とは学

「・・・とは」の哲学

『未来を創るエジソン発想法』浜田和幸

未来を創るエジソン発想法未来を創るエジソン発想法
(2009/05/19)
浜田 和幸

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エジソンの本は、「エジソンの言葉」に次ぎ2冊目です。今回の著者も同じく、浜田和幸氏です。

以前は、エジソンを天才発明家としての認識でしたが、従業員1万人を超える企業の創業オーナーだったことや日本人と交流が深かったことを知って、尊敬だけでなく、親近感も沸いてくるようになりました。

この本には、エジソンの日記を中心に、貴重な言葉が多く収められています。参考になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・なぜ社会主義的な発想が広まっているかというと、社会のあちこちで腐敗が見られるからだ

・新しいものを発見したいと思った時には、まず図書館に所蔵されているたくさんの本、学術論文などを隈なく読む。手に入るものすべてを頭に入れるところから始める

・どういう状況でも、とにかく生産性を高めることが大事である

自信を取り戻すということが、ほかのどんな要素と比較しても、いちばん重要である

・アメリカ人全員が、もう一度、人間がいかにお金に弱いかということを見つめ直す必要がある

・人は自分が楽しいと思うものには喜んでお金を払うということ。多くの人々が、これまでにない刺激、楽しいもの、素晴らしいものを常に探し求めている

・私は発明工場の要所要所に標語を貼り出している。「人は、自分で考えるという労力を避けるために、ありとあらゆる理由を考えつく。そういうことは、避けなければいけない」と

考える習慣を身につけていない人は、自分自身を本当に脱皮させることができない。あらゆる進歩、あらゆる成功は、自分の頭で考えることから湧き出てくる

・人の批判に対して、きちんと答えることができれば、逆に、自分のやってきたこと、考えてきたことが正しかったと確認できる

変化なくして前進も進歩もない。知らない場所を訪ねたり、未経験の仕事にチャレンジしたり、新鮮な感動を追い求めることは、肉体と精神がともに欲していることである。この要求を満たすことが成功につながる

・だいたい36歳が、人生の大きな区切り、節目である。すなわち、36歳ぐらいまでに、いろいろ経験し、成功も失敗も考えて悩むが、それ以降は、本当の自分の役割や役目、仕事に取りかかれる

・観察力がないために、世の中のいろいろな動きや変化に対して、みんな無頓着で気づかない、という問題が起こっている

・野心家だけは、掃いて捨てるほどいる。お金をもらえるポジションはたくさんあるが、本当にそれを満たす力を持っている人は少ない

・入社後、最初の6週間で変わらなければ、ずっと定年まで行ってしまう。自分で気づき、変えない限り、悪しき習慣が身につく

・機械を自由に使いこなす分だけ、人間の心も進化する。精神的な面と機械的な面は、対極にあるように思いがちだが、これはコインの表裏である

・我々の五感は、我々の肉体の外側に存在している。さまざまな状況、コンディションに合わせ、本来、その変化を察知し、対応できるように機能する力がある。人間の脳がすべての判断や知識の中心だと考えること自体ばかばかしい



この本には、エジソンの発明に関する考え方だけでなく、「従業員教育」「お金」の話も多く、載っています。

発明王エジソンとしてだけでなく、人間エジソンとして、この本を読めば、偉人の新たな発見があるのではないでしょうか。
[ 2010/10/31 07:02 ] 偉人の本 | TB(0) | CM(0)

『言葉の罠-仕掛ける・動かす・味方に変える』松本幸夫

言葉の罠―仕掛ける・動かす・味方に変える (リュウ・ブックス アステ新書)言葉の罠―仕掛ける・動かす・味方に変える (リュウ・ブックス アステ新書)
(2009/12)
松本 幸夫

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言葉から、相手の真意がどこにあるのかを知ることは大事です。恋愛、交渉、商談など、言葉の裏を読まずに、成功できるほど、この世の中は甘くありません。

相手の本音を読むことは、成熟した大人の階段を昇るのに欠かせないものです。この本は、言葉の罠に引っ掛からないように、本当の意味を解釈してくれる有難い書です。

参考になった箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・「ドキドキしちゃう」「緊張しちゃいます」は、「あなたと会うと鼓動が高まる」ということ。「あなたを魅力的だと思う」ことをほのめかす言葉。気のない相手から言われると危ない言葉

・「私たちが出会った日は」「私たちの関係は」というように話すと、心理的距離がグッと縮まる。私たちはニセの一体感をあおる。言葉だけで、操ろうとしている可能性が高い

・「休みの日は何を?」と口にしたら、それは「あなたに急接近したい」「もっと仲良くしてよ」というサイン。異性の場合は、この言葉に乗らないのが無難

・「偶然ですね!」と言えば、「二人は合うね」「運命の相手?」と無意識にささやきかけることができる。運命を装って急接近するのにいい言葉

・気になる異性から「彼(彼女)は素敵だ」と言われて、心を刺激されない人はいない。この言葉は、嫉妬心を刺激し、主導権を握ろうとしていると考えられる

・「初めてなの」という女性の言葉は、いかなる場面でも、男の独占欲を満たす。本当の「初めて」なのか、計算ずくの「初めて」なのか、よく見極めることが欠かせない

・「手伝えることある?」は、一見親切な言葉だが、手伝う気など全くないのに、こう言う人がいるので困る。「私はいい人だろう?」という演出も込められている

・今まで、あれこれうるさく指図していた上司が一転して、「思い通りにやれ」「好きにしていいぞ」と言い始めたら要警戒。この言葉は相手に責任を押し付ける言葉

・「君のためを思って言うんだ」。本当に相手のためを思っていたら、「君のため」と念押ししない。ほとんどの「君のため」は「自分のため」をカモフラージュし、大義名分を利用して人を動かそうとする策略

・「言いにくいんですが」の言葉の後には、悪い知らせが続く。それを承知させる「クッション言葉

・「今、大丈夫?」は、相手を一見気づかっているように思わせる常套句。こちらにノーと言わせないために「大丈夫?」と聞いていると考えたほうがいい

・「ほかのテーブルに行かなくちゃ、続きはあとでね」と言えば、客の話を中断でき、客は、次も彼女を指名したくなる。「続きはあとで」は、恐ろしい力がある言い方

・「要するに」という言葉には、「話が長すぎますよ、論理が混乱してますね。私がまとめてあげましょう」という傲慢さが見え隠れする

・「勉強になりました」と言うのは、「あなたの勝ちです」「君が上だ」と言うのと同じ。言われた方はプライドをくすぐられる。自分より社会的地位や年齢の上の人から「勉強になったよ、ありがとう」と言われれば、あの人はいい人。謙虚な人と無条件に信じてしまう

・「部長がほめてたよ」と第三者から聞くと、うれしさも倍増する。当の部長からほめられるよりうれしかったりする。この話法は、自分はほめていないのに、「あの人がほめていた」と言って、自分に対する好感度も上げる

・「ムリかもしれないが、やってみるよ」と言うのは、できなかった時、万一言い訳ができる

・「あと一ついいですか」と言われて、「ダメです」と言う人はまずいない。ほぼ全員が「何でしょうか」と反応してしまう。お開き宣言し、相手がフッとリラックスした時が最適のタイミング

・「私はこう思いますが、あなたの意見は?」と優しく言うことで、「売りつけているんじゃありません。本当にあなたのためを思って言っているんです」と印象づけられる

・「一緒にがんばろう」というように、動詞に「一緒に」をくっつけて仲間意識を出そうとする。裏切りを恐れる人ほど、これを必ずつけてくる



こういう言葉の端々に敏感になり過ぎるのも問題ですが、家族や親友以外の人間関係においては、注意する必要があります。

特に、仕事上での人間関係では、これらの言葉が多用されているように思います。言葉の裏を理解することが、仕事をするのに役立ちます。

人間は優しく嘘をつく動物であると、再確認できる書です。
[ 2010/10/29 08:11 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)

『金は天下のまわりもの-金儲けできる人できない人』泉秀樹

金は天下のまわりもの―金儲けできる人できない人金は天下のまわりもの―金儲けできる人できない人
(2005/01)
泉 秀樹

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この本には、歴史上の人物たちのお金にまつわる話が収められています。お金の扱い方で、人物像が見えてきます。

お金が持つ力は、歴史を動かすほどの大きなものです。歴史上の人物が、お金をどう考えていたかがわかる貴重な書です。

勉強になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・西行も鴨長明も世を捨てる「遁世者」ではない。当時、出版社はないので、原稿料も印税もない。書いても収入ゼロ。西行は豪族の御曹司、鴨長明は名門出身でスポンサーがいた。金持ちが貧乏な恰好で文学を創り出す。貧乏は恰好だけ。これを贅沢貧乏という

足利義教は僧の道淵を使節として、明に朝貢を申し出た。目的は、先進文明と貿易の利を得るための国交回復。総売上の約10%が将軍の取り分で、次々に出航し、帰国する船がもたらした利益は大きかった

・16世紀、ポルトガル船が来て、大いに稼いだ。長い航海、沈没の危険、利息を加算した利益が約10倍だった。それが商行為におけるボロ儲けの限界というところ

・京都や鎌倉の五山禅寺の五山僧は金融業を営んでいた。月利3~5%の利息を取る高利貸し。朝廷は「関銭」(通行税)を免除し、「祠堂銭」(お布施)も保護し、大きく貯まってきたら幕府は五山に集金旅行をしていた。五山こそ日本の経済を実質支配していた

・秀吉は必要に応じて気前よく「金賦」(金配り)をした。人望とは、ある意味、お金に換算できる。ケチくさいだけでは、人はついてこない

・家康は懐紙一枚が風に飛んだら追いかけ、拾い上げて手を拭いた。常日頃の倹約で貯めた金は、家康が死んで尾張徳川家が相続しただけでも、今のお金に換算すると3000億~5000億円

・徳川家光は田畑永代売買禁止令を出したが、農民は田畑を「質入れ」し、「質流し」した。それを手に入れた者が「地主」になった。士農工商のどれにも属さない地主階級は、身分制度を基本に置いた封建制度に矛盾を起こし、封建制度の崩壊につながった

・徳川家が倒れたのは、財政収入をあてにせず、貯め込んだ金を使いつづけ、それを増やそうともしないまま使い果たしてしまったから

・財政再建した徳川吉宗は幕府にとっては「中興の英主」だが、万民にとっては、増税されて、節約を強制されたので、「英主」ではなかった。吉宗の時代は、貧乏ったらしく不景気な時代であった

・江戸時代、金鉱発掘で儲けた大久保長安は、死後、嫉妬がつくり上げたデマがもとで、黄金七十万両を押収され、七人の子供たち全員が切腹させられた。金持ちは、儲けたことを人に知られないようにする技術がなくてはならない

・江戸時代の御家人は「三日勤め」(二日勤めて一日休み)。万年赤字をかかえた彼らは、武士としての見栄をさっさと捨て、たっぷりある暇な時間に、つつじ栽培、傘張り、春慶塗り、鈴虫飼育などのアルバイトをして、必死に働いて生活苦を乗り越えていた

・札差に巨万の富を得させたのは、米の換金手数料によるものではなく、御家人たちの受け取るべき御蔵米を担保にして金を貸し付けた利息

・博多の豪商、島井宗室は、「連絡のない人、人と対立しがちな人、物事にすぐ文句をつける人、心悪く中傷する人、大酒飲み、権力者好き、芸能好きな人、口うるさい人などとは、交際はおろか同席することも避けよ」という家訓を遺している

・加賀の商人、銭屋五兵衛は、大野弁吉などの天才的頭脳を有する技術者に惜しみもなく投資した。それらが、日本の工業国としての礎をつくった。弁吉は「知と銭と閑の三つのもの備われば、一物たりともあらたに究理発明あたわず」と後に、言っている



この本を読む限り、権力と金は、切っても切れない関係で、権力さえ握っていれば、金などはいくらでも手にすることができるようにも思いました。

三権分立の世の中では、露骨にするのは、難しいかもしれませんが、政治が経済を支配するのは、仕方のないことなのかもしれません。

金は「天下」からまわってくるということがよくわかる書です。
[ 2010/10/28 07:27 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)

『「売れる営業」のカバンの中身が見たい!』吉見範一

「売れる営業」のカバンの中身が見たい!―“新規開拓の神様”が明かす必勝ツール34「売れる営業」のカバンの中身が見たい!―“新規開拓の神様”が明かす必勝ツール34
(2007/01)
吉見 範一

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著者の吉見範一氏は、以前に紹介した「奇跡の営業所」の森川滋之氏の師匠に当たる人です。営業は「紙芝居」と考え、数々の実績を上げてきた方です。

今回、紹介するこの本も、「紙芝居」としての営業ツールには、どんなものがあるのか、具体的に掲載されています。

「営業は怖くない、営業は心理科学」と信じるための小道具の数々は参考になります。

この本を読んで、すぐに役に立つと思えた箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・営業ツールがもっているメリット
「営業トークを気にしなくてよい」「客から積極的に質問してもらえる」「売り込みしなくてよい」「何度でも使える」「気持ちに左右されずにすむ」

営業カバンは、「使用するツールがスムーズに取り出せる」「床に置いたとき、そのまま取り出せ、スマートに使える」「客に見せてはいけないものと見せていいものを開くメインのファスナーが2つある」のが必須条件

・用件を切り出すツールとして、「パンフレットの表紙」を切って使う。これを見せて、効果のある客は「商品の必要性にまだ気づいていない客」。これを見せるだけで、断りの数が半減

・ファーストショット(アプローチツールの最初の一打)は、「言葉として知っていても、実際に見たことがない現物」。これを、客の視線に注目し、客が手を伸ばせば受け取れるくらいの距離にスッと差し出す。客が手を伸ばしてくれば、断ることができなくなる

・知られていない商品を売るには、「商品普及図」(担当地区の地図に、導入会社を赤い印で塗る)が効果を発揮する。あまり、客の近くまで持っていかないことがポイント。そうすると、客は身を乗り出してくる

・イントロツールとして、役に立つのが「類似品との対比図」。知らないことを伝えようと思ったら、客が知っていて、かつ売ろうとしている商品と似ているモノから話を始めるようにすればいい

・「ギャップ実感ツール」は、数字だけでは伝わらない「それを使ったらどうなるのか?」の状態を図で表現するもの。ビフォーアフターで違いを一目瞭然にすること

・「紙芝居ツール」とは、1枚1枚、客にワンポイントツールを見せ、営業トークを進めていくもの。客の気をそらす不要な情報がないワンポイントツールは、営業トークに集中できる

・「第三者の言葉ツール」とは、客観的な評価として、客から信用してもらいやすくするもの。これを見せる際には、10枚以上、次々とめくりながら、いっぺんに見せること。客の視線を考えて、クリアファイルを縦に開き、上下2ページで、一つのことを話す

・客からの検討結果の連絡を待つしかない状況を防ぐため、再訪問の理由をあらかじめつくる。そのために役立つのが、「宿題ツール」。客からの質問に、「調べます」と言って、印刷して手渡せる形にした資料。これを用意できれば、再訪問の口実ができる

・「話は元に戻るのですが」と、切りだすと、簡単に元の話に戻れる。そのときには、また「興味引き出しツール」を使う

・新規開拓の営業で、訪問しているときは、近所にある同業他社の話が一番盛り上がる。「ふんふん」としか言ってくれなかった客でも、「それって本当?」という感じで、真剣に聞いてくれる

・小さな会社の営業マンの場合、会社名を知られていないハンデを抱える。それを「会社の地図」を使うことで、かなり克服できる。近所にどんなところがあるのかを話すだけで、「全然知らない会社」が「ちょっとは知っている会社」に変身する

・新しい商品を導入したがらない客には、その商品の売り方がイメージできる「他店舗のユーザー写真集」を見せる。たくさんの店舗を見せることがポイント。店舗の看板、入口、店の名前、所在地を忘れないように明記し、ユーザーの体験談を話すこと

・自社にとって不利な情報をきちんと伝えることで、「この人の言っていることは信用できる」と思ってもらえる

・「契約するかどうかは、あわてて決めなくてもいいのですが」と前置きして、「小さな決断」を促すための「クロージング(買った後)ツール」を使う。その中で使いやすいのが取扱説明書。これで、買った後のイメージをしてもらう



この本は、釣り名人が書いた、釣りの手引き書のように思いました。どんな魚でも、魚の行動や心理を真剣に研究すれば、釣ることができます。

従来の営業の本とは一線を画す、ユニークかつ有益な書です。営業に携わっている方が、この本を手にすれば、営業が苦手と思っていても、成績をすぐに伸ばせるのではないでしょうか。
[ 2010/10/26 07:52 ] 営業の本 | TB(0) | CM(0)

『金持ちが地球を破壊する』エルヴェ・ケンプ

金持ちが地球を破壊する金持ちが地球を破壊する
(2010/01)
エルヴェ ケンプ

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金持ちが地球を破壊するとは、大袈裟なタイトルですが、内容は、世界の貧富の差に関する問題がほとんどです。

日本でも格差問題がずっと議論を呼んでいますが、世界の先進大国でも、概ね、同じような問題が起こっています。

著者は、フランスのジャーナリストで、日刊ル・モンド紙の執筆者です。この世界の貧富構造がどうして生まれたのか、独自の見解で、この著書が構成されています。

この本で、参考になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・今、社会的、環境的混乱に直面している人々(西欧の郊外貧困層、アフリカや中国の農民、アメリカの工場で働くメキシコ人労働者、世界中の貧民街住民)には、発言権がない

・フランスの最低保障対象者(1人暮らし約5万円、夫婦約7万円)は120万人に達した。その主たる犠牲者は、一人暮らしの人、父子または母子家庭、そして若年層である

・貧乏人は怠け者ではない。給与生活者という仕事では貧困から身を守ることができない。フランスの首都圏のホームレスの3人に1人は就業者であることが明らかになった

・所得が金銭的な貧困基準以下の人たちに覆いかぶさるのは不安定要因。フランス人の3分の1の2000万人が不安定な状況(全産業最低賃金の1.8倍以下の所得で生活)下で生活している

・日本では、1990年代の初めまで、国民の大半は、自分たちは中流階級に属していると思っていた。この感覚は木っ端微塵に吹っ飛んだ。この時期、金融バブルがはじけるに続き、格差が広がり始め、所得格差が若年層に広がり、中流階級の生活水準は落ちた

・他人より稼ぎが低いのは何とか我慢できる。だが、絶対に追いつけないとなると、これは辛い。社会に流動性が失くなっている

世代間格差という別の格差が生まれ、40歳あるいは50歳以上の成人資産と所得は、それより若い世代よりも断然多い。貧困層は20年前とは違っている

貧困の相対性(金持ちではない。だから貧乏である)は、不平等を減らせば、貧困も減るという大きな意味を持っている。つまり、貧乏を減らすには、金持ちを減らすこと

・貧困な農政が、農地の誤った開発、撲滅、放棄を促進する。農民は、万策尽きて村を棄てる。ところが、都会は幸福が約束された場所ではない。飢えた農民が歩いて行くその先にあるのは、貧しいスラム

・世界はこんにち、19世紀末アメリカの「泥棒男爵」以来、類の見ない貪欲さで、所得と資産と権力を貯め込んだオリガルキー(少数の有力者一家)によって支配されている

・最貧困諸国においては、特権階級は、欧米諸国の特権階級とつながり、国家の上層部を構成している。各国の支配階級は、多国籍企業に天然資源をつかませ、治安を保障する権力と引き換えに、富の世界的争奪戦に参加できるようになった

・世界のオリガルキーは、相続税や固定資産税や、どんな課税もただの形にすぎない租税回避ができる国、タックスヘブンで財産を守ろうとしている。脱税は優れた経営の鉄則の一つになった

・日本では、1990年代に、最高所得税が70%から37%に下がった。さらに小泉首相は、相続税減税も付加した。タックスヘブンは、金持ちに対する課税を引き下げることを国家に示唆するべく圧力をかける有効な手段となっている

・奪略的かつ強欲な支配階級は、金ずくで、権力を悪用し、人類の新たな歩みの障害となって、動こうとしない。何の計画もなく、何の理想にも動かされない彼らは、何のメッセージも発することがない

・上流社会に育った人間にとっては、同類から高く評価されることが一番。金と暇を持て余した階級だけの社会が出来上がり、幅を効かしてくれば、社会の下層部分は体制の外側にはじき出し、見せびらかす相手にさえしなくなる

・アメリカでは囚人の数は、220万人。これより高い数字は、スターリン時代のロシア、毛沢東時代の中国以外ない。住民10万人当たり囚人が738人となり、刑務所は貧困者対策となっている



貧困はなぜ発生しているか、そして、貧困者がどう社会に影響を及ぼしているか、それを食い止めるにはどうすればいいかが、この本に書かれています。

貧しい国の貧困ではなく、豊かな国の貧困は、今後とも世界的に広がっていくように思います。そのことを頭に入れて、どう対処すべきか、日頃から考えておくことが大事ではないでしょうか。
[ 2010/10/25 07:47 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)

『働かないって、ワクワクしない?』アーニー・J.ゼリンスキー

働かないって、ワクワクしない?働かないって、ワクワクしない?
(2003/09/01)
アーニー・J. ゼリンスキー

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著者のアーニー・J・ゼリンスキー氏は、5月~8月は仕事をせず、週4日、1日4~5時間働き、自分自身を犠牲にせず、自分の望みを達成する生き方を実践されているようです。

この本を読む前は、著者のことを胡散臭く感じていましたが、読み進んでいくうちに、著者が、知識人であり、立派な哲学を持ちあわせているように思えてきました。

結構真面目な本です。気休めに読む本ではなく、真剣に読む本かもしれません。

この本の中で、共感できた箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・自由時間というのは、汗水たらして働くことから離れた時間である。しかし、自由時間を充実させるためには、汗水をかかなければならない

・かつて、自由時間は滅多に手に入らない贅沢品だった。自由時間がたっぷりある生活は目指すべきゴール

・生活のためならば、楽しくない職場で働くこともやむを得ない。だが、経済的に困っていない人々でも、モラルのためにつまらない職場で長時間働いている

・偉大な人物たちは、クリエイティブな怠け者。リラックスしたり、考えたりするのに、長時間使う

・現代社会が定めた人生の主な目的とは、労働の報酬であるお金を使ってモノを買うこと

仕事中心、金中心の精神構造を捨てないと、幸福のために何が大事かわからなくなる。勤労の美徳のモラルのせいで、私たちは奴隷になっている

・企業のトップは、貪欲で支配力もある「仕事中毒の人」が好き。仕事中毒はアルコール中毒と同じで、深刻な問題を抱えた神経症患者である

・多くの企業は、従業員の意欲を引き出すのは、安定性、給与、年金だけという哲学を持っている。だから、「金銭」「社会」以外の「知性」「身体」「家族」「精神」の分野のニーズは、仕事以外のところで満たさなければならなくなる

・金を稼ぐために嫌いな仕事に時間を費やしていると、人生を楽しむ能力が損なわれる。また、金を稼ぐ能力も損なわれるもの

・成功した人が幸福なのは、自分の使命を持っているから。毎朝、起きるのがつらいなら、自分の使命をまだ見つけていない

・才能を使って、使命を追求していると、副産物が生まれる。お金を稼ぐことも、その副産物の一つ

・安全でリスクのない道を選んだ人々は、退屈という病気に襲われやすい。リスクを冒さないため、達成感、満足感、充足感といった報いを受けることは滅多にない

・人生で最も難しいことの一つは、本当に欲しいものは何かを発見すること。大半の人は本当に何が欲しいかわかっていない

・達成感や満足感は、やりがいや目的ある活動からしか得られない。受動的な活動は、精神の高揚をもたらさない

・創造的な人は、目の前の課題に心身共にのめりこむ。集中力が高く、時間を忘れる。彼らは、瞬間を楽しみ、次に何が来るかを心配しない

・物質主義、仕事中毒、スピード第一に毒された文化のスローガンは「時は金なり」。時間は金では測れない。時間を幸福で測れば、みんな健康になり、幸福になれる。「時は幸福なり

・一人でいることには二つの面がある。暗い方の面は「孤独で寂しい」。明るい方の面は「独りで楽しい」。多くの人が、一人でいることの楽しみを見つけ出せないでいる

・自己実現した人は、自分のアイデンティティの土台を社会的な集団に置いていない。自分の信念と欲求のもとに一人で立ち、他の人々からの批判や反対を受けて立つことができる

・お金は不満足を排除するためには重要な存在であるが、それが幸福や仕事に対する満足感にはつながらない

・いくら稼いでもお金が足りないという人は、おそらく必要がないものにお金を浪費している。なぜ、自分がそんな無駄遣いをして、危ない暮らしをしているのかを明らかにするべき

・リッチになる方が、ハッピーになるよりやさしい。幸せな神経症患者は存在しないが、金持ちの神経症患者はたくさんいる

・臨終の際に、「もっとたくさん働いておけばよかった」と言う人はいない。やり残して後悔することがあるとすれば、それは仕事ではなく、自由時間にやるべき活動である。最も貴重な瞬間は、働いていない時に訪れる



我々は、仕事中心、金中心の社会を生きています。勤労の美徳というモラルに従って、誰かに動かされているように思います。

自由時間こそが「贅沢必需品」であるにもかかわらず、「贅沢不要品」にお金を費やすばかりに、自由時間が手に入らない状況に陥っています。

仕事とはいったい何か。お金とはいったい何か。この答えがわかった人は、この本をすんなり読めるのではないでしょうか。
[ 2010/10/24 07:15 ] ゼリンスキー・本 | TB(0) | CM(0)