次世代に伝えるべき重要な価値は科学や合理性ではなく、京の雅に代表される美意識や自然観となっている

・若年層が特に重視するのは「雅など京風の美意識や季節感」である。彼らが魅かれているのは、武家社会で発達した文化よりも、それ以前の平安期の王朝文化である。江戸より京という傾向は若年層で鮮明

・今後浮上すると目されるのは、東京一極集中が崩れ、狭い地域内でモノや情報の交換を軸として成り立つクラスター型社会。かつてほど「大きな経済」が生み出すものに信頼を置かない。若者が感じる付加価値は「固有性」に移っていく

・今の若者が希求するのは、静かで小さな社会の中での暮らし。彼らは自宅とその周辺の地域内で暮している。「地元を徒歩や自転車で散策することが多い」人の割合は、20代が最も高く、ほぼ7割

・多くの若者は近所を散策することが好き。ネット検索に熱中する一方で、散歩の中でふと見つけた店や景色、不思議な建物にも発見の喜びを感じている

・今の若年層は、上の年代よりも格別エコに熱心とは言えないが、結果的にエコロジストである。海外旅行やドライブをせず、最新の商品に飛びつきもしないので、エネルギー消費は少なくなる。これ以上便利にならなくていいし、高いモノを買わなくてもいい

地元で暮らすのが好きな一方で「電脳派」。消費関連の情報は居ながらにして十分に持っている。買い物は地元のショッピングセンターで十分。情報収集にはネットを使うという層が一段と増えている



ここで記載されているのは若者の流行ではなく、今後の社会の時流です。時代が、この世代と共に、大きく変わっていくように感じます。

若者の行動をいくら否定しようとも、この世代が時代をつくっていく以上、この流れは変わらないように思います。

この事実を頭に入れておかないと、間違った判断を犯してしまうのではないでしょうか。
[ 2011/01/05 08:16 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)

『生きがいの確信』出口日出麿

生きがいの探求・創造・確信(3冊セット)―生きがいシリーズ生きがいの探求・創造・確信(3冊セット)―生きがいシリーズ
(1999/12)
出口 日出麿

商品詳細を見る

出口日出麿氏の著書を紹介するのは、生きがいの探求生きがいの創造に次いで3冊目です。これで、生きがいシリーズ三部作をすべて紹介したことになります。

この本も前二作と同様に、著者が学生時代の大正末期に書かれたものです。大正末期の学生が書いたとは思えない文章に、賛辞を送らずにはいられません。

宗教家というより、哲学家のような感じがします。今回、この本を読み、共感できた箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



自分がわからない人間は困ったもの。自分の素質、天分、職命というものが、おぼろげながらわかって来なくては、真の仕事はできるはずがない

・人は我欲、我利、我執の塊であるから、悪人といっても、自己と利害を共にする人に対しては非常に親切であり、一見高潔である。いな、悪人ほど利己心が強いから、自己のためになる人なら、丁重に取り扱うものである

・真に自己を放れて公共のために尽くす人たちと、公共のためを口実にして、自利をはかっている人たちとは、外見上では区別がつきかねるが、長い間には、いつかはその真相があらわれて来るもの

利己観念の強い人ほど、物事を正当に公平に価値づけることはできない。彼らは常に自己というものを、その中に入れている

・神様は無邪気をもっともお喜びになる。気取ったり、威張ったり、強がったりするのが大嫌いである。子供は心にくったくがないから無邪気。心中にきざした欲を片づけ、すんだことを忘れて、未来のことをちっとも懸念しない

・一切の執着を放れて、心の向かうがままに進もうという考えにさえなり得たら、人はだれでも神である

・他人にはつまらないことでも、自分には無上の快楽と感ぜられる仕事もある。自分には苦しいことでも、他の人には平気なこともある。皆それぞれ主観的に動いているまでで、他を強制したり干渉したりすることは全く徒労である

・何となくそうしたい気分が、人生の羅針盤。理屈を言っている間はダメ、解釈をしている間は初歩。真理に理屈も解釈もない。あるがままが真理、なるがままが真理

・大きな迷惑を他人に及ぼさないかぎり、自分のしたいままを、偽らず飾らずするのがいい。人おのおの使命があって、これに従っていれば愉快であり、これに逆らっていれば不満であるように造られている

・子供の時によいと思っていたことも、後になって悪いと思うようになることはある。しかし、それは構わない。後から悪くても、その時に最善であったら構わない

・宿命は命を宿す。運命は命を運ぶ。宿命は定型であり、傾向であり、軌道であって、これをどうすることもできない。運命はある範囲があって、良くすることも悪くすることもできる

純な心にさえなれば、最初に、ハッと直観したことは、たいてい本当のこと

神に通じる門戸として三つある。「善、愛」によって神を感じるのは、宗教。「真理、道理」によって神を感じるのは、学問。「美」によって神を感じるのは、芸術

・弱者に対して同情し、強者に対して嫉妬するというのは人の常。これは、なるべく世界を平衡に造りたいという創造主の御心

為す省みる悟る、という三段階が次々に繰り返されて、人間は無限に向上していく

・悪かったことは悪かったと、それより生じる報いを素直に自分が引き受ける勇気さえあれば、少々の悪事はなんでもない

・俺はもうダメだと思ってはならない。「なにくそッ!」と、一災一厄くるごとに、希望と向上に燃えなければならない



陶芸家と料理研究家であった北大路魯山人(美味しんぼの海原雄山のモデル?)に、

「これは大哲人の文章だ。今日、日本にこれだけのものを書ける思想家はない。その思索において、これほど真実が語られてある尊い文章を、私は最近知らない」

とまで言わしめた著者の出口日出麿氏は、最近は忘れられた存在になっています。

戦前の宗教弾圧からずっと歴史的に葬り去られた感があります。再度、注目すべき人ではないかと思っています。生きがいシリーズの全三巻を読めば、その凄さがわかるのではないでしょうか。
[ 2011/01/04 08:07 ] 出口日出麿・本 | TB(0) | CM(0)