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「・・・とは」の哲学

『図説・山鹿流兵法-組織を活かす必勝の戦略』武田鏡村

図説 山鹿流兵法―組織に活かす必勝の戦略図説 山鹿流兵法―組織に活かす必勝の戦略
(1999/03)
武田 鏡村

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山鹿素行は、孫子の兵法を中心に、日本で兵法を体系的、学問的に初めてまとめた人物です。

赤穂藩で兵法を教えていたため、赤穂浪士の討ち入りの戦略や用兵には、山鹿流兵法の影響が強く見られると言われています。そして、幕末期に入り、長州藩の倒幕の戦略も、吉田松陰が教えた山鹿流兵法にのっとったものとも言われています。

兵法の、戦略、戦術、攻防、指揮、情報などの記述は、現代の商売やマーケティングでも大いに役に立ちます。人間のやってきた行為は昔も今も違いはなさそうです。

今回、この本を読んで、商売にも応用できると感じた箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・孫子のいう最高の戦い方は、敵の意図を見抜いて、これを未然に封じること。これに次ぐのは、敵の同盟関係や内部を分断し、孤立させること。第三が合戦をすること。最低の策は、守りの固い城を攻めること

・孫子の「戦力比による戦術」六原則は、
「1.兵力が10倍ならば包囲」「2.兵力が5倍ならば攻撃」「3.兵力が2倍ならば敵を分断」「4.兵力が互角ならば猛戦」「5.兵力が劣勢ならば退却」「6.勝算なければ戦いを回避」

速戦速攻は、勢いを周囲に及ぼして、巻き込む力をもつ。古来、「防衛に回って勝ったためしはない」。守りは愚将、攻めは良将。攻めでも速戦速攻型は優将

・大兵を動かすには、小兵を用いるように心がける。小兵こそ組織の原点
「命令が徹底しやすい」「臨機応変な行動がとれる」「上下ともに一体感がある」「逆心者がすぐわかる」「心が死地にあるため勇戦する」
衆を治めるは、寡を治めるが如くにせよ

小が大に勝つ「三つの戦法」は、
「1.局所優勢主義」(敵の兵力の集中を妨げ、味方の全兵力を集中し、敵の要点をつく)「2.少数精鋭主義」(質を充実させ、大兵の量の欠点をつく)
「3.奇襲」(思いもよらない奇手を用いる)

詭道14変のポイントは、
「劣勢のふり」「不必要なふり」「油断させる」「焦燥感をあおる」「誘い出す」「急襲」「備えを固める」「避ける」「撹乱」「低姿勢」「疲れさせる」「離間」「薄い所を攻める」「意表をつく」

大義は自らの正当性をアピールし、自軍の結束とやる気を高めるばかりでなく、傍観する周辺部の人々の共感を呼び、その力を取り込むことができる。天下国家の大義と国民のためという大義の双方が一致することが理想

・戦いに巧みな「良将」は、武力に訴えることなく敵を屈服させ、城を攻めることなく城を落とし手に入れる。相手を傷めつけずに、無傷のまま味方に引き入れる

・「吸収された者は最前線に立つ」。厳しい条件だが、降伏した者に課せられるのは、最前線に立って戦うことであり、それによって、功績と忠誠を示さなければならない

・「離間の策」とは、
「偽り情報で内部対立を助長」「法外な贈物で背信を促す」「地位で寝返りを誘う」「敵大将と現場指揮官を引き裂く」「敵中に内通者をつくる」
などで敵の力を削ぐ策

・中立は、周囲の力関係によって変化する、中立だけにこだわっていると勝者に攻められる。また、対立する両者が和睦すれば、仲間はずれにされ、両者の草刈り場と化す恐れもある。中立を保つには、両者に積極的に外交交渉を展開する必要がある

・「弱いものは表面上では、必ず強い態度に出る。これは兵の通法なり」。交渉事では、優位に立つ人は、相手の出方を窺えるから物腰が柔らかくなる。失地回復を狙おうとする人は、見破られまいとして、強気に出る

・「まず敵の愛する所を奪え」。敵の機先を制して、敵がもっとも重視している所を奪取すると、敵は奪われまいと焦るので、思いのまま振り回すことができる

・「二の勝ち」とは、たとえ先手をとられて守勢に回ったとしても、次の勝利を考えること。これができるのは、「怯」を捨てて「勇」の心を持ち続けるか否か

・「勝つことのみに心を奪われるな」。変幻する敵の本心を冷静に読みとることが、勝利の基本

・強者の攻撃は、
確率戦」「総合戦」「遠隔的戦闘」「短期決戦」「誘導作戦
弱者の攻撃は、
「局地戦」「接近戦」「一点集中主義」「陽動作戦」「一騎打ち」

・「勝ちて後に戦う」とは、あらかじめ勝てる態勢をととのえてから戦うこと。「和して後に戦う」とは、とりあえず和睦するが、その後に主導権を握ること

・追いつめて逃げ場がなくなると、人は自虐的に逃避するか、むきだしの反撃に転じる。追いつめて得意になってはいけない。むしろ逃げ場を与えてやると、逃げることを考えて戦う意欲を喪失する

・よく訓練され、統率された集団は、乱・怯・弱という「陰」が生じても、それは一時的なものであって、必ず「陽」に回復することができる

集団を動かすには、「金鼓を用いよ」(言葉で号令するだけでは聞き取れないから)「旗を用いよ」(手で指図するだけではよく見えないから)

・情報に信頼できる優秀な人材と、惜しみない資金を投入することは、勝ち残るための法則

・敵情をつかむためには「視観察」が重要
「視」とは、目に見える現象の把握(陽)
「観」とは、現象の背景と意図の把握(陰)
「察」とは、「視」「観」を踏まえて全体の把握(陽陰の止揚)



この本には、日本人が戦ってきた歴史と戦いに勝つ方法が体系的に記されています。

戦わなければいけない経営幹部や、ビジネス上で判断を求められるリーダー職及び専門職に就かれている方にとって、参考になることが非常に多いと思います。
[ 2010/05/31 07:19 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『「イライラ脳」の人たち・脳の仕組みから探る男女の違い』阿部聡

「イライラ脳」の人たち 脳の仕組みから探る男女の違い (知恵の森文庫)「イライラ脳」の人たち 脳の仕組みから探る男女の違い (知恵の森文庫)
(2006/04/05)
阿部 聡

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脳神経外科医の著者が、男女の脳の構造の違いから、イライラの原因と解消法を教えている書です。

著者は開業医で、臨床心理士でもあり、さまざまな患者の症例に出くわされています。そのため、実践的で、読みやすい内容になっています。

以前、未熟ながら「イライラ解消法とストレス対策」という文章を書きましたが、この本を読んで、また新たな発見がありました。

今回、勉強になった箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・あっという間に、イライラを消失させた女性の共通項は、夫や彼氏などのパートナーとの関係が改善した人、独身キャリアウーマンを気取っていた人が恋する女性に変身した人たち

・人生は、ある意味「暇つぶし」。心理学では「時間の構造化」と言う。イライラは同じ考えが堂々巡りしている状況だから、暇がつぶれて、時間の構造化ができている。何か行動を起こし、出力系を変えていくことが堂々巡りから脱出するのに有効

・本来、言語能力の発達した女性脳は、生理時間になると男性脳に変化する。つまり、言語能力が低下する。しゃべれるはずの言葉がうまく出てこなくなり、イライラする。自分の気持ちを伝えきっていない「分かって欲しい症候群」になる

・男性はヒエラルキーとか上下関係をつくるのが好き。アイデンティティーが弱い生き物のため「何とかの長」になりたがる

・女性ホルモンの世話好きや優しさといった行動が男性のやる気を起こす。このやる気の源が男性ホルモン。女性が女性らしくすると、男性はマザコンから脱出できる。逆に男らしい男に接した女性は女性ホルモンの分泌が増える。ホルモン同士の相乗効果が生まれる

・女性ホルモンの不安定さこそ、イライラする原因を作っている。菩薩か観音様になった気持ちで、男を大目に見ると、回り道に見えても、イライラしなくなる、言いかえれば「わかってもらえる」最高の近道

・男性脳はあくまで論理的であり、ここに人間性を加えるためには。夢を持たなくてはならなかった。論理的であるがゆえに、ロマンを持たねばならなかったと言える

・心にもご飯に当たるものが必要。この心のご飯に相当するのが「ふれあい」

・男性が普遍的なところでアイデンティティーを確立しやすいのに比べ、女性の場合、他人とのふれあいの中でアイデンティティーを確立する傾向にある

・相手に深いところで「受けいれたよ」という感じを伝えるための最大の方法は「傾聴」するということ

・何も言わなくても、時間を共有するだけで、実際はかなりの「ふれあい」になり、愛が伝わることになる

・物心つき出した子供とって、褒めることや優しく抱っこするという「おいしい心のご飯」を食べられるかは重要。虐待されて育った子供は、虐待そのものを「おいしい心のご飯」と誤って認識し、無意識の中に保存され、自分が子供を持った時、子供に虐待してしまう

・女性は自分自身のエネルギーを「育む」目的で使った時に、至福の幸福感を覚えられるようにプログラミングされている

・優しさ、思いやりを持った瞬間、人はある種のオーラを発する。それは素晴らしい育むオーラが出ている。それに多くの人がシンクロして、傍に寄ってくる

・現代社会における仕事では、「育む」目的と違って、より一層の生産性を上げること、より一層の富を貯えることが目的になった。そこに、女性がイライラする原因がある。育むエネルギーを上手く使うためには、男性のエネルギーも必要

・男性の脳は、獲物を追って狩りをしていくのに適した構造になっている。集中力はあるものの、ひとたびそれに夢中になると、他は雑音にしか聞こえない

マザコン男の第一の特徴は「すねる」こと。これは結構うっとうしい。第二の特徴は「責任が取れない」こと。自己責任が取れないマザコン男は、自分より権力や能力のある人間に絶対服従の態度を取り、自分が優位だと考える相手には、無礼な行動をとる

・女性は男性と関係性を持って、男性も女性と関係性を持って生きていくことが、幸せになる近道。そうプログラミングされている

・すべての人は幸せ。心にちゃんとそうプログラミングされている。ところが、「未熟な自己愛」ゆえに、幸せを感じることができない



この本を読んで、男女の脳の違いが本当によくわかり、すっきりしました。夫婦で揉め事が起きても、これからは大目に見ることができそうです。

内容的には、イライラ解消の本というよりか、男女の関係を改善し、男女の仲を良くしていこうという本です。異性のことでイライラしている人にはおすすめの1冊です。
[ 2010/05/30 10:31 ] 人生の本 | TB(0) | CM(0)

『カネと暴力の系譜学』萱野稔人

カネと暴力の系譜学 (シリーズ・道徳の系譜)カネと暴力の系譜学 (シリーズ・道徳の系譜)
(2006/11/16)
萱野 稔人

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著者は、新進気鋭の哲学者です。カネとは何か、国家とは何か、暴力とは何か、税とは何かを明快に指し示してくれているのがこの書です。

大きく世の中を見渡し、お金について考えるのに、役に立ちます。

今回参考になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが紹介したいと思います。



カネを手に入れるためには、四つの方法がある
「1.誰かからもらう」
「2.自ら働いて稼ぐ」
「3.他人からカネを奪う」
「4.他人を働かせて、その上前をはねる」
後の三つは、労働、国家、資本という社会の外枠を組み立てている三つの柱に関わっている

・軍事的強者が人々の生活に寄生し、かれらに貢物を強要するというのが国家のもともとの姿

・消費によってカネが増殖することはない。従業員の労働を通じてカネが増えるというところに、資本の活動の特徴がある。従業員は労働の成果(収益)をすべて受け取ることはない。資本の自己増殖のために上前をはねられている

・まっとうな企業も悪徳な企業も上前をはねることに変わりがない。両者の違いは、働かされる人がどれくらい納得して、どれくらいの上前がはねられるかという「程度の違い」だけ

・国家や資本は人々が働いた成果を自分のものにすることができる。よく考えると、労働者というのは、国家と資本から二重に奪われていることになる

・国家が、「暴力への権利」を手中に収めていることこそが、国家だけが人々からカネを奪っても犯罪にならないことの根拠である

・ヤクザが飲食店などから徴収する用心棒代が「みかじめ料」。みかじめ料の支払いを拒めばいやがらせを受ける。それと同じ構造が税。税の徴収も、逮捕されたくないからいやいやカネを支払っている

・民衆は国家が自分たちの安全を保障してくれるとみなして、国家による実力行使と税の徴収に正当性を与えている

・警察は、社会でおこる暴力や犯罪を取り締まることができなければ、市民から「税金泥棒」のそしりを受けることになる。ここに、暴力の正当化をめぐる一般的な図式がある

・日本の司法では、国家や大企業の責任を問うような裁判になればなるほど「和解」という判決がくだされる。その理由は、判例によって、国家や大企業の責任を法的に確定してしまわないようにするためである

・地位やコネのある人間ほど法によって処罰されにくい。同じことをしても、簡単に処罰される人間もいれば、お目こぼしをうける人間もいる。法の解釈や運用に恣意的なものがある

・近代以降の資本主義社会においては、「暴力への権利」と「富への権利」が分離する。暴力への権利に基づいて富を徴収するのが国家であり、富への権利のもとで人々を働かせてその成果を吸い上げるのが資本である

・カネとは「富への権利」である。カネを所有する量によって、その人間が富にアクセスする可能性は決まってくる。カネを所有することは「富への権利」を所有することにほかならない

・貨幣は本来、交換よりも、富を吸い上げることのほうに密接に結びついている。税が経済の貨幣化をもたらすのであり、税が貨幣をつくりだす

・資本主義は、それまでカネを払って手に入れるものでなかったもの(結婚の仲介、老人の世話、葬式など)まで商品化していく。だから資本主義が深化すればするほど、カネの介入しない相互行為の幅は狭まっていく



この本を読めば、労働者は働いた成果を資本家に上前をはねられるだけでなく、国家からも税の徴収という形で二重に奪われていることがわかります。

労働者が資本家と国家にコントロールされているのが資本主義です。労働者の収益が徴収される率の高い国では、公務員か資本家になることが最良の選択です。

職業選択の上で、時代や本人の性格もありますが、サラリーマン、事業主、公務員といった大きな視点で、仕事を考えることが重要に思えます。

どうでもいいことかもしれませんが、社会はこういった構造になっていることを理解しておいて、損はないように思いました。
[ 2010/05/28 06:34 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)

『自然に学ぶ粋なテクノロジーなぜカタツムリの殻は汚れないのか』石田秀輝

自然に学ぶ粋なテクノロジー なぜカタツムリの殻は汚れないのか (DOJIN選書22)自然に学ぶ粋なテクノロジー なぜカタツムリの殻は汚れないのか (DOJIN選書22)
(2009/01/25)
石田秀輝

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これから伸びると言われている産業で、環境関連、ロボット、ナノテクノロジーなどが有名ですが、忘れてならないのが、バイオミミクリー(生物模倣)です。

バイオミミクリーは、いろんな分野で採り入れられてきています。マーケット規模の大小にかかわらず、今後も、生物模倣による商品が巷にあふれてくるのではないでしょうか。

この本には、ネイチャーテクノロジーとして、自然界に存在する生物で、産業に応用できそうな卵たちが紹介されています。

この本を読んで、ためになった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・虫たちは利己的である。しかし利己的でありながら完璧な循環をつくり上げている。一方人間は、利己的であるがゆえに文明崩壊に向かって全速力で進んでいる

・人間だけが、生活価値の不可逆性という欲の構造を持つ。一度得た快適性や利便性を容易に放棄できない欲のかたちである。この生活価値の不可逆性と自然観の欠落が、利便性や効率のみを追求する物欲をあおるテクノロジーへとその姿を変えていった

・外気は昼間50℃、夜は0℃の環境の中で、シロアリの巣の中の温度は30℃にぴたりと制御されている。高い巣はチムニー効果で換気を促進し、地下深くから水を含んだ土を運び、その気化熱で冷却している

・土蔵は、土が構成する微粒子の凝集構造の小さなすき間を利用し、温度湿度を一定に保つ。粘土鉱物は、紙の30~40%、鉛筆の55%、口紅の15%、ファンデーションの40~70%に利用されており、自動車のバンパーなどのプラスチックにも不可欠

カタツムリの殻は、水をかけるだけで汚れが落ちる。汚れがつきにくく取れやすいカタツムリのテクノロジーは、家庭のキッチンシンクやビル外壁に使われ始めている

・「ハンマーで叩いても割れないアワビの殻

厚さ1マイクロメートル以下の薄い炭酸カルシウムの板を軟らかい接着剤で貼り合わせた積層構造になっている。ナノ積層が実用化できれば、しなやかで、錆びず、強くて割れない材料ができる

・「しなやかで強いクモの糸」

クモの牽引糸は弾性値限界で体重の2倍、破壊限界で体重の6倍まで支えることができる。クモの糸を大量につくることができれば、しなやかで軽く、鉄よりも丈夫な繊維素材ができる

・「竹は天然プラスチック

竹はしなやかさと強度をあわせもつ材料。FRPの繊維材料にはガラス繊維が使われるが、竹繊維を使用すれば、耐光性、リサイクル性の高い強化プラスチックができる

・「剥がれない水中接着剤

川の岩場に住んでいるカウロバクター・クレセンタスという細菌は体の部分に強力な接着部をもっている。この接着部は水中でも機能し、最も強力なアクリル系接着剤の2倍以上の接着力をもつ

・「凹凸があっても吸い付くタコの吸盤

タコの吸盤の表面には、直径3マイクロメートルの毛がびっしり敷きつめられていて、ゴツゴツした岩場や魚などの獲物にも強力な接着力を示す。この技術が応用できれば、コンクリートや木材の壁にもいろんなものを接着できる

・「どこでもくっつくヤモリの足

ヤモリは天井を逆さまに全速力で走ることができる。ヤモリの指先には、人の毛髪の10分の1の直径の毛が、片足に100万本生えている。この「ファンデルワールス力」という分子が引きき合う接着力を応用すれば、ハガキ1枚の大きさで200㎏を接着できる

・「ハスの葉をコロコロ転がる水滴」

疎水性突起のハスの葉の撥水性表面を利用すれば、濡れない表面をつくることができる

・「ノミのジャンプ、蜂の羽ばたき」

体の大きさの100倍の高さまでジャンプできるノミの脚の付け根、一生のうちに5億回以上羽ばたく蜂の羽の付け根には、レジリンというゴム状たんぱく質がある。レジリンの間接補強具があれば、人間が空を飛ぶことさえ夢ではない



この分野は、まだまだ研究余地のある世界だと思います。昆虫、鳥、魚、植物など、高等動物ではない生物の中に、人間に役に立つものがいっぱい残っています。バイオミミクリーは、研究者にとって、とても有益で面白い分野ではないでしょうか。

地球上にあるものを奪って利用するばかりでなく、素直に学んでいくことが、人間にとって、今後の大事な姿勢のように感じます。
[ 2010/05/27 08:48 ] 環境の本 | TB(0) | CM(0)

『成功する男はみな、非情である。』角川いつか

成功する男はみな、非情である。 (だいわ文庫)成功する男はみな、非情である。 (だいわ文庫)
(2007/12/10)
角川 いつか

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著者は大物です。経歴的にも大物(元角川書店社長、角川映画で有名な角川春樹氏が5回の離婚を繰り返した4番目の妻)ですが、人物的にも、危ない世界を渡ってきた、肝っ玉のすわった大物だと感じました。

非合法の世界に潜入して取材を重ね、闇社会に顔が利くまでの体験をしているだけに、本当の意味の「強い男」を見る眼が養われているように思いました。

男が書いた「強い男」の本は多く出版されていますが、女が書いた「強い男」の本は、なかなか目にすることはありません。しかも、記者だけあって、文章が上手。

そういう意味で、参考になる部分が多く、読みやすくて勉強になりました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・できる男は、まず結論から先に言う。トップから「コイツは使える」と好かれる。使えない奴は、無駄口が多い

非情になることは、効率的になるということ、合理主義に徹すること。今やっている行為が、銭を生みださず、無駄と思ったら、それ以上はやらない。「時は金なり」がわかっている

・世界的な成功者は決まって礼儀正しい。しかし、心では何を考えているかわからない。だから怖い。外見を立派につくれば、心の中は見せなくてもいいもの

・面会を求められるとき、無意識のうちに「その人は自分にどんなメリットを与えてくれるか」「大切な時間を割いてまで会うにふさわしい人物か」と考えるもの。信用できる人は「金の匂いがするから会った」と正直に言ってくれる

・効果的に結果を出すには、焦点を絞ることが大事。目標を定めたら、その達成を邪魔するものは、どんどん切り捨てていく。つまり「非情の決断」をする

・「金に照れてはいけない。そうすると金が逃げる」。成功者は、負けたらどうなるか知っているから、勝利の美酒が飲める

・「誰のおかげでうまくいっているの?」それが、いつまでも目に見えない足枷となり、相手は引け目を負い続ける。貸しをつくっておくことは、相手を傘下に収めるのと同じ効果を発揮する

・貸しをつくった相手が裏切ったら、徹底的に相手を潰す。成功者と言われる人ほど、逆上したら手がつけられない。非情の法則というより激情の法則

・戦国時代、トップは必ず一番後ろにいた。自分が殺されたら負け。卑怯と言われようが、それが戦い方というもの。将が生きている限り、復活のチャンスはいつでもある

・うまくいったら自分の手柄、失敗したら他人のせい。良いことと悪いことの振り分けがわかっていなければ、成功者にはなれない。成功者は成功し続けなくてはいけないもの。失敗したら、蹴落とそうとする人間の攻撃材料にされる

・成功者たちは汚れるような仕事はやらない。もちろん人生を賭けた真剣勝負にきれいごとばかりでは通用しない。急激にのし上がった人は多かれ少なかれ、どこかに後ろめたい傷を隠し持っている

・昔から一代で名をなした者は「刑務所の上を歩く」と評される。逮捕されなければ成功者、塀の中に落ちれば落伍者。本人は塀の上に踏みとどまり、誰かが塀の中に入る。こうすれば、当初の目的が達成される。非情な人間は、自分が卑怯者だとわかっている

・人生おひとり様、一回限り。思う存分やるべき。大きな望みを実現するためには、何も背負わないこと。恋愛でも何でも、人のためにと思うと、何かを背負うことになる

・悪い奴ほど、会ったら「いい人」だったり、そうでなかったり、常にイメージを裏切り続ける。そういうイメージを与えられたら、人を動かすことができる。でも本性は見せない。つまり、美しき誤解と錯覚で、新鮮さを維持する

・成功者は初めから違っている。語るべき将来プランがとにかく面白い。世界中どこでも人は興奮したいし、笑いたいし、喜びたい。そんな物語を待っている

・成功した人は、自分が気に入った若い人に賭けたがるもの。本当に成功したいのなら、あなたの将来に賭けてくれる人に、興味をひくような面白い話をすること

ハッタリがあってもいい。でも、あなたが信じていない話はダメ。完璧に信じる話でなければ、赤の他人は乗らない。「このチャンスを逃すと後悔するかも」と話を持っていくことが重要

・男は、相手より強いことを示したいという「能力拡張ごっこ」が好き。大人になれば、組織や社会でしつけられて丸くなるが、成功者は大人になっても闘争本能を捨てたりしない。だから多くの成功者は子供っぽい

・成功者の周りにいる人間は、基本的に利害関係で結びついている。逆境にあっては、潮が引くようにみんないなくなる。このときだけは「孤独であった」ことが骨身にしみてわかる瞬間。信じられるのは自分の力だけ

・自分の「大きな絵図」からはみ出す人を身近に置いておくと邪魔になる。「裏切り者」と言われようが、ズバッと斬る決断が成功を決める

・人は自分のレベルにあった相手と付き合うもの。売れてきて、成功してくると、相手が自分のレベルについてこられなくなる。成功者は、過去は潔く斬り捨てて、チャンスをつかみ取る

・「お客様は神様」は新規顧客開拓の発想。固定客づくりでは「お客様は悪魔」にもなる。客の理不尽な要求を聞いていたら、利益が上がらないので、客層を上質の客に絞り込む必要がある。優秀な経営者ほど、客や取引先の要求を非情に斬り捨てる

・成功者は結構嘘をつく。百戦錬磨の嘘つきは、目をそらさない。ついていい嘘(相手に不快感を与えない、気分を害さない、傷つけない)がとっさに言えることも成功するために必要な要素

・いつでも三人の顔を持つ。「渦中にいる自分」(必死、ときには感情的)、「客観視する自分」(冷静に自分に問いかけ)「上から見る自分」(全体を眺め、相手の反応や場の雰囲気を判断)。これで自分のバランスがとれる。成功者は多角的にものを見ることができる

・成功者は、勝負どころがわかると、チャンスを絶対に逃さない。迷わず駒を進め、ときにはハッタリをかける。確信を持って力強く説得する。話はデカく、金額や数値は細かく話す。いわば演技

・人はみなわかりやすい話を聞きたがっている。「言いたいことは二つある」(ひとつでは少ない。三つでは多すぎる)といった、聞きたい話をしてやること

アクの強さと自信が人を引きつける。自分に自信があれば、陰口を言われようが気にしないもの。面と向かって直接注意されたのなら、反省するなり反論すればいい。自分がいないところで話された内容など一切無視する

・噂好き、イジメ好きの人間は、狭苦しいところに閉じ込められた哀れな人。自分に自信がないから、他人に矛先を向けて自分が標的にならないように防御しているだけ

・女性は恵まれている。女性の特権はいきなり中核に入れること。それは、色仕掛けをするということではなく、若さや笑顔だけでも、はるか雲の上の人にかわいがってもらえる。男なら一生名刺交換できない人物に女性なら会える

・「機会」を与える人、「勇気」を与える人、「癒し」を与える人、「時間」を与える人、「運気」を与える人。周りに「運命の五望星」をかたちづくっていれば、成功への道は盤石

・努力とは結果を出す手段にすぎない。努力を褒められても喜ばない

・トップを目指すなら、同業者とのつき合いはほどほどにする。それよりも異業種のトップクラスで、叱ってくれる人を探し、つき合うべき

・最悪の事態を考え、手を打っておく。一見、ものすごくネガティブで後ろ向きに映るが、実は至って前向きで積極的な考え方

・人の悪口を言っていいことはほとんどない。嫌いであっても、波長が合わないだけと思うこと

・良い話はなかなか伝わらない。自分に得になるように、人の評判をこちらから仕掛けて操作すること

・成功する人は、思考停止ができる人。自分の都合のいいことしか見ない、聞かない、記憶に残さない

・成功したいなら、なるべく数多くの実体験をすること。失敗体験も含めて、体験に勝るものはない。受け売りばかり口にせず、自分の体験を語ること

・人間は本当に自己中心的動物。ただ、エゴ丸出しにすると、どうしても他人から醜く見えてしまう。だから、人は醜いものをカバーする。表現はエゴを包み込む役割



著者は、数々の大物と接してきたので、上に立つ男の欲望と本質が透けて見えるようになったと思います。

女性が、トップや幹部の男性を見るとき、この本は役に立ちます。できる男の特徴を知っていれば、緊張しなくて接することができます。

できる男性と接する機会の多い女性にとっての、必読の書ではないでしょうか。
[ 2010/05/25 12:14 ] 角川いつか・本 | TB(0) | CM(2)

『インテリジェンス人生相談[社会編]』佐藤優

インテリジェンス人生相談 [社会編]インテリジェンス人生相談 [社会編]
(2009/04/25)
佐藤 優

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昨日の「インテリジェンス人生相談個人編」続き、今回は社会編です。個人編が「軟」だとすれば、社会編は少し「硬」な感じです。

著者の脳の引き出しの多さに感動しながら、今回もあっという間に読み終えてしまいました。

ためになった箇所、役に立つ箇所が数多くありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・介護の仕事は、社会的に価値がある「魂の労働」だから、低給与でも名誉が得られるというイメージを先行させて、末端のヘルパーさんたちに低賃金労働を押し付けている構造がある。この構造的問題を個人で変えることはできない

・人生から半ば降りてしまった人は、心が頑なになる。その頑なな心を解きほぐすのは容易ではない。ホームレスは、個人が「やる気がない」から生じるのではなく、「やる気を持たせない社会」が生み出す構造的問題

・期間工を含む社会構造的に弱い立場に置かれた人々の地位を改善する方策を日本国家がとらないならば、この国は内側から崩れ、世界の三流国になってしまう

・新自由主義がもたらす格差問題、正確に言うと貧困問題は、構造的問題なので、個人の努力で解決できない。新自由主義政策に反対する候補者に一票を投じ、新自由主義を是正しないと、日本人の大多数が貧困層に転落し、日本国家が内側から崩れる

・学校秀才や努力家タイプのエリートが陥りやすい罠がある。「成功しない者は努力が足りないからだ」という間違った発想を持つのがそれ。成功には努力と運の双方の要素があることを理解しないと、他人の気持ちが理解できない歪な人間になってしまう

・日本の学歴は、外国に出るとまったく神通力がなくなる。人間的魅力、地アタマのよさ、少々の語学力があれば、日本の因習に囚われずに生きていくことができ、困難な状況に直面しても路頭に迷うことはない

・自分の内側にきちんとした価値観があり、いざとなったら勝負できる実力があれば、世間の評価に迷わされず、フリーターをしながら、今後の人生を決めることができる。案外、それは国際スタンダードに合致している

・人のために何かをしてあげると、天からの巡り合わせがあり、それは必ず一定の時間を置いてから、数倍になって返ってくる

・政治活動を行うには、「怖い顔」と「優しい顔」の双方が必要。横着な官僚に対しては、街宣車と墨字巻紙、市民に対しては、徒歩デモや対話集会というように、政治目的に応じて最も効果的手法を用いること

・愛が強いと、自分の感情に重きが置かれすぎて、不和が生じやすくなる

・近代資本主義の基本は生産。金融資本が大儲け、大損していたのは古代や中世の話。ただし、そのころは金貸し資本が破綻しても、影響は社会の一部にしか及ばなかった。しかし、現在は、金融恐慌になれば、その悪影響は非正規雇用者を含む社会全体に波及する

転職をあおるだけあおらないと人材ビジネス会社は儲からない。転職者が転職に失敗しても、クレームをつけられる確率は低いし、転職者と企業に問題を転嫁できる。これほど儲かる産業はない

・人間が商品経済の便宜のために作り出したカネごときのために一つしかない命を捨てるほどバカバカしい話はない

・作家に経済合理性と異なる発想がないと、よい作品はできない。カネを支払うことで、他人に自分の意思を強制することができる。カネは権力と代替可能で、暴力性を持っている。カネを追求し始めると作品が暴力的になる

・自己啓発や心理学の本をいくら読んでも、自分の性格は変化しない。20歳くらいまでについた性格は一生変化しない。したがって、自分の性格を変えようとせずに、このままの性格で世の中とうまく折り合いをつけた方がいい

・東大の非常勤講師を長年務めたが、東大生であることを鼻にかけるのは、苦労して何年も浪人して東大に入り、その後も能力が劣るので留年したような、東大の中の下位集団に属する連中

・カネには悪魔が宿っている。この悪魔は、生活に必要な範囲でカネが動いているときには、頭をもたげてこない。しかし、一般市民の場合、1億円を超える利権抗争が生じると、この悪魔が動き始め、愛情も友情も壊していく

・苦しいときは、正直に「苦しい」と言い、「助けてください」と叫ぶこと。そうすると必ず助けてくれる人が出てくる

・優秀な人ほど、「自分の得意なことと、自分の好きなことは違う」という意識をもっている

・自分のことをダメ人間と思っている人は決してダメ人間ではない。なぜかというと、ダメである自分を外から観察しているもう一人の自分がいるから。本当のダメ人間は自分がダメ人間であることに気づかない



著者は同志社大学神学部出身のキリスト教徒、ロシア元外交官東大元講師、鈴木宗男事件に絡む背任罪で逮捕後、1年半の拘置所生活、その後人気作家という激動の人生を歩まれています。

エリートの目線と庶民の目線、外国人的な眼と日本人の眼、とにかく幅広い知識と経験を有して、堂々と生きておられます。

著者に学ぶべき点がいっぱいあるように思います。その著書を読めば、何事にも動じない考え方が身につき、悩むことが少なくなるのではないでしょうか。
[ 2010/05/24 11:13 ] 佐藤優・本 | TB(0) | CM(0)