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「・・・とは」の哲学
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『千年語録・次代に伝えたい珠玉の名言集』サライ編集部

千年語録 次代に伝えたい珠玉の名言集千年語録 次代に伝えたい珠玉の名言集
(2007/04/11)
サライ編集部

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1989年から2007年までの「サライ」に連載された、サライ・インタビューの名言名句を抜粋したのがこの本です。

約20年で400名の人生の先輩にインタビューしています。参考になる言葉がいっぱい詰まっています。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・人間は「舞台」に立った時だけがその「人」なんだ(三鬼陽之助・経済評論家)

・努力しても一流になるとは限らない。けれども、謙虚に努力すれば二流になれる。一流の意味がわかる人のことを二流っていう。一流も二流もわからない人を三流っていう(田村隆一・詩人)

・人間ですからたまには差し違いはある。それよりも、回しうちわといって、いったん上げた軍配を、思い直して別の力士に上げるほうが悪い(木村庄之助・行司)

・苦悩や落胆を味わった末、「にもかかわらず笑う」。これが真のユーモア精神(石井好子・シャンソン歌手)

・今は遊びも仕事の延長線。「社用族」が多い。つまり本当の遊びじゃない。芸者は2時間で帰せ、お土産はいくつ、車は何台、と全部決まっている。昔はみんな、自分の金で遊んだから、下足番にもちゃんと祝儀をやったもんです(悠玄亭玉介幇間

・優しさとは「人生には不可能なことがある」と知っている大人だけのもの(塩野七生・作家)

・肝心なのは、老若を問わず、話していて面白いか面白くないかですよ。内容があるかないかですよ(山本夏彦・コラムニスト)

・あれも欲しい、これも欲しいという本来、醜い欲の深さを、ある限界の中できちっと処理し、しかも美しく仕上げるバランス感覚、美意識がそこにある(栄久庵憲司インダストリアルデザイナー

知足安分(足りるを知って分に安んずる)。オレの収入はこれで足りる。私の社会的地位はこの分に安んずる。これを無理やり壊したのが、明治。この言葉の反対が立身出世。知足安分に安住できていたのを、進歩的文化人がぶち壊した(山本七平・評論家)

・金があるという意識は、金額ではない。他人との差です。一種の虚栄心です。この虚栄には際限がない。だから非常に危険です(山本七平)

・人間には理知的な思考と情緒的な感情の二つがある。情緒的な感情の喜怒哀楽は長続きしないが、嫉妬と怨念は持続する。嫉妬と怨念が世代を超えて存在することを理解すれば、味方に使うにしろ、敵に回すにしても、対策は立つ(糸川英夫組織工学研究所所長

・「女老外」の感覚。女性にとって大事な「美しさ」。年寄りにとって大事な「安心と安全」。外国人にとって大事な「わかりやすさ」です(木村尚三郎・歴史学者)

・日本文化とか、日本人の本質というのはないですよ。悠久の歴史の中で、短い時間だけで、民族の特性を断定しても意味がない。「本来、日本人とは」の本来とは、江戸時代、奈良時代、縄文時代、いつのことですか?(梅棹忠夫・国立民族博物館顧問)

・父に聞いたら、「形にこだわるな。焼き物が時代を動かしたことはない。世の中の動きにつれて焼き物も動くんだ。ただし、品格のないものは作るな。それが伝統だ」(沈寿官薩摩焼宗家

・「一日を楽しめ一日を惜しめ」という気持ちで毎日毎日やっていると自然に元気が湧いてくる(淀川長治・映画評論家)

・リーダーの条件は決断力ですね。追いつめられたときの多数決は、大変危険です。気弱になった集団の多数意見は、往々にして誤る(村山雅美・元南極観測隊隊長)

・木も育った条件がよすぎると案外つまらない。他の木との競争や気候条件の中で揉まれ、勝ち残ったやんちゃな木が面白い。ところが、あまり環境が厳しいと、今度はいじけちゃってだめです(林以一木挽き職人

・教養とは、生活の中身を豊かにする能力の表れ。社会生活をするために必要な服を見事に着こなすことも、教養のあるしるし(古波蔵保好・評論家)

・今、女性に言いたいな。子供の世話を焼くのはやめなさい。母親がやってくれなければ、子供は自分でやるようになるもんです。子供を幸せにしたいならばね(服部公一・作曲家)

・私の日々のモットーは「五持つ」。つまりは、健康、目的、趣味、友、お金、この5つを持てば人生は楽しい(岩本薫・棋士)



業界や分野も多岐にわたるプロの言葉は、心に響きます。亡くなられた方も多いのですが、遺された言葉は、今でも、時代を超えて輝いているように思います。

歴史上の人物ではなく、一線で活躍されている(いた)一流の人たちの言葉ですので、親近感も感じられます。

人生の先輩から知恵を授かりたい方には、おすすめの1冊ではないでしょうか。
[ 2010/02/28 08:19 ] 人生の本 | TB(0) | CM(0)

『結局は自分のことを何もしらない-役立つ初期仏教法話』スマナサーラ

結局は自分のことを何もしらない―役立つ初期仏教法話〈6〉 (サンガ新書)結局は自分のことを何もしらない―役立つ初期仏教法話〈6〉 (サンガ新書)
(2008/01)
アルボムッレ スマナサーラ

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スリランカ初期仏教長老で、日本で活動されているアルボムッレ・スマナサーラ氏の本を紹介するのは、「ブッダの幸福論」に次いで2冊目です。

この書は講演録ですので、わかりやすい言葉で書かれています。しかし、一言一言が哲学的な深い内容です。じっくり読んでいきたい本でもあります。

今回、役に立った話が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・自分のことを言われると嫌で腹が立つ。他人のことなら何の躊躇もなく、遠慮もなく、言いたくなる。この生き方を省略して表現すれば、「悪いのは私ではなく、あなたです」ということ

・目的がある場合は元気に頑張れる。嫌だと思ったり、「どうしてこんな人生なのだ」と悩むことはあまりない

・仕事がない人は、仕事がないという苦しみを、仕事を見つけることで紛らわす。でも、仕事をすれば、それはそれで仕事が苦しい。仕事がないことも苦しいし、仕事があることも苦しい。これが人生。苦しみをごまかすことが人生

・生きることは、苦を回転させて和らげること。これこそ真理、事実である

・生命は、高次元でも、低次元でも関係なく、ことごとく動く。なぜ動くのか?というと、生きることの中に苦痛というもの、「苦」が入っているから

・幸福は苦がつくってくれるもの。苦がなければ幸福はない。しかし、それは本物の幸福ではない。一つの苦を、別の苦に置き換えただけ。釈迦は「幸福も苦である」と教える

・肉体には、もともと苦がある。皆、それを知っているから動く。つまり、「苦という感覚」があると同時に、「苦しいと知っている」わけである

・「動き」とは、心が引き起こす身体の動き、物体の動き。そして「知る」ということは精神の動き。「動き」には心の動き身体の動きの二つがある

・ものごとは何でも、変わって、変わって、変わっていく。釈迦は「すべてのものごとは無常である」とこの事実を語っている。この教えは「すべてのものごとは、絶えず変化している。絶えず動いている」ということ

・生きることは「動く」こと、生きることは「知る」こと。そのベースには、「生きることは苦である」という真理がある

・認識は三種類に判別される
1.「好き」=自分の命を支えるもの。欲しいもの
2.「嫌い」=自分の命に障害、危険を与えるもの。嫌なもの
3.「面白くない」=自分の命に関係ないもの。無関心なもの

・私たちは「好き」「嫌い」「面白くない」と思ってしまうと、対象のせいにしてしまう。そして、世界は自分の思い通りにならないのに、世界を変えようとして苦しみを増やす

・苦しみをなくすことを目的に生きることが真の幸福への道である

・生きる上で大切な心がけは「慈しみ」

・釈迦がいちばん推薦する能力は、怒りをなくす能力、欲をなくす能力、嫉妬を消す能力、人を憎むことをなくす能力、敵であっても「幸せであってほしい」と思える能力。これらは心を清らかにする能力

・瞬間、瞬間に入ってくる外のデータに、「私」を入れないで、気づいて、気づいていく。「私」というのは、認知に基づいた幻覚。あるのは、瞬間、瞬間の事実。「私」を入れない気づきの先に、大いなる心の平安、幸福、悟りが開けていく



仏教法話の世界は、難解と言えば難解。平易と言えば平易。聴く人によって、如何様にもとれるものかもしれません。

ある程度、年齢や経験を重ねられた方は、その意味が理解できるのではないでしょうか。そういう方には、おすすめの1冊です。
[ 2010/02/26 07:20 ] スマナサーラ・本 | TB(0) | CM(0)

『清らかな厭世-言葉を失くした日本人へ』阿久悠

清らかな厭世―言葉を失くした日本人へ清らかな厭世―言葉を失くした日本人へ
(2007/10)
阿久 悠

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この本は、稀有の人気作詞家であった故阿久悠氏が、亡くなる2カ月前まで産経新聞に連載していた「阿久悠、書く言う」を再構成したものです。

言葉を紡ぎ、奏でた著者の文章だけに、じっくり読めば、一言に込められた意味の深さを味わうことができます。

この本で、教訓になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、これらを紹介したいと思います。



・他人に対して、異常なまでの潔癖主義、暴力的なまでの完璧主義で裁く。この国では、持ち点が多い人でもマイナス点になってしまう。敗者復活不能のシステムである。これが常識として罷り通ると、リーダーも、ヒーローもヒロインも誕生しなくなる

・人間は有限の生命体。しかも消滅するのではなく、衰弱するように出来ている。だから、衰えるものの選択を自分の知恵でしなければ、犯罪にもつながる。諦め上手か、諦め下手かで、長い人生の幸福は決まる

・善人に壁ばかり見え、悪人には隙間ばかり見える。それが法律

・大金で買えるものって、「無駄」と「閑」と「自惚れ」ぐらい。志を曲げずに済む程度の金が、いちばん値打ちがある。その金で、何人の身内と何人の他人を幸福にできるかを考えるもの

・時代は早足。時代は立ち止まらない。ただ、スタスタと行く。置いてけぼりにする。遅れた人を嘲笑する。そして、愉快そうに去る。時代は手をさしのべない。時代を見るということは、時代のままになるなということ

・見ていてくれた人が何人もいた。その人たちが、ぼくを新しい仕事へと連れて行ってくれた。そこでもぼくは無駄な工夫をくり返し、それをきっかけに、さらに面白い仕事へと誘われる。無駄と遠回りほど価値あることはない

・日本の庶民は流行に眩惑され、風潮に流され、自分を見失うこともあるが馬鹿ではない。鵜呑みにするものと聞き流すものとの、選別の知恵は持っている。洪水のようなマスメディアとのつき合いの中で、それらの選別だけは見事に能力になっている

・勤勉と正直と正確を野暮だと嘲ったら只の怠け者の国になる

・いい大人ってのはね、善玉の若さと悪玉の若さを見抜けるもの。若さに対しての寛容さと、次世代の担い手への敬意は、大人のマナー

・若い人は、お説教が嫌いかというとそうでもない。その証拠に、同世代たちの作る歌の多くは、チェーン店の店長の朝の訓示的なガンバローの歌詞だからである。要するに誰に言われるかである

・何気ない揶揄が毒を作り、さりげない賛辞が愛を育て、家庭って温床なんだ

・情報という情報が、幸福の一発商品を売りまくる。そんなもので埋め尽くされている間に、本物を見失う。幸福とは、結果の見えてこない作業の積み重ねで、最低でも十年、真実を言うと一生かかる

・父は、ある時、「生きざま」と「技能」と「のれん」と「財産」を、セットで渡せない時代であると自覚したとき、子に対する接触の仕方を「友だちのような関係」にした。思えば、それが、悲劇の始まりだった

・自分を愛し過ぎると、他人を見ることを忘れ、社会の迷い子になる。子には「他人」と「不可能」の教育から始めよう

・人間は他人を罵ることが好きである。テレビが茶の間にドンと座ってから、悪口の言いたい放題である。それで家族の連帯まで出来る。社会の病理は、家族そろって、他人の生き方や才能に敬意を払ったことのない集積ではないか

・家庭が崩壊したと嘆かれるが、それは、うちのしきたり、うちの流儀、うちの言い伝え、つまり伝統と伝承を持たないが故のアイデンティティーのなさによるものではないか



この本は、著者が亡くなる前に、われわれ日本社会への警笛を鳴らすと同時に、われわれ日本人への遺言とも受け止めることができます。

時代の先端を走っていた著者が、「故きを温ねて新しきを知る」必要性を多く説かれています。そのことは、流行や最先端が幻にすぎないことを物語っているようにも思います。

変わらないことの大切さを気づかせてくれる1冊ではないでしょうか。
[ 2010/02/25 07:26 ] 人生の本 | TB(0) | CM(0)

『素人でも百年に一度の大相場を勝ち抜く方法』渡辺博文

素人でも百年に一度の大相場を勝ち抜く方法ー儲かる仕組みを見抜くビジネスモデル投資入門ー素人でも百年に一度の大相場を勝ち抜く方法ー儲かる仕組みを見抜くビジネスモデル投資入門ー
(2009/02/25)
渡辺博文

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この本は、現役ファンドマネージャーの著者が、素人投資家に、やってはいけないことを語り、儲けることが甘くないことを教える内容になっています。

また、「好不況にかかわらず、安定して、儲け続ける」長期投資に向く会社の原理原則も書かれています。投資に興味のない方でも、役に立つ内容です。

この本を読み、参考になった箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、これらを紹介したいと思います。



・投資が下手な人の思考回路や行動パターンを把握する。そうすれば、投資でやってはいけないことがわかる。その上で、上手い投資家の考え方や投資方法を真似すれば、投資で成功する

・自分自身で投資の決断をした人は、1日に何度も株価をチェックする必要がない。絶えず株価をチェックしたがる気持ちの裏には、自分の投資判断に確信を持っていないから

・下手な投資家ほど、思い込みが激しく、どうしても儲けなくてはいけない、という固定観念にとらわれている。儲けに対する執着心が薄いほど、冷静な態度を保つことができ、結果として、大儲けにつながる

・株価の下がった理由を詳しく説明できれば、いかにも株式投資のプロのように見える。実はそこが問題。相場解説は、あくまで後講釈に過ぎず、事前に相場がどのように動くのかを予想できなければ、株式投資には役立たない

・「今年の株価予想」をその年末に読み返してみると、9割以上の有識者が予想を外している。しかも、その理由さえ間違っている

・素晴らしい経営をしていると考えて、その企業に惚れこむのは勝手だが、そのまま株式投資に結びつけてしまうのは失敗の始まり。良い会社が良い投資対象とは限らない

大局観を養うためには、投資経験を重ねる必要がある。だから、上手い投資家は、ある程度年齢が高い。若いファンドマネージャーで大儲けしているケースも見受けられるが、単にラッキーだった面が強い

・株式投資の上手い人は、絶えず株式投資のことを考えて、のめり込んでいる。彼らにとって、株式投資は、単なる金儲けの手段ではない。株式投資が楽しくて仕方ない

・上手い投資家は、誠実で温厚な性格であったとしても、他人からは、変人と思われている。なぜなら、彼らの考え方や行動があまりにも独創的だから

・上手い投資家は、株式投資の資金と実際のお金を区別して考える。いくら株式投資で儲かっても、株式投資の口座から現金を引き出さない

・上手い投資家は、必要最低限の現金しか持っていないし、私生活において、無駄なお金は使わない。外食をする時は、サイゼリヤ。スーツを買う時は洋服の青山。彼らは、コストパフォーマンスを重視した金銭感覚を持っている

・時間を守れないファンドマネージャーやアナリストは実力がないと見当がつく。投資業界では、他の職業では考えられないくらい厳密に時間が守られる。投資に関わる人は、時間コストに敏感な人でないと務まらない

・上手い投資家は、まるで子供のようである。素直で偏見を持っておらず、いつでも自分の夢を追いかけている。一方、ネガティブな面として、他人への配慮が行き届かず、自分勝手に行動する

・株式投資はケインズの美人投票の仕組みで動いているが、これはあくまで「美人コンテスト」で勝つための方法。中長期的に評価されるのは、コンテストの優勝者ではなく、「本当の美人」。平均的参加者は「本当の美人」を見分ける能力を持っているわけではない

・個人投資家で、経営コンサルティング的手法で投資対象を分析している人は皆無に等しい。ファンドマネージャーが経営コンサルティング的発想を身につけると、投資の成績を向上させていく効果が高い

マーケットシェアの高い企業の製品やサービスの価格は、その企業の言い値通りになる。その結果、利益率も高くなり、好調な業績も維持できる

・事業を運営していくに当たって、コストがかからない仕組みを作り上げれば、売上高が上がった時に大きな利益を生み出せ、下がった時でも最低限の利益は確保できる

リピーター顧客を抱えている企業は、売上高が安定し、利益の成長も見込める。大々的に宣伝しなくても、リピーターは必ず収益に貢献してくれる

・ビジネスはある商品を売っただけでは終わらない。その後に、アフターマーケットという大きなビジネスが待っている。アフターマーケットは、代替できないビジネスで、価格が値崩れする心配がないから、利益率が高い

・株価が買値より20%下落したら、強制的に売却しなければならない。自分の銘柄選択が誤っていた可能性があるから。株式投資で成功しない人の最大の特徴は、損切りできないこと

・株式投資に非常に役立つのは、日経産業新聞。個々の企業の細かい話をそのまま事実として記事に載せているので、企業の状況を詳細に知ることができる



前に紹介した「相場師スクーリング」と重なる部分もありますが、相場の世界で長い間、生き残っている人は、そのような性格や行動を持ち合わせているのだと思います。

そう簡単に、勝てる投資家になれるわけではないですが、シロウト投資家の失敗例を学び、それをしないように、しっかり守ると、負けない投資家には、なれるのかもしれません。

それを学ぶ上で、この本は役に立つ1冊ではないでしょうか。
[ 2010/02/23 07:59 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『最新中国を知るキーワード99』岡崎雄兒

最新 中国を知るキーワード99最新 中国を知るキーワード99
(2008/12)
岡崎 雄兒

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中国の政治や経済のニュースは流れてきますが、庶民の日常生活がどうなっているのかのニュースはあまり流れません。

中国が、今後どうなっていくのかを知るためには、住民の現実を知ることが一番だと思います。この本は、それをキーワードで分かりやすく提示しています。

この本の99あるキーワードの中で、気になったキーワードが15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・千金之憂(お嬢さんの憂い)

出生性比が男119対女92に達した。農村では社会保障の不備と労働力の確保から男児の誕生が強く望まれる。さらに超音波検査による胎児の性別診断の普及も要因

・馬路殺手(路上の殺し屋)

自動車保有台数は日本の3分の1程度なのに、年間10万人近くの交通事故死。アメリカですら死者は4万人程度。交通ルールを守る意識が薄いことが大きな問題

・打狗風暴(犬狩り騒ぎ)

各地で狂犬病が流行。中国での2005年の死者は2545人。5000元(75,000円)の登録料を払って犬の飼育が解禁されたのは1994年。同時に狂犬病対策がきちんとなされていなかったことが原因

・経済邪教(進化したマルチ商法)

2007年夏に行われたマルチ商法撲滅キャンペーンでは600件(総額17億元)が摘発された。田舎から出てきた工場労働者、農民、世間知らずの学生を狙い、所持金を巻き上げた上、被害者を加害者に巻き込んでいく手口

・残奥会(パラリンピック)

中国の身体障害者数は8300万人。日本の身体障害者数は360万人だから、人口比では、日本の倍以上。以前は「残廃人」と呼ばれ、偏見、差別に今も苦しんでいる。パラリンピック研修の本に差別の記述があり大問題に

・化公為私(官僚の汚職)

2001年~2005年までの汚職案件は15万件。取り調べを受けた官僚は17万人。容疑者の国外逃亡は500人。彼らが違法に持ち出した金は700億元(9500億円)。全世界の死刑執行数の80%は中国。収賄、横領などの経済犯にも死刑が執行されている

・小資(プチブルジョワ

外資系企業などで働く高給取りなどの呼び名。彼らは経済力と一定の学力を持ち、人間的にも品位が求められる。単なる成金では小資とは呼ばれない。高級消費財の消費の担い手が小資である

・美女経済

女性の容貌や身体、性的な特徴をアピールすることにより消費を刺激し、経済的な利益を追求すること。広告、ショー、コンテストなど経済活力を与えると評価される一方、女性団体などが強く批判

・形象大使(イメージ・キャラクター)

企業のイメージアップを狙って宣伝ポスターに登場し販売キャンペーンなどで活躍する人。以前は形象代言人と呼ばれていた。上海万博の形象大使には応募が殺到

・一村一品

1979年大分県で平松知事の提唱で始まったこの運動が、世界各地で受け入れられ、中国では国際セミナーも開かれるほどに。一廠一品、一街一品、一区一景、一村一宝、一鎮一品などの運動も展開されている

・品牌戦略(ブランド戦略)

輸出品のブランド化を進めること。急速な伸びを示す輸出だが、その9割を占める工業製品のほとんどは加工貿易によるもの。国家認定ブランドの登録申請企業も増えているが、インパクトのあるブランドは育っていない

・中国加一(中国プラス1)

日本企業が投資リスクを分散するために、中国だけでなく、ベトナム、インド、タイなどの国に投資する戦略のことを中国ではこう言われている

・膩一族(ニート)

2007年付け「中国青年報」によれば、中国のニート人口は1216万人。16~35歳年齢層の約3.2%。日本のニートは総務省発表によれば62万人程度

・金飯碗(公務員など処遇の良い仕事

2008年の国家公務員採用試験は14000人の採用枠に80万人が殺到。平均倍率57倍に。長い間給与が低く人気職種でなかった公務員の人気が高まったのは、何度も給与見直しが行われたことと身分の安定が要因

・証奴(資格奴隷

2007年に大学などの高等教育機関を卒業した495万人のうち、就職できたのは351万人で、29%の学生が仕事に就けなった。そのため、学生はよりよい就職のチャンスをつかむため、各種資格取得にお金と時間をつぎ込んで忙しく走り回っている

・非常村上(すっごく村上)

村上春樹作品の熱烈なファンのこと。外国人作家で一番有名。外国文学作品で一番読まれているのが「ノルウェイの森」。主な読者は、高校生、大学生、小資(プチブル)たち。



日本に比べて遅れているところ、ほとんど変わらないところが混在し、それらを面白く読むことができました。

中国と関係のある人は、この本を読んでいれば、一般常識として、役立つのではないでしょうか
[ 2010/02/22 07:14 ] 華僑の本 | TB(0) | CM(0)

『美の値段』池田満寿夫

美の値段 (カッパ・ホームス)美の値段 (カッパ・ホームス)
(1990/05)
池田 満寿夫

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池田満寿夫さんが亡くなられてから13年経ちます。版画家として有名で、今も高値で取引されています。

また、小説でも、芥川賞を受賞しましたし、テレビにも多く出演されていました。多彩な顔と才能を持ち合わせた人でした。

このマルチな活躍をされた著者が、「美の値段」について言及したのが、この本です。20年前に書かれた本ですが、全然古く感じません。

考えてみれば、商品の中で、美術品と骨董品が一番不思議な存在です。1品もの、オークション、値札なし、言い値、値上がり、投資対象、贋物など、他の工業的商品とは違う要素が多いのです。

それだけに、買う側の眼力があれば得するし、なければ大損する、冷酷な世界です。しかも、お金がなければ、美術品、骨董品の世界には参加できません。つまり、真の大人の世界がそこにあります。

この不思議な「美の値段」を、整理し、解明しようとする内容になっているのが、この本です。

値とは何か?を知る上で、ためになった箇所が25ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・ピカソは作品の市場での値段をコントロールした唯一の画家。美術市場で一番作品点数が多く10万点あるが、死後、倉庫から発表されたのと同数の膨大な作品が出てきた。彼は市場に多く出せば、値段が下がるという市場の原理をわきまえていた

・市場の飢餓状態をつくり、需要が高騰したときに、「しょうがない」と言いながら出す。それも100点あっても3点ぐらいしか出さないから、当然高値がつく。ピカソはそういうことでも天才だった

・無名時代の画家にとって、画商が絵を買ってくれるということがどんなに嬉しいことか。それは、お金よりも何よりも希望が与えられるということ

・絵が商品として画家から画商の手に渡る時には、買い取りか委託か、どちらかの方法をとる。委託とは、3ヶ月間くらい置いてもらい、売れた時に代金を精算するやり方で、その時画商がとる手数料は常識として30%ぐらいのもの

・売り値とは無関係に画料として適当な金額で契約することもある。この場合、画商は画家の名声が高まるまで持っていれば、数十倍、時には百倍ぐらいで売れることもある。値段は、画家や画商の人間性から財力まで絡んだ力関係で決まる

・日本で、絵を描き、展覧会や個展で発表している人は10万人。美術年鑑に名前が載っている画家は3万人。値段がつき、画商が取り扱う画家は300人。愛好家の間で流通している画家は50人。10万人のうち、絵を描く本業だけで食べていけるのは100人

・文学においても状況は同じ。本当に小説だけで食べていける人は100人。まず純文学だけで食べていけないので、雑文を書いたり、講演を引き受けたり、サラリーマンなどしながらしのいでいる。まったく狭き門だ

・メディアで多くの人に知ってもらっても、美術の世界はきわめて限られた人々しか相手にできない。しかし、一定のコレクターさえ持っていれば、充分にやっていける世界でもある

・批評家がいくら褒めても誰も買わない絵もある。展覧会で観客がいくら来ても多くは視るだけの人。美術の世界では、見る人買う人批評する人はみな違う。だから、一人の画家に対する評価も、それぞれの立場によって異なってくる

・現在ある美術市場は、印象派の登場とともに生まれ、発展してきた。印象派の代表であるモネは油絵を6000点描いており、もの凄い速描き。総じて印象派の画家は作品が多い。その結果、市民にも買えるほどに絵の値段が安くなった

・16世紀のアムステルダムには画家が300人(当時のパン屋の職人は70人)にも上った。絵が貿易商品になっていた。レンブラントは、客の要望する絵を描かず、自分の描きたい絵を描き始めたため、注文もなくなり、破産し、極貧のうちに死んだ

・浮世絵以降(明治時代)の日本美術は工芸品を除いては世界に流通していない。それは日本の画商が日本の美術品を世界に売る努力をしてこなかったことに大きな原因がある

・日本画の美術市場は、政治絡みで一時的に大量に絵が動く機会が多い。後援会の人が献金しないで絵を贈る。贈られた代議士は画商に卸してお金に換える。画商はさらに転売するメリットがある。後援会と画商と政治家の間には初めから了解がとられている

・政治家の資産公開に絵画骨董を入れたら、それは莫大な財産になるに違いない

・ビルが建つと、建築会社がオーナーに日本画を寄贈する習慣もある。この時贈るのが、芸術院会員という肩書のついた絵

・アメリカには公共建築物の建設費の1%は美術品の購入に充てるという法律がある。国家規模で現代アメリカ美術を支援したおかげで世界美術のなかで主導権を握ることができた

・版画は限定された部数によって価値が変わる。当然部数が少ない方が値は高くつく。何部に限定するかは作者の自由だが、その数が守られているか、版のキャンセレーション(抹消)が行われているか、しっかり管理されているかが重要になる

・絵の値段の高いことの一番大きな原因は、未来永劫にわたって、その絵が一点あるいは限られた数の稀少価値にある

・どんなコレクションでも必ず偽物が混入している。美術品で偽物を買わされてしまうことは避けて通れない宿命。だまされて、コレクターは目利きになり、成長していく

・生存中の値段は、往々にして絵の価値だけでなく、時代の流行、個人の話題性、日本ならば芸術院会員とか文化功労者とかの肩書や権威などの要因で高い値段がつく。その一つ一つが剥がれ落ちて、その作品の本来の価値に落ち着くには、画家の死後30年かかる

・絵の値段に関して日本の美術市場には、この画家は「号いくら」という評価の仕方がある。絵の良し悪しとは無関係に大小で価値を決めてしまうのは不合理。「号いくら」は買い手を騙す方法

・芸術院会員でも、なかにはお金で資格を買ったような画家もいる。芸術院会員をそう下位にもってくるわけにもいかないので、市場では号50万円が、年鑑には号150万円として、上位ランクされる

・ピカソ、マチスはスタイルを作っては壊し、新しいスタイルに挑戦しているので、いつまでも古くならない凄さがある。日本の大家といわれる人は大体、自分のスタイルが市場に定着すると、変えようとする人はまずいない

・ゴッホのように夭折した画家に駄作が少ないのは、絶頂期に死んだからである。スタイルを築くのも難しいが、築いた自分のスタイルを壊すのはもっと難しい。買う側としては、その作品が持つ美の価値を見抜く鑑賞眼が必要になってくる

・市場に出なければ美術品とは言えない。そのためには「面白い!買ってみよう」という認める者がいなければならない。才能を認める才能が必要。天才を認め得るのは天才だけということになる

・生存中の価格の騰貴は、画家の制作に悪影響を及ぼす。ある種の虚脱感を与え、価格の安全性を確保したい欲求が画家を保守的にする

・絵の価値は、個人の絵に対する情熱や所有欲に依存している。だから莫大な富を惜しげもなく一枚の絵に投ずることができる。「個人が寄付し、その人に名誉を与え、美術館は絵を手に入れ、それを皆が見ることができる」。アメリカ人はうまい方法を考え出した



日本の「美の値段」は、芸術的価値だけでなく、風習や因習など、文化や生活に密着したものに左右されています。

流行、知名度、権威、肩書に惑わされない、本当の鑑識眼が持てないのなら、美術品には手を出さないのが賢明かもしれません。高値つかみだけは避けたいものです。

しかし、本当の鑑識眼があれば、将来有望な芸術家を応援する(文化的貢献をする)ことにもなります。しかも、値上がりする(投資対象になる)という一石二鳥の面があります。

この本は、「お金があり、見る目もある」。こういう人間になりたいと思わせてくれる1冊です。
[ 2010/02/21 09:03 ] 芸術の本 | TB(0) | CM(0)

『セックスレス亡国論』鹿島茂

セックスレス亡国論 (朝日新書)セックスレス亡国論 (朝日新書)
(2009/07/10)
鹿島 茂斎藤 珠里

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著者の鹿島茂氏は、現在、明治大学で仏文学の教授をされており、積極的に執筆活動もされています。著書を紹介するのは、「悪女の人生相談」に次ぎ、2冊目です。

著者の考え方は、人間の欲望や本質を見据え、それを基に、経済や芸術を論じられるため、独創的なものが多く、知的刺激を受けます。

今回のテーマ「セックスレス」は、なぜそうなったのか?何が要因なのか?以前から気になっていました。それについて、この著書で、独自の見解が綴られています。

非常に興味深く読むことができた箇所が30ほどありました。「本の一部」ですが、これらを紹介したいと思います。



・贅沢したいという気持ちよりも、面倒くさいことはしたくないという気持ちの方がはるかに強い。それが人間の本性のかなりの部分を占めている。現代の資本主義のほとんどは、この面倒くさいことの代行業で成り立っている

・恋愛し、相手を説得してセックスまで持っていくのは、男にとって、非常に面倒くさいこと。放っておくと、男はこの面倒くさいことをしないで済ませようとする

・かつては、社会が共同体の掟で無理やり結婚を強いていた。この掟がなくなったため、面倒くさいし、コストもかかるからと、セックスはもういいやという男が激増している

・面倒くさいことを進んで引き受ける代わりに金はもらうよという代行業者だけが勝者となる。面倒くさがっていると、資本主義の餌食になる。手間ひまを惜しむか惜しまないかが、人生の分かれ道

・ドイツの経済学者ゾンバルトは、「恋愛と贅沢と資本主義」の中で「恋愛が資本主義を発展させた」というテーゼを打ち立てたが、奢侈と恋愛が資本主義を引っ張るという理論が当てはまったのは、日本では、80年代のバブル期まで

・男たちは、一生懸命頑張って金を稼ぎ、それを使ってモテようと努力するよりも、面倒くさいことをやりたくない方に走ってしまった。現状では、ゾンバルトの考えた資本主義の仕組みは、一部の勝ち組にしか適用されていない

・どこの国の文化にも必ず相聞歌の類がある。万葉集も現代語訳したら、露骨に言えば、「一発やらせろ」に対して、「イヤです」「OKです」ということになる

・成功した宗教はどこも、疫病と近親婚を避けるため、遺伝子のバラエティを確保する強制的カップリングを行うかたわら、非生殖的なセックスを全面禁止した。人間ではなく、神様だったら禁止事項を命じても言うことをきく

・家督相続できない次男、三男が大都会に出てきて、社会的ポジションと女に対する欲求不満を爆発させると革命が起きる。イギリスの名誉革命、フランス革命は、あぶれた次男、三男が起こした。現代のイスラム原理主義の反乱も、この人口爆発理論で説明できる

男性識字率が50%を超えた(下層中産階級の上まで中等教育)とき、革命が起きる。しばらくして、女性識字率が向上(ローワー・ミドルも娘に教育)すると、出生率が一気に下がり、社会はおとなしくなって、革命は起きなくなる

・「男性識字率の向上、女性識字率の向上、出生率の低下、この三つの過程を経ながら、世界すべての文明は同じパターンを描く」は、エマニュエル・トッドの理論

・お見合い拒否は女性サイドから出てきた。1970年代後半から、女性の大学進学が当たり前になると同時に、地域共同体と血縁共同体が崩壊し、「世話焼きばばあ・じじい」がいなくなってしまった

・悲しいかな、日本には、恋愛を促進するような社会的状況がない。恋愛自由経済になったのに、恋愛証券取引所がないようなもの

・運動会、社員旅行、社員ハイキング、さまざまな形の出会いが企業で用意されていた。短大卒の一般事務で重要なのは、容姿端麗の「社内結婚させるための女子社員」であったが、フェミニズムの攻撃対象になり、すべてが壊れた

・1970年代後半に「恋愛至上主義」が登場して、自由に好きな相手を探すことができるようになったが、変な方向に進み始めた。恋愛が女の見栄と結びつき、男からどれだけモテるかの「女のモテ競争」になった。恋愛が男女の戦いから女同士の戦いにシフトした

・女の子との会話の機会を6年間奪われ、女の子に臆病なモテないエリート、最初からモテようという意志を欠いたエリートが男子校で大量生産されてきた

・自由恋愛主義が一般的になってくると、「やりまくる男」と「風俗へ行く男」と「全く何もやらない弱者」と、男の三極分解が始まった。そこに恋愛弱者の福音として、「平凡パンチ」が現れた

・世界で最初にポルノ解禁したのは、北欧のスウェーデンやデンマークなどのプロテスタント国。それから、西ドイツ、次いでアメリカが解禁。プロテスタントが先行。つまり、結婚しないとセックスできない国だからこそ、ポルノが求められた

・女の子に、男選びの条件で、金、ルックス、学歴、背丈、性格の5項目から、譲れない項目を一つ選べと言ったら、「別に大金持ちでなくてもいいけど、最低限の贅沢はできる程度のお金はないと」と皆が言う。金欠男OKという女は一人もいない

・バブル崩壊以後、大モテはしないが、結婚するときには、きれいでかわいいお嫁さんがもらえるという恋愛ミドルクラスが消滅。一握りの大モテ成り金と、それ以外の非モテ貧乏オタクという二極構造になってしまった

資本主義の原理だが、ごく少数の大金持ちを相手にして大金を巻き上げようとするよりも、多数の貧乏人から広く浅く搾取する方が儲かる

・金持ちリッチビジネスは、労働集約的だから大変。反対に、多数の貧乏人を相手にするのは、資本集約的だから、資本投下さえできれば、うまくいく

・醜男は子孫を残せないから絶滅し、モテ男だけが勝ち組になる。高学歴の女たちは、男から敬遠されるので、頭のいい遺伝子を持つ女性も子孫を残せない。今の傾向が進むと、未来の日本人は、ルックスは少しよくなるが、頭が少し悪くなる

・日本の村落共同体で、夜這い若衆宿のあるところでは、セックスの快楽は、つらい労働を続けていくのに欠かせないドリンク剤のようなものであった

・ヨーロッパの結婚制度の根幹には、親元からの持参金がある。世継ぎの男の子を産む義務を果たすと、人妻たちは、夫に気兼ねなく、経済的にも自由に恋愛ができた

・禁欲的な宗教は、性欲の強い文化圏で生まれる。インド人は、カーマスートラにあるように性欲の強い民族だから性欲の減却を説く仏教が広まった。西洋人もコーカサス人種も性欲が強いからキリスト教が広まった

・「節婦は二夫に見えず」という武士道社会の掟は、裏を返せば、日本の女は片っ端から男をつくってしまって大変ということ。掟は非人間的だが、その背後にある考え方は、人間的考察に貫かれている

・日本は、大昔から、「セックス謳歌」で、性愛賛歌の洗練された文学が生まれた。恋愛とセックスが初めから合体していたという、世界的に見ても珍しい国

・江戸は独身都市だった。大量の独身者のために、考案されたのが浮世絵で、日本で最初のオナニー産業。性教育的な面もあって、娘が結婚するときに浮世絵を渡し、性生活の知恵を授けた

・上野の裏手に、現在ラブホテル街で有名な鴬谷があるが、江戸時代は、陰間茶屋と呼ばれる、オカマ趣味の男が、若い男を買うためのホテル街。やがて、陰間茶屋には、美少年が多いというので、人妻がやってくるようになり、人妻用の同伴旅館街となった

・ある程度禁欲を自分に強いることがないと、間違いなく堕落する。克己心をなくしてしまう。しかし、資本主義の側から見ると、克己心を持たれてしまうのは最悪。「面倒くさいものが嫌い」な人間を増やさない限り、自分たちの未来はない

・米軍でも英軍でも、性欲を我慢させすぎると、軍隊の中で爆発が起こって反乱になるから、適当に女郎屋に行かせて発散させてやる。ただし、戦闘が始まる前は、精液をため込ませる。人間が怒るのは、セックスの禁欲と食い物の禁欲を強いられたときの二つ



現代の資本主義が抱える問題点を、「セックスレス」を通して、宗教、歴史、思想、芸術、風俗、社会、経済の面から解き明かしてくれる、面白い本です。著者の博覧強記に驚くばかりです。

特に、今後の日本経済がどう変化するかのヒントがいっぱい詰まっているように思いました。そのとき、われわれはどうしたらいいのか?も教示してくれます。

経済学の本より、ためになるかもしれません。
[ 2010/02/19 09:14 ] 鹿島茂・本 | TB(0) | CM(0)

『ひとことで言う-山本夏彦箴言集』

ひとことで言う―山本夏彦箴言集ひとことで言う―山本夏彦箴言集
(2003/10)
山本 夏彦

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山本夏彦氏は、2002年に亡くなられましたが、生前、週刊新潮の連載コラムをよく読んでいました。批評家としての鋭い眼とユーモアを兼ね備えた名筆家だったと思います。

著者の死後も数々の本が出版されていますが、この本は「ズバリ言った」著者の名言を集めたものです。

この本の中で、特に面白かった「ひとこと」が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。


・キャンペーンならみんなマユ唾
(他人と同じことを言えと強いられる)

金と女で成功したと書いてはいけない
(この世はやきもちから成っている)

・浮世は二時間の辛抱
(授賞式、パーティー、祝賀の宴は、紋切型で顔ぶれも同じで毎年酷似)

・下っぱはまじめで上は腐敗する
(下っぱも次第に出世すれば汚職するに違いない)

大流行するものには気味の悪いところがなければならない

・写真はすべて「やらせ」である
(写真館の見合い写真は当人の欠点を隠すが、報道の写真は当人の欠点をうつす)

・設計者の名は明記されるべきである
(建築物が気に入らなければ避けて依頼しないこと)

・世はいかさま
(古往今来成功するタイトルは永遠にいかさま。それを工夫する才は卑しい才と思わずにいられない)

・何よりボランティアがよくない
無償奉仕の組合の機関誌を読むのは書いた本人と担当者だけである)

・職人はかげでつくる人
(職人は人前に出ない人、出るのは別人でなければならない)

・たいていのことは詮じつめると税制に帰する
(儲かると税に奪われる。それなら広告せよとそそのかされる)

・不動産屋というのは昔は「千三つ屋
(昔、不動産屋は千に三つまとまればいい賤業だった。最近、銀行のすることは不動産屋にそっくり。顔つきも同じになった)

・差別しないでは生きられない
(純文学の作者は大衆文学の作者を見下す。油絵画家は挿絵画家を軽んじる、江戸小咄中の新宿の女郎は品川の女郎を侮って言う)

・自己顕示しなければデザイナーの名声は保てない
(昔は職人がつくっても職人は詠み人知らずだった。デザイナーは職業として成立するには、常に異をたてなければならない)

・大衆社会は大衆に世辞をつかう社会
(大衆を批判することがタブーである社会)

・私はあらゆる保険を信じない
(社員がかけつけるのは見舞のためではない。払わぬ理由を探すためである)

美しければすべては許される
(ウソのごとき、ケチのごときは美しい文章に消される)

・銀行は預金者の味方だったことがない
(預貯金は、あらゆる税金を奪われて残ったカス)

・税金で運営されている組織は、ごまかし放題である
(税金はだれの金かわからない。正体不明の金だからごまかしても罪の意識がない)

羨望嫉妬こそ民主主義の基礎である
(正義が嫉妬の変身したものと思わなくなった。それを指摘すると怒られるようになった)



山本夏彦氏をあまり知らない人でも、この本なら面白く読めると思います。

一言で書く文章ほど、知恵と時間がかかります。その割にはお金になりません。しかし、一言一場面一表情は、世の中を動かすことにもなります。

最近、こういう箴言を書く人が少なくなっているように思います。この本は、世の中の真理をさり気なく気づかせてくれます。良き大人への登竜門となる1冊ではないでしょうか。
[ 2010/02/18 07:34 ] 人生の本 | TB(0) | CM(0)

『金を通して世界を読む』豊島逸夫

金を通して世界を読む金を通して世界を読む
(2008/12/18)
豊島 逸夫

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著者は、スイス銀行貴金属ディーラーニューヨーク金市場トレーダーを経て、現在は国際機関で金の調査研究をされています。度々、マスコミに金に関してのコメントが引用される、金の第一人者です。

金に関する本には、少し胡散臭いものが多い中、この本は、非常に真面目な本です。真面目どころか、「金の学術研究書」のような内容になっています。

金を通して、お金とは何か?信用とは何か?欲望とは何か?人間とは何か?を追究する書です。

この本の中で、好奇心をくすぐられた、興味深い箇所が25ありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・アメリカは外貨準備に占める金の比率は7割を超す。日本や中国は1%程度だが、巨額の米ドルを保有。ドイツやフランスは、外貨準備の5割以上を金で保有。外貨を稼いできたアジア諸国は、貧乏くじを引いているように思える

・日本は、金が高騰するや、リサイクルが急増し、一転、金の輸出国に。「金はカネのある国に集まる」が、金を蓄積せずに海外に放出しているのは、日本の国力低下の象徴的出来事と映る

・1999年から金の長期トレンド上昇が始まったのは、当時、金価格が250ドルまで下落する中、欧州中銀の公的金売却自主規制合意(ワシントン協定)で、年間公的売却量400トンの上限を課し、市場の不安を払拭したことによる

・中国、インドの二大金消費国が高度経済成長路線に入り、金需要は増加。一方、採算ライン上の金鉱脈が掘りつくされ、残る金埋蔵量は過酷な自然環境に限定。そのため、金価格が3倍に上昇しても新産金量は増えていない状況

・サブプライム危機後のリスクプレミアム上昇こそが、金価格上昇の理由。今回の金買いの最大の特徴は、攻めの運用ではなく、守りの運用手段としての金である

・(ドルが金の裏付け失いペーパー化)→(投機マネーが活発化)→(自己増殖的に拡大)→(リスクの存在認識欠如)→(サブプライム危機勃発)の過程と同じく、金もペーパーゴールド商品が増え、投機の波にさらされた。その反省から、金現物の需要が増え、品不足に

・団塊世代の同窓会で、「金はどうなんだ」と聞かれることが多い。その席で黙っているが、後日「退職金の一部で金を買いたいが」と電話をかけてくるのが、霞が関の経済官庁や永田町で働いていた人たち。公的債務の実態を見てきただけに現実味を持っている

・金価格はドルのFFレートに敏感に反応する。特に、定期的に実施されるFOMC(米国連邦公開市場委員会)の利下げ、利上げには、神経質

・金利には、名目金利と実質金利の二種類があり、最終的に金価格の行方を決めるのは実質金利(名目金利が上昇しても、それを上回るペースで物価が上昇すれば実質金利は低下)

・二千年の歴史を経てきた金の世界から見ると、ドルはたかだか二百年程度の新参者。金はドルがマーケットの波に揉まれてどこまで健闘するか、お手並み拝見と傍観している

金の地上在庫(2007年)総計161,000トン
「宝飾品」82,700トン「公的保有・各国中央銀行等」29,000トン
「民間投資用」26,500トン「工芸品など」19,200トン
「不明」3,600トン

金宝飾需要国トップ10(2007年)
1.インド 2.中国 3.米国 4.トルコ 
5.サウジアラビア 6.UAE 7.ロシア
8.エジプト 9.イタリア 10.インドネシア

金生産国トップ10(2007年)
1.中国 2.南アフリカ 3.オーストラリア 4.米国
5.ペルー 6.ロシア 7.インドネシア
8.カナダ 9.ウズベキスタン 10.ガーナ

・ヘッジファンドに代表される投機マネーとは一線を画し、長期的かつ戦略的資産運用におけるリスク分散から金市場に新規参入してきたのが欧米年金基金

・株式投資に慣れた人たちは、金投資にも何らかのベンチマークを求める。しかし、金利、配当を生まない資産ゆえ、金には有効なベンチマークがない

・金購入動機(2008年)
1.インフレヘッジ(53.3%) 2.信用リスクがなく紙くずにならない(50.7%)
3.長期的値上がり期待(36.0%) 4.世界中どこでも換金できる(24.0%)
5.燃えない資産(17.3%)

・外国と比較すると、日本の最大の特徴は純金積立加入者が多いこと。08年現在、45万人を超える。この積立貯金感覚の商品が売れるのは日本だけ

・近年、日本金市場の最大の話題は、リサイクルフィーバー。商店街の店舗がある日突然「金プラチナ買います」の看板を掲げるほど。買い取った業者は大手の業者に持ち込み、10~20%の通り口銭をはねるのは当たり前

・人口比で最も金が売れる地域は京都。坪当たり最大の金小売店も京都。京都には宗教法人が多く、資産のストックも蓄積されている。スイス流の「最後に頼りになるのは金」という考えも強い

・金が売れる地域は必ずしも県庁所在地とは限らない。現代の経済行政の中心地より、城下町であった都市のほうがストックは多い

・金を実物資産の代表格である不動産と比較すると、
「固定資産税がかからない」「売買市場の完備で即日売却できる」「小分けできる」が、「賃料収入などのキャッシュフローを生まない」

ロコ・ロンドンという正規の専門用語を語って、金の知識のない顧客を騙す手口が横行。金は業者も限定されるため、うっかり問合せすると、執拗なセールス攻勢を受ける可能性

金の工業用需要の最大分野が電子用のボンディングワイアと呼ばれる金の極細線。日本が約120トンを占め世界一。今後、金ナノテクノロジーの応用が、触媒、情報分野のデバイス、バイオ分野の検査、解析、診断などに広がると予想

・金は金利を生まない「デメリット」が、金利を不労所得として排斥するイスラム金融の中では「メリット」になる。さらに金の「無国籍通貨」という側面も、中東諸国には使い勝手がよい

有事の金は売り。地政学的要因で金価格が上昇する場合も要注意。相場の上げが短命に終わる場合が多い



金融商品としての金や金市場に関する説明は、専門用語も多く、今回はあまり紹介しませんでした。金をもっと詳しく知りたい方は、本書を熟読することをおすすめします。

現在、金価格の動向は高値維持で、バブルとも思える状況です。世界の金融市場が落ち着き、金が今の半値くらいに下落してきたら、少しだけですが、金を買い足そうと考えています。

金投資に興味のある方、金との相関を見ながら他へ投資されている方、おカネの本質や歴史を知りたい方には、この書は必見ではないでしょうか
[ 2010/02/16 08:46 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『野村ノート』野村克也

野村ノート (小学館文庫)野村ノート (小学館文庫)
(2009/11/19)
野村 克也

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言わずと知れた、野村元監督の本です。さすが、実戦経験が豊富なだけあって、リーダー論、組織論、戦い論、人材論、教育論などにおいて、卓越したものを随所に見ることができます。

野村氏は、現場で活躍されている中で、論理力、コミュニケーション力も兼ね備えた方です。つまり、内にいるのに、外からの目を持ち、さまざまな事象を、客観的にわかりやすく説明できる稀有な方です。

したがって、野村氏の数々の著書は、野球やスポーツ界にとどまらず、組織の中で働く人にとって、貴重な本になると思います。しかも、数々の修羅場を経験されているので、技術や知識だけでないものも教えてくれます。

今回の著書の中でも、勉強になった箇所が20ほどありました。それらを「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・人生論が確立されていないかぎり、いい仕事はできないことを肝に銘じておくこと。その人の価値や存在感は他人が決めるもの。したがって、他人の評価こそが正しい。評価に始まって評価に終わると言われる所以

・重要なのは「目」(目のつけどころ)、「頭」(考える、工夫する)、「感性」(感じる力、負けじ魂、向上心)の3つ

無形の力をつけよ。技量だけでは勝てない。形にない力を身につけることは極めて重要。情報収集と活用、観察力、分析力、判断力、決断力、先見力、ひらめき、鋭い勘等々である

・原理原則は、「知機心自閑」(機を知れば心自ら閑なり)である。これを押さえておけば、人生の中でいかなる事件に出くわしても、それに振り回されることなく心は常に閑かなはず

・戦いには4つの要素があるという。「戦力」「士気」「変化」「心理」。その中でも「士気」、すなわちムードは非常に大事である

・戦いは、「試合」だと強い方が勝つが、「勝負」だとギャンブル性ゆえに弱者でも勝てる要素がある

・人生という文字から4つの言葉を連想する。「人として生まれる」(運命)、「人として生きる」(責任と使命)、「人を生かす」(仕事、チーム力)、「人を生む」(繁栄、育成、継続)

先入観は罪、固定観念は悪

・「決断」とは賭けである。覚悟に勝る決断なし。一方、「判断」とは頭でやるもの。知識量や修羅場の経験がものをいう。判断に求められるのは判断するにあたっての基準、根拠があるかどうかである

・頂点に立つということは小さなことの積み重ね。小事が大事を生む

・集中力を高める2大要素とは、「興味」と「必要」である

・エースと四番に厳しく言うのは、彼らの使命が、勝つ、打つということだけではないからだ。彼らのもつ大きな使命とは、チームの鑑になること。中心になる選手がいるからチームはうまく機能する

・「どの道を取ったか」「何を選んだか」という小さな選択肢が、周囲に影響を与え、その人間の評価につながり、そして最終的に、その者の人生を運命付けていく

・若い時に学んだ経験や学習は後になって必ず活き、逆にそのときに苦労しなかった選手、考えなかった選手はベテランになってからも同じ過ちを繰り返す

・仕事をする上で、3つの能力が必要とされる。「問題分析能力」「人間関係能力」そして最後のひとつが「未来創造能力

・人間3人の友をもて。原理原則を教えてくれる人、師と仰ぐ人、直言してくれる人

・無知であることを自覚させ、無知は恥じなのだと気づかせなくてはならない。さらに、何が正しくて何が間違っているか、間違いに気づかせて正していく。つまり、監督は「気づかせ屋」でなくてはならない

・人間の最大の悪は何であるか。それは鈍感である

・「ツボ」「コツ」「注意点」の3つのポイントをもとに実践指導している。「ここを見ておけ」というツボ、技術面のコツ、「これだけは注意しろ」の注意点を伝えておくことが的確にできれば、あとは放っておいても、組織はいい方向に向いていく

・「まとまり」とは、目的意識、達成意欲をみんなが持ち続けること。全員が「勝とうぜ」という気になってくれること

・人間学のないリーダーに資格なし



総じて言えば、以下のようなことが著者の論説の趣旨であったように思います。

目に見える力目に見えない力。力量や技量の「見える力」のあるプロでも、「見えない力」が重要である。もっと言えば、「見える力」のあるプロだからこそ、「見えない力」がより重要である。

このことは、われわれ個人においても当てはまることだと思います。まあ、それが「品格」になるのかもしれません。

個人でも、組織でも、最終的には、目に見えない力が目標になる。その過程を「道」と呼ぶのなら、その「道」とは何か?を教えてくれる貴重な1冊だと思います。
[ 2010/02/15 08:54 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『優雅な暮らしにおカネは要らない-貴族式シンプルライフのすすめ』

優雅な暮らしにおカネは要らない―貴族式シンプルライフのすすめ優雅な暮らしにおカネは要らない―貴族式シンプルライフのすすめ
(2006/03)
アレクサンダー・フォン シェーンブルク

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著者のアレクサンダー・グラーフ・フォン・シェーンブルグ氏は貴族の末裔です。「グラーフ」は伯爵、「フォン」は貴族称号です。

第二次大戦後、父親の代に、ソ連軍の手で土地などの財産を没収され、一家で逃亡しました。小さいときからドイツでアパート暮らしを強いられてきました。

しかも、最近になって、勤めていた新聞社も解雇されました。典型的な没落貴族です。

でも、没落貴族は著者だけではないようです。親戚や知り合いの伯爵や公爵たちは、9割以上、賃貸マンションか、田舎のふつうの住宅に住んで、車は中古で、職の心配をしているみたいです。

しかしながら、さすが貴族だけあって、お金がなくても優雅に暮らす術を身につけられています。つまり、真の豊かさを考えて生活されています。

この貴族仕込みの「すっきりと垢抜けたライフスタイル」が、この本にはいっぱい掲載されています。「本の一部」ですが紹介したいと思います。



・落ちぶれて収入が減っても、自分をダメ人間と思う必要はない。大規模な歴史の流れのせいで零落しただけ。私の一族は何百年も前から落ちぶれてきたので、「どうすれば左前になっても心は豊かにいられるか」をアドバイスできる

・両親はヨーロッパ版のわびを体現していた。ティーポットは、ひび割れがあり、修理した跡があるから美しいと感じていた。上着は、捨てられてしまうような状態になってから、かえって愛用していた

・人を職業で判断する時代は終わった。職業を唯一の生きがいにしないほうがいい。ほとんどの場合、生きがいにならないし、「本来の生活」からの逃避に等しい

・職業での重大な健康リスクの一つは、仕事そのものではなく、失職の恐怖

・心理学者のチクセントミハイは、すっかり没頭している時間のことを、「フロー」という概念で示した。幸せで時間も止まっている「フロー」は、仕事の時も生じるが、とくに顕著なのは遊びの時

・人は仕事を通してのみ世間に認められると思い込んでいるが、労働は、宗教改革の時代まで、「生き生きとした暮らし」をする上で邪魔ものだった。労働の目的は本来、ひまを作ること。誇り高いものではない

・収入が減っても、すっきりとセンスよく暮らすためには、生活維持費がそれほど高くない町に住むべき。暮らしやすい町は、ベルリンとウィーン(逆に最悪なのは、ロンドンとチューリッヒ)

・集団生活は、減収になっても生活水準を維持するのに最適。成人した子供も含めて家族全員が一カ所に集まれば、広いところに住めるし、お金も節約できる。さらに家事労働も協力してできるから効率的

・「どこか外で食事しよう」と誘われたら、「外食って悪い習慣だよ。僕のように収入が減った人間は、もうレストランに行くという悪習から解放されたんだ」と言っている

・収入が減っても、料理にお金をかけなくても、住まいが狭くても、人を自宅に招いていっしょに食事することはできる。座の中心は料理ではなく、一つのテーブルに座っている人たち

・車を運転している人が「上品な言葉」を発したことは、私の知る限り一度もない。運転中には悪口雑言の限りを尽くし、攻撃的になる。郊外でも渋滞、混雑しない時間帯がない都市で、車を運転するのは実に馬鹿げたこと

・ホテルは「高級で優雅なオアシス」と考えられているが、実はレジャー業界がそう思わせているだけ。長期にわたって節約してきたのに、休暇に入った途端に、その金をホテルにばらまいても報われない

・おすすめは滞在型旅行生活費の安い国で一か月生活しても、物価の高い都会で節約生活するよりお金がかからない。哲学者ニコラス・ゴメス・ダビラは「定住するのは知的な人間、純真な人だけ。平凡な人間は落ち着かないから旅行したがる」と言っている

・「休暇が取れても旅行しない」ことが流行になる時代が来る。恥ずかしがる必要はない

・エレガンスというのは、「どう着こなしているか」であって、「何を着ているか」ではない。努力して着飾るのも野暮、努力してラフにするのも野暮

・服は一品だけ中古やバーゲンで本物を買い、ほかはすべて安物でいい

・妻の女友だちは、衣服交換のネットワークを縦横に張り巡らし、「お下がり」で好みの服を手に入れている。また、要らない服で小銭を稼ぐため、友だちを自宅に呼んでプライベートバーゲンを行っている

・スポーツ業界は「新しい服装や道具一式が必要だ」と宣伝する。だが、道具や服装にかける費用が少ないほど趣味のいいスポーツ

・お金がかからない運動ほど効果抜群。有名な病院の院長は、「階段の上り下りこそ、心臓病に対するもっとも確実な予防法」と言っている

・メディアに踊らされて、文化的な催しに長蛇の列ができるが、文化、文化と言ったところで、誰かが次々と私たちの関心を惹こうとしているだけ

・最近は芸術家自身も、業界の営利志向に嫌気がさしてきている。知り合いの芸術家は、美術商に全作品を売却し、そのお金を持って自宅に引きこもり、今は子供たちとテレビゲームをしている

・マスコミやイベントの影響を受けまいと意識すれば、生活の質はぐんと上昇する。文化と称するものに生活をかき乱されないためには、「特定分野の専門知識を得る」こと。本当の知識が身につけば、文化消費群集行動に巻き込まれずに済む

・子育てにおいて重要なのは、「子供が将来、マスコミに操られるままに、宣伝されるモノを何でもほしがるバカで未熟な消費者にならない」ようにすること

・自分で考える人間、つまり誘惑に負けないことを楽しみにする人間に育てなければ、子供は無駄な買い物をし、本当に心豊かな生活を送ることができなくなる

・「期待の程度が上がるほど、楽しみが実現しても、幸福感は高まらない。それが高まるのは、楽しみを待つ時だけ」と哲学者エルンスト・ブロッホは言った

・一生の間にいくら稼いでも、その間に購入する「長持ちする財産」は、総収入のごく一部。たいていはガラクタや無意味なひまつぶしへの出費。収入が減っても、裕福ゴミから解放されるだけ

・すでに1920年代に広告専門家が「消費者が憧れているモノ、ほしいモノ、夢見ているモノを売ればいい。人間は必要なモノは買わない。彼らは希望を買う」と販売員に鼓舞していた

・昔も今も、人間の品性は消費行動によって決まる。だが、現在は「消費しないことが上品だ」と言われるようになった

・一流の人物とは、持つべきモノをすべてほしがらず、ほしいモノだけ持っている人

・惨めな金持ちは「モノだらけの生活は退屈なだけで、時代遅れだ」ということがまだわかっていない



この本は、2005年4月に出版され、44週連続ドイツのベストセラー入りとなった話題の書です。著者は、ヨーロッパの没落貴族です。この貴重な出生と体験が、この本を面白くしています。

「モノを見る目があるのに、カネがない」の状態で、どう暮らしていけばいいかのヒントがいっぱいあります。

日本も、日出る国だったのが、いつの間にか、日没する国になってきました。まさに没落貴族と同じ運命を辿っているのではないでしょうか。

そういう時代の行動規範に。この本はぴったりの1冊だと思います。
[ 2010/02/14 09:22 ] 幸せの本 | TB(0) | CM(1)

『まんだら人生論』ひろさちや

まんだら人生論〈下〉 (新潮文庫)まんだら人生論〈下〉 (新潮文庫)
(1995/12)
ひろ さちや

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まんだら人生論上巻」と同様、下巻も、感心して読めた箇所が25ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・アメリカの心理学者オールポートは「ある友人を本当に理解するとは、その人の将来を理解することである」と言っている

・「悪」を持っているから、ほとけは悪人を救える。よりよく生きようと決意することによって、悪は善を助ける。大事なことは、いま現在を幸福に生きること

・高価なドレスを買えば、ジュエリーやら靴やら、さまざまな物が欲しくなり、次のパーティーに、さらに上等のドレスが欲しくなる。欲望の充足は、より以上の欲望の生産をするだけ

・幸福は、自己のうちに見出すもの。他人との比較をはじめると、絶対に幸福になれない

・笑顔を忘れるようになったら、忙しさの限界。笑顔は青信号で、しかめ面が赤信号

・自己の過去を捨て切れず、相手の過去にこだわっていては、絶対に真実の愛は芽生えてこない。したがって、恋人に過去を告白する必要はない

・努力によって苦労を克服した体験から、素晴らしい知恵が身についたかのように思っているが、そこで得られたのは処世術にすぎない。自分が獲得した処世術を他人に押し売りし、その処世術を身につけていない人を叱るのは、苦労体験者の大きな欠点

・曹洞宗の開祖の道元は、「学道の人は先須く貧なるべし。財おほければ必ず其の志を失ふ」と言っている。貧乏は恥ではない

・英語で「ホワイトエレファント(白い象)」は「金のかかるやっかいな物」という意味。現代人は「文明」という白い象が金のかかるやっかいな物であることに気づかず、今もって大事に扱っている

・ドイツの作家ゲーテの言葉に「不機嫌ほど大きな罪はない」というのがある。逆に、陽気さというのも、大きな伝染力を持っている。陽気な人間は周りを明るくする

・この世において、貧しい人々、虐げられた人々、困っている人々、すなわち弱者に大きな愛情を抱くべき。そうすることが、ほかならぬ「ほとけの心」であり「慈悲の心」である

・私たちは、「自我」という鋭いトゲを持っている。だから、いくら願っても、他人とぴったり一つになれない。私たちは、ある程度距離を置いて、上手に他人と付き合っていくよりほかない

・「正義」はしばしば、人を傷つけてしまう。釈迦は「一方的に、正義を振り回してはならない」と教える。「正義」よりも大事なものは、他人に対する「思いやり」と「いたわり」

・「できる人間」というのは能力によって査定したもの。「できた人間」は力量で見たもの。若い時代は「できる人間」が目立つが、本当に高い評価が与えられるのは「できた人間」

・阿修羅は、本来は正義の神であったが、自らの正義にこだわったゆえに、神々の世界から追放され、魔類とされてしまった。正義の神を魔類にするところに、仏教のものの考え方の特色がある

・腹を立て、癪にさわったら、その感情を瞬間凍結すればいい。赤ん坊はそれをやっている。赤ん坊は気分転換がうまい

仏教の戒めは、戒めを完全に守れない弱い自分を自覚することにある。弱い自分が生きるために、多くの命が犠牲になっていることを知れば、自然と「すまない」「申し訳ない」という気持ちが出てくる

・イタリアの劇作家ディエゴ・ファブリは「愛とは相手に変わることを要求せず、相手をありのままに受け容れることだ」と言う。相手を支配せずに自ら変わるのが真の愛。わが子の成績を一方的にしかる親は、所詮は支配者である

・世間では、愛を素晴らしいものと考えているが、仏教では愛を否定している。なぜなら、愛は自己中心的であり、愛する対象を自分の思うがままに支配したいという感情を伴っているからである

・幸福とは、本質的に「棚から牡丹餅」。幸福なとき、「自分は努力したから幸福になったのだ」「自分は善人だから幸福なのだ」と思ってしまうが、それはいけない。そんなふうに考えると、不幸な人に対して、冷たい目で見るようになる

・神様に御利益を願う人は、いわれのない御利益を授けてくれる神様は、またいわれのない不幸をも授ける神様であることを覚えておいてほしい

・教育を人間改造のように考えてしまうが、それは、とんでもない錯覚。教育の目的は、頭のいい子はいい子として、頭の悪い子もその子なりに、目の不自由な子は目の見えないまま、幸福に生きられるようにしてやること

・日本人は、相手と感情的に同化したいという願望を持っている。だから、自分の意見をちょっと変えて相手と感情的に融合できるうちはいいが、自分の意見を変えられないとなると、相手の意見を変えさせようとする。もう少し大らかでいたいもの



著者が新聞に連載していた文章なので、わかりやすい言葉で、しかも短くまとめられています。どこをとっても読みやすく、すらっと読める本です。

しかし、じっくり読むと、奥が深い、内容の濃い文章です。こういう書が、身近にあると、困ったとき、悩んだときに、役に立ちます。

読後も、清々しい気分になる、気持ちのいい本です。
[ 2010/02/12 08:50 ] ひろさちや・本 | TB(0) | CM(0)

『まんだら人生論』ひろさちや

まんだら人生論〈上〉 (新潮文庫)まんだら人生論〈上〉 (新潮文庫)
(1995/12)
ひろ さちや

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読売新聞日曜版に「まんだら人生論」と題して、6年間にわたって著者が連載していたものをまとめたものです。15年以上も前の本ですが、すらすら読みる本です。

著者を取り上げるのは、今回で3回目になります。本質的なことを、わかりやすく、優しい言葉に変換されるので、いろんな意味で気づくことが多く、非常にありがたく思っています。

この本の中で、感心して読めた箇所が25ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・日本では「高貴なる者の義務」の自覚が希薄。一流大学を卒業した者は、一流大学に入れなかった人の分まで、社会に尽くさねばならない。それが勝者の義務。その義務を自覚しない者はエゴイスト

・日本の親たちは、わが子に羅針盤を与えず、スピードメーター(速度計)だけを与えて、人生の荒海を航海させようとしている

・インド人もアラブ人も「富める者は貧しい者に施しをする義務を負っている。そして、貧しい者は富める者から施しを受ける権利を持っている」という考え方である

・仏教の言葉に和顔愛語がある。和顔はやわらかい顔。愛語は、やさしい言葉。この二つは、とくに現代日本人に欠けている

・現代の日本の医療は、「死生有命」(人間の生と死は天命。努力によってどうすることもできない)を忘れて、執着ばかりを生み出しているように思える

・他人の役割をうらやましく思うのはやめ、自分の役割をしっかり果たそうとするのが、インド人の考え方。そうすると輪廻の次の舞台でもっといい役割がもらえると信じている

・努力する限り、人間は迷う。迷わなくなれば、おしまい。だから迷いは、努力を続けていることの、一つの証。迷いは歓迎すべき

・碁や将棋で悪い手を指してしまうのは力不足のせいで、わざと悪い手を使っているように見てはいけない。上位者が初級者にあまり口うるさく忠告すると、碁や将棋は面白くなくなる。そのことを忘れてはならない

・施しをするのが布施。ところが道元禅師は「貪らないのが布施」と言う。私たちが持っている、欲しい、欲しいといった貪欲の心を抑えるのも布施になる

・貧しい人は貧しいまま、病人は病人のまま、幸福に生きる道を教えてくれるのが宗教。信者になったら金儲けができるとか、入信すれば病気が治るというのは、インチキくさい

・いまは対立関係にある人とも、来世は、ほとけさまの姿となって付き合うことになる。そう考えたほうが、人間関係が楽しくなる

・仏教は、悪いことをするな、ではなしに、悪いことをする必要のない生き方をしろと教えている

・顧客が少なければ少ないほど、その少数の顧客を大事にすべき。来てくれない人のために、せっかく来てくださった顧客が不愉快な気分になるようなことは、絶対にあってはならない

・日本人はインドで、貧しい人々を見て、「まあ、かわいそうに」と言うが、この言葉は、インド人に対する侮辱。インド人は、貧しいけれど、幸福に生きている。「貧しくって、どうしていけないの?」と思っている

・迷いの大半は、どちらでもいいことにこだわっているから生じる。迷っているということは、たいていの場合、どちらでもいいということ

・釈迦は、「過去を追うな」「未来を願うな」「過去はすでに捨てられた」「未来はまだやって来ない」「今日なすべきことを熱心になせ」と教えている

・仏教が否定している欲望は「貪欲」。貪欲は必要以上に欲しがる欲望であり、利己的な欲望。大勢の人を幸福にしたいから、「~になりたい」と願う「大欲」は、仏教も肯定する

・仏教では「恩を返せ」というより、「恩を知れ」と教えている

・人間は何事についても確実な判断は下せないもの。だから、判断を差し控えた方がいい。「新約聖書」でキリストは、「人を裁くな。あなたがたも裁かれないようにするためである」と言っている

・信じていた人間に裏切られたとき、わたしたちは人間不信に陥るが、イスラム教徒に言わせると、これはおかしな話。裏切るような人間を信じたからいけないだけのこと

・私たちは老いることに怯えている。年齢を忘れてしまいたいと思っている。でも、本当は「美しく老いる」のがいい。それには、野心や欲望を抑えたほうがいい

・不幸が起きている人たちが日本人以外であっても、「すまない」といった気持ちをもつべき。「すまない」といった気持ちこそが、ほとけの慈悲の心に通じる

・いちばん素晴らしい先祖供養は何か?それは子孫が毎日を幸福に暮らすこと。ご先祖さまはきっとそれを喜んでくださる。墓参りをするのも先祖供養だが、墓をつくらなくても先祖供養はできる

・仏教には三種の餓鬼が登場する「1.無財餓鬼」「2.少財餓鬼」「3.多財餓鬼」。多財餓鬼は裕福で、多くの財産を持っているが「餓鬼」である。もうこれで十分ですと満足することができず、際限なく欲望を膨れ上がらせる



まんだら人生論下巻につづく
[ 2010/02/11 07:53 ] ひろさちや・本 | TB(0) | CM(0)

『「風林火山」武田兵法に学ぶ勝利への方程式』加来耕三

「風林火山」武田兵法に学ぶ 勝利への方程式「風林火山」武田兵法に学ぶ 勝利への方程式
(2006/11/23)
加来 耕三

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武田信玄の戦争論、組織論、経営論、人生論は、彼を崇拝した徳川家康に受け継がれ、徳川300年の礎を築いたことを知る人は少ないのかもしれません。

徳川の時代から150年近く経っていますが、われわれの考え方や行動の規範には、未だに「徳川なるもの」が残っています。いい意味でも、悪い意味でも、日本人の性格には、徳川の呪縛が垣間見られます。

そう考えると、日本人の性格を形成している要因は、武田信玄にその基があるのかもしれません。

この本は、戦国時代に特に詳しく、著書も多数ある加来耕三氏の文章に、故横山光輝氏の挿画(武田信玄)が加わった、コンパクトだけれど、豪華な本です。

武田信玄のことで、新たに勉強になった箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、これらを紹介したいと思います。



・信玄の「家訓」には、組織、人、人生に対する、信玄の深い洞察と英知が、織り込まれており、今日に伝えられる徳川家康の「家憲」「遺訓」「息子秀忠への十七訓」にもその影響が色濃くうかがえる

・信玄は「甲州法度之次第」で、誠実の誓いを立て、自分にも家臣団に対しても、生涯に渡り、誠実であろうとした。以後、下剋上の甲斐国の最高権威をもつ法律となった

信玄家法の「甲州法度之次第」以外に、武田家には、もう一つ重要な家訓がある。信玄の実弟が子孫や一族に遺した「武田信繁家訓」である。実際の場面に即した組織運営法、部下掌握法、人間関係の心得が説かれ、武田家滅亡後、徳川家康に大切に継承された

・凡そ軍五分を以て上と為し、七分を中と為し、十分を以て下と為す <名将言行録

完全なる勝利は、勝ちに驕る心を芽生えさせ、やる気を鈍らせることにつながる。結果的に組織が崩壊する元となる

・勝ちいくさに至りしときは、その場にとどまらず、一気に攻めかかりて圧倒せよ <信繁家訓第四十四条>

・いくさ近づきしおりは、味方陣営を荒々しく鼓舞せよ。怒気生じて、士はめざましい働きをする <信繁家訓第四十五条>

和敵破敵随敵の分別肝要のこと <信繁家訓第五十四条>

信玄は敵を「争わない敵」(和敵)、「破らねばならない敵」(破敵)、「従わせる敵」(随敵)の三種に分類した

・千人で正面から向かうより、百人で横合いから攻めるべし <信繁家訓第八十三条>

「横合いから攻める」というのは、実戦以外の外交戦、情報戦略を重視せよということでもある

・威をことさらに誇る敵とは戦わず、自滅を待つ <名将言行録>

・たとえ多勢でも備え薄ければ撃て。たとえ少数でも備え厚ければ思慮せよ<信繁家訓第九十六条>

「備え」とあるのは、「人材」「資金」「技術」のすべてに用意が整っているかどうかを問うている

・信玄には甲州軍団に匹敵する隠れた組織「諸国使番衆」があった。信玄の目であり耳であり、甲州軍団のレーダーであった。行動範囲は広域で、蝦夷から長崎まで散らばっている。信玄の情報戦略の基幹をなすもの

・信玄は、「風評を流して、敵を思いどおりに動かせ」と「信玄全集」や「甲陽軍鑑末書」で繰り返し言っている。「諸国使番衆」は敵国へニセ情報を流すこともあり、織田信長は信玄の十倍近い資金力や兵器を持ちながらも信玄を恐れていた

・過ちを反省する者には寛容であれ <信繁家訓第五十二条>

決意あらたにする者には、その意気をかい、過去を咎めるな。そうすれば、許された者は感激奮起し、以前にもまして懸命の働きをする

・万事、道理は六、七分までいえばいい。八分までいおうと思うといいすぎる <名将言行録>

・諸士の組合せは釣合いの妙をはかるべし。若手には老練なる者を組ませて用いよ。両人相和せば、諸事よく治まるべし <名将言行録>

甲州軍団の指揮系統は、すべて二元化されていた。若者には老練な者を、大将が性急の者なら副将には思慮深い者をつけ、大将が陰気になりがちなら副将にはとりわけ陽気な者を選んで、配置につけている。それが信玄の人材活用のポイントの一つ

・規則つくり家中の者よくそれを守るといえども、大将が守らねば、規則はなきに等しいと知るべし <名将言行録>

・忠節の臣を忘れてはならぬ、功臣を軽んずれば、腐る <信繁家訓第二十二条>

・自らの一党を格別に取り立ててはならぬ <信繁家訓第九十一条>

・四十歳までは勝つように、四十歳よりは負けぬように <名将言行録>

・人の動きは毎日変わっている。日々注意せよ。二日会わねば、以前と同じ見方はできぬ <信繁家訓第二十八条>

・どのように親しい間柄でも、簡単に用事をたのんではならぬ <信繁家訓第九十条>

酔狂な者たちにとりあうな <信繁家訓第七十四条>

自己中心的、独善的な思い込みの激しい人物や企業、本来の目的を忘却し、あらぬ方へ脱線する連中がいたら、さっさとその場から離れろ。酔狂は伝染しやすい



小さくても一つの組織を任されている人、人を管理する立場にいる人には、古いようで実は古くない武田信玄が参考になるように思います。

今でも、日本人の根底部分に、武田信玄の亡霊が潜んでいるのかもしれません。組織、経営、人生に困ったときに、読む1冊ではないでしょうか。
[ 2010/02/09 07:25 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『プロの聞く技術が身につく本』林恭弘

プロの聞く技術が身につく本―よりよい人間関係を築く35のポイントプロの聞く技術が身につく本―よりよい人間関係を築く35のポイント
(2007/05)
林 恭弘

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林恭弘氏の本は、「へこまない技術」に次いで2冊目です。へこまない技術では、主にオペレーター、販売員、クレーム処理係など、「客のクレームを聞く仕事」に従事されている方に書かれた本でした。

この本は、もっと範囲を広げて、「人と接する仕事」に従事されている方に書かれています。極めて現場に近い立場で、実践で役に立つ内容になっています。

この本で、なるほどと思えた箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・アドバイスよりも思いやりを求めている。解決してやろうは相手の悩みを否定する

・相手の打ち明け話に耳を傾け、相手が自ら解決していけるよう援助するだけ

・話すことより、まず黙って聞くこと。「聞く」は「愛情を伝える」ということ

・話を聞くことを妨げる考え方
「違う」「おかしい」「間違っている」「わかっていない」「未熟だ」

・正しさは傷口を抉るナイフになっても、悩んでいる人を救うことはない

・成果主義が叫ばれ、現代社会は「厳しい社会」と評されるが、実は「冷たい社会」。成果主義が悪いのではなく、部下が悩んでいても、「叱咤激励するだけで理解しない」「同僚の悩みを聞くのを恐れて声をかけない」「忙しいのを口実に子供と向き合わない」冷たさ

・愛とは、相手のために相手本位に時間を与えること。話を聞くことと同じこと

・コミュニケーションは話の内容よりも声の調子と態度が大事

・カウンセリングでは、直接悩みを解決するようなことをしない。相手の鏡になること。悩んでいる人たちの共通点は、混乱状態にあること。客観的な視点を持ち、現状を整理できていて悩んでいる人はまずいない

・「聞く」ことは話を整理する業務

・聞き手の話が4割を超えてはいけない。「共感に近づこう」とする行為が、温かさを心に吹き込み、人を孤独感と疎外感から救う

・カウンセラーが満足感と共に終わるのは、「良いことを言ってあげた」「解決してあげた」「影響を与えてあげた」ことを意味し、本当は聞けていないということ。無力感を味わい、辛さを感じながら聞いているときが「共感的理解」をしている

・愚痴はストレス解消。愚痴を聞いてくれる人がいれば、吐き出すだけで、心の圧力が下がる

・話の内容ではなく、今の相手の心を聞く。本当の気持ちを一緒に見つけていくのがカウンセリング

・「自分なりの結論を出す」というプロセスなしに人の成長はありえない。しっかりと悩む時間を与える

・人間関係では、勝てば勝つほど孤独になる。勝つということは「相手の心を切り離す」ということ

・管理職はサービス業である。聞く能力のある人は人格者として認知され、メンバーの心理抵抗も少なく、仕事を進めることができる

・「間違っている」のではなく「違っている」だけ。一体感の押し付けから離別感の関係へ、つまり「自分と相手は違う」ということからスタート

・誰に対しても丁寧で親切、そして優しくする。相手は自分と対等であることで心を開く



この本を読めば、管理職、上司、先生、監督、コーチなど、人の上に立つということは、サービス業で客に奉仕することと同義のように感じられます。こう感じられるようになれば、人の話が本当に聞けるようになるのかもしれません。

この本は、人の上に立つ人にとって、自分本位にならないように、自分を省みる必要性を気づかせてくれる良書になるのではないでしょうか。
[ 2010/02/08 08:17 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)

『世界名言集-真実と生き方の知恵』岡田春馬

世界名言集―真実と生き方の知恵 (近代文芸社新書)世界名言集―真実と生き方の知恵 (近代文芸社新書)
(2004/04)
岡田 春馬

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この本には、世界の有名人の名言が千句余り収録されています。項目、分野別に分類されているので、読みやすくなっています。

名言は、励みにもなるし、救いにもなります。カンフル剤にもなり、精神安定剤にもなります。

言い換えると、この本は、薬が効能別に棚に収納されているような感じです。必要なときに、取りだして効能書きを読めば、自分で処方できて便利です。

この本の中で、私自身に処方できそうな名言が25ほどありました。「本の一部」ですが、これらを紹介したいと思います。


・人生には、若い時の恋の夢の、半分ほども楽しいものはない(トマス・モア)

・人間は恋をしている時には、他のいかなる時よりも、じっとよく耐える。つまり、すべてのことを甘受するのである(ニーチェ)

・我々は時たま、お世辞なんか嫌いだと思うことがあるのだが、実際に我々が嫌いなのは、お世辞そのものではなくして、お世辞の言い方、ただそれだけである(ラ・ロシュフコー

・お金というのは丁度人間の第六感みたいなものである。もしも、この第六感とも言うべきお金がないと、我々は他の五感を完全に活用することができなくなってしまうのである(サマセット・モーム)

・完全なる教授法とは、まず若い人達の自然な好奇心を呼びさまし、しかる後に、その好奇心を満足させる方法ということになる(アナトール・フランス)

・恐れることは、望むことよりも、ずっと早く起こるものである(プブリリウス・シュルス

・立派な衣装を着ることによって、人の目をごまかすことはできるが、愚かな言葉というものは、喋った人間の正体を暴露してしまうのである(イソップ)

・年老いた愚者は、愚かな若者よりも愚かであって、どうにも始末が悪いものである(ラ・ロシュフコー)

・逆境に耐えられる人というのはたくさんいるが、軽蔑に耐えられる人はきわめて少ない(トマス・フラー

・無言というのは、軽蔑を露骨に示す、もっとも完璧な表現である(バーナード・ショー)

・自分自身の欠点というものをちゃんとよく知っている者はだれでも、他人の欠点に対して、とやかく文句を言ったり、また責めるなんてことはいっさいしないものである(サーディ

・幸福というものは、すなわち一種の感謝の気持ちに外ならない(ジョゼフ・ウッド・クルーチ

・仕事をしていると、人生の三大悪から免れることができる。その三大悪とは、退屈と悪徳と貧困である(ヴォルテール)

・人に対して慈悲心をもたない者は、およそ他人から慈悲を受ける資格なんかない(イギリスの諺

・一番になりたいと思っていても、なかなかなれないで、いらいらしているといった、自負心の強い人ほど、お世辞によって騙され易い人間はいない(スピノザ)

・聞くことからは、知恵が生じるが、いっぽう、喋ることからは、後悔が生じる(イタリアの諺

・我々人間は泣きながら生まれ、ぶつぶつと不平を言いながら生き、そしてそれから、がっかりして死んでいくのである(トマス・フラー)

・弱い人間が誠実に徹するということは、どだい無理な話である(ラ・ロシュフコー)

・立派な批評家というのは、私達の足下にある隠れた泉から、思いがけなくも突然水を噴出させる魔術師みたいな存在である(フランソワ・モーリヤック

・知慧の機能というのは、善悪を識別することである(キケロ)

・梯子を立てかけている人は、泥棒と同じように、悪い人間である(ドイツの諺

・苦情の念を持つということは、人生における目的を持つということである(エリック・ホファー

・世間の人を善人と悪人に分類するなんてことは、およそばかげたことである。世間の人というのは、魅力のある人か、あるいは、退屈な人かのいずれかである(オスカー・ワイルド)

・およそ人間のうちで、もっとも質の悪い人間というのは、赦すということを知らない人間である(トマス・フラー)



千句も名言が収録されている本ですが、新書版なので、手元に置いて、いつでも読めるようにしていれば、末永く役に立つ、便利な本だと思います。

心に迷いが生じたときに、是非活用したい1冊ではないでしょうか。
[ 2010/02/07 08:20 ] 人生の本 | TB(0) | CM(0)

『「自分」との対話』大越俊夫

「自分」との対話「自分」との対話
(2007/12)
大越 俊夫

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著者は、不登校児、高校中退生のための塾を創設し、6500人の若者と正面を向き合い、今も日々真剣勝負を続けられています。

アメリカの大学准教授、学長補佐を歴任し、月刊誌も主宰。2008年には、広島で通信制の「師友塾高等学校」まで開校されています。

真剣に生きてこられた著者だけに、言葉に重みを感じます。欲望を肯定する考え方にも共鳴できます。

この本の中で、感銘した箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・聖書に、「生ぬるいものは吐き出される」とある。人間一度は、生ぬるさを拒否し、おそろしく熱いか冷たいかの中に身を浸す必要がある。そこから生きることの本番が始まる

・どんなことにも、どんな人にも、「すきま」を残さず、ありったけの力でぶつかるしかない。三の力ですむことにも十の力を傾ける。持てるエネルギーを、すべて注ぎ込む

・人間の抱く恐怖心の大半は、虚体であって、実体ではない。想像力の産物が恐怖である。まだ出会っていないもの、存在しないかもしれないものに、先まわりして恐れや不安を抱く

・あれかこれかの二元論を超えた、誰も損しない第三の道を、粘りに粘って、真剣に、必死に考え抜く。すると天啓のように、答えが必ず導き出される。神様は、真剣さや必死さの「本気度」を試している

・ホラも見方を変えれば「ビジョン」となる。それが、自分やみんなの意欲をかき立てて、現実の壁を打ち砕く破壊力にもなる

・「求めて得た幸福より、待って得た幸福のほうが深い」。自分にとっていちばん大事なものは、こちらから手を伸ばすのではなく、向こうから与えられることによって得られる

・完全燃焼したとき、勝っても負けても、人はそれ以前の自分に「さよなら」を言うことができる

・どうせ比べるなら、他人とではなく、過去の自分と比べるべき

・あなたはあなたでしかない。今あるあなた以上のものは見せられない。自分を自分以上のものに見せようとすると、人は必ず失敗するもの

自分と対話する時間を持たないと、人は思いや考えを深めることができない。一人のときに、人は「人間の根」を張る

・最悪をイメージして、その覚悟を腹に据えたとき、困難に立ち向かう意思と力が備わる。と同時に、その最悪の事態を回避する道が開けてくる

・何かを得るためには何かを捨てなくてはならない。その断念の深さがそのまま前へ進むエネルギーにもなる

他人の財布を開かせるという難事業を成功させるものは、その人の志の強さ、覚悟の本気度である

・あなたの真の味方は、遠いところであなたをひっそりと待っている。それはあなたがまだ会ったことのない人の中にいる。ビジョン(志)は人を呼ぶ

・自分を苦しめた欲望こそが、自分の活力源であった。毒だと思っていた欲望は、同時に、生かしてくれた薬であった。欲望という毒を消したら、生きるエネルギーも同時に涸れる

・欲は、福と凶の相反する二つの、同じ一つの根っこ。欲を殺そうとせず、いかにコントロールして、生きるためのエネルギーに転換していくかに人の知恵は使われるべき

欲望をコントロールする一つの方法は、自分の欲を自分のためばかりでなく、人のために使うこと

・人が生きる目的は、すべきことを探すこと。「したいこと」ではなく、分別や損得を越えて、そうせずにはいられない「すべきこと」は使命感に基づいている

・天の意を引き寄せるには、持てる力をすべて使い果たすことが最低限の条件

運を味方につけるコツは、「精一杯の自助努力」と「偶然がもたらしてくれた恵みを独占しないこと」にある

・人間は幸せになろうとしてなれるものではない。誰かを幸せにしようとして、はじめて幸福が手に入る。幸福を得ようと思ったら、幸運を独占してはいけない

・人が完成したときの姿は、聖よりも俗に近づく。「野に聖あり」である。真の聖人は、ほこりだらけの巷で、粗末な服のまま、東へ西へ奔走しながら、みんなとともに汗を流す



この本の中には、時間をかけて幸福になっていくヒントが散りばめられています。著者が苦しい体験を経てこられたからこそ、こういう言葉が出てきたのかもしれません。

40歳以上の方には、理解できる部分が多いのではないでしょうか。重いものを背負わなければ、大きな幸福は得られないということを教えてくれる1冊だと思います。
[ 2010/02/05 08:46 ] 出世の本 | TB(0) | CM(0)

『失敗に学ぶ不動産の鉄則』幸田昌則

失敗に学ぶ不動産の鉄則 (日経プレミアシリーズ)失敗に学ぶ不動産の鉄則 (日経プレミアシリーズ)
(2009/01)
幸田 昌則

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不動産は大きな買い物です。慎重に考えないといけません。しかし、限定商品で変動相場のため、ついついあせって購入してしまいます。

私自身、13年前に、隣地が売りに出されたので、「隣りの土地は借金してでも買え」のごとく、あせって買ってしまいました。今では、買った値段から3割ほど下落しています。

その当時の金利などを考えると、4割近く損したのかもしれません。

このような体験から、不動産を購入することは、「モノを買う」という発想から「投資する」という発想に換えないといけないことを知りました。

この本には、不動産購入時の注意点が、主に業者側の視点で書かれています。

その中で、知っていて損しないと思われた箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・巨額な買物こそ、より慎重な分析や判断が必要とされるはずなのに、「良い物件には早く手をつけなければ」と気がはやると同時に、「いよいよマイホームだ」と気分が高揚して性急に購入を決定してしまう

・不動産価格が上昇から下落へと転換し始めたときにも、多くの人が失敗を犯す。価格下落局面では二、三割安くなった不動産を、価格が高くて手が届かなかった人が慌てて取得に走って高値つかみする

・若い女性の場合、「他人が住んだ家は気分的にいやだ」「新築の方が設備が好ましい」などの理由があってか、割安な中古住宅に関心が薄い人が多い

・家を買ってしまうと、「転職に成功しても自宅から通えず二重生活を余儀なくされる」「スカウトされたのに、自宅と職場が遠くて断念する」などリスクがある。「移動のしやすさ」も地域の価値。埼玉、千葉、神奈川に比べて東京の価値は高い

若者のクルマ離れ現象が一段と加速していけば、郊外にも暗い影を落とすかもしれない

・病院がなくなった街の土地や住宅は、買い手がいなくなり財産価値は失われてしまう

・不動産市場の動きを見ると、みんなが買う時に競って買うと失敗し、逆に、みんなが売る時に買うと成功につながる

・投資家として強く認識しておくべきなのは、「買う時に売る時のことを考えておく」と同時に、「どんな人が買ってくれるだろうか」と想像しておくこと

・不動産業界の浮き沈みが激しいのは、「休むべき時に、休めない体、休めない経営体質」になってしまっているから

・不動産事業の基本は、自社の商圏内に多くのファンをつくること。地元の人脈をしっかりつくっておくことにある。地元重視が安定的な収益の源泉。青い鳥を求めて、地元を軽視しては元も子もなくなる

・地域の需給関係は、マンションであれば、周辺での売れ残りを調べる。特に完成在庫量に関する情報が重要

・机上の計算のみで事業計画を立てたファンドが、全国に供給した賃貸マンションの多くは空室として残っている。不動産の基本は賃貸市場にある。賃貸市場の動向を知っておくことは、不動産の取引をするうえで非常に大切

・マンションや建売住宅の分譲事業は「焼畑農業」のようなもの。同じ地域で次から次へと収穫することはできない

・不動産市場の過去の動きを見ると、「ブーム」はいつも一過性のもので、その終焉はあっけないもの。13時を過ぎたレストランの状況にそっくり。後から考えると「あれはバブルだった」ということがわかる

・不動産の価値を収益還元法、つまり収益の高さによって決めるという考え方は正しい。しかし、競争激化の中で、ファンドが取得目標を達成するために、無理をして、目標利回りを10数%から5%以下の低くなった不動産に手を伸ばし、失敗に終わる

・新築住宅が中古になったとき価格が低下するのは、新築がデベロッパーの販売費用や利益が上乗せされた価格であるのに対して、中古価格は市場の需給関係によって決まっていくから

・不動産会社が破綻するのは、融資を続ける金融機関が「経営者の資質」や「経営能力」を冷静に長期にわたって観察しないから。トップが経営者タイプか、トップ営業マンタイプかを観察するだけで失敗の多くが未然に防げる。融資すべきは経営者タイプ

・中古の方が、一般的に資産ロスのリスクは低くなる

・リゾートマンションで人気のある地域は、交通の便がよく、利用しやすいところ。到着するのに2時間以上もかかる地域は、それほど利用されていない

・世界中の人、特にお金持ちが求めるリゾート地には財産的価値があるが、国内需要だけに依存したリゾート物件に財産的価値は期待しないこと

・「購入時には取得金額の50%以上を自己資金で賄い、取得する不動産自体も、表面利回りが最低でも20%以上」。取得チャンスは限られているが、この投資方法で優良物件を割安で手に入れて成功している個人投資家がいる



この本は、新築住宅・マンション、中古住宅・マンション、リゾート物件などの不動産を購入されようと考えている方や、不動産を投資の対象と考えている方にとっての、基本的情報や教訓が載っている書です。

ン千万のお金が動く商品ですので、知的武装をきちんとしておきたいものです。そのために役立つ1冊ではないでしょうか。
[ 2010/02/04 08:46 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『成功への道-お金持ちになる「心得71」』ハン・チャンウク

成功への道―お金持ちになる「心得71」成功への道―お金持ちになる「心得71」
(2005/09)
ハン チャンウク

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韓国のお金持ちに関する本は、「だからお金持ちになれたすごい習慣(ハン・サンボク著)」に次いで2冊目です。

隣国だけあって、日本に近い考え方が多く見受けられます。しかし、微妙な差異も感じられます。そういうことも含めて、読むと、面白くてためになります。

この本を読み、参考になった箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・よく計画の立て直しをしている人がいる。仕事や勉強はせずに、いつも計画ばかり立てているように見える。だが、成功するのはそういう人。計画表を直しているうちに自分の生活と事業を振り返り、反省する

・買い物は1週間延ばし、1カ月延ばして、更に来年まで延ばす。そのころになれば、あれほど買いたかったものが、本当はそんなに必要でなかったことを悟る

未来のための投資をしない人は、必ず淘汰される

・服装は自分の弱点をカバーするだけでなく、長所を浮き立たせる。一度くらいはコーディネイトの勉強をしたほうがよい

・成功する人は歯がきれいで堂々としている。人はうれしいことがあれば笑う。笑いが多ければよいことも多く訪れる。笑うときに笑えないようでは、顔をしかめて生きるしかない。歯には金を惜しまず使おう。それこそ効果的な投資だ

・成功する人には面白い人が多い。面白い人になるには、基本的に次の4つを備えていなければならない
1.結論は下さないが、時事問題に精通しておく
2.常識をひっくり返し、ひねりを入れるユーモア感覚を持つ
3.軽く受け流せる楽天的な面を持ち合わす
4.瞬発力を持って、爆笑を起こし、会話を面白くする

・時間を15分単位で使うと、多くの時間を無駄にしてきたのがわかる。時間管理が身につくと、1日が長くなる

・これといった特技がない人は淘汰される。特技がなくても、適当な学力と常識と頭さえあればやっていけた時代は終わった。特技を選択するときには未来の予測が必要

・大義、奉仕精神、犠牲精神はリーダーが備えるべき基本的な資質。責任感全体利益犠牲心の3つを肝に銘じたら、誰でも立派なリーダーになれる

・お金を惜しんではならないときは次のケース
1.能力啓発と留学などの未来に対する投資
2.健康に対する投資
3.配偶者に対する投資
4.セミナーや集まりの参加にかかる費用

・本をたくさん読む人には品格が感じられる。本を全然読まない人は、高級な服を着ていてもなんとなく軽薄に見える

・原始時代は力持ちがリーダーになった。現代はユーモアのある人がリーダーになれる

・仕事には困難がつきもの。困難を克服する方法として、成功する人が使うのは、質問をすること。同僚への質問、専門家への質問、違う系列の人への質問など、助け助けられて生きるのがこの世の中

・アイデアを見つけるには、大きく分けると次の4種類
連想刺激法」「発想転換法」「情報組合せ法」「集団発想法

・一般的なアイデア発想法
1.「固定観念崩し」 2.「固定観念の回転」3.「反転の発想」
4.「材質替え」 5.「用途の変換」
6.「より便利に」 7.「より安全に」 8.「より面白く」
9.「追加または省略」 10.「他人のアイデアの変形」
11.「廃品利用」 12.「音の添加」 
13.「科学的な原理の接ぎ木」 14.「省エネ」

・成功する人はチャンスに強い。本能的にチャンスだと判断すれば、すべての身体器官を働かせて無我夢中に取り組む

・成功する人は感情的な喧嘩を避ける。腹の立つことや不平不満があると、その都度吐き出す。頭の中がすっきりと整理されてこそ、仕事に集中できる

・成功する人はお互いの違いを認め、尊重する。自分より優秀な人に出会ったら、ひとつでも多くを学ぼうと目を輝かせる。ところが、未来に対するビジョンのない人は振り向いて悪態をつくだけ

・「大きなミスをしでかした部下を叱責してはいけない」「仲間はずれにされている社員と親しくなれ」。いつかきっとその人は恩に報いてくれる

・失敗する人にとって変化は恐怖だが、成功する人にとってはチャンス

小さなアイデアさえあれば、誰でも一分野の先駆者になれる



以前、「成長する人・大活躍する人80法則」という文章を書きましたが、この本を読み、日韓の違いがあるにせよ、韓国の成功する人とよく似ているなと感じました。

成功を目指すなら、この本を読み、お金持ちになれる人の事例を、頭の中に叩き込んでおけば、必ず役に立つときが現れると思います。

この本は、韓国で40万部以上のロングセラーになった書です。日本や欧米の本だけでなく、たまには、視点を変えて、隣りの韓国の本を読むのもいいのではないでしょうか。ちなみに、翻訳者は、北朝鮮拉致被害者の蓮池薫氏です。
[ 2010/02/02 08:50 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)

『田中角栄処世の奥義』小林吉弥

田中角栄 処世の奥義田中角栄 処世の奥義
(2006/01)
小林 吉弥

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私が中学生の時、福田赳夫と田中角栄の自民党総裁選の決選投票の場面をテレビで食い入るように見ていました。

下馬評を覆し、若い田中角栄が勝った時、気持ちが高揚したのを、今でも鮮明に憶えています。学歴はないが、本当の意味で頭の良い首相の誕生が、中学生にもうれしく感じられました。

それから後、ロッキード事件で表舞台から退きましたが、その実行力は、その後のどの首相と比較しても、群を抜いた存在でした。

良きにつけ、悪きにつけ、歴史に残る天才であった田中角栄の凄さが、この本のエピソードの中に盛られています。

ためになったエピソードが20ほどありました。「本の一部」ですが、これらを紹介したいと思います。



・どんな話でも、ポイントは結局一つだ。そこを見抜ければ、物事は3分あれば片付く。あとはムダ話だ

・角さんは、本当に困った相手には敵味方、関係なく助けていたね。ときには獣道も教えていた。こうして、敵を味方にすることによって城を増やしていった。一匹の蚊にたっぷり自分の血を吸わせ、そっと放してやる優しさもあった。こういうの、日本人は好きなんだ

・世の中は白と黒ばかりではない。敵と味方ばかりではない。その間にある中間地帯、グレーゾーンが一番広い。そこを取り込めなくてどうする。真理は、常に中間にあるということだ

・政治家は人に会うのが商売。人と会うのが醍醐味になってこそ本物

・わかったようなことは言うな。気の利いたことを言うな。そんなもの、聞いている者は一発で見抜く。借りものでない自分の言葉で、全力で話せ。そうすれば、初めて人が聞く耳を持ってくれる

・一人の悪口を言えば、十人の敵をつくる。よほど信用している相手でも「お前だけに言うが、実はアイツは・・・」とやれば、1日もたたないうちに知らぬ者なしとなる。悪口を言いたければ、一人でトイレの中でやれ

自分の物差しばかりで物を言うな。こういうのは、使いものにならない。黙って、汗を流せ。いいところは、人に譲ってやれ。損して得取れだ。そうすれば人に好かれる

・田中角栄は、フルネームすべて忘れてしまったのに、
「やあしばらくだな。元気か。アンタの名前が出てこない・・・」
「○○ですよ」
「そんなことはわかっている。下のほうの名前だ」
「△△△です」
「そうだ、思い出した」
と、下の名前だけを忘れたフリをして、フルネームをよく引き出していた

・話をしたいなら、初めに結論を言え。理由は、三つに限定しろ。世の中、三つほどの理由をあげれば、大方の説明はつく

・身銭を切ると、自分が額に汗したカネだから、人との話も真剣勝負になる。他人のカネやおごってもらった場合は、そのヘンにユルみが出る。何事にも全力投球のオヤジ(角栄)は遊びで終始することには我慢できなかった

・冠婚なんてお祝い事はいつでもできる。死んだほうは待ったなしだ。自分と関わりのあった人に対しては、心から冥福を祈る。そんなことがわからんで、お前ら政治家の事務所が勤まるのか

・田中派候補のポスターを貼りまくり、「コイツはカッコをつけているが、目が死んでいる」「アイツは、上から有権者を見下ろしている。目線が間違っている」「そんな奴に誰が票を入れるんだ」と秘書に命じ、取り換えさせた

・トップリーダーがギリギリの決断をしなければならないときの判断材料について、田中角栄が強調してやまなかったのは、「公六分、私四分」の精神だった

・お前はたいそうな話はするが、どうも心を打つものがない。一言で言えば、うわついている。相手の気持ちが眼中にない。自分を売り込むばかりだ。誰がマジメに聞くものか。もっと頭を使ったらどうだ

・銃弾飛び交う生死を分ける戦争ではなく、論争、意見対立にすぎないのなら、相手に余地を残してやれ。時間がたち、諸般の事情が変われば、またこのケンカ相手と手を握ることがある

・「いや、笑いの中に真実がある」。田中角栄のスピーチで随所に出てくるのがこの一節

・内閣はできたときに、最も力がある。会社の社長も、他のポストも同じだ。新しいポストについたとき、力のあるうち、注目されているうちに、できるだけ大きな仕事をやるべきだ。熟慮断行も。ヘチマもあるもんか

・カネというものはチマチマ使うより、ここぞというときは一気に使え。そのほうが、効果は何倍も大きい



田中角栄の言動やエピソードを読むと、急成長する会社の、やり手創業オーナーという感じです。

こういうタイプの人が、政治家として活躍できていないことが、日本衰退の要因になっているのかもしれません。

上品さより、実行力。事業意欲のある人なら、坂本竜馬の本だけでなく、田中角栄の本も読むと、参考になるところが多いのではないでしょうか。
[ 2010/02/01 08:55 ] 田中角栄・本 | TB(0) | CM(0)