とは学

「・・・とは」の哲学

『非営利組織の経営-原理と実践』P・F・ドラッカー

非営利組織の経営―原理と実践非営利組織の経営―原理と実践
(1991/07)
P.F. ドラッカー

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この本の著者は、今、流行?のドラッカーです。1991年に出版されたので、19年経っています。

その当時、「お金の報酬」だけでなく、「心の報酬」を組織に活かすには、どうすべきかを考えていました。それで、この本を買ったのだと思います。

この本のおかげで、組織運営の究極の方法、リーダーの究極像を学ぶことができたように思います。

今回、鉛筆で線を引いた箇所を再度読み直しました。改めて、参考になった箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・非営利機関は、人間変革機関である。その「製品」は、治癒した患者、学ぶ子供、自尊心をもった成人となる若い男女、すなわち、変革された人間の人生そのものである

・非営利機関は人と社会の変革を目的としている。リーダーの要件として、カリスマ性は重要でない。リーダーの使命が重要である。リーダーは真先に、自らのあずかる機関が果たすべき使命を定めること

使命の表現は、その機関が現実に何をしようとしているのかに焦点を絞ったものでなければならない。その組織に関わる一人一人が、目標を達成するために、自分が貢献すべきことはこれだ、と言えるものでなければならない

・使命の表現は、「機会」「能力」「信念」の三つを示していなければならない。さもないと、究極的な目標を達成することはできず、目的も果たすこともできず、最終的な成果も得られない

・非営利機関のリーダーは、成功につれて成長していくべきことを知っておかねばならない。組織としての勢い柔軟性活力、そしてビジョンを失ってしまうと、組織は全く動かなくなってしまう

・新しいことは何であれ、心底信ずる人々の懸命な努力がなければうまくいかない。そうした人は、片手間でやる人々のなかには見出せない

・まず見るべきは強みである。人は強みのあることしか、成し遂げることはできない。その強みを活かして、何をしたかを見る

・リーダーには、客観性、一種の分離感が必要である。職務と自らを一体化してはならない。職務は、リーダーの一身よりも、はるかに重要なものである

・組織の持つ高い基準が、人を組織に惹きつける。高い水準から、自尊心とプライドが生まれる。たいていの人は、何らかの貢献をしたいと欲している

・リーダーはビジョンを持たなければならない。リーダーはおのずと未来志向型の人間である

・自分がまずなすべきことは何か。組織がまずなすべきことは何か。組織にとって優先すべきことは何か。これが行動計画である

・非営利機関には、「計画」「マーケティング」「」「」の四つが必要である。

・非営利機関が提供するサービスは、自分たちがとくに優れた能力を有する分野に集中すること

・アイデアをテストすることを怠ってはならない。実験段階をとばしてはならない。これを怠り、コンセプトの段階から直ちに全面展開へ移れば、ちょっとした欠陥のために、イノベーション全体を台無しにしてしまう

情報中心型組織では、各人が、その上司、同僚に対して、情報を伝達する責任を負っており、とりわけ、そうした上司、同僚を「教育する」責任を負っている

・組織全体の見識、ビジョン、期待、そして成果をあげるための能力を高めるためには、花形的な人材を効果的に使う必要がある。実績をあげた人を主役にする。しかも、彼らにプライドを持たせるには、彼らを仲間の教師として使うことである

・一人の人をスタッフ部門に長く置くべきではない。ローテーションを組んで、定期的に現場の仕事に戻すべきである

・非営利機関は、寄付者に対して責任を負っている。そのため、よき意図だけでは転落の道を辿ることになる

・どのような分野に「影響」を及ぼしたのか。顧客はどのようなことについて期待でなく「必要」としているのか。どのようなことで「時間」を浪費しているのか。最大のものを引き出すために、どのような分野に「集中」すべきか。毎年一回の見直しが必要である



現在、民間は、20年続くデフレにあえいでいます。そのせいもあって、公務員や各種公共団体の職員は、大きな批判を浴びています。

この本は、非営利機関の職員が、何を目標に仕事をしなければいけないのか、どういう成果を上げないといけないのかが、明確に記されています。

非営利機関に勤められている方は、こういう時勢こそ、気を引き締めて、もう一度、非営利組織の使命を確認して、業務を遂行する必要があるのではないでしょうか。そのために、是非、読んでほしい書です。
[ 2010/08/31 08:25 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)

『人はなぜ怒るのか』藤井雅子

人はなぜ怒るのか (幻冬舎新書)人はなぜ怒るのか (幻冬舎新書)
(2009/01)
藤井 雅子

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今から、6、7年前くらい、よく怒っていた時期がありました。

「正義に固執するうちに、赦す心を失い、善心を見失った」阿修羅のように、「これだけやったのに、なぜわかってくれないの?」「なんで、こんなことができないの?」とよく不平不満を言っていました。相手に求めすぎていたのかもしれません。

この本には、怒る原因とその解決策が書かれています。自分も体験したようなことが、文章になっていたので、すらすらと読め、容易に理解することができました。

怒ると周りの人に不快感を必ず与えます。自分が損をします。そうならないための、怒りの鎮め方も書かれており、勉強になります。

この本の中で、参考になった箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・怒りを溜め込んだストレス耐性の低い人が客の立場に立ったとき、強力なクレーマーになる。彼らには「客(=自分)は一番偉い」「客の立場は誰よりも強い」という思い込みがある

・海外で日本人のマナーがいいと評判なのは、日本人が自己主張できず、押し黙って我慢しているからであり、これは内弁慶的な日本人の気質をあらわしている

・スピリチュアルはカウンセリングと違い、辛い思いをして自分に向き合わなくても、未来に対して何らかの道筋を与えてくれる。そして、気に入らなかったことを聞かなかったことにして、都合のいいことだけを信じることができる

・抑えつけられた感情は、心の奥底に溜まって熟成される。そして、ある日突然爆発する

・怒りとは「不一致による違和感」であり、これが大きければ怒りも大きくなる。「不公平感」とも言える

・「不当な扱いを受けたとき」怒りを感じる。それは、潜在意識の「こう扱ってほしかった」「こう扱われるべきだ」という願いが叶えられなかったことによる不一致

・「大切にされていないと感じるとき」も、「大切にしてほしい」「大切にされるべきだ」の願いが叶えられず、期待と現実のギャップが怒りになる

・「想定外のことが起きたとき」も怒る。信頼していた人に裏切られたとき「だまされた!」と怒る。急に人が飛び出してきたとき、ドライバーは「バカヤロウ!」と怒鳴る。心身に危険を感じたとき、歩行者は「ふざけるな!」と憤りを感じる

・イライラしている本人は、自分を被害者のように感じているが、自分に余裕や自信がないことが対象への過剰期待につながり、大きな不一致を生んでいると考えられる

・どんな考え方が怒りを感じやすいのかというと、それは「~べき」「~なければならない」という考え方

・「べき思考」というのは、ものごとに対して100%を期待する完全志向であり、こうした考え方の癖があると、本人も周りの人も苦しくなる

・相手に100%を求めるということは、相手に対する甘え

・怒りが大きければ大きいほど、裏にはその分弱い気持ちが隠されている。弱い自分を見せないように、強い感情を見せて、自分を守っている。その強い感情が「怒り」

・怒りのパワーは強烈なので、油断しているとすぐ伝染する。攻撃をしかけられれば、防御の構えをつくってしまうのが動物の本能

・イライラ解消のためには期待値を下げること。期待値を90に下げれば、90~100の結果は予想以上の喜びになる。今まで、この部分はイライラの種だったのだから、天と地ほどの違い

・今まで「~べき」「~なければならない」「~してはいけない」と考えていたことを、「~だったらいいなあ」「~であるに越したことはない」「~したい」「~ほしい」と言い換える。
つまり、「must」「should」を「wish」「hope」「like」に言い換える

・「なぜ?」「どうして?」を多用しないこと。「なんで?」「どうして?」と追及されると、責められているような気がして、防御態勢に入り、心を閉ざしてしまう

・こだわりの強い、100%主義の人の多くは「じゃあいい」とすべてを捨て去ろうとする。これでは、ものごろは解決しない

・自分の気持ちを言葉にして人に聴いてもらい、「そうねそうね」と言ってもらえる。これにまさる癒しはない

・相手のことを気遣いすぎて断ることができず、言いなりになってしまい、釈然としない気持ちだけ残る。こういうタイプの人は、自分から誰かを誘ったり、頼んだりできず、他人に振り回されてストレスを溜め込む



「should(~すべき)」「must(~なければならない)」をやめること。怒りを鎮めるには、これに限ると思います。

そして、自分が大した人間でないことを認識できれば、人にも「大した人間」を求めなくなります。

怒りとは、結局、増長であり、弱さです。自分の心に欠陥があるから起こる現象です。そういうことをやさしく、わかりやすく教えてくれる1冊です。

最近、怒りっぽくなったと感じている人にはおすすめです。
[ 2010/08/30 09:01 ] 営業の本 | TB(0) | CM(0)

『日本人は、なぜ同じ失敗を繰り返すのか・撤退戦の研究』半藤一利、江坂彰

日本人は、なぜ同じ失敗を繰り返すのか 撤退戦の研究 (知恵の森文庫)日本人は、なぜ同じ失敗を繰り返すのか 撤退戦の研究 (知恵の森文庫)
(2006/08/04)
半藤 一利江坂 彰

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この本は、日本の戦争史とリンクさせて、「リーダー論」「経営論」に言及する書です。

生きるか死ぬかの瀬戸際で考えられた戦略、戦術、組織づくり、マネジメント方法の検証は、現代の経営に多くの示唆を与えてくれます。

今回、経営に役に立つと思えた箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・近代日本の将が戦国武将よりも劣るのは、日本軍が参謀重視になったから。参謀の上に乗っている将は、自分で余計なことを言わず、本当の意味の決断者でなくなってしまった

・ラ・ロシュフコーは「人の偉さにも旬がある」と言っている

・ムラ社会は情報戦に弱い。上も下も情報を共有するということは、逆に言えば、異質、異端の情報を排除するということ

・日本の情報参謀は情報を集めるだけで、分析は次に任せた。翻訳家であり、分析者ではなかった

・仲間うちでかばい合い、何とかミスを隠そうとする官僚主義の悪弊は、現代の官僚社会にも生きている

・戦略とはチョイス、選択。そして、選択とは決断。戦争で開戦するかしないかも難しい決断だが、最も難しいのは撤退戦

・会社経営でも、現場の戦闘、バトルはミドルがやる。しかし、儲ける仕組み(グランドデザイン、大戦略)と撤退戦という難事だけは、トップしかできない

・チンギス・ハンの政治顧問だった耶律楚材は「一利を興すは一害を除くに如かず」と言っている。今の事業からマイナスを取り除くことのほうが、一つの事業を興すことより勝っているということ

・マネジメントとは、失敗する前に方針を変えるように説得すること。失敗して変えるのは当然。うまくやっている間にいかに変身を図る

・イギリスのモンゴメリー将軍は「リーダーシップとは、人を共通の目的に団結させる能力と意志であり、人に信頼の念を起させる人格の力である」と言っている

・バトルは、現場の指揮官で勝てる。企業で言えば、ミドルとか管理職がしっかりしていればバトルは勝てる。しかし、トップが指揮を間違えたら、ウォーには絶対に勝てない

発想を豊かにすることが難しければ、少なくとも規格化された理論や持論にすがらないこと

・日本企業は、優秀な人間はゼネラリストになり、ゼネラリストになれない人間がスペシャリストになるという、とんでもない錯覚をしてしまった。だから、スペシャリストとして活躍できる才能がある人間までスペシャリストにしてしまった

・本物のエリートを養成するには、子会社に派遣して現場で鍛えること。机上の計画と実地との違いを実感でき、オールラウンドな教育が可能になる。仮に、リーダー候補が子会社で潰れても心配することはない。所詮、それだけの器量の人間だったということ

・「大逸材は傍流にあり」。逸材が必ず傍流にいるとは限らないが、大逸材が傍流にいることはままある

・大モルトケは「作戦が通用するのは緒戦だけ」と言っている。ナポレオンは「十年単位で戦法を変えないと、その軍隊は良質でない」と言っている。ワンパターンの作戦ほど危険なものはない



日本の組織では、アホな人間がいつトップに就くともかぎりません。

サラリーマンの立場から考えれば、トップがアホになっても、生きていく術を身につけることが、本当の意味の処世術なのかもしれません。

危機的状況にならない限り、日本では、素晴らしいリーダーは現われてこないということを教えてくれる書でもありました。
[ 2010/08/29 08:44 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『人間というもの』司馬遼太郎

人間というもの人間というもの
(1998/11)
司馬 遼太郎

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この本は、司馬遼太郎さんが1996年に亡くなられた後、すぐに出版された箴言集です。
氏が遺した膨大な小説やエッセイから、人間に関する貴重な言葉を厳選しています。

若いころ、氏の小説を何冊も読み、触発されて、今でも、幕末に興味を持って生きています。先だっても、盆休みを利用して、萩、防府を回り、大村益次郎、吉田松陰、高杉晋作といった天才たちの足跡に触れてきました。

帰ってきてから、久しぶりに、書棚に置いていた、この本を手に取りました。自分が読んだ小説に記載された言葉も登場するので、非常に興味深く読み直すことができました。再度、司馬遼太郎さんの偉大さに気づいた次第です。

この本の中で、新たに感銘した箇所が25ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・人間、思いあがらずになにができようか。美人はわが身が美しいと思いあがっておればこそ、より美しく見え、また美しさを増す。膂力ある者はわが力優れりと思えばこそ、肚の底から力がわきあがってくる。南無妙法蓮華経の妙味はそこにある

・茶の作法も、男女の遊びの作法も、遊戯にすぎぬが、遊戯のとりきめに己を縛りつけるときのみ、人は生死の欲望から離れることができる。作法どおりにするがよい

・志は塩のように溶けやすい。男子の生涯の苦渋は、その志の高さをいかに守り抜くかというところにある。それを守り抜く工夫は特別なものではなく、日常茶飯の自己規律にある

・錯綜した敵味方の物理的状勢や心理状況を考え続けて、ついに一点の結論を見出すには、水のように澄明な心事を常に持っていなければならない。囚われることは物の判断にとって最悪のこと。囚われることの私念を捨ててかかること

・人間の才能は、大別すれば、つくる才能と処理する才能の二つに分けられる。西郷は処理的才能の巨大なものであり、その処理の原理に哲学と人格を用いた

・人は、その才質や技能というほんのわずかな突起物にひきずられて、思わぬ世間歩きをさせられてしまう

・人間の厄介なことは、人生とは本来無意味なものだということを、うすうす気づいていることである。古来、気づいてきて、今も気づいている

・自分というのは経験によって出来るだけで、人間という生物としては、自己も他者もない

・人間は、それぞれの条件のもとで快適に生きたいということが基底になっている。仕事、学問、お役目は、その基底の上に乗っかっているもので、基底ではない

・つまるところ百の才智があっても、ただ一つの胆力がなければ、智謀も才気もしょせんは猿芝居になるにすぎない

・何者かに害を与える勇気のない者に、善事ができるはずがない

・時勢は利によって動くもの。議論によっては動かぬ

・よき大将は価値のよき判断者。将士の働きを計量し、どれほどの恩賞に値するものかを判断し、それを与える。名将の場合、そこに智恵と公平さが作用するから、配下の者は安心して励む。配下が将に期待するのはそれしかない

兵法の真髄はつねに精神を優位優位へととっていくところにある。言い換えれば、恐怖の量を、敵よりも少ない位置へ位置へともっていくところにある

・名将とは、人一倍、臆病でなければならない。臆病こそ敵を知る知恵の源泉というべきもので、相手の量と質、主将の性格、心理、あるいは常套戦法などについて執拗に収集する。ついで、自分の側の利点と欠点を考え抜く

・才能とは光のようなもの。ぽっと光っているのが目あきの目には見える。見えた以上、何とかしてやらなくてはという気持ちが周りに起こって、手のある者は貸し、金のある者は金を出して、その才能を世の中へ押し出していく

・思想を受容する者は、狂信しなければ、思想を受け止めることはできない

・戦場において人々が勇敢であるのは、名誉をかけているから。名誉は利で量られる。つまり、戦場における能力と功名は、その知行地の多い少ないではかられる。他人より寸土でも多ければそれだけで名誉であった。男はこの名誉のために命をすら捨てる

・物事の自然を見るこそ、将の目。時の運と理にかなうからこそ毎度の勝利を得る。過去の勝利の結果のみを思い、必ず勝つと錯覚するならば、勝つための準備、配慮に費やされた時間と心労を見ない

・思想は、人間を飼い馴らしするシステム。人間は飼い馴らさなければ猛獣であって、飼い馴らされて初めて社会を構成する人間たりうる

・武士の道徳は、煮つめてしまえば、「潔さ」というたった一つの徳目に落ち着く

・思想とは本来、人間が考え出した最大の虚構(大うそ)。松陰は虚構をつくり、その虚構を論理化し、結晶体のようにきらきら完成させ、彼自身も「虚構」のために死ぬことで、自分自身の虚構を後世に実在化させた。これほどの思想家は日本歴史の中で二人といない

・いい若い者が、母親の私物として出現するようになったのは、日本では、戦後のこと。弥生式農耕が入って以来、二千年の歴史から言えば、近々三十年に過ぎず、我々はこの異習に鈍感になっている



慧眼なる司馬史観で、人間とは何か、思想とは何か、能力とは何かが、この本であぶり出されているように思います。

イデオロギーや思想の嘘っぱちを見抜き、人間の本質を基底とする現実に目を向けるには、非常に参考になる人間読本ではないでしょうか。
[ 2010/08/27 08:37 ] 司馬遼太郎・本 | TB(0) | CM(0)

『貧乏はお金持ち-「雇われない生き方」で格差社会を逆転する』橘玲

貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する
(2009/06/04)
橘 玲

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著者の本は、過去に「得する生活」を読んだことがあります。この本も、同様に、「サラリーマンから個人事業主」「雇われない生き方」「マイクロ法人の設立と運営法」がテーマになっています。

著者が嘆くように、日本のエリート層は、なかなか会社を辞めません。アメリカと大きな開きが生じています。

エリート層がフリーにならないために、下がつかえてしまっているのが、今の日本の状態です。臆病なエリートが多いために、こうなっています。

こういう現状を踏まえ、フリーでいながら、どうしぶとく賢く生きていくかが、この本にはギッシリ書かれています。

参考になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・今やリベラル派の人たちまでが「非正社員を正社員にせよ」と大合唱している。正社員とはサラリーマンであり、すなわち社畜のこと。いつのまにか社畜=奴隷こそが理想の人生になってしまった

・今必要なのは、自由に生きることの素晴らしさを思い出すこと。安定を得る代償に、自由を売り渡すのをやめること

・自由な人生にとって、いちばん大事なのは、自分の手でお金を稼ぐこと

・正社員に憧れるのは、日本社会ではサラリーマン以外の生き方が圧倒的に不利だと信じられているから。会社に雇われない自由な生き方の可能性が、実践的な技術とともに提示されなくてはならない

・年功序列プラス終身雇用制とは原理的にネズミ講。組織が拡大し、新しい社員が入ってくる限り、システムは機能するが、いったん成長が止まると瞬く間に崩壊する

・日本株に投資した株主は、この20年間、一貫して損をしてきた。もしリストラが企業の利益に直結するのなら、血も涙もない人件費削減によって株価は上昇しなければならないが、現実にはそうなっていない

・格差社会でもっとも得した社会階層は、終身雇用で守られた公務員や大企業の従業員。彼らの源泉は、日本経済を襲った長期のデフレ。モノの値段が安くなっていくから、実質的な給料は増えていく

・アメリカには、1650万人のフリーランス、350万人の臨時社員、1300万人のミニ企業家(マイクロ法人)がおり、フリーエージェントの総数は3300万人。さらに予備軍として、在宅勤務で働く社員が1000万人。雇われない生き方が労働形態を大きく変えつつある

・日本は40万人のフリーランス、300万人の臨時社員、30万人のマイクロ企業家しかおらず、フリーエージェント人口はアメリカの約10分の1の370万人

・フリーエージェントはクリエイティブクラスと同義ではない。とりわけ、日本においては、フリーエージェントの大半は契約社員で、「自由」とはほど遠い状況に置かれている。このままでは、フリーエージェント化は奴隷化の別名になってしまう

・日本では、クリエイティブクラスの大半はいまだに会社に囲われている。だが、保守的で官僚的な会社システムの中で、能力を十分に発揮しているとは言い難い

・機関投資家資本主義はアメリカ経済を大きく歪めたが、それ以上に株式会社を奇形化させたのが、日本の「法人資本主義

・法人のメリットは、あらゆる金融商品の損益の通算ができること。預金(外貨預金)、株式、債券まで、あらゆる金融商品のインカムゲイン(利子・配当所得)とキャピタルゲイン(譲渡所得)を合算できる。しかも、法人の損失の繰越が7年間認められている

・日本の官僚機構は、サービスの提供にあたって申請主義を原則としている。利用者は自治体の窓口に足を運び、必要な書類を整えて、失業保険や生活保護を申請しなければならない。国家の援助を受けられるのは、自分が「社会的弱者」であると証明した人だけ

・官僚制の本質は非人間性にある。言い換えれば、国家は国民を無差別に扱うということ。職員の善意や悪意とは無関係に、提出された書類に基づいて、機械的に処理するのが正しい行政のあり方

・人々は今、自由な人生に背を向け、安定を求め、会社に束縛されることを求めている。自由の価値がこれほどまでに貶められた時代はない。一方で、会社も社員の生活を保証できなくなっている。サラリーマンは絶滅しつつある生き方であり、消えていくことになる

・自由とは自らの手でつかみとるものではない。自由は、望んでもない人のところに扉を押し破って強引にやってきて、外の世界へ連れ去るもの



私は独立してマイクロ法人を設立したので、自由の身です。今からサラリーマンという束縛の身に戻ることはできません。

なぜ、戻れないかというと、「精神も時間も自由に生きられる」「命令されたくない」からだと思います。もちろん、デメリットも多いですが、自由というメリットがそれを上回るからです。

著者も指摘するように、「安定」や「お金」より、「自由」の方がもっと素晴らしいということが認識されてしかるべきではないでしょうか
[ 2010/08/26 06:34 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)

『売れっ娘ホステスが「一流ママ」になる方法』難波義行

売れっ娘ホステスが「一流ママ」になる方法―「水商売」の成功マニュアル!大繁盛編売れっ娘ホステスが「一流ママ」になる方法―「水商売」の成功マニュアル!大繁盛編
(2005/07)
難波 義行

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以前、紹介した「売れっ娘ホステスの育て方」の続編になる本です。

「売れっ娘ホステスの育て方」では、もてなし術、会話術などがテーマでしたが、この本では、基本マナー、ママのお仕事、店のしくみ、店の立て直し方などがテーマです。

売れっ娘ホステスになった後、次の目標である「ママさんになる」方法が書かれています。

その内容は、水商売の本を超越した、上級接客もてなし読本なのかもしれません。一流の人を接待するのに、身につけておかねばならないプロの技術と仕事のし方が書かれています。

役に立つと思えた箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・大掃除は年末の疲れたときにやるより、年末を迎える11月にやった方が、お店の士気が高まって、売上もあがる

・ホステスを教育、コントロールする上で、スピーカータイプかリスナータイプなのか、仕事をコンスタントにこなすのか、体調や気分によって波が大きいのかといった特徴を把握し、表情や仕草から、その娘の気持ちが想像できるクセを知っておく「心がけ」が必要

・客を、年齢、業種、役職で分けて、どんな客筋が多いのか考える。さらに、その人たちを、「飲み方」(ゆったり静か、ホステスと騒ぐ、カラオケ好き)「誰と」(近所の友だちと、会社の同僚と、接待で)「価格帯」「通う間隔」に分けて分析する

・店の方針「中心となる客筋の、○○のニーズに、仲間といっしょに、○○の雰囲気、接客でこたえる」を決め、それに沿って店を作り、営業する

・鏡の前で、自然な笑顔をつくる練習だけでなく、鼻から下を隠して、目だけで「来てくださってありがとうございます」「お会いできてうれしいです」といった気持ちを表現する練習をする。気持ちを目に込めることができれば、「目の力」が強くなる

・水商売はワントゥーワンマーケティング。「客を各個人として見る」「客に継続してもらう」「客が生涯にもたらす利益を拡大させる」「関係の深まった客に口コミで客を広げてもらう」。客を一対一で、喜ばせて儲ける方法を考え、実行すること

20代後半の特徴
「結婚、子供の成長と共に回数が減る」「トラブルが起こりやすい。適度にマナーを教える」「通う店を変えやすい」「向こうから積極的に来る」

30代前半の特徴
「プライベートの場合、このあたりでいったん夜遊びから離れる」「20代からの付き合いの場合は通う店を変えにくい」「細く長くお付き合い」

30代後半の特徴
「プライベートで頻繁に来る客は、よほどお金があるか、夜遊び好き」「口説きだすと一番手強い。若い娘にはガードが必要」「まだ通う店を変える」「あきると来なくなるので、営業活動をしたり、目新しい娘を付けて趣向を変える」

40代の特徴
「40代前半から少しずつ回数が増える」「夜遊びする人としない人がはっきり分かれる」

50代の特徴
「通う店を変えにくい」「長い目で見て、生涯価値を高める」「思い出話ばかりでなく、たまには思い出づくりもする」「50代後半から少しずつ減る」

・客のパターン
「収入と使える金額は別。交際費、住宅ローンも考慮」「時間をつくって来ているのか、時間をつぶしに来ているのかを観察し、遊び方を変える」「マナーのよい客はマナーのよい客を連れてくる」

・客を幅広く持っていなければ、店は流行らない。集中して来る客、戻ってくれた客、コンスタントに来る常連さん、たまに来てくれる客がいて、安定した利益が出る。たまに来る客のありがたさは、忙しいときには気づかないが、ヒマになると身にしみる

・悪い客は悪い客を連れてきやすいが、「悪い客探し」にとらわれると、客を裁くようになり、接客が雑になる。つまり、「悪い客探し」の副作用で、客の数が減る。そうならないためには、愛情を持って接して「どんな客にも、うちの店では良い客になってもらう」こと

・相手が感情的になっているとき、いっしょに感情的になってはいけない。相手の感情をコントロールするには、まず自分の感情をコントロールすること

・トラブルは、2月や6月のような、ヒマだったり、憂鬱だったりするような、気持ちが不安定なときに起こりやすい。そんなとき、小さなきっかけからホステスの不満が爆発する

・人は見たいものを見て、聞きたいものを聞き、言いたいことを語る。つまり、自分に都合よく見聞きして、都合よく話すもの。ですから、街の噂を気にしてはいけない。「自分が正しいことは、お天道様が知っている」と自分を信じて、堂々としているのが大人

・休みに日に、知り合いの店に頼んで、「刺激になるし、うちの娘の気持ちもわかる」からと、無料でホステスさせてもらうママがいる。「人が嫌がることを進んでするのが、経営者の仕事」と自分でトイレ掃除するママもいる。彼女たちの店には活気がある



実際に現場で起きていることが多く書かれています。また、その起きたことに対して、どう対処したらいいかの案が事例をもとに記されています。

水商売は、接客業のプロです。会社の接待や営業などに携わっておられる方は、水商売に学ぶことがいっぱいあると思います。

一流の水商売のプロがやっていることに、興味のある方は、前に紹介した「売れっ娘ホステスの育て方」とともに、この本を読まれると役に立つのではないでしょうか。
[ 2010/08/24 08:25 ] 営業の本 | TB(0) | CM(0)