とは学

「・・・とは」の哲学

『ギャンブルの経済学』佐藤仁

ギャンブルの経済学 (かに心書)ギャンブルの経済学 (かに心書)
(2007/11)
佐藤 仁

商品詳細を見る

ギャンブルを産業として、正確に調べた学術書のような真面目な本です。

この本を読むと、日本は、すでにギャンブル大国になっていることがわかります。特に、低~中所得者層に関して言えば、世界一のギャンブル好きのようです。

その反面、高所得者層が喜ぶギャンブルが少なく、世界水準から言えば、歪な構造になっているみたいです。

ギャンブルとどう上手に付き合っていくか?これはお金学としても重要なテーマです。その意味でも、この本は役に立ちます。今回、参考になった箇所が25ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・世界のギャンブルは、宝くじ系、レース系、カジノ系に大きく分かれるが、日本のパチンコのように独自に発達したギャンブルもいくつか存在する

・アメリカはラスベガスなどのカジノ都市が有名で、ギャンブル大国と思われるが、一人当たりのギャンブル支出は日本の70%ほど。日本人のギャンブル純損失は5兆円を超える規模で、一人当たりでは世界一と推定される

・賭け事を始める前の喜ばしい気分と大当たり時の快感は質が違う。習慣化してハマる状況は、する前の高揚感で、神経伝達物質が大量に出て快感を得るもの

ギャンブル愛好家は、負けたときのことは言わないが、勝ったときのことを嬉々として話す

ギャンブル依存症は、日本では、自制心が足りないから、生活態度が悪いからという味方をするが、多くの国では、欲求をコントロールできない、アルコール依存症や薬物依存症と同じ病気と見なしている

・689年日本書紀に双六を禁ずと記されているのが最古。10~11世紀、公家の間で双六が盛んになる。洋の東西を問わず、ギャンブルは貴族階級と一般庶民では扱いに差がある。庶民に厳しく禁じている時代に貴族階級はのうのうと遊んでいる

・パチンコ店は今でも14000軒以上ある。店は年々減ってきているが、設置台数は少しずつ増えている。パチンコ人口は半減しているのに、設置台数が増えていることが、不振の原因

公営5競技の売上は1997年から2006年の9年で、オートレース1090億円(58%減)、地方競馬3690億円(48%減)、競輪8620億円(45%減)、競艇9650億円(45%減)、中央競馬2兆8230億円(29%減)という惨状

・カジノの行動では、中国人と韓国人は戦略が論理的でなく、直感、気分を優先。アメリカ人を含む白人系は論理的な判断が多く、確率を重視。日本人は中間的で、やや論理的な判断をする

・ギャンブルで勝つことは難しい。胴元の取り分があるから止むを得ないが、カジノで勝って帰ることができるのは10~15人に1人という狭き門

・アメリカを含め、世界の多くのカジノはダブルゼロを採用(38回に1回しか当たらない。控除率5.26%)100÷5.26=19なので、19回賭けると所持金がなくなる

・マーチンゲール法(倍追い法
最初に1単位を賭ける。勝てば終わり。また最初からスタート。負けたら倍、また負けたら倍というように倍々に賭けていき、かならずどこかで勝つのでそこで終了するシステム。しかし賭け金の上限が決まっていたら使えないシステム

・パーレイ法(逆マーチンゲール法
マーチンゲール法とは反対のシステム。負けたら終わり、また最初から。勝ったら賭け金を倍々にしていく。たいていは3連勝か4連勝で手仕舞う

イーストコースト・プログレッション
負け続けるときの損失額を最小限に、勝ち続けるときの収益を大きくする考え。このシステムは2連勝するところから始まる。2連勝後、3連勝したら半分を貯金しながら残り半分を賭けるシステム。連勝が途切れたら、また最初から。2分の1賭け向き

テンパーセントシステム
常に手持ちの10%を賭ける考え方。連勝すると結構大きく増える

・ブラックジャックは連続性が少なく、3~4回の小刻みの波が多いため、金額差の大きい挑発的なシステムが合う。バカラやルーレットの2分の1賭けは、堅実で保守的な方法が適している

ギャンブルに負けない方法論

控除率の高いギャンブルには手を出さない
大数の法則」に収束されるので、多くの回数を避ける
少し賭けるときと大きく賭けるときのメリハリをつける
ギャンブルに合わせてマネーマネージメントを選択する
場の流れや統計上のゆらぎを捉えたときに大きく勝つ方法を選ぶ
一定額勝ったら席を離れ勝ちを確定する

・競輪や競馬などの公営5競技は控除率25%なので、4回賭けると所持金を失うことになる。愉しみとして参加するしかない。継続は難しい

・全米ゲーミング協会の2007年ギャンブル産業最新動向では、
「雇用」36万人、「給与支払」133億ドル(1兆2000億円)、「税金支払」52億ドル(4700億円)、「総売上」324億ドル(3兆円)
前年比で「雇用」は3.2%増、「給与支払」は5.6%増、「税金支払」は5.5%増、「売上」は6.8%増、アメリカ経済に大きく貢献している

・日本のギャンブル市場(2006年)
「パチンコ」27兆円(貸玉料総額)、「中央競馬」2兆8000億円、「宝くじ」1兆1000億円、「競艇」9700億円、「競輪」8600億円、「地方競馬」3700億円、「オートレース」1100億円、「サッカーくじ」100億円

・ヨーロッパ主要国のカジノ数(多い順)
「フランス」186「イギリス」140「ロシア」87「ドイツ」78「オランダ」48「スペイン」39「スイス」19「オーストリア」17「ベルギー」9「ポルトガル」9

・カジノが解禁されると免疫のない日本人はのめり込み、大きな社会問題になるというのは杞憂。すでに、日本国民はアメリカを上回るギャンブル純損失5兆円強を計上。そのうち64%の3兆円強をパチンコが占める。この数字を見て外国人は驚く

・日本のギャンブル産業不振の要因の一つは高い控除率(控除率の反対は期待値)。公営5競技の控除率は25%、世界水準は8~18%程度。宝くじは54%、工夫次第で30%台まで下げられる。パチンコは12%

・日本のギャンブル産業不振のもう一つの要因は天下り役人と縦割行政。公営5競技、宝くじなどの運営主体は各種法人で幹部は天下り役人。パチンコは遊技機検定で警察に牛耳られて警察の管轄下にある。また縦割ゆえに横の連携ができず、柔軟な事業展開が難しい

・マカオのカジノ収益の70%は中国人富裕層がもたらしたもの。日本には、富裕層が遊びたくなるギャンブルが少ない。富裕層は、一般的に、多忙で、自己顕示欲が強い。しかも自信家である。ギャンブルにおいても達成感を得たいと考えている

・パチンコは、ヘビーユーザーと呼ばれる10%の人が売上の35~40%を支えている。平均して使う金額が5万円以上の人。一方、1万円以内で遊ぶ人は人数では50%を超えるが、売上の10%強を占めるに過ぎない




この世界は利権が絡み、国家権力がうまい汁を吸いやすい分野です。しかし、汁を吸い過ぎたのか、世界水準からみれば、高い控除率になり、日本では、ギャンブル離れに拍車がかかっています。日本のギャンブル産業は、曲がり角に来ているのは事実のようです。

射幸心は人間の心(特に男性の心)に宿るものです。この射幸心を否定することは難しいので、健全な形で、運用されていくことが望まれます。

この本を読むと、ギャンブルの実態がよくわかり、ギャンブル産業の未来が見えてきます。ギャンブル好きの人、ギャンブル産業に興味のある方には、面白くてためになる1冊ではないでしょうか。
[ 2010/03/30 07:10 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『イラスト図解・飲食店の儲け方まるわかり読本』森久保成正

イラスト図解 飲食店の儲け方まるわかり読本イラスト図解 飲食店の儲け方まるわかり読本
(2007/01)
森久保 成正

商品詳細を見る

著者は、飲食店の経営コンサルタントです。お好み焼き・鉄板焼きの超繁盛店を自ら経営もされています。元は、洋食系出身ですので、和洋中すべてに深い知識と経験を持っておられます。

飲食店の儲け方の裏の裏まで知り尽くした著者が、そのノウハウをこの本で披露されています。面白くて、一気に読めました。

飲食店に抱いていた夢がなくなる可能性はありますが、飲食店が儲けていくためには、致し方のないことと理解できました。

この本の中で面白かった箇所が20ありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。


・売れないメニューをそのままにし、材料費の無駄が膨らみ続けるズサンな経営では、店は衰退する。割に合わない仕入れ材料は、思い切ってカットし、「客を集め、ロス活用ができ、利益をもたらす」3条件を備えた食材を「店の名物」に押し上げること

・「メニューの整理」「絞り込み」「柱となるメニューに力を注ぐ」という一連の作業は、店の集客力と利益体質をともに向上させる

・定番メニューから外した食材の中には、季節によって客を引き付けるものがある。こうした食材は、原価が高くなっても、「集客のための販促メニュー」と位置付けて、季節ごとに仕入れる

・自ら市場に足を運ぶこと。市場は、食材の生きた知識を仕入れる場で、交渉術を磨く場。しかし、業者にカモにされないために、「頻繁に出入りする」「小ぎれいな格好をしない」「これが欲しいと公言しない」。業者の方から近づいてくるまでになること

仕入れのポイントとして、「市場の休み明けは価格が上がるので仕入しない」「固定観念に縛られずにおいしいもの、安いものを仕入れる」「産地の地元でも商品が都市部に流れ、高くなることもある」も見落としてはいけない

・ソース、スープ、ダシ汁などベースとなる味づくりは「仕込むための人件費」「膨大な光熱費」「大変な量のゴミ処理費」がかかり、店の生産性が落ちる。レベルの向上が著しい業務用既成食材にひと味、ひと手間加えて、おいしくすることもプロの仕事

・仕込みの中には「食材カット」作業も含まれる。カット野菜は、パックの仕方にも気が配られてきており、仕入れるよりも保存がきく。ロスが少なくなり、天候による値段の高騰も避けやすい。カット野菜の情報を集めておくことは必要

・何気ない卓上調味料も「ひと手間」加えたら、どこにもない味になる。リピーターを増やすには、「また食べたくなる旨味」であるニンニクを寝かして入れることも重要

・女性客の「生臭い、厚くて食べにくい」、高齢者の「脂っこいのは苦手」、中年客の「暑くて食欲がない」などのホンネの声に耳を傾け、おいしいメニュー改造をするのもプロの仕事

・その日の天候と肌で感じた気候をチェックし、メニューの中身を細かく調整する。定食メニューの「ご飯&汁物」は応用をきかせやすい。「ちらしずし、まぜごはん、炊き込みごはん」「冷うどん、温かいうどん、豚汁」など気温変化に対応する演出は効果がある

・メニューに、「すぐできる料理の明記」「数量限定のフレーズ」「盛り付けるだけの小鍋料理」などを加えると、スピードアップができ、客の回転率も上がる。特にビジネスマンが多い店のランチタイムには有効

・客にもう一品を注文させるのは難しい。その場合、メイン料理の分量と価格を抑えて、もう一品注文させる試みが必要。もう一品の人気を得やすいのは、産地限定の野菜・豆腐類

・新規客を獲得するのに最適なのがテイクアウト。初めての店に入るのに不安があっても、テイクアウトなら気兼ねが少ない。客心理を考えたら、店の外で買える仕組みが必要だが、店を改造するのが難しい場合、販促期間中、テイクアウト用ワゴンを出してもいい

単品値下げの販促は、単品に注文が集中し、労働力にバラツキを生み、人件費に大きな無駄が生じる。これを平均化するには、複数のメニューを組み合わせた「セット販売」の発想が必要

・客を呼ぶ店頭商品のメニューを目立つようにする。それと同時に、店内で注文するメニュー表の左上に高単価で儲けやすいメニューが目立つようにすることも利益面で重要

固定ファンを増やすためには、食事の最後に満足感のピークを持ってくること。居酒屋なら締めの食事に力を注ぐ。会計を終えた後も、「お忘れ物はありませんか」「段差がありますから足下にお気をつけて」など、もうひと言を加えることが重要

・客がこだわり始めてきているのが「居心地のよさ」。「多人数でゆっくりと語らえる」客席があることが繁盛の条件。広い厨房スペースと更衣室や休憩室、空席の多いカウンターを見直し、座敷や小上がり席に活用したい

・トイレや厨房は店の奥になくてもいい。レジを済ませている途中やその後にトイレに寄る人が多い。また、厨房が入口から離れているとテイクアウトに不便。料理の香りを往来に流すこともできない

・店の前に「ひさし」を設けたがらない店舗デザイナーがいるが、客の行動パターンを考えていない。雨の日に、店のメニュー表を立ち止まって見る客も激減するし、テイクアウトコーナーも傘をさして並ぶことになる

・営業力、指導力、観察力、原価意識のある指揮官が1人いれば、あとは普通であっていい。不器用な「ダメキャラ」が一種のクッション役になって、ギスギスした雰囲気を和らげてくれることもある



実に細かいことがいっぱい書かれています。紹介した他にも、業種や地域別の販促方法、店舗リニューアル方法、衛生管理法、従業員の教育管理方法、クレーム防止法など、まだまだいっぱい経験に裏打ちされたノウハウが、この本に掲載されています。

飲食店と関係のない方でも、読むと勉強になることが目白押しではないでしょうか。
[ 2010/03/29 07:50 ] 営業の本 | TB(0) | CM(0)

『これから食えなくなる魚』小松正之

これから食えなくなる魚 (幻冬舎新書)これから食えなくなる魚 (幻冬舎新書)
(2007/05)
小松 正之

商品詳細を見る

食糧難になったとき、人間は何を食べたらいいか?

食糧難になると、まず穀物が値上がりします。その穀物を飼料とする肉類も値上がりします。そうなれば、貴重なタンパク源として、魚類と昆虫に注目が集まるのではないでしょうか。

昆虫は少し気味悪いですが、魚なら、何でも食べられると思います。実際に、昨年、ブラックバスの料理を食べましたが、淡白な味で、白身魚のフライにはピッタリのように思いました。

それなのに、なぜ、池にいっぱいいるブラックバスは食べられないでいるのか?また、川にあふれるほどいる魚たちも、なぜほとんど食べられていないのか?

魚、漁業、魚加工業はどうなっているのか?興味があって、食べる魚に関するいい本はないかと探していました。

この本は、日本や世界の漁業の現状と問題点がきっちりと書かれています。非常に参考になりました。

「本の一部」ですが紹介したいと思います。



・魚を丸ごと調理する家庭が減っている。干物のような食材も食べなくなった。各地の雑魚を日常的に食べている家庭もほとんどないが、今でも日本人は魚を年間65kg食べており、世界一である

・主要な漁業資源の75%以上が「これ以上獲ってはいけない」状態にある。「もっと獲っていい魚は25%しかない

・諸外国の消費量は、軒並み増加の一途。65kgの日本は依然1位だが、韓国は60kg近くまで急増。中国は25年前の5倍以上の27kgまで増えた。EUやアメリカも着実に消費量を増やしている。世界は空前の魚食ブーム

・日本の漁獲量は20年前までは世界1位だったが、今では、中国、ペルー、インドネシア、インド、チリに次ぎ世界6位になった

・日本の養殖業における外国依存度が高まっている。エサの輸入依存率は80%。実質的には「外国産」

・最近は魚の加工業者でも魚を目にすることがなくなってきている。外国から材料がすり身の状態で輸入されるので、かまぼこ製造業者は実物の魚を見る機会がない

・多くの漁師が、たくさんいる魚を獲ろうとせず、わざわざあまりいない魚を獲りにいこうとするケースが多い。彼らが求めているのは、「簡単に獲れる魚」ではなく「高く売れる魚」だから

・100年前日本には300万人もの漁業者がいた。日本人の20人に1人は漁業に従事していた。現在はたったの22万人。そのうち半分近い10万人が60歳以上

・ノルウェーの最新式の底はえ縄漁船は作業環境が優れているだけでなく、サロン、ベッドルームなどもホテルのような居住環境で申し分ない。こうした効果もあって、若年乗組員の確保に成功している

・漁師がどんなに海で魚を大量に獲っても、陸のほうに加工業者がいなければ、その大部分を売ることができない。加工業者と漁師は持ちつ持たれつの関係。漁業の生産量を上げようと思ったら、その受け皿である加工業も同時に増やさなければならない

・漁業に関わる人や船が減り、漁港の利用頻度が減っているのに、水産庁の予算のうち3分の2が漁港整備に振り分けられている。漁船を新しくすることに使ったほうがよほど意味がある

・欧米の魚市場はクローズドシステム(鳥の侵入を防ぎ衛生面に配慮)で、箱もプラスチック(発砲スチロールに比べ何回も使えて環境に優しい)。日本の魚市場は時代遅れも甚だしい

・世界の漁獲生産量はこの50年間で7倍(中国を除いても5倍)。マグロ類の漁獲は、50年間で15倍の異常な伸び率

・ヨーロッパの巻き網船を1隻減らしただけで、はえ縄船を30隻減らしたのと同じ。漁業資源悪化の元凶は巻き網船。しかし、巻き網船の減船は国際会議で合意できず

・この30年間、竿釣りによる漁獲量は横ばい状態。増えている分はすべて巻き網によるもの

・今はマサバよりゴマサバを獲るべき、食べるべき。さらに、ゴマサバ以上に積極的に食べるべきなのがサンマ。海洋のレジームシフトの魚種交代でサンマは高位で安定。にもかかわらず、サンマの漁獲量は増えていない

・ブリ類は出世できないうちに獲られてしまう。巻き網による漁獲量は増加しているが、定置網による大型魚の漁獲尾数は減少。巻き網の漁獲量を押し上げているのは、0歳と1歳の若齢魚

・スケソウダラは、マイワシやマサバ同様、冷たい海を好むので、現在の海洋環境では減ってしまう。スケソウダラをすり身にするのはもったいない

・ホッケは大衆魚だから獲っても儲からないと漁業者に敬遠されてきた。しかし、この資源を有効に活用しない手はない

・鯨の資源が悪化したのは、アメリカが鯨油ほしさに乱獲したのが原因。18世紀始めから19世紀終わりまで200年間、毎年10000頭ずつ獲ったため、絶滅寸前までになった

・現在、1万頭しかいないシロナガスクジラを獲らせろと言っていない。100万頭いるミンククジラなら2000頭、12万5000頭いるニタリクジラなら数百頭ぐらい獲るのを認めてほしいと国際捕鯨委員会に求めているだけ

・漁業資源の減少とクジラの増加に因果関係がある。その調査を踏まえて、クジラと魚の資源量をコントロールすべき。クジラはオキアミなどを大量に食べている。これをうまくコントロールして間引けば、人間が利用できる資源が増える

・全体の漁獲量を、それぞれの漁業者に割り当てるIQ方式を採用すれば、他の漁業者をライバル視して「人より余計に獲ろう」という意識はなくなる。主要な漁業国で自国の200カイリ内でオリンピック方式を採用しているのは日本だけ

・日本の水産予算は2600億円くらい。アメリカは3000億円、EUは5000億円。ただし日本の水産予算の3分の2が漁港整備の公共事業に使われてしまい、漁船とシステム改善に回される予算はたった50億円しかない

・アメリカでは「この魚は獲りすぎだからレッド」「この魚は原資を残しながら利子だけ利用しているのでグリーン」「こちらはやや危うい状態のイエローの状態」といった細かい情報が公開され、国民の間で共有されている



この本を読む限り、リーダーシップを発揮しない水産庁の関係者が、利権団体になってしまい、日本の漁業の発展を阻害しているように感じます。民(漁業者)の足を引っ張る官(水産庁)という構造ではないでしょうか。

日本は、海の面積まで含めると、世界有数の国土面積を持つ国です。その海の資源である魚や漁業関係者を長期的な視野で育成する必要があります。日本政府が、食料自給率を本気で上げようと思っていないのが残念です。

しかし、漁業及び漁業関係者が、政府と一体となって儲かる仕組みをつくっていけば、夢のある産業に変わるように思いました。

食品関係に勤務されている方や食料自給率に興味のある方には、読み応えのある1冊ではないでしょうか。
[ 2010/03/26 06:59 ] 環境の本 | TB(0) | CM(0)

『日本人が知らない巨大市場・水ビジネスに挑む』吉村和就、沖大幹

日本人が知らない巨大市場 水ビジネスに挑む ~日本の技術が世界に飛び出す!日本人が知らない巨大市場 水ビジネスに挑む ~日本の技術が世界に飛び出す!
(2009/11/11)
吉村 和就沖 大幹

商品詳細を見る

上下水道事業を合わせた水ビジネスは、世界で100兆円の市場規模に拡大するそうです。この本では、そのうち何%のシェアを日本がとれるかの論点をもとに、内容が構成されています。

水という当たり前のものが、水ビジネスに化ける理由を、2人の著者が真面目に対談し合っている、面白い本です。

この本の中で、水について、新たに知った点が30ありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・OECDの20世紀後半50年間のデータでは、人口が2倍になったら水需要が6倍になったと示されている

・水がなかったり、水が不足している途上国は、だいたいが貧困の問題を抱えている。水問題の解決は貧困の撲滅につながる

・生きるのに、絶対必要な水と食料、エネルギーを三位一体で考えないと、水問題は解決しない

・「マイグレーション」とは、水問題によって農耕地がなくなり、それでまた難民が増える。その難民が水の豊かなところに移動してくること

・水は、「飲み水」「農業生産、工業生産のための水」「生活用水」「生態系維持、環境保全のための水」「嗜好品としての瓶詰めの水」の問題、これらは分けて考えた方がいい

・日本では、1日1人当たり300ℓの水道水を使っている。40~50年前は、この半分で暮らしていた。国連では、1日1人当たり70ℓよりも少なかったら「水ストレス」を感じると定めている

・日本は農耕稲作民族で、水争いが絶えなかった。今ある取水権は、江戸時代の慣習法がそのまま法律になっている

・アメリカのカリフォルニア州やニュージーランドでは、自分が持っている取水権を売る権利ビジネスが登場している

・ライバルの語源は「リバー」。有史以来、川の水をめぐる争いが発端となった人間同士の争いが繰り返されている

・富士山麓や阿蘇山の麓は、外資系のデベロッパーによって買われている。今は土地と森林を買っているわけだが、そこはいずれも素晴らしい水源地。土地を所有する人が地下水をすべて所有することで本当にいいのかという話になる

・食糧を輸入したら、その国の水資源をどのくらいの量、節約することになるのかを説明するのが、本来のバーチャルウォーターの概念

・日本のバーチャルウォーターの総輸入量は年640億立方メートル。日本国内の年間灌漑用水使用量は570億立方メートル

・米1キログラムを作るのに3600ℓの水を使う。身近な食べ物の水消費原単位は「牛丼並盛1,890ℓ」「ハンバーガー2個+ポテト2,020ℓ」「月見そば750ℓ」

・日本の地方には、水資源がいっぱいあるところがある。その地区で水循環していれば問題ない。水の場合「シンク・グローバリー・アクト・ローカリー」という考え方が必要

・蛇口から直接飲める水が出る国は、日本、オーストラリア、アメリカ、スイス、フィンランド、スウェーデン、デンマーク、カナダ、オーストリア、フランス、ニュージーランドの11カ国

・日本には、一番お金がかかる維持管理のことを考えないで設計している水道施設が多くある。インフラを作った人が最後まで責任を持つことになったら、効率的に設計するようになる

・上水道の保有資産は40兆円。下水道の保有資産は80兆円。毎年老朽化していく資産を更新していくために、1年で6兆円が必要になる。ところが、日本の上下水道料金収入は年間6兆円。つまり、その額をすべて更新費用に充てなければならない

・日本には、世界的に見ても優れたし尿処理の技術、合併浄化槽の技術があり、発展途上国にすぐに持っていけるものだが、海外に知れれていないのは残念

・日本が比較優位の分野は、「漏水防止技術」「水質の微量分析技術」「上下水道の維持管理技術」「海水淡水化のRO膜」「下水再利用のMF膜、UF膜」

・水行政に関わる省庁はバラバラ。水道は厚労省、下水は国土省、農業用水は農水省、工業用水は経産省だが、水源は皆同じ。水統合管理ができていないので、かなりの部分が非効率で、無駄な投資になっている

・東南アジアで水ビジネスを手がけるときの3カ条は「盗水」「漏水」「不払い防止」。この3つを押さえないと、絶対に事業として成立しない

・武田信玄は、山から流れてくる水を3つに分けて、「三分一湧水」という、みんなが見えるように水路をつくっている。水争いの仲裁が非常にうまいリーダーだった

・ボトルウォーターの売上は7000億~8000億円。これに対して、日本国内の水道料金は、1700の自治体で年間3兆2000億円。大きな水ビジネスは後者

・水ビジネスの中でマーケットが大きいのは上下水道の民営化。水がない中近東地域は10兆円以上の市場規模。主力は海水淡水化。世界の海水淡水化市場は年間9~20%の伸び

・中国向けの水ビジネスは、民間向けでは、工場排水処理、排水リサイクル事業が狙い目。特に膜処理が伸びる

ヴェオリアスエズのような水メジャーと同じことをやっていてはダメ。彼らが狙わないような、工業団地の排水処理、島嶼系向けの海水淡水化装置、石油化学工場向けの廃水処理などの市場に手をつける戦略が必要

・水情報を収集するデジタルセンサーが世界中にばらまかれている。最近は地中の水分までわかるようなセンサーも開発されている。これは世界中の水資源、エネルギー、食料まで把握できてしまうことを意味する

・先進国が「衛生状態の改善」と主張しても、バイオトイレットはなかなか普及しない。排泄物がお金に変わる仕組みが必要

・今、民間の資本で給水を受けているのは、世界で約6億人。世界人口の10分の1に相当する

・水は翌年の穀物相場を決める重要な要素になるので、世界の三大穀物商社も水の予測をしている



水と食料とエネルギー、これはライフラインになるものです。この市場は、当然大きな市場になりますし、国家戦略上も重要な産業です。

その中でも、水は、急に伸びていく市場のように思われます。蛇口をひねると飲み水が出てくる国が世界でほとんどないという事実を、日本人はあまり知らないようで、水の重要さにピンと来る人が少ないのかもしれません。

水をわかりやすく、総合的に解説した本は、今まで少なかったように思います。この本は、貴重な書ではないでしょうか。
[ 2010/03/25 08:03 ] 環境の本 | TB(0) | CM(0)

『おひとりさまの防犯術-女子必携これ一冊で泣き寝入りナシ!』平塚俊樹

おひとりさまの防犯術―女子必携 これ一冊で泣き寝入りナシ!おひとりさまの防犯術―女子必携 これ一冊で泣き寝入りナシ!
(2009/12)
平塚 俊樹

商品詳細を見る

単身者世帯が増えています。未婚者、高齢者など、これからも「おひとりさま」が増え続くのは確実です。

この本は、おひとりさまが遭遇するかもしれない、レイプ、ストーカー、結婚詐欺、宗教勧誘、マルチ商法、投資詐欺、カード犯罪、空き巣、引ったくり、実家の親を狙う悪徳業者、セクハラ、パワハラ、ネット犯罪などが網羅されています。

これらの予防法、対処術、犯罪事例犯罪手口、相談先などが、細かに記述されており、おひとりさまの味方になる、頼もしい書です。

防犯、護身術として、役に立つと思えた箇所が20ありました。「本の一部」ですが、これらを紹介したいと思います。


・防犯5カ条、その1「お金がないふりをする」
彼氏にも、寝食をともにする夫にも、お金があることを悟られてはいけない。「いくらある」と公言しないこと

・防犯5カ条、その2「孤独と思わせない」
高所得で高学歴の独身女性は、詐欺師から見れば絶好のカモ。トラブルに遭っても、プライドの高さゆえに公にしないという特徴を見抜かれている。間違っても「彼氏いない歴10年」など口外しないこと

・防犯5カ条、その3「味方をつくる」
常に人に囲まれていれば犯罪に遭う確率を低くすることができる。友達をしょっちゅう呼ぶ、近所づき合い、地域活動への参加など、自宅を人の輪で包囲すること

・防犯5カ条、その4「人を見る目を磨く」
犯罪に遭う女性は、意外にも「真面目で一途」「正義感が強い」「おとなしくて堅実」なタイプ。エリートの道をまっすぐ歩んできたような人。人を見る目が甘く、ウソごまかしを見抜けない。人生の裏表を味わった女性は、したたかで人を見る目がある

・防犯5カ条、その5「法律は万能ではない」
人間関係のトラブルでは、その後、人間関係が修復できないことや加害者が法律で罰せられても報復にやってくる場合もある。法的な解決は犯罪やトラブルを一掃できるものではない

・裁判を傍聴するとわかるが、レイプ犯は想像以上に「普通の人」で驚く。ということは、どんな相手でも危機感を忘れてはいけないということ

・警察も推奨しているが、人けのない場所を夜遅いとき通るのは、携帯で会話しながら帰るのが一番の防犯になる

・レイプが意外と起きているのは、被害者本人の自宅。新聞勧誘や宅配便を装って宅内に侵入したり、帰宅時を狙って家に押し入る犯行が多い。防犯ブザーや非常ベル、拡声器を置いておくのも役に立つ

・マンションやアパートの管理組合がしっかりしているとストーカーに狙われにくい。入口付近に警察官立寄所のプレートや防犯協会のポスターが掲示されているのも重要

・お客様相談室で、電話応対する女性に、ストーカーの変態心が刺激される場合がある。名前を名乗らせる企業も多く、身元を探り当ててくる。クレーマーストーカーには、金と時間に余裕があって、社会的地位の高い人が意外に多い

・女性単身者の平均貯蓄高は、20代女性144万円、30代女性472万円、40代女性868万円。これは犯罪者の格好の獲物。犯罪者が狙うのは、こうした堅実な女性の「金」

・お見合いパーティーや婚活パーティーには、詐欺師や金目的の犯罪者が当然潜入している。主催者もグルの場合もある。イケメンの男性が多かったり、条件のいい男性ばかりなら疑ってかかるべき

・詐欺師は人を外見から判断することに長けている。マイペットボトルやお弁当持参のマメな女性は、倹約家でお金を貯め込んでいるニオイがするので、狙う目安となる

・男性とつき合うことになったら、自分の女友達数人に紹介する。周囲が反対する男、怪しがる男には注意が必要。そして、彼の友達も複数紹介してもらうようにして、自分の目で確かめること

・宗教もマルチ商法も、自分だけ抜け出すのは難しい。迷っているときは判断力が鈍るので、3人のご意見番(信用できる異分野の頼れる知人)に意見をきくことがトラブルを回避する

・ナンパもキャッチも街頭で声をかけられたら一切無視。まったく答えず通り過ぎるのがいちばん。声かけに応じない姿勢が大事

・投資商品で「元本保証」を謳うことは「出資法違反」となる。つまり、金融庁の登録のない違法な商品。利回りや儲けを具体的にスラスラと話すのは詐欺。違法なものに手を出した人は法律も守ってくれない

・やたらポイントカードをつくらないこと。受けつけた店や店員が悪用しようとしたら、住所だけで、役所の住民基本台帳を検索閲覧できる

・隣りが空き室のマンションやアパートは要注意。ベランダづたいに空き室から侵入される危険性がある。地域で、空き巣や引ったくりが一度発生したのなら、二度三度と起こる確率は高い

・ネット上でかわいく撮れた写真を載せるのは非常に危険。自宅にまでストーカーが押し寄せた事例はいくつもある。「近所の○○へ行きました」の情報だけで、住所、電話番号、経歴まで暴かれる。伏せ字やイニシャルにしてもムダ



この本に出てくる多くの手口や事例を知るだけで、犯罪を未然に防ぐことができると思います。

これは、主に独身女性向けに書かれた本ですが、独身男性の方も読む必要があるのかもしれません。特に、お金のトラブルに関して言えば、男性の方が被害に遭う確率が高いのではないでしょうか。

人生の裏表を味わってしまう前に、是非一読しておきたい本です。
[ 2010/03/23 07:03 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)

『マキアヴェッリ語録』塩野七生

マキアヴェッリ語録マキアヴェッリ語録
(2003/07)
塩野 七生

商品詳細を見る

マキャヴェリの君主論は有名ですが、君主論だけでない彼の思想が、この本に網羅されています。

リーダーシップとは何か、人間とは何か、負けないためにはどうすべきか、などが書かれています。

人間の本質は、何も変わっていません。したがって、時代が変わっても、リーダーたちに、マキャヴェリは読まれ続けています。

今回、改めて、読んで、ためになった箇所が15ありました。これらを「本の一部」ですが、紹介したいと思います。


・君主(指導者)たらんとする者は、種々の良き性質をすべて持ち合わせる必要はない。しかし、持ち合わせていると、人々に思わせることは必要である(君主論)

へつらいおもねる者たちから逃れるには、あなたに真実を告げてもあなたが気分を損じないという保証を示すことしかない(君主論)

・指導者をもたない群衆は、無価値も同然の存在である(政略論)

・思慮に富む武将は、配下の将兵を、やむをえず闘わざるをえない状態に追い込む。同時に敵に対しては、やむをえず闘わざるをえない状態に、なるべく追い込まないような策を講じる(政略論)

・金銭で傭うことによって成り立つ傭兵制度が役立たないのは、兵士たちを掌握できる基盤が支払われる給金以外にないところにある。これでは、彼らの忠誠を期待するには少なすぎる(政略論)

・人の運の良し悪しは、時代に合わせて行動できるか否かにかかっている(政略論)

・人間は、自分が最も大切にしていたものを奪われたときの恨みを絶対に忘れない。しかも、そのものが日々必要なものである場合はなおさらである(政略論)

・民衆は群れをなせば大胆な行為に出るが、個人となれば臆病である(政略論)

・他者を強力にする原因をつくる者は自滅する(君主論)

・人間というものは、往々にして、小さな鳥と同じように行動するものである。つまり、眼前の獲物にだけ注意を奪われていて、鷹や鷲が頭上から襲いかかろうとしているのに気がつかない(政略論)

・人間というものは、危害を加えられると思いこんでいた相手から親切にされたり、恩恵を施されたりすると、そうでない人からの場合よりはずっと恩に感ずるものである(君主論)

・はじめはわが身を守ることだけ考えていた人も、それが達成されるや、今度は他者を攻めることを考えるようになる(政略論)

・ある人物を評価するに際して最も確実な方法は、その人物がどのような人々とつきあっているかを見ることである(政略論)

・中くらいの勝利で満足する者は、常に勝者であり続けるであろう。反対に、圧勝することしか考えない者は、しばしば落し穴にはまってしまうことになる(フィレンツェ史)

・われわれが常に心しておかねばならないことは、どうすればより実害が少なくてすむか、ということである(政略論)


社長、部長、主将、理事など、組織に違いはあるにせよ、これらのリーダーたちは、組織の構成員が幸せになるように、働かなければなりません。

そういう立場にいる人は、厳しい現実を突きつけるマキャヴェリの本を一度読むべきなのかもしれません。リーダーの重さを知る上で、役に立ちます。
[ 2010/03/22 08:08 ] 偉人の本 | TB(0) | CM(0)