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「・・・とは」「・・・人とは」を思索
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『非営利組織の経営-原理と実践』P・F・ドラッカー

非営利組織の経営―原理と実践非営利組織の経営―原理と実践
(1991/07)
P.F. ドラッカー

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この本の著者は、今、流行?のドラッカーです。1991年に出版されたので、19年経っています。

その当時、「お金の報酬」だけでなく、「心の報酬」を組織に活かすには、どうすべきかを考えていました。それで、この本を買ったのだと思います。

この本のおかげで、組織運営の究極の方法、リーダーの究極像を学ぶことができたように思います。

今回、鉛筆で線を引いた箇所を再度読み直しました。改めて、参考になった箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・非営利機関は、人間変革機関である。その「製品」は、治癒した患者、学ぶ子供、自尊心をもった成人となる若い男女、すなわち、変革された人間の人生そのものである

・非営利機関は人と社会の変革を目的としている。リーダーの要件として、カリスマ性は重要でない。リーダーの使命が重要である。リーダーは真先に、自らのあずかる機関が果たすべき使命を定めること

使命の表現は、その機関が現実に何をしようとしているのかに焦点を絞ったものでなければならない。その組織に関わる一人一人が、目標を達成するために、自分が貢献すべきことはこれだ、と言えるものでなければならない

・使命の表現は、「機会」「能力」「信念」の三つを示していなければならない。さもないと、究極的な目標を達成することはできず、目的も果たすこともできず、最終的な成果も得られない

・非営利機関のリーダーは、成功につれて成長していくべきことを知っておかねばならない。組織としての勢い柔軟性活力、そしてビジョンを失ってしまうと、組織は全く動かなくなってしまう

・新しいことは何であれ、心底信ずる人々の懸命な努力がなければうまくいかない。そうした人は、片手間でやる人々のなかには見出せない

・まず見るべきは強みである。人は強みのあることしか、成し遂げることはできない。その強みを活かして、何をしたかを見る

・リーダーには、客観性、一種の分離感が必要である。職務と自らを一体化してはならない。職務は、リーダーの一身よりも、はるかに重要なものである

・組織の持つ高い基準が、人を組織に惹きつける。高い水準から、自尊心とプライドが生まれる。たいていの人は、何らかの貢献をしたいと欲している

・リーダーはビジョンを持たなければならない。リーダーはおのずと未来志向型の人間である

・自分がまずなすべきことは何か。組織がまずなすべきことは何か。組織にとって優先すべきことは何か。これが行動計画である

・非営利機関には、「計画」「マーケティング」「」「」の四つが必要である。

・非営利機関が提供するサービスは、自分たちがとくに優れた能力を有する分野に集中すること

・アイデアをテストすることを怠ってはならない。実験段階をとばしてはならない。これを怠り、コンセプトの段階から直ちに全面展開へ移れば、ちょっとした欠陥のために、イノベーション全体を台無しにしてしまう

情報中心型組織では、各人が、その上司、同僚に対して、情報を伝達する責任を負っており、とりわけ、そうした上司、同僚を「教育する」責任を負っている

・組織全体の見識、ビジョン、期待、そして成果をあげるための能力を高めるためには、花形的な人材を効果的に使う必要がある。実績をあげた人を主役にする。しかも、彼らにプライドを持たせるには、彼らを仲間の教師として使うことである

・一人の人をスタッフ部門に長く置くべきではない。ローテーションを組んで、定期的に現場の仕事に戻すべきである

・非営利機関は、寄付者に対して責任を負っている。そのため、よき意図だけでは転落の道を辿ることになる

・どのような分野に「影響」を及ぼしたのか。顧客はどのようなことについて期待でなく「必要」としているのか。どのようなことで「時間」を浪費しているのか。最大のものを引き出すために、どのような分野に「集中」すべきか。毎年一回の見直しが必要である



現在、民間は、20年続くデフレにあえいでいます。そのせいもあって、公務員や各種公共団体の職員は、大きな批判を浴びています。

この本は、非営利機関の職員が、何を目標に仕事をしなければいけないのか、どういう成果を上げないといけないのかが、明確に記されています。

非営利機関に勤められている方は、こういう時勢こそ、気を引き締めて、もう一度、非営利組織の使命を確認して、業務を遂行する必要があるのではないでしょうか。そのために、是非、読んでほしい書です。
[ 2010/08/31 08:25 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)

『人はなぜ怒るのか』藤井雅子

人はなぜ怒るのか (幻冬舎新書)人はなぜ怒るのか (幻冬舎新書)
(2009/01)
藤井 雅子

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今から、6、7年前くらい、よく怒っていた時期がありました。

「正義に固執するうちに、赦す心を失い、善心を見失った」阿修羅のように、「これだけやったのに、なぜわかってくれないの?」「なんで、こんなことができないの?」とよく不平不満を言っていました。相手に求めすぎていたのかもしれません。

この本には、怒る原因とその解決策が書かれています。自分も体験したようなことが、文章になっていたので、すらすらと読め、容易に理解することができました。

怒ると周りの人に不快感を必ず与えます。自分が損をします。そうならないための、怒りの鎮め方も書かれており、勉強になります。

この本の中で、参考になった箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・怒りを溜め込んだストレス耐性の低い人が客の立場に立ったとき、強力なクレーマーになる。彼らには「客(=自分)は一番偉い」「客の立場は誰よりも強い」という思い込みがある

・海外で日本人のマナーがいいと評判なのは、日本人が自己主張できず、押し黙って我慢しているからであり、これは内弁慶的な日本人の気質をあらわしている

・スピリチュアルはカウンセリングと違い、辛い思いをして自分に向き合わなくても、未来に対して何らかの道筋を与えてくれる。そして、気に入らなかったことを聞かなかったことにして、都合のいいことだけを信じることができる

・抑えつけられた感情は、心の奥底に溜まって熟成される。そして、ある日突然爆発する

・怒りとは「不一致による違和感」であり、これが大きければ怒りも大きくなる。「不公平感」とも言える

・「不当な扱いを受けたとき」怒りを感じる。それは、潜在意識の「こう扱ってほしかった」「こう扱われるべきだ」という願いが叶えられなかったことによる不一致

・「大切にされていないと感じるとき」も、「大切にしてほしい」「大切にされるべきだ」の願いが叶えられず、期待と現実のギャップが怒りになる

・「想定外のことが起きたとき」も怒る。信頼していた人に裏切られたとき「だまされた!」と怒る。急に人が飛び出してきたとき、ドライバーは「バカヤロウ!」と怒鳴る。心身に危険を感じたとき、歩行者は「ふざけるな!」と憤りを感じる

・イライラしている本人は、自分を被害者のように感じているが、自分に余裕や自信がないことが対象への過剰期待につながり、大きな不一致を生んでいると考えられる

・どんな考え方が怒りを感じやすいのかというと、それは「~べき」「~なければならない」という考え方

・「べき思考」というのは、ものごとに対して100%を期待する完全志向であり、こうした考え方の癖があると、本人も周りの人も苦しくなる

・相手に100%を求めるということは、相手に対する甘え

・怒りが大きければ大きいほど、裏にはその分弱い気持ちが隠されている。弱い自分を見せないように、強い感情を見せて、自分を守っている。その強い感情が「怒り」

・怒りのパワーは強烈なので、油断しているとすぐ伝染する。攻撃をしかけられれば、防御の構えをつくってしまうのが動物の本能

・イライラ解消のためには期待値を下げること。期待値を90に下げれば、90~100の結果は予想以上の喜びになる。今まで、この部分はイライラの種だったのだから、天と地ほどの違い

・今まで「~べき」「~なければならない」「~してはいけない」と考えていたことを、「~だったらいいなあ」「~であるに越したことはない」「~したい」「~ほしい」と言い換える。
つまり、「must」「should」を「wish」「hope」「like」に言い換える

・「なぜ?」「どうして?」を多用しないこと。「なんで?」「どうして?」と追及されると、責められているような気がして、防御態勢に入り、心を閉ざしてしまう

・こだわりの強い、100%主義の人の多くは「じゃあいい」とすべてを捨て去ろうとする。これでは、ものごろは解決しない

・自分の気持ちを言葉にして人に聴いてもらい、「そうねそうね」と言ってもらえる。これにまさる癒しはない

・相手のことを気遣いすぎて断ることができず、言いなりになってしまい、釈然としない気持ちだけ残る。こういうタイプの人は、自分から誰かを誘ったり、頼んだりできず、他人に振り回されてストレスを溜め込む



「should(~すべき)」「must(~なければならない)」をやめること。怒りを鎮めるには、これに限ると思います。

そして、自分が大した人間でないことを認識できれば、人にも「大した人間」を求めなくなります。

怒りとは、結局、増長であり、弱さです。自分の心に欠陥があるから起こる現象です。そういうことをやさしく、わかりやすく教えてくれる1冊です。

最近、怒りっぽくなったと感じている人にはおすすめです。
[ 2010/08/30 09:01 ] 営業の本 | TB(0) | CM(0)

『日本人は、なぜ同じ失敗を繰り返すのか・撤退戦の研究』半藤一利、江坂彰

日本人は、なぜ同じ失敗を繰り返すのか 撤退戦の研究 (知恵の森文庫)日本人は、なぜ同じ失敗を繰り返すのか 撤退戦の研究 (知恵の森文庫)
(2006/08/04)
半藤 一利江坂 彰

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この本は、日本の戦争史とリンクさせて、「リーダー論」「経営論」に言及する書です。

生きるか死ぬかの瀬戸際で考えられた戦略、戦術、組織づくり、マネジメント方法の検証は、現代の経営に多くの示唆を与えてくれます。

今回、経営に役に立つと思えた箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・近代日本の将が戦国武将よりも劣るのは、日本軍が参謀重視になったから。参謀の上に乗っている将は、自分で余計なことを言わず、本当の意味の決断者でなくなってしまった

・ラ・ロシュフコーは「人の偉さにも旬がある」と言っている

・ムラ社会は情報戦に弱い。上も下も情報を共有するということは、逆に言えば、異質、異端の情報を排除するということ

・日本の情報参謀は情報を集めるだけで、分析は次に任せた。翻訳家であり、分析者ではなかった

・仲間うちでかばい合い、何とかミスを隠そうとする官僚主義の悪弊は、現代の官僚社会にも生きている

・戦略とはチョイス、選択。そして、選択とは決断。戦争で開戦するかしないかも難しい決断だが、最も難しいのは撤退戦

・会社経営でも、現場の戦闘、バトルはミドルがやる。しかし、儲ける仕組み(グランドデザイン、大戦略)と撤退戦という難事だけは、トップしかできない

・チンギス・ハンの政治顧問だった耶律楚材は「一利を興すは一害を除くに如かず」と言っている。今の事業からマイナスを取り除くことのほうが、一つの事業を興すことより勝っているということ

・マネジメントとは、失敗する前に方針を変えるように説得すること。失敗して変えるのは当然。うまくやっている間にいかに変身を図る

・イギリスのモンゴメリー将軍は「リーダーシップとは、人を共通の目的に団結させる能力と意志であり、人に信頼の念を起させる人格の力である」と言っている

・バトルは、現場の指揮官で勝てる。企業で言えば、ミドルとか管理職がしっかりしていればバトルは勝てる。しかし、トップが指揮を間違えたら、ウォーには絶対に勝てない

発想を豊かにすることが難しければ、少なくとも規格化された理論や持論にすがらないこと

・日本企業は、優秀な人間はゼネラリストになり、ゼネラリストになれない人間がスペシャリストになるという、とんでもない錯覚をしてしまった。だから、スペシャリストとして活躍できる才能がある人間までスペシャリストにしてしまった

・本物のエリートを養成するには、子会社に派遣して現場で鍛えること。机上の計画と実地との違いを実感でき、オールラウンドな教育が可能になる。仮に、リーダー候補が子会社で潰れても心配することはない。所詮、それだけの器量の人間だったということ

・「大逸材は傍流にあり」。逸材が必ず傍流にいるとは限らないが、大逸材が傍流にいることはままある

・大モルトケは「作戦が通用するのは緒戦だけ」と言っている。ナポレオンは「十年単位で戦法を変えないと、その軍隊は良質でない」と言っている。ワンパターンの作戦ほど危険なものはない



日本の組織では、アホな人間がいつトップに就くともかぎりません。

サラリーマンの立場から考えれば、トップがアホになっても、生きていく術を身につけることが、本当の意味の処世術なのかもしれません。

危機的状況にならない限り、日本では、素晴らしいリーダーは現われてこないということを教えてくれる書でもありました。
[ 2010/08/29 08:44 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『人間というもの』司馬遼太郎

人間というもの人間というもの
(1998/11)
司馬 遼太郎

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この本は、司馬遼太郎さんが1996年に亡くなられた後、すぐに出版された箴言集です。
氏が遺した膨大な小説やエッセイから、人間に関する貴重な言葉を厳選しています。

若いころ、氏の小説を何冊も読み、触発されて、今でも、幕末に興味を持って生きています。先だっても、盆休みを利用して、萩、防府を回り、大村益次郎、吉田松陰、高杉晋作といった天才たちの足跡に触れてきました。

帰ってきてから、久しぶりに、書棚に置いていた、この本を手に取りました。自分が読んだ小説に記載された言葉も登場するので、非常に興味深く読み直すことができました。再度、司馬遼太郎さんの偉大さに気づいた次第です。

この本の中で、新たに感銘した箇所が25ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・人間、思いあがらずになにができようか。美人はわが身が美しいと思いあがっておればこそ、より美しく見え、また美しさを増す。膂力ある者はわが力優れりと思えばこそ、肚の底から力がわきあがってくる。南無妙法蓮華経の妙味はそこにある

・茶の作法も、男女の遊びの作法も、遊戯にすぎぬが、遊戯のとりきめに己を縛りつけるときのみ、人は生死の欲望から離れることができる。作法どおりにするがよい

・志は塩のように溶けやすい。男子の生涯の苦渋は、その志の高さをいかに守り抜くかというところにある。それを守り抜く工夫は特別なものではなく、日常茶飯の自己規律にある

・錯綜した敵味方の物理的状勢や心理状況を考え続けて、ついに一点の結論を見出すには、水のように澄明な心事を常に持っていなければならない。囚われることは物の判断にとって最悪のこと。囚われることの私念を捨ててかかること

・人間の才能は、大別すれば、つくる才能と処理する才能の二つに分けられる。西郷は処理的才能の巨大なものであり、その処理の原理に哲学と人格を用いた

・人は、その才質や技能というほんのわずかな突起物にひきずられて、思わぬ世間歩きをさせられてしまう

・人間の厄介なことは、人生とは本来無意味なものだということを、うすうす気づいていることである。古来、気づいてきて、今も気づいている

・自分というのは経験によって出来るだけで、人間という生物としては、自己も他者もない

・人間は、それぞれの条件のもとで快適に生きたいということが基底になっている。仕事、学問、お役目は、その基底の上に乗っかっているもので、基底ではない

・つまるところ百の才智があっても、ただ一つの胆力がなければ、智謀も才気もしょせんは猿芝居になるにすぎない

・何者かに害を与える勇気のない者に、善事ができるはずがない

・時勢は利によって動くもの。議論によっては動かぬ

・よき大将は価値のよき判断者。将士の働きを計量し、どれほどの恩賞に値するものかを判断し、それを与える。名将の場合、そこに智恵と公平さが作用するから、配下の者は安心して励む。配下が将に期待するのはそれしかない

兵法の真髄はつねに精神を優位優位へととっていくところにある。言い換えれば、恐怖の量を、敵よりも少ない位置へ位置へともっていくところにある

・名将とは、人一倍、臆病でなければならない。臆病こそ敵を知る知恵の源泉というべきもので、相手の量と質、主将の性格、心理、あるいは常套戦法などについて執拗に収集する。ついで、自分の側の利点と欠点を考え抜く

・才能とは光のようなもの。ぽっと光っているのが目あきの目には見える。見えた以上、何とかしてやらなくてはという気持ちが周りに起こって、手のある者は貸し、金のある者は金を出して、その才能を世の中へ押し出していく

・思想を受容する者は、狂信しなければ、思想を受け止めることはできない

・戦場において人々が勇敢であるのは、名誉をかけているから。名誉は利で量られる。つまり、戦場における能力と功名は、その知行地の多い少ないではかられる。他人より寸土でも多ければそれだけで名誉であった。男はこの名誉のために命をすら捨てる

・物事の自然を見るこそ、将の目。時の運と理にかなうからこそ毎度の勝利を得る。過去の勝利の結果のみを思い、必ず勝つと錯覚するならば、勝つための準備、配慮に費やされた時間と心労を見ない

・思想は、人間を飼い馴らしするシステム。人間は飼い馴らさなければ猛獣であって、飼い馴らされて初めて社会を構成する人間たりうる

・武士の道徳は、煮つめてしまえば、「潔さ」というたった一つの徳目に落ち着く

・思想とは本来、人間が考え出した最大の虚構(大うそ)。松陰は虚構をつくり、その虚構を論理化し、結晶体のようにきらきら完成させ、彼自身も「虚構」のために死ぬことで、自分自身の虚構を後世に実在化させた。これほどの思想家は日本歴史の中で二人といない

・いい若い者が、母親の私物として出現するようになったのは、日本では、戦後のこと。弥生式農耕が入って以来、二千年の歴史から言えば、近々三十年に過ぎず、我々はこの異習に鈍感になっている



慧眼なる司馬史観で、人間とは何か、思想とは何か、能力とは何かが、この本であぶり出されているように思います。

イデオロギーや思想の嘘っぱちを見抜き、人間の本質を基底とする現実に目を向けるには、非常に参考になる人間読本ではないでしょうか。
[ 2010/08/27 08:37 ] 司馬遼太郎・本 | TB(0) | CM(0)

『貧乏はお金持ち-「雇われない生き方」で格差社会を逆転する』橘玲

貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する
(2009/06/04)
橘 玲

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著者の本は、過去に「得する生活」を読んだことがあります。この本も、同様に、「サラリーマンから個人事業主」「雇われない生き方」「マイクロ法人の設立と運営法」がテーマになっています。

著者が嘆くように、日本のエリート層は、なかなか会社を辞めません。アメリカと大きな開きが生じています。

エリート層がフリーにならないために、下がつかえてしまっているのが、今の日本の状態です。臆病なエリートが多いために、こうなっています。

こういう現状を踏まえ、フリーでいながら、どうしぶとく賢く生きていくかが、この本にはギッシリ書かれています。

参考になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・今やリベラル派の人たちまでが「非正社員を正社員にせよ」と大合唱している。正社員とはサラリーマンであり、すなわち社畜のこと。いつのまにか社畜=奴隷こそが理想の人生になってしまった

・今必要なのは、自由に生きることの素晴らしさを思い出すこと。安定を得る代償に、自由を売り渡すのをやめること

・自由な人生にとって、いちばん大事なのは、自分の手でお金を稼ぐこと

・正社員に憧れるのは、日本社会ではサラリーマン以外の生き方が圧倒的に不利だと信じられているから。会社に雇われない自由な生き方の可能性が、実践的な技術とともに提示されなくてはならない

・年功序列プラス終身雇用制とは原理的にネズミ講。組織が拡大し、新しい社員が入ってくる限り、システムは機能するが、いったん成長が止まると瞬く間に崩壊する

・日本株に投資した株主は、この20年間、一貫して損をしてきた。もしリストラが企業の利益に直結するのなら、血も涙もない人件費削減によって株価は上昇しなければならないが、現実にはそうなっていない

・格差社会でもっとも得した社会階層は、終身雇用で守られた公務員や大企業の従業員。彼らの源泉は、日本経済を襲った長期のデフレ。モノの値段が安くなっていくから、実質的な給料は増えていく

・アメリカには、1650万人のフリーランス、350万人の臨時社員、1300万人のミニ企業家(マイクロ法人)がおり、フリーエージェントの総数は3300万人。さらに予備軍として、在宅勤務で働く社員が1000万人。雇われない生き方が労働形態を大きく変えつつある

・日本は40万人のフリーランス、300万人の臨時社員、30万人のマイクロ企業家しかおらず、フリーエージェント人口はアメリカの約10分の1の370万人

・フリーエージェントはクリエイティブクラスと同義ではない。とりわけ、日本においては、フリーエージェントの大半は契約社員で、「自由」とはほど遠い状況に置かれている。このままでは、フリーエージェント化は奴隷化の別名になってしまう

・日本では、クリエイティブクラスの大半はいまだに会社に囲われている。だが、保守的で官僚的な会社システムの中で、能力を十分に発揮しているとは言い難い

・機関投資家資本主義はアメリカ経済を大きく歪めたが、それ以上に株式会社を奇形化させたのが、日本の「法人資本主義

・法人のメリットは、あらゆる金融商品の損益の通算ができること。預金(外貨預金)、株式、債券まで、あらゆる金融商品のインカムゲイン(利子・配当所得)とキャピタルゲイン(譲渡所得)を合算できる。しかも、法人の損失の繰越が7年間認められている

・日本の官僚機構は、サービスの提供にあたって申請主義を原則としている。利用者は自治体の窓口に足を運び、必要な書類を整えて、失業保険や生活保護を申請しなければならない。国家の援助を受けられるのは、自分が「社会的弱者」であると証明した人だけ

・官僚制の本質は非人間性にある。言い換えれば、国家は国民を無差別に扱うということ。職員の善意や悪意とは無関係に、提出された書類に基づいて、機械的に処理するのが正しい行政のあり方

・人々は今、自由な人生に背を向け、安定を求め、会社に束縛されることを求めている。自由の価値がこれほどまでに貶められた時代はない。一方で、会社も社員の生活を保証できなくなっている。サラリーマンは絶滅しつつある生き方であり、消えていくことになる

・自由とは自らの手でつかみとるものではない。自由は、望んでもない人のところに扉を押し破って強引にやってきて、外の世界へ連れ去るもの



私は独立してマイクロ法人を設立したので、自由の身です。今からサラリーマンという束縛の身に戻ることはできません。

なぜ、戻れないかというと、「精神も時間も自由に生きられる」「命令されたくない」からだと思います。もちろん、デメリットも多いですが、自由というメリットがそれを上回るからです。

著者も指摘するように、「安定」や「お金」より、「自由」の方がもっと素晴らしいということが認識されてしかるべきではないでしょうか
[ 2010/08/26 06:34 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)

『売れっ娘ホステスが「一流ママ」になる方法』難波義行

売れっ娘ホステスが「一流ママ」になる方法―「水商売」の成功マニュアル!大繁盛編売れっ娘ホステスが「一流ママ」になる方法―「水商売」の成功マニュアル!大繁盛編
(2005/07)
難波 義行

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以前、紹介した「売れっ娘ホステスの育て方」の続編になる本です。

「売れっ娘ホステスの育て方」では、もてなし術、会話術などがテーマでしたが、この本では、基本マナー、ママのお仕事、店のしくみ、店の立て直し方などがテーマです。

売れっ娘ホステスになった後、次の目標である「ママさんになる」方法が書かれています。

その内容は、水商売の本を超越した、上級接客もてなし読本なのかもしれません。一流の人を接待するのに、身につけておかねばならないプロの技術と仕事のし方が書かれています。

役に立つと思えた箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・大掃除は年末の疲れたときにやるより、年末を迎える11月にやった方が、お店の士気が高まって、売上もあがる

・ホステスを教育、コントロールする上で、スピーカータイプかリスナータイプなのか、仕事をコンスタントにこなすのか、体調や気分によって波が大きいのかといった特徴を把握し、表情や仕草から、その娘の気持ちが想像できるクセを知っておく「心がけ」が必要

・客を、年齢、業種、役職で分けて、どんな客筋が多いのか考える。さらに、その人たちを、「飲み方」(ゆったり静か、ホステスと騒ぐ、カラオケ好き)「誰と」(近所の友だちと、会社の同僚と、接待で)「価格帯」「通う間隔」に分けて分析する

・店の方針「中心となる客筋の、○○のニーズに、仲間といっしょに、○○の雰囲気、接客でこたえる」を決め、それに沿って店を作り、営業する

・鏡の前で、自然な笑顔をつくる練習だけでなく、鼻から下を隠して、目だけで「来てくださってありがとうございます」「お会いできてうれしいです」といった気持ちを表現する練習をする。気持ちを目に込めることができれば、「目の力」が強くなる

・水商売はワントゥーワンマーケティング。「客を各個人として見る」「客に継続してもらう」「客が生涯にもたらす利益を拡大させる」「関係の深まった客に口コミで客を広げてもらう」。客を一対一で、喜ばせて儲ける方法を考え、実行すること

20代後半の特徴
「結婚、子供の成長と共に回数が減る」「トラブルが起こりやすい。適度にマナーを教える」「通う店を変えやすい」「向こうから積極的に来る」

30代前半の特徴
「プライベートの場合、このあたりでいったん夜遊びから離れる」「20代からの付き合いの場合は通う店を変えにくい」「細く長くお付き合い」

30代後半の特徴
「プライベートで頻繁に来る客は、よほどお金があるか、夜遊び好き」「口説きだすと一番手強い。若い娘にはガードが必要」「まだ通う店を変える」「あきると来なくなるので、営業活動をしたり、目新しい娘を付けて趣向を変える」

40代の特徴
「40代前半から少しずつ回数が増える」「夜遊びする人としない人がはっきり分かれる」

50代の特徴
「通う店を変えにくい」「長い目で見て、生涯価値を高める」「思い出話ばかりでなく、たまには思い出づくりもする」「50代後半から少しずつ減る」

・客のパターン
「収入と使える金額は別。交際費、住宅ローンも考慮」「時間をつくって来ているのか、時間をつぶしに来ているのかを観察し、遊び方を変える」「マナーのよい客はマナーのよい客を連れてくる」

・客を幅広く持っていなければ、店は流行らない。集中して来る客、戻ってくれた客、コンスタントに来る常連さん、たまに来てくれる客がいて、安定した利益が出る。たまに来る客のありがたさは、忙しいときには気づかないが、ヒマになると身にしみる

・悪い客は悪い客を連れてきやすいが、「悪い客探し」にとらわれると、客を裁くようになり、接客が雑になる。つまり、「悪い客探し」の副作用で、客の数が減る。そうならないためには、愛情を持って接して「どんな客にも、うちの店では良い客になってもらう」こと

・相手が感情的になっているとき、いっしょに感情的になってはいけない。相手の感情をコントロールするには、まず自分の感情をコントロールすること

・トラブルは、2月や6月のような、ヒマだったり、憂鬱だったりするような、気持ちが不安定なときに起こりやすい。そんなとき、小さなきっかけからホステスの不満が爆発する

・人は見たいものを見て、聞きたいものを聞き、言いたいことを語る。つまり、自分に都合よく見聞きして、都合よく話すもの。ですから、街の噂を気にしてはいけない。「自分が正しいことは、お天道様が知っている」と自分を信じて、堂々としているのが大人

・休みに日に、知り合いの店に頼んで、「刺激になるし、うちの娘の気持ちもわかる」からと、無料でホステスさせてもらうママがいる。「人が嫌がることを進んでするのが、経営者の仕事」と自分でトイレ掃除するママもいる。彼女たちの店には活気がある



実際に現場で起きていることが多く書かれています。また、その起きたことに対して、どう対処したらいいかの案が事例をもとに記されています。

水商売は、接客業のプロです。会社の接待や営業などに携わっておられる方は、水商売に学ぶことがいっぱいあると思います。

一流の水商売のプロがやっていることに、興味のある方は、前に紹介した「売れっ娘ホステスの育て方」とともに、この本を読まれると役に立つのではないでしょうか。
[ 2010/08/24 08:25 ] 営業の本 | TB(0) | CM(0)

『奇跡の営業所』森川滋之

奇跡の営業所奇跡の営業所
(2009/02/28)
森川滋之

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この本は、営業が苦手な人、営業に向いていないと思っている人におすすめです。営業に対する、自分の偏見が消え、身が軽くなります。

この世の中、売れないと、すべては自己満足になります。「売ることは生きること」です。

売ることから逃れられない以上、楽しく売ることを考えた方が得です。この楽しく売る方法が、この本には書かれています。

前半はフィクション形式、後半はノンフィクションの解説編になっており、今回は、解説編から参考になった箇所をピックアップしました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。


・営業が好きですと答える人はあまりいない。多くの人は、営業は客にこびる仕事だと思っている

・営業ツールは「紙芝居」。それは、ほとんど絵やグラフで構成されているから。文言を全部書いてしまうと、客は話も聞かずに読んでしまったと分かった気になり、すぐに要らないと判断する

・営業が根性や経験だったのは、高度成長期の頃の話。つまり、作れば売れる時代のこと。その頃の成功体験を覚えている人たちが、「やれ根性がない」「もっと足で稼げ」と売れない方法を押しつけて、今の30代ぐらいの人たちをいじめている

・日本の営業という概念は非常に広く、海外では、マーケティング、リサーチ、プレゼンテーション、セールス、フォローの5つの職種に分かれていることを一人でやっている

・成功しているビジネスパーソンはふだんの人格と仕事をしているときの人格を合わせようと、常日頃努力している。一貫性のある態度が、成功への秘訣

・地図で目を引き、さらにタレント写真に注意をひきつける。細かい技だが、かなり有効。客との話題づくりと客から質問してもらえるツールが大事

・いきなり売り込まないこと。売り込んだら絶対にダメ。それから、求められるまでは、絶対に商品の説明をしない。そのための小道具

・客があなたやあなたの話題に関心を持ってくれればしめたもの。今度は客から質問されるように場を持っていく。客はセールスパーソンに主導権を取られることをいやがる。客に主導権を持ってもらえるように努める

・客を観察するゆとりが必要。相手に興味を持つことが営業の基本

・営業にとって大事なのは、運よく大きな契約を取ってくることではなく、小さな成果を積み重ねること

・手抜きは何も生まない。しんどくても資料作成など地道な努力をしているうちに、それが財産となっていい循環になっていく。そうなれば楽なもの。営業トークができなくても売れるようになる

・誠意のある営業に対しては、あそこなら売れるかもしれないと別の客を紹介してくれる

・売れているセールスパーソンの共通点は、「売り込まない」「客と信頼関係を作る」「客に質問してもらう」こと。最終的に、商品やサービスではなく、自分を買ってもらっている

・プレゼンテーションがうまい人、資料作成がうまい人、面談がうまい人、社内の技術者を上手に割り当てる人、など得意分野は違う。プレゼンテーションが下手でも売れている人はいっぱいいる。得意分野を見つけ、それで勝負すること

・気を引くキャッチフレーズを作ることが重要。15秒くらいで、商品やサービスを説明できる言葉を持っていると有利

・キャッチフレーズと事例があれば、かなり売るのが楽になる。さらに写真や動画など、ビジュアルに訴えかける証拠があると完璧

・プレゼンテーションでは、商品やサービスの説明よりも、それらを買うとどんないいことがあるのかを具体的に思い描けるようにすることが最重要

・どれだけ利用者が幸せになるか、経営者が楽になり、機会損失が減るかなど、ビフォー・アフターが目に浮かぶように説明する


この本を読んでいると、営業は、釣り糸を垂れて魚を待っている釣人のように感じます。

客が思わず食いつく営業資料の作成、説明の仕方などは、魚種別に、魚の釣り場所、釣り方を考えるのと全く同じです。

釣りが魚の行動パターンとクセを研究する心理学であるように、営業も人の行動パターンとクセを研究する心理学と考えれば、営業は楽しいゲームのように思えます。

この本を読めば、営業に対する重圧が消えるのではないでしょうか。
[ 2010/08/23 08:50 ] 営業の本 | TB(0) | CM(1)

『未来の読み方』日下公人

未来の読み方未来の読み方
(2009/06/23)
日下 公人

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経済の未来予測で、古くから活躍されている著者が、「未来を読む」ための法則をまとめた本です。斬新な切り口は、今でも輝きを失っていないように感じます。

仕事のヒントになることも数多くあると思います。今回、参考になった箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・人間が豊かになっていくと、目や耳で満足する段階から、舌を満足させるようになり、最終的には匂いや肌ざわりにこだわるようになる。つまり、神経密度の高い感覚から低い感覚への「進化の法則」が存在する

・味覚、嗅覚、触覚となると、視覚や聴覚のように、コピーして大量生産はしにくい。現地へ行かないと無理であったり、手作りであったりする

・室町時代、比叡山の「良いお坊さんの条件」には、「1.声、2.姿、3.学」(声がよくて、見かけがよくて、学もあったほうがいい)と書かれている。これで、庶民が喜び、人が集まり、お布施が集まり、教団の勢力は発展する。声は大事。人を動かす力が大きい

高価なカバンを買う理由は、「1.音、2.姿、3.手触り」。カバン本来の機能と関わりのないところに価値を置いている

・今まで「立派な人間とはこうだ」といって教えられたのは、すべて生産増強を美徳とするための立派な人間である

・工業化とは文化の普及段階であって、創造段階ではない。大衆が憧れるような本当の贅沢が事前に創造されていないと、大量生産や工業化は発生しようがない

・贅沢を批判せず、「未来の必需品」だと思うこと

・先進国は文化産業に進まないと地位を維持できない。客の満足度によって価格が決まる「効用価値説」の研究は重要である

・和服は、世界が真似しないから、着物先進国とは誰も言ってくれない。日本の自家消費に止まっている。真似してくれる人が現われると、やがて先進国になる

・日本人は自分が勉強する。アメリカ人はシンクタンクをつくって人に勉強させる。イギリス人は遊びが勉強になっている(別荘や遊びを手段にして、勉強している人を親友にし、そのエッセンスだけを聞く)

・本当の金持ちは時計を持っていない。ホームレスも時計を持っていない。動機は違えど、姿は同じ。「トップとボトムは相似する」。この法則は、われわれの身の回りでよく見かける光景である

・派遣店員は、「冷やかし客か買うつもりで来た客かをいち早く見分ける」「客の予算がわかる」「客にすすめて、予算より3割高い品物を買ってもらえる」。デパート店員の接客では、売上は30%以上減になる

秀才は打率を気にする。だから、社長が「打率が下がってもいい」と言ってあげないといけない。「三割打て」と言ったら、誰も怖がって打席に立たない

・先端的なことをやるには、あらかじめ解答が用意されていない、帰納法でいく以外にない。演繹法には、理論を習得し、それを脱線しないように適用する真面目さが必要だが、帰納法には「非まじめ」が必要

・食べることも着ることも満たされ、暇な時間もたっぷりあるようになったとき、人間の行き着く快楽は、「寄り集まって会話を楽しむ」「知的刺激を交換する」「情感の共有を確認し合う」こと。これをお洒落にやったのが、サロンである

・サロンに何より必要なのは「知的情報」「知的刺激」「知的興奮」である

・いいサロンとは、メンバーの顔ぶれもさることながら、どれだけ多彩なゲストを招くことができるかにかかってくる。ゲストのおしゃべりが人々に連想を呼び起こし、知的ゲームに駆り立てる

・利用すれば、何も自分で所有することがない時代では、所有は他人におまかせすることになる。したがって、所有するだけで利用力に劣る人は、他人に利用されることになる



理論より感覚、演繹より帰納所有より利用。時代の先端にいなければいけない人にとって、大事なキーワードが、この本には数多く記載されています。

仕事の発想転換には、大いに役立つ本ではないでしょうか。
[ 2010/08/22 10:32 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)

『渋滞学』西成活裕

渋滞学 (新潮選書)渋滞学 (新潮選書)
(2006/09/21)
西成 活裕

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お盆の土日に、高速1000円を利用(実際には高速料金3500円支払)し、高速道路を約900㎞走りました。

渋滞必死の中、どの道をどの時間に通ると、渋滞がおきないか、真剣に考えて行動した結果、お盆の土日にもかかわらず、ほとんど渋滞に巻き込まれなくてすみました。

考えてみれば、渋滞が起きるのは、車だけではありません。「人の渋滞」「お金の渋滞」「血液の渋滞」など、渋滞をいかに避けるかは、生きていくために結構大きな問題です。

著者は、渋滞学の権威です。社会における渋滞とその解決法について、この本で、さまざまな実験データからの例を提示されています。

参考になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・「待ち時間」=「待ち人数(カウンターの前に並んでいる総数)」÷「人の到着率(1分間に後ろに新たに並んだ人数)」

・高速道路での渋滞原因
サグ部上り坂」(35%)「事故」(29%)「合流部」(28%)料金所(4%)

・高速道路は車間距離40m以下になれば渋滞が発生する。この40mというのは、自由走行している車が急ブレーキを踏んでギリギリ止まれる制動距離にほぼ等しい

・高速道路では、自由走行のときは、追い越し車線の方が速いが、渋滞していると、わずかに走行車線の方が平均速度が速くなる

・車間距離が200mより短くなってくると、自分の速度をそのまま維持しようとして早めに車線変更し、追い越し車線を走る方が良いと判断するが、皆が同じように行動するので、結果として、追い越し車線が混んできて速度が低下する

煙の広がる速さは、横方向に向かっては秒速1m程度だが、煙は空気より軽いために上に昇っていくときは速く、秒速5mで移動する。人間の歩く速度が秒速1.3mなので、横に広がる煙からは通常歩行で逃げられるが、上に逃げるときはかなり厳しい

・緊急時、約半分の人は避難指示に従う。緊急時こそ、リーダーやガイドの誘導が重要。安全に逃げられるかどうかは適切な誘導があるかどうかにかかっている。そして、リーダーの存在がパニックの拡大や収拾を左右する

・常に2方向避難の原則が守られていれば、ビル火災が起きても大勢の死者が出ることは少ない

・人はパニック状態では、知性の低下により、他人の動きに追従する傾向を示す

・フェロモンには重要な3つがある。「道しるべフェロモン」(採餌や帰巣に利用する)、「警報フェロモン」(仲間に危険を知らせる)、「性フェロモン」(異性を呼び寄せる)。人間はフェロモンを感じる嗅覚が発達していないので、視覚で感じることが重要

・ベルトコンベアーをすべて取り払い、1人または複数がチームで商品全体を組み立てる「セル生産方式」を採用している企業が増えてきた。ライン生産方式からセル生産方式への転換は、製造現場の革命と言われており、大幅なコストダウンに成功している

・お金の集中を是正するのが相続税。ある人に集中した富を次の世代に引き継ぐときのコントロールが可能になる。相続税法改正で、財産を次世代に円滑に伝えれば経済が活性化すると理屈がつけられているが、これはお金持ちが考えたお金持ちに甘くする法改正

・貧富の差が拡大し二極化が進んでいる中、相続税の議論が活発になってもよい。ダンゴ運転解消の処方箋が、経済学における富の再分配の研究と深く関係している



渋滞=時間のムダ、資源のムダです。よく考えてみれば、この世の中ムダだらけです。ムダムリムラが減れば、忙しく動き回る必要もなくなります。

頭を使えば、まだまだムダムリムラをなくすことができます。しかし、それを実行するのは邪魔くさいものです。

つまり、永遠に渋滞は存在し、それを改善していくことが、今後とも仕事になり続けるということなのかもしれません。
[ 2010/08/20 08:50 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)

『霊と金-スピリチュアル・ビジネスの構造』櫻井義秀

霊と金―スピリチュアル・ビジネスの構造 (新潮新書)霊と金―スピリチュアル・ビジネスの構造 (新潮新書)
(2009/05)
櫻井 義秀

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この本の冒頭で、著者は「スピリチュアリティ(神霊・心霊)を語れば、簡単に金儲けはできる。ほんの少しだけ不安を煽り、安易な癒しを差し出せば判断能力は歪められ、人は喜んで搾取され続けるのだ」と書かれています。

著者は、実際に現場に潜入して、スピリチュアルビジネスを体験し、この本を書かれています。

霊と金」というタイトルですが、「宗教と経済」というタイトルの方が、この本には、ふさわしいと思います。内容的には、現代社会にメスを入れる学術書といった感じです。

実際に、スピリチュアルビジネスには、どういう手口が横行しているのか、参考になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・スピリチュアルビジネスは、若い人、生活に不安を抱える人、競争に疲れた人、誰かに何とかしてもらいたがっている人が狙われやすい。不安定な状況にある人ほど、遠い将来よりも、今すぐ効きそうなものを求める

・女性が相性占いに熱心なのは、男性よりも恋愛にのめり込みやすいからではない。恋愛の先にある結婚、出産、子育てによって女性の人生がかなり変わってくるから、相性にこだわる。頑張りだけではどうにもならない、運が関係する

・これまでに7000人あまりの日本人女性信徒が、統一教会の国際合同結婚式で、韓国人男性と祝福を受け、韓国の郡部で暮している。日本の農村部同様、深刻な嫁不足のため、韓国人男性の中には、信仰が全くなくても、献金して、日本人女性を伴侶としたものがいる

宗教的力能とは、特定の宗教的教えや儀礼を通じ、精神修養や超自然的霊能による予見や癒しを提供しうる能力。宗教的職能とは、技術の水準が同業者組合により保証されるもの

・宗教的職能者に本当の意味の力能が備わっていなくても、宗教的効能に対する対価の基準が定まっている

・都市における葬儀の大半は葬儀社が仕切っており、施主がやり方を選び、九割方、日頃関係のない僧侶が呼ばれる。布施の一部も葬儀社にキックバックされる

・宗教者はお金のためにやっているのではないという矜持があるために、経営の難しさを語りたがらないが、日本の伝統宗教はどこも経営に苦労している

・日本の宗教の教師数(神主、僧侶、牧師、神父、修道士、修道女、新宗教の指導者数)は、神道系87,241人、仏教系308,760人、キリスト教系30,070人、諸教系225,095人で、計651,166人である

神社の収入内訳は、「祈祷料」46%、「氏子費・崇敬会費」26%、「お札」12%、「外祭」8%。神社の経営は、旧社格と地域の人口や経済力に左右される。個々の神社の経営努力できる余地は限られている

・牧師の謝儀(給与)の平均は332万円。神官や僧侶に比べて低い。教会の経常経費も低い。まさに清貧。さらに、神官、僧侶の場合、世襲率が極めて高い。牧師の場合は、世襲率が極めて低い

・現代社会では、教団組織を成長させることで宗教的救済の証しとするような戦略は手詰まりになっている。右肩上がりが期待できないのは、一般のビジネスと同じ

・人々の宗教的意識を宗教と気づかせないスピリチュアル・ビジネスの方が、宗教そのものよりもよほど生業になる

・「すぴこん」とは、スピリチュアル・コンベンションを略した言い方で、「癒しとスピリチュアルの大見本市」とされる。全国60の会場で、年間のべ10万人が利用される。人口30万人を超える都市で、年1~2回開催される

・「すぴこん」会場に出展している店舗のサービスや商品と関係する用語

ヒーラー」「チャネラー」「アロマテラピスト」「リフレクソロジー」「スローライフ」「マクロビオティック」「ボディーワーカー」「サイキックヒーラー」「気功」「波動」「代替療法」「芸術家」「環境NPO」「地域通貨」「スピリチュアルSHOP」「占星術」「易学」「イルカ」「天使」「風水」「自然食品」「宇宙」「コーチング」「ハワイ」「パワーストーン」「ヨガ」「オーラソーマ」「ヒプノセラピー」「スリーインワン」「クリスタル」「各種セラピー」「ホメオパシー」「フラワーエッセンス」「ネイティブスピリット」「ヒーリング」等々

・「すぴこん」の各ブースは、恋愛相談(タロット等)、健康相談(健康食品や各種器具の使用)、総合的な人生相談(オーラ、チャクラ等の撮影による運気の測定等)に予め分かれている



既存宗教は、経営的に苦しい状況。新興宗教は、信者数の拡大が見込めない状況。その中で、スピリチュアルビジネスが、経営的にも採算が合い、信者獲得の布石にもなる状況にあるようです。

悩みを相談するにも、既存宗教や新興宗教では重圧を感じる。カウンセラーでは敷居が高い。それで、敷居の低い、ヒーリング・サロンのお試し無料ヒーリングなどを利用する人が増えているようです。

パワースポットがブームになっているように、みんなスピリチュアルやヒーリングに関心はあるのだけれど、それを手軽に、安く、受け入れてくれる場所がないので、右往左往している感じです。

これからも、医療従事者、教育者、カウンセラー等が宗教者の領域にどんどん入り込んでくるかもしれません。そう予感させる本の内容でした。
[ 2010/08/19 06:33 ] 神仏の本 | TB(0) | CM(0)

『ガンディーからの“問い”-君は「欲望」を捨てられるか』中島岳志

ガンディーからの“問い”―君は「欲望」を捨てられるかガンディーからの“問い”―君は「欲望」を捨てられるか
(2009/11)
中島 岳志

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ガンディーとはいったい何者だったのか。宗教家なのか政治家なのか、わかっているようでわからないことが多くあります。

ガンディー7つの社会的罪

1.原理なき政治(Politics without Principles)
2.労働なき財産(Wealth without Work)
3.良心なき快楽(Pleasure without Conscience)
4.品性なき知識(Knowledge without Character)
5.道徳なき商業(Commerce without Morality)
6.人道なき科学(Science without Humanity)
7.神聖なき参拝(Worship without Sacrifice)

というものを知り、以前記事にも書いたのですが、これなどは、思想家のように思います。

さらに、ガンディーと言えば、独特の風貌と服装が目に浮かびます。自分をキャラクター化する天才だったのかもしれません。

宗教家なのか、政治家なのか、思想家なのか、広告クリエイターなのか、これらの問いに、この本は答えてくれます。異彩を放つ偉人ガンディーの言葉や行動で、勉強になった箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・ガンディーは自身の哲学を、「歩くこと」「食べないこと」「糸車を回すこと」といった極めて普遍的でシンプルで、誰でも理解できる行為で表現した。彼の思想は、机上の論理ではなく、すべてが行為で表現される。ガンディーのすごいところは、まさにこの部分

・難しく複雑なことを一つの象徴で示す。そして、そこから多くの人の内省を促し、深遠な理想への道を切り開く。これはガンディーが有していた卓越した才能。この才能は、ガンディー自身が、自分をシンボル化することにも応用された

・ガンディーは「非暴力は暴力よりも、もっと積極的です」と述べている。さらに、非暴力を「目に見えない力の沈黙」とも表現している。この「力の沈黙」こそが、彼にとって積極的な抵抗運動であった

・ガンディーは、「否定による反省」という作用こそが、積極的な行為と考えた。彼の哲学が「非」や「不」といった非定形で表明されていることには重要な意味がある

・「恐れを知らない気持ちがあると、真理は自然と宿るものです。なんらかの恐れのために、人は真理を放棄するのです」

・ガンディーが重視したのは、村落的な直接民主制。彼は中央集権的な国家ではなく、顔の見える範囲のコミュニティを一つの政治共同体と規定し、そこにおける合議こそが真のデモクラシーであると捉えていた

・「自治は成熟した人たちが享受できるもので、奔放な人たちはできません」「自治は私たちの心の支配です」

・ガンディーの構想では、欲望を自己統制することのできる人たちが、顔をつき合わせることのできる範囲で行う自治こそが、理想の政治であった

・ガンディーにとっての「歴史」とは、私たちが「いま」「ここで」「このように」生きている状況を暗黙のうちに導いてきたもの。「このようになった」ことを導いたものは、まさに「歴史」。現在の我々が存立する根拠

・「よいものはカタツムリのように進むものです」

ガンディーの手法の特徴は、前進と妥協を交互に繰り返すところにある。憎しみの念を持続させない。敵対の状態を長く続けず、つねに調和と仲裁を探っていく。急進派の人々の目には、いかにも手ぬるく、まだるっこしく見える

・ガンディーは、人間が良き社会を作るためには、理性にばかり依拠してはいけないと論じた。無意識のうちに、考えが心に浮かばないほど、考えを抑制することが重要と考えた

・「考えそのものが情欲なのです」

・ガンディーは「もっと」を否定する。生活に必要なもの以上の物は「余剰」。人間の基本的生活に必要ない。余剰の消費を促す経済のあり方を否定した

・ガンディーは「差異を認めながら、同時に真理の同一性を求める」というところを目指した

・「宗教は同じ場所に到達する別々の道です。私たち両者が別の道をとっているからといって、どうだというのです」

・ガンディーの言葉で「My life is my message」がある。すなわち、「私の人生そのものが私のメッセージです。私の人生を見てください」ということ

・自伝の中でガンディーは、自分が煩悩だらけで失敗ばかりしてきたことを、これでもかというくらい述べている。これは「自己の欲望と向き合いなさい。そして、真理に向かって行動せよ」「自分は実験し続けなければならない」ということ



この本を読んで、ガンディーとは何者か、おぼろげながらわかったように思います。

ガンディーとは、宗教家、政治家、思想家、広告クリエイターなどを超越した存在です。何者にも分類されないところが、ガンディーが偉人と言われる所以です。

思想、哲学、宗教を、どう広めていくかを考えるのなら、ガンディーに聞くのが一番かもしれません。
[ 2010/08/17 09:02 ] 偉人の本 | TB(0) | CM(0)

『億万長者のビジネスプラン』ダン・ケネディ

億万長者のビジネスプラン―ちょっとした思いつきとシンプルな商品があればいい億万長者のビジネスプラン―ちょっとした思いつきとシンプルな商品があればいい
(2009/07/31)
ダン・ケネディ

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内容的には、さほど珍しい本ではないですが、最近のアメリカの実例が書かれています。

個人でできるビジネスで、アメリカでは、今、どんなものが当たっているかを知るのに、役に立つ本です。

また、アメリカでは、情報をどうお金に換えているかを知るのにも参考になります。

この本の中で、面白く読めた箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



ありふれたビジネスほど、桁外れに儲かるチャンスがあり、また、実際にゼロからミリオネアになった人の多くが、その種のビジネスに携わっている

・どんなビジネスや商品であっても、サービスの要素を組み込めば、利益を得られる

・すでにあるものを革新的なものに変えるには、即日サービスの提供、明確な料金設定などサービス優位の考え方を実行に移すこと

・「価格よりはるかに価値があると認識されること」「魅力ある特典」「強力な保証」。この3つが揃えば、「これを断るなんてバカだ」と思う。この種のマーケティングを行うには勇気がいるが、ありふれたビジネスを桁外れに成功させる方法の一つ

・利益率が高く、自分たちで販売価格の設定を自由にできる商品をいくつも持っておくことが必要。これがあれば、他の商品を低いマージンで売ることができる

・お金をかけずに、他人の商品の独占販売権を手に入れることはできる。例えば、通販以外で販売されている商品の通販独占販売権を得ることも一つ

・商品やビジネスアイデアは身近なところで見つけられる。役立つ情報源として、「業界誌」「事業者団体」「コンベンション」「展示会」「地方の特産物展」「カタログ」「新規開業向け雑誌」「輸入品・輸出品」など

・ルーティンワークや、誰もが避けられない仕事の負担を軽減するサービスや商売は、普及しやすい

情報をお金に換える商品(レポート、マニュアル、音声テープ、DVD、CDなど)は、お金を印刷しているようなもの。信じられないほどの富を作り出す

・成功した情報商品は趣味や娯楽とビジネスのものが多い。例えば「ピアノが一晩で弾けるようになる方法」「心からやりたい仕事に就く、採用通知を受け取る方法」「合成皮革の家具を作って自宅で稼ぐ方法」など

・情報商品は、制作コストに関係なく、内容の価値を基準に価格設定できるので、信じられない利幅を得ることができる。しかも在庫を抱える必要がなく、必要なだけ作成すればいい

・情報商品の成功例として、他に「弁護士を使わずに50ドル以下で自分の会社を設立する方法」「一握りの雑誌に広告を出して、自宅にいながらパソコンを使ってお金を稼ぐ方法」「セールスマン向け、紹介者を次々と増やす方法」「下着姿でキッチンテーブルに座りながら1日に4000ドル稼ぎ出す方法」などがある

・自分にとって当たり前のことが他人にとっても常識とは限らない。そのことを理解していない人にとっては、計り知れない価値の発見であり、秘密である。自分の知識を甘く見てはいけない



これからの時代、情報をどうお金に換えていくかは、とても重要な課題です。

この本は、マスコミ、出版社を通さずに、どう自分で、それを可能にしていくのかを知るのに、役に立つと思います。

しかし、販売価格を自由に決定できる独自のものを持っていないと、それを実行できません。

そういう意味で、どんなものであれ、オリジナリティこそが、億万長者へのパスポートだと思いました。
[ 2010/08/16 09:20 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)

『けちのすすめ・仏教が教える少欲知足』ひろさちや

けちのすすめ 仏教が教える少欲知足けちのすすめ 仏教が教える少欲知足
(2009/03/19)
ひろさちや

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著者の本を紹介するのは、7冊目になりました。70歳を過ぎ、著者の文章は、ますます過激になってきています。

しかし、それは純粋な気持ちから生まれたものなので、その過激な「提言」の数多くに感銘させられます。

この本を読んで、感銘した箇所が25ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・多くの日本人が今持っている欲望というのは、人間本来の欲望ではなく、持たされている欲望、押しつけられた欲望

・「けちになろう」これまでの既成概念の「けちけちしている」のけちではない。欲望を減らし、不安や苦悩から解放された「人間らしい生き方」を営むための必要哲学

・あらゆる不安に「前提を持つ」というのが、不安との付き合い方

・貧困を抱える人や雇用を切られた人への寄付金を募るのは本末転倒。日本には納税の義務がある。そのお金を上手に使って、雇用を維持させる、ホームレスを出さない、貧困をつくらないのが国や政治家の役割

・今の日本のコミュニティと呼ばれるものは、他人を監視する「お目付役

・年賀状を出したのに、相手から音沙汰がなかったら「なんと無礼な!」と言って腹を立てる。逆にこちらから出さなかった相手から年賀状が届いてしまったら「こりゃいかん!」と言って慌てて出す。日本人の言う「友だち」とはそのレベルのもの

損得抜きに成立する、人と人との交わりは、家族をおいて他にない

・けちになって、友だちを減らし、見栄や欲望を減らし、そして不安や悩みを減らして、身軽になる。そんな自分になって、その空いた時間を「家族」と呼ぶべき人と費やしていくことが大事

・人間は「欲望の奴隷」になると、まず良心がなくなる。そして、良心のなくなった隙間に入り込んでくるのが「競争原理」。競争原理は勝ち組をつくるのではなく、負け組を不幸にさせる。これはもう「悪魔」である

・市場経済は、自由競争の上に成り立っているわけだが、本来、自由化してはいけない「人」まで自由化した。労働者をなるべく安い市場で需要に合わせて必要なときに必要なときだけ集めて、必要がなくなれば「ポイ捨て」する仕組みを生んだ

・砂漠の遊牧民は、誰と協力しなくても一人で牧畜ができる。ところが農耕社会で治水事業をするには、共同でやらないとできない。「お隣さんはいないと困るけど嫌なやつ」これが日本人の我田引水型の思考

・日本人は終身雇用が素晴らしいと信じている。これは企業が植えつけた論理。終身雇用は、飼い殺し、奴隷になるということ

・生まれて、ただ食べて、それなりに田畑で働き、老いて死んでいくというのが、実は一番幸せ

・企業という王様のもとで、従業員という商人たちがやっきになってモノを作り、モノを売り、消費者たちが「欲望」という名の悪魔に衝き動かされている

・ヨーロッパではプロテスタントの「けちの思想」から生まれて、「金を使え、消費しろ」とアメリカによってテコ入れされ、そして「人間なんてどうでもいい」「会社が大事」という日本型資本主義が育まれ、最終的に行き着いた先が「市場経済」という墓場

・資本主義は資本の投下はするが、さすがに借金は売りださない。ところが、「プラスだろうがマイナスだろうが関係ない」といって、借金を売り出すのが金融主義。こんなものは資本主義でもなんでもない

・けちになって「人から善く思われたい」という欲望を減らして、嫌われればいい。嫌われれば、自然と世間から遠ざかる。世間から遠くなれば、縛られてきた鎖が切れて、心は楽になる。つまり「けちの哲学」を持って、世間を敵に回す覚悟があれば、何も恐くない

・世間体とは、社会の監視の目。生きがいとは、世間が押しつけた幻

・出世することはいいこと、若々しいことは素晴らしいと言って、そのために身の丈以上の欲を持つ。だから、出世の道が閉ざされると悲しくなり、歳をとることに不安を感じる

・「人生に意味を求めること自体、意味のないこと」と思った方がいい。「あるがままに生きる」、それが人生

・人は悩むために生きている、老いるために生きている、死ぬために生きている、苦しむために生きている。悩んだら、とことんしっかり悩む。それが大切

・「人生の危機」とは、「人間は何のために生きているのか」が分からなくなったとき。多くの人は「お金の不安」による「生活の危機」のときだと思っている

年賀状を出さない飲み会を遠慮するなど、損すると言われることを実行すれば、当然友だちは少なくなる。それは、世間で言う損だが、世間の損はほとけさまの得(ただし、この得はほとけさましか分かってくれない得)。世の中すごく面白くなるし、楽になる

・「きっちり損をする智慧」を持っていれば、たとえ自分が落ちぶれたり、不幸になったときでも「ああ、面白い。おつなものだな」と人生を味わうことができる

・関心があるから腹が立つ。関心があるから欲望が生まれる。関心があるから他人と比較してしまう。他人に関心を持つとろくなことがない。だからこそ「他人は他人、自分は自分」と割り切る智慧を持つことが大切



けちになると、見栄や欲望が減る。仲間や友だちも減るが、不安や悩みも減る。つまり、けちになれば、身軽になり、心が楽になる。次に、会社に費やした時間を、家族との時間に振り替える。そうすれば、人間らしい生き方ができると著者は説かれています。

また、著者は、この本の中で、社員を社畜、奴隷にしてしまった日本の会社の横暴、策略を厳しく批判されています。

しかし、エリート社員のみんなが、自分たちが奴隷であると意識し、それを恥と思わない限り、この体制は変わりません。奴隷解放してくれるリンカーンも現われてきそうにもありません。

それならば、自らの手で、繋がれた足枷、鎖を断ち切るしかないように思います。その足枷、鎖を切断する道具が「けち」ということではないでしょうか。
[ 2010/08/13 08:48 ] ひろさちや・本 | TB(0) | CM(0)

『処世術は世阿弥に学べ!』土屋恵一郎

処世術は世阿弥に学べ! (岩波アクティブ新書)処世術は世阿弥に学べ! (岩波アクティブ新書)
(2002/02)
土屋 恵一郎

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世阿弥は、今から600年以上も前の人です。室町時代の足利義満の時代です。世阿弥の作品は50曲以上、今にも伝わり、能舞台で上演されています。

中でも、凄いのは、「風姿花伝」などの芸道論の書です。これらは、経営ノウハウ書であり、自己啓発書であり、技術解説書であり、文芸書です。

現代にも通じる内容のものが、600年以上前に書かれていたとは驚きです。しかも、奥が深く、その精神性の高さに敬服します。

この本には、ためになる世阿弥の言葉が数多く出てきます。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・「花伝書」をはじめとする世阿弥の文章は、人気との闘いに生きる者にとって、何が必要かを説いた、実に克明な戦術書

・「前々の非を知るを、後々の是とす」「老後の初心忘るるべからず
試練や失敗のない者は、本当の成功はおぼつかない。「初心」とは、最初の試練や失敗のこと

・「時節感当」「これ諸人の心を受けて声をいだす」
タイミングをつかむ能力。時の節目を見る能力。どんなに正しいことを言っても、それがタイミングを外してしまえば、人に受け入れられない。説得力もなくなる

・「時の間にも、男時女時とてあるべし」
「女時」(陰)に、勝ちに行っても、勝てない。「男時」(陽)が巡ってくるのを待って、そこで得意の芸を出し、一挙に勝ちに行く。時の循環を知り、時の波を読む能力が大事

・「いかにすれども、能に良き時あれば、必ずまた悪きことあり。これ力なき因果なり」
ライバルの調子がいい時は「勝負神」が向こうに行っている。次に、こっちにくることを信じるといいことがある。一時の敗北は、次に来る勝ちへ通らなければならない道

・「軽々と機をもちて」
「序破急」の「序」にある役者は、自分の気分を軽々と引き立てて、相手のリズムにそっと合わせていくのがいい。「序」では、形を崩さず、わかりやすいことをやる

・「眼、まなこを見ぬ所を覚えて、左右前後を分明に安見せよ」
自分の眼を見ることはできない。自分の姿をその左右前後から見る者のうちに置いて、見なければならない。このことが「離見の見」または「見所同見

・「後ろ姿を覚えねば、姿の俗なる所をわきまえず」
後ろ姿を見ていないと、その見えない後ろ姿に、卑しさが出ていることに気づかない。それがいけない

・「目前心後
事を決断したら、一晩よく眠って、もう一度考える。それだけで、心は後ろに回っている。それでもまだ決断が正しいと思えるなら、やるしかない

・「住する所なきを、まず花と知るべし
停滞することなく変化することが大事。偉大なるマンネリでファンを安心させるのは、自分自身をコピーしていること。それでは芸術家は成長しない。ファンも成長しない

・「よき刧の住して、悪き刧になる所を用心すべし」
よいとされてきたことに安住することによって、そのよいところがむしろ悪い結果になってしまうことに用心する

・「稽古は強かれ、情識は無かれ
稽古も舞台も厳しい態度で務めて、決して慢心してはならない

・「いかなる上手なりとも、衆人愛敬欠けたる所あらんを、寿福増長のシテとは申しがたし」
どんなに上手な能役者であっても、大衆に愛されることのない者は、決して一座を盛り立てていくことはできない

・「万一少しすたるる時分ありとも、田舎、遠国の褒美の花失ぜずば、ふつと道の絶ゆることはあるべからず」
万が一、人気が落ちても、田舎や遠国で人気が落ちなければ、芸術家としての道が絶たれてしまうことはない。道さえ絶たれなければ、またいつか「男時」は巡ってくる

・退屈を恐れてはならない。退屈を恐れると、つい先を急いで失敗する

・美しさのためであるならば、たとえ現実と異なるものであっても、追求してかまわない。どんなに実際と同じであっても、美しくなければ能ではない

・ただ幽玄ではだめだ。ただ美しいだけではだめだ。そこに表現の強さがなければだめだ。ただ美しいだけの能は、弱い能。空虚な能。そこに強さが必要

・「されば、時分の花をまことの花と知る心が、真実の花になお遠ざかる心なり。ただ、人ごとに、この時分の花に迷いて、やがて花の失するも知らず、初心と申すはこのころの事なり」
ただ新人であることの珍しさによる人気など、すぐ消えてしまうのに、それも知らないで、いい気になっていることほど、愚かなことはない

・「上がるは三十四、五までのころ、下がるは四十以来なり」
三十四、五歳で、人間のポジションは決まる。自分がトップなのか、二番手なのか、傍流であるのか。そのポジションを維持するのに、または、変えるために、何が必要かを考える

・四十四、五歳のころ、何をしても、観客には花があると見えない。頂点を極めた者でも衰えが表れる。この時でも花が失せないとすれば、それこそ「まことの花」。この年頃では、あまり難しいことはせず、自分の得意とすることをやるべき

・自分がまだまだやれると思っている頃に、後継者の育成をするとよい。体力も気力も残っている時にこそ、芸の気迫を教えることができ、自分の経験をそのままに伝えることができる



単なる生き方論にとどまらず、年齢別生き方論があるところが、世阿弥のすごいところです。

世阿弥が書いた物は、その生き方論の中にも、現代で言うところの、仕事術、営業術、リーダー論、サラリーマン論までの広い分野が入っています。

まさに、「処世術は世阿弥に学べ」では、ないでしょうか。
[ 2010/08/12 09:06 ] 芸術の本 | TB(0) | CM(0)

『非属の才能』山田玲司

非属の才能 (光文社新書)非属の才能 (光文社新書)
(2007/12/13)
山田 玲司

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私自身、非属の立場にいます。しかし、非属の才能はないと思います。雇われない生き方が好きだったので、非属になっただけかもしれません。

この本に出てくる、「非属」の人たちは、集中力、熱中力執着力、どれをとっても、非属の鏡のような存在です。

また、漫画家である著者は、「非属」型の人が、どうしたら食べていけるかにも言及しています。群れに属さずに生きたい人が、実践できることが数多く書かれています。

この本の中で、参考になった箇所が25ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・才能は“どこにも属せない感覚”の中にこそある。才能の塊のような人たちは、自分の中の「どこにも属せない感覚」を信じ続けた人。言うなれば、“非属の才能”の持ち主

・実際に、「はみ出し者」「変人」「引きこもり」「いじめられっ子」「妄想家」「ひねくれ者」の人たちが、その非属っぷり故に大成功を収めた例を死ぬほど見てきた

・これが「正解」「普通」「当たり前」「常識」という同調を、教師は毎日これでもかと生徒に押しつけてくる。この同調圧力に負けず、群れ、属することの安心にも甘えず、思考停止という楽も選択しない。非属の才能は、まず「学校嫌い」という症状に表れる

・重要なのは、その才能を理解してくれる「理解者」がひとりでもいるかどうかということ

・虎の威を借る狐は、結局狐であり、いつまで経っても虎になれない

・戦後生まれの親たちは、群れることで幸せを実感できる幸運な時代を生きてきた。そんな世代の価値観は、次の一言に集約される。「いかに“良い群れ”に属するか」

・天才の構成要素は、ちょっとした才能と大いなる努力、そして、群れの価値観に流されず、「自分という絶対的なブランド」を信じ続ける“自分力”にある。才能の比重は意外に低い

子供の未来は、親が子供の失敗をどれだけ許せるかで決まる

・ショッピングモールにある有名店は、すべて、大きな口を開けて、魚の群れが飛び込んでくるのを待ち構えている「定置網」に見える

・「権威」や「安定」が人生のおもしろさを奪ってしまう

・若くしてとてつもない仕事を成功させ、周囲を唖然とさせる者は、何をするにもライバルゼロ地帯を行く傾向がある

・人生を変えた出会いはたいてい「なんとなく直観」で決めたときに訪れることが多い

・「こうすればオイシイ思いができる」という立場の人たちが「どうでもいい」と思っている人たちをコントロールして多数決は決まる

・企業という営利団体も、ときとして繁栄のために、変わり者の才能に頼らざるを得なくなる

・若い女性ほど、相手がどこに属しているかより、どんな個性(才能)を持っているかに視点が移ってきている。「配給待ちの長い行列に並んでいるオス」と「前人未到の山に分け入って獲物を探してくるオス」の違いを遺伝子レベルで本能的に嗅ぎ分けている

・日本人は、群れから一度はみ出した者を二度と群れに受け入れない

・情報が少なければ少ないほど、制約が多ければ多いほど、想像力は豊かになる

・人から話を聞くことは、「新しい体験」に出会う最高の近道

・「興味ない」ならまだしも、「意味わかんねえ」とくる。この発言の背後には、「意味がわかるように話せないあんたが悪い」という心理が見え隠れする

・ケータイはたしかに便利な存在だが、自分の内面と向き合うときには、もっとも不便で、もっとも危険な存在になる

・いつものものをいつものように買わせるために、つまり、定置網を仕掛けるために、企業は死ぬほど努力をしている

・人の意見を聞き入れれば、無難なものができあがるに決まっている。内容は平均値にどんどん近づく。漠然とした「みんなの意見」ほど当てにならないものはない

・みんなと違う生き方をしていると、群れからは「孤立」しているよう見えるが、案外、自分自身でいられるという意味では、「孤独」でなかったりする

・肝心なのは、ヒットしようが無視されようが、その評価は自分がするということ

・どこにも属さないということは、はじめから受け入れてもらうのが困難なところにいる。しかし、そんな変わり者がいったん「わかりやすさ」を手にしたら、人生は大逆転を起こす

・相手と重なるところで共感したら、今度は相手と重ならない部分で相手を楽しませればいい



非属を貫き生きていくことは難しい。本当は群れるのが苦手ても、安定のために、群れてしまうというのが、みんなの本音だと思います。

非属というのは、楽天家と自信家と求道者の特権ですが、他人との比較をやめ、自分の価値観で動くことができれば、誰にでも非属を手に入れることができます。

つまり、世間の常識や誘惑という、定置網に引っ掛からなければ、非属の海をずっと泳ぎ続けることができるのではないでしょうか。
[ 2010/08/10 08:58 ] 人生の本 | TB(0) | CM(0)

『頭のいい人が儲からない理由』坂本桂一

頭のいい人が儲からない理由 (講談社BIZ)頭のいい人が儲からない理由 (講談社BIZ)
(2007/03/27)
坂本 桂一

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著者は、東大在学中に借金1000万円を抱え、ちり紙交換をしながら、借金を返したという、凄い人です。

しかも、コンピュータ業界に初期から参入して、ソフトバンクの孫正義氏とも旧知の仲で、マイクロソフトのビル・ゲイツ氏へ、直接に営業交渉をしたという、大物でもあります。

そういう経歴の持ち主が3年前に書いた1冊目の本です。最近、著者は立て続けに本を出版されています。

著者は本当に頭のいい人だと思います。その著者が書いた「頭のいい人が儲からない理由」の中で、ためになった箇所が25ほどありました、「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



勝負を分けるのは、どちらを選んだかではない。絶対に成功させるという気持ちがどれだけ強いか

・2倍努力したところで、結果は1.2倍程度と思い込んでいる人が多い。ビジネスにおける2倍の努力は5倍の成果となって現れる。成果が飛躍的に伸びる臨界点は1と2の間にある

・世に成功者と呼ばれる起業家たちは例外なく、もうこれ以上無理だというくらいギリギリまで考えに考えて、頭の中に完璧なイメージをつくりあげてから行動を起こしている。まだ何も実現していないことを、あたかも見てきたかのごとく話せるくらいに

・成功者になれるかどうかは、どこまで執念をもって考え抜くことができるかの差であって、人と違うことを思いつくとか、フットワークがいいとかとは、あまり関係がない

・新興マーケットにおいては、小さい方が勝つ。これはビジネスの常識ではなく法則。事実そのもの

・ユダヤの場合、作り手と売り手が一つのチームという発想。売り手が安定して販売してくれるためには、販売体制が整う前から搾り取るより、軌道に乗るまで条件を緩くして、売り手が安定してから掛け率を上げた方がいいという考え。ユダヤの方が合理的

・忙しい人が人より多く稼いでいるわけではない。忙しい人というのは、単に、時間の使い方、生かし方がそれだけ下手ということ

仕事ができる人とは、インプットした情報の付加価値を高めてアウトプットできる人のこと

・教養があればあるほど、ムダなことをしなくて済む

・まず目標を設定し、次に自分の持っているリソースや与えられる諸条件をすべて書き出す。その上で、目標達成の仮説を考えられるだけ挙げ、比較検討しながら最善のものを一つ選ぶ。通常、この作業に10時間以上費やす

・ほとんどの人は戦略の重要性が分かっていない。企画や新しい事業のアイデアは熱心に考えるくせに、どうやってその企画やアイデアを実現するかの部分が非常に雑

・ビジネスを食うか食われるかの弱肉強食の世界に喩える人がいるが、それは違う。たとえ勝負に負けようが、その負けをも商売のネタにして儲けることができるのがビジネスである

・ビジネスを考えるとき、必ずそこに陣取りゲーム性を織り込む

・金儲けでも、女にモテたいでも、社会貢献でもいいから、とにかく目的をはっきりさせることが事業を成功させる第一条件である

・「受験戦争の勝ち組」は、処理能力には長けているので、組織の中で決まったことをやっていればいいという環境にいれば、有能。しかし、起業したり新規事業を創出するときには、役に立たない

・成功に必要なのはクリエイティビティであり、イマジネーションであり、考えることであって、調べることでは断じてない

・居酒屋を開業するなら、まずは金儲けと言い切れる人の成功確率が高い。ダメなのは、内装に高級感をもたせて器にもこだわりながら、利益を出していきたいというタイプ。まずは、金儲けに徹して、カネがある程度たまったらそれを内装費に回せばいい

・創業社長はみな例外なく、異常とも思われる執念深さの持ち主である。社長がどうでもいいことにも徹底的にこだわると、近くで見ている社員にもそれが伝染し、やがて会社の風土になる。これこそが、執念深い社長が成功する理由

・早い話、成功というのは「数打ちゃ当たる」の先にしかない

・倒産したら、会社の資産はなくなり、世間の評判も地に落ちるが、考えようによっては、それだけのこと。出資金の範囲で責任を負えばいいこと。致命傷にはならない。社長になりたいという気持ちを失いさえしなければ、チャンスは何度でもある

・ベンチャーキャピタルに断られたら、どこが悪いのか詳しく教えてもらう。その部分を改めた企画書をつくり、別のベンチャーキャピタルの門を叩く。それを繰り返すと、ビジネスプランの精度は上がる。十社も二十社も回れば資金を出すところが出てくる

・借金取りが来ても、ないものは払えないし、たとえ相手がヤクザであっても、カネがない人間を殺したところで自分が損するだけだから、無一文の人間の命を取ったりはしない

・自分が優れたプレーヤーというより、各事業部門の有能なリーダーに気持ちよく仕事をさせられる能力がメタリーダー。そもそも世の経営者と言われる人の多くはこのメタリーダータイプ



以前、勤めていた会社の社長は、社員が集まった席で、「辞めた社員が失敗して泣きついてきた」とか「独立した社員が仕事がなくて困っているようだ」とか、必ず喋っていました。

辞めやすい業界だったので、辞めたい人独立したい人に恐怖心を与えようという狙いだったと思います。

辞めて独立した社員の中には、株式上場して大金を得た者、上場前の会社の役員に迎えられた者などもいます。そこまでにはなれなくても、それなりに食っていけている人(私も含めて)が圧倒的多数です。

日本人は、優秀な人でも、会社を起こすことに恐怖心を抱いています。著者はこの本で、何とかなるよといいたかったのではないでしょうか。

独立して、何かやりたいと思っている方にとっては、参考になる本ではないでしょうか。
[ 2010/08/09 08:56 ] 出世の本 | TB(0) | CM(0)

『いまここに生きる智慧』アルボムッレ・スマナサーラ、鈴木秀子

いまここに生きる智慧―シスターが長老に聞きたかったこといまここに生きる智慧―シスターが長老に聞きたかったこと
(2007/11)
アルボムッレ スマナサーラ鈴木 秀子

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スマナサーラ長老の本を紹介するのは、「ブッダの幸福論」「結局は自分のことを何もしらない」「ブッダ大人になる道」に次ぎ、今回で4冊目です。

この本は、スマナサーラ長老と鈴木秀子シスターの対談集です。「原始仏教」と「カトリック」で立場は違えども、目指しているところは同じところにあるように感じました。

この対談は、大きな視点で考えると、釈迦とキリストの対談のようなものです。お二人の対談で面白い話や考え方が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。


(スマナサーラ長老述)

・その都度その都度、やらなくてはいけないことをやりながら生きている。目的があって、その目的を目指して生きているわけではない。命が自然に流れていく

・生きることは「苦」以外、何もないからこそ、人間が「幸福」を目指す。しかし、「これが幸福です」と具体的に言えないはず

・智慧というのは、そのときにぴったり正しいことをやること

・「あなたは何者でもない」。丁寧に言えば「自我を捨てなさい」ということ。「自分は巨大な自然の法則の中の一部なのだから、偉そうなことを言うなよ」ということ

・自分の身体を実況中継していると、身体という物体を心が動かしていることが明確に見えてくる

・偉そうに命令するのは、その人の人権を侵害していること。お互いの人権侵害を増進するシステムを作ったら、関係が崩れてしまう

自分を捨てるということは宗教の世界ではよくあることで、わざとものすごい苦行をしたりするが、それはただの自己いじめ。苦行はエゴがないとできないこと

嫌いな相手であっても「相手は一生懸命頑張っている。我が身を一番可愛いと思っている生命ではないか」と観察して、自分を強く戒めると、嫌な気持ちが消えてしまう

・「金・地位・名誉・権力」などと人生の目的を調和させるには、「道具のために仕事するのではなく、仕事を上手にこなすために道具を使う」こと

・「愛・慈しみ」こそが、ものに価値を作る。慈しみがない場合は、財産などは単なる地球の土。助けてあげないといけない人がいるとき、金に価値がある

・金などの道具に支配されると、人は欲・怒り・憎しみ・嫉妬・悩み・悲しみという原動力に頼らなくてはいけなくなる。金などはみんな仲良く平和で幸福に生きるための道具に過ぎないと思うと、その人の生き方は「愛・慈しみ」に支配される


(鈴木秀子シスター述)

・自分の心の中にわっと感情が湧きおこってきたら、それをもう一人の自分が見て、実況中継するとよい

・期待を持つというのは、「いま、ここ」に生きていないで、将来を生きること。期待を消せばいい

・悩みや苦しみの多くは、過去のことを後悔して自分を責める、人のせいにして他人を責めることからくる。あるいは、起こってもいない将来を不安に思うとか、人が自分を悪く思っていないかと勘ぐることからくる

・一番幸せになるコツは、とてもシンプルで単純。たった一つ「いまこのときに、するべきことをする」こと

・人間の苦しみは、自分でないものになろうとすること。人からよく思われようとして、本音でないことを言ったり、繕ってみたりする。でも、それがかえって人から好かれなくする

・お母さんがよく子供に「あなたのためを思って言うのだから」と言って怒る。でも、それは、自分が子供にこうしてほしいという「欲」



お二人の話に共通していたことは、「今ここに生きる」「心の実況中継」「慈悲の精神」ということです。

これを優しい言葉に言い換えると、「悩まず、怒らず、ニコニコと」ということかもしれません。

この本は、生きる上で、大切なことを凝縮して学べる1冊ではないでしょうか。
[ 2010/08/08 10:30 ] スマナサーラ・本 | TB(0) | CM(0)

『「開運なんでも鑑定団」の十五年』中島誠之助

「開運!なんでも鑑定団」の十五年「開運!なんでも鑑定団」の十五年
(2008/09)
中島 誠之助

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中島誠之助さんの本を紹介するのは、「ニセモノ師たち」「ニセモノはなぜ人を騙すのか」に次ぎ、これで3冊目です。

いずれの本も、単に骨董という分野にとどまらず、骨董を通した人間模様、人物鑑定金銭価値など、人間と欲望の数々を面白く読むことができます。

この本は、特にテーマも決まっていないので、著者の自由なエッセイで綴られています。その中で、面白く読ませてもらえた箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・「見る、思う、知る」という順序が一番理想的なものの見方。見た感動の中からなぜそれが気になったのかを解明するための知識欲が生まれる。これが逆になって「知っている、思っている、見たぞ」となれば、そこには欲心しか育たない

・何度も繰り返し見ていくうちに実像が固定し、やがて思考が沸き上がってくる。これがモノとの対話であり、美が心の糧となる一瞬。心が満ち足りたこの状況を「眼福を得る」という

・「絹着てボロ着て木綿着ず」は、美術骨董品の取引を稼業とするわが家の家訓。ゆとりのあるときは絹の服をまとえ。貧しいときはボロをまとっていればよい。決して木綿服をまとうような中途半端な人生の過ごし方をしてはならないと厳しく生活態度を戒めている

自分目利きに陥る人の性格には、情熱家でありかつ独善的傾向が見られる。そのため彼らが愛好する古美術品の対象は、偏った分野に特定されていく。自分目利きの数寄者で、実業家として成功した人は、他人の意見に耳を貸さないため、有終の美を飾れない

・日本の美的対象物は、味わうことができない人に対しては、分からなければ分からないでよろしいという冷たさを持っている。だから日本人は、長い歴史の中で、特異な美意識という得体の知れない対象物に鍛え続けられてきた

・日本人は、割り切れない曖昧さと不安定なやりきれなさの中に身も心も浸している。そのような模糊とした状況から、人生の喜びやゆとりをくみ出してくるという特殊技能を誰しも身につけている

・旺盛な体力と貪欲な探求心を持つ三十代の時に、出来るかぎり知性豊かな経験をして、高度な作品を体に蓄積し、人生の達人たちの謦咳に接することが重要

・他人と接して、自分にないものを吸収することが大切で、それが出来なければ進歩はない。安全圏に身をおいて、ことを処すれば、人の口を聞く能力がゼロになるので、目利きは出来ない

・本物はあるべきところにあるのであって、場違いなところに登場することはあり得ない

・ホンモノというものは、実に素直に存在しているものであって、多く語ることを必要としていない。話のきれいな流れの中に、静かに身を横たえているもの。だから往々にして人はホンモノを見落とす

・鑑定に必要のないものは、欲心妥協心情愛。鑑定はそれほどに冷たいもの

・歌手や俳優の演技が真に迫って、観客が魅了される時は、その演者がそのものになりきっている時である。この時点でそれを演じている役者に欲はない。役になりきろうとしている役者を見ていると、観客はどっと疲労する。この時点では役者にまだ欲がある

・これは何だろうという感動が、ものを知ろうとする知識欲を呼び起こす。感動の土台の上に知識の建物が立つことによって、美意識の殿堂が完成する

・正直な世の中において、一番いけないことは、「バレなければいい」という態度。他人が見ていようといなかろうと、与えられた仕事に夢中で真面目に取り組んでいくことが大切

・賢い人間になろうと思って毎日を過ごしているヤツに賢者は一人もいない。こういう手合いは、こずるさが賢さに寝返っているだけ。真の賢さとは、自分に対しての効果を期待するものではなくて、他者をして感銘させるものでなければならない

・三十代までは、森羅万象を夢中で吸収する。これが人生のプロローグ。四十歳前後に、「命」の危険がやってくる。次の五十歳前後には「性」が人を襲う。六十歳前後に「金」という難関を乗り越えて、人生の花道にたどり着く。実につらい行脚をしなければならない



この本は、ホンモノになって、いい仕事をするために、何が必要かを教えてくれる書でもあります。

ホンモノも、いい仕事も、どんな業種、業界であれ、普遍的なものです。それを目標にしていれば、紆余曲折はありながらも、必ず到達できると、著者が教えてくれているように思います。

ホンモノとニセモノを見続けた、著者の人間鑑定には狂いがないのではないでしょうか。
[ 2010/08/06 08:26 ] 中島誠之助・本 | TB(0) | CM(0)

『小さな飲食店で年商1億円を稼ぐ儲けのルール』森久保成正

小さな飲食店で年商1億円を稼ぐ儲けのルール―独立起業の夢をかなえる仕事の基本とコツ小さな飲食店で年商1億円を稼ぐ儲けのルール―独立起業の夢をかなえる仕事の基本とコツ
(2005/08)
森久保 成正

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著者の本を紹介するのは、「飲食店の儲け方まるわかり読本」に次ぎ、2冊目です。著者は飲食店の経営者兼コンサルタントです。

具体的なので、興味深く読むことができます。また、裏事情なども詳しく書かれており、読み応えもあります。

今回の「儲けのルール」で、納得した箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・カウンター席のイスは広めに取り、客席間にも余裕を持たせる。カップル客には、ベンチシート式のイスを設けると、親子3人でも座れて、客席効率がよくなる

店づくりというのは、あくまで「提供するメニューをまず決め、そこから逆算して考えていくこと」が必要

・店舗設計を進める上で、内装以上に重視しなければならないのが、店の外観、つまり顔づくりである

・都会人が「かっこいい」と思う店づくりも、ローカルな土地柄では「居心地が悪い」となってしまう

・客が心を動かされるのは、「どれだけ自分のことを考えてくれているか」という真意が伝わった時である

・同じ「いらっしゃいませ」でも、同じお冷やを注ぐ場面でも、客の心理やシチュエーションに合わせて微妙に変えていく対応力を鍛えなければならない。「お冷やの注ぎ方にも50通りある」

・大衆的な飲食店現場で汗水を流してきた人の中にこそ「安い食材を使いこなす」名人があふれている。彼らの「安い食材で売れる料理」の手法は、「おいしい食材を安く入手する方法」と「安い食材をおいしく調理する手間ひまのかけ方」を知っていること

・地元の安くてうまい食材探しのためのアンテナを張る。それを「客が満足できる」形で売る。そして、安い食材だからこそ徹底して使いこなす(捨ててしまっていた部分を活かす)。これが食べ物商売の楽しさのひとつ

・手間ひまをかけるということは、売れる柱メニューをつくること。ムダな手間ひまは損をするだけ

・地元のスーパーに足を運び、どんなものがどれくらいの価格で売れているかを観察すると、地域住民の生活が見えてくる。立地観察こそ商売の基本

・郊外型店は顔づくり次第で売上が2~3割も変わる。走行中のドライバーや同乗者はじっくり店を選んでいる余裕はない

・日本人は大変内気な国民。常に他人の視線を気にして、その視線から身を隠したい欲求が強い。客同士の視線が気にならない店が喜ばれる。お金をかけなくても、目線を隠し、自分たちの領域をはっきり囲ってくれる“印”があればいい

・タイミング次第で「気がきいている」と評価される場合と「気がきかない」と正反対の評価される場合がある。タイミングのツボにはまったら、多少形が未熟でもお金の取れる接客サービスとなる。後は心をいかに込めるかという点さえ注意すればいい



この本には、他にも、著者が経営する店の実例や、経営管理法、メニューづくり、販促テクニックなど、成功ルールが106も掲載されています。

飲食店経営者だけでなく、客商売をされている方が、この本を読めば、なるほどと思うことの連続ではないでしょうか。

こういう具体的な実例の多い本は、なかなかありません。商売を勉強するには、貴重な1冊です。
[ 2010/08/05 08:37 ] 営業の本 | TB(0) | CM(0)

『戦国武将一日一訓』高野澄

戦国武将〈一日一訓〉―人生を支える言葉・三六五戦国武将〈一日一訓〉―人生を支える言葉・三六五
(1989)
高野 澄

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わが家の戦国ブームは、ゲームの「戦国無双」を子供たちに買ってあげた5年前から、ずっと続いています。この5年間に、天守閣のある城12カ所、古戦場5カ所に足を運ぶことにもなりました。

子供たちは、戦国時代に興味を持つようになってから、大人の部屋の本棚から、戦国物や歴史物の本を勝手に取り出して読んでいます。

今日取り上げる本は、今から20年以上前の本ですが、書棚の隅の方にあったものです。子供が取り出してくる前は、すっかり忘れていました。

戦国武将の言葉をまとめた書ですが、久しぶりに読むと、各武将の個性が言葉に如実に表れており、面白く読めました。

勉強になった武将の言葉が、15人ほど、20以上ありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・天下の政治は角なるものに、丸き蓋をしたるようにするが良く候(細川忠興)

「四角の容器に丸い蓋ではキチッとはまらない。そこが天下の政治の要領。大雑把でよろしい」

・刀、衣装は人のごとく立派と思うべからず、見苦しくなくば良し(北条早雲)

「主君が立派な刀や衣装を否定しなければ、家来は苦心してカネをつくり、立派な刀を差し、派手な衣装を着る」

・汝ら鶴の楽しみを羨まず、雀の楽しみを楽しみ候(滝川一益)

「鶴と俺とは同じ。大名になって広い領地をもらっても、昼も夜も気の休まることがない。雀は何にも気づかいしないで、ひたすら楽しんでいる」

諫言する家老は戦場の一番槍よりも遥かに増した心根なり(徳川家康)

「諫言は命懸けのもの。だからこそ主人は、命をかけても諫言してくる臣下を育てたいもの」

・取らせたき者に思うさま取らさんための倹約なり(黒田如水)

「家来にたくさんの土地を知行させたいためこその倹約である」

・信長はいずれ高転びに、あおのけに転ぶと存ぜられ候(安国寺恵瓊)

「信長の権勢はまだ数年は上昇するが、そこであおのけに転ぶと予言した。この手紙の中で、恵瓊は木下藤吉郎が『さりとてはの者』(相当な人物)と言っている」

人を使う要件に二つあり。一は賢を尊び、二は能を使う(徳川家康)

「賢を尊ぶとは、人間性豊かな者を重用するということ。能を尊ぶとは、人間の欠点に目をつぶっても能力を買うということ」

・祈るも天道、祈らぬも天道なれども、我は祈る(三好長慶)

「祈れば果報があると決まってはいないが、それでも祈る。祈ることで迷いと対決した」

・二度目までは教え候。三度目には切り候ゆえか、行儀よろし(細川忠興)

「失礼や無礼があっても二度までは許す。同じ失敗を三度もやる者は、いくら教えても見込みがない」

・三人いくときかならず我が師あり(北条早雲)

「人が三人いれば、そのうちの一人はかならず師として仰ぐべき人だから、その人に従えばいい」

臆病神の付きたる上は、百万騎の勢ありとも、戦いに負けるべし(小西行長)

「軍隊が一歩でも退却をはじめたら、虎も鼠になってしまう」

・奉公人の四種類、急だらりだらり急急々・だらりだらり(鍋島勝茂)

「急だらりは、すぐに仕事にかかるが、結果が出るのに時間がかかる。だらり急は、仕事を理解するのに時間はかかるが、着手後ははやい。急々は任務の意味を咄嗟に飲みこみ、仕上げも早く正確。数は少ない」

・家来にはむざと言葉をかけぬものなり。金銀米銭で目をかけよ(前田利常)

「大将は家来に言葉を言わぬもの。金銀、米銭、衣類などで目をかけておく。大変のとき、カネを出す余裕がないとき、そこで懇ろに言葉をかけると、家来は命を投げ出し働いてくれる」

構えありて構えなし(宮本武蔵)

「敵を前にしたら、どう構えるかではなくて、どう勝つか」

・崩れる時期には崩すのがよし。崩すまいとすると汚く崩れる(鍋島直茂)

「崩れるのは時節の結果なのだから、思いきって潔く崩してしまうのがいい。最低のところに落ちて割り切ると、いままで見えなかったものが見えてくる」

・素肌でも早く駆けつけるが良し。具足の有無に差別なし(井伊直政)

「具足を着る暇もないほどの緊急事態なら裸でも構わない。まず駆けつけるのが大事」

分に過ぎたる値の馬を買うべからず(竹中重治)

「五両の馬なら、敵を追いつめたら、飛び下り、乗り捨てが可能。十両の馬を買うと、馬の心配をして、武巧のチャンスを逃す。武功を立てた後、残りの五両で別の馬を買えばいい」

・物の本、文字あるものを懐に入れ、人目を忍んで見るべし(北条早雲)

「組織のリーダーが配下の読書を恐れるようなら、たいした人物ではない」

・人前において食物並びに売買の雑談、なすべからず(武田信玄・信繁)

「人前で食物や売買の話をやるのは、主人からの手当てが十分ないとの疑問を抱かせるだけ」

・一切の道理を見おわりて、胸にとどめす、はらりと捨つべし(柳生宗矩)

「いったん把握した道理を捨てればいい。捨てないと平常心になるのを邪魔する」

大将の武道を好むは武芸を好み、心をいかつにするにはあらず(黒田如水)

「武道を好むといっても、自分が武芸に夢中になることではなく、荒々しい心になることでもない。戦の道を知り、乱を鎮める智略を育てるのが目的」



戦国武将は、下剋上の世の中で、現場叩き上げで成功を勝ち取ってきた人たちです。今で言えば、大企業の創業オーナーのような存在です。

その言葉の重みは、現代にも通じるものが多く、勉強になります。しかも、それぞれに個性が強いので、自分に合った戦国武将を探していくのも面白いのではないでしょうか。

戦国武将人気がずっと続いているのも、頷けるような気がします。
[ 2010/08/03 08:17 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)