わが家の
戦国ブームは、ゲームの「戦国無双」を子供たちに買ってあげた5年前から、ずっと続いています。この5年間に、
天守閣のある城12カ所、
古戦場5カ所に足を運ぶことにもなりました。
子供たちは、戦国時代に興味を持つようになってから、大人の部屋の本棚から、戦国物や歴史物の本を勝手に取り出して読んでいます。
今日取り上げる本は、今から20年以上前の本ですが、書棚の隅の方にあったものです。子供が取り出してくる前は、すっかり忘れていました。
戦国武将の言葉をまとめた書ですが、久しぶりに読むと、各武将の個性が言葉に如実に表れており、面白く読めました。
勉強になった武将の言葉が、15人ほど、20以上ありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。
・天下の政治は角なるものに、
丸き蓋をしたるようにするが良く候(細川忠興)
「四角の容器に丸い蓋ではキチッとはまらない。そこが天下の政治の要領。大雑把でよろしい」
・刀、衣装は人のごとく立派と思うべからず、見苦しくなくば良し(北条早雲)
「主君が立派な刀や衣装を否定しなければ、家来は苦心してカネをつくり、立派な刀を差し、派手な衣装を着る」
・汝ら鶴の楽しみを羨まず、
雀の楽しみを楽しみ候(滝川一益)
「鶴と俺とは同じ。大名になって広い領地をもらっても、昼も夜も気の休まることがない。雀は何にも気づかいしないで、ひたすら楽しんでいる」
・
諫言する家老は戦場の一番槍よりも遥かに増した心根なり(徳川家康)
「諫言は命懸けのもの。だからこそ主人は、命をかけても諫言してくる臣下を育てたいもの」
・取らせたき者に思うさま取らさんための倹約なり(黒田如水)
「家来にたくさんの土地を知行させたいためこその倹約である」
・信長はいずれ
高転びに、あおのけに転ぶと存ぜられ候(安国寺恵瓊)
「信長の権勢はまだ数年は上昇するが、そこであおのけに転ぶと予言した。この手紙の中で、恵瓊は木下藤吉郎が『さりとてはの者』(相当な人物)と言っている」
・
人を使う要件に二つあり。一は賢を尊び、二は能を使う(徳川家康)
「賢を尊ぶとは、人間性豊かな者を重用するということ。能を尊ぶとは、人間の欠点に目をつぶっても能力を買うということ」
・祈るも天道、祈らぬも天道なれども、我は祈る(三好長慶)
「祈れば果報があると決まってはいないが、それでも祈る。祈ることで迷いと対決した」
・二度目までは教え候。三度目には切り候ゆえか、行儀よろし(細川忠興)
「失礼や無礼があっても二度までは許す。同じ失敗を三度もやる者は、いくら教えても見込みがない」
・三人いくときかならず我が師あり(北条早雲)
「人が三人いれば、そのうちの一人はかならず師として仰ぐべき人だから、その人に従えばいい」
・
臆病神の付きたる上は、百万騎の勢ありとも、戦いに負けるべし(小西行長)
「軍隊が一歩でも退却をはじめたら、虎も鼠になってしまう」
・奉公人の四種類、
急だらり・
だらり急・
急々・だらりだらり(鍋島勝茂)
「急だらりは、すぐに仕事にかかるが、結果が出るのに時間がかかる。だらり急は、仕事を理解するのに時間はかかるが、着手後ははやい。急々は任務の意味を咄嗟に飲みこみ、仕上げも早く正確。数は少ない」
・家来にはむざと言葉をかけぬものなり。
金銀や
米銭で目をかけよ(前田利常)
「大将は家来に言葉を言わぬもの。金銀、米銭、衣類などで目をかけておく。大変のとき、カネを出す余裕がないとき、そこで懇ろに言葉をかけると、家来は命を投げ出し働いてくれる」
・
構えありて構えなし(宮本武蔵)
「敵を前にしたら、どう構えるかではなくて、どう勝つか」
・崩れる時期には崩すのがよし。崩すまいとすると汚く崩れる(鍋島直茂)
「崩れるのは時節の結果なのだから、思いきって潔く崩してしまうのがいい。最低のところに落ちて割り切ると、いままで見えなかったものが見えてくる」
・素肌でも早く
駆けつけるが良し。具足の有無に差別なし(井伊直政)
「具足を着る暇もないほどの緊急事態なら裸でも構わない。まず駆けつけるのが大事」
・
分に過ぎたる値の馬を買うべからず(竹中重治)
「五両の馬なら、敵を追いつめたら、飛び下り、乗り捨てが可能。十両の馬を買うと、馬の心配をして、武巧のチャンスを逃す。武功を立てた後、残りの五両で別の馬を買えばいい」
・物の本、文字あるものを懐に入れ、人目を忍んで見るべし(北条早雲)
「組織のリーダーが配下の読書を恐れるようなら、たいした人物ではない」
・人前において食物並びに売買の雑談、なすべからず(武田信玄・信繁)
「人前で食物や売買の話をやるのは、主人からの手当てが十分ないとの疑問を抱かせるだけ」
・一切の道理を見おわりて、胸にとどめす、
はらりと捨つべし(柳生宗矩)
「いったん把握した道理を捨てればいい。捨てないと平常心になるのを邪魔する」
・
大将の武道を好むは武芸を好み、心をいかつにするにはあらず(黒田如水)
「武道を好むといっても、自分が武芸に夢中になることではなく、荒々しい心になることでもない。戦の道を知り、乱を鎮める智略を育てるのが目的」
戦国武将は、下剋上の世の中で、
現場叩き上げで成功を勝ち取ってきた人たちです。今で言えば、大企業の
創業オーナーのような存在です。
その言葉の重みは、現代にも通じるものが多く、勉強になります。しかも、それぞれに個性が強いので、自分に合った戦国武将を探していくのも面白いのではないでしょうか。
戦国武将人気がずっと続いているのも、頷けるような気がします。